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【RING C05】バンタム級T準決勝へ、國頭武「練習で楽はしない。シンドイところで頑張らんと勝てない」

【写真】パブリック計量にて。しっかりと仕上がっている(C)MMAPLANET

20日(日・現地時間)、韓国はインチョンのサンサンプラットフォーム・ウェーブホールでRing Championship05で開催され、同バンタム級王座決定トーナメント準決勝で國頭武がキム・ウンソンと戦う。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月に野尻定由を下し、修斗でランキング入りしたなか、なぜ國頭は韓国で戦うことを選択したのか。そこには師であり7月に現役を引退した佐々木信治が見せてきた戦いがあった。さらに「昨日の敵は今日の友」――自身の課題をクリアすべく、昨年8月に敗れている神田T800周一との練習についても語った(※取材は10月15日に行われた)。


――今年4月、トーナメント初戦のパク・サンヒョン戦は相手の体調不良で中止となりました。そもそもRING Cへの参戦は、いつ頃決まったのでしょうか。

「試合の1カ月ぐらい前ですね。その時は他の試合の話もなかったですし、断る理由もなかったのでオファーを受けました」

――昨年、野尻選手に判定勝ちして修斗のランキングに入りました。そうなると次も修斗で試合をしてランキングを上げ、いずれベルトに……という気持ちはなかったですか。

「もちろん、その気持ちはありました。野尻選手に勝った時も『これでランキングに入る。修斗で上がっていく』というイメージは持っていました。そこにRING Cのオファーが来て――仕事の都合で試合に出るのが難しい時はあります。でも、出られる試合を断るのは逃げたような感じがして。今後もずっと自分の中に『逃げた』という気持ちが残ってしまうと思うので、基本的にオファーは断りたくないです」

――それでこそファイターです! 國頭選手にとっては初めて海外で戦うということも大きかったですか。

「はい。佐々木さんがRoad FCで戦っている時に、現地へ応援に行ったり、セコンドにつかせてもらっていました。現地で会場の盛り上がりを感じて、韓国で試合をすることに憧れがあったんです」

――しかし、その初戦は相手が「減量時に倒れた」とのことで直前に中止に……。

「ビックリした、というのが一番大きかったです。急きょ代わりの対戦相手を探してくれたようですけど、やっぱり急すぎて見つからずに。

試合ができなかったのは残念でした。でもトーナメントだから次の試合があるのも確定していたし、『今回は次の対戦相手の動きをしっかり見よう』と気持ちを切り替えることができました」

――結果、試合期間が空くこととなりました。

「もともと4月、7月、12月というスケジュールでトーナメントが行われると聞いていました。でも会場の関係で予定がズレてしまったそうで。もし最初から準決勝が10月だと分かれば――その間に他の大会に出ることはOKを貰っていたんです。でも、なかなか開催が決まらず、結果的に期間が空いてしまいましたね」

――4月は試合をしていないので、実質的に野尻戦以降10カ月のブランクです。

「これだけ試合間隔が空いたのは初めてです。でも『もしかしたら試合があるかもしれない』と考えながら調整し続けていました。体重も以前は一気に落とすことが多かったんですよ。でも今回は少しずつ絞ることができて、今までで一番コンディションが良いです。逆に良かったというか(笑)」

――4月から10月までの間に見直した面はありますか。

「僕ってメチャクチャ運動神経が悪くて……。これまで道場の練習のほかに、自宅でウェイトトレーニングをやっていたんです。でもそれは単に体を大きくしていただけで。今回は重量だけを追い求めるのではなく、『どう体を使えば効率的に動かせるか』と勉強しました。おかげで、今まで穴だった打撃が伸びていることは実感しています。

あと際の部分ですね。今回も組んで寝技になったら勝てると思っています。でも相手は力が強そうだし、壁の攻防で細かい打撃とかを練習しています」

――神田戦、野尻戦どちらもタフファイトでした。ノンストップで面白い試合ではあったものの、毎試合これを続けられるかどうか。

「理想はスクランブル合戦ではなく、抑えて殴って極めることです。寝技のコントロールは練習していて、それも見直してきました。バックを取られても逃げられることが多かったですし。ノンストップの攻防になるのは、相手を抑えきれていないわけなので」

