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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:10月 ロイヴァル×平良達郎「コントロール力と勝負に対する気持ち」

【写真】5Rのタフファイトだったからこそ、平良達郎の強さが見えた(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年10月の一番──10月12日に行われたUFN244のブランドン・ロイヴァル×平良達郎、MMA史に残る大激闘となった一戦を語ろう。


――水垣さんの10月の一番はブランドン・ロイヴァル×平良達郎を選んでいただきました。

「もうこれしかないだろうっていう感じですよね。この試合は解説しながら見ていたんですけど、 試合が終わったと同時に『今月の1番はこれだな』と決めていました。日本人としては悔しい気持ちもありましたが、本当に素晴らしい5Rマッチの試合だったと思います」

――水垣さんはこの試合のどこが一番印象的でしたか。

「前回平良選手が対戦したアレックス・ペレスもトップ選手だったのですが、ああいう形でフィニッシュして勝って(スタンドでのオタツロックでぺレスが膝を負傷)。立派な勝ちではあったんですけど、もっと長いラウンドを見たかったなというのも正直あったんですね。それを今回の試合で見ることが出来て、競った試合での平良選手を見ることが出来たなと思います。競った試合で5Rフルでやったからこそ、今まで見えてこなかった部分が、いいところも悪いところも出たと思います。もちろん勝ってくれれば1番良かったんですけど、タイトルコンテンターでトップレベルのロイヴァルに通用する、5Rでも引けを取らない試合が出来るところが分かってよかったです」

――そのなかでも特に水垣さんの目を引いた部分はどこですか。

「技術的に言うと、やっぱりグラウンドのコントロール力ですね。これは新たに見られた部分ではないかもしれませんが、平良選手のコントロール力がどのくらいレベルかというところで、トップ選手の中でもスクランブルが強くてポジションを取られても動いて取り返すことが得意なロイヴァルに対して、あれだけバックコントロールできたのは本当にすごいことだと思いますし、最高の武器だと思います。

 技術論の次の話をすると、勝負に対するメンタル的な強さですね。平良選手は3Rにかなり打撃で追い込まれて、その直後の4Rにもう一度自分から行って、バックを取って自分のラウンドにしたんですよね。あの勝負に対する気持ちは、何と言うんですかね、人に教えられて身につく
ものではないと思うんですよ。あれは平良選手が生まれ持ったものであり、そういった素晴らしいものを持っているところを見れたのが、すごく良かったですね。間違いなくこれからチャンピオンになるんだろうなと思わせてくれる、そういう4Rだったように思います」

――5Rマッチの3R~4Rは体力的にも精神的にもキツイ時間帯だと思いますが、そこで一度劣勢に追い込まれて心が折れてもおかしくない状況だったと思います。

「そうなんです。しかも自分からテイクダウンに行ってバックコントロールするというのは疲れる戦い方だと思うんですよ。それを続けているなかで、一度相手に追い込まれると、そのままガタガタ…と崩れていくのが普通の選手だと思います。でもあそこからもう一度テイクダウン・バックを取りに行くというのは本当に素晴らしいですよね。試合を見ていてあの気持ちの強さにはびっくりしました」

――平良選手はフィニッシュして勝つことも多く、タフな試合で競り勝つというイメージがなかったんですね。スマートに戦って強いというか。でもロイヴァル戦ではキツイことをやって勝ちに行く姿を見せていて、あれは今までにあまり見せていなかった部分かなと思います。

「さっきも言った通り、こういう気持ちの強さは頭では理解できていても、実際に試合で出すことって難しいと思うんですよ。あの気持ちの強さは平良選手の才能の一つだと思います」

――それと同時に同じことをロイヴァルにも思っていて、ロイヴァルはロイヴァルで2Rはほぼバックコントロールされた状態から3Rに盛り返して、再び4Rにバックコントロールされても最終5Rは挽回したわけじゃないですか。ロイヴァルもキツい展開だったと思いますが、それで勝つところまで持っていた底力がすごいなと思いました。

「確かにそうですね。試合中に何度か平良選手ペースになりそうな場面があって、それでも必ず取り返していくるというのは平良選手にとっても良い相手だったと思います。5Rは解説なのに完全に試合に見入って喋れなくなっちゃって。そのくらい素晴らしい試合でした」

――そのなかで平良選手があと一歩足りなかった部分はどこだったのでしょうか。

「パンチの被弾の多さですかね。特にストレート系のパンチへの反応や処理が少し足りなかったのかなと思います。ロイヴァルのパンチをポンポンポンともらって、顎が上がってしまうところが幾つかあって、あれは少しもったいなかったなという部分でした。ただし本人もチームもそこに気づいたと思いますし、技術的なことは改善できる部分なので、 しっかり次の試合までにそこを潰してくるんじゃないかなと思います。本当に平良選手も悔しかったと思うし、初めて黒星がついたわけですが、この試合は決して無駄な負けにはならないと思いました。平良選手がUFCチャンピオンになるための必要なステップだったのかなと思います」

――あとは試合内容とは別の部分で5Rマッチの難しさを感じました。ジャッジペーパーを確認すると2R=平良、3R=ロイヴァル、4R=平良、5R=ロイヴァルで、1Rが割れてスプリット判定でした。2~5Rは明確にポイントがつく展開だった一方、1Rはほぼ試合が動かずにどちらが優勢とも言えないラウンドでした。あとで振り返ると動きが少ない・微妙なラウンドのポイントで勝敗が決まるとなると、動きが少ないラウンドでどうポイントにつながる印象をつけるかが非常に大事になってくるなと思いました。

「僕は5Rマッチはこのパターンが結構あると思っていて。このレベルになると1Rは多少様子を見ていて、2Rからどんどん動きを上げていくことが多いじゃないですか。でもスコアで振り返ると様子見のラウンドをどちらが取っていたかで勝負が決まっていて、すごく難しい話なんですけど、様子を見ながらも必ずラウンドを取るというのが5Rでは大事な部分になってきますよね」

――水垣さんは現役中に試合をしながらスコアのことは意識していましたか。

「僕は常に頭の中で考えてましたね。3Rマッチだったら1・2Rを取っているか取っていないかで、3Rの戦い方を変えますし、逆にラウンドの中でもここまでは自分が取っているなとか、今はまだ微妙だから残りの時間で取りに行こうとか、常に試合中も考えながら戦っていました」

