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DEEP o RIZIN パンクラス 中村大介 伊藤裕樹 宇田悠斗 岩本達彦 本田良介 杉山廣平 福田龍彌

【DEEP】DEEP OSAKA IMPACT 2022 4th&5th ROUND試合結果

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12月19日に大阪・コレガスタジオで開催されたDEEP OSAKA IMPACT 2022 4th ROUNDと5th ROUND。DEEPお得意の昼夜興行はそれぞれのメインカードにはナンバーシリーズと遜色ないビッグマッチが組まれました。

まず4th ROUNDではRIZINの常連と言っても過言ではない中村大介(夕月堂本舗)がパンクラスのフェザー級ランキング3位につける岩本達彦(BLOWS)と対戦。図らずも実現したDEEPとパンクラスの対抗戦。試合は2Rで中村がヒールホールドを極めて一本勝ちを飾りました。

中村の極めの強さは言わずもがな。それでも臆せずグラウンド勝負を挑んだ岩本もアッパレと言っていいでしょう。下からのバギーチョークであわやの場面を作っており、負けてなお強しの印象。群雄割拠のパンクラスフェザー級に戻るのか、DEEPに継続参戦するのか。2023年の去就に注目が集まります。

続いて5th ROUNDのメインでは現在GPが開催中のフライ級屈指の好カード。柴田“MONKEY”有哉(Team KIZUNA)と杉山廣平(SPLASH)が激突しました。打撃がキレる杉山に対して寝技師の柴田という構図。2Rに入って自ら下になってグラウンドに引き込んだ柴田。そのまま三角絞めで絞め上げて見事一本勝ちを収めました。

タイミングが合わずGPには間に合いませんでしたが、DEEPフライ級トップクラスの実力は揺るがないようです。いきなりGP王者とタイトル挑戦というのは違和感がありますが、ベスト4に残っている伊藤裕樹、宇田悠斗、本田良介、福田龍彌、誰と対戦しても面白い試合になるのは間違いありません。ダークホースに躍り出た柴田がフライ級の地図を変えるか。GP勢に対してどう絡んでいくのか楽しみです。
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【Pancrase330】12・25を読む 上田将竜戦へ、伊藤盛一郎─02─「上田選手はスーパー気持ちの良い人」

【写真】2017年10月には所英男とグランドスラムでグラップリングを戦っているが、MMAを戦ったのは6年も前になる伊藤 (C)MMAPLANET

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、上田将竜と対戦する伊藤盛一郎のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

伊藤にとっては今回の試合がパンクラス初参戦で、しかもケージは2016年11月のグランドスラム以来6年ぶり2回目となる。パンクラスフライ級の大ベテラン、ランキング2位の上田将竜を相手に不安はないのか。伊藤にケージでの試合と上田戦について訊いた。

<伊藤盛一郎インタビューPart.01はコチラから>


――伊藤選手も現在29歳です。同じフライ級でも伊藤選手より若い世代が出てきています。

「そうですね。まさか自分がベテランになっているとは思いませんでした(笑)。鶴屋(怜)君は今20歳ですか? DEEPの試合を見ていると、毎回すぐ終わっちゃうから分からない部分はありましたよね。でもパンクラスでランカーに圧倒的な内容で勝っているので、すごく強いんだなって思います。鶴屋君と練習したことのある人からも『鶴屋怜は強い。ブン投げられまくった』と聞きますし」

――そんななか、今回が初参戦となるパンクラスの印象を教えてください。

「パンクラスは好きですよ。横浜グランドスラムからアマもプロもパンクラスの試合に出ることが多くて、自分もセコンドや応援で結構行っています。僕自身は試合をしたことがないですけど、そういう意味では慣れ親しんだ場所というか(笑)」

――ただ、会場は慣れ親しんでいるとしても、伊藤選手にとってケージの試合はVTJとグランドスラムに続き今回が3回目です。その点はいかがですか。

「自分はリングかケージか、というのは気にしていないです。横浜グランドスラムは壁の練習ができるし、周りもケージの試合に出ている選手ばかりで。普段からリング用の練習は全くしていないかもしれないです。ケージ向けの練習をしてリングの試合に出る、みたいな(笑)」

――改めて戦績を見ると、伊藤選手の世代でここまでケージを経験していないことは意外でした。

「この間、パンクラスのケージに入ったんですよ。セコンドで行った時に、選手のアップのために。やっぱりケージって圧迫感というか、鳥かごの中に閉じ込められているような感覚がありますよね。グランドスラムの時も思いましたけど、だからこそ試合に集中できるっていうところはあります。リングは周りが開けているので、いろいろ目に入ってくるんです。でもケージは周りが見えないし、本当に1対1で集中して戦えるとは思います。そのケージで戦うのは自分にとってプラスになると思います」

――今回そのケージで対戦する上田将竜選手の印象を教えてください。

「まずフライ級の中では背が高いですよね(公式プロフィールでは上田が174センチ、伊藤が161センチ)。ずっとランキング上位にいて、まさにパンクラスのフライ級を代表する選手だと思います。まさかパンクラス初参戦の僕と、その選手が試合をしてくれるのかって驚きました」

――上田選手は鶴屋怜戦前のインタビューで、鶴屋戦のオファーを受けた理由として「強い相手から逃げるわけにはいかない」と仰っていました。本人に直接お聞きしたわけではないですが、今回も同じように考えたのかもしれません。

「そう思っていただいていたら、本当に嬉しいです。上田さんって熱くて、スーパー気持ちの良い人ですよね。僕がセコンドでパンクラスに行った時、上田さんが試合後に控室で対戦相手と話をしているのを見たことがあるんです。しっかり握手して、話をして――スーパー気持ちの良い人だと思いました」

――そのスーパー気持ちの良い上田選手を、どう倒すか。もう作戦は決まっているのですか。

「いえ、自分は普段から作戦は立てないんです。いつも打撃でも寝技でも勝てると思っているので、特に作戦を立てることはなく試合をしながら、っていう感じですよね。相手の試合映像を見て、気をつけておかなければいけないことはチェックしておくぐらいで。いつも本能で戦っています」

――本能ですか!

