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45 AB Combate Global CORO DEEP DEEP123 GINJI MMA MMAPLANET o ONE Road to UFC UFC YouTube   ピョートル・ヤン マリオ・バウティスタ 中務修良 宇佐美正パトリック 小崎連 山田聖真 本田良介 神田コウヤ 芦田崇宏 西川大和 越智晴雄 関原翔 青井人 高橋遼伍 魚井フルスイング

【DEEP123】ソン・ジンスが65カ月振りの復帰。西川✖パト+本田×関原+小崎連&青井等→3回戦が8試合!!! 

【写真】あの強さが健在なら、即タイトル戦線=ソン・ジンス (C)DEEP

25日(金)、DEEPより12月8日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP123 IMPACTの対戦カードが発表され──これがニューピア大会かと思うほど、面子が揃いDEEPの好調さが堅持されていることが伺えるラインナップとなっている。
Text by Manabu Takashima

まずフェザー級チャンピオン青井人が、Combate Global帰りの芦田崇宏をノンタイトルで迎え撃つ。3月の王座奪取以来、青井の9カ月ぶりのファイトは現在MMAで3連敗中のベテランとの対戦に。芦田としては2年と40日ぶりの勝利を挙げて、2024年の最後に大まくりを狙うファイトとなった。

そしてバンタム級では元王者でUFCにステップアップ、リリース後は学業に集中していたソン・ジンスが実に5年5カ月ぶりに実戦復帰を果たしCOROと戦う。UFCでは2敗という結果に終わったもののピョートル・ヤン、マリオ・バウティスタとの激闘はいずれもファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得しているソン・ジンス。

20日のRING Championshipが実施したアマ大会で、チームメイトのセコンドに就く姿が確認されており、相当に体が大きかった。減量も含め実戦の勘という部分をどれだけ取り戻せることができるのかが、大きくパフォーマンスに影響するだろう。


さらにライト級で西川大和と宇佐美正パトリックが、DEEP初参戦同士ながらタイトルに大きく関係してくること間違いない一騎打ちを行うことに。パトとしては真っ向勝負、西川はそれを受け止めて打撃でいくのか、引き込み上等の西川ワールドを2年3カ月振りの国内でのファイトで披露するのか。非常に興味深いマッチアップだ。

フライ級にはタイガームエタイ所属の本田良介が、昨年のフライ級GP決勝以来の国内復帰戦へ。ONE FFで中央アジアやロシアの圧を知った経験を──MMA復帰後、スタイルチェンジを果たした関原翔を相手に見せつけることができるか。一発の極めを身に着けた関原もベルトを狙うためにも、最高の相手に挑むことになる。

さらには9月大会でDEEP初陣を飾った中務修良が、チャンピオン越智晴雄とノンタイトルで戦うストロー級の一戦。バンタム級でRoad to UFC帰りの小崎連が、魚井フルスイングと。高橋遼伍もGINJIを相手にDEEPでデビューを飾り、神田コウヤはライト級で山田聖真と仕切り直しへ。

実に3回戦が8試合「1、2、3、DEEP!!」という佐伯さんの掛け声が聞こえてきそうな──特別仕様のDEEP123@ニューピアホール大会だ。

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AB ACA F1 o UFC UFC Fight Night   アロンゾ・メニフィールド アンジェラ・ヒル カーロス・アルバーグ ジャン・ウェイリ ジョニー・ウォーカー ソン・ケナン ソン・ヤードン デイヴィソン・フィゲイレド ピョートル・ヤン マルロン・ヴェラ ムスリム・サリコフ

11.23 UFCマカオ大会のメインイベントはピョートル・ヤン vs. デイヴィソン・フィゲイレド/その他オーズデミア vs. アルバーグ等4カードも発表

D09 地球の歩き方 香港 マカオ 深セン 2024~2025


 UFCが11月23日に中国・マカオで開催する『UFC Fight Night 248』のメインイベントがピョートル・ヤン vs. デイヴィソン・フィゲイレドのバンタム級マッチを行うことを発表。

 ヤンは3月の『UFC 299: O'Malley vs. Vera 2』でソン・ヤードンに判定勝ちして以来の試合。現在UFCバンタム級ランキング3位。フィゲイレドは8月の『UFC on ABC 7: Sandhagen vs. Nurmagomedov』でマルロン・ヴェラに判定勝ちして以来の試合で3連勝中。現在UFCバンタム級ランキング5位。


 他にも同大会ではヤン・シャオナン vs. タバサ・リッチの女子ストロー級マッチ、ヴォルカン・オーズデミア vs. カーロス・アルバーグのライトヘビー級マッチ、ソン・ケナン vs. ムスリム・サリコフのウェルター級マッチ、ワン・ツォン vs. ガブリエラ・フェルナンデスの女子フライ級マッチも合わせて発表されています。

 ヤンは4月の『UFC 300: Pereira vs. Hill』でジャン・ウェイリの女子ストロー級王座に挑戦し判定負けして以来の試合。現在UFC女子ストロー級ランキング2位。リッチは8月の『UFC on ESPN 62: Cannonier vs. Borralho』でアンジェラ・ヒルに判定勝ちして以来の試合で2連勝中。現在UFC女子ストロー級ランキング9位。

 オーズデミアは6月の『UFC on ABC 6: Whittaker vs. Aliskerov』でジョニー・ウォーカーに1R KO勝ちして以来の試合で2連勝中。現在UFCライトヘビー級ランキング6位。アルバーグは5月の『UFC on ESPN 56: Lewis vs. Nascimento』でアロンゾ・メニフィールドに1R KO勝ちして以来の試合で6連勝中。現在UFCライトヘビー級ランキング10位。

 ソンは8月の『UFC 305: Du Plessis vs. Adesanya』でリッキー・グレンに判定勝ちして以来の試合。サリコフは7月の『UFC on ESPN 59: Namajunas vs. Cortez』でサンチアゴ・ポンジニービオに判定勝ちして以来の試合。

 ワンは8月の『UFC on ESPN 62: Cannonier vs. Borralho』で行われたUFC本戦デビュー戦でヴィクトリア・レオナルドに1R KO勝ちして以来の試合でプロデビュー以来6連勝中。フェルナンデスは6月の『UFC on ESPN 58: Perez vs. Taira』でカルリ・ジュディスに判定勝ちして以来の試合。続きを読む・・・
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o キック ピョートル・ヤン マルロン・ヴェラ

UFC306:メインイベント・ショーン・オマリー vs. メラブ・ドバリシビリ

バンタム級タイトルマッチ5分5R。ドバリシビリ1位。

オマリーは2度目の防衛戦。王座獲得後、過去に唯一敗れているマルロン・ヴェラ相手に防衛戦を行ったが、当時のヴェラは下位ランカーで、強豪を避けてオマリーをプロテクトするためのマッチメイクという見方もされていた。ヴェラには勝ったものの、粘られて判定決着。本人が初戦はアクシデントにすぎなかったと主張するなら、圧倒するかフィニッシュして欲しかったところ。今回はかつて苦戦した(メディアやファンからは負けていたと言われていた)ピョートル・ヤンに完勝したドバリシビリという、オマリーにとっては過去最強の相手となるが、オッズではオマリーが僅差ながらフェイバリット。タイトルを奪ったスターリング戦での勝利は決して出会い頭やラッキーではなかったと評価されている。29歳。

ドバリシビリは現在10連勝中。連勝しても、フィニッシュに乏しいファイトスタイルから、なかなかチャンスが与えられなかったが、王座から陥落してもまだバンタム級最強のイメージが残っていたピョートル・ヤンに完勝。前戦は、元王者でレスリングフリースタイル五輪メダリストのセフードから5度もテイクダウンを奪い、終盤まで動きが落ちずに攻め続けて勝利。満を持してのタイトル挑戦となる。セフード戦では、メキシコ系アメリカ人のセフードがアメリカ人アピールをしてメキシコのファンの支持を失ったのに対し、ドバリシビリがメキシコの国旗を持ち、「メキシコの誇り」をアピールしたことで、メキシコのファンからの人気が高い(なお、ドバリシビリ自身は特にメキシコとの関わりはない)。33歳。

