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45 AB BELLATOR o UFC アルマン・ツァルキャン イリー・プロハースカ ウマル・ヌルマゴメドフ キック クレイトン・カーペンター ショーン・オマリー ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ペイトン・タルボット ムイン・ガフロフ 中村倫也

UFC311:オッズ/予想と展望

イスラム・マカチェフ 1.28
アルマン・ツァルキャン 3.85
メラブ・ドバリシビリ 3.35
ウマル・ヌルマゴメドフ 1.34
イリー・プロハースカ 2.10
ジャマール・ヒル 1.77
ベニール・ダリウシュ 2.40
ヘナート・モイカ1.60
ケビン・ホランド 1.89
ライニアー・デ・リダー 1.93
ペイトン・タルボット 1.08
ハオニ・バルセロシュ 8.50
ジャイルトン・アウメイダ 1.21
セルゲイ・スピバック 4.60
ボグダン・グスコフ 1.33
ビリー・エレカナ 3.45
グラント・ドーソン 1.40
ジエゴ・フェヘイラ 3.05
ザカリー・リース 2.70
アザマト・ベコエフ 1.49
カロル・ホザ 1.39
アイリーン・ペレス 3.10
中村倫也 1.19
ムイン・ガフロフ 5.00
リッキー・トゥルシオ3.35
ベナルド・ソパイ 1.34
タギル・ウランベコフ 1.31
クレイトン・カーペンター 3.60

メイン・セミのタイトルマッチに出場する4人全員がコーカサス地方(ダゲスタン、アルメニアジョージア)出身。

メインのライト級タイトルマッチでは、ツァルキャンがタイトル初挑戦。両者はツァルキャンのUFCデビュー戦で対戦している。ツァルキャンがマカチェフ相手にレスリング勝負を挑み、マカチェフがUFCで初めてテイクダウンを奪われている(UFCで16戦した現在も2度のみ)。レスリングでマカチェフとやりあえる唯一の選手かもしれない。

前回は時間が経つにつれてマカチェフが上回っていき差が開いていった。今回は5Rマッチ。レスリング主体であることは変わりないが、打撃も強化してきているツァルキャン。前回はレスリング勝負を仕掛けたツァルキャンだが、同じ展開であれば、大きく差が開いていることはないだろう。マカチェフにとって数少ない、レスリングを警戒する必要があるツァルキャンであれば、タックルを餌にした打撃が突破口を開く鍵となるかもしれない。

マカチェフ判定勝ち。

セミでは王者ドバリシビリに対し、一族2人目のUFC王座獲得を狙うウマルが挑戦するバンタム級タイトルマッチ。ドバリシビリがタイトルを獲得した際、ランキング2位で無敗のウマルが当然挑戦者となることが予想されていたが、ドバリシビリはショーン・オマリーやピョートル・ヤンとの再戦に意欲を見せる発言をしており、さらに、防衛戦の時期として3月を示唆したため、ラダマンで3月の試合をラダマンで避けたいウマルの挑戦の機会が伸びるかと思われた。しかし、ウマルがSNS上で王者に逃げていると挑発すると、それが功を奏したのかは不明だが、1月にタイトル戦が実現することに。

ノンストップ・テイクダウンマシーンのドバリシビリだが、UFCで唯一テイクダウンを奪えなかったジョゼ・アルド戦では、ケージ押し込みでアルドを封じ込めて判定勝ちしている。また、ピョートル・ヤンとの対戦では、テイクダウンしてもすぐに立たれてコントロールする時間は短かったものの、スタンドでのカーフキック、タックルを餌にしたジャブを効かせて、ヤンの目を腫らせて完勝。タックルだけが引き出しではない。

ウマルは来週試合を控えているBellatorライト級王者ウスマンの兄で、弟同様ムエタイベースの打撃が強く、当然レスリングも強力。UFCでは6試合でテイクダウンを奪われたことがない。ドバリシビリの打撃が削っていくためのものなら、ウマルは倒せる打撃を持っている。

打撃もテイクダウンディフェンスもウマルが上かもしれないが、ドバリシビリが5R無尽蔵のスタミナで攻め続けた時、最後まで失速しないでいられるのか。あるいは、その前にウマルが打撃をヒットさせて大きなダメージを与えるのか。

ウマルKO勝ちと予想。

第3試合ではRoad To UFCシーズン1ウィナーの中村倫也UFC本戦3試合目を行う。前戦ではカーロス・ヴェラの引き込んで足関を狙ってくる、ある種負け覚悟の戦法に対し、完全に対応したものの、仕留めきることができず、1戦目に続いての判定勝ちに。今回の相手のムイン・ガフロフも1勝2敗と、ステップアップするための踏み台としては物足りない相手なので、今度こそフィニッシュ勝利したいところ。

第1試合開始は19日朝8時。アーリープレリムは8時~10時の2時間枠に5試合組まれているので、中村倫也の試合は前の試合が早めに終わった場合、9時よりも前に開始になる可能性もある。

速報します。

 

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【UFC311】展望 世界バンタム級選手権試合。無尽蔵のスタミナ=王者マラブ×TD防御&蹴りの挑戦者ウマル

【写真】ロシア帽対決。世界最高峰のせめぎ合いが見られるに違いない(C)Zuffa/UFC

18日(土・現地時間)、カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームでUFC 311「Makhachev vs Tsarukyan 2 」が行われる。二大タイトルマッチを売り物にしている2025年最初のUFCナンバーシリーズのコメインは王者マラブ・デヴァリシビリに、無敗の挑戦者ウマル・ヌルマゴメドフが挑むバンタム級タイトルマッチだ。
Text Isamu Horiuchi

(C)Zuffa/UFC

王者デヴァリシビリは、2018年9月から実に6年間にわたってUFC10連勝を記録。

ついに昨年9月、ラスベガスの球形建造物スフィアで行われたメガイベント「ノーチェUFC 306」のメインイベントにてショーン・オマリーへの挑戦を実現させた。この大舞台でデヴァリシビリは、持ち前の唯一無二の戦い方を見事に貫き──無尽蔵のスタミナを武器に常に動き続けると、オマリーの打撃を避けてテイクダウンを何度も成功させ、組技で圧倒し続けた末に3-0の判定で完勝。フェザー級元王者イリア・トプリアに続きジョージア共和国出身者として二人目のUFC王座に輝いた。


対するウマルは、そのファミリーネームが示すように29戦無敗のまま引退した元ライト級王者カビブ・ヌルマゴメドフの従兄弟にして、Bellatorで無敵を誇るライト級王者ウスマン・ヌルマゴメドフの兄。幼少時から取り組んできた打撃と、カビブの父である故アブドゥルマナプ門下で鍛え上げたレスリング力を武器にここまで18戦無敗、UFCでは6連勝中だ。

(C)Zuffa/UFC

あまりの強さが原因となったか、ウマルは上位勢から対戦がなくランキング上位に顔を出せなかった。

ようやく昨年8月にランキング2位のコリー・サンドハーゲン戦が実現。リーチに勝るサンドハーゲンの打撃を巧みに捌き、テイクダウンやバック取りを成功させスクランブルも制し、中盤以降は打撃でもペースを握って3-0で快勝し挑戦権を手にした。

さて同じ東欧系の両者だが、戦前は周囲が呆れるほど派手な言い合いを展開している。発端はウマルがSNS等で、新王者の座に就いたデヴァリシビリが自分以外の相手を挑戦者候補として挙げたことを受け「マラブは俺を恐れ、避けている」と書いたこと。これを見たデヴァリシビリは怒り心頭。先月の記者会見前の舞台裏でウマルを見かけるやいなや「お前はなぜ俺を侮辱する! こっちに来い!」と迫って関係者に制止された。

頭に血を昇らせたまま臨んだ記者会見にて王者は「俺はいつもウマルに敬意を表してきたのに、突然俺にトラッシュトークを仕掛けやがった!」、「こいつは苗字がヌルマゴメドフだというだけで、実績も資格もないのにタイトルマッチをプレゼントされたんだ。お前などレスリングがまったくできないサンドハーゲンに勝っただけじゃないか!」とまくし立てる。

対するウマルは笑って「カイ・アサクラなんてデビュー戦でタイトル戦を与えられたぞ。実績とか資格があるとか、誰も気にしないだろう」と、マラブの友人でもある朝倉海を引き合いに出して切り返す。が、王者は聞く耳を持たず「お前は男になりやがれ! お前は男じゃない。クソ野郎だ! お前へのリスペクトを完全に失った。本物の男はオンラインでトラッシュトークなどしない!」と声を荒げる。

ウマルが「ちょっと落ち着いてくれよ。俺はあんたの国についても、国民についても、あんたの性格について何か言ったか? 何も言っていないよな。ただあんたが俺を避けていると言っただけだぞ」と指摘するも、ますますヒートアップした王者は「嘘を言うな! お前は自分が書いたことを忘れたのか。お前の言葉は全て嘘じゃないか!」と止まらない。やがて両者とも母国語ではない英語でお互いの言葉に被せ合い収拾が付かない状況になると、見かねたデイナ・ホワイト代表が介入して「次の質問に行ってくれ」と強引に話を打ち切り、場内からは笑い声が漏れた。