「試合中はセコンドの勝村先生が指示をくださるので、それに合わせて動いています。試合中に、セコンドの指示に『はい!』って返事しちゃうことがあるんですよ(笑)。あとはアイコンタクトで、何をすれば良いのか理解したりとか。勝村先生が心配そうな表情だと、ここで行ったほうが良いのかな、と考えたり……。僕は横浜グランドスラムで育ってきた、純グランドスラムファイターです。勝村先生は僕のことを全て分かっていてくださるので心強いですね」

――その結果、劣勢でも逆転勝ちできるというわけですね。

「アハハハ、確かに逆転勝ちは多いです(苦笑)。前回の試合(RIZINで橋本薫汰に勝利)も顔がボッコボコになりながら、最後はRNCを極めて」

――グランドスラムの内藤頌貴戦も、左ハイを受けてからの逆転勝利でした(2R、ニンジャチョークで勝利)。逆転勝利は、もちろん会場は盛り上がります。対して戦っているファイターは、どのように考えているのでしょうか。

「もちろん最初から、そんな逆転勝ちをしようとは思っていないです。できるならサクッと勝ちたいですよ。でも、ボコボコにされたからって諦めるわけにはいかない。みんなが応援してくれているし、僕も負けたくないし。だから逆転勝ちは、やられていても諦めなかった結果なのかなと思っています」

――ポジティブですね! では次の試合に向けての意気込みをお願いします。

「今回がパンクラス初参戦ということで、判定ではなく、KOか一本で決着をつけたいです。上田選手に勝ってランキング2位になれば、来年にはタイトルマッチを組んでいただけるかもしれないので、ベルトに向けて頑張ります!」

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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【ONE】J-MMAの巻き返し策、北野雄司に訊く─02─「僕に腕力はない。だからビジネスで殴り返す」

【写真】9月12日にルンピニー・スタジアムで行われたONEルンピニーのローンチアウト会見(C)ONE

格闘技のPPV事業を推進するABEMA北野雄司エクゼクティブ・プロデューサーのインタビュー後編。日本勢がONEの国際戦で勝てない状況に、PPV云々の問題という厳しい見方をした北野氏率いるABEMA格闘チャンネルでは2023年1月20日より開始するONEルンピニーを年間50大会ライブ中継する。

現在進行形のABEMA海外武者修行プロジェクトに留まらず、日本人選手の海外での実戦経験の機会を増やすことで、日本のMMA国力を上げる──それが氏の考える巻き返し策だ。現状を覆す。そのためには、ちょっとした地均しと喧嘩腰でやる覚悟が必要になってくる。

<北野雄司インタビューPart.01はコチラから>


──ルンピニーで戦う試合が、ファイトナイトの選考試合になると考えて良いでしょうか。

「ファイトナイトで戦うのに勝ち星が足りない。ならルンピニーからという話し合いが行われているとは聞いています」

──MMAPLANETでの取材ですし、MMAのファイターに限って質問させていただきますが、スポット契約があるということは日本で戦っている選手が、ONEルンピニーで戦ってから戻って来ることもあるわけですね。

「選手達が望むような世界観があってほしいです。そこはファイトマネーという現実的な問題もあるわけですし」

──より良い条件で戦うことに関して、フィーダーショー化している日本の各プロモーションは寛容であってほしいです。それに年に2試合しか戦えない選手が、ONEルンピニーに限らず海外の試合と合わせて年に4回戦えるなら、それだけ経験が積めます。日本と海外を行き来できるなら、メジャーと契約するためにも理想的だと思いますし。ところで現状、ABEMAのドメスティックMMA大会の中継は無料放送がプロ修斗で、PPVではRIZINは別としてパンクラスです。

「修斗だから、パンクラスだから、ABEMAで中継しているからとかでなく、ONEルンピニーと契約して戦える選手が試合をすることになります。現状、日本のプロモーションと契約のある選手が、ONEルンピニーに出向いて秩序を乱す必要はないですし。戦いたくて、タイに行ける人が戦う。契約書に書かれていることが全て。そこで可能であれば行き来できる。そう思っています。

2023年は日本のMMA選手が海外で数多く試合に出る年になってほしいです。ABEMAとしては海外に行く選手を追いかけて、彼らの可能性を視聴者の方々へ届けていきたい。上手くいく人もいかない人も出てくるでしょうけど、その姿を追い続けることがABEMAの仕事になります。皆の挑戦を日本の人達に知って欲しいですからね。そうでないと、オクラホマで試合なんてできない。日本を出て戦っていく選手の姿を伝えて、その中から次のスターを発掘する。そうしないと僕らも5年後に飯が食えなくなります」

──その中からONEに限らず、海外メジャーで勝てる選手の出現を待つと。

「日本人が勝てない現実を変えないといけないです。それは日本のMMAに関わっている人、全員が心に留めてほしい。格闘技だから、ホーンやブザー、ゴングがなると後は選手に任せるしかない。でも、日本✖世界で目の前で日本人が次々と負ける状況は放っておけないですよ。PPV以前に『やられたら、やりかえすよ』と日本人として思っちゃいます。でも僕の場合は腕力があるわけでも、格闘技ができるわけでもないですから。ならビジネスで、殴り返すしかないわけで」

──ビジネスで殴り返す。良いですね。どの立場でも、この現状を目の当たりにすると殴り返すという気概がないと。

「そうなると、強い選手に挑戦してもらうしかない。これから強くなれる人に、もっと強くなってもらう。その環境創りや、状況を創るお手伝いをすること。チャトリさんも『コロナでイベントは開けないし、キャッシュがあっても使えない。散々な目にあった。でも、それは1Rで。インターバルを取ったから、2Rから反撃に出るぞ』と言っていて。その通りだなって思いました。

ABEMAのPPVもONE XもONE163もやられ気味かもしれないけど、若い選手や100パーセントを出せなかった先輩たちとやり返すしかないですよ。やられっぱなしじゃ、終われねぇだろうって。そのためにやれることがあるなら、ABEMAはお手伝いさせてもらいます」

──この国の現状として、このまま手を打たないと徐々に弱体化するのに、全体行動の枠組みから飛び出て行動をする人がとても少ない。MMA界もそこに当てはまる事例がいくらでもあるので、このままでは全体で弱体化していく一方かと。

「僕らのできることは、そこから飛び出していく人を追いかけて、その人の成功を皆さんに視てもらうことです。それが格闘技の良いところで。ケージに11人入る必要はない。1人で入って、1人に勝つ。それで成功を伝えることができる。

