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【PFL】2025年のPFLは8階級の8人制トーナメント実施。賞金総額20億ドル以上、事実上の規模縮小??

【写真】いったい、どうなる2025年のPFL (C)PFL

15日(水・現地時間)、PFLが今年は8階級で8人トーナメント=2025 World Tournamentを開催することを発表している。2018年の活動開始以来、6階級でレギュラーシーズン+プレーオフ&ファイナルというフォーマットを敷いてきたが、2020年のコロナパンデミックを除いた6年でMMA界のシーズン制は幕を閉じることになる。
Text Manabu Takashima

2018年と2019年はレギュラーシーズン3戦のポイント制を勝ち抜いた8選手が準々決勝と準決勝のワンデートーナメントを勝ち上がり、100万ドルを賭けた決勝が実施されたもの2021年からはレギュラーシーズン2戦とセミファイナル、そしてファイナルと規模は縮小されてきた。


PFLが再びMMA界を変える──という仰々しいフレーズが、今回の船出を宣言した動画でみられたものの、8階級(女子フライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級、ウェルター級、ミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級)の8人制トーナメントはさらなる規模縮小と捉えられて致し方ない。

1回戦は4月に4イベント、準決勝は6月に3イベント、決勝は8月に3イベントという年間スケジュールが明らかとなっているが一方で、5カ月で3試合を勝ち上がって得られる優勝賞金は50万ドルと半額に制定された。

6階級で10人の選手がレギュラーシーズンに参戦していた2024年と比較しても、8階級の8人トーナメント制の出場枠は64で、実質は4人の増加にとどまっている。そのうえトーナメント出場選手も半分は初戦で姿を消す。2試合の保障があった昨年までとは、ここも違う。

Bellator廃止を発表しているPFLは、2025年の初イベントとなるPFL Road to Dubai Champions Seriesを25日(土・同)にドバイのコカ・コーラ・アリーナで行うが、PFL MENAやPFL Europeのスケジュール等はまだ明らかとなっていない。5カ月のトーナメント期間と年間開催数も未発表のPFL Champion Seriesとの連携はどうなるのか。

実際、Bellator Champion Seriesは秋口から予定通りのイベントを開かれず、パトリシオ・フレイレ、パッチー・ミックスやコーリー・アンダーソンなどのチャンピオンは不満を口にしていた。Bellator世界ライト級王者ウスマン・ヌルマゴメドフは25日に防衛戦を控えている一方で、フレイレのPFL離脱は決まっており、渡辺華奈や菊入正行、ISAOというPFL配下の日本人選手やBellatorファイターの今後も気になるところだ。

2月に出場選手とトーナメント枠が明らかとなるとされているPFLの2025年だが、現段階では不透明といわざるを得ない。

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【PFL2024#10】2023年王者と対戦──ジェレミー・ケネディ「ピネドは真実を知る最初のファイターになる」

【写真】巧さの裏にどこか喧嘩の弱さが感じられたケネディだったが、敗れたとはいえパトリシオ戦ではしっかりと打撃で勝負ができていた (C)PFL

29日(金・現地時間)、サウジアラビアはリヤドのKSU(キング・サウジ大学)アリーナで開催されるPFL2024#10「Championships」。米国から始めて離れて、PFL決勝大会は中東サウジアラビアで行われることになった。
Text by Manabu Takashima

6階級の決勝戦に加えPFL MENAファイナル4試合、キャンセルされたBellator CSパリ大会からスライドされたかのようなGlobalショーケースバウトとご当地カードのMENAショーケースバウトと合計16試合のロングランイベント。その第3試合でヘスス・ピネドと戦うのが、ジェレミー・ケネディだ。

MMAが回転するウェルラウンディット・ファイターのケネディは、今年の4月に念願のパトリシオ・フレイレが持つBellator世界フェザー級王座への挑戦を実現させるも、3Rに逆転TKO負けを喫した。あれから8カ月、復活の舞台は2019年以来のPFLで、対戦相手は2023年のPFL世界フェザー級ウィナーとなった。

強烈な打撃力を持つピネドに対して、絶対の自信を持つケネディに中東の市場拡大の影響とキャリアのリストラについて尋ねた。


――ジェレミー、ドライブ中ですがインタビューは大丈夫なのでしょうか。

「全然、問題ないよ。ドバイのハイウェイは凄く渋滞しているから」

──今、ドバイなのですか。

「そうなんだ。時差の調整のために1週間前にドバイにやってきて、月曜日にリヤドに移る」

──今や中東が大きなマーケットとなり、北米在住のファイターも時差のある場所で試合をすることが多くなりましたね。

「長い間アジアのファイターが長旅をして北米で戦ってきたけど、今では君が言ったように中東市場が巨大化している。僕たちも遠征して戦う重要性を理解しないといけない。ただ僕のキャリアは旅が多かったから、特別新しいことでもないし何をどういう風に準備をすれば良いのかも分かっている。

早目に中東にやってきてトレーニング・スケジュールを考え、最後の調整をしているんだ。ファイトウィークになる前から時差ボケは解消できているから、何も問題なく試合に臨むことができるよ」

──UFC時代にブラジルや豪州、Bellaltorでは英国やアイルランドで試合をしていますが、中東で戦うのはまた違う感じなのでしょうか。

「そこは変わりないよ。ヨーロッパとは少し時差が違うぐらいで。食事やミネラルウォーターの違いで、ソディウム(塩)の取り方が違うこともあるかな。でも、BRAVE CFで戦っていた時にサウジアラビアやモロッコでも試合をしてきた。それに僕はその土地のことを事前に徹底的に調べる性格で。ちょっと周囲から病的だって思われることもあるんだ(笑)」

──アハハハハ。でも備えあれば憂いなしです。

「そうなんだ。どういうところに滞在するのか。どんな場所で、どのようなスケジュールが組まれているのか。それを把握することは、責任を持って試合をすることに通じている。だから、どの国だろうが僕は思ったようにモノゴトを進めることができるんだ。現地で色々と悩むことになるぐらいなら、事前に解決しておかないと」

──さすがの言葉です。ところで2019年以来、実に5年振りのPFLでの試合になります。そのあたりはどのように捉えていますか。

「PFLで戦った1年は、試合数も確保されていて凄く楽しめた。ただコロナになって、PFLは年間スケジュールを全てキャンセルした。試合がなくなった僕にとって、セカンド・オプションはBellatorで戦うことだった。2000年からBellatorで戦ってきた期間は、凄く幸せな時を過ごせたよ。そしてBellatorとPFLが合体した。またPFLのシーズンフォーマットで戦えるかもしれないし、そこは凄く楽しみにしている。

だからこそ、今回の試合はとても重要になってくる。なんせ去年のチャンピオンと戦うんだ。この試合はPFLに戻るためにうってつけの試合だよ」

──3月のBellator世界フェザー級王座挑戦から、8カ月を経ての再起戦でもあります。パトリシオ・フレイレとの一戦は、ジェレミーが優勢でMMAが回転していた時に打撃の猛攻を受けて敗れました。

「大きな敗北だったよ。でも、色々と勉強になった試合だ。パトリシオはこの階級でベルトを誰よりも長く巻いているチャンピオンだ。その彼を相手にして、今言ってもらったように打撃戦でも優位に立っていた。つまりは僕が誰とでも、打撃戦をやり合える能力を持っていることを証明したことになる。だからこそ、試合に必要なことは何でもできるという強い意思を持つべきだった。