が、その後も王者は──ノンストップでテイクダウンを仕掛け続けるオクタゴン上とまったく同じ要領で──甲高い声で挑戦者に罵声を浴びせ続け、ウマルも返すが、止まらない王者がそこに言葉を重ねて訳が分からなくなる展開が続く。結局両者は似たような口論を延々と繰り広げては、誰かが割って入って強制終了される場面を合計三度繰り返したのだった。

今まで「強いだけで面白味のない人間」としてスポットライトを与えられる機会が少なかった王者デヴァリシビリだが、今回の一件を経て「ヤバい奴」というイメージが完全に定着。良い意味でも悪い意味でもキャラが立ち、ファンの注目を浴びる存在となった。

ちなみに、このたび完全に貰い事故で王者にディスられてしまったサンドハーゲンは、今回の試合ではウマル応援派となることを宣言している…。

そんな因縁の両者による対決だが、下馬評ではウマルが大きくリードしている。挑戦者優位説の最大の根拠は、ウマルは王者の最大の武器であるテイクダウンを防ぐだけのレスリング力があると思われること、さらに打撃の技術で大きく王者を上回っているということだ。

この意見を代表するのが、前戦にてウマルに敗れたサンドハーゲンだ。「マラブの勝ち筋が見えないよ。打撃でも上回れないし、テイクダウンも取れるとは思わない。ウマルがテイクダウンを凌いで打撃の距離をキープして勝つだろう。ウマルはスナイパーさ。みんな彼がどれだけ速いか分かっていない。蹴りがどこから来るかも分からないんだよ」と、実際にウマルの強さを体験した者ならではの意見を披露している。(もっとも彼は、例の記者会見以来アンチ・デヴァリシビリであることを宣言しているので、そこは差し引く必要があるかもしれない)

ここで留意すべきは、王者の真の強さはテイクダウン技術の高さや成功率自体にあるわけではないということだ。むしろ、相手にどれだけ凌がれようが立たれようが、幾度でもテイクダウンを試み続けることのできる底無しのスタミナにこそ、デヴァリシビリの真骨頂がある。

2022年8月のジョゼ・アルド戦ではなかなかテイクダウンを取れなかったデヴァリシビリだが、ケージに押し込み続けてアルドにテイクダウンの防御以外何もさせずに勝利。続く2023年3月のピョートル・ヤン戦では、なんと5Rで合計49度テイクダウンに入るという目が眩むようなUFC記録を叩き出し、ヤンに反撃の機会を与えずに完勝している。

(C)Zuffa/UFC

続く翌年2月のフリースタイルレスリング五輪王者ヘンリー・セフード戦では、1Rに上を取られてコントロールを許したデヴァリシビリ。

しかし2R以降は持ち前の超ハイペースで攻め続けてセフードを消耗させ、やがてレスリングでも圧倒。最終3Rでは高々と抱え上げ叩きつける派手な場面まで作って快勝した。

驚異的なスタミナで動き続け、レスリング技術で自らに勝る相手をも波状攻撃で疲弊させ、最後には呑み込んでしまう。誰もが分かっているはずの戦い方を、まだ誰も攻略できていない。

誰よりもMMAレスリングを熟知するカビブ・ヌルマゴメドフの教えを受け、同日にメインで防衛戦を戦うライト級絶対王者イスラム・マカチェフらダゲスタンの超弩級レスラーたちと日々を過ごしているウマルは、王者のノンストップ・テイクダウン攻勢をどのような形で無効化するつもりなのか。

ウマルは前回のサンドハーゲン戦においてトラックポジションからバックに移行する等、コントロールの引き出しの多さを見せている。もし王者のテイクダウンを防ぐだけでなく、背中を制する、上を取ることができれば波状攻撃自体を止めることができる。が、それを序盤だけでなく中盤以降も続けることができるのか、それとも今までの対戦相手同様、後半には呑まれていってしまうのか。最高レベルのテイクダウン&スクランブルの攻防、その長期的展開がこの試合の最大の見どころとなる。

もう一つ着目したいのは、スタンドの攻防におけるウマルの蹴り技だ。弟のウスマンとともに幼少時からムエタイを習っていたとのことだが、むしろ空手を想起させるしなやかな二段蹴りや伸びのある前蹴りを使いこなす。もちろん、相手の片足を抱えて軸足を刈って倒すことを得意とする王者に対して、掴まれる可能性のある高い蹴りを放つことにリスクはある。

ところで前戦のオマリー戦においてデヴァリシビリが唯一ピンチに陥ったのは、5Rに前蹴りで腹を効かされた場面だった。挑戦者が王者のテイクダウンを封じ続け、やがてその波状攻撃の勢いが弱まった時、ウマルの蹴りが試合の行方を大きく左右するダメージを王者に与える可能性はありそうだ。

天下無敵のデヴァリシビリ・スタイルに、最高レベルの組技と打撃を併せ持つ、世界最強ヌルマゴメドフ一族のウマルがいかに立ち向かうか。限りなく高いMMAの頂点をめぐる戦いを、堪能したい。

■視聴方法(予定)
1月19日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

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AB CORO DEEP DJ.taiki o UFC キック ソン・ジンス ピョートル・ヤン 元谷友貴

DEEP123:セミファイナル・ソン・ジンス vs. CORO

バンタム級

バンタム級王者のジンスが6年ぶりにDEEP参戦。6年前の試合では、北田俊亮バンタム級王座決定戦で対戦し、2RKO勝ちで王座を獲得。同年にUFCと契約して王座を返上している。UFCではピョートル・ヤンとマリオ・バティスタに敗れて2連敗。UFCと契約している時期から韓国中央大学の薬学部に通っており、リリース後は怪我と薬剤師の資格試験受験によりブランクが開いていて、UFC以来5年ぶりの試合となる。31歳。

COROは2022年にDJ.taikiとの暫定王座決定戦で勝利しタイトルを獲得したが、石司との初防衛戦で敗れて陥落。直近は昨年11月に元谷友貴に2RKO負け、今年7月に瀧澤に判定負けで2連敗中。36歳。

両者オーソドックス。左ボディを入れたジンス。右フック。ジャブから右、左ボディを積極的に手を出していく。飛び込んで右を入れたジンス。COROはサークリング。ジンスのジャブが顔面にヒット。COROも左右のパンチを打ち返す。右がヒットしバランスを崩したジンス。さらにカーフキックを入れる。ジンスもカーフを返すとボディロックからテイクダウン。サイドで押さえ込むジンス。COROの右腕を足で固定し、左腕を右腕で固定しつつ、左の鉄槌を入れる。うつ伏せになったCOROだがジンスバックマウントに。スクランブルで動いて逃れようとするCOROだが、常に背中についているジンス。仰向けになると足のクラッチでCOROの右腕を巻き込んで封じてリアネイキドチョーク!COROタップ!

1R4分4秒、リアネイキドチョークでソン・ジンスが復活の勝利。

ジンス「6年ぶりに試合させていただき、ありがとうございました。もっと打撃でガンガン行きたかったんですが、グラウンドになってこういう展開になってしまいました。次はもっとアグレッシブにガンガンいきます。よろしくお願いします。」

 

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【DEEP123】65カ月振りの復帰。6年8カ月振りのDEEP参戦、ソン・ジンス「4万8000人の前で戦いたい」

【写真】 本当に強かった。あの時の強さがあれば、RIZINバンタム級を引っ掻き回す可能性は十分にある(C)DEEP

明日8日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP123。同大会に元DEEPバンタム級王者でUFCベテランのソン・ジンスが5年5カ月振りの復帰戦で、COROと戦う。
Text by Manabu Takashima

2018年にDEEPバンタム級チャンピオンからUFCにステップアップ。9月にピョートル・ヤンと激闘を繰り広げ、敗れてなお名を挙げたソン・ジンスだが、翌2022年7月のマリオ・バウティスタ戦を最後にUFCはおろか、MMA界から姿を消した。

そのソン・ジンスが6年8カ月振りにDEEP参戦。一度はキャリアが途絶えた理由と、復帰後の目標を尋ねようとインタビューを試みると、韓国でまさかの戒厳令が発令されてしまう。一夜で緊迫の夜を終えたソウルの自宅から、リモート取材で効いたソン・ジンスの声をお届けしたい。


──ソン・ジンス選手、今もまだ韓国ですか(取材は5日に行われた)。

「ハイ。明日、東京に向かいます。計量の前日ですね。日本に行ってから水抜きをする予定です」

──すぐに解除されたのですが、まるで1980年代を思い出すような戒厳令が敷かれ本当に驚きました。長引けば日韓の行き来が止まってしまうという恐れもありました。精神的に影響はなかったですか。