――かなり細かく経験して戦っていたんですね。

「そうですね。少し前だったらテイクダウンの評価が高かったので、ラウンド終盤にはテイクダウンを決めて上から攻めるところを見せておくとか、五分五分の展開のなかでそういう場面を作ることで、自分にポイントがつくことがあったと思います。ただ最近はジャッジの傾向として、テイクダウンそのものでポイントを取ることが薄くなっていると思うし、テイクダウンを取ったら上で殴る、パスしてマウントもしくはバックを取る…そこまでいかないと評価されにくくなっている。その辺りは僕が現役でやってた頃とは少し変わってきていると感じます。

ただその変化にも選手たちは対応しなきゃいけないですし、常にそこは意識しておかないといけない。自分の試合でそれを意識するのはもちろんですが、自分以外の試合や大会をある程度見ておいて、ジャッジの傾向を感覚的に掴んでおくことはすごく大事です。仮にジャッジやルールをこうしていきます、こう変わりますと公式発表があっても、それが実際にどういう場面で変わるのかは実際の試合で見ないと分からないし、理屈だけではなく肌感で理解することが必要です。

 特にギリギリの展開において、そこの判断が出来る・出来ないで勝敗に変わるわけですからね。ジョン・ジョーンズくらい圧倒的に強ければ、そんなことは考えないでいいんでしょうけど(笑)、僕みたいに自分より強い相手とギリギリの勝負をして、ギリギリの価値を拾うような戦い方をする選手は今話したようなことを絶対に必要だと思います」

――ここで話を戻すと黒星はついてしまいましたが、確実に平良選手は強くなって戻ってきてくれると思いますし、次戦が楽しみですね。

「ランキング的にはカイ・カラフランスがスティーブ・アーセグに勝って、次の相手はその辺りの選手になってくるのかなと。平良選手がタイトルマッチ付近にいることは間違いないので、ここから勝ちを重ねてタイトル挑戦につなげてほしいなと思います。あともう一つ思ったことがあって、アレッシャンドリ・パントージャと朝倉海選手のタイトルマッチの発表がロイヴァルと平良選手の直前だったんですよ。僕は大会前か大会後になるとは聞いていたのですが、結果的には大会前の発表されていて。

 色々な事情もあったと思いますが、ロイヴァルと平良選手にとっては酷なタイミングではあったかなと思います。結果的に素晴らしい試合にはなりましたけど、あのタイミングの発表は選手のパフォーマンスに多少なりとも影響しかねないのかなと。UFCは選手ファーストの団体で、僕も契約期間中はそれをすごく感じていたのですが、選手が気持ちよく試合ができる状況を作った方がいい試合になる可能性が上がると思うので、発表ごとのタイミングにも気を遣ってもらえるといいなと思いました」

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45 MIKE MMA News o UFC   アレックス・モロノ コリー・マッケナ ジュリア・ポラストリ ダニエル・ロドリゲス パク・ジュンヨン ブラッド・タヴァレス ブランドン・ロイヴァル 平良達郎

『UFC Fight Night 244: Royval vs. Taira』スプリットデシジョンだった試合のジャッジの採点/主要サイトの採点



Brandon Royval defeats Tatsuro Taira(MMA Decisions)

 ブランドン・ロイヴァル vs. 平良達郎のジャッジの採点。Sal D'Amatoが1,2,4R平良、3,5Rロイヴァルで47-48平良勝利。Chris LeeとRon McCarthyが1,3,5Rロイヴァル、2,4R平良で48-47ロイヴァル勝利でした。

 主要サイトの採点は16人全員が48-47ロイヴァル支持でした。


Jun Yong Park defeats Brad Tavares(MMA Decisions)

 パク・ジュンヨン vs. ブラッド・タヴァレスのジャッジの採点。Mike BellとEric Colonが1Rタヴァレス、2,3Rパクで29-28パク勝利。Junichiro Kamijoが1,2Rタヴァレス、3Rパクで28-29タヴァレス勝利でした。

 主要サイトの採点は9人全員が29-28パク支持でした。


Daniel Rodriguez defeats Alex Morono(MMA Decisions)

 ダニエル・ロドリゲス vs. アレックス・モロノのジャッジの採点。Mike BellとAdalaide Byrdが1Rモロノ、2,3Rロドリゲスで29-28ロドリゲス勝利。Sal D'Amatoが1,2Rモロノ、3Rロドリゲスで28-29モロノ勝利でした。

 主要サイトの採点は29-28ロドリゲス支持4人、28-29モロノ支持3人でした。


Julia Polastri defeats Cory McKenna(MMA Decisions)

 ジュリア・ポラストリ vs. コリー・マッケナのジャッジの採点。Adalaide Byrdが1,2Rポラストリ、3Rマッケナで29-28ポラストリ勝利。Sal D'Amatoが1Rポラストリ、2,3Rマッケナで28-29マッケナ勝利。Ron McCarthyがフルマークでポラストリで30-27ポラストリ勝利でした。

 主要サイトの採点は30-27ポラストリ支持3人、29-28ポラストリ支持3人でした。続きを読む・・・
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45 AB F1 MMA o ONE UFC UFC Fight Night   ブランドン・ロイヴァル 平良達郎

『UFC Fight Night 244: Royval vs. Taira』ブランドン・ロイヴァル vs. 平良達郎を見たファイター・関係者の反応

UFC Ultimate Fighting Championship Logo Promo Pin UFC


 『UFC Fight Night 244: Royval vs. Taira』ブランドン・ロイヴァル vs. 平良達郎を見たファイター・関係者のSNSでの反応。続きを読む・・・
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45 AB F1 o UFC UFC Fight Night   クレイトン・カーペンター ブランドン・ロイヴァル ラマザン・テミロフ 平良達郎

『UFC Fight Night 244: Royval vs. Taira』パフォーマンスボーナス

達人が教えるWebパフォーマンスチューニング ~ISUCONから学ぶ高速化の実践 [ 藤原 俊一郎 ]



 UFCが『UFC Fight Night 244: Royval vs. Taira』のパフォーマンスボーナスを発表。

▼ファイト・オブ・ザ・ナイト
・ブランドン・ロイヴァル vs. 平良達郎

▼パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト
・ラマザン・テミロフ、クレイトン・カーペンター


 4選手には各5万ドルのボーナス。続きを読む・・・
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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN244   ブランドン・ロイヴァル 平良達郎

【UFN244】3Rと5RだけでもMMA史に残る大激闘の末──平良達郎、ロイヴァルに1-2で半歩及ばず

<フライ級/5分5R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
平良達郎(日本)

サウスポーのロイヴァルに対し、平良は左ハイをかわして距離を詰める仕草を見せる。蹴りだけでなくジャブも見えている平良は、左ミドルをキャッチしてシングルレッグへ。ギロチンを組ませず、ケージに押し込むも自らリリースする。平良は左に右をカウンターで合わせ、左ミドルをブロックして右インローを蹴る。ハイを多用するロイヴァルは、平良の状態を起こさせる作戦か。