すぐプレスするオマリー。何か指さしてアピールするドバリシビリ。ハーブ・ディーン割って入るが何?わからないまま再開。距離を取るオマリー。ドバリシビリまだ間合いに入らない。オマリーがパンチを合わせていく。徐々に詰めて来たドバリシビリ。しかしステップしてパンチを入れるオマリー。ジャブから右ボディ。ドバリシビリバックステ府でかわすが、逆に自分の攻撃が当てられない。オマリー関節蹴り。ドバリシビリついにタックル。組んだ。ケージ際でスタンドバック。後方に倒した。オマリー立つがパンチを入れるドバリシビリ。スタンドバックをキープ。ヒザを入れていく。片膝をついて頭部へのヒザを防ぐオマリーだがパンチを入れたドバリシビリ。正対したオマリー。ドバリシビリ離れる。残り1分。ドバリシビリパンチからタックル。シングルレッグ。テイクダウン。首を抱えた。ギロチンで引き込んだが決まらず。立ったオマリー。離れる。ホーン。

1Rドバリシビリ。

2R。パンチを入れていくオマリー。距離を取る。追っていくドバリシビリ。オマリーの右に合わせてタックルに入ったドバリシビリ。テイクダウン!ガードを取ったオマリー。体を起こさずパンチを入れていくドバリシビリ。一度立ったドバリシビリだがすぐまたガードに入る。オマリーラバーガード。三角から腕十字に行くが、グローブを掴んでおりハーブ・ディーンが止めて注意を与える。オマリー寝た体勢から再開。足をサバいてパスを狙いつつパウンドを入れるドバリシビリ。一度亀になったオマリーだがまたガードに戻るとパスしてパウンドを入れるドバリシビリ。オマリー立てない。パウンドを入れ続けるドバリシビリ。亀になり膝を着いたオマリーにパンチを入れていくドバリシビリ。残りわずかでギロチンに抱えたドバリシビリだが、絞めには行かず。ドバリシビリ終了だと思ったのか背中を向けて離れる。オマリーが立ち上がりパンチを入れていくがホーン。

2Rドバリシビリ。

3R。ドバリシビリシングルレッグからタックル。ケージに押し込むとオマリーは自ら膝を着いてグラウンド膝を防ぐオマリー。しかしボディに膝をもらう。立って離れたオマリー。テンカオを出したオマリーだが、キャッチしてパンチを入れるドバリシビリ。シングルレッグを狙ったがオマリー今度は足に触らせない。パンチを入れるオマリー。またタックル。切ったオマリーだが、離れ際にパンチを入れたドバリシビリ。手が出ないオマリー。オマリーヒザ。ホーン。

3Rもドバリシビリか。

4R。ボディストレートを入れるオマリー。しかしプレスされ下がっていく。前に出るとドバリシビリはバックステップでかわす。ドバリシビリパンチからニータップ。かわしたオマリー。しかしドバリシビリすぐタックルで飛び込んでテイクダウン。ハーフで固めた。固めながら殴っていく。オマリーガードに戻そうとするが逆のハーフにしたドバリシビリ。ヒジを落としていく。鉄槌。半身になり立とうとするオマリー。バックから鉄槌を入れるドバリシビリ。オマリーが立つとスタンドバック。ヒザを着くオマリーだが、ドバリシビリはバックコントロールしながら打撃を入れていく。オマリーフックガードで浮かそうとするが、防いだドバリシビリがヒジを入れ首をまたギロチンに抱える。放してパンチを入れるドバリシビリ。残りわずかでパンチのラッシュ。オマリーも左を返したが空振り。ホーン。

4Rドバリシビリ。消耗しているオマリー。

5R。サイドステップするドバリシビリ。オマリーボディストレートを出したがバックステップでかわされる。ドバリシビリウイニングランか。ステップを続ける。ニータップで飛び込みテイクダウン。背中を向けたオマリーだが、またヒザを着いたままこらえるのみ。立って正対したオマリー。ドバリシビリ離れる。残り2分半。左を入れたオマリーだが、疲れが見える。前蹴り。ドバリシビリのシングルレッグを切ってパンチを入れたオマリー。前蹴り。腹を押さえたドバリシビリ。効いたのか?ステップで距離を取るところにオマリーバックスピンキック。さらにまた前蹴りがヒット。腹を押さえるドバリシビリ。残り1分。シングルレッグ。こらえて切ったオマリー。しかし残り1分。ドバリシビリサイドステップで逃げ切り狙い。会場は当然ブーイング。パンチ・ヒザを入れるオマリーだが残り10秒でシングルレッグ。テイクダウン。タイムアップ。

49-46、48-47×2の3-0でドバリシビリ勝利。勝者の名前がコールされる前に拍手で称えるオマリー。

新王者誕生。オマリーは効かせるのが遅すぎた。前蹴りで腹を効かせられたドバリシビリはもう時間を稼ぐだけで良かった。

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【UFC306】展望  チケット代250万円!! 史上最強のワンオフ大会メイン=世界バンタム級選手権試合を読む

【写真】これぞ、どちらが自分を通し切る我儘さを貫けるか──という一戦だ (C)MMAPLANET & Zuffa/UFC

14日(土・現地時間)、ラスベガス近郊のパラダイスにあるスフィアにて、NOCHE UFC 306が行われる。昨年9月にオープンしたばかり、世界中で話題の地球上最大の球形建造物におけるUFCの記念すべき初興行のメインを飾るのは、王者ショーン・オマリーに、ランキング1位のマラブ・デヴァリシビリが挑戦するバンタム級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ラスベガスに出現した巨大な輝く地球儀の如きアリーナ=スフィアは、NYのマジソン・スクエア・ガーデン社により、合計23億ドル(3200億円以上)という桁外れの建築費をかけて作られたエンターテインメント施設だ。建物の外壁、内壁ともに最高解像度の巨大LEDスクリーンが全面に張り巡らされている。


前代未聞の興行のメインイベンターとしてUFCが選んだのが、バンタム級王者のショーン・オマリー

常に何らかの形でライトアップされているその姿は、外から見ても壮観極まりない。昨年11月に実に41年振りに行われたF1ラスベガスGPでは、F1のオーナー企業であるリバティ・メディアはストリートコースが、スフィアが所有する土地を使用するためにレース期間中はこの奇抜な建築物に使用料を支払い、その間スフィアは閉館していたという逸話を持つ。F1ファンなら記憶に残っているだろうが、世界最速マシンが走るワキをこの球体上の建物は常に同GPのスポンサーの映像を流し続けていた。

さらに20000人収容可能なアリーナ内部においては、全視界を覆うスクリーンによる視覚効果だけでなく、あらゆる場所に響き渡る最高品質の音響システムと、風や香り、はたまた触覚までも刺激する4D技術を駆使した演出が可能で、誰もが人生で味わったことがないような「没入型」の体験が提供されるとのことだ。

そんな斬新すぎる巨大アリーナにおける初のプロスポーツ興行として、世界のエンターテインメント業界から注目を集めている今大会。ダナ・ホワイト代表の力の入れようも尋常ではない。サウジアラビアのリヤドで毎年開催される世界最大級の観光アトラクション「リヤド・シーズン」を開催する総合エンタータインメント庁をパートナーに得て、2000万ドル(約28億円)以上の金額を演出に注ぎ込んだという。

「これは一度きりのイベントだ。もう二度とないよ。ここでスポーツイベントを敢行した者は存在しない。私は今まで誰もやったことがないことを成し遂げたいんだ。不可能だと言われているけど、だからこそ最高に魅力的だ。そもそもスフィアは映画やコンサート用のシアターであり、我々が普段使っている照明設備も使えない。(スフィア初イベントとして行われた)U2のコンサートより、はるかに複雑な照明を使うことになる(※ちなみにU2のこけら落としライブは9月29日を皮切りに週に2、3回の頻度で2月まで実施されたが、F1ウィークの前後は11月4日から12月11日まで休演となっていた)」

昨年もメキシコ独立記念日に合わせて、ベガスのT-MobileアリーナでNOCHE UFC(ノーチェは古くからあるスペイン語で「夜」の意味。つまり「UFCナイト」といったところか)を開催したUFCだが、今回の大会の正式名称は「リヤド・シーズン・ノーチェUFC」となる。

「この大会は、メキシコのファイトカルチャーに向けた私からのラブレターさ」ともホワイト代表は語っている。選手たちも特殊効果の撮影に駆り出されているようで、照明設備や壁全面を覆うスクリーンがどう用いられるのか、入場シーン等で果たしていかなるスペクタクルが展開されるのか、それだけでも見逃せない注目のイベントとなっている。

チケットの最高価格は約250万円、一番安価の席でも約32万円という超高額の設定で販売開始したチケットはさすがに即完売とはいかず、変動価格制によって現在チケット代は半額ほどに下がっている。ゲート収入の見込みも大幅に下方修正され、演出費を賄うのがやっとの2100万ドルあたりを予想しているという(もっともこの数字でも、これまでの最高ゲート収入──UFC 205における1770万ドル──を大きく上回ってはいる)。素人目には果たして採算が取れるのかと心配になってしまうが、プロスポーツの枠を超越したイベントを開くことで新たなファンの獲得も期待され、長期的に考えれば大きな利益につながるという算段のようだ。

この前代未聞の興行のメインイベンターとしてUFCが選んだのが、バンタム級王者のショーン・オマリーだ。2017年のコンテンダーシリーズ2にて衝撃的なKO勝ちを収めてUFCとの契約を得て以来──薬物検査失格による2年のブランクはあったものの──順調にKO勝ちを重ねてボーナスの山を積み上げスターダムに駆け上がった。

2022年10月のアブダビ大会において元王者ピョートル・ヤンとの大激闘を判定2-1で制したオマリーは、昨年8月には長期政権を築いていた王者アルジャメイン・ステーリングとの大一番へ。

(C)Zuffa/UFC

2R、ステーリングのテイクダウンを巧みに凌ぐと強引に前に出てきた王者に対して、下がりながら完璧なタイミングの右ストレート一閃。

倒れ込んだステーリングに鉄槌とパウンドの追撃を浴びせ、鮮烈なTKO勝利をもって戴冠を果たした。そして今年3月の初防衛戦の相手には、UFCで唯一敗戦を喫しているチートことマルロン・ヴェラを指名。

(C)Zufffa/UFC

5ラウンドを通して打撃で一方的に試合を支配して判定3-0で完勝し、コナー・マクレガー以来のスーパースターへの道を着実に歩んでいる。

対するマラブ・デヴァリシビリは、ここまで10連勝中。底知れぬスタミナを武器にテイクダウンを仕掛け続け、相手が何度立ち上がろうと前に出て組み伏せ続ける、他には真似のできない戦い方を身上とする。2年前、ベガスのシンジケートMMAにて修行中の朝倉海と出会って意気投合したことで、朝倉のYouTube動画を通してその親しみやすい性格を知るファンも多いだろう。

デヴァリシビリは長いことトップコンテンダーの座にありながらも、チームメイトのステーリングが王座に君臨してきたためタイトル挑戦表明をせずにいた。英語を母国語としないジョージア共和国出身ということもあり、白星を重ねながらもなかなか北米のカジュアルファン層から注目を集められずにいた。

実は本人はUFCで初勝利を挙げた6年前からオマリーとの対戦希望を口にしていたが、オマリーは一切反応せず。昨年5月には、ステーリングと睨み合うオマリーのジャケットを背後から取り、自ら着用してケージに登ってアピールするという直接行動に出たデヴァリシビリ。

が、それでもオマリーは「なんとも馬鹿げた行動だよな。あの時俺は、どこかの従業員がこっちの上着を脱がしてくれているのかと思ったから、そのまま渡したんだよ。あれがマラブだったなんて気付きもしなかった。まあ、奴はこれでファンに少しは知られるようになったかもな。俺のジャケットを着ることができた人間という、ただそれだけの理由でね」とまるで相手にしなかった。

オマリー戴冠=ステーリング陥落により、ついにチャンスが巡ってきたかに見えたデヴァリシビリだが、新王者は話題性と自分のリベンジを優先し、ヴェラを初防衛戦の相手に指名した。その先にはフェザー級王者のイリア・トプリアとの対決を希望し「まあマラブのように注目度の低い選手の優先度は、どうしても低くなるよな」と語っていたオマリー。

(C)Zuffa/UFC

が、デヴァリシビリが今年2月にヘンリー・セフードに完勝し流れは変わった。

この試合結果を受けて、オマリーは自らのYouTubeチャンネルにて「俺はみんながイリア戦を望んでいると思っていたんだ。でもファンは『お前はマラブから逃げている』とか『次はマラブと戦うべきだろ』とかうるさく言ってくる。いいだろう、次はマラブだ。チートを倒したらね。KOしてやるよ。奴の動きは雑だ。対して俺は正確無比。奴には速すぎるし鋭すぎる。失神させてやる」と宣言した。

そして翌月オマリーは予告通りヴェラに完勝し、今回のスーパーイベントでの両者のタイトルマッチが決定したのだった。圧倒的な人気を誇るオマリーに先を越されてしまっていたデヴァリシビリだが、ひたすら勝ち続けることで説得力を得てファンの声を動かし、ついに実力で挑戦権を勝ち取った形だ。

UFC最大のスターである現王者オマリーと、自他ともに認める最強挑戦者デヴァリシビリによる頂上決戦となるこの一戦。自らを「スナイパー(狙撃手)」と呼ぶ王者オマリーは、卓越したタイミングで瞬時に相手の顎を撃ち抜く左右の拳を持つ。対するデヴァリシビリは、常に前に出て手を出してはテイクダウンを仕掛ける恐るべきハイペースの戦いを、5R完遂してしまう底無しの体力の持ち主だ。

つまりこの試合の戦いの構図は、先々月のエドワーズ対モハメッドのウェルター級タイトル戦、先月のデュプレッシー対アデサニャのミドル級タイトル戦と同様──圧をかけ間合いを潰しグラップリングに持ち込みたい総合格闘家と、フットワークと打撃を駆使してその圧力を無効化したいストライカーによる凌ぎ合いということになる。

上述の二戦ではいずれも圧力をかけて組みに持ち込んだ側が勝利しているが、だからと言って必ずしも今回デヴァリシビリが有利ということにはならない。たとえば先日モハメッドは、巧みなスイッチと打撃を用いてエドワーズを金網側に追いやり、逃げ場を塞いでからテイクダウンを決めてみせた。しかし──同様に打撃を駆使して組みに持ち込むタイプではあっても──デヴァリシビリの戦い方はまた異なるものだ。

常にオーソドックスから思い切り良く踏み込んでパンチを放ってゆくデヴァリシビリ。打撃勝負上等の姿勢を見せておいて、その距離から上体を下げて(レベルチェンジして)シングルを取りにゆく。あるいはワンツー等で踏み込んだその勢いのままレベルチェンジして組みにゆく。

つまり、先日のモハメッドのように打撃で圧をかけ相手の逃げ場を封じてからテイクダウンに行くのではなく、デヴァリシビリはテイクダウンをまるで打撃のコンビネーションの一部であるかの如く放つ。そして、何回振り解かれようがそれを続け、やがて相手を呑み込んでしまうのが真骨頂だ。

無敵のデヴァリシビリ・スタイルがオマリー相手には命取りになる?!