「自分もチームメイト達も、もの凄く驚きました。日本に行くことができなくなるんじゃないかと、戒厳令が取り下げられるまで眠ることもできなかったです(苦笑)」

──あり得ないファイトウィークを迎えてしまいましたね。

「本当にその通りです。こんなことは最初で最後であってほしいです」

──しかも5年5カ月振りの復帰戦で、このようなことが起こるとは……。戒厳令は関係なく、復帰に向けてどのような気持ちですか。

「自分がまたプロファイターとして戦う場に立つことに関して、まだ実感でわかないです。だからといって緊張をしているわけではないのですが、ケージのなかに入ってみるまで実感できないのかもしれないです」

──2018年にDEEPで圧倒的な強さを見せ、バンタム級王者からUFCへ。2連敗だったとはいえ、ピョートル・ヤン戦とマリオ・バウティスタ戦で強豪相手にファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得。強さを見せていたなかで、半ば引退状態になったのはなぜだったのでしょうか。

「実は2019年に首のヘルニアで、体が思うように動かすことができなくなりました。マグカップすら持ち上げることが困難で……」

──!! そんなに重症だったのですか。

「ハイ。あの時は試合を続けることはできなかったです。もちろん現役を続けたい気持ちはありました。でも、余りにも首の状態が悪くて引退をしようかという気持ちと半々でした。とりえず試合や練習から離れ、大学での勉強を優先することしたんです。

実はUFCと契約した年に、薬科大学に合格していました。そのまま、そっちの道で生きる人生もあったかと思います。でも妻やチームメイトが、本人以上に自分のことを信じてくれて。彼女や彼らがいてくれたから、復帰が可能になったと思います」

──いつ頃から、本格的に復帰を考えるようになっていたのでしょうか。

「2023年には、体は戻っていました。スパーリングをしても問題なかったですし。ただ今年の1月に薬剤師の国家試験があったので、試験を優先して試合に出るのは控えてしました」

──そして現役復帰ということは、国家試験の方は……。

「無事、合格でした」

──アッ、それは良かったです。おめでとうござます。

「ありがとうございます」

──国家資格は取ったうえで、MMAへの復帰を決めたのですね。

「ハイ。今は資格を生かして働くのではなく、MMAでもう一度上を目指そうと思って格闘技漬けの日々を送っています」

──ソン・ジンス選手が休養していていた5年間で、MMAシーンは変わり世界中から強い選手が生まれています。

「ハイ、世界は変わりました。UFCのレベルが、もの凄く上がっています。ただ本音を言えば、韓国はあまり変わっていないです。世界の進化のスピードに、置いて行かれているように感じています」

──そのように思われているのですね。そのような状況で復帰を決めたソン・ジンス選手は、目標をどこに定めているのでしょうか。

「まだ復帰を決めただけで何の結果も残せていない身分ですが、UFCで自分の力を発揮できなかったので今度こそという気持ちがないわけではないです。ただ、7月のRIZINで4万8000人ものファンが集まっている光景を見て、驚かされました。実はDEEPでベルトを巻いた時に、RIZINで戦わないかという話がありました。限られたファイター人生で、自分も4万8000人の前で戦いたい。その戦う機会があれば……と想像してしまいましたね。もちろん今回の試合で結果を残すことが大前提ですが、RIZINを視野にいれています」

──単刀直入に伺いますが、現状のソン・ジンス選手の力はUFCで戦っていた時代と比較して、どれぐらいだと認識していますか。

「UFCで戦っていた時より、成熟したと思います。体力的にはあの頃の方が上かもしれないですが、ファイトIQがついたことで練習仲間も『今の方が良い』と言ってくれています。その言葉で、自分も自信をつけることができています」

──先日インチョンで行われたRING Championshipのアマチュア大会で、チームメイトのコーナーに就いていました。今はどのような選手たちと練習をしているのでしょうか。

「コリアンゾンビMMAのコーチだったペク・スミンさんが創ったコーナーマン・ジムに所属し、イ・ユンジュンさんのチームAOMで出稽古をさせてもらっています。あとはONEバンタム級のクォン・ウォンイル選手とも練習しています」

──RIZINのレーダーに掛かるためにも、CORO戦ではどのような試合をしないといけないと思っていますか。

「以前、DEEPの試合に出ていた時は自分の強味も理解せずにガムシャラに戦っていました。今は、自分の長所が分かって戦えるはずです。ファンの皆が喜んでくれる試合をして、RIZIN関係者に評価される自信はあります。楽しく、激しい試合ができると思うので応援よろしくお願いします」

■DEEP123 視聴方法(予定)
12月8日(日)
午後5時05分~ YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

■DEEP123対戦カード

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
芦田崇宏(日本)

<バンタム級/5分3R>
ソン・ジンス(韓国)
CORO(日本)

<ライト級/5分3R>
西川大和(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
関原翔(日本)

<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
多湖力翔(日本)

<ライト級/5分3R>
神田コウヤ(日本)
山田聖真(日本)

<フェザー級/5分3R>
高橋遼伍(日本)
GINJI(日本)

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
小崎連(日本)

<フェザー級/5分2R>
安井飛馬(日本)
牧野滉風(日本)

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【Column】マカオで11年振りにUFCを取材して……何だかんだと、詮無いことを考えてしまった

【写真】本当にすさまじい盛り上がり方だった (C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)にマカオのギャラクシー・アリーナで開催されたUFN248:UFN on ESPN+106「Yan vs Figueiredo」。メインのピョートル・ヤン×デイヴィソン・フィゲイレドの激闘に沸き返る1万2000人超の館内をケージサイドから眺めて、「全然違う」と素直に思わされた。
Text by Manabu Takashima

何が違うのか。過去のマカオ大会とは、明らかに別モノだった。UFCが前回マカオでイベントを行ったのは2014年8月23日、もう10年以上も前になる。

ギャラクシー・マカオとアヴェニーダ・シダージ・ノヴァを隔てたザ・ベネチアン・マカオのコタイ・アリーナに7000人強のファンを集めたUFN48のメインは、奇しくも今大会でカラーコメンテーターを務めたマイケル・ビスピンが、カン・リーと相対した一戦だった。

マカオに初めてUFCが進出したのは、その2年前。2012年11月10日のUFC Macao(UFC Fuel TV06)で五味隆典、水垣偉弥、手塚基伸、漆谷康宏、福田力と日本人5選手も出場した。同大会での中国人ファイターの出場はジャン・ティエチュエンの1選手のみ。それでもコタイ・アリーナに8000人のファンを動員し、日本大会と並びアジアで定期的にイベントが行われるという期待が寄せられた。

この後、今はUFCを去ったマーク・フィッシャーを長とするUFCアジアは、TUF Chinaを軸とした中国人選手の育成という命題を挙げ引き続き2 度に渡りコタイ・アリーナ大会を取り行っている。2014年3月のTUF China Finale大会では、そのTUF Chinaウェルター級決勝戦でジャン・リーポン×ワン・サイが組まれ、ジュマビエク・トルスンと3人の中国人ファイターと共に日沖発と徳留一樹が参戦した。

上記にあるUFN48ではTUF Chinaフェザー級決勝ニン・グォンユ×ヤン・ジェンピン、ジャン・リーポンとワン・サイ&ヤン・ジークイと中国人選手は5人に増え、日本人出場選手は安西信昌と佐々木憂流迦の2人だった。

これら過去のマカオ3大会の集客数は6000人から8000人、コタイ・アリーナの一部を使用するスケールでイベントは実施された。3大会連続出場はキム・ドンヒョン。特に中国がフューチャーされるという風ではなく、アジア大会という空気感だったことが思い出される。

あれから10年、UFCにおける中国の存在感は比較にならないほど、重要になっている。

世界女子ストロー級王者ジャン・ウェイリは当然として、男子でもバンタム級のソン・ヤードンやウェルター級のリー・ジンリャンが北米要員として地位を確立。20人に及ぼうかという契約配下選手の多くは、上海PIで最先端のトレーニング環境が与えられ、現地のローカルショーからRoad to UFCという道を経て最高峰に辿り着いている。

フロリダのキルクリフFC、サクラメントのチーム・アルファメールと中国人選手が米国のジムで練習、所属することは何も珍しくなくなった。

今回のマカオ大会には上に名前を挙げた中軸ファイターの出場はなかったが1カ月に 3度から4度、世界のとこかで見られるUFCの日常的なイベントで、中国のファンたちはお祭り騒ぎ状態だった。

UFC300でジャン・ウェイリに挑戦したイェン・シャオナンを始めとする10人の同朋に、1万2000人越えの大観衆は「加油(チャーヨー」と、力いっぱい叫び続けた。特別でなく、ご当地ファンを応援する。そして世界のトップに声援を送るという──熱狂がギャラクシー・アリーナに渦巻いていた。

メディアの数は昨年、一昨年のシンガポール大会とは比較にならないほど多かった。プレスルームもそれだけ巨大だ。ざっと見まわして、中国メディアの数は80を下らなかっただろう。