平良の右に、今度はロイヴァルが左を合わせ、左ミドルへ。左ストレートをクリーンヒットされた平良は、まっすぐ下がりたいくない。ステップインにパンチを合わせに行くロイヴァルが、ミドルからスピニングバックフィストを繰り出す。さらに左ハイから左ストレートのコンビを見せたロイヴァルだが、平良は右を合わせると細かいパンチを纏めてダブルレッグでテイクダウン。ロイヴァルが内掛けで足関を狙い、足を抜いた平良に組み直させず初回を終えた。

2R、左の蹴りに右、そしてワンツーを繰り出した平良。続いて右を当てると、ヒザ蹴りにボディロックからバックを取る。ケージを蹴ってグラウンドに持ち込んだ平良は、ボディトライアングルを完成させる。腰をずらしにかかるロイヴァルに対し、殴ってオタツで捻りつつバックを取り切った平良。ロイヴァルは正座状態のとなり、リストをとって懸命に防御する。ロールも潰し、ネルソンで前方に落とされるのを防ぎロイヴァルを捻る平良が左腕で絞めにかかる。

ロイヴァルも巧みな防御を見せるが、平良はマウントに移行する。暴れて潜ったロイヴァルのシングルにも平良はバックに回る。ここでロイヴァルは引き込み、背中をつける。足関からのスクランブルに、平良は背中をドンと押して間合い取り直す力強さを見せた。

3R、右目の下が大きく腫れたロイヴァル。平良は左から右を振るう。さらにジャブを当てると、左に道を合わせようとする。右を振るってダブルレッグの平良に、ロイヴァルがヒザを当て、組まれてもエルボーを落とす。さらにヒザを見せたロイヴァルが離れると、左を当てる。ヒジがやや効いたか、やや動が少なくなった平良にロイヴァルがンヒアリを当てパンチを纏める。

動きが落ちた平良はテイクダウン狙いも、逆に倒されシングルを切られる。組みに行った平良にヒザを入れたロイヴァルは動きが止まった平良からバックを取ると時間を置くことなく腕十字に。これが幸いし、腕を抜いた平良は三角に移行させず担ぎパス。スンランブルでバックに回るとボディトライアングルに。平良はRNCをセット。30秒、絞め続けるもロイヴァルが逃げ切った。

4R、ここまで2つのラウンドを落としている平良だが、ポイントよりも問題はスタミナとダメージの蓄積だ。圧をかけるロイヴァルに対し、平良が左ジャブを当てる。さらに右を伸ばした平良は、左を受けても下がらずシングルからボディロック、バックに。ケージを使わせずテイクダウンを奪った平良は足のフックを嫌がるロイヴァルから、しっかりと四の字フックに入る。前方に落としたいロイヴァルは、ここも正座。前転するようにグラウンドに戻り、平良はボディトライアングルを続けRNCの機会を伺う。パンチに転じた平良は半身、仰向けと動こうとするロイヴァルを制してエルボーを打ちつける。

後方からエルボーを入れ、ロイヴァルの前転を潰して背中を伸ばさせた平良は肩固めへ。ここからRNCに移行できる鉄壁のポジション&コントロールを続けた平良は、ロイヴァルの左腕もフックし、絞めを伺う。最後は足を戻し、ディープハーフからシングルを狙ったロイヴァルも決して諦めない気持ちの強さを見せ続けた。

イーブンで迎えた最終回、勢いは平良にあると思いたい──が、一発のジャブ、ヒザで流れは変わる。左を伸ばすロイヴァル、ジャブからワンツーの左を入れる。平良はテイクダウンのフェイクから右ハイ。さらに組みに行くと見せた平良が右を当てると、ロイヴァルが左を打ち込む。ロイヴァルが左、平良もジャブを当てる。スタンド戦から平良が右を再度当ててテイクダダウン!!  バックを取られるの嫌がったロイヴァルが背中をつけ平良は、上四方で抑える。と、ロイヴァルがレッスルアップからダブルレッグで上を取りにかかる。バックを譲って立ち上がった平良は、スラムダウンにも胸を合わせて離れる。

勝負の残り2分、左を当てて前に出るロイヴァルがワンツー。平良のジャブに左を合わせる。平良はシングルに出るが、倒せない。離れたロイヴァルがヒザ、平良も右を打ち込む。ロイヴァルがスピニングバックフィストを空振りし尻もちをつくが、直ぐに立ち上がる。平良のテイクダウン狙いにギロチンをセットしたロイヴァルが、後方に回転してマウントへ。背中を見せた平良を捕えたロイヴァルはRNCからパンチに転じ、またも腕十字へ。ここは3Rと違い腹ばいの平良の動きを止め、タイムアップに。

年間ベストバウト級のファイト、大会場のメインでもおかしくない激闘&最高のMMAは──2-1でロイヴァルを凱歌があがった。目頭を押さえた平良を抱きしめ、声を掛けたロイヴァルは「こんなにハードな試合にしたくなかった。接戦になるとは思っていたけど。タイラ、コロラドに来たら求めることは全て応じる。タイラ、ブラザー、お前はきっとチャンピオンになる」と話し、3Rと5Rは凄まじい戦いだったとマイケル・ビスピンに振られると「あんな風になるとは。最初の2分はどうなるかと。次? トップ5の全てに勝っている。次はタイトルショットだ。カイ・アサクラ、俺は日本へ行く。パントージャ、俺はブラジルに行く。次はタイトルショット、そのための交渉しかしない」とFワードを連発した。

キャリア初黒星の平良。勝機もあった。最高レベルの戦いで勝つための課題も見えた。ワールドクラスの実力を示したうえでのスプリット判定負け、胸を張り、顔を上げて明日を迎えて欲しい。


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45 AB MMA MMAPLANET o RIZIN strikeforce UFC UFC310 YouTube アレッシャンドリ・パントージャ ケビン・チャン シャクハト・ラクモノフ ショーン・オマリー デメトリウス・ジョンソン ブランドン・ロイヴァル ベラル・モハメッド リズ・カモーシェ ロクサン・モダフェリ ローズ・ナマジュナス 堀口恭司 宇野薫 平良達郎 朝倉海