前向きに捉えると、今後は誰もが僕には打撃もあるということを頭に入れて戦う必要が出てくるということ。もちろん、僕には絶対的なグラップリングという武器がある。グラップリングなくして、僕のファイトは成り立たないぐらいの。

そこに打撃があることを、僕の相手は考えないといけなくなったんだ。そういう意味で、彼にとっては残念なことだけどピネドはこの僕の真実を知る最初のファイターになる。パトリシオに挑戦という本当に重要な試合で負けてなお、そこは収穫だった。同時に、もうあんな想いは2度としたくないという気持ちだよ」

──この8カ月というインターバルは、あえて次戦まで時間を置いたのでしょうか。

「何度か試合の話はあったけど、実現しなかった。でも、それだけしっかりとトレーニングを積むことはできている。もちろん休息も必要だったし、8カ月前と比較すると凄く成長できたよ」

──先ほど言われたようにサウジアラビアで対戦するヘスス・ピネドは2023年のPFLフェザー級王者でレギュラーシーズンのブレンダン・ラウネーン戦、準決勝のバッバ・ジェンキンス戦、決勝のガブリエル・ブラガ戦の勝利によって、あの時点では確実に世界トップのフェザー級ファイターでした。

「もともとピネドがパトリシオとスーパーファイトを戦う予定だったのが欠場して、僕がパトリシオに挑戦することになった。そのピネドと僕が戦う。面白いよね。確かにピネドは2023年に素晴らしい結果を残している。ただし、まだ色々と分かっていないことが多い選手のままでもある。

彼の力が発揮される部分では、確かに危険な相手だ。でも、そうでないときにはどうなるのか。加えて僕は8カ月振りの試合だけど、ピネドはそれ以上ブランクがある」

──スタイル的にはどのように捉えていますか。

「相手に恐怖を抱かせることができるファイターだと思う。パンチ力が絶大で、無類のスタミナを誇る。何よりアグレッシブだ。ただ、彼のその良さすら僕にとっては都合が良い。彼にとって僕は本当に嫌なタイプの対戦相手だと思う。

なぜ? 彼はグラップリングに穴があるからだよ。それに打撃戦でも、下がって戦うことはできない。常に前に出て戦う。ピネドが前に出てくる時こそ、テイクダウンする恰好の機会になる。背中をつけたり、背中を譲ってのファイトはピネドにとっては嫌な時間だ。もちろん1年の間に、違う戦い方ができるようになっている可能性はある。でも、劇的にスタイルを変えることは難しいだろう」

──同時にピネドも、ジェレミーがテイクダウンを狙うことを理解している。ならば、ヒザ蹴りを準備して待っていることもあるのではないでしょうか。

「ノー。ヒザは出せないよ。そこで組まれることを絶対に避けたいから。僕の戦い方は、そういう彼の武器を無力化できるはずだ。パトリシオに敗れ、また一から頂点を目指すようなキャリアの再構築はしたくなかった。ピネドに勝てば、即タイトル戦やパトリシオとリマッチが用意されてもおかしくない。そういう相手だと思っている。

この試合は僕の将来に向けて、複数のドアを開けてくれることになる。この機会を得ることができて、とてもハッピーだよ。そして、僕はフェザー級で世界のベストの1人だと証明する」

──そのドアの向こうはBellator CSなのか、PFLなのか。今のジェレミーの気持ちはどちらにありますか。

「う~ん、難しい質問だよ。僕はいつだってタイトルを欲している。BellatorでもPFLのどちらでも。ただ、PFLのタイトルには100万ドルがついてくるよね(笑)」

──ここはケネディ夫人の意見を尊重するのが、一番ですね(笑)。

「アハハハハハ。彼女がどちらを欲するのか、もう明白だよ(笑)。ただ、今はとにかくピネドを倒さないことには何も始まらないよ」

──MMAファイターのなかでも、本当のウェルランディット・ファイターであるジェレミーの戦いは日本ではファン、ファイター、関係者の間で高く評価されています。最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできないでしょうか。

「僕にはMMAを戦ううえで、まだ夢が残されている。それが日本で試合をすることなんだ。引退をするまでに、最低でも1試合は日本で戦いたい。Bellatorで戦っていると、そのチャンスがあるかもしれない。でも、本当に将来のことは誰にも分からない。それでも本当に日本で試合がしたいと思っている。そして、日本のファンが僕を応援してくれることに感謝している」

■視聴方法(予定)
11月29日(金)
午前11時15分~U-NEXT

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【TTFC10】元Bellator戦士と対戦、エフェヴィガ雄志「世界のトップに食い込む準備はできている」

【写真】様々なプレッシャーもありながら、明るく話すエフェ。それだけ今が充実していることの表れだろう(C)MMAPLANET

13日(火)にTTMより、16日(金)に東京都練馬区の練馬coconeriホールで開催されるTTF CHALLENGE10のメインで、エフェヴィガ雄志が米国のエマニュエル・サンチェスと対戦することが発表された。
Text by Shojiro Kameike

2022年2月のプロデビュー以来、8戦無敗のエフェヴィガが、北米での戦いを目指して元Bellatorファイターのサンチェスを迎え撃つ。サンチェスはBellatorで9年ものキャリアを過ごしたベテランファイターだ。過去にKO負けはゼロで、一本負けもパトリシオ・フレイレ戦の一度のみ。このタフなファイターを相手に、エフェヴィガはどのような試合を見せるのか。試合直前のエフェヴィガを直撃した(取材は8月12日に行われた)。


北米のプロモーターも『この選手に勝っているのか』と分かってくれる

――元Bellatorファイターのエマニュエル・サンチェスとの対戦が決まったそうですね。

「いやー、焦りましたよ。軽いトラブルがあって、サンチェスが予定の飛行機に乗れなかったみたいで。『相手が飛行機に乗れなかった』という連絡が来た時は、心臓が止まりそうになりました(苦笑)。その後、ちゃんと飛行機に乗れて日本に着きそうなので良かったです」

――今年は3月5月に修斗で国際戦を行っています。この2試合に勝利した後の展開は、どのように考えていたのですか。もう北米ファイターと対戦していきたい、と?

「実は前回の試合(中国のアーイージアコ・アーケンビエコアに2R KO勝ち)の1~2週間前には、長南(亮TRIBE代表)さんから『またTTFを開催する。お前がメインだ』と言われていたんです。そう言われると、5月の試合はまず絶対に負けられないじゃないですか。『うわっ、めっちゃプレッシャーかけてくるじゃん!』と思いました」

――アハハハ! ここ2試合の国際戦と比べて、今回は元Bellatorファイターとの対戦で気持ちも違いますか。

「気持ちが違うかといえば、毎試合違うとは思います。でも今回だけ気合いが違うとか、そういうことはないですね。いつも気合いは十分入っていますし。それよりもメンタル的には、だんだん安定してきているんですよ」

――メンタル面が安定してきている、というのは?