それだけ投資をした結果といえばそれまでだが、お祭りでなく日常がビジネスになることは、大きい。何よりマカオ大会の熱狂は中国の人々のUFCを見る目が肥え、UFCを楽しめるようUFCが手を尽くしてきたからこその結果だ。

天文学的な額の投資やその勢いを買うだけの経済基盤が、かの国にある。だから時間を掛けることができた。投資を回収できないのであれば事業の見直すことになることも承知し、それだけ費やしてきた。残念ながら、我が国の経済はそのような余裕はない。プロモーターやファイター、ジム関係者、専門メディア、皆がそうだ。いうと一国全自転車操業状態。だから、目の前の利益を追求する必要がある。

複数の日本人ファイターがUFCのメインカードに名を連ね、サッカーのプレミアリーグで活躍したり、MLBでレギュラーを務める選手のような名声を得るにはどうしたら良いのか。そのような日はやってくるのか。

強さを追求しているだけでは食っていけないという言い訳をやめて、格闘技の本質を曲げないでいられるのか。あるいは強さが絶対の価値観を持つMMA界とするために、投機できるビリオンネアーが現れるのを待つのか。ギャラクシー・マカオを闊歩する大陸からやってきた人達を眺めつつ、そんな現実離れした考えしか思い浮かばなかった。

それでも今、日本のMMA界に奇跡的な神風が吹こうとしている。朝倉海のUFC世界フライ級王座挑戦は、特別なことだ。9年振り9カ月振りの日本人のUFC世界王座挑戦が、デビュー戦。彼の日本における影響力の大きさとフライ級の現状が合致した特別な世界王座挑戦に加えて、このチャレンジに化学反応を示す下地が今は少なからずある。

格闘技・冬の時代と呼ばれた頃に、「UFCで戦いたい」と猫も杓子も口にしていたのとは違う──本気で強さを追求することで、選択肢がUFC一択となったファイター達が存在している。平良達郎、中村倫也、鶴屋怜、木下憂朔、風間敏臣、井上魅津希──そんな面子に、Road to UFCと同時開催なんてことがあるなら強さを追求する純度と強度が高まるイベントの実現も可能になるに違ない。

この動きを一過性でなく、恒常性とするには……強さが軸となるマッチメイクをプロモーターが組める仕組みを構築すること。それにはファイターとプロモーターが対等の立場になる環境創りが欠かせない。過去の慣例に縛られない。過去の成功例でなく、今の成功例に目をやること。

近い例でいえば、それこそ朝倉海の大抜擢だ。なぜ、デビュー戦&世界挑戦が現実のモノとなったのか。彼はRIZINが求めることをやり抜き、UFCが求めるモノを追求してきた。その姿勢を学ばずに「RIZINで戦いたい」、「UFCと契約する」と口にしても、正直どうしようもない。

Road to UFCも然りだ。入口に立つことが大切なのは、UFC本大会であってRoad to UFCではないはず。出場を目指してレコードを綺麗にするために、強い相手との対戦を避けるような姿勢では、豪州が加われることが予想される次回大会を勝ち抜くことができるだろうか。

今やコンテンダーシリーズもそうだが、Road to UFCという「勝てば官軍」的なトーナメントで生き残るのは綺麗なレコードは当たり前。それも強い相手を食って、綺麗なレコードである必要がある。

韓国人ファイターだが、ユ・スヨンは昨年12月のNAIZA FCの敗北後に1月にBlack Combatでキム・ミウ戦と戦った。結果はNCだった。この2試合を経てRoad to UFCに出場できなかったかもしれない。

と同時に、この2戦を経験していないと今の強さがなかったかもしれない。要はユ・スヨンはRoad to UFCで戦う権利を得るために、チャレンジをした。

チェ・ドンフンは強いが試合が面白くないという韓国内での評判を、Gladiatorの2戦で払拭した。日本での試合は、現状を変えるために必要だった。

倒せる武器があることを自認し、準決勝まで勝利を最優先とした。そしてファイナルは見事なKO勝ちを飾った。彼もまた昨年12月と今年の2月と日本で戦って、Road to UFC出場権を得ている。

レコードが汚れるリスクを冒して、戦績を積んだうえでRoad to UFCに出場しても勝てないこともある。実際に河名マストや本野美樹はそうだったと言える。だからこ、その姿勢を評価する業界になることが、日本が強くなる第一歩ではないだろうか。

頂きを目指すには、登山口がどこにあるのか。そのルートをしっかりと確認、精査しないと登山はできない。その挑戦が成功例も失敗談も将来に活かすことはできないままで終わる。

根本として、日本を強くするのはプロモーターではない。ジム、そしてファイターだ。それを評価するのがプロモーターの役割で、さらに商売にする才覚が求められる。中継パートナーも同様だろう。ではメディアの役割とは何か……正直、専門メディアの役割など、もうとうになくなったのではないかと思っている。

フォロワーが多いインフルエンサーに、しっかりと格闘技を伝えてもらう方がよほど、Yahooへの転載でPV数を増やしてGoogle広告で生き永らえようとする専門メディアより影響力があるはず。影響力のある有名人や中継局、大手メディアに対して、情報提供でなく知識の共有を目指した記事を書く。それが、実はネット時代になる以前と変わらぬ専門メディアが果たすべき役割だ。


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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN248 キック デイヴィソン・フィゲイレド ピョートル・ヤン ボクシング

【UFN248】前に出る・圧力をかける・仕掛け続けるヤンがフィゲイレドとのタフファイトを制す

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン(ロシア)
Def.3-0:50-45.50-45.50-45.
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

ヤンが左手を前に出した構えでプレッシャーをかける。ヤンがスイッチすると、フィゲイレドは右ミドルを蹴ってシングルレッグに入ると、四つ組みから大内刈りでテイクダウン奪う。ヤンがフィゲイレドの体を足で浮かせると、フィゲイレドはパスガードを狙いながらヤンの頭をがぶる。

フィゲイレドはギロチンのプレッシャーをかけつつ、ヤンの後ろに回り込み、足を入れて四の字クラッチする。ここからフィゲイレドがバックコントロールすると、ヤンも一気に振り向いて正対し、インサイドガードでトップキープする。

ヤンは左手でフィゲイレドの口をふさいで、そのまま左手を滑らせるようにヒジを入れる。さらにヤンは中腰の態勢からヒジを落とし、自分の左側に回ってパスを仕掛ける。フィゲイレドはヤンの左腕にキムラを狙い、ヤンに立ち上がる。スタンドの状態でラウンド終了となった。

2R、ヤンがサウスポーにスイッチして右の関節蹴りと右ハイキック、フィゲイレドもサウスポーに構える。ヤンは右の関節蹴りを繰り返す。ヤンはフィゲイレドがサウスポーに構えると右ミドル。フィゲイレドはヤンの左ミドルを取ってテイクダウンを狙う。

ヤンは右ハイから攻撃をまとめる。フィゲイレドも右ミドルを蹴って。スイッチしながら距離を詰めていく。近距離では互いにヒジを見せ、ヤンが右フックで前に出る。フィゲイレドはスピニングバックキックと右ストレートで前進する。

ここから互いにスイッチを繰り返し、ヤンがサウスポーでワンツーと右フック、左ストレートでプレッシャーをかけ、右前蹴りから左ストレートにつなげる。フィゲイレドもワンツー。ヤンは右ミドルから左のヒジ。フィゲイレドがジャブから右ストレート。ヤンは左ストレートと左ミドル、パンチからの大外刈りでテイクダウンする。

3R、ここもヤンがサウスポーに構えて左ローと右ミドル、フィゲイレドは右ボディを狙う。お互いに細かくスイッチを繰り返して蹴り合う中、フィゲイレドがダブルレッグでテイクダウン。ヤンもすぐに下から足をすくって立ち上がる。

ヤンが左ローを蹴って右アッパーを打ち込むと、フィゲイレドが尻餅をつく。フィゲイレドがが足関節を狙うと、ヤンは足を抜いてインサイドガードでトップキープする。ここからヤンは体を起こして鉄槌を連打。フィゲイレドがケージ際に移動して立とうとするとバックを狙う。

ここはフィゲイレドも足をフックさせずに立ち上がる。サウスポーのヤンは左カーフと右ミドル、組みの展開になるとどちらも譲らず。前に出るヤンに対し、フィゲイレドは右ストレートを返して組みのフェイントを入れる。フィゲイレドはワンツー、左右のミドル。ヤンは距離が詰まるとヒジを振り、左ストレートを効かせると、大外刈りを狙いつつ、左アッパーから右フック、飛びヒザ蹴り、左ストレートと手数を増やす。

4R、オーソドックスの両者。ヤンがサウスポースイッチすると、フィゲイレドは左右の前蹴り。ヤンが左ストレートからグラウンドで上を取ると、フィゲイレドが足関節を狙い、ヤンはすぐに足を抜いて逃げる。フィゲイレドは左ミドル、シングルレッグで組みつくと両差しでヤンをケージに押し込む。ヤンも四つ組みに戻して離れる。