海外武者修行プロジェクトで海外に行った選手たちに望むのは、そういうところです。『ABEMAの中継がある大会で試合をしてほしい』ではなくて、『飛び出した人間が勝てる』という姿をどんな舞台でも見せてほしい。本野(美樹)選手が『募集を見て、すぐにアクションを起こした』と言っていましたけど、一歩動けば自分の人生を変えて、格闘界の可能性を変える可能性がある。それを示すことができるよう、誰か1人でも成功して欲しいです。

松根(良太)さんは強い意志を持って、現実を変えて平良(達郎)選手をUFCファイターに育てた。木下(憂朔)選手は渾身の左の一発で、現状を変えた。そうやって人生を変えた例があるのだから、そういう例を増やす。世界に飛び出して勝負すればモノゴトを変えられるかもしれない。そんな選手を一人でも多く生み出すこと。それが僕らの仕事だなって思っています。

だからUFCにもROAD TO UFCが2023年もあるなら、中継すると伝えています。ホント海外武者修行プロジェクトも選手が何人もいくよりも、コーチが3人行く方が効率も良いかもしれない。必要とあれば、コーチ留学だってサポートする気概でいます」

──押忍。

「契約問題にしても、練習環境にしても、とにかく国力を上げること。シンガポールではザイード・イザガクマエフのセコンド、イスラム・マカチェフとかに首を刈っ切ってやるってポーズをされたんです」

──大人しくしていると、どんどん食われる。海外ではチケットの順番待ちや、タクシーの支払いでも喧嘩腰になる必要があります。もう11年も昔に岡見勇信選手が、アンデウソン・シウバにリオで挑戦したとき。ビーチに特設リングが設置されて公開練習が行われました。自分は撮影するためにリングサイドに向かっていたら、ブラジル人に『ジャップ』って叫ばれ、ビーチの砂をバンバン投げつけられました。

「日本から一歩外に出るとそういうことなんですよ。僕らビジネスの人間ですら、海外出張には酷く緊張します。プロモーションとの交渉でも、生き馬の目を抜くような人達とやり取りするわけで。格闘技をする人は、それ以上ですよね。だからこそ、そういうことに挑む選手たちを支えていくことができればなと思っています。

武者修行プロジェクトとかで、とにかくMMAの選手はスポットの練習にせよ、試合にしろ海外を体験していただく。そして強くなって、勝って……あすなろ物語ではないですが、明日は何ものかになろうという──あすなろを目指して欲しいし、ABEMAの格闘チャンネルは応援します。そのための原資が必要になるので、PPV事業を進めていきます」

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ABEMA ISAO K-1 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase330 Road to UFC UFC   キック パンクラス パン・ジェヒョク ボクシング 日沖発 木下憂朔 海外 透暉鷹

【Pancrase330】12・25を読む パン・ジェヒョク戦へ、透暉鷹─02─「暫定の2文字がついている限りは」

【写真】ベルト奪取の喜びも、束の間だったという透暉鷹 (C)MMAPLANET

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、パン・ジェヒョクと対戦するフェザー級暫定KOPの透暉鷹インタビュー後編。
Text by Shojio Kameike

日沖発stArt JAPAN代表らとの練習を経て、練習への意識が変わってきたという透暉鷹。自身がベルトを獲得したことで、所属するISHITSUNA MMAも盛り上がってきているという。さらに次の目標が浮かび上がってきた透暉鷹が、ベルト獲得後初の試合となるパン・ジェヒョク戦への意気込みを語る。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第7弾は透暉鷹インタビュー後編をお届けしたい。

<透暉鷹インタビューPart.01はコチラから>


――暫定王座を獲得した亀井戦ではバックを奪ったあと、RNCではなくフェイスロックでタップを奪いました。

「練習でよく極めている形です。あれは首を絞められるよりもキツイと思いますよ。捻じ曲げられたら反射的にタップしてしまうぐらいで」

――改めてベルトを獲得した感想を教えてください。

「あの時はベルトを巻くことができて嬉しかったです。でも、何日か経ってくると嬉しさはなくなってきたんですよ。まだ正規王者としてISAO選手がいますし。まだまだ上を目指していかなアカンなって感じで……。実力的にも、まだまだですしね。やっぱり暫定っていう2文字がついている限りは、あまりベルトを持っている感覚がないです」

――横浜武道館大会ではISAO選手との王座統一戦ではなく、パク・ジェヒョクとの国際戦となりました。

「一番はISAO選手との王座統一戦をやりたかったです。でも、それが国際戦になって――みんなと話をしていたんですよ。『これから海外を目指すなら、国際戦をやってからISAO選手に勝っていくのが良い形だね』って。ずっと国際戦をやりたいと思っていましたし、パンクラスが組んでくれたことは、メチャクチャありがたいですね。早く試合がしたいです」

――今は海外での試合も考えているのですか。

「一番はUFCに行きたいです。UFCが一番強いプロモーションですからね。ただ、今の実力では……メチャクチャUFCと離れているわけじゃないと思うけど、それでも距離はあります」

――現在行われているRoad to UFC ASIAの動向は気になりますか。パンクラス王者として、RTUに出たかったという気持ちはないでしょうか。

「気にはなりますよ。でもパンクラスから木下憂朔選手がメチャクチャ良い勝ち方をしたじゃないですか。代表(林巧馬ISHITSUNA MMA代表)からも、『パンクラス王者としてRTUよりコンテンダー・シリーズに出たいよね』と言ってもらえて。自分としてはDWCSにチャレンジしたいです」

――なるほど。次のパン・ジェヒョク戦は、ベルト獲得からUFCやDWCSへの挑戦に向けた新たな一歩となります。そこで対戦相手の印象を教えてください。

「韓国人選手って気持ちが強いですよね。相手はパンチが得意だと思うけど、MMAとして全体を通して自分の力を見せつけたいです」

――対して、前回の試合から5カ月の間に透暉鷹選手が成長した部分はありますか。

「自分ではあまり分からないですけど、スタンドの打撃はもちろん、全部が強くなってきたとは言われます。MMAだからといって、MMAスパーだけをやっていても強くなるわけじゃないんですよね。一つひとつの要素もしっかり練習して、それを組み合わせていかないといけないので」

――それは打撃のみ、寝技のみの練習ということですか。

「そうです。ボクシング、キックボクシング、グラップリング――僕の周りには、それぞれの競技で強い人たちがたくさんいるので。MMAスパーだけやっていたら、打撃が苦手な相手に打撃で攻め込んだり、その逆もあるじゃないですか。たとえば今日の練習でも、アマチュアで僕よりも体格が大きい選手がいるんですよ。その子はグラップリングがメチャクチャ強いので、MMAだけではなくグラップリングだけやったりします。他にもK-1に出ている選手がいるので、打撃のスパーをやったりとか。そうやって一つひとつを磨いていくほうが、MMAでは全体を通して強くなることができるのかなと思っているので。今日も全部やりましたよ(笑)」

――えっ、全部とは……。

「打撃やって、MMAスパーやって、グラップリングもやってからミット打ちでした」

――一つひとつの要素を曜日ごとに分けたりするのではないのですか。

「曜日で分けることもありますけど、今日は特別でした(※取材は12月5日、月曜日に行われた)。3時間ぐらい、しっかりと全部やりましたね。全ての練習がフルで――あっ、ダッシュもやりました(笑)。今日の練習には、結構な人数が集まってくれたので。みんなが集まる日は同じようなメニューになります。だから今は疲労がヤバイです。怪我や体調が悪くなったりすることには気をつけないと」

――3時間も一つひとつ全て集中して練習できるのも、取り組み方への意識で変わってきますか。

「自然に変わってきますよね。あと、ISHITSUNA MMAでも選手歴では僕が一番長いんです。だから一応、ジムの練習も仕切らせてもらっていて。そのために、僕自身が緊張感を持っていないといけないと思っています」

――現在ISHITSUNA MMAでは、アマチュアも含めて選手練習には何名ほど参加しているのでしょうか。

「どれくらいだろう……20人ぐらいはいるんじゃないですか。今日の練習も、月曜日の昼なのに10人以上は参加していて。僕がベルトを獲ったことで、『自分もベルトを巻きたい』と言ってくれる子たちが増えたと思います。これからも僕が、ジムの選手代表として引っ張っていかなアカンですね」

――では最後に、パン・ジェヒョク戦に向けて意気込みをお願いします。

「まだベルトを巻いた実感はないけど、チャンピオンであるかぎりは自分がパンクラスの代表になると思います。そのベルトを巻いてから初めての試合で、パンクラスのファンの皆さんに、しっかり自分の強さを見せたいです」

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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ABEMA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase330 RYO   キック パンクラス ボクシング 新居すぐる 高木凌

【Pancrase330】12・25を読む デビューからの連勝を伸ばせるか。高木凌─01─「練習だと当たるのは左」

【写真】4戦4勝3KO、3試合とも右ストレートで倒してる──左が得意な高木凌に初インタビュー (C)SHOJIRO KAMAIKE

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、プロデビュー以来4連勝中の高木凌が新居すぐると対戦する。
Text by Shojio Kameike

高木の代名詞といえば、右ストレート。これまで4試合中KO勝ちは3回、その全てが右ストレートによるフィニッシュだ。なぜこれだけ右で倒せるのか――新居戦を控える高木が、その右ストレートの秘密を語ってくれた。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第6弾は高木凌インタビュー前編をお届けしたい。


――高木選手はプロデビュー以降4戦全勝、うち3つのKO勝ちを収めています。そしてパンクラスのビッグイベントに出場というご自身のキャリアについて、どう思われますか。

「満足はしていますが、全部KO勝ちしたかったという気持ちもあります。ただ、KOできなかった3試合目(今年4月、渡辺謙昭に判定勝ち)は課題も見つかって、いろんなことが経験できたという意味では満足しています」

――渡辺戦で見つかった課題とは何でしょうか。

「スタミナですね」

――確かに2Rから目に見えて、分かりやすくスタミナが切れていました。

「なぜスタミナを消費したかというと、ニンジャチョークを狙った時です。あまり深く入っていなかったのに、全力で極めに行ったんですよ。いつも練習だとインターバルで回復するのに、試合は緊張もあって……。それで2Rの終盤から3Rまで、いつもどおりの動きができなかったです。全て全力でやればいいというわけじゃない、それを学びました」

――ただ、そういう時こそファイターとしての真価が問われるのではないかと思います。渡辺戦はスタミナが切れたあとにも関わらず、3Rに左のテンカオを当て、さらにパンチでダウンを奪って試合を締めていました。

「ありがとうございます。まず左のテンカオは得意なんです。1Rと2Rは自分が取っていたと思うので、相手は最終回で前に出て来るしかない。それで僕はサウスポーに変えて、左のテンカオを狙いました」

――過去3つのKO勝ちはフィニッシュのパンチが全て右ストレートで、渡辺戦でKOはできなかったものの、右でダウンを奪いました。なぜあれだけご自身の右が当たると思いますか。

「自分の中で、右を打つタイミングというのがあるんです。練習でも試合でも相手がオーソドックスだった場合、自分の右が当たらなかったことがなくて。それをシャドーやミットで研ぎ澄ませて、試合で当てます」

――高木選手が右を当てる時、様々なパターンがあります。左右のパンチで相手を下がらせてからの右、相手をおびき寄せてカウンターで打つ右、あるいはハイキックからの右――それらは全て、最後に右で倒すために築き上げているパターンなのでしょうか。

「はい。でも正直、練習だとあまり右は使っていないんですよ。どちらかというと左ジャブ、左ボディのほうが当たります。でも試合になると、なぜか右のほうが当たっていて(苦笑)。もう無意識で組み立てているのかな、って思います」

――距離の取り方はいかがですか。試合では相手が前に出てきても、あるいは下がっても高木選手が常に一定の距離を保っています。

「どちらかというと僕は待ちのファイターなので、それこそ指何個分ぐらい考えて距離を作っています。そこを間違えると、自分も被弾してしまう時がありますね。相手のリズムを盗むことも重要ですけど、それ以上に距離を大事にしています」

――距離とリズムが、ムエタイに近いようにも思えます。クロスポイント吉祥寺でキックボクシングの練習に参加したことがあるとお聞きしました。

「一度だけクロスポイント吉祥寺さんに行かせていただいたことがあります。そこでムエタイのリズムを勉強させてもらいました。それまで自分がつくっていたリズムとも違いましたね」