「プロデビューして最初の1、2戦はだいぶ緊張していました。もっと言うと、プロの試合よりもアマチュア修斗に出ていた時のほうが緊張していて。そこから経験と慣れもあって、今は良い感じの緊張感で試合に臨めるようになってきましたね。4戦目はABEMAの武者修行プロジェクトで米国に行かせていただいた時ですけど、その時はもう落ち着いて試合をすることはできていました」

――初めて海外で試合をする時のほうが緊張してしまいそうですけども……。

「初めての海外で勝手は分からなかったですけど、緊張はしなかったですね。あの試合は緊張しなさすぎて、開始10秒ぐらいでダウンを奪われちゃいました(苦笑)。緊張しなさすぎて良くなかった例だと思います。アハハハ」

――なるほど(笑)。続くグラジエイターの試合は、動きが堅かったように見えました。

「そうなんですよね。あの試合は調子が良くなかったです。気持ちはいつもの試合と同じだったんですけど、いつもの試合よりバテたりして。振り返ってみると当日、試合に入るまでに自分の中で良くなかった点がありました。その部分を直してから、ここまで3戦は全てフィニッシュしていますし、良い感じで来ていると思います」

――5月の試合ではKO勝ちを収めたあと「修斗の上位ランカーに対戦を断られている」という発言もありましたね。

「ちょいちょい断られているみたいですね。全ての話が自分まで降りてきているわけじゃないでしょうけど。少なくとも自分が聞いているかぎりは……。それなら、自分は自分でやりたいことがある。行きたい場所があるので」

――先日、修斗世界ライト級の王座決定戦が行われ、ランキング1位のキャプテン☆アフリカ選手が2位の大尊伸光選手を下してベルトを巻きました。エフェヴィガ選手は現在同級3位で、新王者に挑戦する権利は有しています。今、ここで修斗のベルトを賭けて国内対決に臨むことに興味はないですか。

「あまり興味はないですね。特に今回は北米のトップ団体で戦っていた選手と試合できるわけで。ここで勝って次を目指す時、北米のプロモーターも自分の戦績を見たら『この選手に勝っているのか』と分かってくれるじゃないですか。今は北米を見て戦っていきたい、という気持ちは大きいです」

――エフェヴィガ選手にとっても、今回のサンチェス戦は北米への大きなチャンスが近づいてきたと捉えているのですね。

「近づいてきましたよ。最初はUFCと言われても、ポカーンとするぐらいで。一番凄いところだとは知っていても、その実態が分からないですからね。選手のレベルがどんなモノなのか、自分とどれぐらい差があるのか――とかも分からないですし。

でもABEMAのプロジェクトで米国に行かせてもらって。キルクリフFCは大きなジムだから、UFCやBellatorの選手とも一緒に練習できて。しかも試合もできた。そこで『何となくだけど形が見えてきたなぁ』って感じでした。それが今回またキルクリフに行って、その形が明確になってきている。だから今『まさに近づいてきた』という感じですね」

――もし今年のRoad to UFCでライト級トーナメントが開催されていたら、エントリーしたかったですか。

「いや、今年は出る気はなかったです。長南さんからは『今年はしっかり準備して、実力が整ってから』と言われていて、自分もそう思います。もし今年ライト級トーナメントがあって、とんとん拍子に勝ち進んでUFCと契約しても……本戦で勝つための準備できていなければ、結局はそこからが一番シンドイわけで。UFCと契約することがゴールじゃない。であれば、そんなに急ぐ必要はないと思っています」

タフな削り合いになることも想定しているけど、今回もフィニッシュしたい

――確かにそうですね。今回キルクリフFCにはどれくらいの期間、滞在していたのですか。

「6月に入ってからすぐ行って、8月4日に帰国しました。だから2カ月間ですね。向こうに行くと『だいぶ変わったな』と言われましたよ。まぁ初めて行った時は――違う国だし、環境も全然違って、そこに適応するだけでも時間が掛かりましたから。

でも今回は2度目で、自分の実力や技術を細かいところまで見えてきましたね。前回気づけず今回新しく気づけたところもありましたし、もっと詳細な収穫を得られました」

――ちなみに何が一番変わったと言われましたか。

「みんなに『体がデカくなったなぁ』と言われました。それほど体重は変わっていないんですけど、みんなのイメージだと最初に来た時はヒョロヒョロに見えたみたいで。今回は『体もデカくなって強そうに見える』と。

たぶん自分の態度も関係しているとは思うんですよ。初めての時は何も分からないし、自信もないし。だけど今回は2度目だし、向こうのジムについても勝手を知っているような感じで行きましたから(笑)」

――アハハハ。体が大きくなったことは、何か効果をもたらしているのでしょうか。

「明らかに組みは強くなっています。去年行った時はレスリングが全然ダメで。向こうはレスリングのレベルが高いですからね。だから帰国してからちょくちょく、専修大学のレスリング部へ練習に行かせてもらったんですよ。それでまたキルクリフに行って、向こうの選手に対して技術もそうだし組み力にも慣れました。テイクダウンする、テイクダウンされないという攻防は強くなったと思います。

もちろんレスリングの練習をしても、良いことだけじゃないとは思うんですよ。レスリングだけやっても疲労して終わるだけだったら意味がないし。ちゃんとMMAに落とし込んでいく、自分のスタイルに落とし込んでいくことも大切ですよね」

――今、レスリングやキルクリフの練習を自分のMMAに落とし込めている状態ですか。

「そうですね。この試合が終わったら、米国から持ち帰ったものを消化していこうと思っています。帰国する1週間前に対戦相手が決まって、今は試合の対策練習をしています」

――キルクリフでは対策練習などは行えなかったのですか。

「いえ、決まった時に伝えました。ヘッドコーチのヘンリー・ホーフトさんも、ジムの選手たちも知っているぐらい知名度のある選手で。それとキルクリフには佐藤天さんがいますし、メチャクチャ対策を手伝ってくれました」

――では対戦するサンチェスの印象を教えてください。

「KOしたことはないけど、KOされたこともない。一本負けもピットブル戦ぐらいで、フィニッシュしにくい選手ですよね。結構プレッシャーもかけながら頑張る選手なので、タフな試合になるとは思います」

――これまでエフェヴィガ選手が対戦したことのないタイプのファイターですね。

「サンチェスは打撃でも頑張るじゃないですか。打撃でも頑張って、ゴリゴリ来る選手は対戦したことがないですね。打たれても打ち返してくる。噛み合うと面白い試合していると思うんですよ。でもそれが噛み合わないと――ピットブルとの試合は全てカウンターを合わされて」

――打って打ち返す、リスクのある攻防ではあります。そのなかで自分の打撃を効かせる自身はありますか。

「はい、倒せると思います。タフな削り合いになることも想定はしていますけど、今回もフィニッシュしたいですね。僕はこれから世界のトップに食い込む準備はできている。そんな自分を世界に見せたいです」

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTF CHALLENGE10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+ExR>
大越崇宏(日本)
小森真誉(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岩倉優(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリングマッチ 78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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【TTFC10】エフェヴィガの対戦相手は元Belltorのサンチェス!上田直毅×ティオール・タンも決定

【写真】エフェヴィガの相手はBellatorでパトリシオ・フレイレとも対戦しているサンチェスに決まった(C)MMAPLANET

16日(金)に東京都練馬区の練馬coconeriホールで開催されるTTF CHALLENGE10の追加対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

TRIBE TOKYO MMAの長南亮代表が2014年5月に若手の育成を目的としてスタートしたTTF CHALLENGE。コロナ禍の2020年12月の大阪(プロ修斗公式戦とのダブルヘッダーで、プロ修斗公式戦も3試合組まれた)大会以来、約3年8カ月振りの活動再開となる。発表済の5試合に加え、メインイベントでの出場が決まっていたエフェヴィガ雄志の対戦相手を含む3試合が追加発表された。