ヤンがじりじりと前に出て左アッパーと左ハイ。これでフィゲイレドの足が止まる。フィゲイレドがもヤンの左の蹴りを取ってバックにつくが、ヤンもすぐに正対する。

さらにヤンは右ハイ、フィゲイレドのパンチをかわして左ストレートを返し、ジャブと右アッパーを当てる。頭を振って入ってくるフィゲイレドに対し、ヤンはジャブと左ヒジ。フィゲイレドは右ボディ、四つで組むがテイクダウンにはつながらない。

逆にヤンは左ストレートと左アッパー、左ヒザ蹴り。右手を伸ばしてダーティボクシングで左アッパーをつきあげる。ここでフィゲイレドの右ストレートでで尻餅をつくが、立ち上がったヤンもすぐに左ストレートを返して右フック、首相撲からヒザ蹴りを突き上げた。

5R、フィゲイレドが右アッパーから左ストレート。ヤンが大外刈りを狙ってきても、すぐにディフェンスする。ヤンも右フックから左ストレート、フィゲイレドは右フック、左のロングフックで前に出る。ヤンはサウスポーから左ミドルを蹴ってシングルレッグに入りつつ、右の顔面前蹴りを蹴り上げる。

フィゲイレドが左ストレートから前に出るとフィゲイレドはバックステップする。フィゲイレドはボディを狙いつつ、ヤンはスピニングバックエルボーを繰り出す。フィゲイレドもスピニングバックフィストを狙うが不発。組みつくヤンが離れ際の左ストレートと右ハイ、フィゲイレドも右ハイを蹴り返してワンツー、右ボディ。

フィゲイレドが打撃で前に出て、ヤンがダブルレッグで組みつくがグラウンドにはいかない。残り30秒、フィゲイレドは右ヒジで踏み込み、ヤンは組みになるとヒザ蹴りと右ミドル、自ら組んでテイクダウンを狙う。ここで試合終了となり、判定はジャッジ3名とも50-45でヤンが勝利を収めた。


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45 AB Black Combat DEEP MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC UFN UFN248 YouTube イェン・シャオナン オジー・ディアス カーロス・アルバーグ カーロス・ヘルナンデス ガブリエラ・フェルナンジス キル・シン・サホタ クァン・リー シャオ・ロン シー・ミン ソン・ケナン タバタ・ヒッチ チィルイイースー・バールガン チェ・ドンフン チャン・ミンヤン デイヴィソン・フィゲイレド ピョートル・ヤン フン・シャオカン マァフゥシャトゥ マラブ・デヴァリシビリ ムスリム・サリコフ ユ・スヨン ロナー・カヴァナ ワン・ソン 原口伸 透暉鷹 野瀬翔平

【UFN248】打高組低=Road to UFCバンタム級決勝へ。ユン・スヨン「グラップリングで攻め続ける」

【写真】それでも自分を貫く。それが、勝利を手にする最善の策なのだろう(C)MMAPLANET

明日23日(土・現地時間)、マカオはコタイにあるギャラクシー・アリーナで開催されるUFN248:UFN on ESPN+106「Yan vs Figueiredo」に組み込まれたRoad to UFC決勝戦。
Text by Manabu Takashima

そのバンタム級ファイナルで、ユ・スヨンがチィルイイースー・バールガンと戦う。Black Combatで3階級制覇。カザフスタンでもNIZAでバンタム級王者となり(昨年12月に王座陥落)、日本ではご存じのようにDEEPバンタム級のベルトを巻いた(Road to UFCに出場するために返上)ユ・スヨンは、初戦で野瀬翔平に組み勝った。

組み伏せることへの評価が減少したMMAにあって、ユ・スヨンは組み続けて勝つという――自分のスタイルを貫くことを決めていた。


――1週間後にRoad to UFCの決勝が迫ってきました(※取材は16日に行われた)。今の気持ちを話していただけますか。

「コンディションは凄く良いです。減量も順調ですし、作戦も出来上がりつつあります。このままいけば、大会当日は良い試合を見せることができると思います」

――米国では調整に苦労したと伺いました。今回はマカオですが、その辺りに関して気持ち的には楽ですか。

「長時間の飛行機の旅は、コンディションにも少なからず影響を与えると思います。でもマカオまでは4時間ほど、映画を2本でも視れば到着します。なにより時差が少なく、調整のために早く現地入りする必要もないので、気持ちは楽です。最後まで韓国で調整できますし。ただ減量に関しては、毎回違ってくるのでそこは慎重になっています」

――チィルイイースーを相手に完全アウェイとなることも考えられます。

「上海のPIで、チェ・ドンフン選手が中国人選手と戦った試合を見ていてアウェイだとは感じました。チェ・ドンフン選手も『良くない意味で特別でした』と話していました。実際にオクタゴンに立ってみて、どのように思うのか。それは分からないですが、今のところは気にしていないです。とにかく自分のやるべきことをやる。そこに集中したいと思います」

――Road to UFCでなく、UFCのイベントです。UFCファイターの中で戦うことになります。

「まだ決勝で勝ったわけでも、契約できたわけでもないです。なので、しっかりと気を引き締めて戦うだけで。Road to UFCだとか、UFCで試合が組まれたとかは関係ありません。ただマカオで中国人選手と戦うことで、注目度が高くなるはずです。そういう場で、中国の選手に勝つことで注目度が上がる。それはチャンスだと捉えています」

――ではチィルイイースーとの対戦に向けて、特別な対策練習などしてきましたか。

「相手云々よりも、自分の良さが出せるように仕上げてきました。Road to UFCの初戦、準決勝を経験して自分のグラップリングの強さを出して戦いたいと思うようになったので」

――それは過去2試合のデキには、満足できなかったということでしょうか。

「う~ん……。1回戦は打撃が足らなくて、準決勝は打撃だけでなく、もっとトップコントロールできたはずだと考えています。そこに悔いが残っているので、しっかりと修正し強くなったユ・スヨンを見てもらえると思います」

――ではチィルイイースーの印象を教えてください。

「気持ちが強く、技術的には右ストレートには気をつけないといけないです。ただ、そこを上手く戦うことができれば問題ない相手です」

――透暉鷹選手にも右を当てて、テイクダウンに入っていました。

「あれは透暉鷹選手が相手だから、できただけだと思います。自分は透暉鷹選手とは違い後ろ足重心になって、パンチからテイクダウンされても即スイープを仕掛けることができます」

――準決勝で原口伸選手が敗れた試合に代表されるようにテイクダウンとコントロールへの評価が下がっているなかで、試合の組み立て方をアジャストする必要を感じることは?

「何が正解かは分からないですが、殴って来れば組んでテイクダウンへ。距離を取ってくるなら、自分の方が詰めて殴る。そんな風に戦おうと思います。スタイル的にマラブ・デヴァリシビリのように力強いグラップリングで先手を取る。何度も、ぶつけることが必要だと思います。15分間、自分がグラップリングで攻め続けます。その自信はあります」

――日本人選手が決勝に残らなかった決勝戦。日本のファンはDEEPチャンピオンだったユ・スヨン選手を応援するかと思います。そんなファンに一言お願いできますか。

「Road to UFCの決勝まで進めたことで、ある程度はDEEPのチャンピオンとして強さを見せることができたのは嬉しいことです。日本人選手と戦ってグラップリングのレベルの高さは分かっています。そういう戦いを経験して、自分も強さを身につけることができました。毎試合、成長しているユ・スヨンを見せるつもりですので、楽しみにしてください」

■視聴方法(予定)
11月23日(土・日本時間)
午後5 時00分~UFC FIGHT PASS
午後4時45分~U-NEXT

■UFN248計量結果

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン: 135.5ポンド(61.46キロ)
デイヴィソン・フィゲイレド: 135ポンド(61.24キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
イェン・シャオナン: 116ポンド(52.62キロ)
タバタ・ヒッチ: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン: 171ポンド(77.56キロ)
ムスリム・サリコフ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン: 126ポンド(57.15キロ)
ガブリエラ・フェルナンジス: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア: 206ポンド(93.44キロ)
カーロス・アルバーグ: 205.5ポンド(93.21キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
オジー・ディアス: 205ポンド(92.99キロ)
チャン・ミンヤン: 205ポンド(92.99キロ)

<Road to UFCバンタム級決勝/5分3R>
ユ・スヨン: 135.5ポンド(61.46キロ)
チィルイイースー・バールガン: 135ポンド(61.24キロ)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
チェ・ドンフン(韓国)
キル・シン・サホタ: 126ポンド(57.15キロ)

