【写真】素晴らしくマイペンライな感じのペットサムイです。そして聞き取りはほぼ問題なし。素晴しい(C)SHOJIRO KAMEIKE
26日(土)、名古屋市の名古屋国際会議場イベントホールでHEAT55×AFC34が開催される。HEATとAngel’s FCによるMMAルールの日韓7対7対抗戦が行われるなか、対抗戦外でペットサムイ・シムラが出場しパク・ジョンジュンとキック64キロ契約マッチを戦う。
Text by Shojiro Kameike
ペットサムイは2013年3月、日本で石井宏樹を左ヒジでKOし、ラジャダムナン認定スーパーライト級王者となっている。当時のリングネームはエークピカート・モー・クルンテープトンブリーだった。その後、日本のHEAT24ジムにトレーナーとして勤務し、戦いの場も日本に移していた。彼はなぜ日本で戦うようになったのか。今回のインタビューは通訳なし、ペットサムイの言葉をそのままお伝えしたい。
――ペットサムイ選手、今日はよろしくお願いします。
「ハイ。よろしくお願いします」
――MMAPLANETで国内のキックボクシングを扱うことは少ないのですが、石井宏樹選手からラジャのベルトを奪った選手が日本にいると聞いて驚きました。当時はリングネームが違いましたよね。
「ハイ。あの時は名前、違いましたね。前はエークピカート、今はペットサムイ」
――ペットサムイ選手がムエタイを始めたのは何歳の時ですか。
「9歳の時です。お父さん、ムエタイ大好き。僕はサッカー大好き。最初はムエタイ好きじゃない。お父さん、教えてきました。『ムエタイ良いよ。ファイトマネー貰える』って」
――アハハハ。お父さんがムエタイの選手だったというわけではなく?
「違う。ムエタイが好きっていうだけ(笑)。僕も最初、1回だけ試合しました。ファイトマネーを貰って、『ムエタイ良いなぁ。また試合したい』と思いました」
――なるほど。9歳から現在まで、何試合を戦ってきたのでしょうか。
「たぶん250(試合)ぐらい」
――石井選手を下してラジャのベルトを巻いた時は?
「12年ぐらい前? たぶん150ぐらい。80回ぐらい勝っていました。僕は22歳、今は34歳ですね」
――石井戦の前に、何かベルトを巻いた経験はありましたか。
「チャンピオン? 何もないです」
――日本でラジャのベルトに挑戦できると聞いた時は嬉しかったですか。
「うん、え~と……ムエタイルール、簡単。僕はヒジ、巧い。でも今はキックボクシングルール、ちょっと難しい」
――では石井戦もKOするのは難しくなかった、と。
「そう。ヒジが入ったから」
――石井戦以降、ベルトは何回防衛したのでしょうか。
「2~3回ぐらい。僕がラジャじゃない、いろんな大会に出ました。だからラジャにベルトを戻した」
――負けてベルトを失ったのではなく、返上したということですね。
「ハイ。僕、負けない。アハハハ。3回ぐらい勝って、もう相手いない。僕は別の試合出る。だからラジャが新しいチャンピオンつくりました」
――お金の話になって恐縮ですが、ラジャのチャンピオンになり、ファイトマネーも上がりましたか。
「アップ、エヘヘヘ」
――かなり上がったのですね。
「倍、倍(笑)」
――それは凄い! なぜタイ国内でそれだけ稼げるようになっていたにも関わらず、日本へ?
「2年半前かな? ムエタイを教える仕事で来ました。日本、大好き。ヒロキとの試合で来た時、『日本きれいね』と思った。日本で遊びたい、仕事したい」
――ということは、ペットサムイ選手のほうから日本に行きたいと希望したのですね。
「違う。タイ人の友達から『日本で仕事する?』と言われた。2年半前はコロナで、ムエタイの試合が無し。僕は他の仕事ない。試合だけ、ファイターだけ。だから、お金ない(笑)」
――あぁ、コロナ禍で……。
「日本、大好き。日本語、勉強できない。でもお客さんといっぱい喋る。それで日本語覚える」
――HEAT24ジムでは子供たちにキックボクシング、ムエタイを教えていますね。
「子供たち、かわいい。教えるのは面白い。日本の子供たちは真面目。タイの子供たちは真面目じゃない。試合は真面目にやる。でも痛い、痛いはやらない」
――タイでは子供たちがパンチやキックの練習をすることは少ないということですか。
「そう。パンチはあまりない。キック、ヒジ、首相撲。だからタイはパンチができない子、多い」
――だからこそ首相撲とヒジが強いという面はあります。ペットサムイ選手もそうであるように。
「僕が得意なのはヒジ。ヒジがないと難しい。パンチ、難しい。ヒジは(距離が)近いから簡単。ヒジありなら負けない。体重も62から65くらいで、ムエタイルールなら簡単」
――なるほど。では次の試合も……。
「ちょっと難しいね。次はムエタイルールじゃない。首相撲ダメ。ヒジもない。アハハハ」
――えぇっ!? 今日の時点ではまだ対戦相手が発表されていませんが、試合はムエタイルールだと聞いていました。
「違う。キックボクシングルールで、韓国の選手。パク・ジョンジュ。まだ試合は視ていないけど、176センチで、僕は163か164ぐらい。アハハハ。難しい。でも勝つ。大丈夫です。頑張ります」
――日本だと、ヒジありのムエタイルールの試合は少なくなってしまいますね。
「日本に来て初めての試合、キックボクシングルール、K-1ね。ヨサ、ヨサ」
――与座優貴選手ですね。2022年12月にペットサムイ選手が判定負けを喫しました。
「そう。ヨサ、K-1の60キロのチャンピオンね(その後、ベルトを返上している)。僕、判定で負け。次は僕、K-1でチャンピオンなりたい。パク・ジョンジュンに勝って、またK-1に出たいです」
■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE