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【Special】月刊、柏木信吾のこの一番:7月―その壱―鈴木千裕✖パトリシオ「お代わりするんですか?」

【写真】ズバリ、舞台裏に終始しています(笑)(C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画――が1年ぶりに復活。
Text by Manabu Takashima

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾3人というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は柏木信吾が選んだ2023年7月の一番、7月30日に行われた鈴木千裕×パトリシオ・フレイレ戦――に通じるパトリッキー・フレイレ×ホベルト・サトシ・ソウザの1戦をまずは語らう。


――もう、アゼルバイジャンからは帰国されたのですか(※取材は13日に行われた)。どのような国なのでしょうか。

「自分たちはおもてなしを受けているので、良い部分しか見ていないということはありますが、バクーはとても良い街でした。皆、穏やかな人達で。2007年ぐらいから、石油と天然ガスで凄く発展しているようです」

──イスラム教の国というイメージですが、F1GPも行われた経済的な発展は凄まじいイメージです。

「11月の大会もF1を開催している会社とやっていくことになります。政局的には野党もありますが、事実上は与党が圧倒的に強い国政で安定しているようです。凄く治安も良かったですし。バクーの街は真夜中に1人で出歩くこともできました。

女性もヒシャブですら、している人は少ないです。伝統的な衣装を着ている人は、他のイスラム圏からの観光客で。それほど戒律には厳格ではないと聞きました。普通にバクーの女性は肌も出していますし、凄く綺麗な人もいます」

──いや、それにしても夏休み返上でお疲れさまでした。

「いえ。RIZINで働くようになって初めてですね、こんな風にまとまって休めるのは。僕も今日から家族と一緒に台風を避けつつ、夏休みを楽しもうと思います」

──スミマセン、そのような時に……。

「いえいえ、『今月の一番』の復活楽しみにしていましたから。そしてMMAPLANETがリングも解禁ということで、今回は鈴木千裕×パトリシオ・ピットブルで行かせてください」

──押忍。もう舞台裏から楽しみです。

「ここはもう、本当に書けること書けないことがありますから。その辺りは宜しくお願いします」

──ハイ。ギリギリのところ、狙っていきます(笑)。一つあるのはAJ・マッキーが欠場になり、ホベルト・サトシ選手が代役出場をする。これだけで、とんでもないことが起こっていたと思いますが、そこに加えて……なぜ、この1戦まで追加されているんだと(笑)。

「フフフフフ。本当に99パーセントの人の言葉を代弁していてだきました。今回は全てが重なりました。僕はフライングケージの担当もしていたんですけど、サンノゼから運んで組み立てて。24日の月曜日にリハーサルをすることになっていたんです。

そうしたら23日の朝にBellatorから電話が欲しいと連絡がきて。これは良くない話だとピンときました。そうしたらAJの話で。スミマセン、鈴木選手とパトリシオ・ピットブルの話なんですけど、ここから入らないと……(苦笑)。

その日からどうしようということになり、Bellatorはマンスール・ベルナウイが待機しているからそれで良いという考えでした」

──ハイ。まぁTV中継ができればという判断ですね。

「そうなんです。でも、僕らRIZINサイドは興行主です。BellatorカードのメインはAJ・マッキーとパトリッキー・ピットブルでチケットを買っていただいているので、ベルナウイが代役でOKとはならないです。イベントはRIZIN主催で、リスクの負い方が違う。だから、もう少し抗わさせてほしいと伝えました」

──RIZINファンがベルナウイで納得するとは思えないです。それならトフィック・ムサエフだろうって。アキラ選手には申し訳ないですが。

「いや、それが実はプランBでした。もちろん、プランAはサトシで。そして色々と交渉の結果──サトシの体重は残り1週間では絶対に落ちない。でもBellator側もトーナメントなのに73キロのキャッチを了承してくれました」

──緊急事態の超法的処置ですね。ただ、米国でのBellatorで有り得たのか。やはりRIZINが主催している大会ということも大きく影響していたと思います。

「正直、状況が状況ですし、政治的な背景、大人の判断とこのタイミングだから全てできたと思います」

──まぁ、彼らも色々とありますし。

「ハイ。もちろん、興行会社としてRIZINのリスクも分かってくれていますし。スコットはトーナメント参加者にコンセンサスもとっていました。そこはフェアでしたね」

──誰もが幸せになれる代替カードだったから、超法的処置も通ります。ファンが納得しないカードでは73キロはおかしいだろう……ともなりますし。

「その通りですね。本来ならBellatorもライト級でもう1試合、GPの代役が務める選手の試合を組んでいたはずです。それがコラボレーション興行の一つの弊害というか、キャパというか。試合数も彼らが望むだけ……7試合とかを組むことができなかったです。

BellatorにはBellatorの放送の都合があり、RIZINにはRIZINのPPVと日本の放映権が存在していて様々な事情があるなかで、それを一つひとつクリアして創り上げたイベントなので、どこかにしわ寄せがくる。それがBellatorにとっては試合数で妥協したというのは否定できないです。TV中継枠をこなすのに、体重超過や負傷欠場が──まさに現実になってしまったようにあり得る中で、彼らが受け入れる最少の試合数が5試合でした」

──ここでISAO選手や菊入正行選手の試合を組みたいという想いもあったでしょうし。

「そういうことなんです。ただし、何が起こるか分からないなかで、我々も時間制限もあるので7試合は組めないよ──ということでした。それでもRIZINがライト級チャンピオンを出したことで、双方が納得できたBellatorのメインカードでした」

──本来なら、そこで一件落着です。ただし、そこでパトリシオ・フレイレ×鈴木千裕まで追加カードとして発表があり、あのような結末に至った。AJ欠場のピンチで、こんなボーナスまで引き出してしまう。

「僕は正直、そのアイデアを聞かされて動かないと行けなくなった時──正直、憤っていましたよ(笑)」

――もちろん榊原信行CEOからだと思いますが、いやぁ凄いですね。そこまでやってしまおうというのは。言い方は悪いですけど、火事場泥棒ですよ(笑)。

「あのね、高島さん!! 僕はAJが欠場して、サトシ✖パトリッキー・ピットブルを成立させた。大仕事が終わったばかりだったんですよ。ウルトラCを引っ張りだしたのに、お代わりするんですかって(笑)」

──アハハハハ。

「それがフライングケージのリハーサル中ですよ。イタリアの製作者たちと日本の技師さんたちが、『ああだ。こうだ』とやりとりをしている時に、お代わりが欲しいと連絡があって。千葉の倉庫で、僕はブチ切れていました(笑)」

──しかし、凄いですね。榊原さん。

「やっぱ、スゲェですよ。普通の人だったら言わないことを、あの状態の僕に課してきた。まぁ、榊原社長はAJ欠場の時点で、『パトリシオを出せないかな』ということは言っていました。イベンターなんです、根っからの。朝倉海選手の欠場で、RIZINのメインを無くした。そしてBellator側のメインも無くした。

これはイベントとしては、ケガを負った状態で傷に塩を塗り込まれている状況でした。サトシという最高の応急処置ができたのですが、やっぱり体は弱っている。榊原社長は、そのままではイベンターとして終われなかったのだと思います」

──選手のコンディションなどが、先に頭にある自分のような立場の人間には全く考えが及ばない一手です。

「ハイ、全くアプローチが違いますよね」

──それはもう、火事場泥棒という言い方をしましたが、まさに怪我の功名だったわけですね。この大当たりを引き出す──格闘技界にいても、絶対的に人種が違うのですが、これは凄まじいなと素直に思いました。

「高島さんから、その言葉を聞けるのは素晴らしいと思います。僕も正直、終わったあとにスゲェなと。本当に思いました」

──それも鈴木選手が勝ったから。パトリシオが勝っていれば、まぁスクランブル出場で名前のある方が勝つという過去にも見られたケースで。

「大博打です。博打を打って、勝ったんですよ(笑)。イベント当日を下り坂で迎えてはいけない。向かい風のなかで、イベントが始まってしまうことを避ける。上り坂、追い風にしてイベントを開く。それがイベンターとしての榊原社長の姿勢なんです。『本気なの? この人?』って思ったんですけどね(笑)」

<この項、続く>

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BELLATOR MMA MMAPLANET o RIZIN   キック クレベル・コイケ パトリシオ・フレイレ 鈴木千裕

【Fight&Life & RIZIN】世界が驚いたKO勝ち──までの1カ月、鈴木千裕「格闘技をやりたいのに逃げちゃって」

【写真】世界に衝撃を与えた一撃(C)BELLATOR

今月 23日(水)発売予定のFight&Life#98で7月30日(日)に、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催された超RIZIN02でパトリシオ・フレイレを相手に衝撃のKO勝ちを収めた鈴木千裕のインタビューが掲載される。

世界を驚愕させた鈴木のKO勝ちから、2日後に行われた取材で鈴木は、「ようやく落ち着いた」と話し、その勝利から2日間は夜も寝られない状態が続いていたという。この世紀の番狂わせを演出した一つの要素は、両者の試合が決定したのがイベントのわずか6日前だったことに他ならない。

ここでは雑誌のスペースの都合上割愛せざるを得なかった──6月24日のクレベル・コイケ戦の敗北を振り返り、その後の無為に過ごした日々。そして一気にエンジンが点火されたパトリシオ・フレイレ戦決定までの1カ月間について鈴木が話したことをお届けしたい。


――歴史的な勝利について話を聞かせていただく前に、どうしても6月24日のクレベル・コイケ選手との変則タイトルマッチに触れないといけないです。

「ハイ」

――計量失敗で変則タイトルマッチになった。計量の時に謝罪モードいっぱいだった相手を目にすると、試合に向けて違和感はなかったですか。

「戦うことは変わらないのですが、やはり見る側や周囲の熱が冷めるのは否定できないですよね。それに体重を落とせなかったという事実が、ついて回りますし。ファンが気持ち良く見ることはできない。ただ、僕自身がやるべきことは戦うことだけなので関係なかったです。無理やり……誰かに強要されて格闘技をやっているわけではないので。

もちろん、2人とも体重を落とせていた方が良かったですよ。でも、そうならなかったことに関して、『あぁだ。こうだ』といってもしょうがない。不必要な悩みはスルーするようにしているんです」

――それは素晴らしいセルフ精神ケアですね。

「自分でコントロールできないことを考えるぐらいなら、「勝って、次に進もう」と考える方が、プロとしてベストを尽くせると思います。

――そのような気持ちで戦い、あの試合内容で負けたことに関しては、どのように思いましたか。

「しっかりやることをやって、挑んだ試合だったので……ダメだった、それだけですね。世界に届かない、通じなかった。あれだけやったのに何も通用しなかった。そういう感じで落ち込んだだけでした。負けたことはしょうがない。それを認めることが強くなるために、一番必要なことなので」

――では、あの時点でキャリアの再構築をどのように考えていたのでしょうか。

「僕はKNOCK OUTの代表としてRIZINで戦っているので、都合よく行き来しているように思われることだけは嫌でした。キックで出来た借りはキックでしか返せないし、MMAの借りはMMAでしか返せない。だから、MMAを戦いという気持ちでした」

――少しでも早く戦って白星を取り戻したいと?

「それが面白いことに、全く意欲がなくなってしまって。試合から2週間ぐらいして、練習に戻ろうとジムへ行きました。でも『俺、何やっているんだろう』って感じで。格闘技をやりたいのに、逃げちゃって遊びに行って……。

また2週間ぐらいして、1度だけ試合前の選手とスパーリングをしました。試合前の先輩と向き合うと楽しかったけど、ミットやサンドバッグはやる気になれなくて、そのまま帰りました。あんなことは初めてでした。しかも練習以外の何をやっても面白くない」

――それでは気持ちの切り替えも難しいですね。

「で、一度福岡に行って――戻ってくると『試合、やるか? ピットブルとオファーが来ている』と言われ、一気にエンジンがかかりました。それがファイトウィークの月曜日のことでした」

――正式発表の2日前! まさに格闘家として、スイッチが入ったのがスクランブル発進のピットブル戦だったのわけですね。

「ハイ、さいたまスーパーアリーナに試合を観に行くつもりもなかったです。先輩の試合があったり、誘ってもらわないと余り試合を見に行くことはないんですよ。そんな時にLINEと携帯に連絡がガンガン入っていて。『俺、何かしでかしたかな?』って心配になりました(笑)。

でも、心のなかでは戦う機会を欲していたんだと思います。だからピットブルとの試合のオファーで、一気に気持ちが燃え上がって、エンジンがかかりました」

※パトリシオ・フレイレ戦では、クレベル・コイケ戦に感じた後悔を繰り返さないために選択した自らのスタイル。さらに自信への評価の対象を、報酬という面に関しての熱い語りと、そのように強く思うようになった原体験を鈴木千裕が語ったインタビューが掲載されるFight&Life#98は8月23日(水)に発売です。

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【Fight&Life & RIZIN44】クレベル・コイケ戦決定、前日譚 。金原正徳 「納得いく人間と最後はやりたい」

【写真】灼熱、8月の東京の空のように熱い言葉が聞かれた (C)MASASHI KIKAWA

今月 23日(水)発売予定のFight&Life#98で9月24日(日)に、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44でクレベル・コイケと対戦する金原正徳のインタビューが掲載される。

9日に正式発表された、この対戦。同インタビューはその6日に収録された。まだ、正式発表でないからこそクレベル戦のみならず、RIZINフェザー級戦線、そしてJ-MMA界の未来と金原の心の襞が見られた。

まさに金原正徳✖クレベル・コイケ前日譚といえる金原インタビュー、ここではスペースの都合上、誌面に反映できなかった山本空良戦からヴガール・ケラモフ戦アピールと、7月30日の鈴木千裕の歴史的な1勝、ケラモフ✖朝倉未来戦などについて金原が話したことをお届けしたい。


――まず金原選手に伺いたいのは、4月30日に山本空良選手に勝ったあとヴガール・ケラモフとの対戦をアピールしたことです。

「俺のなかで残り時間が少なくなっている……タイムリミットが迫っていることは分かっているし、ぶっちゃけて山本空良戦が組まれたことに納得がいっていなかったです。残り時間が限られているなかで、自分が強いと認めた選手と戦いたい。そういう気持ちでいて、1年近く試合をしていないなかで、去年の夏も今年の冬も準備はしていました。それに試合のオファーもあるにはあったんです。でも、納得がいく相手ではなかったので断らせてもらっていました」

――つまり試合をしていない間も、オファーはあったということですね。

「ハイ。ただ納得がいく相手でなかったので受けなかった。でも、1年も試合間隔を空けたくなかったから空良君とやることにしたんです」

――ただし納得はしていなかったと。

「彼には申し訳ない言い方になるけど、興味はなかったです。ただ空良君は、これからの環境次第で日本のMMAを背負っていく選手になれる。そういう若い選手と戦うのであれば、変に中途半端な相手と戦うよりもストーリーにもなる。そういう風にも思ってはいて。それでも戦ってみて……いや、やる前から分かっていたことだけど、力の差は感じました。だから自分が本当に強いと認めていて、誰もやりたがらないケラモフと戦うことができれば、まぁ納得もいくし。間隔も空けずに、スコっと最後の勝負をしようと思って、名前を挙げさせてもらいました」

――ただし、超RIZN44でケラモフは朝倉未来選手と戦うことになり、結果としてフェザー級のベルトを巻きました。ケラモフ✖朝倉未来戦の発表前に、金原選手にケラモフ戦のオファーはあったのでしょうか。

「ハイ。あのマイクアピールの当日に、『組むから』という風に榊原(信行CEO)さんからも言ってもらって、そういう方向で話をしていました。ただ7月というタイミングに関しては体のこともあり、ジムもあるので難しかったです。なので僕自身は9月か大晦日という風に要望を伝えさせてもらって。当然ケラモフが俺のために、そこまで待てないのも理解できるし、他の人とやることになっても、それはしょうがないと思っていました。自分ができるタイミングで意中の相手と戦えるって、それはもう運命のようなものだから」

――意中の相手と戦うにしても、満足いく練習ができて、万全の体調でないと試合は受けられない?

「納得して辞めたいんですよね。ビクター・ヘンリーは凄く強い選手ですけど、バンタム級に体重を落としたことで全然、体調が良くなかった。そういう意味でやり切れていない部分が多少ありました。今はフェザー級に戻ってきてメチャクチャ元気だし、言い訳ができないぐらい練習もしています。本当に格闘技も楽しいので、最後のチャレンジがしたい。自分は強さを求めてやってきました。今の数字や人気を求めているのとは違う人種の人間だから。自分が納得いく人間と最後はやりたい。それは思っています」

――つまり納得がいけば、ケラモフが絶対ではなかったと。

「こないだ未来が勝っていたら、それはケラモフではなくなりますよね。そうなった場合は朝倉未来になります。でもケラモフが勝ったことで、そこはケラモフ、もしくはクレベルになりますよね」

――それが最後だと断言できてしまうものなのですか。

「だって僕、引退しようと思ってジムを開いて10年ですよ。辞めようと思ったら、UFCと契約できた。UFCをリリースされて、もうMMAをやってもしょうがないと思ってキックボクシングに出た。でもキックをやったら、MMAが楽しくなっちゃった(笑)。いつも最後だと思っていたけど、もう辞めどころが分からない(笑)。それでも「これが最後」だと思って、いつも試合をやっています」

――だからこそ、本当に意中の選手しか戦いたくないと。

「自分が思い描くプランと皆が求めるモノは違うと思うけど、やっぱり若い子と戦うのは踏み台になるということで。それは、自分の挑戦が終わってからで良いかと」

――踏み台になることも、厭わないのですね。

「最後は踏み台にならないといけないです。自分が認めた次の世代のヤツと戦わないと。『お前に負けたらしょうがない。引退するよ』ってなることで、このスポーツも歴史が受け継がれていくわけですから。山本空良、平本蓮、萩原京平、鈴木千裕のような未来のある若者とやって、負けて終わりたい。もちろん『お前らなんかに、負けねぇよ』という気持ちを持って戦いますけどね」

――なるほど。本来は挑戦されるのではなく、挑戦する立場の強い相手と戦うこと願っているなかで、厳密にいえばフェザー級の試合ではなかったですが、鈴木千裕選手がパトリシオ・フレイレをKOしたことについては、どのように捉えていますか。あの歴史的な勝利で、鈴木選手は発言権を得られたと思いますか。

「ハイ、あって良いと思います。俺、試合にまぐれはない。ラッキーパンチはないと思っています。あのカードを掴んだ時点で、彼には決定権があると捉えています。誰もが掴めるチャンスではないですし、それを掴める人がいる。それが上に行ける人なんです」

――それが鈴木千裕選手だと?

「正直、あの試合に関してはピットブルが舐めていたところはあると思います。でも舐めていたからといって、勝てる相手じゃない。なかなかできることじゃないです。『俺はこの試合は勝てないから、最初から死ぬ気でいく』という選手はよくいますが、いけないヤツの方が絶対的に多いです。ライオンを目の前にしたら、なかなか怖くていけないです。でも、それで行けてしまう強さ。やっぱり、所英男のようなところですよね。こういう競技においては非常に重要なことを持っている人は、凄く少ないです。僕にはできないことだから、凄いなと思います」

――ではケラモフ✖朝倉未来戦をどのように捉えていますか。

「未来が負けるなら、あのパターンですよね。あれしかない。未来はどうしても右フックとカウンターの左ヒザの選手なので、あのハイクロッチで入られると、カウンターを合わせられない。結果、対応が遅れた時にバックを取られてしまう。ケラモフはバックからの攻撃が凄く強いので、流れのなかでRNCを取られることはあると思っていました」

――これは後出しジャンケンなのですが、あのRNCはケージもリングも関係なく、右腕の使い方でミステイクがあったように映りました。

「僕の勝手な感想なんですけど、日本人相手だとあの反応でエスケープができていた。彼の環境で気持ちが良い練習をしちゃうと、アドバイスできる人もいないし、そうなると反応はどうしても遅れる。やっぱり、やられる練習をしないといけない。練習でできてしまうから、その反応で正しいと思ってしまうので。やっぱり自分より強い選手に攻められ、厳しいことをしていると、対処法は身についてきます」

――金原選手が、自分より強い相手に攻め込まれることが練習でどれぐらいあるのでしょうか。

「岩本(健汰)君にしてもそうだし、もちろん青木(真也)君もそう。常にやられている環境にはあります。それにわざと自分がやられている環境を創って、練習をするようにもしています。自分がピンチにならない練習をすることも大事ですが、不利な状況から逃げる練習も大切です。体重は違っていても、上久保(周哉)君にその形でやると、逃げることはできない。彼の強いところで受ける。それが大切になってきます」

――気持ち良い練習と、しんどい練習のバランスは?

「その2つではなくて、3つ意識しています。1つは自分と同じ体格と同じ実力の選手とガチンコで競い合う練習。2番目が、やっつける練習。打ち込み感覚で攻めることができる練習ですね。3番目がやられる練習です。この3つは常に意識しています」

――比重はどうなっていますか。

「やられる練習はどうしても少なくなりますね(笑)。少なくなるというか、そういう相手が少ないので……。10本やって、岩本君と青木君と2本ずつやっても、6本はやっつけられる練習にはならないので」

――打撃もそうですか。

「打撃は違いますね。ただ昔は佐山(聡)先生の所へ行って、掣圏道ですね。桜木(裕司)さんや瓜田(幸造)さんとやることで、一生懸命しがみつくとかして、生み出される技もありました。さすがにパンチは手加減してもらっていましたけど、圧力という部分で凄く学ぶことがありました」

――その結果のMMAファイター人生を送り、今や実力でRIZINという場で評価を受けています。

「それは嬉しいですよ。実力で評価されるって。20年遅れで来たぁ、みたいな(笑)」

※クレベル戦決定までに挙がった平本蓮戦、クレベル戦に対する想いとこれからのフェザー級J-MMAファイター、今後に期待する選手達。そして、計量問題と計量失敗ペナルティに関して金原正徳が語ったインタビューが掲載されるFight&Life#98は8月23日(木)に発売です。

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【Bellator x RIZIN02】AJ負傷欠場で、Bellatorの部メインはパトリッキー×サトシのライト級GP1回戦に変更

【写真】サトシがスクランブル発進。ケージでの試合は2018年11月のARZALET.4以来だ(C)MMAPLANET

30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN02』の記者会見が、26日(水)に東京都目黒区のウェスティンホテル東京で行われた。会見ではBellatorライト級GP1回戦でパトリッキー・フレイレと対戦予定であったAJ・マッキーの欠場が発表された。代わりにパトリッキーはRIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザと対戦する。

会見にはBellatorのスコット・コーカー代表、RIZINの榊原信行CEO、そしてパトリッキーとサトシが出席。ここでは主催者から発表された対戦カード変更の経緯と、出場選手のコメントを掲載したい。


まず榊原CEOがAJ・マッキーの欠場を発表。続いてスコット・コーカー代表がAJ欠場について「健康上の理由」と説明した。ここでパトリッキーとサトシが登壇した。榊原CEOによればAJ欠場が決まったのは先週日曜日で、スコット代表と相談してサトシにオファーしたという。パトリッキーとサトシのコメントは次のとおりだ。

パトリッキー・フレイレ
「このスポーツでは何かしら不幸なことも起こりうるが、それも普通のことだ。新しい対戦相手は、とてもハイレベルな選手だ。現RIZIN王者で、素晴らしい柔術テクニックを持っている。自分の中では、(昨年の大晦日は)AJに勝っていたと思っている。いつでも自分は準備万端で、GP優勝という目標は変わっていない」

ホベルト・サトシ・ソウザ
「(今回の出場は)嬉しいです。以前からBellatorのトーナメントに出たいと思っていました。大会ギリギリで出場は決まったのは仕方ない。RIZINの代表、日本の代表として日曜日は良い試合を見せます」

なおパトリッキー×サトシは5分5R、161ポンド(73.0キロ)のキャッチウェイト契約で行われる。これは他のライト級GP出場者にも確認し、了承済であることをスコット・コーカー代表は明らかにした。さらにRIZINの部で鈴木千裕がBellator世界フェザー級王者パトリシオ・フレイレと対戦することが発表されている。

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ABEMA AJ・マッキー BELLATOR MMA MMAPLANET o RIZIN UFC   パトリシオ・フレイレ パトリッキー・フレイレ マイケル・ペイジ

【UFC, Bellator & DREAM】パトリシオ&フレイレ、MVPらの名前がUFC公式サイトに記載!! カンセコも

【写真】これは激震が走って当然

18日(火)、既に一部ファンの間でも話題になっているが、UFCの公式ホームページにパトリシオ・フレイレ、パトリッキー・フレイレ、AJ・マッキー、マイケル・ペイジの名前が記載されていることが発覚した。

「すわっ、UFCがBellatorを買収?」と誰もが勘繰るところだが、だからといってこのような勇み足でこれほどの重大事が世に明るみになるとは考えられない。

MMAPLANETではすぐにUFC関係者にコンタクトをとると「どういうことだ?  我々がチェックした時には、何も起こっていなかった。そんな奇妙な……Bellatorは××××××××に買収されたと聞いているけど」という返答があった。


この件に関して、UFCでは現時点で正式見解は述べられていない。Bellatorに限らずRIZIN出場選手やレジェンド・ファイター名前があるなど、契約下にない選手の戦績も纏めようとしているというファンの反応もある。

奇妙なのは、ホセ・カンセコ名前まで確認されるなど日本に関係ある選手が多いことだ。

だだ既にAJ・マッキーの名は削除されており、何者かがサイトに侵入し悪質ないたずらを仕掛けたことも十分に考えられるが、何が起こるか分からないのがこの世界、果たして……。


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BELLATOR Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o UFC キック クレベル・コイケ セルジオ・ペティス パトリシオ・フレイレ ボクシング マイケル・チャンドラー 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。セルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレ

【写真】 この圧力が、攻撃に繋がっていなかったパトリシオ(C)BELLATOR

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たセルジオ・ペティス✖パトシリオ・フレイレ戦とは。


──セルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレ、この試合を見てパトリシオは倒す気持ちはあったのか。なぜ、前に出ても打たないのか──そこが気になりました。

「結論から申し上げますと、ペティスとフレイレの試合MMAというプロ興行の看板を背負っている──数字が取れるから、登用されている選手の試合でした。

加えて技術的な面でいえば、ペティスは蹴り主体で、後ろに回りながら距離を取っていました。これに対してフレイレは左足前の送り足で動いているので、距離が遠い時には追い切れないというのはあります。だから手が出しづらい」

──仮に空手の技術でそこを解決するには、どのような手段がありますか。

「基本的な移動稽古で既に距離を詰める稽古をしています。踏み足といい──後ろ足を出して、追い突きを繰り出す」

──それこそ三本移動ではないですか。

「そのままですね。出て距離を詰めると同時に、突きが出ている。とはいえ、送り足でも距離を詰めることはできますし、殴れます。ボクシングでも当然ありますし、フルコンタクト空手でもキックボクシングでもやります。倒すこともできます。

つまりフレイレは送り足でワンツーを繰り返していますが、どういうつもりで打っているのかということですね」

──と言いますと?

「あのマイケル・チャンドラーを一発でKOした時と、今回のフレイレが同じ状態だったとは思えないです」

──それはバンタム級に落とし、体調が完璧でないということでしょうか。

「いえ、そういうこともあるかもしれないですが、主に精神面──気持ちです。なぜ、KOパンチが打てたのか。引き続き、打つにはどうすれば良いのか。そこに着目して練習しているのか。何を追い求めているのか、ですね。

フレイレにパンチ力があるなんて、一目瞭然です。でも、そのパンチの強さを毎回のように再現できるのか。パンチ力を発揮して勝てるのか。そこを追求していないと、できないです。申し訳ないですが、無難にやっていこうとしたんだと思います。

思い切りいくのは、リスクがありますから。でも、本当は思い切りいった方が上手いく。ステップで詰めるのではなくて、エネルギーで詰めている時は。距離は同じでも質量が5のステップインと、質量が10のステップインではパンチを食らった側の感覚は変わってきます。フレイレにも、そういう頃がありました。

でも、今回の試合はペティスも含め、最初から5Rを持たせるようなファイトでした。そして、あのワンツーでは追い詰めることはできない。ジャブ、ワンツーから10で行かないとペティスを追い詰めることはできないです。

ただし、そういうギラギラしたファイトは、そう長くはできないです。あのマイケル・チャンドラーにKO勝ちした時と、今のフレイレは『倒すんだ』、『トップになるんだ』というギラつき度合は絶対に違います」

──確かに目標やモチベーションはペティスを倒すことでなく、3階級制覇の名誉だったかもしれないです。

「年齢、キャリア、生活環境が変わると、選手も変わります。UFCでもコンテンダーシリーズやプレリミに出ているファイターの方が、ギラギラしているように。この試合、Bellatorの世界バンタム級王者にフェザー級王者が挑戦するということで注目を集めていましたが、大晦日のクレベル・コイケ戦にしてもフレイレには。ギラギラしている部分は一切なかったです。

フレイレも大人になり、ピットブルでなくなっているんです──私生活で。でも、ファイトになれば切り替えることはできる。ピットブルに戻る練習を指導者がさせないといけない。それは、この送り足でのワンツーをやることではないです。そういう気持ちで稽古をするのではなく、MMAのパッケージで稽古をしてきたんでしょう」

──それで結果を残しているから、変えることもないかと。

「そう。その通りなんです。だから最近は勝っても、こういう試合が続いていた。ペティスも前蹴りとか、ああいう攻撃で。あの手数で、ラウンドマストで常にラウンドを取ったに過ぎない。戦いとして、優勢ということではなかったです。それに質量はフレイレが上でした。でも、いくら排気量が大きなエンジンでも、そのエンジンがかかっていなければ何も起こらない。キーすら入っていないという見方もできます。そうなると質量は関係ない試合になります。

どれだけのレジェンドでも、ここで負けるとUFCをリリースされるという状況ではあのような試合にはならないでしょう。倒されない試合にはならず、倒すファイトをするんじゃないかと。あの日の2人と比べると、そりゃあ若い選手の方がギラついた試合をするでしょう。でも、この試合のように注目を集めることはないから、ここまでの興行の看板にはならない。数字が欲しいから出て欲しいという立場になった選手は、やっぱり『でてやっている』という感覚にもなるでしょう。

五輪のように4年に1回のようなところで戦う人は『出してもらっている』という感覚だと思います。それがやはり興行に出る看板選手と、骨の髄まで競技というところで戦っている選手の精神状況は違う。違って当然なんだと思います」

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BELLATOR Bellator297 MMA MMAPLANET o キック セルジオ・ペティス パッチー・ミックス パトリシオ・フレイレ

【Bellator297】パトリシオ完敗。チャンプ✖チャンプ対決制したセルジオ・ペティス、次は王座統一戦!!

<Bellator世界バンタム級選手権試合/5分5R>
セルジオ・ペティス(米国)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46.
パトリシオ・フレイレ(ブラジル)

まず右カーフを蹴ったセルジオ。パトリシオは右ローを返し、右を伸ばす。セルジオも右ストレートを放ち、ジャブから右フックを当てる。構えを変えるセルジオの右ハイをガードしたパトリシオが左ミドルを蹴る。スイッチして左ミドルのセルジオに対し、パトリシオがカーフを蹴っていく。と一気のダブルレッグでテイクダウンを決めたパトリシオは、担ぎパスからバックへ。立ち上がって胸を合わせたセルジオが離れ、カーフを蹴り込む。

残り90秒を切り、パトリシオは右ハイをガードして右ストレート、同時に蹴り足を払おうとした。右ヒザから左ハイでバランスを崩したセルジオは、すぐに立ち上がる。スイッチを続けるセルジオは、ハイも右ストレートを合わされる。ならばとスーパーマンパンチのセルジオだが、これも距離が合わずテイクダウン分パトリシオが初回をリードしたか。

2R、ケージ中央で間合いの測り合いでセルジオが、パトリシオの右に左を打ち込む。間合い取り直し、左右に足を使ったパトリシオは、左ローを蹴る。セルジオはカウンター狙いから前に出てワンツー、左ミドルを入れる。パトリシオは頭を振ってステップバック、セルジオのステップイン&パンチをかわす。右ミドルをセルジオが蹴り、右ボディからフックを顔面に打っていく。残り半分を切り、後ろ回し蹴りを見せたセルジオが尻もちをつくが直ぐに立ち上がる。距離をつめていくが、ここからなかなか手を出さない──パトリシオがワンツーフックを2度見せ、右フックが当たると跳びヒザを狙った。

セルジオは左ボディから左ジャブ、ワンツーで右を打ちこむ。最後の30秒で狙ったテイクダウンを切られたパトリシオは、右スピニングヒールキックを受けて後退。この回はセルジオがラウンドとなった。

3R、左目の上をカットし流血が見えるパトリシオは、ジャブから左ローを蹴る。セルジオはワンツーにワンツーを返し、右フックを当てる。距離を詰めるパトリシオが左を見せて、ダブルレッグもセルジオが切る。セルジオはジャブから右を伸ばし、このジャブを嫌がったパトリシオが間合いを一度外す。トリプルジャブ&ボディは当たりが浅かったセルジオだが、近距離の打撃の交換に応え圧負けしない。ワンツー、ジャブを見せて奥手を当てる数が増えてきたセルジオは、パンチを被弾したら必ず打ち返す。さらにセルジオはジャブからボディというコンビを再び見せた。

パトリシオはジャブを当てて右をヒットも、爆発力よりも慎重さが強いファイトを続けている。ステップジャブのパトリシオ、ワンツーでフックを入れたセルジオは残り30秒でテイクダウンを奪われる。パトリシオはハーフからマウントを狙うも時間に。パトリシオのテイクダウン&トップコントロールも、そこまでの打撃戦での劣勢は挽回できなかったか。

4R、ここも一段と慎重になった両者。30秒を経過して、互いに攻撃を繰り出すも届かず、ここから30秒が間合いの測り合いで経過する。ジャブを伸ばし、関節蹴りのセルジオはパトリシオのジャブを交わす。セルジオがジャブを当て、距離を取りシングルレッグを切りつつスピニングバックフィストを狙う。

パトリシオが右オーバーハンドをヒットさせるが、次がない。左ジャブにシングルからバックに回ったパトリシオに対し、セルジオが胸を合わせて足を抜く。打撃の間合いになると、セルジオは前後、左右の動きを見せるときに、拳が出るように動いている。それでもカウンターで右を伸ばし組みついたパトリシオ。ここもテイクダウンを奪えず離れたフェザー級王者は、前蹴りを顔面に受けて一瞬のスイッチを見せた。

最終回、確実に3つのラウンドを落としているパトリシオは、倒すファイトが必要になる。セルジオはジャズを伸ばして、前手を細かく動かすと肩も上下させてパトリシオを誘う。案の定前に出てきたところでジャブを当てたセルジオは、パトリシオのステップインにはヒザを放つ。パトリシオも勢いのある右を当て、前に出るが的を絞らせないセルジオのステップに、なかなか手が出ない。その手が出てくるところでカウンターから、パンチを纏めるセルジオが、最終回もリードを続ける。

左リードフックから、コンビのパトリシオだが、セルジオがコンパクトなコンビを見せて譲らない。ジャブを当て合い、パトリシオが右をヒットもダメージを与えるには至らない。ケージを背負った状態から右に回ったセルジオが、ダブルレッグを切られた直後に右をヒットさせる。組まれても倒れず、セルジオは離れると安全圏を確認するように動く。ケージを背負うとハイを繰り出したセルジオは、パトリシオのスピニングバックフィストをかわし、内回し蹴りも外して時間を迎えた。

右手を挙げたパトリシオだが笑顔はなく、セルジオは勝利を確信していた。結果、3-0で完勝したセルジオは「自分とチームを信じていた。シカゴの皆、愛している」と話すと、ケージに上がったパッチー・ミックスと向き合って握手を交わしフェイスオフを笑顔で行った。


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BELLATOR Bellator297 MMA MMAPLANET o ONE PRIDE RIZIN UFC   その他 アーチー・コルガン エマニュエル・サンチェス カイル・クラッチマー カール・ムーア ガジ・ラバダノフ コーリー・アンダーソン ゴカン・サリカム ジャリール・ウィリス セルジオ・ペティス ダニエル・ジェイムス チムール・カイズリエフ パトリシオ・フレイレ ピーター・バウシュト フィル・デイヴィス ベラトール ヨエル・ロメロ ラマザン・クラマゴメドフ ワジム・ネムコフ 平良達郎

【Bellator297】ポストGPの主役候補、アーチー・コルガン「リスクを冒さないなら普通の仕事をやる」

【写真】自宅の壁にはハルクのカバーが飾らている。「俺はハルクが大好きなんだ。でも、去年配信されたシーハルクはグラフィックが最悪だった。あのデアデビルの描き方も……何やってんだって思ったよ」辛口の印象を述べていた(笑)(C)MMAPLANET

16日(金・現地時間)、イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで開催されるBellator297「Nemkov vs Romero」で、アーチー・コルガンがエマニュエル・サンチェスと戦う。

(C)BELLATOR

メインでBellator世界ライトヘビー級選手権試合=ワジム・ネムコフ✖ヨエル・ロメロ。

コメインでBellator世界バンタム級選手権試合=セルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレが組まれた今大会。2つの世界戦、特に後者は日本のMMA界とも関係し、またパトリシオの過激な階級変更も話題になっている。

そんな頂点を争うカードがメインカードで組まれた今大会はプレリミで要注目のライト級戦が組まれている。いまだ準々決勝が終了していないライト級ワールドGPだが、ベラトールではGP後を睨んでライト級のアップカミング・ファイターに対し、実力査定マッチを用意した。ONEから転じたピーター・バウシュトがRIZINとの対抗戦で勝利したガジ・ラバダノフと戦う一戦、そしてコルガン✖サンチェスがそれに当てはまる。

アマ3連勝、プロでは7連勝中のコルガンは強力なテイクダウン能力を持つレスラーだが殴り合い上等、「リスクを冒さないなら、普通の仕事やっている」と言い放つ豪快なファイターだった。


──アーチー、約2週間後にエマニュエル・サンチェスと戦います(※インタビューは6月1日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

「またファイトウィークがやってくるだけでも、嬉しいよ。8週間、トップギアでハードワークをこなしてきたからね。残りの2週間も、この調子でいきたい」

──今回の試合に向けて、準備はホームタウンでしてきたのでしょうか。

「そうだよ、コロラド州デンバーのジェネシス・トレーニングアカデミーで練習し、スパーはエレベーション・ファイトチームでもやってきた。確かにエレベーションにはフライ級の日本人が来ていたよ。体格が違うから、一緒に練習することはなかったけどね」

──きっと平良達郎選手ですね。ところで無敗の新鋭アーチーについて、まだ我々は分かっていないことが多いです。格闘技との出会いは?

「レスリングを始めたのは4歳の時だ。兄が地域のレスリングクラブに通っていて、『一緒にやろう』と誘われたのがきっかけだよ。大学の時にワイオミングで5年間、D-1レスリングを戦ってきた以外は、ずっとデンバーに住んできた。カレッジでの戦績はあまり詳しく覚えていないけど140勝で30敗ぐらいだと思う」

──マイルハイシティに住んでいると、大学時代もスタミナ面でアドバンテージがあったのではないでしょうか。

「それがね、ワイオミングで僕が住んでいた時はデンバーよりも高いところだったんだ(笑)」

──OMG!!

「デンバーより、600メートルほど標高が高くて。2200メートルほどあった」

──そこでレスリングをやっていたとなると、アーチーはスタミナ・モンスターですね。

「アハハハハ。きっと慣れていない人は、あそこで運動をすると頭痛がして高山病になってしまったと思うよ」

──MMAファイターになろうと思ったのは?

「レスリングを辞めた時、もう自分は戦うことはない。終わったと思っていたんだ。それが普通のウェイトトレで、今のヘッドコーチに出会って。気がつけば、MMAを始めてアマチュアも含め10連勝していた(笑)」

──レスラー時代にMMAに興味はあったのでしょうか。

「子供の頃、PRIDEのファンだった。ランペイジが好きで、RIZINにはヴァンダレイ・シウバ、アンデウソン・シウバ、チャック・リデルも出ていた。凄く興味深かったよ。UFC? UFCがPRIDEを買収して、PRIDEが終ってから視るようになったよ。いや、その前から視ていたかな。とにかくランペイジの大ファンでPRIDEを見ていたんだ。それでPRIDEが好きなった。PRIDEルールはクレイジーだよ。ショーグンの試合を視るのが面白かった。もちろん、俺はユニファイドルールで戦っているけど、RIZINとのコラボショーに出れば4点ヒザを思い切り蹴り込むよ。とにかく、子供の頃から日本で戦うのは夢だった。マウント・フジを見て、スジを食べたい。そんなこともガキの頃に夢見ていた。あのスシがベルトの乗って回ってくるのを、食べたくてしょうがなかったんだ(笑)」

──RIZINとBellatorの対抗戦に出場するために手っ取り早いのはライト級のトップになることです。ただし今、ライト級ワールドGPが行われています。その裏でポスト・ワールドGPを睨んだ試合が組まれている。アーチーの次の試合もそういう戦いだと思います。

「エマニュエルは30戦近くキャリアのある、経験豊かなファイターだ。だから、最高の状態でケージに上がってきてほしい。そういう相手に勝ちたい。そのために自分のやるべきことをやる。ただトップになることに関しては、急いでいない。もちろん世界ライト級王座がゴールだ。でも、今じゃない。トーナメントが終ってから、現実的になってくるだろう。つまりはそれまでに3試合か4試合戦って、連勝を伸ばすことができる。

トーナメントが終わる頃には、俺がタイトルに挑戦する力があることを誰もが認めるようになっているだろう。まぁ、今回の試合で勝てばGPの準々決勝で負けた選手と戦いたいと思っている。マネージャーともそういう話をしているよ」

──なるほど。ところでアーチーはレスリングがベースですが、打撃を使うことが多い。そのために相手のパンチを被弾することもありますね。

「レスリングをやろうと思えば、いつでもできる。15分間、レスリングでコントロールすることも容易い。ただ、打撃戦だって恐れていない。多くのレスラーがMMAでもレスリングだけで戦うだろう? きっと怖いんだよ。でも、俺は怖くない。殴られることを恐れることはないんだ。ファイトがしたい。そして、MMAを戦ううえでレスリングだけでなく、コンプリートファイターだと皆に認められたいから。

レスラーやグラップラーは打撃戦が嫌なわけじゃなくて、殴られるのが怖いんだ。ちゃんとトレーニングの時から殴られておけって(笑)。俺だって、最初は少しは恐れていた。でも練習で殴られるから、怖くなくなったんだ。今は全く怖くない。殴り合いも大歓迎だ。

殴り合いはリスキーさ。でも、リスクを冒さない試合をするぐらいなら普通の仕事をやっている。俺はファイトするためにMMAを戦っているんだ。何より自分がやってきたトレーニングを信じている。試合が始まれば、ただ戦うだけ。試合前にどれだけ綿密に作戦を立てようが、その作戦を実行するには逃げのファイトをしちゃいけないんだ」

──では金曜日の夜、今後はさらに上の相手と戦うチャンスを得るためにも、どのようなファイトを皆に見せたいと思っていますか。

「ファン、プロモーターの皆に、自分よりずっと経験豊かな相手に勝ち、俺はチャンピオンになる器なんだと見せつけたい。俺はその他大勢のファイターじゃない」

■視聴方法(予定)
6月17日(土)
午前6時30分~ U-NEXT

■ BELLATOR297計量結果

<Bellator世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ワジム・ネムコフ: 203.8ポンド(92.44キロ)
[挑戦者]ヨエル・ロメロ: 205ポンド(92.99キロ)

<Bellator世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]セルジオ・ペティス: 134ポンド(60.78キロ): 133.8ポンド(60.69キロ
[挑戦者]パトリシオ・フレイレ: 134.2ポンド(60.87キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
コーリー・アンダーソン: 205ポンド(92.99キロ)
フィル・デイヴィス: 206ポンド(93.44キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ダニエル・ジェイムス: 265 ポンド(120.2キロ)
ゴカン・サリカム: 246ポンド(111.58キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ヴラジミール・ゴウベア: 264 ポンド(119.74キロ)
ゲイブリエル・サヤッグ: 261ポンド(118.38キロ)

<ウェルター級/5分3R>
カイル・クラッチマー: 171ポンド(77.56キロ)
ボビー・ナッシュ: 171ポンド(77.56キロ)

<ライト級/5分3R>
ピーター・バウシュト: 156ポンド(70.76キロ)
ガジ・ラバダノフ: 156ポンド(70.76キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジャリール・ウィリス: 171ポンド(77.56キロ)
ラマザン・クラマゴメドフ: 170ポンド(77.11キロ)

<ライト級/5分3R>
マイク・ハメル: 155ポンド(70.31キロ)
シャミル・ニカエフ: 156ポンド(70.76キロ)

<ミドル級/5分3R>
ノルベルト・ノヴェニーJr: 185ポンド(83.91キロ)
カミル・オニシュチョク: 186ポンド(84.37キロ)

<ライト級/5分3R>
アーチー・コーガン: 155ポンド(70.31キロ)
エマニュエル・サンチェス: 155ポンド(70.31キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
カール・ムーア: 205ポンド(92.99キロ)
アレックス・ポリッジ: 204ポンド(92.53キロ)

<フェザー級/5分3R>
チムール・カイズリエフ: 145ポンド(65.77キロ)
リッチー・スマーレン: 145ポンド(65.77キロ)

<ミドル級/5分3R>
ジョーダン・ニューマン: 186ポンド(84.37キロ)
マシュー・ペリー: 184ポンド(83.46キロ)

<フェザー級/5分3R>
コディ・ロー: 145ポンド(65.77キロ)
エドウィン・チャベス: 146ポンド(66.22キロ)

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BELLATOR Bellator297 MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC UFC セルジオ・ペティス パトリシオ・フレイレ ムン・ジェフン 元谷友貴 朝倉海

【Fight&Life & RIZIN & Bellator297】朝倉海のペティス✖フレイレ予想「パトリシオのコンディション次第」

【写真】MMAPLANETで朝倉海の言葉が掲載されるのは、今から7年前──ムン・ジェフンに敗れた直後のインタビュー以来、5度目です (C)MMAPLANET

今月 22日(木)発売予定のFight&Life#97で7月30日にRIZINバンタム級王座決定戦でフアン・アルチュレラタと対戦する朝倉海の巻頭インタビューが掲載される。

自身のタイトル戦、右の拳の負傷の前後──ラスベガスでの練習で何が変わったのか。今後のMMAファイター人生の進路などを朝倉が語ったインタビュー。ここではその番外編として、朝倉の進路に大いに関係してくるであろう一戦。同誌発売前に決着を見るセルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレのBellator世界バンタム級戦の行方について彼の予想をお届けしたい。


──ROAD TO UFC のバンタム級トーナメント、海選手から見てどのように思いましたか。

「あんまり見ていないですね(笑)。誰が出ているのか ……上久保(周哉)選手とかですよね。上久保選手の試合は、少しチェックしました」

──なるほど。では 16 日に行われる Bellator バンタム級選手権試合ですが、セルジオ・ペティスかパトリシオ・フレイレか。どちら勝つと踏んでいますか。

「いやぁ……パトリシオのコンディション次第だと思います。バンタム級に落として、どれぐらいのパフォーマンスが発揮できるのか。パワー が落ちないのか。スタミナの消耗度合がどうなるのか。どこまでフェザー級の時のように動けるのか。そこ次第じゃないでしょうか。

減量でめっちゃ弱くなってしまう人っているじゃないですか ? そういうのが無ければパトリシオなのかと思います。フェザー級と同じように動ければ、 パトリシオですね。でも体重を無理に落とすと、弱くなる人もいるので ──それ次第、ピットブルのコンディション次第です」

※瀧澤謙太戦と元谷友貴戦のステップ、重心の違い。エリー・ケーリッシュ・コーチ、そして自らのタイトル戦について朝倉海が語ったインタビューが掲載されるFight&Life#97は6月22日(木)に発売です。

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BELLATOR Bellator297 MMA MMAPLANET o RIZIN セルジオ・ペティス パッチー・ミックス パトリシオ・フレイレ ベラトール ベンソン・ヘンダーソン マイケル・チャンドラー マゴメド・マゴメドフ ラフェオン・スタッツ

【Bellator297】パトリシオ・フレイレ戦へ、セルジオ・ペティス「$100万を手にする機会を逸した代償」

【写真】昨年8月、バリに自分探しの旅に行っていたというセルジオ(C)MMAPLANET

16日(金・現地時間)、イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで開催されるBellator297「Nemkov vs Romero」のコメインでBellator世界バンタム級正規王者セルジオ・ペティスが、2021年12月以来の実戦の舞台に立つ。