(C)Zuffa/UFC

昨年3月のピョートル・ヤン戦では、5R中に何と48回テイクダウンに入るという前人未到のUFC記録を達成。

その上で判定3-0完勝している。

(C)Zuffa/UFC

これまで、このデヴァリシビリの「打撃の如くテイクダウンを放ち続ける」戦い方を止めることができた者は一人として存在しない。

上述のヤンやセフード以外にもジョゼ・アルドという元UFC世界チャンピオンが達がことごとくその軍門に下っている

しかし、まさにこのスタイルがオマリー相手には命取りになるのでは、という見方も成り立つ。たとえば同じバンタム級トップコンテンダーのコリー・サンドハーゲンは、この試合について「マラブは距離を詰めるのがすごく上手いわけではないよね。特に試合やラウンドの序盤はそうだ。それは本当にマズいことだと思う。なぜなら、ショーン・オマリーは距離を保つことにおいてベストの一人だから。同時に、相手が自分に距離に入って来ようとしたところで、酷い目に合わせることにおいても彼はベストだ」とオマリー有利を予想している。

オマリーのヘッドコーチのティム・ ウェルチも「マラブのように足を残してバランスを崩した状態で振り回してくる相手をKOするのは、ショーンには難しいことではないよ」と語っている。

実際、昨年8月にオマリーがステーリングを仕留めたのは、2R、打撃を放つステーリングが──デヴァリシビリがよくやるように──強引に体を伸ばして前に出てきた瞬間だった。卓越した距離感とタイミング、一撃必殺の左右の拳を持つスナイパー=オマリーが「まあマラブがレスリングで戦おうとしてこようが、打撃で戦おうとしてこようがどっちでもいいよ。早いうちに奴の顎を捕らえるよ」と自信を覗かせるのには確固たる根拠があるのだ。

が、その試合をステーリングのセコンドとして目の当たりにしたデヴァリシビリもまた、「オマリーは優れたフットワークとスピードの持ち主で、下がりながらのカウンターも打てて確かに危険だ。でも僕がやるべきはオマリーではなく、自分であることに集中すること。奴が勝つには僕をKOする必要がある。それさえ起きなければこの試合はこっちのものだ。スタミナには自信があるし、パンチもテイクダウンもある。防がれても構わない。今までいくらでも経験済みだ。殴られてもいい。僕はそれで目覚めるだけだ。今まで誰にもKOされたことがない。奴をブレイクする(心身を打ち砕く)よ」と揺るぎない自信を見せている。

他の追従を許さないスピードとフットワークに加え、体の微妙な動きを用いたフェイントの精妙さも天下一品、そして侵入者はたちまち撃ち落としてしまうオマリーの制空圏。そこにノンストップ・カーディオモンスターのデヴァリシビリがいかに侵入し、突破を試みるのか。一瞬たりとも見逃せない。

■視聴方法(予定)
9月15日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前8時00分~U-NEXT

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45 o UFC アレクサ・グラッソ キック ショーン・オマリー ジョシュア・ヴァン ピョートル・ヤン マルロン・モラエス ラウル・ロサスJr リッキー・シモン

UFC306:オッズ/予想と展望

ショーン・オマリー 1.77
メラブ・ドバリシビリ 2.10
アレクサ・グラッソ 1.74
ワレンチナ・シェフチェンコ 2.14
ブライアン・オルテガ 2.45
ディエゴ・ロペス 1.57
ダニエル・ゼルフーバー 1.43
エステバン・リボビクス 2.90
ロナウド・ロドリゲス 1.74
オデー・オズボーン 2.14
イレーネ・アルダナ 1.91
ノルマ・ドゥモン 1.91
マヌエル・トーレス 1.85
イグナシオ・バーモンデス 1.98
ジャスミンハウレギ 1.20
ケトレン・ソウザ 4.80
エドガル・チャイレス 2.90
ジョシュア・ヴァン 1.43
ラウル・ロサスJr. 1.12
アオリ・チロン 6.75

2年連続となるメキシコ独立記念日イベントで、メイン以外の全試合にメキシカンまたはメキシコ系アメリカ人ファイターが出場する。昨年オープンした新会場・スフィアでの初の開催(スフィアでのスポーツイベント開催自体が初)。会場の内壁がLEDスクリーンとなっており、通常のナンバーシリーズの制作費200万ドルに対し、10倍以上の予算をかけた演出がされるとのこと。

メインは王者オマリー2度目の防衛戦。UFCデビューからプロスペクトとして期待され、KO勝ちの山を築いてきたオマリー。当時ランキング11位、ランカー相手の勝利がないままランキング1位のピョートル・ヤン戦が組まれ、露骨にプッシュされているイメージがある中で、メディアもファンもほとんどがヤンの勝ちと見た内容でオマリーが判定勝ち。批判もされたが(オマリーには責任はないが)、これでランキング1位となり、昨年8月にスターリングの王座に挑戦。難攻不落の王者から左一発でダウンを奪い、パウンドでKOして王座を獲得した。そこに至る経緯には、周囲の力によるものという印象はあったものの、タイトル戦の勝ち方には文句のつけようがなかった。しかし、その後はNo.1コンテンダーであるドバリシビリではなく、過去に敗れている下位ランカーのヴェラを初防衛戦の相手に指名。判定勝ちしたが、事前の期待感を超えるものではなかった。今回は満を持してドバリシビリとの対戦が実現する。ここで勝てば、王者としての実力を疑うものはいなくなるだろう。

ドバリシビリはUFCデビューから2戦こそ力を出しきれずに敗れたが、そこから10連勝。10勝のうち、マルロン・モラエスのKO勝ちが唯一のフィニッシュで、唯一のボーナス獲得。ノンストップでテイクダウンしまくるスタイルで、立たれてもテイクダウンを繰り返し、相手を消耗させていく。テイクダウン66回は、UFCバンタム級では2位リッキー・シモンの43回を大きく上回る圧倒的トップ。オマリーが実質負けていたピョートル・ヤンにも完勝し、実績的には王座に挑戦することに問題はなかったが、当時の王者スターリングが同門のため対戦を拒否。ドバリシビリのタイトル挑戦が後回しにされたのは、それもあってのことかもしれない。

オッズは僅差だがオマリーがフェイバリット。10連勝中、劣勢な場面すら見せなかったドバリシビリだが、33歳で、通常軽量級ではピークアウトし始める年齢。ここで勝てなければ、タイトルに届かないままキャリアを終えることになる可能性もある。

ヤン相手には打撃を効かせた上でテイクダウンを取りまくって勝利したドバリシビリ。長期戦になるほどドバリシビリが有利となる。オマリーが勝つとすれば、前半のうちにビッグパンチをヒットさせて大きなダメージを与えた場合か。

ドバリシビリ判定勝ち。

セミは女子フライ級タイトルマッチで、昨年3月、9月に続く3連戦目であり、TUFコーチ対決。初戦は、当時絶対王者だったシェフチェンコにがジャブを突いてタックルからテイクダウンする展開で優勢に試合を進めていたが、シェフチェンコのバックスピンキックに合わせて背中に乗ったグラッソがチョークで一本勝ち。絶対王者シェフチェンコにフライ級で初めて土をつけた。回転技に対してチョークを狙うのは試合前から用意してきたもので、偶然ではないが、作戦がうまくハマっての勝利という印象も残った。