【UFC310】朝倉海のUFC初戦=パントージャ戦=世界フライ級王座挑戦が、正式発表。破格のデビュー戦

【写真】朝倉海のUFCデビューが決定。大手・電気通信会社が後押しするという話もある2025年のUFC日本大会、ついに実現に向かうのか(C)Zuffa/UFC

12日(土・現地時間)に12月7日(土・同)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC310で朝倉海が、UFCデビュー戦でアレッシャンドリ・パントージャの持つUFC世界フライ級王座に挑戦することが発表されている。
text by Manabu Takashima

6月のUFC挑戦宣言以来、ついに朝倉のオクタゴンデビューが世界王座挑戦という形で実現することが正式発表された。RIZINのリングでUFC挑戦を宣言した直後に朝倉は当時のバンタム級王者ショーン・オマリーへの挑戦を匂わせる発言をしていたが、Fight&Life誌の表紙を飾ったポートレイト撮影時に、「バンタム級としては、小さいです」という言葉が聞かれていた。

撮影後のインタビューでは「アッと驚くデビュー戦になる」とも話していた朝倉だが、恐らくはこの時点からパントージャへの挑戦という話が存在していたか、方向性を持っていたに違いない。

奇しくも一戦、一戦と実績を積んできた平良達郎がUFC世界フライ級1位のブランドン・ロイヴァル戦を戦う日に朝倉の王座挑戦が明らかとなったわけだが、THE BLACKBELT JAPAN陣営では日本時間の9月11日には「恐らくは」という状況で、朝倉の挑戦の話が届いており、平良はそこを受け止めてのロイヴァル戦で精神的な動揺はないと想像される。


ともあれ日本人ファイターのUFC初戦でタイトルショットは2001年2月の宇野薫(バンタム級王座決定戦=ジェンス・パルバー戦)、翌2002年3月の桜井マッハ速人(UFC世界ウェルター級王者マット・ヒューズに挑戦)以来、22年9カ月振り。日本人ファイターのUFC世界タイトル挑戦は2015年4月に堀口恭司がデメトリウス・ジョンソンにチャレンジして以来、9年8カ月振りとなる。

Zuffa体制序盤は2001年2月にジル・カスティーリョが、UFC世界ミドル級王者デイブ・メネーに挑戦した一戦や2003年11月にWFAウェルター級王者だったフランク・トリッグが、マット・ヒューズの持つウェルター級のベルトに挑むなど、初オクタゴンが世界戦という例は見られた。

さらに女子では2013年2月にStrikeforce世界バンタム級王者ロンダ・ロウジーがUFC女子世界バンタム級王者に認定され、初防衛戦の相手リズ・カモーシェが挑戦者という立場で初めてオクタゴンに足を踏み入れている。

2017年12月にTUF26決勝が初代UFC世界女子フライ級と女子ストロー級王座決定戦だったためニコ・モンターニョとロクサン・モダフェリ、カーラ・エルパルザとローズ・ナマジュナスも初戦でタイトル戦を経験している。とはいえ、近年は朝倉のようなデビューは異例中の異例だろう。

UFCアジアをリードするケビン・チャンは、今回の朝倉の挑戦に対し「我々のマッチメイカーがカイ・アサクラを即タイトル戦に起用したのは過去3年、日本から質の高いトップレベルファイターたちが生まれていたからだ。タツロウ・タイラ、リンヤ・ナカムラ、レイ・ツルヤらは、日本のMMAに再び黄金期が訪れることを示唆している」とプレスリリースにコメントを寄せている。

UFC310のメインはUFC世界ウェルター級王者ベラル・モハメッドにカザフスタン人ファイターのシャクハト・ラクモノフが挑戦する。東と中央の違いはあれど、アジア人ファイターが同日に頂点に挑む。そんなUFCにとっても歴史的なイベントでデビュー、そしてタイトル挑戦を迎える朝倉海のコメントは以下の通りだ。

朝倉海
「UFCフライ級を盛り上げるためにやってきました。12月7日、日本時間では8日(日)にラスベガスのT-Mobileアリーナで開催されるUFC 310でフライ級王者のアレシャンドレ・パントージャ選手と戦うことが決まりました。デビュー戦がタイトルマッチということで、不利だという声も多いかとは思いますが、必ず勝って、UFC初の日本人チャンピオンになりたいと思います。そして、UFCファンの皆さんに今まで見たことのないエキサイティングな試合をお見せすることを約束します。楽しみにしてください!」

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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN244 キック クレイトン・カーペンター ブランドン・ロイヴァル ルカス・ホシャ 平良達郎

【UFN244】フライ級の新鋭カーペンター、ホシャにRNCで一本勝ち。デビューから無傷の8連勝

<フライ級/5分3R>
クレイトン・カーペンター(米国)
Def.2R2分12秒by RNC
ルカス・ホシャ(ブラジル)

すぐにホシャがプレッシャーをかけていく。カーペンターは右ストレートと左フックを返す。ホシャもジャブと右ストレート、右ストレートと右ボディにつなげる。カーペンターが右カーフを蹴ると、ホシャは左フックで飛び込む。カーペンターは右カーフを蹴りつつ、接近してパンチを顔とボディに打ち分ける。ホシャは細かくジャブを突いてスピニングバックキック、右ハイ、ジャブから右ボディにつなげる。

カーペンターはホシャの右にダブルレッグを合わせてテイクダウンを奪うと、足を利かせようとするホシャを寝かせる。カーペンターはヒジを落とし、ホシャの右足を超えてハーフガードでトップキープする。ホシャも足を戻してカーペンターの体を浮かせて身体を起こすと、カーペンターはがぶってコントロールしてダースチョーク→バックを狙い、カーペンターがホシャの左サイドに出る形でサイドポジションで抑え込む。ここからカーペンターはヒジを落としつつ、ホシャの足関節狙いをつぶしてトップキープを続けた。

2R、カーペンターはパンチで前進、ホシャの前足に左右のローを蹴る。カーペンタは構えをスイッチしながら前に出ると、ホシャが右ストレートを当てる。ここからホシャが打撃のプレッシャーをかけ、カーペンターのテイクダウンを切って右ストレートから左フック、スピニングバックキックと打撃の手数を増やす。

距離を取ったカーペンターは右ミドルを続けて蹴って、ホシャのジャブにダブルレッグを合わせてテイクダウンする。カーペンターは腰を切って立とうとするホシャのバックにつくとRNCを狙いつつ、パーム・トゥ・パームで絞める。最後は両腕を組んでRNCでホシャを絞め落とした。メインインベントでフライ級の平良達郎とブランドン・ロイヴァルが戦う今大会、同階級の新鋭カーペンターが一本勝ちでプロ戦績を8戦8勝とした。


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45 CJ・ヴェルガラ KTT MMA MMAPLANET o RIZIN UFC UFN UFN244 WWE YouTube アレックス・モロノ アンドレ・ムニス クレイトン・カーペンター グランド・ドーソン コリー・マッケナ ジャレッド・グッデン ジュニオール・タファ ジュリア・ポラストリ ジョナサン・ピアース ダニエル・アルゲータ チョン・ダウン テンバ・ゴリンボ ニコ・プライス パク・ジュンヨン ブラッド・タヴァレス ブランドン・ロイヴァル ラファ・ガルシア ラマザン・テミロフ ルカス・ホシャ 佐藤天 岡見勇信 平良達郎 征矢貴 朝倉海 浜本キャット雄大

【UFN244】平良×ロイヴァル戦前にパク・ジュンヨン、ラマザン・テミロフ、脱極貧ゴリンボに注目!!