――そんななかで、最近は神田選手と一緒に練習しているのですか。

神田T800周一との広島ネットワーク(C)TAKESHI KUNITO

「試合で負けた瞬間に『神田さんと練習したい』と思いました。神田さんをしっかりコントロールできるようになれば、メチャクチャ強くなるんじゃないか――と。でも神田さんは巧すぎて、なかなか押さえ込みきれないです」

――いつから神田選手と練習し始めたのでしょうか。

「最初は去年の12月、レオスに行ったんですけど、いらっしゃらなくて。自分も連絡していなかったんですけど(苦笑)」

――神田選手と練習するために行ったのに、本人に連絡していないとは(笑)。

「しかも2回も(笑)。神田さんが今年ジムをオープンしたじゃないですか。その時に『一緒に練習させてもらいたい』と連絡して、そこから月1~2回行かせてもらっています。それ以上のペースで行くと、お互いに慣れてしまうと思うので。

今は道場だと、佐々木(信治)さん以外はコントロールできることが多いんですよ。でも神田さんは自分が押さえ込もうとしても、常にギリギリのところで逃げる。その練習動画を視返しながら、『ここはいけんかったな』と自分の雑だった部分が見えてきます。

自分がシンドイ時に神田さんはシンドイことをしてくるんです。自分もそこで『もう一つやってたろう』という気持ちになりますね。練習で楽はしない。そのシンドイところで頑張らんと自分は勝てないと思うので」

――なるほど。4月は試合が中止になりましたが、RING Cというイベントの印象はいかがですか。

「まだキャリアの浅いけど、その分若くて勢いのある『ここから強くなるだろう』という選手が多かったですね。トーナメントに出ているなかで一人、カザフスタンの選手だけ何か違いましたけど」

――ボォレット・ザマンベコフですね。

「あの選手だけ違いますよね。とはいえ他の選手も韓国MMAらしいアグレッシブで」

――では準決勝で対戦するキム・ウンソンの印象を教えてください。

國頭は61.5キロ、キム・ウンソンは61.3キロで毛量をパスしている(C)MMAPLANET

「まだ粗さはありますけど、体つきを観ても分かるとおり、打撃の破壊力は凄いです。あれは一発もらったら倒されてしまうと思いますね」

――レスリングベースで、まさに「腕っぷしが強い」タイプではありますね。

「そうですね。あのパンチはガードしていても効かされてしまうので、そこは気をつけたいです。あと組んでも四つが強そうで、その組みにどう対処するかを考えています」

――なるほど。2024年は師である佐々木信治さんの現役引退もありました。

「結構前から『次が最後なのかな……』と思いながら、佐々木さんの応援に行っていて。だから覚悟はしていました。14年ぐらい一緒にいて、ずっと近くで見させてもらいました。佐々木さんの試合に向かう姿とか、戦っている姿、試合に対する覚悟とかを勉強させてもらい――寂しい気持ちはありますけど、佐々木さんには感謝しかないです。

韓国でラストファイトを行った師・佐々木信治と。次は自身が韓国でチャンスを掴むか(C)MMAPLANET

今、RINGのトーナメントにも出場しています。今まで僕が佐々木さんの背中を見てきたように、これから佐々木さんの戦っている姿を見られない子たちに、僕が背中を見せていくのが佐々木さんへの恩返しだと思っています」

■RING C05 視聴方法(予定)
10月20日(日)
午後7時00分~ RING Championship YouTubeチャンネル

■RING C05対戦カード

<Rringバンタム級王座決定T準決勝/5分3R>
キム・ウンソン(韓国)
國頭武(日本)

<Rringバンタム級王座決定T準決勝/5分3R>
シン・ユミン(韓国)
ボォレット・ザマンベコフ(カザフスタン)

<ミドル級/5分3R>
ユン・ジェウン(韓国)
マクシム・ミクティプ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
ソン・ミンソォ(韓国)
和田教良(日本)

<ライト級/5分3R>
ムン・ジュンヒ(韓国)
パク・ジフワン(韓国)

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45 AB Gladiator Gladiator Challenger Series02 Gladiator CS02 Gladiator027 Gladiator028 LFA MMA MMAPLANET o Progress Road to UFC UFC YouTube アドニス・セビジェーノ エド・ソアレス ソドノムドルジ・プレブドルジ ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ヅッキーニョス パク・サンヒョン パン・ジェヒョク 上久保周哉 中川晧貴 木村柊也 松嶋こよみ 水野翔 河名マスト 田中路教 石田拓穂 長谷川賢

【Gladiator028】フェザー級T準決勝2試合が発表。松嶋こよみは上久保周哉と共にLFA契約でOut、水野がIn

【写真】昨年6月の激闘が再び繰り返されるのか。ヅッキーニョスは真価が問われる一戦だ (C)MMAPLANET

13日(金)、10月6日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR028でフェザー級挑戦者決定トーナメント準決勝=ダギースレン・チャグナードルジ×チハヤフル・ヅッキーニョス、パン・ジェヒョク×水野翔の2試合の実施と、松嶋こよみ&上久保周哉がLFAと契約を結んだことが発表された。
Text by Manabu Takashima

河名マストが持つGLADIATORフェザー級王座への挑戦権が賭けられたトーナメントは、7月のGLADIATOR027でヅッキーニョスは中川晧貴を、ダギースレンはアドニス・セビジェーノとの厳しい一戦を紙一重のスプリット裁定で下し準決勝進出を確定させていた。


一方、同じく7月に行われたGLADIATOR CHALLENGER SERIES02でソドノムドルジ・プレブドルジをヒザ蹴りで倒した松嶋は、その後LFAとの契約が締結され同トーナメントから離脱。石田拓穂を破った倒したパン・ジェヒョクは、リザーブ戦で勝利した水野と相対することが決まった。

同リリースによると、松嶋は同じくGLADIATOR CS02でProgressフェザー級王座を獲得した上久保周哉と共にLFAとサインし、現在は米国ビザ取得に向け動いているということ。ビザが取れ次第、マッチメイクが進むということだが両者とも11月か12月にはLFA初陣を希望しているということだ。

両者の契約を仲介したPROGRESS実行委員会の長谷川賢に今回の契約内容を尋ねると「契約は3年で6試合契約。この間、ビザがあるということでUFCのショートノーティス出場のリストに、両者の名前が加わるという利点がある」とのこと。

また田中路教が経験した試合が組まれないという状況になった場合は、日本国内で戦うことは許容されるという。

Road to UFCで敗れた河名の進退も気になるところだが、まずは挑戦権を賭けたサバイバル戦。ヅッキーニョスは昨年6月に同王座決定T準決勝でダギースレンと対戦しており、スプリットでダギースレンに下っている。それからも河名マスト戦にTKO負けを喫しながら、国際戦を含め経験値を高めてきた。まさに、この間の成長をぶつける一戦となる。

加えてダギースレンとパン・ジェヒョクは王座決定トーナメントに進出した者同士(ダギースレンの計量失敗で王座はパン・ジェヒョクのモノとなり、ワンマッチで対戦。パン・ジェヒョクが判定勝ちを収めている)だ。Road to UFCの準決勝全敗は日本が中国、韓国に遅れを取った現状を如実に表した緊急事態──リザーブ戦から勝ち上がった水野、リベンジを誓うヅッキーニョスが意地の決勝再戦を阻止できるか。

また水野と同様にリザーブ戦でハンセン怜雄からTKO勝ちしたパク・サンヒョンだが、計量失敗ということで代替出場の権利を失っている。そのサンヒョン、今大会で木村柊也戦のオファーがあったものの──そのハンセン戦で足の指を骨折しており、ようやくギブスが外れた状態ということで「今回ばかりは、試合を戦えるコンディションは作れない」と出場できず。相変わらず日本勢では対戦相手が決まらない木村の5月大会以来のグラジ出場はあるのか。追加カードの発表を待ちたい。

なおLFAと契約した両者、2人を迎え入れるエド・ソアレスLFA代表。トーナメント準決勝で戦う4選手がリリースに寄せたコメントは以下の通りだ。

エド・ソアレス
「LFAが日本のトップファイターである松嶋こよみと上久保周哉とサインできたことに興奮を隠せないです。日本を代表するエキサイティングな選手との契約は、我々LFAが世界中でファイター達の発掘に力を入れている証といえます。また両者のとの契約はLFAが世界で一番の人材発掘&育成団体として、もう一歩前進したことを意味しています」

松嶋こよみ
「フェザー級挑戦者決定トーナメント参戦中でしたが、LFAとの契約が決まりました。GLADIATORで試合をしたことでこういったチャンスを手にできました。そして快く送り出していただいた関係各位の皆様ありがとうございます。新しいUFCに繋がる道を切り拓いていけるように精進します。応援よろしくお願いいたします」

上久保周哉
「この度多くの方のご尽力の下LFAとの契約書にサインしました。少しでも厳しい道を選ぼうと思っての判断です。毎日積み上げてきたものが自分自身を作ります。今日の自分を明日に繋げる為に過ごしてきました。厳しい相手との試合の日の自分に繋げる為に懸命に1日1日を過ごして備えます」

トーナメント準決勝出場選手のコメントは以下の通りだ。

チハヤフル・ヅッキーニョス
「ダギースレン選手にはいつかもう一度挑戦したいと思っていたので、今回早くも実現しとても嬉しいです。前回は負けましたが、実力は拮抗していたと思います。お互いファイターとして成長した今、どんな試合をお見せできるか楽しみです。僕はあれから5試合を戦い、濃い時間を送ってきた自信があります。それをすべてぶつけて今度こそ倒し、決勝に進みます。ダギースレン選手、前回を超える激しい試合をしましょう! SEE YOU SOON!!!」

ダギースレン・チャグナードルジ
「こんにちは! 今回の試合はこれまでの経験を活かし、新たな一面を引き出せる、華やかな戦いになると思っています。練習も順調で、過去の試合で反省した点を改善してきました。対戦相手には、『どちらがより努力してきたか、皆さんと一緒に見届けてください!』と伝えたいです。応援してくださる皆さんへ、素晴らしい試合をお見せできるよう、全力で頑張ります! ありがとうございます」

水野翔
「まずは、この様なチャンスを頂きありがとうございます。ただ、代わりに入っただけじゃなく俺がこのトーナメント優勝します。練習仲間や応援してくれる方々に感謝をして、試合は覚悟を決めてします。この試合は俺が勝たないとおもろく無いと思うので絶対に勝ちます!」

パン・ジェヒョク
「今回の相手はステミナもパワーもあるので、注意してトレーニングしています。万全を期し、二度と後悔する事なく、綺麗にトーナメント優勝してベルト取り戻します。今回のトーナメント出場が決まった時から、期待していた松嶋こよみ選手との試合が叶わなかったのは残念の極まりないですが、LFAで戦うチャンスを生かしてUFCにステップアップして欲しいです。自分もGLADIATORのベルトを手見上げにステップアップをするので、UFCで戦おう」

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45 Gladiator Gladiator027 MMA Report ハンセン玲雄 パク・サンヒョン ブログ

【Gladiator027】ハンセンは左ミドルで止めきれず。パク・サンヒョンが右フックからの連打で沈める

【写真】チャンスとみるや一気に攻め立てた、パク・サンヒョンのラッシュ力(C)MMAPLANET

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
パク・サンヒョン(韓国)
Def.2R1分17秒 by TKO
ハンセン玲雄(日本)

サウスポーのハンセンが左インローを見せる。右を狙うような構えのパク・サンヒョンに対し、ハンセンが左前蹴りを繰り出す。ワンツー、左ロー、左ミドルと散らしていくハンセン。パク・サンヒョンは距離を詰めてダーティボクシングから押し込んでいく。離れたハンセンに、パク・サンヒョンが左カーフを蹴る。さらに左ハイ、左ジャブを見せるパク・サンヒョン。相手の打撃をよく見ているハンセンは、左ストレートから左右フックで距離を詰める。

パク・サンヒョンの左フックをかわしたハンセンが組みつくも、パク・サンヒョンがケージに押し込む。ここでハンセンのヒザ蹴りがパク・サンヒョンの下腹部に入り、試合が中断された。再開後、パク・サンヒョンが右ハイを放つ。ブロックしたハンセンが右ローを繰り出すも、これもローブローとなってしまい、またもパク・サンヒョンに休憩が与えられた。

試合が再開されると、ハンセンが左ミドルで攻め込む。ハンセンの右に右ミドルを合わせるパク・サンヒョン。さらにハンセンの左ローに右ストレートを合わせていく。右が交錯したあと、ハンセンが下がりながら左ミドルを当てる。パク・サンヒョンがプレスをかけてケージを背負わせるも、ハンセンが左右に回って左ミドルを当てた。

2R、パク・サンヒョンが右ミドルを放つ。下がるハンセンはパク・サンヒョンの右をブロックし、右ジャブと左ミドルで前に出る。パク・サンヒョンのパンチに対し右フックを合わせるハンセン。左ミドルハイでパク・サンヒョンを下がらせ、ワンツーからダブルレッグに入るも、これは切られてしまう。