<Road to UFC女子ストロー級決勝/5分3R>
シー・ミン: 115.5ポンド(52.38キロ)
フン・シャオカン: 115ポンド(52.16キロ)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス: 125.5ポンド(56.92キロ)
ニャムジャルガル・トゥメンデムベレエル: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ: 126ポンド(57.15キロ)
ホセ・オチョア: 125ポンド(56.7キロ)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン: 135ポンド(61.24キロ)
クァン・リー: 136ポンド(61.69キロ)

<ライト級/5分3R>
マァフゥシャトゥ: 155.5ポンド(70.53キロ)
ニコラス・モッタ: 155ポンド(70.31キロ)

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45 AB Black Combat DEEP Grachan MMA MMAPLANET NEXUS o Road to UFC UFC UFN UFN248 YouTube   イェン・シャオナン オジー・ディアス カーロス・アルバーグ カーロス・ヘルナンデス ガブリエラ・フェルナンジス キル・シン・サホタ クァン・リー シャオ・ロン シー・ミン ソン・ケナン ソン・ヤードン タバタ・ヒッチ チィルイイースー・バールガン チェ・ドンフン チャン・ミンヤン デイヴィソン・フィゲイレド パンクラス ピョートル・ヤン フン・シャオカン ブラック マァフゥシャトゥ ムスリム・サリコフ ユライア・フェイバー ユ・スヨン ロナー・カヴァナ ワン・ソン

【UFN248】計量終了 続報女子握手問題&グータッチ禁止?! ジョーカーorオバQ、ブラックさん現れる

【写真】このメイクは正直、微妙。でも、そのやる気は買いたい(C)MMAPLANET

22日(金・現地時間)、明日23日(土・同)にマカオはコタイのギャラクシー・アリーナで開催されるUFN248:UFN on ESPN+106「Yan vs Figueiredo」の計量が同地アンダース・ホテルのボールルーム16で行われた。
Text by Manabu Takashima

メインはピョートル・ヤンとデイヴィソン・フィゲイレドの元バンタム級&フライ級の世界王者対決。昨日の会見で「チーム・アルファメールで練習しているらしいけど、あのチームのファイターと俺はこれまで3度戦って3勝0敗だ。それが4勝0敗になるだけ」とフィゲイレドだけでなく、壁際で会見の様子を眺めていたユライア・フェイバーまで挑発したヤンだったが、計量後のフェイスオフでは互いに目立った挑発行為は見られなかった。

そのヤンは中国メディアのソン・ヤードンと再戦はないのかという問いに「俺はあいつを買っている。だから、もうあんな酷い目に合わせたくないんだ」と英語で返答。その英語が相当にスローモーだったため、逆に強烈な嫌味を発しているようにも見え――元ポルトガル領のマカオですっかりヴィランの役割を果たしていた。

ランク2位ながら10位との対戦を受けた理由を会見で「このオファーを受けたのは、ただ一つ母国のファンの前で戦いたかったから」と話していたコメイン出場のイェン・シャオナンも、タバタ・ヒッチと共に問題なく計量をクリアしていた。

2時間設けられた本計量、残り15分でワン・ソンと相対するガブリエラ・フェルナンジスがパスし全13試合、計26選手全員が計量失敗することなく終了した。

フェルナンジスが計量を終えた15分後に始まったフェイスオフ。その彼女と戦うワン・ソンはジョーカーの異名通りのメイクで登壇し、中国語でフェルナンジスを挑発する。しかし、笑顔を浮かべて若干オバQのようなワン・ソンに対し、「何を言っているのか分からない」とフェルナンジスは苦笑いを浮かべるのみだった。


それでもワン・ソンとフェルナンジスはしっかりと握手をして別れた。MMAPLANETが追い続けるファイスオフで女子選手は握手をしない問題――。今回は13試合中2試合で、フェイスオフ前後ともに握手がなかった。一つはRoad to UFC女子ストロー級決勝で同胞対決となるシー・ミン×フン・シャオカン。もう1試合はライトヘビー級=ヴォルカン・オズデミア×カーロス・アルバーグだ。

とはいえオズデミアとアルバーグの両者は向かい合うとグータッチをしようとし、拳を握っていたからか立会人のミック・メナードがスッと手を差し伸ばして両者の接触を避けた。つまり、事実上握手をしなかったのはシー・ミンとフン・シャオカンのみ。UFCマカオ大会でも女子は握手をしない説はまかり通ったことになる。

そんな計量でワン・ソンに次ぎ、気合が入っていたのがニャムジャルガル・トゥメンデムベレエルだ。モンゴルの民族坊を被り、胸の大きな虎のタトゥーの迫力が際立つニャムジャルガルに、UFCスタッフから「スーパークール」という声も聞かれた。

また計量会場にはBlack Combatのブラック代表の姿も確認されている。自らのプロモーションのバンタム級王者ユ・スヨンの戦いを見届けにきていたブラックさんに12月28日のコリョ大学でのイベントについて尋ねると、「日本から4選手が出場する」と明言。パンクラスのクリスマス決戦こそなくなった2024年だが、日韓MMAワールドは大晦日前の最後の1週間で未発表のイベントも合わせると4大会が実施される模様だ。それ以前に国内では上記にあるパンクラス、DEEP、NEXUS、GRACHAN、韓国ではZFNも行われ――まさにJ&K MMA界は僧侶こそ走り回ることはないが、大忙しの1カ月になりそうだ。

■視聴方法(予定)
11月23日(土・日本時間)
午後5 時00分~UFC FIGHT PASS
午後4時45分~U-NEXT

■UFN248計量結果

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン: 135.5ポンド(61.46キロ)
デイヴィソン・フィゲイレド: 135ポンド(61.24キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
イェン・シャオナン: 116ポンド(52.62キロ)
タバタ・ヒッチ: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン: 171ポンド(77.56キロ)
ムスリム・サリコフ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン: 126ポンド(57.15キロ)
ガブリエラ・フェルナンジス: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア: 206ポンド(93.44キロ)
カーロス・アルバーグ: 205.5ポンド(93.21キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
オジー・ディアス: 205ポンド(92.99キロ)
チャン・ミンヤン: 205ポンド(92.99キロ)

<Road to UFCバンタム級決勝/5分3R>
ユ・スヨン: 135.5ポンド(61.46キロ)
チィルイイースー・バールガン: 135ポンド(61.24キロ)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
チェ・ドンフン(韓国)
キル・シン・サホタ: 126ポンド(57.15キロ)

<Road to UFC女子ストロー級準決勝/5分3R>
シー・ミン: 115.5ポンド(52.38キロ)
フン・シャオカン: 115ポンド(52.16キロ)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス: 125.5ポンド(56.92キロ)
ニャムジャルガル・トゥメンデムベレエル: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ: 126ポンド(57.15キロ)
ホセ・オチョア: 125ポンド(56.7キロ)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン: 135ポンド(61.24キロ)
クァン・リー: 136ポンド(61.69キロ)

<ライト級/5分3R>
マァフゥシャトゥ: 155.5ポンド(70.53キロ)
ニコラス・モッタ: 155ポンド(70.31キロ)

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45 AB MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC UFN UFN248 YouTube   イェン・シャオナン オジー・ディアス カーロス・アルバーグ カーロス・ヘルナンデス ガブリエラ・フェルナンジス キル・シン・サホタ クァン・リー シャオ・ロン シー・ミン ジャスティン・ゲイジー ソン・ケナン タバタ・ヒッチ チィルイイースー・バールガン チェ・ドンフン チャン・ミンヤン ディエゴ・ロピス デイヴィソン・フィゲイレド ピョートル・ヤン フン・シャオカン マァフゥシャトゥ マックス・ホロウェイ ムスリム・サリコフ ユ・スヨン ロナー・カヴァナ

【UFN248】「BMFタイトル戦には敗者はいない?」。マカオを訪れたジャスティン・ゲイジーに訊く

【写真】ショートインタビューだったが、早口で多くを話してくれたゲイジー。しゃべりも勢いがあります (C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)、マカオはコタイにあるギャラクシー・アリーナで開催されるUFN248:UFN on ESPN+106「Yan vs Figueiredo」にジャスティン・ゲイジーが、ディエゴ・ロピスと共にゲストファイターとして訪れている。
Text by Manabu Takashima

もはや東洋のラスベガスといっても過言でないマカオ・コタイ地区のナイトライフを楽しんでいると公言するゲイジーに、そのファイトスタイルとBMF王座、そしてUFC世界ライト級タイトルの関係性について尋ねた。


――ジャスティン、実はWSOF時代に日本のGONGマガジンのインタビューをラスベガスでさせていただいたことがありました。もう10年も昔の話になりますが……。

「10年っていうことはないだろう。15年は昔だよ(※ゲイジーのMMAデビューは2012年)」

――とにかく大昔ですね。お父さんやおじいさんが銅の採掘をしていたという話をしてくれました。

「あぁ、アリゾナのモレンシー銅山で穴を掘っていたんだ」

――あの時、D-1オールアメリカン・レスラーのジャスティンに「なぜ、テイクダウンを使わないのか」を尋ねました。そうすると「レスリングじゃない。プロのファイトはファンをエキサイトさせないといけない」という風にジャスティンが返答してくれた記憶があります。