【写真】平良がメイン、そんな大会だからこそUFCが堪能できれば (C)Zuffa/UFC

12日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN244:UFN on ESPN+102「Royval vs Taira」の計量が11日(金・同)に行われている。
text by Takumi Nakamura

メインで平良達郎がランク1位のブランドン・ロイヴァルとフライ級王座挑戦王手をかけた大一番に挑む同大会。

両者とも問題なく計量を繰りした。日本から熱い視線を浴びる大会だけに、ここでは他の選手にもスポットを当ててみたい。


平良とメイン&コメインでアジアン・パワーを見せつけたいのが、韓国のパク・ジュンヨンだ。岡見勇信以来となるミドル級で結果を残すアジア人のパク・ジュンヨンは、ここまでオクタゴンで7勝3敗、勝率7割という結果を残している。

KTTの盟友チョン・ダウンがライトヘビー級で4連勝し漢江の奇跡と呼ばれていたが、その後は4連敗とリリースが噂されるなか、パク・ジュンヨンは昨年12月にアンドレ・ムニス戦でスプリット判定負けを喫して以来の再起戦となる。

アイアンタートルの異名を持つパク・ジュンヨンは、愛嬌のある表情の持ち主で、ずんぐりとした体型とややスピード感に欠けることが隠れ蓑になっているが、その実――近い距離の打撃戦、ケージ際の攻防で気持ちの強さを見せるファイターだ。

特に瞬間、瞬間のスピードがあり、パンチも組みもリズムを変えることができる。半面、瞬発力を見せる前で間合いを制されると厳しい展開となる。打と組みがクリーンなタヴァレスを相手に、変調ファイトの妙を発揮できるかが勝敗の鍵を握ってくるだろう。

朝倉海に先立ち、RIZINからUFCに戦場を移したラマザン・テミロフも当然のように注目に値する選手だ。RIZINのリングでは浜本キャット雄大、征矢貴を共に初回KO勝ちし大きなインパクトを残した。

RIZIN新フライ級時代で、台頭する中央アジア代表として活躍が期待されたテミロフがUFCでそのようなパフォーマンスを魅せるのかは非常に興味深い。特に対戦相手のCJ・ヴェルガラは平良に敗れているが、UFC戦績が3勝3敗の五分でテミロフの力を測るスケールとしては最適の対戦相手となろう。今や中央アジアやロシア系の活躍には、常にジューサー疑惑の声が挙がるJ-MMA界。抜き打ち検査を行うUFCという場で、テミロフの打撃&組み力はいかほどのものか、非常に興味深い。

UFC初戦の敗北から、佐藤天戦でオクタゴン初勝利を挙げると3連勝中のテンバ・ゴリンボは、ケージで対戦相手と向き合うだけでなく、常に貧困と戦い続けてきたファイターだ。

母に続き、父を亡くしたゴリンボは13歳という年齢で違法ダイヤモンドを採掘することで生きながらえ、母国ジンバブエから違法で南アフリカ国境を越えたという日本人では考えられないタフな少年期を送っている。

結果として従弟を頼りにケープタウンにたどり着き、1日17時間労働という……さながら隷属的な雇用環境で命をつなぐと、19歳でMMAに出会ってUFCまで到達した。

それでも家族を母国から呼び寄せたことで、経済的には厳しく所属するMMAマスタージムで寝起きをする状態だったゴリンボは、SNSで銀行口座に7ドルしか残っていないことを公開した。

そんな経済状況にありながら、ファイトギアをオークションに出して母国に井戸を創る活動をしているゴリンボ。その姿を見て、元WWEのスーパースターで今や銀幕のスーパースターであるザ・ロックこと、ドゥエイン・ジョンソンの心を動かした。なっとザ・ロックはドッキリ企画でフロリダで一軒家をゴリンボにプレゼントしてしまう。

ザ・ロックにとって、この7ドルという数字は自らがフットボール・チームとの契約が解除された時の所持金と同じだったという。ザ・ロックが手を差し伸べたことで生活基盤を築き、UFCで連勝中と勢いに乗るゴリンボが、変則鉄槌ファイターのニック・ピレースと今大会で相対する。ここでピレース越えを果たすといよいよトップ15見えてくるが、果たして。

■視聴方法(予定)
10月13日(日・日本時間)
午前5 時00分~UFC FIGHT PASS
午前4時45分~U-NEXT

■UFCN244計量結果

<フライ級/5分5R>
ブランドン・ロイヴァル: 125.5ポンド(56.92キロ)
平良達郎: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
ブラッド・タヴァレス: 185ポンド(83.91キロ)
パク・ジュンヨン: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ウェルター級/5分3R>
チディ・ンジュグアニ: 170.5ポンド(77.34キロ)
ジャレッド・グッデン: 172.5ポンド(78.24キロ)

<ライト級/5分3R>
グランド・ドーソン: 156ポンド(70.76キロ)
ラファ・ガルシア: 154.5ポンド(70.08キロ)

<ウェルター級/5分3R>
デニエル・ロドリゲス: 170ポンド(77.11キロ)
アレックス・モロノ: 170ポンド(77.11キロ)

<フライ級/5分3R>
CJ・ヴェルガラ: 126ポンド(57.15キロ)
ラマザン・テミロフ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フェザー級/5分3R>
ジョナサン・ピアース: 145ポンド(65.77キロ)
パット・サバチーニ: 145ポンド(65.77キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニコ・プライス: 170.5ポンド(77.34キロ)
テンバ・ゴリンボ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジュニオール・タファ: 241ポンド(109.3キロ)
ショーン・シャラフ: 252ポンド(114.3キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
コリー・マッケナ: 115ポンド(52.16キロ)
ジュリア・ポラストリ: 115ポンド(52.16キロ)

<バンタム級/5分3R>
ダニエル・アルゲータ: 138.5ポンド(62.82キロ)
コディ・ハッドン: 135ポンド(61.24キロ)