――そうだったのですか。では、どうやって高木選手の打撃が育まれていったのか、とても興味深いです。もともと格闘技ではなく野球をやっていたのですよね。

「小学3年生から高3まで野球をやっていました。でも野球では結果も出なかったですね。たぶん野球は、やらされていたっていう気持ちが強かったんだと思います。だから野球は高校までで、子供の頃から格闘技も好きだったので一度やってみたいと思ったんです。知り合いにボクシングをやっている人がいたので、ちょっと相手をしてもらったんですよ」

――それはボクシングジムでのお話ですか。

「いえ、知り合いの家でちょっと……」

――……もしかしてヤンチャな時代があったのでしょうか。

「いえいえ、そんなことはないです! ただずっと強さへの憧れはありました。でも格闘技を舐めていたところもあって、その時はフルボッコにされました(笑)。そこから格闘技のジムを探している時に、MMAをやりたいと思ってパラエストラ八王子に入会したんです。もともと格闘技はやりたいと思っていたのですが、ジムに入る勇気がなくて」

――何かジムに入りづらい理由があったのですか。

「格闘技ジムには怖い人たちがいっぱいいると思って、最初はすごくドキドキしました」

――アハハハ。やはり格闘技ジムに対しては、そのような印象があるものなのですね。

「でも入ってみたら皆さん優しくて。そこでプロの方を見て、自分もプロになろうと決めました」

――そこから如何にして右ストレートが研ぎ澄まされていったのでしょうか。

「パラエストラ八王子には長身でリーチが長くて、右ストレートが強い選手が多いので、そういった先輩方に教わったところは大きいです。あとはKOD LABという、元ボクシング世界王者の内山高志さんのジムで、同じく元世界王者の田口良一さんにボクシングを教わっています。田口さんはMMAの距離も踏まえて教えてくださるので、そのおかげで僕の右ストレートは出来上がりました」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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【Pancrase330】12・25を読む 鶴屋怜の挑戦を受ける猿飛流─01─「正直、『嫌だ。やりたくねぇなぁ』」

【写真】調印式でも緊張しているという猿飛流──確かにそのような表情だ (C)MMAPLANET

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330。同大会のメインでフライ級キング・オブ・パンクラシストの猿飛流が、鶴屋怜の挑戦を受ける。

超新星、UFCしか見ていない。パンクラスのベルトは、そのために必要なアイテム。対戦相手のことは意に介さない。いつものように初回で勝つ──そんな空気を醸し出し続けている鶴屋に対し、王者は素直に「大物。ここは眼中にないと伝わってきた」とその強さを認めている。

それでも猿飛流の中にも、会見では言葉にすることはなかった熱い想いが存在している。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第5弾は猿飛流インタビュー前編をお届けしたい。


──人生2度目の調印式が終わりました。

「そうですね、3月の小川(徹)さんとのタイトル戦に続いて、2回目です」

──調印式が終わると、いよいよタイトルマッチだという感覚になるものなのでしょうか。

「やっぱり、なりますね。緊張感が高まります。調印式自体に、僕の場合は緊張してしまうので(苦笑)」

──ぶっちゃけて、鶴屋怜選手から『そこを見ているわけではない。相手にしていない』という空気が伝わってきました。

「やっぱり大物ですよね。なんか、調印式でも微動だにしないというか。本当に自信があふれ出ていて、『やるべきことをやるだけ』という感じでした」

──この野郎という気持ちには?

「生意気だとか、そんなことは全く思わないです。本当に世界を見据えているんだなって。この先を見ている。ここは眼中じゃないんだなって伝わってきました」

──そのような怜選手の様子を見て、燃える材料になるのでしょうか。

「う~ん、そんなに気にしていないです。僕がここで勝って、世界に行くのを止めてやるという気持ちでなく、ただ怜君と最高の試合をして……僕が勝つ。そこに集中している感じですかね」

──今年の6月ですか。ゴン格でインタビューをさせていただいた時に、シンガポールでUFCのPPV大会を観戦して「やはりUFCに行きたい」ということを言われていました。

「それは……あります。さっき言ったように、怜君が世界に出ていくのを止めたいという気持ちなくて。ただし、自分が世界に行きたいという気持ちは相当に高まりました。佐須(SASUKE)君と一緒にRoad to UFCに行って、『やっぱりここだな』って思いました。佐須君とはシンガポールに残って、UFCのチケットを買ってPPV大会を観に行きました。あれは……本当に行って良かったです。

正直、年齢も年齢ですから、30歳を過ぎればUFCは諦めていました。パンクラスでベルトも取れたから、最後はRIZINに出て名前を残すことが一番だろうとジムの代表とも話をして。それがあの時に佐須君とシンガポールでUFCを観て、本当に気持ちが変わりました」

──それでも会見でも一度たりとも「鶴屋怜を倒して、自分がUFCに行く」という発言は聞かれなかったです。

「なんか……UFCには行きたいと思っているんですが……正直、思っています。『俺が行くぞ』って。ただ、それを言えるのは勝ってから。だからケージの中で言おうと思っていました」

──スミマセン。先に言わせてしまって……。

「いえ、それは全然構わないです。調印式では言えなかった本心を引き出してもらって。ただ勝ってから言えることだと自分は思っていて。UFCというのは、こうやってインタビューで引っ張り出して貰わないと言葉にできなくて……。いや、これまでのインタビューでも、その発言はできなかったです。

UFCがとんでもない所だと分かっているので、怜君に勝って初めて口にすることができる団体だと思っています」

──いやぁ、重ねてスミマセン……。

「大丈夫です(笑)」

──私自身DEEP時代に久保健太選手に圧勝してなお、実力未知数という風に怜選手のことを見ていました。ただし、パンクラスに来て秋葉太樹選手、さらには上田将竜選手まで初回で下すとなると、もう疑いようがない。特に上田戦ですね。我々のように年を重ねていると、努力し続けてきた選手への信用度が高くなります。上田選手はそこに加えて地方で頑張っているという要素も加わり、根性……怜選手の攻撃を気持ちで凌いで慌てさせることがあるのではないか。ドロドロの展開に持ち込むことも可能かと思っていました。