昨年9月のダイレクトリマッチでは、シェフチェンコが1R・3Rにテイクダウンからバックを奪い、2Rはグラッソがパンチでダウンを奪う展開で一進一退。4Rはグラッソがテイクダウンしてバックを取るが、シェフチェンコが反転して上を取り返し、残り30秒でもテイクダウンを奪ってジャッジの印象が割れるラウンドに。運命の5Rはシェフチェンコの投げをスカしたグラッソがバックマウントからチョークを執拗に狙っていったもののフィニッシュは奪えず。4Rの判断次第でジャッジが割れる内容ではあったが、一者グラッソ、一者シェフチェンコで、残る一者が5Rに10-8をつけて三者三様のドローに。が、5Rは通常であれば10-8をつけることほどの差はなく、10-8をつけたジャッジが他の2名と同様に10-9であればシェフチェンコの勝利となっていただけに、このジャッジも物議を醸した。

オッズは初戦が大差でシェフチェンコのフェイバリットだったものが、再戦では僅差でのフェイバリットとなり、今回はついにグラッソがフェイバリット。シェフチェンコはフライ級に落としてから初のアンダードッグとなる。シェフチェンコは36歳で、女子フライ級では3番目の年長。前回も僅差でのドローとはいえ、初戦に比べれば内容は競っていた。さらに1年が経過し、両者の力関係も逆転したと見られているか。

予想はグラッソの判定勝ち。

通常のナンバーシリーズは全12~13試合だが、今回は全10試合。第1試合開始は朝8時半から。速報します。

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45 AB F1 MMA o UFC   アザマット・ムルザカノフ アレッシャンドリ・パントージャ エドゥアルダ・モウラ エリク・アンダース カリーニ・シウバ クリス・ワイドマン コルビー・コヴィントン ジャン・ウェイリ ジョン・ジョーンズ タティアナ・スアレス ダスティン・ポイエー デイヴィソン・フィゲイレド ニュース ピョートル・ヤン 朝倉海

11.16『UFC 309』アレッシャンドリ・パントージャ vs. 朝倉海の画像が出回る/朝倉海「フェイクニュースが多いから正式発表をもう少し待ってね」

革命のアウトサイダー [ 朝倉海 ]


朝倉海、UFCデビュー戦から「レベルの高い選手」と対戦することを示唆(2024年08月15日)

 こちらの続報。


 MMA UNCENSOREDというアカウントが11月16日にニューヨーク州ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開催する『UFC 309』の対戦カードとして以上の画像をアップ。上の方が切れていますが、メインカードがジョン・ジョーンズ vs. スティペ・ミオシッチのヘビー級タイトルマッチ、アレッシャンドリ・パントージャ vs. 朝倉海のフライ級タイトルマッチ、ジャン・ウェイリ vs. タティアナ・スアレスの女子ストロー級タイトルマッチ、コルビー・コヴィントン vs. ダスティン・ポイエー、デイヴィソン・フィゲイレド vs. ピョートル・ヤンとなっています。

UFC 309 - Nov. 16(Sherdog)

 しかしSherdogでは今のところ判明しているのは、ニキタ・クリロフ vs. アザマット・ムルザカノフ、ジョナサン・マルティネス vs. マーカス・マクギー、カリーニ・シウバ vs. ヴィヴィアニ・アラウージョ、ヴェロニカ・ハーディー vs. エドゥアルダ・モウラ、クリス・ワイドマン vs. エリク・アンダースの5試合のみです。

 当サイトは基本的にSherdogの他にいくつか信用できるサイトやアカウントの情報を紹介していますが、これはさすがに無視できないので一応紹介しました。MMA UNCENSOREDは信憑性の低い噂も含めて掲載しているのでしょう。



 この噂に対し、朝倉海はXでこんなコメントをしています。

カイ・カラ・フランス「UFCがカイという男(朝倉海)を連れてくるらしいが本物のカイは俺の方だ」「いきなりビッグネームと戦うなんて甘い考えは良くない」(2024年08月20日)

 しかし、朝倉海自身がUFCデビュー戦から「レベルの高い選手」と対戦することを示唆したり、先月カイ・カラ・フランスが「UFCが日本からカイ(朝倉)という男を連れて来ようとしていると聞いたが、本物のカイは俺の方だ」「俺とパントージャには歴史がある」とコメントしていることから、あながちデマとも言い切れません。続きを読む・・・
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45 AB BELLATOR o UFC ウマル・ヌルマゴメドフ キック ピョートル・ヤン ロブ・フォント

UFC on ABC7:メインイベント・コーリー・サンドヘイゲン vs. ウマル・ヌルマゴメドフ

バンタム級

サンドヘイゲンは2021年10月にピョートル・ヤンとの暫定王座決定戦で判定負けしてから3連勝中。1年前にヌルマゴ戦が組まれていたが、ヌルマゴが肩の負傷のために欠場し、サンドヘイゲンは代役のロブ・フォントと対戦。タックルからのテイクダウンという、元キック王者と思えない攻めで判定50-45×3で完勝。しかし試合中に筋断裂したため、その後欠場し、ほぼ1年ぶりの試合となる。32歳。

ウマルはハビブのいとこで、Bellatorライト級王者ウスマンの2歳上の兄。29戦全勝で引退したハビブ、18戦無敗(17勝0敗1NC)の弟と同じく、キャリア17戦全勝。組みの強さだけでなく打撃も強い。初の上位ランカーとの対戦となるサンドヘイゲン戦を欠場した後、今年3月の復帰戦では、他のランカーとの試合が避けられているのか、UFC初参戦のカザフスタン人ベクザト・アルマカーンとの対戦となり、テイクダウンからドミネイトしての完勝。キャリア17戦全勝で、今回が初メインとなる28歳。

ウマルシングルレッグ。倒すとバックに回った。そのまま背中に乗るが、足のフックを解除したサンドヘイゲン。離れる。打撃でプレッシャーをかけるサンドヘイゲン。カーフキック。またシングルレッグに入るウマル。片足でこらえるサンドヘイゲン。振って倒そうとするウマルだが切ったサンドヘイゲン。打撃でプレスするサンドヘイゲン。ミドルを蹴る。ジャブ。カーフキック。ケージを背負うウマル。またカーフ。ミドル。スイッチキック。ウマル今度はダブルレッグでテイクダウン。サンドヘイゲンスクランブルで逃れようとしたが、ついていくウマル。しかし上半身を起こして鉄槌を入れたサンドヘイゲン。ホーン。

1Rはサンドヘイゲン。

2R。ウマルシングルレッグ。ヒザをついてこらえるサンドヘイゲンだが、ウマルドライブしてバックに回った。スタンドバックから片足をフックするが、サンドヘイゲン解除して正対し離れる。パンチで出るサンドヘイゲン。前蹴り。カーフキック。蹴られた足を引いてスイッチしたウマル。ミドルを蹴るサンドヘイゲン。打撃で出るサンドヘイゲン。右ハイ。インロー。ジャブを返すウマルだがそこにまたカーフキック。サンドヘイゲンのローをキャッチしたウマルがバックに回ると後方に引き込んだ。チョークを狙うが足のフックを解除して立ったサンドヘイゲン。スタンドバックから正対。ウマルすぐに大外刈りで倒したが離れたところで立ったサンドヘイゲン。ホーン。

2Rサンドヘイゲン。ウマルちょっと手詰まりになってきた。

3R。ジャブで出るサンドヘイゲン。ウマルがミドルを入れるとサンドヘイゲンも返す。蹴り合い。ウマルのハイの打ち終わりにカーフキックを入れるサンドヘイゲン。蹴られた足をつかもうとするウマル。サンドヘイゲンのローに合わせて組み付いてドライブしてバックに回ったウマル。しかしスタンドバックでクラッチを切り離れた。左ボディを入れたウマル。逆にウマルがスタンドで詰める。サンドヘイゲンの蹴りに合わせてまたバックに回った。前転するサンドヘイゲンのバックに。ホーンj。