<フライ級/5分3R>
クレイトン・カーペンター: 125.5ポンド(56.92キロ)
ルカス・ホシャ: 125.5ポンド(56.92キロ)

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【UFN244】王座を見据えたロイヴァル戦へ、平良達郎「1位のロイヴァルに圧勝して次の挑戦者は自分だと」

【写真】変わらずごくごく普通の受け答えで、自信が伝わってくる平良 (C)MMAPLANET

12日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN244:UFN on ESPN+102「Royval vs Taira」のメインイベントでUFCフライ級5位の平良達郎が同級1位のブランドン・ロイヴァルと対戦する。
text by Takumi Nakamura

6月のUFC ESPN58「Perez vs Taira」ではランキング5位のアレックス・ぺレスを対レスラー用の必殺技=スタンドでのオタツロックで下した平良。この勝利によりランキングを13位から5位に大きく上げ、今大会ではロイヴァルとの対戦が決まった。


松根さんはよく『達郎は自分を信じれば大丈夫だよ』と言ってくれる

――試合前のインタビューありがとうございます。今回はデンバーで合宿して、ラスベガスに移動するそうですね。

「はい。デンバーのフォージ・ファイト・クラブ(※旧エレベーション・ファイト・チーム)でファイトキャンプを張って、明日からラスベガスに移動します」

――対戦相手がロイヴァルに決まってなお、デンバーで合宿することになったのですね。

「いえ、前回のアレックス・ペレス戦の前からデンバーで練習するようになって、すごく手応えたがあったんですよね。コーチもみんな信頼を置ける人たちばかりで、前回の試合が終わった時、『また試合が決まったら来るね』という風に伝えていました」

――数多くのジムがあるなかで、なぜフォージ・ファイト・クラブを選んだのですか。

「まずデンバーとラスベガスが近いので移動しやすいということ。あとはいくつか米国のジムでも練習させてもらったんですけど、フォージ・ファイト・クラブのコーチたちが本当に親身になって、面倒を見てくれたんですよね。クラブのメンバーも地元選手もいれば、ジャスティン・ゲイジーのようなトップ選手もいて、なんて言うんですかね、歴史が見えるチームというか。チームの一体感がすごく好きなんですよ」

――平良選手のことを温かく迎え入れてくれたのですか。

「もちろん最初はゲストという感じで、全体練習に混ざるだけだったのですが、何度か練習に行かせてもらううちにコーチとマンツーマンの練習や対策練習が増えたり、チームメイトからアドバイスもらったり、『次の対戦相手はこうだから、スパーリングでこういうこと意識を持ってやろう!』みたいなことを話し合ったり。そうやってチーム全員で試合に向けて作っていく感じが新鮮で楽しかったですね」

――ペレス戦ではファイトキャンプの成果を感じる場面も多かったのですか。

「そうですね。あの時は試合だったんですけど、 いい意味でスパーリングの延長線みたいな感じだったんです。とにかく練習でやったことを試合に出そうという感じで動いていたのが前回の試合で、試合だから練習より研ぎ澄まされたところはあったんですけど、すごく冷静でいる自分がいて、プラン通りに組み立てられた試合でしたね」

――よく「練習を試合のように、試合を練習のようにやる」と言われますが、まさにその通りだったんですね。

「今回も3週間はデンバーでファイトキャンプを張って、最後の1週間はラスベガスで調整します。試合の4週間前に米国に入って、このスケジュールで追い込み&調整すると調子がいいというのを感じますね。以前は1週間前のファイトウィークに合わせて米国に入っていたんですけど、1週間しか時間がないと環境の変化に身体が追いつかないんですよ。ギリギリ時差が抜けるかどうかのタイミングで試合が来ちゃう、みたいな。でも4週間前に入ると身体も慣れて、いいコンディションで試合ができますね」

――今回も岡田遼選手がファイトキャンプに帯同、松根良太さんも試合前に一度デンバーまで練習を見に来たそうですね。

「岡田さんはキャンプの最初、行きの飛行機からずっと一緒なんです。あと母親も一緒に来てくれて、練習・生活面もサポートしてもらっています。松根さんにはキャンプの2週目に来てもらって、3日間の練習を見てもらいました。僕がデンバーでどういう練習しているかを実際に見てもらったことがなかったですし、最後ロイヴァル戦に向けてどういう練習をしてほしいかを打ち合わせして、ラスベガスで合流する形です」

――3日間とは言え松根さんと直接コミュニケーション取れたことは大きかったのではないですか。

「本当に大きかったですね、このタイミングで松根さんがデンバーまで来てくれたことで 一瞬も無駄な時間はなかったですし、それだけ松根さんも本気でこの試合に向き合ってくれてるということを感じました。改めてロイヴァル戦に気持ちが入りました。前回もリモートでトレーニング内容を報告してやりとりはしていたんですけど、松根さんはすごく心配性なんで、どのくらいのサイズの選手とどういう強度でスパーリングしているかを見てもらうことで米国と日本の距離を縮めることができたと思います」

――米国でのファイトキャンプが長くなると、良くも悪くも現地でのトレーニングや指導の影響が強くなる部分があると思います。松根さんにはそこを調整してもらうイメージでしょうか。

「松根さんはよく『達郎は自分を信じれば大丈夫だよ』と言ってくれるんですね。前回もペレスはテイクダウンディフェンスが強いので、僕は『テイクダウンに行くのは躊躇しますね』みたいな感じだったのが、松根さんはずっと『自信を持ってテイクダウンを取りに行こう』と言っていて。試合でも1Rが終わった後のインターバルに同じことを言われて、それで2Rにテイクダウンを取りに行ったら実際にテイクダウンすることが出来ました。松根さんは昔から僕に自分の核を見失わないように、背中を押してくれる存在ですね」

――それは心強いですね。岡田選手は松根さんとは違う形でサポートしてくれていますか。

「岡田さんは僕より英語が上手くなっているし、コーチを交えて話をするときに細かい部分を日本語で共有できるのが大きいです。英語が話せる通訳とMMAのことが分かる通訳だったら、細かいニュアンスの伝え方に違いがあると思うんですよ。コーチからアドバイスされたことを僕が間違って捉えないように、一緒に身体を動かしてくれる岡田さんとすり合わせられていますね」

一つに絞ってしまうと動きが固くなっちゃう

――今回はより万全な準備が出来ていることが伝わってきます。改めてロイヴァルの印象を聞かせてもらえますか。

「誰が相手でも手数が多くて止まらない、アグレッシブにいく印象ですね。その分、粗い部分というか、つけ入る隙がたくさんある選手なので、相手にペースに乗らず、慌てずにやる。僕だったらその隙をついて仕留められると思っているので、フィニッシュに繋げたいなと思っています」