「自分も思っていました(笑)」

──ただし、初回フィニッシュ記録が伸びる結果になりました。試合を重ねれば重ねるほど、鶴屋怜という物体が底知れなく感じるようになっています。

「本物だという想いは、絶対に増していますね」

──なら上田戦がある前に戦っていた方が精神的に、信じられるモノが多かったのではないかと。猿飛流選手は上田選手とはせめぎ合いがあってのスプリット判定勝ちだっただけに。

「正直、あの試合を会場で見ていて……『これは強いな』と。率直に思いました、『嫌だ。やりたくねぇなぁ』って。佐須君から『猿飛流さん、落ち込んでいると思っていました』と連絡があって(笑)」

──図星だったわけですね。

「まぁ、自分はいつもそんな感じなので。競った相手の上田さんが、ああいう風にやられてしまった。今回も下馬評では怜君が強いと言われていますが、自分はどれだけ強いと言われている相手にも……どれだけ実力差があろうと、誰とでも競った試合がデキると思っています。ハイ。それを今回もできるんじゃないかという自信があります」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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DEEP Gladiator019 Gladiator020 MMA MMAPLANET NavE o PFL Progress RIZIN Road to UFC UFC キック キ・ウォンビン ジェカ・サラギ ジョセフ・チェン チョ・ソンビン パンクラス ボクシング ライカ 中川皓貴 久保健太 井上啓太 住村竜市朗 修斗 吉村友菊 宮城友一 森戸新士 荻窪祐輔 藤田大

【Gladiator020】RTUからの仕切り直し。ライト級王者キ・ウォンビンが初防衛戦。宮城友一✖久保健太も!!

【写真】こ、これは……グラジがHEAT化したかのようなタイトル戦だ!! (C)MMAPLANET

15日(木)、Gladiatorより来年1月22日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator020の追加カードが発表されている。

既にGladiatorフェザー級王座決定戦として中川皓貴✖チョ・ソンビン、Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座戦として森戸新士とジョセフ・チェンの一戦が発表されている同大会。

元UFC&PFLファイターと、アジアの組み技界の超新星の来日というスマッシュヒットに続き、今回の発表ではライト級王者キ・ウォンビンの3年半ぶりの出場&同王座の初防衛戦をグスタボ・ウーリッツァー相手に行うことが明らかとなっている。


ウーリッツァーは9月のGladiator019で井上啓太を劣勢のなか、左フック一発で逆転KOし挑戦権を手にしていた。キャリア50戦越えのブラジル人ファイターを迎えるキ・ウォンビンは10月のROAD TO UFC準決勝でインドネシアのジェカ・サラギを相手にまさかのKO負けを喫し、最高峰で戦う夢と閉ざされた。

そんなキ・ウォンビンがキャリアのリスタートをグラジで切ることとなった。打たれ弱さは心配なチャンピオンだが、組みとリカバリーが凄まじいフィジカルでチャレンジャーを上回っており、どのようなパフォーマンスを見せるか楽しみだ。

またグラジでは今回のリリースでメインカードはタイトル戦以外もこれまでの2回戦から3回戦中心のラインナップに変更することを明記しており、その3回戦で宮城友一と久保健太のフライ級マッチを組むことも決まっている。

パンクラスからグラジでキャリアを再生し、修斗でも活躍する宮城に対し、久保はDEEPからグラジでレズレクションしRIZIN TRIGGERでも勝利を挙げたファイターだ。ともにストライカー、この一番の勝者がNavEが王者に君臨するフライ級戦線で頭一つ抜けることになるだろう。

再生、復活という意味ではパンクラスで活躍してきた荻窪祐輔がグラジに初参戦し、吉村友菊と相対する一番も組まれる。さらにシュートボクシング・スーパーウェルター級2位の璃久が、イゴール・シルバとケージキックで対戦する。

2回戦にも韓国のTeam MADからヘビー級の新鋭チョン・ホチョルが来日し、大場慎之助と戦うことも決定している。その2回戦では、ウェルター級でパラエストラ千葉の異端的な存在=藤田大が9月大会に続き、連続参戦。10月にはEXFIGHTのアママッチでも勝利し、8月にJBJJF全日本の茶帯無差別級を制している藤田はスコティッシュ=スティーブン・ギレスピとプロ2戦目を戦う。さらにはオープニングマッチで組まれたアマ女子MMAででは住村竜市朗の長女セアリが、MIYUと戦うことも公表されている。

なお今大会は午前11時からWARDOGも行われる二部構成、なにわのMMAが1月22日に2023年の活動を開始する──といっても過言でない力の入ったカードが揃ったグラジだ。

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【GLEAT】田村潔司プロデュース GLEAT MMA旗揚げ戦


田村潔司がエグゼクティブプロデューサーを務めたGLEAT MMA Ver.0後楽園ホールで旗揚げ大会が開催されました。「プロレスラーがMMA、キックボクシング、グラップリングに挑戦する大会」を掲げ、GLEAT所属選手がMMA、グラップリング、キックに挑戦しました。しかし結果は残酷。GLEAT勢は5戦全敗という厳しい結果に終わりました。

象徴的だったのがセミとメイン。セミでは50歳になる田中稔が初のMMAに挑戦。12年ぶりにMMAに臨む和田拓也(フリー)と対戦しました。試合は開始直後に田中のローをキャッチした和田が簡単にテイクダウンに成功。肘とパウンドを乱射し、徐々に動けなくなる田中を見てレフェリーが試合を止めました。

50歳にしてMMAにチャンレジする田中の姿勢には頭が下がりますが、さすがにそう簡単にはいかなかったか。言っても和田は元パンクラス王者ですからね。ワンチャンスを見逃さずに蹴りを掴んでテイクダウンするシーンは往年の面影を見た気がします。

そしてメインの井土徹也(GLEAT)×近藤有己(パンクラスイズム横浜)のMMAマッチ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのBreaking Downのミドル級トーナメントで優勝した実績を持つ井土に元パンクラス王者の近藤というイリュージョンマッチ。勢いに任せて井土が近藤を飲み込むかと思いきや、近藤がいぶし銀の動きを見せてくれました。

試合開始直後から距離を取った近藤がインローをひたすら蓄積。時間を追う毎に井土の脚は真っ赤に変色。井土は時折パンチを打ち込むものの、近藤は冷静に捌いて逆にカウンターのパンチをヒット。熟練の試合運びで井土を完封しました。