エフェの対戦相手は元Belltorファイターのエマニュエル・サンチェスに決まった。サンチェスは日本人ファイターとも多く対戦しているイーブス・エドワーズ率いるThug Uに所属。2014年10月から2023年6月までBekktorで戦い、31戦22勝(1KO・9S)9敗の実績を誇る。

Bellator時代の2017年10月に元フェザー級王者のダニエル・ストラウスに一本勝ちし、翌2018年11月にはパトリシオ・フレイレの持つ王座にも挑戦。試合は判定負けで王座には手が届かなかったが、2019年からスタートしたフェザー級WGPでは1回戦と準々決勝を勝ち上がり、準決勝でフレイレとのリマッチに敗れている。Bellator後期は5連敗と結果を残せなかったが、今年に入ってからはXFC、Anthony Pettis FCで2連勝している。

エフェにとっては2024年5月「COMBATE GLOBAL」でのジェラルベルト・カスティーリョにTKO勝利して以来の北米ファイターとの対戦。デビューから無敗を誇るエフェが元Bellatorファイター相手にどんなパフォーマンスと結果を残すか。今後のキャリアを占う重要な一戦となった。

(C)LFA

そして上田直毅とティオール・タンの対戦も決まった。タンはアメリカ在住のミャンマー人でキルクリフFCに所属。

同じミャンマー人の元ONE世界ミドル級&ライトヘビー級王者のオンラ・ンサンに師事し、2019年3月から2022年12月までONEで戦い、3勝2敗1NCの成績を残した。

今回は元ONE世界フェザー級&ライト級王者のマーチン・ウェンがセコンドとして帯同し、タンをバックアップする。上田にとっては今回がキャリア初の国際戦で、エフェヴィガと同じく海外の強豪に挑む形だ。

またグラップリングマッチでは伊集龍皇×室谷勇汰も決定。今大会はMMA7試合+グラップリング1試合の全8試合で行われる。

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTF CHALLENGE10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+ExR>
大越崇宏(日本)
小森真誉(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岩倉優(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリングマッチ 78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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【PFL2024#03】1年半振りの復帰はPFL、ヒザ神=アダム・ボリッジ「ザ・キッドは生まれ変わった」

【写真】溌溂としていたアダム・ボリッチ(C)MMAPLANET

19日(金・現地時間)、イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナでPFL2024#03が開催される。2024年シーズン、最後に開幕を迎えるのはウェルター級とフェザー級だ。
Text by Manabu Takashima

例年、一・ニを争う混戦となる両階級にBellator勢が加わり、さらにタフになることは間違いない。そんなフェザー級にアダム・ボリッチが参戦、実に1年半振りのファイトでエンリケ・ベルゾラとBellator対決を戦う。長いレイオフから復帰するザ・キッドにPFLで戦う心境を尋ねた。


──アダム、実に1年半振りの試合がBellatorではなくPFLになりました。それにしても長いレイオフでしたね。

「パトリシオ・フレイレ戦の直後にACLの手術をして、回復するまで本当に長い時間がかかった。ようやく、戻ってくることができた。心の底から嬉しいよ」

──心身ともにリフレッシュできたと捉えて良いでしょうか。

「そうだね。でも去年は少しストレスを感じていた。手術後、ハンガリーに戻って、1年間は向うにいたよ。少しでも早く復帰したかったのに、1年以上も時間がかかってしまって。12月になってようやくトレーニングに戻ることができた。そこからはヒザの調子も良いし、心身ともに過去最高の状態にあるよ。なんていうのか……生まれ変わったような気分なんだ。

でもフロリダに戻って、驚いたよ。凄く日本のファイターが増えていた(笑)。皆、礼儀正しくて『アリガト』っていつも言ってくるよ(笑)」

──アハハハハ。ところで、この間にBellatorがPFLに買収されました。

「何が起こっているから分かっていなかったから、ちょっと怖かった。これは事実だ。結果、Bellatorも継続して活動できることになり、MMA界にとって良かったと思う。その上で僕自身はPFLで戦うことになった。しかも長い間、実戦を経験していない状況でのPFLでの試合だから新しいチャレンジになる。

とにかく戦えることが嬉しい。別に試合前にゴチャゴチャ言い合うとか、そういうことはどうでも良いから。最後の試合のデキが良くなくて、あのままのイメージを引きづってしまっている。体調はあの時とは全く違う。これで、ようやくあの時の記憶を上書きできると思うとホッとしているよ」

──ではPFLとの対抗戦でBellatorが5勝1敗と大勝したことに関して、どのように感じましたか。

「そりゃあ、嬉しかったよ。でも、その強いBellatorファイターがPFLに大挙参戦する。つまりPFLの選手が強くなるということになる」

──これまでは2カ月、3カ月間、1人の相手に集中して調整できました。そして試合が終わると休息をし、次の試合が決まるまでは対策練習でなく自身の技量を上げるトレーニングができた。PFLのシーズンフォーマットは、まるで違います。

「ハードになる。それは絶対だ。だからこそ、新しいチャレンジになるんだ。だって、これまでにやったことがないんだから。ノウハウもない。ただケージの中でフィニッシュをし、ケガをしないこと。それってこれまでと何も変わらない。フィニッシュを狙わないことはなかったし、ケガをしても構わないなんて気持ちで戦うこともなかったから。

フィニッシュが多くなるのは、ファンにとっては良いだろう。僕自身は目の前の相手に集中すること。シーズンフォーマットだからって、この先のことを考えてケージに上がるなんてことはない。4月19日のエンリケ・バルボサとの試合しか、頭にないよ。違いは試合が終わってもハンガリーに戻らず、フロリダで次の試合に備えること。それで100万ドルを狙うことができるんだ。最高だよ。凄くタフなテストになるけど、だからこそ遣り甲斐があるってもんだよ(笑)」

──では、そのバルゾラの印象を教えてください。

「経験豊かなファイターだ。UFCとBellatorで、その強さを見せてきた。良い選手──だけど、チャンピオンになるような能力はない」

──アダム・ボリッチのカムバックとニューチャレンジ、楽しみでしょうがないです。

「ありがとう。ザ・キッドは生まれ変わった。この世界でベストの1人であることを証明したい。前回の世界タイトル戦は、コンディションに問題があった。あれがアダム・ボリッチの真の姿ではない。体調さえ100パーセントなら、僕はチャンピオンになれる力が十分にある。そう皆が思える試合を、次は見せたい」

■視聴方法(予定)
4月20日(土・日本時間)
午前7時45分~U-NEXT

■ PFL2024#03対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
アンドレイ・コレシュコフ(ロシア)
マゴメド・ウマラトフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ブレンダン・ラウネーン(英国)
ペドロ・カルバーリョ(ポルトガル)

<ウェルター級/5分3R>
ローガン・ストーリー(米国)
シャミル・ムサエフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・ブラガ(ブラジル)
ジャスティン・ゲイジー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ゴイチ・ヤマウチ(ブラジル)
ネイマン・グレイシー(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
バッバ・ジェンキンス(米国)
カイ・カマカ2世(米国)

<フェザー級/5分3R>
アダム・ボリッチ(ハンガリー)
エンリケ・バルボーザ(ペルー)

<フェザー級/5分3R>
チムール・カイズリエフ(ロシア)
ブレット・ジョンズ(英国)

<ウェルター級/5分3R>
ラウレアノ・エスタロポリ(アルゼンチン)
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)

<ウェルター級/5分3R>
ドン・マッジ(南アフリカ)
ブレナン・ワード(米国)

<フェザー級/5分3R>
タイラー・ダイヤモンド(米国)
オットー・ホドリゲス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ホマン・ドゥビエンヌ(フランス)
サッド・ジーン(米国)

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45 BELLATOR Bellator CS2024#01 MMA MMAPLANET o PFL RIZIN UFC アーロン・ピコ クレベル・コイケ ジェレミー・ケネディ パトリシオ・フレイレ

【Bellator CS2024#01】ケネディ沈めたパトリシオが「この惑星で一番強い145lbsを決めよう」

【写真】苦しい展開でもチャンスを逃さないのは流石だったパトリシオ(C)PFL

<Bellator世界フェザー級選手権試合/5分5R>
パトリシオ・フレイレ(ブラジル)
Def.3R4分07秒by TKO
ジェレミー・ケネディ(カナダ)

上背で優るケネディが左ジャブを狙う。パトリシオは右カーフ、ケネディの左ハイをかわしてカーフを続ける。ジャブに右を合わせにいくパトリシオは引き続きカーフを蹴り、ケネディのリードフックをかわす。ケネディは左ミドル、間合いの測り合いのなかで右ミドルを入れる。パトリシオは左インローから右カーフ、ケネディがワンツー。パトリシオが左ハイ、ここで中央を取ったケネディのテイクダウン狙いで頭が当たりブレイクが入る。

ほぼ胸に当たっており、試合はすぐに再開される。ケネディは右前蹴りも、カーフを蹴られる。ジャブを当てたケネディだが、リードを許したか。

2R、パトリシオが初回と同様に、まずカーフを蹴る。慎重な間合いの測り合いのなかで、やはり決まるのはパトリシオの右カーフだ。さらに左リードフックを入れたパトリシオが右カーフ、ケネディのワンツーをかわす。ケネディも左ジャブを届かせ、ワンツーを決めて距離を詰める。ジャブが当たると、右も当たるようになったケネディが距離を詰めていく。カーフから右のパトリシオに対し、ケネディが左ジャブを入れる。組んだパトリシオがすぐに離れ、前蹴りを掴まれると急ぎ距離を取り直す。

ケネディはカーフにも、ワンツーからダブルレッグへ。ギロチンを外してテイクダウン決めたケネディはボディロックから足を払い、反応したパトリシオのバックを伺う。正対して立ち上がったパトリシオをケージに詰め、ヒザ蹴りのケネディ。これが急所に入り、再び試合は中断された。ベルトラインと急所、どちらにも当たっているように見えたヒザ蹴り、パトリシオはしっかりと時間を使い――リスタート時点では12秒しか残っておらず、コンタクトはなかった。

3R、ケネディがカーフからジャブ、リードフックを振るう。カーフにも前に出るケネディが、右オーバーハンドをかわしてカーフを蹴る。パトリシオはカウンター狙いの姿勢を崩さず、カーフを続ける。ケネディはジャブを当て、続いてカーフに左フックでダウンを奪う。パンチを纏め、立ち上がったパトリシオをケージに押し込んだケネディがクリンチからヒザを入れる。流血のパトリシオは、右エルボーを受ける。

しっかりと左を差したケネディに対し、ケージを背負ったパトリシオがヒザを繰り出す。回って離れたパトリシオに対し、右ローを蹴ったケネディがワンツーで前に出る。右ヒザをボディに決めたケネディのMMAが回転し始めるか。と、逆に右を効かせたパトリシオがケージにつまったケネディにパンチ、ボディへのヒザ、左右のエルボー、そして左右のボディフックと攻めたてる。最後はヒザ蹴りで2発から縦のエルボーでダウンを奪うとレフェリーが試合を止めた。

「タフな相手で、あんまり覚えていないけど左パンチが良かった。今週、歩けなくなったけど神に戦わせてくれと祈った。俺はRIZIN王者のクレベル・コイケを倒した。PFLチャンピオンと戦いたい。最後にフェザー級のUFC王座を狙う。レッツゴー、やろうじゃないか。この惑星で一番強い145ポンドを決めよう」といったうえで、次の挑戦者にアーロン・ピコをコールアウトした。


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45 AB BELLATOR Bellator CS2024#01 LFA MMA MMAPLANET o ONE PFL RIZIN   アルフィー・デイヴィス カール・ムーア クレベル・コイケ グラント・ニール コーリー・アンダーソン ジェイムス・ギャラガー ジェレミー・ケネディ ティム・ワイルド パトリシオ・フレイレ ビビアーノ・フェルナンデス ファビアン・エドワーズ ライカ レアンドロ・イーゴ

【Bellator CS2024#01】That’s MMA fighter=ジェレミー・ケネディ―02―「3つの要素のうち、2つは」

【写真】大会自体は90分後にスタート (C)PFL

1時間20分後に開始するBellator Champions Series2024#01「Belfast」でBellator世界フェザー級王者パトリシオ・フレイレに挑戦するジェレミー・ケネディ・インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

ミックスというよりも、メルト。全てが融合したスタイルの持ち主は、打・倒・極の回転でストロング・ベースを持つファイターに勝つには、打撃、レスリング、柔術の3つの局面のうち2つで相手を上回る必要があると言い切った。

<ジェレミー・ケネディ・インタビューPart.01はコチラから>


――練習をしてきた中で、このスタイルを構築するうえで影響を受けた選手はいますか。

「そうだね……。誰か一人、練習仲間で影響を受けたファイターがいるとすれば、それはビビアーノ・フェルナンデスだよ。僕とビビアーノと同じジム、彼の近くで練習をすることで成長できた。試合数はそれほど多くないかもしれないけど、トーナメントで勝ち、本当に長い間ONEの世界チャンピオンに君臨し続けていた。そんなビビアーノの背中をずっと見ていたんだ。

ビビアーノって、本当に大変な幼少期を送っていて。ファイトのことだけでなく、そこで学んだ人生哲学を色々と教えてくれた。人生の先生的な存在でもあったんだ」

――なるほど。技術的にはジェレミーのMMAは、打撃・テイクダウン・寝技に切れ目がないです。

「僕が心がけているのは、全てを使うのではなくてミックスすること。打撃とレスリング、グラップリングがつながっている。一度としてベスト・ストライカーになったことはないし、ベスト・レスラーにもベスト・グラップラーにもなったことはない。でも、この3つを融合させることなら、僕の右に出る者はいないと思っている」

――その3つを回転させ、打撃が使えるレスラーに勝てると踏んで、跳ね返されることが日本の選手には多いです。

「それは組み合わせ……チョイスの問題だと思う。対戦相手の仕掛けに、自分が何を使って対抗するのか。強いストロングベースを持つ相手に対し、上回ることをどうぶつけるのか。強豪レスラーに対し、僕は打撃と柔術で上回ることができる。柔術ファイターには打撃とレスリングで上回っている。ストライカーにはレスリングと柔術だ。3つの要素のうち、2つは相手を上回るだけの技量が必要で。3つの要素をミックスできても、劣る部分を1つというレベルにしないといけない」

――う~ん、言うは易く行うは難し――を地で行っているのがジェレミーなんですよね。

「それは僕が凄く若い頃から、マーシャルアーツの練習をしてきたからだと思う。積み上げてきたモノが違う。13歳の時に柔術を始め、カナダ、米国、タイとたくさんのジムを巡り、小さなピースを一つずつ組み合わせてきた。得意なモノだけでなく、苦手なモノもね。好き嫌いに関わらず、必要なモノを集めてきたんだ」

――なるほど。大局的なMMAではなく、ディティールにこだわって積み上げたきというわけですね。では、そんなジェレミーにとってパトリシオとはどのようなファイターでしょうか。

「この階級では少し小さいけど、凄く優秀なファイターだよ。距離の取り方が上手い、カウンターパンチャーで一発一発に力がある。なにより、これだけトップにいるから5Rの戦い方を知り抜いている。その経験が最大の強みだろう。

でもね、僕の方が全てにおいて上だ。打撃でも、レスリングでも。背中をつけさせると、戻させない。もう、僕の時代がやってきたと思っている」

――今のパトリシオはディフェンシブ・アタッカーと呼ぶべき、慎重な試合運びをすることが多いです。

「それこそRIZINでのクレベル・コイケとの試合が、最適な例だよね。今は少し安全に戦うようになった。と同時に、効果的な攻めができる。ただし僕を相手にした場合、爆発力のある試合はできないと思う。間合いを重視して、カウンター狙いという試合をしてくるだろう。テイクダウンされることを嫌がるだろうから。そこを考えて、しっかりと準備してきたよ」

――ではどのような試合を世界に発信したいと思っていますか。

「立ち技から寝技まで、フルスペックの試合を見せたい。パトリシオの打撃に応じるし、レスリングに応じて、グラップリングにも応じる。試合が5Rになるなら、それだけのガソリンが入っていることを証明する。僕の全てを見せたい」

――日本のコアファンにとって、ジェレミーのスタイルは大好物です。そんな日本のファンにメッセージをお願いします。

「Xで日本のファンとも、意見の交換をたくさんさせてもらっているんだ。僕のキャリアのゴールは日本で戦うこと。PFL傘下になってもBellatorとRIZINの関係が続いてほしい。そして、日本で戦いたい」

■視聴方法(予定)
11月23日(土)
午前1時30分~ U-NEXT

■ Bellator CS2024#01対戦カード

<Bellator世界ライトヘビー級王座決定戦/5分5R>
コーリー・アンダーソン(米国)
カール・ムーア(アイルランド)

<Bellator世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] パトリシオ・フレイレ(米国)
[挑戦者]ジェレミー・ケネディ(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
ファビアン・エドワーズ(英国)
アーロン・ジェフリー(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ティム・ワイルド(英国)
マノエル・ソウザ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジェイムス・ギャラガー(アイルランド)
レアンドロ・イーゴ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
キアラン・クラーク(アイルランド)
ダリウス・マフィ(英国)

<フェザー級/5分3R>
ネイサン・ケリー(オランダ)
ヴィカス・シン・ルフル(インド)

<ヘビー級/5分3R>
アブラハム・バッドリー(英国)
アイザイア・ピンソン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ルーク・トレイナー(英国)
グラント・ニール(米国)

<ライト級/5分3R>
アルフィー・デイヴィス(英国)
オスカー・オウンズワース(英国)

<130ポンド契約/5分3R>
ネイト・ケリー(アイルランド)
ジョーダン・エリオット(英国)

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【Bellator CS2024#01】パトリシオに挑戦、3大メジャーで勝ち越し=ジェレミー・ケネディ「GSPの影響」

【写真】UFCとBellator、PFLの全てで勝ち越している31歳って凄いだろう(C)MMAPLANET

22日(金・現地時間)に英国は北アイルランドのベルファーストにあるSSEアリーナで開催されるBellator Champions Series2024#01「Belfast」でジェレミー・ケネディがBellator世界フェザー級王者パトリシオ・フレイレに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

当初の予定ではジェイムス・ギャラガーと対戦予定だったケネディだったが、パトリシオがPFL Champ vs Bellator Champでファイトを失し、急遽ベルファーストで世界戦が決まった。昨年2月にペドロ・カルバーリョを下し3連勝としたケネディは、それ以来パトリシオに挑戦することを念頭にトレーニングを続けてきたという。

UFCで3勝1敗、PFLで2勝1敗、Bellatorで4勝1敗。世界三大メジャーで勝ち越す実力者の世界挑戦前に初インタビュー。通のファンを唸らせるジェレミー・ケネディの内側に迫った。


──ジェレミー、同サイトで待望の初インタビューとなります。この機会を得られて凄く嬉しいです。

「こちらこそ、ありがとう」

──ジェイムス・ギャラガーとのワンマッチが一転、パトリシオ・フレイレの持つBellator世界フェザー級王座挑戦となりました。パトリシオが2月24日に試合ができなかったことで、急転直下のタイトル挑戦です。

「いずれにせよ、タイトルに挑戦できるのは素晴らしいことだよ。ずっと長い間タイトル挑戦の機会を待っていた。そして1年間、彼に挑戦することを期待して、その試合のためにトレーニングを積んできたんだ。この間パトリシオはバンタム級で戦い、RIZINで戦い、本来はPFLとのチャンピオン対決と僕にその機会は巡って来なかった。それが、今回の件でいなりタイトルに挑戦できることになった。

ギャラガーと戦うことも楽しみにしていたけど、このゴタゴタがあってタイトルショットが巡ってきた。より気合いが入ったよ。凄くエキサイトしている」

──ようやく巡ってきた世界挑戦ですが、4週間の準備ということに躊躇することはなかったですか。

「いつタイトル戦のオファーが来ても良いように、通常から5Rを想定したトレーニングをやってきた。もう、ずっとね。確かに試合まで1カ月もないオファーで、ラウンドも3Rから5Rに変わる。でも去年からファブリシオ戦を念頭に、世界戦の準備のために5R用のトレーニングをしてきた。つまりコーチはパトリシオ対策を考え、パトリシオと戦うためのゲームプランを練り、パトリシオと5R戦で戦うためにトレーニングパートナーとスパーリングをしてきたんだ。ギャラガーとの3回戦からパトリシオとの世界戦、5R戦は大きな違いだけど、やるべきことは大きく変える必要はなかった」

──なるほど、です。ところでジェレミーはとても興味深いキャリアを過ごしてきました。

「どういうことだい?」

──23歳でUFCにデビューして3連勝後にアレックス・ヴォルカノフスキーに敗れ、キャリア12戦目で初黒星を喫しました。それでもオクタゴン3勝1敗、立派な成績なのにUFCを離れ、BRAVE CFとサインをしてモロッコとサウジアラビアで戦いました。なぜ、勝ち越しているUFCとの契約を更新しなかったのでしょうか。しかも、中東ベースのプロモーションに転じるというのは例がないことではないかと。

「その通りだね。僕のキャリアの積み方って、どうにかしているよね(笑)」

──アハハハハ。

「凄く若い時にUFCと契約して、3勝1敗という戦績は成功といって良いだろう」

──ハイ。

「4試合の契約を終え、契約更新の交渉が始まった。でも、凄く時間が掛ってしまっていた」

──とはいってもヴォルカノフスキー戦からBRAVE CFで戦うまで半年のインターバルしかなかったです。

「僕はまだ若かった。初めて敗北を経験して、少しでも早く勝ち星を手にしたくてしょうがなかった。でもUFCの考え方は少し僕とは違っていて、時間を掛けて交渉してきた。ちょうどコンテンダーシリーズとか、TUFとかの時期と重なって僕の試合をすぐに組もうという気はなかった。その時、BRAVE CFからコンタクトがあり、極めて良い条件で試合も多くこなせるという条件を提示してもらったんだ。

あの時点において、BRAVE CFの条件こそが僕が求めているモノだった。ただ、ずっとBRAVE CFで戦っていこうとは考えてはいなかったよ。短期間で、試合を複数こなして現状を変えたかったんだ。BRAVEで連勝した時に、PFLから2019年シーズン出場というオファーがあった。PFLはUFCに戻るために最適だと思ったんだ。それを考えると今、またPFLに戻ったことになるのは興味深いよね」

──そのPFLではプレーオフ&準決勝進出もファイナルには残れなかったですが(準決勝でダニエル・ピネダに敗れるが、ピネダが禁止薬物使用でNCに)、2勝1敗1NCでベスト4。PFLはベスト4のファイターは契約を更新しますが、ジェレミーは2020年にはBellatorに転じました。

「UFCを離れた時、僕にはマネージャーがいなかった。この時はもういて、PFLで戦う気でいた。でもコロナ禍で、知っての通りPFLは2020年の全イベントをキャンセルした。僕といえば、頻繁に試合をしてアクティブに過ごしたいという軸に変わりはなかった。だぁらマネージャーに『何かオプションはない? 長い間、試合をしないで過ごすのは避けたい』と伝えたんだよ。

その結果、2020年10月にBellatorとサインし、翌月にBellator初戦を戦った。僕はただ試合数をこなしたいだけで、PFLがシーズンを続けていれば離れることはなかった。とにかく試合を続けていれば、一度は離れてもドアが完全に閉まることは決してない。勝っていれば、また機会を訪れると考えていたよ。

Bellatorでは5試合戦って4勝1敗という状況で、PFLに買収された。僕はPFL傘下のBellatorでベルトを巻いて、防衛戦を行っていくつもりだよ」

──UFC、PFL、Bellatorの全てで勝ち越しているジェレミーですが、試合としてはハイライトリールでガンガン流れるタイプではなくて、7つのKO勝ちと2つの一本勝ちをしてなお堅実かつ安定したファイトで勝ち星を積み上げてきました。

「僕はいつだって、試合の一瞬・一瞬で勝利を手にするという意識を持ち続けている。堅実で安定したファイトかもしれない。ただし、競り合いが好きでも接戦なんて好きじゃない。だから判定勝ちした時もジャッジは30-27をつけるし、スプリットで勝つのも嫌だ。試合を支配する。ドミネイトかフィニッシュ、常に勝利を意識してきた。確かにベストファイターと戦っていると、そんな風に戦えないこともある。でも、どのような試合展開になろうとも……KO、一本勝ちだけでなく判定勝ちでも、誰が見ても僕の勝ちは明白という試合を心掛けている」

──そのようなファイト哲学を持つようになったのは、誰かの影響を受けたからなのでしょうか。それとも、それがジェレミーの気質なのですか。

「哲学というか、ごく自然にそういう動きになるんだよね。柔術家がガードを取っても、僕には通用しない。レスラーと対戦しても、簡単にテイクダウンを奪われることもない。ストライカーは、自分の戦いに僕を持ちこむことはできない。こういう戦い方になったのは、やっぱりGSPの影響が強いよ(笑)」

──あっ、納得です(笑)。

「同じカナダ人だからってことでなく、誰が相手でも完全にドミネイトするGPSの戦い方が大好きで。50-45の判定勝ちを常にするって、凄いことだよ。一方的な試合をする。そこが最高に格好良かった」

<この項、続く>


■視聴方法(予定)
3月23日(土・日本時間)
午前1時30分~U-NEXT

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【Bellator CS2024#01】ジェレミー・ケネディと防衛戦。パトリシオ・フレイレ─02─「神に祈っている」

【写真】鈴木千裕へのリベンジ。その想いの強さが伝わってきた(C)MMAPLANET

22日(金・同)に英国は北アイルランドのベルファーストにあるSSEアリーナで開催されるBellator Champions Series2024#01「Belfast」でジェレミー・ケネディの挑戦を受けるBellator世界フェザー級王者パトリシオ・フレイレ・インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

サウジアラビアでのヘスス・ピネド戦、そしてガブリエル・ブラガ戦が消滅したパトリシオは4週間後のケネディ戦を承諾した。Bellator勢の大勝と、ケネディとの防衛戦。そして鈴木千裕への想いを尋ねた。

<パトリシオ・フレイレ・インタビューPart.01はコチラから>

──ガブリエル・ブラガへの想い、しっかりと理解させていただきました。と同時にPFLとBellatorの対抗戦という歴史的なイベントに参加できなかったことに関しては、どのような想いでいますか。

「最初に戦うはずだったヘスス・ピネドがケガをした。それは誰もコントロールできないことで。ガブリエルに関しても、同じだ。BellatorとPFLの歴史的な対抗戦で、新しいベルトを手にしたかった。だから、そこは残念でならない。ただ、大会前からBellatorファイターの方が、PLFの選手よりも力があることは皆分かっていたはずだ。対抗戦でBellatorが大勝したことは、思った通りの結果だった」

──そしてジェレミー・ケネディとの防衛戦が決まりました。その時は、どのような気持ちでしたか。

「大会の翌日に正式にオファーがあったんだ。俺にとって防衛戦はアダム・ボリッチ戦以来となる(2022年10月1日)。ジャレミー・ケネディは、いずれ戦うことになるファイターの1人だと思っていた。互いが、互いのことをもう理解している。そして4週間の準備期間がある。2人ともタイトル戦を戦うことは、何も問題がなかった。ただタイトル防衛をするために、この4週間を過ごす」

──オファーを了承するまで、どれぐらいの期間が必要でしたか。4週間といっても、本来は試合を終えて休む期間だったはずですし、試合に向けての練習が4週間増える。そしてサウジアラビアからブラジルに戻り、アイルランドでの試合になります。

「戦うことを決めるまで、少し時間は必要だった。チームの皆も同じだったよ。やはりショートノーティスで試合を受けたチヒロとのファイトが、ああいう結果に終わったことは皆が引っ掛かっていた。4週間では万全なキャンプができるというわけでもない。でも、戦うこと決めた今は、完全な4週間にするしかない。そしてベルトをブラジルに持って帰る」

──ピネド戦は3Rでしたが、世界戦は5回戦です。その辺りはどのように考えていますか。

「そこは5Rの方が慣れているから、戦いやすい。もう5回戦ばかり戦ってきた。3Rよりも5Rの方が、俺にとっては都合が良いよ」

──ではジェレミー・ケネディの印象を教えてください。

「良いファイターだ。レスリングができるストライカーだね。スマートな選手で、どうすれば勝てるのかが分かっている試合巧者だ。自分自身を分かっていることが、ジェレミー・ケネディの長所だろう。ただ、俺はファイトに持ち込んでヤツの想う様な試合はさせない」

──ケネディのグラップリングは、レスリングと柔術を融合させていると思います。ビビアーノ・フェルナンデス仕込みのグラップリングをどのように評価しますか。

「う~ん、俺と戦う時は寝技勝負はしてこないはずだ。言っただろう? ジャレミー・ケネディの強味は、自分を理解していることだって。ただヤツは寝技もできるよ。そして、寝技でも俺の方が上だ」