対戦相手はベラトール史上最高のファイター、3度のフェザー級王者でライト級も制したパトリシオ・フレイレだ。昨年4月にヒザを負傷し、長いリハビリ期間が必要だったセルジオの復帰を前にインタビュー(※取材は2日に行われた)。

試合のない間に再発見したMMAへの想い。後世に語り継がれる試合を前に、セルジオは「マネーより、レガシーを追い求める」と言い切った。


──セルジオ、1年7カ月振りの実戦復帰が迫ってきました。ACLの再建が上手く行って良かったです。

「去年の4月にラフェオン・スタッツと戦う前……3週間半前に、レスリングの練習中に不慮の事故だったんだけど、蹴られてぶつけるような形でヒザをやってしまった。それでGPという最高の舞台で戦う機会を逃すことになり、100万ドルを手にする機会も指を噛んで眺めているしかなかった。

でも1年半のブレイクが、僕をリフレッシュさせてくれたよ。ヒザは全く問題ない。100パーセントの状態で、パトリシオ戦を迎えるよ」

──ACLの手術後、あのGSPでさえパフォーマンスが落ちました。

「ACLのケガからカムバックして、以前と変わりないパフォーマンスを見せることができているアスリートは、他の競技でもいくらでもいるから──そこは全く心配していないよ。逆にこのタイムオフがあったことで、僕はより成長できたしね。ケガで練習ができなくても、ジムに行ってチームメイトのミットを持ったり、練習を眺めていると如何に自分の人生にマーシャルアーツが欠かせないものなのか。MMAを愛しているのかが、再認識できた。失ったモノもあったけど、より大切なモノを手にすることができたよ。

ケージのなかで戦いを繰り返していると、このことを忘れてしまうこともあった。僕にとってマーシャルアーツはビジネスではなくて、ライフスタイルだ。5歳の時から、好きでコレをやり続けてきたのだから。プロファイターとして戦い続けていると、ネガティブなことを経験し自分を見失うこともある。でも、この静養期間で、僕はマーシャルアーツに対してすっかりポジティブになることができた。このケガがあって僕のキャリア、人生は変われたと思う。そのために、僕はヒザをケガしたんだよ。そう信じている」

──100万ドルのトーナメントを戦う機会を逸して、そのような気持ちになれるのも素晴らしいことですね。

「最初は落ち込んだよ。でも行きつくところは、僕はマネーでなくレガシーを追い求めている。試合から離れて、自分の人生を見つめ直した。ケージの外にも幸せはある。でも、やっぱりあそこで戦っていたい。そして、パトリシオという3度のフェザー級チャンピオンで、ライト級も制した男と戦える機会が巡ってきた。これは100万ドル・トーナメントより、僕の求めている戦いだよ」

──ではワールドGPを制したパッチー・ミックスが、暫定王者になったことはどのように思っていますか。

「僕が一歩下がっている間に、多くの悲喜こもごもが見られた。ラフェオンは最初に暫定王者になり、MMA界のスターになった。そして、最後に持っていったのがパッチーだ。パッチーもGPでホリグチに勝った、それも一方的にね。そして、マゴメド・マゴメドフをRNCで破り、最後はラフェオンをヒザ蹴りで下した。僕とパッチーは同世代、2日だけ彼が年上で(笑)。僕と彼はこれからがピーク。絶対にパッチーと僕の試合は、実現するだろう。パトシリオとの試合を終えてからね」

──ところで試合用の練習を行えるようになったのはいつ頃からですか。

「本格的に練習ができるようになったのは、1月になってからだ。それまではやれる範囲でやるという感じだったけど、今年に入ってファイトゲームを実行するための練習に戻ることができた」

──それにしても、カムバック戦がキャリア最大の戦いといっても過言でない試合となりました。

「これが100万ドルを手にする機会を無くした、代償だと思っている。GPチャンピオンになれなかったし、ミリオンダラーも手にできなかった。でもベラトールで最高のファイターと戦うチャンスが手にできた。素晴しい機会だ。後世に語り継がれる戦いになる」

──ライト級でマイケル・チャンドラーをKOしているファイターが、自分の前に立ち塞がる日が来ると思っていましたか。

(C)BELLATOR/JACK DOMBRO

「クレイジーだよ。

マイケル・チャンドラーだけでなく、ベンソン・ヘンダーソンとも戦っている。彼はこのスポーツのレジェンドだ。パトリシオとケージで向き合えることを光栄に思う。彼はMMAファイターとして、全ての局面において強さを持っている。何よりもスマートだ。パトリシオはレンジを理解し、いつ力を入れるのか──そのタイミングも分かっている。寝技での防御力も秀逸だ。彼こそ、何でもできるファイターだろう。

ワイルドだし、KOパワーもある。でも、しっかりとゲームプランを実行できる。パトリシオと戦うことが決まって、正直、悪夢で目が覚めることがあった。でも、そういう戦いを求めて僕はMMAをやっている。怖いよ──でも、そこを乗り越える。絶対に僕が勝つ」

──この25分間、どのように戦いたいと思っていますか。

「20分以上、戦うことになるだろうね。この試合に向けて、自分の戦い、考え方、動きを見つめなおした。新しいセルジオ・ペティスを見せることができるだろう。フィニッシュできる機会が訪れるなら、当然そうする。でも5Rを戦う準備もしているよ。

何より今回の試合に関しては、パトシリオがバンタム級に落としてくることも勝負の行方に大いに関係してくる。いつもより、余分に10ポンドの減量が必要だ。僕がフライ級で戦っていた時、自分の動きに自信が持てなかった。体重を落とすことに頭が行き過ぎて、戦いにフォーカスできなかったからね。今、まさにパトリシオがそういう状況にあるはずだ。ゲームプランより、135ポンドに体重を落とすことに頭がいっているに違いない

18カ月前と比べて、僕はファイターとして、何より人間として成長した。MMAファイター人生に終わりはない。常に最高のセルジオ・ペティスを求めている。それでいて、人として自分の好きなことにここまでのめり込めるなんて、凄く幸せだと実感している。去年のケガは、僕をファイターだけでなく、世の中を行く抜く上でスマートにしてくれたんだ」

──ところでベラトールはフライ級王座を設けます。さきほど、フライ級での戦いの苦しさを話してくれましたが、セルジオが2階級制覇を目指すことはあり得ますか。

「しっかりと、自分と見つめ合って答えを出さないといけない。ただし、ホリグチがチャンピオンになるようだと、絶対的にペティス✖ホリグチ02は行わるべき戦いだよね」

──セルジオは堀口選手がチャンピオンになってほしい?

「僕は彼のファンだから。いつだって日本最強のファイターを、その技術をリスペクトしているよ」

──では最後に日本のファンに一言お願いします。

「皆、応援ありがとう。今年こそ、大晦日にRIZINとの対抗戦で皆の前で試合をしたいと思っている」

■視聴方法(予定)
6月17日(土)
午前6時30分~ U-NEXT

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