3Rは打撃のヒットの差でウマルか。

4R。詰めるサンドヘイゲンだが、ウマルが下がりながらパンチを入れていく。ジャブの刺し合い。サンドヘイゲンのジャブにワンツーを返す。手数を増やしてきたウマル。距離がつまりパンチの撃ち合いになるが、最後にパンチを打ち込んだのはウマル。サンドヘイゲンの前蹴りは空振り。残り40秒でウマルこのラウンド初めてのタックル。バックに回った。ローリングするサンドヘイゲンについていくウマル。上になるとがぶった。ホーン。

4Rもウマルか。

5R。ライブオッズは大差でウマルに。カーフを蹴るサンドヘイゲン。サンドヘイゲンが意表をつくタックルを見せた。ウマルワンツー。サンドヘイゲンまたシングルレッグ。切られる。そこまでテイクダウンに固執していないか。パンチの3連打を入れたウマル。サンドヘイゲンの蹴りに合わせてまた組み付いたウマル。上になったウマル。サンドヘイゲン三角を狙ったが、ガードの中に入ったウマル。サンドヘイゲン、初めてマットに背中を付けた。下からヒジを入れるサンドヘイゲン。ウマルバックに回る。ローリングして上を取ろうとするサンドヘイゲンだが、どんな体制になっても上を取るのはウマル。残り1分。ハーフで押さえ込んだウマル。ヒジ・パウンド。サンドヘイゲンガードに戻すが、密着されて下から仕掛けられない。タイムアップ。

50-45、49-46×2の3-0でウマル・ヌルマゴメドフがランキング2位サンドヘイゲンを下す。

序盤はサンドヘイゲンがタックルを切って打撃で優勢だったが、途中からサンドヘイゲンの土俵の打撃でも上回るようになり、組みでもサンドヘイゲンが次第に逃れられなくなってじわじわとウマル優勢に。5Rはついにテイクダウンから固めての勝利。

試合後のインタビューでは9月のノーチェUFCでのオマリー vs. ドバリシビリの勝者への挑戦をアピール。

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45 AB BELLATOR Bellator CS2024#03 Brave CF Cage Warriors MMA MMAPLANET o PFL UFC   アーリーン・ブレンコウ カサン・マゴメドシャリポフ カスム・カスモフ カロリーナ・ソベック カヴァナウ サルバツホン・ハミドフ ジェイソン・ジャクソン ダルトン・ロスタ ピョートル・ヤン フランチェスコ・ヌッツィ ヘンリー・セフード ホセ・サンチェス ボビー・キング ポール・ヒューズ マテウス・マトス マルシルリー・アウベス モーガン・シャリエール ライカ ラマザン・クラマゴメドフ ローゲル・ブランケ 太田忍

【Bellator CS2024#03】計量終了 太田忍の後も─UFCを蹴ったヒューズや15-0のハミドフらに要注目!!!!!

【写真】上段左がヒューズ、右がカスモフ。下はハミドフとカサン(C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)、アイルランドはダブリンの3アリーナで開催されるBellator CS2024#03の計量が、21日(金・同)に行われた。
Text by Manabu Takashima

日本から参戦する太田忍は135.6ポンドで問題なくクリアしており、対戦相手のローゲル・ブランケは132.9ポンド=60.28キロとバンタム級リミットを2ポンド以上も下回っていた。

日本との時差は9時間のダブリン、当然のように太田の試合は深夜になるが──その彼の試合をチャックするために夜更かしをするファンには、裏でUFCの中継も行なわれていることもあり、All Night LongでMMAを楽しんでほしい。そんなディープなファンに眠い目をこすりながらでも、チェックしてほしいファイターを4選手を同大会からピックアップしたい。


1人目は日本でも既に認知されているカサン・マゴメドシャリポフだ。カサンは早々にMMAから身を引いた天才=ザビットを兄に持ち、デビュー以来9連勝中。生涯成績が18勝1敗だったザビットが、5戦目で唯一の黒星を喫したことを考えると一つは兄の記録を越えたことになる。

まだBellatorフェザー級戦線でトップクラスとは当たっておらず、今回の対戦相手テイラー・マティソンも6勝3敗で育成枠的なカードともいえる。地道に強くなる道もあるが、プロとして上との試合が見たいと思わせるところに至ってないという現実が、カサンにはあるかもしれない。とはいってもカサンも23歳、そろそろプレリミから抜け出したいところだ。

今大会はそのプレリミであと2人、注目選手が戦う。太田のBellator初陣直後にマルシルリー・アウベスと戦うサルバツホン・ハミドフは、15勝0敗のタジキスタン人ファイターだ。今回がBellator3戦目で、過去2戦がフランス&イタリア大会だったことで、ヨーロッパ戦線要員という印象はある。

その半面、ケージの中のハミドフのパフォーマンスは凄まじい。前足を自由に使いこなす、組みに対応したMMAストライカーはハイだけでなく、前蹴り、左ミドルの威力も凄まじく、右オーバーハンドのキレからもポテンシャルの高さを感じさせる。ピョートル・ヤン、そしてヘンリー・セフードのトレーニングパートナーでもあるハミドフは、とにかく圧が強く殴っても蹴っても勝てて、テイクダウンからサブミッションでも勝てる。何よりコントロール&ドミネイトにも長けたウェルラウンダーだ。

続いてもう一人のバンタム級選手はプレリミメインで14勝2敗1分のブラジリアン=マテウス・マトスと相対するするカスム・カスモフだ。 戦績15勝1敗、BRAVE CF ~ Eagle FCを経てBellatorに辿り着いたロシアンは、テイクダウンを武器に削って首を刈り取るサブミッション・レスラーといえる。

自らも消耗するであろうレスリング勝負で上を取るや、足を抜きつつ強烈パウンドを打ち下ろす。ここから相手が起き上って来るならダース、背中を向けようならRNC、上を向いて耐えているとパウンドアウトか、足を抜いての肩固めというフィニッシュ・ラインナップを揃え持つ。メイン出場にならなかったのが不思議に思われるカスモフ、先に挙げたハミドフとともに──フランチェスコ・ヌッツィが負傷欠場となった太田忍の相手を務めてほしかったぐらいだ。

最後の1人はメイン、しかもコメインでBellatorデビューを迎えるポール・ヒューズだ。いや、正確にいえばヒューズの今回の試合はPFLと契約し、Bellator CSの地元興行の核としてボビー・キングを迎え撃つ形だ。

11勝1敗、Cage Warriors暫定フェザー級チャンピオンは非常に完成度の高いMMAを戦う、ジ・アイリッシュらしいMMAファイターといえる。テイクダウンやスクランブルでも粘り腰、しっかりと相手の攻撃を見切ることができる打撃戦と防御能力が高い。加えて下がって、打ち抜くことができるカウンター……特に被せて打っていく左フックのタイミングの良さは、目を見張るものがある。

2021年10月に現UFCファイターのモーガン・シャリエールを下したCage Warriors暫定フェザー級王座決定戦は、この年のUFC FIGHT PASSのベスト・ファイト・オブ・ジ・イヤーに選ばれている。ここまでの完成度の高さを誇り、Fight Passで知られたヒューズは、なぜUFCと契約したなかったのか。

もちろんUFCはオファーを掛けていた。しかし、27歳のヒューズはUFCの契約内容に──自分は決して若くない。キャリアを積むために銀行にお金を貯められないファイトを繰り返す年齢ではない──と首を縦に振らなかった。その結果、より良い条件と上の舞台を用意したBellator、いやPFLとの契約をヒューズは望んだわけだ。