パク・サンヒョンが右フックでハンセンのアゴを跳ね上げると、一気に左右フックを当てながら距離を詰める。ハンセンをケージに詰め、左右の連打を浴びせて動きを止める。ヒザを突いたハンセンに対し、パク・サンヒョンの頭が当たるも、そのままパンチを打ち続けてレフェリーストップを呼び込んだ。

パク・サンヒョンは前日計量で1.1キロのオーバーだが、試合は成立しており、TKO勝ちを収めたパク・サンヒョンがトーナメントのリザーブ出場権を獲得した。


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【Gladiator027】捲土重来、ダギースレン・チャグナードルジ「今回こそは――という気持ちで」

【写真】この体躯。リカバリーはどれほどなのだろうか (C)MMAPLANET

明日7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で、戦いの火蓋が切って落とされるフェザー級次期挑戦者決定トーナメント。その準々決勝でダギースレン・チャグナードルジがアドニス・セビジェーノと戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年の王座決定トーナメントに出場したMGL-1FCフェザー級王者のダギースレンは、準決勝でチハヤフル・ズッキーニョスとの激闘を制し、決勝進出も計量失敗で不戦敗に。試合はノンタイトルで行われ、判定負けを喫した。

もう日本で戦えないかもしれないという想いだったダギースレンに届いたセカンドチャンスは、上にあるように挑戦者決定トーナメントの準決勝――そしてチーム・ラカイ・ファイターとの対戦だった。10カ月振りのMMAに向けて、ダギースレンはどのような想いでいるのかを尋ねた。


──昨年9月以来の来日が決まりました。そしてMMAを戦うのもその時以来で約10カ月ぶりとなります(※取材は6月6日に行われた)。

「王座決定戦で減量に失敗して、もう日本で試合はできないのではないかと心配していたので、このオファーを貰った時は本当に嬉しかったです。ホッとしました。GLADIATORでフェザー級トーナメントに出るのは2度目ですし、前回の反省を生かして戦いたいと思います。去年の10月からも仕事をしながらトレーニングという日々を送り、体重が増えないように注意をしてきました。

もう絶対に計量失敗を繰り返したくないですし、ナラントンガラグ先生からも強く言われました。今は今回こそはという気持ちで、練習に励んでいます」

――ダギースレンの師匠であるジャダンバ・ナラントンガラグがあの試合以降、実戦から離れても一旦底上げをしていくという方針を取っていたようですね。

「全体的に強くなっていると思います。以前は空振りが多かったので、特にストレートの精度を上げたいと思ってトレーニングを積んできました。この間、MMAの試合はしていなかたったのですがシュートボクシングの試合で出て、グラップリングのトーナメントにも参加しました。

打撃、組み技の実戦に挑戦したことで経験を積めました。特にSBで戦う時にヒジやヒザ蹴り、そして打撃から組んで投げるという練習を積んだことは、凄くMMAに生きると思います。パンチの精度を上げて、そこから組んでいくというMMAに必要な流れが成長しているはずなので。そこから先という部分で、トーナメントでは入賞できなかったですが、グラップリングの試合に出たことも役立っています」

――今回こそという気持ちが大きいということですが、去年の王座決定トーナメントに出場していた河名マスト選手がRoad to UFCで戦っていることをどのように思っていますか。

「ニャムジャルガル(トゥメンデムベレル)もそうですし、河名マスト選手もそう。GLADIATORのチャンピオンになってRoad to UFCに出場した選手を間近で見てきました。そういう風なことが身近で起きたことは、凄く刺激になっています。今回こそは絶対に優勝して、チャンピオンになって自分もRoad to UFCに行きます」

――準々決勝の相手はフィリピンのアドニス・セビジェーノです。

「ONEで戦っていた選手なので、素直に嬉しいです。セビジェーノ選手と戦って勝てば、自分の評価が上がります。なのでしっかりと研究し、対策を立てて練習をしています」

――チームメートのエンフオルギル・バートルフーが1年前に勝っていますが、何かアドバイスはありましたか。

「ハイ。四つ組の防御は強いけど、足へのテイクダウンには脆かった。そう聞いているので、しっかりと練習しています。立ち技で優勢に立って、組んでテイクダウンをしたいと思っています」

――昨年のトーナメントで勝利したチハヤフル・ズッキーニョス選手が「去年の自分とは違う。ダギースレンと戦いたい」と言っています。彼も同じ日に準々決勝で中川晧貴選手と戦います。