派手さはないものの、47歳にして安定感のある試合を見せる近藤もまたアッパレ。逆に井土はBreaking Downを経験したプロレスラーとして、もっとイケイケのファイトを仕掛けてほしかったと思うのは私だけではないでしょう。

そんなこんなで幕を閉じたGLEAT MMA。客入りは苦戦したようですが、拍手を送りたいのはチケットの料金設定。特別リングサイドは5,500円の他、4,400円、3,300円、1,900円と既存の格闘技イベントにはない安価な料金になっています。

一番安いチケットが8,000円等だと、気軽に観戦とはいきませんが、5,000円以下、特に1,900円だったら友だちを誘いやすいし、子どもでも観戦しやすいですからね。だいぶ無理をしているのかもしれませんが、これこそが日本の格闘技に求められている重要な要素ではないかと。GLEATの挑戦、田村潔司のチャレンジにこれからも注目が集まります。
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【Pancrase330】12・25を読む パンクラス初参戦、伊藤盛一郎─01─「ZSTは僕のアナザースカイ」

【写真】もう29歳、すっかり大人の男──男性になっている伊藤盛一郎 (C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330に元ZSTフライ級王者の伊藤盛一郎がパンクラス初参戦。上田将竜と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

ZSTのSWAT!トーナメントから、VTJのオープニングファイトを経てプロデビューした伊藤は、その後もZSTを中心に活動してきた。2015年2月にZSTフライ級王座を獲得し、GRANDSLAMでは内藤頌貴を下して2019年よりRIZINへ。2021年10月にRIZINで行われた橋本薫太戦から1年――伊藤がパンクラスに参戦することとなった経緯を訊いた。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第4弾は伊藤盛一郎インタビュー前編をお届けしたい。


――まずは1年ぶりの試合が決まったことに関する率直な気持ちをお願いします。

「今年に入って、ずっと試合ができる状態にありました。というのも、RIZINは毎年春や秋に横浜大会があったので、いつでも出られる状態にしていたんです。でも横浜大会自体がなく……。もちろん7月には、さいたま大会があったのでずっと良い調子でいたのですが、それも試合は決まりませんでした」

――それは前回の試合後に負傷などがあったのでしょうか。

「いえ。いつも僕は試合で怪我や負傷することがあるのですが、今回はそれも全くなくて。だからずっと調子は良いし、試合間隔が1年空いてしまったことも気にならないですね」

――ということは、いつでも試合に出られる状態のまま1年間も……。

「そうなんです(苦笑)。ずっと試合が決まってほしいと思っていました。急なオファーがあっても、いつでも出られるように体重もキープしていて。しかもずっと体がカツカツな状態ではなく、自然と試合に出られる体重をキープできていたんですよね。2週間前のオファーでも出られましたよ。アハハハ」

――その間、国内ではDEEPやパンクラスでフライ級戦線が盛り上がりを見せていました。ご自身が試合に出ていない時、同じフライ級の動きをどのように見ていましたか。

「DEEPフライ級GPは、もともとRIZINでやるという噂もあったじゃないですか。だから僕も、RIZINのフライ級GPに出たいと考えていました。それがDEEPで行われることが決まり、出場メンバーを見たら――DEEPの主要メンバーという感じでしたよね。みんな強い選手ばかりだけど、もし僕がその中に加わったらと考えても、自分としては燃えなかったです。
結局、RIZINではそこまでフライ級が重要視されていないのだろうと思いました。このままだと、ただ待っているだけでは試合がない。チャンスは巡ってこない。そんななかで、パンクラスの横浜武道館大会が発表されたんですよね。

自分は今年ずっと良い調子で来ているのに、1試合もせずに終わるのはもったいなくて。すると勝村(周一朗リバーサルジム横浜グランドスラム代表)先生から『パンクラス横浜大会に出るか?』と声をかけていただいて。僕も『出ます!』と答えて、勝村先生からプロモーターサイドにお話ししていただきました」

――ということはパンクラスのフライ級の動きも、そこまで把握はしていなかったということですね。

「はい。そもそも自分がパンクラスに出ることになるとは思っていなかったです。ずっとZSTに出ていて、ZSTからRIZINに出て――僕の中にはZSTファイターという誇りがありましたから。でもZSTが活動休止になり、RIZINで試合も決まらず。ここでパンクラスに出させていただくという選択をしました。このまま試合をしていないと、みんなから存在を忘れられちゃうんじゃないかと思って(笑)」

――確かにここで伊藤選手がパンクラスに出場するというのは、横浜大会最大のサプライズの一つだったように思います。一方、フライ級では修斗王者の平良達郎選手がUFCで2連勝し、DEEP王者の神龍誠選手は米国CFFCでベルトを獲得しています。そういった海外参戦組の動向は気にならなかったでしょうか。

「海外プロモーションと契約する日本人選手が増えていたり、そこで活躍しているのは嬉しいです。でも、それぐらいですね」

――やはり今もZSTが活動していれば、RIZIN以外の舞台ではZSTで試合をしたかったですか。

「もちろんです。ずっとZSTで戦っていたら、ZSTの中では相手もいなくなるし、そのためにRIZINで他プロモーションの王者と戦ったりしていました。あるいは、ZSTへ他のチャンピオンに来てもらったり――ZST以外に出ることは考えていなかったです」

――伊藤選手にとって、ZSTとはどのような存在だったのでしょうか。

「ここが僕のアナザースカイ、みたいな」

――……何を仰っているのですか(笑)。

「アハハハ。グランドスラムと同じように、僕が育ってきたホームです。だから王座は返上していましたけど、ZSTの代表としてRIZINでマネル・ケイプと神龍君に連敗した時は、ZSTの株を落としてしまったなと思いました。特に神龍君はDEEP王者で、DEEPとZSTのチャンピオン対決で負けてしまいましたから」

――これまでZSTから他プロモーションに参戦している選手に何人もインタビューしてきましたが、皆さんZSTへの愛が強いです。

「みんなZSTが大好きなんですよ。今は他の大会に出ている選手も、ZSTが再開されたらすぐに集まると思います。今もZSTファイターが他の大会で試合をする時、『頑張ってね』とかメッセージを送り合ったりしているんです。僕がパンクラスに出ることが決まった時は、上原さん(元ZST代表の上原譲氏)からもメールを頂きました。『盛ちゃんなら絶対にやれるから頑張って』と」