「それが俺のファイトだからね。レスリングをやるためにMMAファイターになったわけじゃない。ファイトをして稼ぐためにMMAを戦ってきたんだ」

――ハイ。そのスタイルをWSOFで3年間続けてUFCに転じた時は、正直なところジャスティン・ゲイジーもいよいよ戦い方を変える時がきたと思っていました。世界最高峰であの戦いを続けることはできないだろうと。それが……。

「ノー。俺は変わらない。これまでも、これからも。心配しなくて良いよ。俺はずっと、このままだ(笑)」

――いや、体のことは心配しますよ(笑)。

「アハハハハ。そこも心配しなくて構わない。なぜなら、俺が選んだことだから。レスリングは疲れる。レスリングをやると、バテて試合も勝てない。だから、殴り合っているんだ。それが俺の勝ち方で。レスリングをやっても、俺は勝てない」

――D-1オールアメリカン・レスラーが、本当にそうなのでしょうか。

「ファンだって、こっちの方が良いだろう? 俺もこっちが好きなんだ。レスリングじゃない、ファイトが」

――もちろんファンも、プロモーターもその方が良いです。では家族はどうでしょうか。

「おお、そっちか……。でもさ、マムが双子の俺たちにレスリングをやらせたんだ。4歳の時にゴルフキャップを持ってきて、ゴルファーになるか、レスリングをやるのかって尋ねられた。俺たちはゴルフを選ぶ気は一切なかった。でも、こうやって自分のスタイルを続け、いつだって求められた試合をしてきたことで今の俺がある。ファイトしてきたから、皆が俺を認めてくれたんだ」

――確かに普通のUFCファンは、世界王者を全て知っているわけではないですしね。

「でも、俺のことは忘れないだろ。それは俺があの戦いを続けてきたからだ」

――そこでジャスティンに尋ねたいことがありました。BMFのタイトル戦を戦う時と、UFC世界ライト級選手権を戦うときは気持ちの面など違いはあったのでしょうか。

「う~ん、リアルベルトが掛かっている時はプレッシャーがより大きかった。だって、勝つしかないだろ? チャレンジャーは。1試合、1試合がそれぞれしっかりと経験になるのは絶対だ。ただし勝って手にしてきてモノは、負けると全て奪われる。だからこそ、全ての試合で新しい経験ができる。そして、試合が終わると自分が何者が再確認できるんだ。全てが経験値を高めてくれる。それでも、世界タイトル戦のプレッシャーは群を抜いている」

――その点でいえば、BMFタイトル戦は戦う意思を見せ続ければ試合に負けても、敗者はいない。そんな印象を与えることができる戦いになります。

「うん、その意見は正しいな。ファイトはファンが喜ぶためにあるからね。そうだな……逃げずに、真っ向から戦う姿を見せることができればファンは文句を言わない。そして俺は自分がやりたいように戦っている。俺のファイトを、俺のことを皆がいつまでも覚えてくれるような戦いを続けたい。それには、インパクトのあるフィニッシュが欠かせない。

俺はマックス・ホロウェイでKOされた。ただし、そこには勝敗を超越した何かがあって……その何かを皆に見てもらうことはできたはずだ。それでも勝者と敗者は違う。負け喜んでいるヤツはない。ただし、ファンに認められているなら敗者はいないという意見は正しいと思う」

――ではジャスティンはUFC世界王座挑戦と、BMFタイトル挑戦を二者択一ということが起こった時には、どちらにチャレンジしたいと思うのでしょうか。

「もちろんライト級のワールドタイトルだ」

――それでも戦い方は変えない?

「MMAってクレイジーなんだ。俺が(シャーウス)オリヴェイラにレスリングを仕掛けてどうなる? ヤツの庭に自分から飛び込んでいくようなモノだろ?  一発、アイツの頭にパンチをぶち込んだら勝てる。殴り倒してからも、寝技をさせないためにパウンドにもいかなった。オリヴェイラが背中をつけていたから。それでも、俺は負けた。クレイジーだよ」

――オリヴェイラがスタンドで待つジャスティンに右を当ててダウンを奪ってから後ろ三角、そしてRNCで逆転勝ちでした。となると、さきほどレスリングをすると疲れると言っていましたが、例えばダゲスタンのレスラーとレスリングを使って戦うのも手ではないでしょうか。

「そりゃあ、使うだろう。ただしテイクダウンを奪うことだけがレスリングじゃない。テイクダウンを切るのもレスリングだ。レスリングはオフェンスとディフェンスがある。俺はレスリングを立って戦い続けるために使う。KOするために。足を蹴って頭を殴って倒すために、ね」

――そんなジャスティンの試合を次に見られるのは、いつ頃だと期待して良いですか。

「3月だ。俺は3月に戦いたい。相手は分からないけど、UFCが決めることだ」

――またビッグファイトになりそうですね。

「そりゃあ、そうだ。俺はいつだってビッグファイトをやってきたから」

■視聴方法(予定)
11月23日(土・日本時間)
午後5 時00分~UFC FIGHT PASS
午後4時45分~U-NEXT

■UFN248対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン(ロシア)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
イェン・シャオナン(中国)
タバタ・ヒッチ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
ムスリム・サリコフ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン(中国)
ガブリエラ・フェルナンジス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア(スイス)
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)

<ライトヘビー級/5分3R>
オジー・ディアス(米国)
チャン・ミンヤン(中国)

<Road to UFCバンタム級決勝/5分3R>
ユ・スヨン(韓国))
チィルイイースー・バールガン(中国)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
チェ・ドンフン(韓国)
キル・シン・サホタ(英国)

<Road to UFC女子ストロー級準決勝/5分3R>
シー・ミン(中国)
フン・シャオカン(中国)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス(米国)
ニャムジャルガル・トゥメンデムベレエル(モンゴル)

<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ(英国)
ホセ・オチョア(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(米国)
クァン・リー(ベトナム)

<ライト級/5分3R>
マァフゥシャトゥ(中国)
ニコラス・モッタ(ブラジル)

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:9月 マラブ×オマリー「マラブは変な人。だからあれをやりきれる」

【写真】ファイトスタイルそのものは疲れるスタイル。それを5Rやりきってしまうのがマラブの強さだ(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年8月の一番──9月14日に行われたNOCHE UFC 306のマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリーについて語ろう。


――9月の一番はマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリーの一戦を選んでいただきました。この試合はマラブの強さが目立った試合だったと思います。

「色々と僕の中でも見どころがあった試合で、マラブのようなタックルマシーンに対して、オマリーのようなストライカーがどう戦うのか。そこは自分自身の現役時代からの永遠のテーマでもあり、この試合でもそこを主に見たい、もっと言うならオマリーがどういう戦い方をするのかを見たかったんですね。結果的にはオマリーがストライカー病というか、マラブのタックルを警戒して手が出ないという、よくあるパターンにハマっちゃったなっていう感じでしたね。と同時に、このテーマはまだまだ続くなと思ったのが正直な感想です」

――試合全体を通して見ると、1Rに2回組まれてテイクダウンを許してしまったことが、2R以降の試合展開に影響を与えたと思います。

「ずばりそれだと思いますね。1Rが始まってテイクダウンされるまでのオマリーは、割と前蹴りだったり攻撃が出ていたんですよね。逆にマラブはいつもよりちょっとな控えめで、タックルに行きにくそうに見えました。でもそこで1回マラブがテイクダウンを取ったことで、徐々にオマリーの手が出なくなってきて。オマリーからすると打撃を出すとマラブに触れる、警戒して打撃を出せないというパターンにハマっていった印象です」

――仮に組まれたとしてもマラブのクリンチをはがしたり、完全には寝かされない状況を作っていれば違ったと思うのですが、しっかり組まれてしまった印象があります。

「そうなんですよね。結構ちゃんと組まれてしまって、その後のラウンドもすぐに立ち上がることができない展開になってましたよね。それだけ1Rにテイクダウンされた時に、もうテイクダウンされたくないなというのがオマリーの中で出てきちゃったんだと思います。マラブは割とテイクダウンしても相手を立たせるタイプなんですけど、オマリーは一度組まれて尻餅をつかされると、そのまま動きが止まったり、下になる展開が長かったように見えました」

――もちろんオマリーもレスリング・組み技への対応はできる選手だと思いますが、マラブのような超トップ選手との対戦は少なかったと思います。

「まさにそれもあって、正直過去の対戦相手を見ると、あまりマラブのようなタイプとはやってないんですよね。アルジャメイン・ステーリングとやった試合が初めてレスリングが強力な相手とやった試合だと思うんですけど、アルジャメイン戦も2R開始直後にパコーン!と一発で倒しちゃったので、レスリングや組みの技術をちゃんと見ることが出来ないままだったんですよね。そういう部分で、マラブとやってどうなのかなと思っていたのですが、 やや安易にグラウンドで下になったり、ガードポジションを取ったりしていて。オマリーはグラウンドで下からガンガン戦えるタイプでもないと思うのですが、そこで立ちに行く感じでもなかったので、組まれる・テイクダウンされるとキツいというのが見えちゃいましたよね」