――私もロイヴァルの試合映像を見て、常に自分からアタックし続けて、アタックの回数と動きの多さで相手を上回る。技術的な粗さや隙を攻め続けることでカバーしている印象です。

「いい意味でも悪い意味でも、我慢できない選手なのかなと思いますね」

――なるほど。落ち着いて試合を進めるよりも、動きたい・取りに行きたい気持ちが勝ってしまうタイプですね。

「だから僕的にはそこで上手く自分が有利になるような展開に持っていきたいですね。ロイヴァルの動きに騙されない、というか。こっちがいいところを取っていてもガチャガチャ動いてくると思うので、そこもしっかり頭に入れておいて、自分のペースで最初から最後まで試合を進める。向かい合った時にやりづらさを感じるかもしれませんが、(ロイヴァルは)こんな感じかというのを理解した上で、試合を進めていきたいなと思います」

――あとはロイヴァルの長身・リーチをどう攻略するかもポイントになると思います。

「長身の選手や手足の長い選手とスパーリングをやらせてもらって、最初はやりづらさもありましたけど、段々とアジャストしてきて打撃を当てるイメージもしっかり持てています」

――あとはベタな聞き方になってしまいますが、ペレス戦でのオタツロックのような決め技は容易していますか。

「結構色んな技は用意しています。あと『今回はどんな技で仕留めたいですか?』ってむちゃくちゃ聞かれるんですけど(笑)、色んなパターンを想像しているというか。僕自身は(動きやフィニッシュ)を一つに絞ってしまうと動きが固くなっちゃうんで、流れの中で打撃でも関節技でも絞め技でも、スタンドでもグラウンドでも色んなこと狙っていきます」

――ランキングでも1位のロイヴァルと5位の平良選手が5Rで対戦するとなれば、この試合の勝者が次期挑戦者に大きく近づくというメッセージもあるマッチメークだと思います。

「僕もこの試合が決まった時に、これに勝ったら次はタイトルマッチだなと感じましたし、UFC的にも期待があると思うんですよ。パントージャ、ロイヴァル、ブランドン・モレノでベルト争いする時代を変えてくれと。僕はそういう合図だと思っているので、ここで僕が1位のロイヴァルに圧勝して次の挑戦者は自分だということを見せたいです」

――平良選手は与えられた相手を一人ずつ倒してきて、タイトル挑戦が現実味を帯びてきました。これをクリアすればタイトルマッチだという前向きな捉え方をしていますか。

「そうですね。また会場がUFC APEXかよ!というのはありますけど(笑)、UFNのメインイベントで5分5Rですし、タイトル挑戦につなげるという意味では、大きなチャンスだと思います。判定に行くつもりはないですが、キツい試合になることも頭に入れているし、ロイヴァル戦はその次に繋がる試合だと思います」

――試合前にデンバーで大谷翔平選手の試合を見たそうですね。

「ちょうど一週間前にロサンゼルス・ドジャースがコロラド・ロッキーズと試合をして、生で大谷選手を見ることが出来たんですよ。僕ももともと野球をやっていたんで、めちゃめちゃ興奮しました。大谷選手を見た感想は米国の選手と並んでもデカいな、と。あとコロラドはドジャースからするとアウェーじゃないですか。でも大谷選手はコロラドでもとんでもない人気で、スタジアムには大谷選手のユニフォームを着た人がたくさんいるし、大谷選手が打席に立つとホーム・アウェー関係なく大盛り上がりなんですよ。世界のスターはこういうことなんだなというのを感じました」

――日本からも本当に多くのファンがこの試合を楽しみにしています。ファンの人たちにメッセージをいただけますか。

「前回の試合に勝ってタイトルマッチが見えてきて、どうすれば世界一の選手になれるかを考えてここまで過ごしてきました。ロイヴァル戦では次のチャンピオンは俺だぞということを示す試合をしたいし、そうする自信もあるので、今回の試合は本当に期待していてください」

■視聴方法(予定)
9月8日(日・日本時間)
午前5 時00分~UFC FIGHT PASS
午前4時45分~U-NEXT

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【DEEP121】瀧澤謙太とバンタム級王座決定戦、福田龍彌「判定基準のために戦略を変えたりはしません」

【写真】生き物として強くなるために沖縄で平良とセッション。平良にとってはブランドン・ロイヴァル戦に向けてサウスポー対策となる (C)RYUYA FUKUDA

16日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121で、福田龍彌が瀧澤謙太と空位の同バンタム級王座を争う。
Text by Shojiro Kameike

昨年5月にDEEPフライ級GPを制し、フライ級暫定王者となった福田(その後、正規王者に昇格)。RIZINとNAIZA FC出場を経て今年からバンタム級に転向する。3月初戦で雅駿介をKOした福田は、続く5月には元谷友貴と対戦予定だったが、福田の負傷により注目の一戦は中止となった。改めて2階級制覇をかけて臨む瀧澤戦に向け、福田にこの約4カ月間のことを訊いた(※取材は8月26日に行われた)。


試合まで京都で練習するか。沖縄に来て達郎と良いセッションして日々を過ごすのか。どちらのほうが9月16日までに自分が強くなるかと考えた時に――もちろん沖縄やと

――本日はよろしくお願いします。……いつものご自宅とは違う風景ですね。

「今、沖縄に来ているんですよ。9日間、マンスリーマンションみたいなのを借りています」

――沖縄というのは、平良達郎選手との練習でしょうか。

「そうです。ホンマに良いセッションができていて、メチャクチャ濃い時間を過ごせていますよ」

――全国的に今年の夏は猛暑に見舞われていますが、沖縄の気候はいかがですか。

「暑いけど、京都も暑いですからね。前に来たのは冬やったけど『こんなに暑いんや』という感じで、暑さ慣れしてへんかったのでバテちゃったんですよ。だから今回は夏の沖縄を想定して、京都でも暑い時間に走ったりしていました。だから今回はバッチリです」

――沖縄で練習するための準備に時間を割く。平良達郎選手との練習には、それだけの意味と価値があるわけですね。

「はい。9月16日の試合まで京都で練習するか。沖縄に来て達郎と良いセッションして日々を過ごすのか。どちらのほうが9月16日までに自分が強くなるかと考えた時に――もちろん沖縄やと思いました。

京都でやっているのは、いつでも戦えるように自分の質を上げること。それを外で他の人を相手に試す。沖縄で収穫したことは、また京都で整えて9月16日を迎える。ちょうど良いスケジュールになりました。9月16日には、結構強くなっていると思いますよ。良い準備はできています」