ライト級でBellator戦績3勝3敗のベテランとのプロモーショナル・デビュー戦は、絶対的にヒューズのお披露目マッチの意味合いを持つ。そんな時に見られる好事魔多し、という現象が見られるのか。そこはキングの意地次第となるコメインだ。

■視聴方法(予定)
6月23日(日)
午前0時45分~ U-NEXT

■ Bellator CS2024#03計量結果

<Bellator世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] ジェイソン・ジャクソン: 169.9ポンド(77.06キロ)
[挑戦者] ラマザン・クラマゴメドフ: 169.8ポンド(77.01キロ)

<ライト級/5分3R>
ポール・ヒューズ: 155.7ポンド(70.62キロ)
ボビー・キング: 156ポンド(70.76キロ)

<女子フェザー級/5分3R>
シネード・カヴァナウ: 146ポンド(66.22キロ)
アーリーン・ブレンコウ: 145.4ポンド(65.95キロ)

<ミドル級/5分3R>
ノルベルト・ノヴェニーJr: 185.8ポンド(84.27キロ)
ダルトン・ロスタ: 185.1ポンド(83.95キロ)

<ライト級/5分3R>
デラー・ケリー: 155.7ポンド(70.62キロ)
マチアス・ポアホン: 155.1ポンド(70.35キロ)

<バンタム級/5分3R>
カスム・カスモフ: 135.9ポンド(61.64キロ)
マテウス・マトス: 136ポンド(61.69キロ)

<148ポンド契約/5分3R>
ネイサン・ケリー: 145ポンド(65.77キロ)
ホセ・サンチェス: 148.8ポンド(67.49キロ)

<フェザー級/5分3R>
カサン・マゴメドシャリポフ: 145.8ポンド(66.13キロ)
テイラー・マティソン: 146ポンド(66.22キロ)

<バンタム級/5分3R>
サルバツホン・ハミドフ: 135.9ポンド(61.64キロ)
マルシルリー・アウベス: 136ポンド(61.69キロ)

<バンタム級/5分3R>
太田忍: 135.6ポンド(61.5キロ)
ローゲル・ブランケ: 132.9ポンド(60.28キロ)

<女子フェザー級/5分3R>
ミッシェル・モンテギュー: 143.7ポンド(65.18キロ)
カロリーナ・ソベック: 145.9ポンド(66.17キロ)

<アマMMAフライ級/5分3R>
ネイト・ケリー: 126ポンド(57.15キロ)
ポール・ノーラン: 125ポンド(56.7キロ)

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AB o UFC キック ドミニク・クルーズ ハニ・ヤヒーラ ピョートル・ヤン ボクシング マリオ・バウティスタ ロブ・フォント

UFC on ESPN58:セミファイナル・ダグラス・シウバ・ジ・アンドラージ vs. マイルズ・ジョーンズ

バンタム級

当初セミで組まれていたミドル級のイクラム・アリスケロフが、来週のサウジアラビア大会のメインに出場予定だったハムザト・チマエフ欠場により代役としてロバート・ウィテカーと対戦することになり、試合が消滅。代わってセミに昇格したのはUFC7勝5敗のシウバと5勝2敗1NCのジョーンズの対戦。

ジョーンズはレスリングベースのストライカー。2敗の相手はジョン・カスタネーダと現ランキング12位のマリオ・バウティスタ。昨年9月の試合は判定勝ちも、試合後に意図せず摂取した禁止薬物が検出されノーコンテストに。3月の前戦は、欠場選手の代役として、1週間前にスクランブル出場し、昨年のTUF準優勝のコーディ・ギブソンに判定勝ちした。30歳。

アンドラージは2014年にUFCデビューして、今年で10年になるベテランファイター。バンタム級で負けた相手はサイード・ヌルマゴメドフ、ピョートル・ヤン、ロブ・フォントの3人で、いずれもランカーまたはランキング目前の選手。アンドラージもランキング目前までは行っているが、あと少しで届いていない。ボクシングがバックボーンのストライカー。バンタム級ではハニ・ヤヒーラとドミニク・クルーズに続く3番目の年長ファイターで、来週39歳になる。

両者オーソドックス。右オーバーハンドを入れたジョーンズ。両者ともに警戒している。前蹴りを見せたアンドラージ。左で飛び込んだジョーンズ。カーフを蹴ったジョーンズ。右アッパーで飛び込んだアンドラージ。ジョーンズも左フックを一発返す。またカーフを入れたジョーンズ。足が流れたアンドラージ。右ボディ。ワンツーを入れたジョーンズ。アンドラージの飛び込みにフックを合わせたジョーンズ。アンドラージバックスピンキック。関節蹴り。飛び込んだジョーンズにアンドラージが組み付いたが、膝を入れて離れたジョーンズ。ホーン。

1Rジョーンズ。

2R。ジャブを突いたジョーンズ。またカーフ。飛び込んできたアンドラージに右フックを合わせた。またアンドラージが飛び込んだが、パンチをかいくぐって右をヒット。さらにアッパー。アンドラージも飛び込んでパンチを出すがブロックされる。ジョーンズの打撃のヒットが増えてきた。アンドラージは有効打がない。飛び膝。ブロックしたジョーンズがケージを背負ったところに飛び膝を見せた。またバックスピンキック。前蹴り。ちょっとずつ手数が増えているアンドラージ。しかしまたジョーンズのカーフで足が流れる。飛び込むアンドラージに右フックを引っ掛けると、ジャブのダブルから右フックを打ち込んだ。また右フック。一瞬手をついたアンドラージ。さらに左フックもヒット。またバックスピンキックを見せたがかすめたのみ。飛び膝もかわされる。ジョーンズのバックヒジは不発。ホーン。

2Rもジョーンズ。

3R。フィニッシュが必要なアンドラージ。ジョーンズは攻めるようで攻めないフェイント。アンドラージが手を出せなくなる。ケージ際まで詰まったところで、アンドラージが飛び込むが、そこにフックを引っ掛けられ効いた。アンドラージがここでタックル。シングルレッグ。しかしアンドラージ切った。左オーバーハンドを振ったアンドラージだがジョーンズかわして逆にフックをヒット。ジョーンズ飛び込んでアッパー。アンドラージが飛び込んでパンチがヒットし、ジョーンズがマウスピースを吐き出す。はめ直して再開。残り1分。ジョーンズサークリング。アンドラージのバックスピンキックが側頭部にヒット。ちょっとぐらついたが、出てきたジョーンズに組み付いて凌ぐ。最後にパンチを打ち込んだジョーンズに対し、アンドラージは打ってこいとアピール。行かなければならないのは自分だが…。タイムアップ。

30-27×2、29-28の3-0でジョーンズ勝利。

両手を広げて納得行かないアピールを見せるアンドラージだが、判定は極めて妥当。なぜ最後に攻めなかったのか。

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45 MMA MMAPLANET o Special UFC UFC299 ショーン・オマリー ソン・ヤドン ピョートル・ヤン ボクシング マルロン・ヴェラ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:3月 ピョートル・ヤン×ソン・ヤドン「ヤンの打撃は僕の理想形」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年3月の一番──3月9日に行われたUFC299のピョートル・ヤン×ソン・ヤドンについて、担当・中村の「深夜2:00はギリギリ4月30日!」という言い訳と共に語らおう。


――今回ピョートル・ヤンとソン・ヤドンの試合をピックアップしていただきました。僕も試合映像を見直したのですが、改めてものすごい試合だなと思いました。

「この試合を選んだ理由は、純粋に見ていて面白かったから、というところですね。同じ大会のメインイベントでショーン・オマリーとマルロン・ヴェラのバンタム級タイトルマッチが行われて、僕も現役時代はバンタム級だったし、そこかなとも思ったんですよ。これは多分好みだと思うんですけど……僕の趣味嗜好として、ヤン×ヤドンの方が好きだったので、こちらをセレクトしました」