――とても熱い関係性ですね。

「修斗、DEEP、パンクラスと比べたら、どうしてもZSTって下に見られていたじゃないですか。それが僕だけじゃなく、みんな悔しかったです。だから、みんなでZSTを大きくしていこうと思っていました。

今回パンクラスに出させていただきます。試合を組んでもらったからには、スポット参戦ではなく継続して参戦していきたいと考えています。ただ、自分がZSTファイターであることの誇りは忘れていません。パンクラスにとって僕はZSTから来た、リバーサルジム横浜グランドスラムの伊藤盛一郎です」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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【Pancrase330】12・25を読む&人に歴史あり。TSUNE─01─「父親が巨人に入っていたらしいです」

【写真】いや、次から次へと「!」な内容ばかりのインタビューになりました (C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330で、TSUNEが田嶋椋と暫定バンタム級王座を争う。
Text by Shojiro Kameike

TSUNEは1985年生まれで現在37歳、プロデビューは2011年とベテランの域に入ってきた。2021年から4連勝でランキング1位にまで昇りつめ、今回の暫定王座決定戦に至っている。もともと社会人野球までピッチャーとして活躍していたTSUNEが、MMAにたどり着いた経緯とは――そこには不思議な縁があった。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第3弾はTSUNEインタビュー前編をお届けしたい。


――MMAPLANETとしては初のインタビューとなりますが、これまでMe,Weの選手から「TSUNE選手の組みが強い」と名前が挙がっていました。

「そうなんですか。どうだろう……自分の中では、そんなに組みが強いっていう感覚はないんですけど」

――実際に試合でも相手を組み伏せて4連勝中です。

「練習でも僕はやられる側ですから。そんなに自信はないですし、僕も直接そう言われたことはないですよ。みんな、もっと言ってくれれば良いのに(笑)」

――アハハハ。それだけ組みが強いと言われるTSUNE選手が、柔道やレスリングではなく野球出身というところが驚きです。

「はい。小学3年生から社会人まで野球をやっていましたね。ずっと軟式野球をやっていたのですが、高校から硬式を始めて。そのまま社会人野球で取ってもらいました」

――社会人野球まで進むということは、高校時代も大きな実績があったのでしょうか。

「高校時代は夏の予選ですぐに負けました。ただ、地元の熊本県では夏予選の前に、もう一つ大きな大会があるんです。熊本県を城北と城南に分けて、その城南大会で甲子園に出ている学校に勝って優勝したら注目を浴びた感じですね」

――ちなみに野球時代のポジションは……。

「ずっとピッチャーをやっていました」

――えっ! 子供の頃にピッチャーを任されるのは、その中で運動神経が最も良い子だという印象が強いです。社会人野球までピッチャーをやっていたのであれば、子供の頃はいわゆるエースで四番だったのですか。

「いえ、四番は嫌いなので三番を打っていました。できるだけ早く、多く打席に立ちたくて。三番だと絶対、1回に打順が回ってくるじゃないですか。それだけの理由です(笑)」

――小学3年生の時に野球を始めたキッカケは何だったのでしょうか。

「最初は友達の誘いだったのですが、もともと父親が野球をやっていまして。しかも調べたら、プロで巨人に入っていたらしいです。自分は実際に試合を見たことがないので、あまり信じていないんですけど(苦笑)。父は恒村勝美といいます」

※注)恒村勝美さんは熊本県立球磨工業高等学校から、1972年に読売ジャイアンツへドラフト6位で入団したサウスポーの投手。TSUNEが生まれる10年前の1975年に引退している。

――お父さんがプロ野球選手だったことを信じていないのですか(笑)。

「ネットで調べると、『高校時代は1試合平均2ケタの三振を奪う速球投手』とか書かれていて。そこから巨人のV9時代(1965年~1973年)に入団していますけど、なにせ実際に試合を見ていないので……」

――では、お父さんから野球をやれと言われたわけではないのですね。

「父は何も言わなかったです。それこそ父から野球を教わったこともなくて。でも家に巨人の帽子があるので、何だろうとは思っていました。

父はプロ野球選手だったと、自分からは言わないんです。一度も一軍の公式戦に出たことがないみたいで、それで自分がプロ野球選手だったと言うのは、プライドが許さないんですかね。V9時代だから一軍に上がることすら難しかったかもしれないですけど」

――なるほど……すみません、野球選手へのインタビューのような展開になってしまいました。社会人野球に進んだあと、どのような形で格闘技に繋がっていくのでしょうか。

「社会人野球は岡山県の三菱自動車に入ったんですよ」

――岡山県の三菱自動車野球部は水島工業地域にあります。現在Me,Weでチームメイトの藤田大和選手と藤田翔子選手のご実家は、その水島で道場を運営されていて……。

「そこが繋がっていくんですよ。実は、格闘技を始めたのはドリーマージム(藤田の実家が運営するジム)で」

――ドリーマージムはアマチュアボクシングのジムですが、そこに間借りする形で最初はコブラ会、次にゼロ戦クラブが総合格闘技クラスを持っていました。

「左のヒジを痛めて投げられなくなったので、23歳の時に野球を辞めてしまいました。そのまま会社には残っていたのですが、まだ元気で体は動くし、何かやりたいなと思って。それで探したら近くにドリーマージムがあったので、入会したんですよ。

まだ大和が中学生の頃でしたね。健児(大和の弟で現在プロボクサー)と一緒に、スパーでも試合でも大人をボコボコにしていて(笑)。その何年も後に自分がいるMe,Weに大和が入ってきて『俺のこと覚えている?』、『ドリーマージムにいましたよね!?』と驚いていました」

――それは凄い縁ですね!

「僕はもともとプロレスも好きで。ドリーマージムには1年ぐらいしかいなかったんですけど、実際に格闘技をやってみたら楽しかったんです。そこから『30歳ぐらいまで東京でMMAをやろうかな』っていう、本当に軽いノリで上京しました。社会人野球から三菱自動車の社員となり、それを捨てて東京でフリーターですよ。貯金が一瞬で無くなりました」

<この項、続く>

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