──5R戦は体力を温存しないといけない面もあり、3Rよりもより慎重になる傾向があるかと思います。そして、それはファンが求める試合内容ではない。特にファブシリオは数々の試合で一撃の凄まじさを見せつけてきました。その辺りも踏まえて、ケネディ戦ではどのような試合をファンに見せたいと考えていますか。

「とにかく勝利すること。それが一番大切だ。KOだとか、サブミッションだとか、あるいはコントロールしてだとか勝ち方は問わない。この腰にベルトが戻ってくることが重要で、そのために勝つ」

──ところで鈴木千裕選手が4月29日に金原正徳選手と防衛戦を行います。今、千裕選手にはどのような想いでいますか。

「俺はチヒロがタイトルを防衛することを神に祈っている。そして、フェザー級で誰がベストなのか証明するために、チヒロともう一度戦う。再戦は、俺にとってリベンジの場となる。必ず再戦を実現させ、リベンジを成し遂げる」

──パトリシオ、いつもインタビューに快く応じてくれてありがとうございます。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「日本のファンの皆、いつも感謝している。皆が送ってくれるメッセージは、全て読んでいる。日本に戻る時を待っていてほしい」

■視聴方法(予定)
3月23日(土・日本時間)
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【Bellator CS2024#01】パトリシオ・フレイレ─01─「チヒロとの試合を思い出さないわけはなかった」

【写真】パトリシオのリモートインタビューでの背景は、お馴染みの感じになってきた(C)MMAPLANET

22日(金・同)に英国は北アイルランドのベルファーストにあるSSEアリーナで開催されるBellator Champions Series2024#01「Belfast」でジェレミー・ケネディの挑戦を受けるBellator世界フェザー級王者パトリシオ・フレイレ。
Text by Manabu Takashima

パトリシオは本来2月24日(土・同)にサウジアラビアで実現したPFL Champ vs Bellator ChampでPFL世界フェザー級王者ヘスス・ピネドとの王者対決が決まっていた。しかし、ファイトウィークになりピネドが足の負傷で欠場となり、ガブリエル・ブラガとの対戦が発表されていた。

ところが計量の日になってブラガは父の死を引きずっているという理由で試合がキャンセルに。現地入りして激しい感情の起伏を経験したパトリシオ。ショートノーティスでの試合を受ける際に、彼が昨年7月の鈴木千裕戦を思い出さないわけがなかった。

それでも試合を受け、結果的にキャンセルとなったパトリシオにサウジアラビアで起こった出来事について訊いた。


──2月24日のPFL vs Bellator、パトリシオはローラーコースターのようなファイトウィークを送ったことだと思います。まずヘスス・ピネドとのチャンプ・チャンプ対決が行われなくなったことをいつ知ったのですか。

「サウジアラビアに着いてからだった。プロモーションの方からは試合を組む意向だと聞かされていたけど、計量の2日前になってガブリエル・ブラガと戦うことになった。でも、知っての通り試合は行われなかった」

──ピネドとの試合が無くなったと知った、昨年7月に鈴木千裕選手とショートノーティスで戦ったことが思い出されました。実際にパトリシオ陣営の人間からも『代役とは戦うべきでない』という言葉が自分の下には届いていました。ピネドが欠場になった時、代替カードに出場しないという選択肢はありませんでしたか。

「ショートノーティスでガブリエルと戦うことを決める前に、チヒロとの試合を思い出さないわけはなかった。それは今回、ジェレミー・ケネディの挑戦を受けることを決めた時も同じだったよ。短い準備期間で違うファイターと戦えば、またあの敗北のような経験をするかもしれないという考えは常にあった。

ただ結局のところ、俺はウォリアーなんだ。戦いたいという気持ちが、躊躇する考えを上回った。ガブリエル戦が伝えられた時も同じ状況で、俺だけが不利ということではないからね。だから戦うことを決めた。チヒロとの試合前は、首にシリアスな負傷があった。ヒチロは優れたファイターだけど、首の状態の悪さが敗北を招いたと思っている。

ただ手術をして、首は完治した。今は当時より、ずっと良いコンディションだ。あの手の負傷はもう2度とすることはないだろう」

──う~ん、なおさら試合を受けた理由が分かりかねるのですが。そこが日本だったということは関係していますか。

「その通りだよ。若かった頃、俺のヒーローは皆がPRIDEで戦っていた。自分にとって日本で戦うことは夢だった。日本という国で、日本に住む皆の前で戦いたかった……にも関わらず、クレベル・コイケとの試合で俺は何かを失ったような気がしていた。それもあってショートノーティス、体調も良くなかったけど俺は日本のファンの前で最高の試合がしたかった。結果として、大きな代償を支払うことになってしまったんだけどね。だからこそ、チヒロとの再戦は少しで早く実現させたい」

──あの試合を受けたことに後悔することはなかったですか。

「思ったような結果を手にすることはできなかった。ただし、あの場で戦うことを頼まれて、そこに応えない方がずっと恥ずべきことだと俺は今でも思っている」

──ウォリアーの言葉通り、地球の反対側のサムライです。

「ハハハハハハ(にっこりと笑顔を浮かべ、刀で斬る仕草を見せた)」

──鈴木選手との試合と違い、ブラガ戦は実現しませんでした。お父さんを亡くしたことは本当に悲しむべきことです。と同時に1カ月以上前にアーロン・ピコと対戦が決まっており、開催地まで来てお父さんを失ったことが原因で戦わなかったという話が伝わってきて、釈然としないというのが正直なところでした。

「計量後、ガブリエルが戦えないということを聞かされた。彼の気持ちは分かる。ガブリエルは試合を戦わなかっただけでなく、引退を決めたんだ。トレーナーとしても、彼を導いてきた父親を亡くしたことでね。自分がそんな状況に直面したら、やっぱり戦うことはできなくなるだろう」

──……。

「ガブリエルとは計量の翌日、ファイトデーの日に話をした。俺と俺のチーム、ガブリエルとガブリエルのチームの面々で揃ってグロッサリーストアに行き、食事も一緒にしたんだ。彼がこのタイミングで試合をしようと決めたのは、父親の死を乗り越えて前に進むためだった。ファイトキャンプをハードに行い。前向きに生きて行こうという決意の表れだったんだよ。そして、ガブリエルはしっかりとキャンプをやり切ったんだ。

でも飛行機に乗った途端、父親との遠征や練習、全ての思い出が蘇ってきた。ファイトウィークの練習も、減量も全て亡き父を思い出さずにはいられない。そんな精神状況に陥ってしまった。俺との試合をPFLは発表していたけど、ガブリエルはピコとの試合すら取りやめて引退することを決めていたと話してくれたよ。

でも彼のマネージメントチームは、俺との試合のオファーをPFLから受けて、そこも前向きに捉えよう。ここを乗り越えようと、彼を鼓舞した。ガブリエルも応じて、必死で父の死を乗り越えようとしたけど減量の段階になって、もう本当に無理だと悟った。結果、引退することを選んだ」

──……。

「そんな状態で無理をして戦う必要はないと、俺だって思う。俺はプロフェッショナル・ファイターだけど、正直なことを言えばガブリエルとの試合が実現しなくてホッとした部分もある。俺は彼が子供との頃から知っていて、それは亡くなった彼の父親と親交があったからに他ならない。それにガブリエルはチーム・ノゲイラ時代のチームメイトだったからね……」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月23日(土・日本時間)
午前1時30分~U-NEXT

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