――今年5月には元谷友貴戦が予定されていましたが、肩鎖関節脱臼により福田選手は欠場となりました。この負傷は、いつごろ発覚したのでしょうか。

「試合の10日前ぐらいですね。タイのプーケットに行っていて、怪我で腕が上がらなくなったんですよ。でもタイは旧暦の正月で、病院がどこも空いていなかったんです。そのままタイで練習したあと試合の10日前に帰国して、日本で検査したら『これは絶対に無理です』と言われました。自分としては試合したかったけど、そもそも怪我したらアカンということを学びましたね」

――プロのファイターとしてメインに穴を空けると同時に、元谷選手と対戦する機会を失ったということに対して……。

「そのダブルですね。皆が楽しみにしてくれていた試合を飛ばしちゃいましたから……」

――欠場が判明した時は、何より福田選手が一番悔しかったと思います。体の調子と気持ちは、いつごろ戻ってきたのでしょうか。

「すぐ気持ちは切り替えました。次に試合をする時は、雅戦より良いインパクトを残すために。元谷戦を飛ばしてしまったことは、次の試合で取り返さないといけない。だから休んでいる暇はなかったですね。怪我した時やからできることに取り組んでいました。

この怪我をしていた間は『今の自分にはココが足りへんのやろうな』、『もっとココをやらなアカンな』ってずっと思っていたことに取り組んできたんですよ。それが今は良い感じでパチッとハマってきている感覚はあります。生き物として成長したと思いますよ」」

――怪我をした時だから取り組めること……フライ級の時よりも体つきが大きくなっていませんか。リモート画面で見えるだけでも、肩から二の腕の筋肉が以前と違うように見えます。

「あぁ、ホンマですか。それは嬉しい。この期間に頑張りました!やってきたことは形になりますね」

――フライ級とバンタム級で比較すると、練習や試合の時の動きは違いますか。

「殺傷能力が上がったと思います。フライ級まで落としていた頃は、いつもの僕じゃなかったです。なんか力がみなぎらない感じで、試合も自分が相手を捌くほうに回っていました。特にフライ級GPは連戦やったし大変で、ツライ時もありましたね。だからバンタム級のほうが、いつもMIBUROの皆が知っている僕なんです。試合でも伸び伸びやっていますね」

――試合で雅選手と向かい合った時、フライ級との差は感じなかったのでしょうか。

「的がデカい、メッチャ殴れそうって思いました」

――階級を上げると的がデカくなる! なかなか聞かれない意見です。

「アハハハ。たとえば本田良介選手のように、ああいう体格で頭を下げて来る選手は殴りづらかったですよ。攻撃も飛んできてくれたほうが、隙も大きくますからね。だから自分がちゃんとディフェンスしていれば、長い距離から飛んでくるのも決して悪いことだけではないです」

――先ほど「生き物として強くなる」という言葉がありました。最近はまたMMAの判定基準について話題になることが多いです。判定という制度があるかぎり判定基準は重要ですし、「そんなことよりもフィニッシュすれば良い」という意見は暴論に近い。ただ、まず生き物として強くなることが重要なのかと考えています。これも暴論かもしれませんが。

「アハハハ、なるほど。判定って要するに『時間内に決着がつかなかったから、どっちが強かったか決めてよ』と聞いているということじゃないですか。それだけ単純なことなんですよ。コントロールかダメージか、という印象もそうやけど、じゃあ『このコントロールは、受けたダメージより上回っているか』という印象は人によって違うわけで。

重要なのは強いと思わせること、ジャッジに強いと思ってもらえる試合を見せること。試合というのは、自分の強さが何かを表現する場所やと思うので。極論やけど、テイクダウンを切って殴り続けていたら、そっちのほうが強いと思われるじゃないですか」

――逆もまた然りですね。打撃を受けずに抑え込み続ければ、強いと思わせることができる。

「結局、殴って殴り返されていたら、相手にポイントがついても仕方ないんですよ。『判定基準を統一してほしい』という意見も分かります。でもその前に、プレイヤーとしてできることがあるんじゃないか。

誰が見ても『このラウンドは福田や』と思わせるように戦うには、どうすれば良いのか。僕は判定基準のために自分の戦略を変えたりはしません。自分は戦うことに特化してきた。それが生き物として強くなるということやと思います」

――そんなか復帰戦として瀧澤戦が決定しました。福田選手と瀧澤選手の対戦は、福田×元谷戦とはまた違う新鮮さを感じます。

「それがバンタム級転向の魅力ですよ。僕の立場でやっていると、フライ級のままではマンネリ化するじゃないですか。じゃあフライ級で次の挑戦者はって考えると……。僕は今もずっとフレッシュな気持ちでMMAを続けたいし、お客さんにもフレッシュな気持ちで試合を観てほしいから。これからDEEPでRIZINに出ている選手を倒していくことになるかもしれないですね」

自分で食べ物を確保できるスキルを備えておきたい、自分で処理して自分で食べたい

――7月の瀧澤×CORO戦はご覧になりましたか。

「……まだ視ていないんですよ。前に元谷選手と対戦した試合(2021年9月、瀧澤がKO勝ち)は視ました。元谷選手の過去の試合をチェックしている時に、瀧澤戦を視ていて。変わった動きをする選手だなぁってイメージですね。ここ最近、まあまあ忙しくて。狩猟免許の勉強もしながら、あんまり余裕がなかったんですよ(苦笑)」

――そういえば狩猟免許の勉強をされていたのですね。

「おかげさまで試験にも合格しました。ジビエって一頭で、自然で動き回っている新鮮なお肉が20~30キロ取れるんです。僕は自分で食べ物を確保できるスキルを、生き物として備えておきたくて」

――狩猟免許を取得したのは、強くなるためにジビエ肉を食したいということですか。

「そういうわけではないんですよね。お肉を買うことって普通みたいになっているけど、決してそうじゃない。自分で食べ物を確保できるスキルを備えておきたい、自分で処理して自分で食べたい。そういう気持ちはもともと持っていました。だから目指しているのは、渓流釣りと狩猟の自産自消ですね。

そういう自分の理想の人生設計のためのスキルを身に着けるためには、今のうちに始めておかなアカンと思って。全ては繋がっているんですよ。今こうして達郎と練習していることも、9月16日に試合をすることも。全部含めて――父親としても、人としても、ファイターとしても強くなる日々を送ってきました。一切ダレていないし、血眼になってやってきました。そういう意味でホンマに早く戦いたいですね。楽しみにしていてください」

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