――どうしてもマラブクラスのレスリング力がある選手と対戦すると、その部分で差が出てしまいますよね。

「そこは相性の問題もあると思います。ストライカーとレスラーは、単純に言うとどうしてもストライカーは相性が悪くて、その相性の悪さがもろに出ちゃったのかなと。例えばジョゼ・アルドやピョートル・ヤンがマラブとやった時、アルドは下がりながらテイクダウンに対処する感じで、テイクダウンは許さなかったんですけど、その代わりにケージに押し込まれ続けたんですよね。で、ヤンはスイッチを使いながら対応しようとしたのですが、マラブにそこを上回られてしまうという試合でした。じゃあオマリーはどうなんだ?というところだったのですが、結果的にオマリーはアルドやヤンのところまではいかなかったなというのが正直なところですかね」

――見ている側からすると、テイクダウンをディフェンスできないなら、打撃を思い切り当てにいくという選択肢はなかったのかと思うのですが、そこはファイター側からするとどうなのでしょうか。

「あとは一発を当てに行きたいは行きたいんですけど、結局そこで組まれちゃうんで。一発を当てるタイミングを探っているうちに結局(試合が終わる)なんですよね。ようは一発を当てるための距離になる=組まれる距離なので、行ったら組まれるという感覚もあるんですよ、タックル系の選手に対しては。だから一発を当てるための行き方が難しいんですよね、単純に思いっきりいけないという」

――その一発を当てるためには組み立ても必要だし、そうしているうちに組まれるリスクが大きいということですね。

「一発にかけるということは、ある程度の強打を当てて、その一発でKOするなり、ダウンさせるなり、大ダメージを与えるのが欲しいじゃないですか。リスクを追う分の見返りが欲しいというか。それに見合う一発を当てる距離まで詰めるというと、またそこですごく難しくなってきますよね」

――あとマラブの方もテイクダウン以外でかなり細かいパンチのフェイントを入れたり、目線を散らしたり、体を上下させたり、常に動き続けていますよね。

「動きそのものが多いですよね。絶対打撃が届かない距離でもシャドーボクシングやスイッチしたり、地味な動きなんですけど、それをずっと繰り返している。ただタックルだけ狙っているより、こういう動きをやられると嫌ですよね」

――相手からすると、あれだけちょこちょこ動き続けられると、フェイントだと分かっていても引っかかってしまうものですか。

「あとはやっぱりああやって動いている中で、本物と偽物の(動きの)違い、本当に来る時と来ない時って、 何もしないでバッ!と来るより、色々と動いてる中でバッ!と来る方が、対応も遅れると思うんですよね。そういう部分はあると思います。だからあれだけ目の前で動き続けられていたら、やりにくいと思いますね」

――オマリーも5Rに三日月蹴りを効かせる場面がありました。メラブは試合後に「効いていない」と言っていましたが……。

「あれは効いていたと思います。分かりやすくお腹をさすってましたからね」

――右の三日月蹴りをもらったあとのシーンですが、あの前の左の三日月蹴りも効いていたと思います。

「あれも絶対効いてましたね。ボディが効いたかどうかは本人しか分からないし、効いていても『効いてない』って言い張ると思うんですけど、セラ・ロンゴ・ファイトチームで一緒に練習していた(井上)直樹くんの話だと、練習でもマラブは腹を効かされていたことが結構あると言っていたんで、マラブは腹が弱いんじゃないか説も出てますね。だから試合展開や相性もあるんですけど、あれがもっと早い段階で来ていたら、面白かったのかなという気もしますよね」

――それまでの打撃とは違い、明らかにオマリーのプレッシャーがかかっていた時間でした。

「そうですね。あれはオマリーが5Rに判定で勝つのがほぼダメだろうと思っていた中での開き直りがあったから、また前に出始めたんだと思います。もうテイクダウンされてたとしてもしょうがないって気持ちがあったからこそ、もう1回(打撃を)作り直したんじゃないかなと思います」

――5Rに弱みを見せたメラブですが、あのテイクダウンを軸にしたファイトスタイル&無尽蔵のスタミナは真似できないですよね。

「あのスタミナは異常ですね。ファイトスタイルそのものは疲れるスタイルだと思うんですよね。今回の試合はトップを取ってからキープする時間が長かったですが、他の試合では結構立たせるんです。で、また倒す。倒して、立たせて、倒して…を繰り返して倒してテイクダウンの数で印象つけるみたいな、めちゃめちゃしんどい戦い方をしているので、それが出来るスタミナは尋常じゃないですね。対戦相手=タックル受ける側としては、やっぱりしつこくタックルを切って切って、マラブが疲弊してきてタックルに入れなくさせるというのも1つの作戦としてあると思うんですよね。ただマラブは疲弊しないから、その希望がなくなってしまうという」

――あれだけスタミナがあるとテイクダウンの攻防でマラブを疲れさせるという作戦もチョイスできません。

「テイクダウンそのものもバーン!と入って綺麗に倒しちゃうじゃないですか。一回ケージに押し込んで、低い姿勢でケージレスリングを頑張って倒すという展開が少ない。テイクダウン能力の高さも、マラブがバテにくい要素だと思います」

――水垣選手はどういうタイプだったらマラブを攻略できると思いますか。

「攻略法がなかなかないですよね(苦笑)。それこそシャーウス・オリヴィエラみたいに打撃があって、グラウンドで下になっても戦えるとか。そういうファイターだったら可能性があるのかなっていう気はするんですけどね」

――マラブとレスリング勝負できるか、レスリングそのものを捨てて勝負するか。

「そうなんですよ。さっきも話したようにジョゼ・アルドはほとんどテイクダウンを許していないんですけど、テイクダウンディフェンスするためにずっと押し込まれたままで判定負けしているんです。テイクダウンされないことに集中すると打撃が出せないし、相手がバテない限りは押し込まれ続けるので、ポイントを取られちゃいますよね。だからメラブ攻略は本当に難しいです。

あと試合とは関係ないですけど、メラブってちょっとおかしいじゃないですか。試合が始まった瞬間、オマリーのセコンドと言い合ったり、試合中にオマリーにキスしてハーブ・ディーンにめちゃくちゃ怒られたり。あとは試合前にインスタグラムで氷が張ってる湖に飛び込んで、練習でカットしたところを縫ってる動画をアップしてダナ・ホワイトに『アイツはレベルが違うバカだ』ってキレられてましたよね。普通はあんなことしないですよ(笑)」

――大分変わっていると言えば変わっていますね…。

「基本的に変な人なんだと思います(笑)。でも、だからこそああいうファイトスタイルをやりきれちゃうというか。普通は5Rマッチでああいう試合はやろうと思わないし、それをやっちゃうというのは何かぶっ飛んでる新しいタイプですよね」

――敗れた方のオマリーについても一言いただけますか。

「あと僕の中でオマリーとコナー・マクレガーを重ねていて、マクレガーもここで負けるだろうと思われている試合で勝ち続けて、オマリーもそういうキャリアだったと思うんですよ。マクレガーはネイト・ディアスに負けてライト級に上げてタイトルを獲っていますけど、最後はハビブ・ヌルマゴメドフにやられて、それからスーパーファイトを中心にやっていくスーパースター路線に行ったじゃないですか。じゃあオマリーはここで負けて、これからどうなっていくのかなと。そこにも凄く注目しています」

――さてマラブの次の挑戦者にとしてウマル・ヌルマゴメドフが噂されています。

「そこは僕、すごく楽しみなんですよ。ウマルもレスリング力があるから、そこでも勝負もできるし、打撃という部分ではウマルの方が上だと思うんですよね。だから打撃+レスリング力でどこまでマラブに対抗できるのかっていうところですよね」

――前回水垣さんにウマル・ヌルマゴメドフ×コリー・サンドハーゲンを解説していただきましたが、マラブよりもウマルの方が技の引き出しは多い印象です。

「例えばウマルが一回・一発のテイクダウン勝負で負けたとしても、そこからのスクランブル勝負で後ろに回るとか、下からでも組み勝つみたいなものを見せてくれたら面白いなと思います。何度か言っているようにマラブが立たせるタイプなので、仮にマラブに3回テイクダウンされても立ち続けて、逆にウマルがテイクダウンもしくはスクランブルで上を取ってキープする。それをしつこくやれば、ウマルも強いと思います。あとはクリーンテイクダウンできなくても、スタンドバックの攻防に持っていければ、ウマルがマラブにヒザをつけさせて殴って、もう一回立って打撃をやるとか、そういうことが出来れば、ウマルにもチャンスが出てくると思いますね。この試合はぜひ実現させてほしいです!」

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