――僕も水垣さんの意見と同意見で、これはちょっと語弊がある言い方かもしれないのですが、オマリー×ヴェラのような試合展開だったら、立ち技の試合でもよくない?と思ってしまうんです。

「若干それもあります。MMAの組み合わせ・マッチアップとして、あの2人だったらああいう試合になるのは分かるんですけど、MMAとして見たときにどちらが面白いかというと、僕の好みはヤン×ヤドンですね」

――全局面で打撃と寝技があったという意味では、ヤン×ヤドンはいいMMAが見れましたよね。この試合では両選手の打撃とレスリングのミックス具合が素晴らしいなと思いました。

「僕のイメージとしてはヤドンがタックルで仕掛ける展開はあまり想像してなかったんですよね。なのでヤドンが先手でタックルでテイクダウンゲームに行ったところがまず一つ、驚いたところでしたね。それが逆に試合を面白くしたなと思いますし、本当に良い作戦を立ててきた気がします」

――完全に決まらなかったとは言え、ヤドンの相手の足を触る動きだったり、あれでヤンの打撃も含めて後手に回らせたのは、チームの作戦と戦術がさすがだなと。

「あれは上手かったですね。ただヤンもスロースターターという言い方とは違うんですけど、完全に相手を見切るまで仕掛けないタイプだと思うんです。基本的に1Rは様子を見て、2Rからギアを上げていくみたいな。5Rが多い選手だったんですけど、3Rでも結構それをやるんですよね。そうすると見ていてドキドキするんです、1Rを失っちゃうわけだから。今回もヤンは先手を取られて、しかもテイクダウンゲームで取られた。打撃を見切ったか見切っていないか分からない状態で2Rを迎えたので『ヤンはこのままいっちゃて大丈夫?』と思ったことも、この試合を面白く見ることができた要因の一つかなと思います」

――試合全体としても後半に勝負のポイントがきたし、2R・3Rはいずれもラウンド後半に山が来ましたね。

「なんだかんだ2Rと3Rはヤンがテイクダウンしてトップポジションでラウンドを終えてるんですよね。それはもうやっぱり強いなと。試合としては接戦に見えたと思うんですけど、僕は見た目以上に実力の差があるのかなと感じた一戦でもありました。あの2・3Rを見ると、やっぱりヤンが一枚上手だなと。ヤンがラウンド終盤で上を取って、あのままキープするだけだったらそんなに印象に残らないんですけど、やりたいことをやってラウンドを終えるところも、ジャッジへの見せ方としてヤンは上手いですよね」

――ヤドンとしてはあれがあったから負けたという敗因ではなく、自分をもう一度作り直す必要がある敗戦だったかもしれません。

「きっとヤドンの作戦は上手くいっていたし、3Rマッチで自分がやるべきことはやったと思うんです。それでもヤンの地力が上で一歩上回った試合で、ヤドンとしては当たりを引いたけど、結局勝ちきれなかったという印象を受けました」

――僕自身、ライター活動に復帰してMMAの試合を多く見るようになりましたが、2人とも「ここでテイクダウンに行くの?」と思うようなタイミングでテイクダウンに行きますよね。

「そうなんです。ヤンが2Rに決めたテイクダウンは本当に見ていて気持ちよかったですよね」

――僕も「どうやってテイクダウンに入ったんだ?」と思って何度もそのシーンを見返しました(笑)。

「3Rにもう一度同じようなタイミングでテイクダウンに入ろうとして、あれは失敗に終わったのか、自分から寝転んで足関節を狙ったじゃないですか。どこまで狙っていたのか分からないけど、あの動きは面白かったし、あれにとっさに反応するヤドンもすごかったです」

――ヤドンに関してはアジア人でああいう試合をできる選手が出てきたことも驚きです。

「もともとヤドンは回転系や足技が売りの打撃系かなというところから、アルファメールで練習を重ねて、パンチもどんどん上手くなったし、タックルを仕掛けることも出来るようになって進化していましたよね」

――そのヤドンを地力で上回るわけですから、ヤンはどれだけ強いんだという。

「ヤンの打撃を見ていると、あれが僕のMMAにおける理想形に近いんですよ。タックルが切れて、スイッチして足をとらせないようにも出来て、パンチ・蹴り・ヒザ・ヒジ…全部使える。それでテイクダウンもできてパウンドも強いタイプなんで、僕の中での理想のMMAファイターですよね。僕は個人的にレスラーが好きだし、レスラーが強いと思っているんです。僕のようにレスラーではなく、レスラーたちと戦ってきた身としては、ヤンのようなスタイルができれば、VSレスラーに対して、もう少し良い結果が出せたのかなと思いますね。僕の話をすると、僕はレスリングに対してレスリングを頑張って何とかするという選択をして、本物のレスラーには苦戦を強いられたんです。そういう意味でも、何が正解かは分かりませんが、ヤンのスタイルは答えの一つではあるかなと思います」

――水垣さんがおっしゃるように打撃におけるプレッシャーのかけ方、出している技の数、絶妙にテイクダウンを意識した打ち方……ヤンはMMAにおける組みに対応する打撃を見せています。

「しかもボクシングだけにならずに蹴りも出せるのがいいと思いますね。タックルの切り方も、普通に切るのはもちろん、足を触られてもそこからが強いんです。シングルレッグは取られてもダブルレッグには入らせない。片足を触られてからの逃げ方も上手い。あのテイクダウンディフェンス能力の高さもヤンの武器です。でもそのヤンから1Rにテイクダウンをとっているわけだから、ヤドンのレスリング力も相当高いですよね……どっちもすごい(笑)!」

――この2人の話は止まりませんね(笑)。

「水垣的ランキングで言うと、チャンピオンはオマリーだけど、実力という意味ではヤンがNo.1だと思うんですよ。オマリーとヤンの試合も正直僕はヤンが勝ったと思いました。ただメラブ(・ドバリシビリ)はヤンに5Rで勝ってるんですよね? しかも5Rで」

――そうですね。しかもジャッジ3名とも50-45でメラブを支持した試合です。

「だからヤンとの相性という意味では、メラブは抜群に強いですね。僕的にはテイクダウンゲームを仕掛けてくる相手に対してヤンの戦い方は理想形ではあるんですけど、メラブくらいテイクダウン能力が突き抜けるとやられちゃうんだもんなぁ」

――今名前が挙がったオマリー、メラブ、ヤンで言うと、MMA的にお手本にすべき選手はヤンだと思うんですよ。オマリーとメラブは練習して到達できる動きをしていないというか。

「そうなんですよ。その3人がいて、どの選手を目指すべきかというと僕もヤンだと思うんですよね。オマリーを目指そうと思っても生まれ持った手足の長さがないと真似できないし、メラブの動きはもはや超人的じゃないですか。そうすると、凡人の我々が目指すところ、もちろんあそこまで完成度を高くすることも、ものすごく大変で才能も必要だと思うんですけど、それでも誰を目指すべきかというと僕はヤンだと思います。そういう選手がオマリーやメラブのような相手に勝つと、何かちょっと僕らにも希望が持てますよね」

――どのスポーツにも他人が真似できないスーパースターがいる一方、教材として参考になる選手がいる。MMAでもそういう見方で選手や試合を見るのも面白いですよね。

「そうだと思いますね。きっと若い子や格闘技を始めてすぐの人たちはオマリーを目指しがちですが、あのスタイルは持って生まれたものが必要だということに気づくことが第一歩だと思います。オマリーのスタイルは誰でも出来るものじゃないぞと(笑)」

――冒頭にもあったようにオマリーがベルトを防衛した大会で水垣さんがヤン×ヤドンをセレクトしたことに意味があると思いました。

「僕もオマリー×メランありきで考えたんですけど、ちょっと方向転換して僕目線のチョイスにさせてもらいました!」

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