「そういう風に自分を意識してくれるのは、嬉しいです。ズッキーニョス選手と戦った時には、下がる場面がありました。これからは前に出て戦いたいと思っているので、あの時の自分よりも今の自分の方が遥かに強いです。そこはズッキーニョス選手とトーナメント準決勝で拳を交えることになれば、しっかりと証明したいです」

――押忍。では最後に今回のトーナメントに掛ける気持ちをお願いします。

「大会当日、一番評価されるベストバウトをしたいです。打撃、レスリング、寝技、全ての局面で圧倒します」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027 計量結果

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉:61.1キロ
[挑戦者] 竹中大地:61.1キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ:65.9キロ
アドニス・セビジェーノ:65.8キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:66.0キロ
中川晧貴:66.1キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄:66.1キロ
パク・サンヒョン:67.4キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔:66.0キロ
田口翔太:65.7キロ

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル:56.9キロ
和田教良:56.9キロ

<バンタム級/5分2R>
藤原克也:60.8キロ
土本暉弘:61.2キロ

<81キロ契約/5分2R>
森井翼:80.6キロ
織田ジュラシック:80.8キロ

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠:57.0キロ
澤田政輝:56.8キロ

<バンタム級/5分2R>
上田祐起:61.3キロ
福井竜郎:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ:57.1キロ
カーヴィ:56.6キロ

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太:65.6キロ
鶴屋健人:65.6キロ

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ:60.5キロ
上野滉太:60.7キロ

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵:70.3キロ
友實竜也:70.5キロ

<フライ級/5分1R>
藤原浩太:55.9キロ
小早川大地:56.1キロ

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【Gladiator027】ダギースレンと対戦、アドニス・セビジェーノ「チーム・ラカイの誇りを持って勝つ」

【写真】ガッツリしたタイプのセビジェーノ。今ではディープハーフからスクランブルなどグラップリングもお手のものだ(C)MMAPLANET

明日7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027でアドニス・セビジェーノが、ダギースレン・チャグナードルジとフェザー級次期挑戦者決定トーナメント準決勝で対戦する。
Text by Manabu Takashima

Road to ONEフィリピンからONEと契約も、結果を残せずキャリアの仕切り直しに。来日も5月の前回大会でビザ取得が間に合わず、ここも仕切り直しとなった。対戦相手のダギースレンは、ONEで敗れたエンフオルギル・バートルフーの同門。フィリピン#01MMAジムを代表して、シャンダスMMAへのリベンジと果たし、日本での成功を望むチーム・ラカイの新鋭をインタビューした。


モンゴル人選手と戦うのは、僕の運命だよ(笑)

──5月5日に来日する予定でしたが、ビザの問題で来日できず。7月7日に約2カ月遅れでGLADIATOR初参戦が決まりました(※取材は6月12日に行われた)。

「次の試合に向けて、とてもエキサイティングしているよ」

──その次戦はワンマッチと違ってトーナメントの一戦、準々決勝です。このオファーがあった時、どのように思いましたか。

「凄くエキサイトしたよ。僕は自分がトップに立てると信じているから。このトーナメントで優勝するよ」

──日本で初めての試合です。日本のMMAの印象を教えてください。

「日本のアスリートが、凄くタフなことは分かっている。MMAのレベルもとても高いから、絶対に軽く考えることはない。そのためにずっと練習を続けてきたんだ」

──今大会の対戦相手はモンゴル人選手です。日本でモンゴルの選手と戦うことをどう考えていますか。

「簡単な試合にはならない。でも、日本で強い姿を見せたい。勝利を手にするのは僕だよ」

──エンフオルギル・バートルフーに敗れているアドニスにとっては、チームメイトのダギースレンと戦うことは一種のリベンジマッチになります。

「モンゴル人選手と戦うのは、僕の運命だよ(笑)。だから勝利を手にするために毎日ハードトレ―ニングを続けてきたんだ」

──エンフオルギルに敗れてから、おおよそ1年。この間、どれだけ成長したと思っていますか。

「この間、強くなるために毎日のようにハードな練習を繰り返してきた。トップファイターになるためにね。今のアドニスと去年のアドニスは別人だよ」

──MMAファイターとして長所はどこだと、自身で思っていますか。

「きっとボクシングだね。そしてレスリング。今は凄く強くなっている」

──セブ島出身のアドニスですが、バギオやトリニダートのあるベンゲット州は高地です。スタミナの強化にもなったのではないでしょうか。

「今、ここにいて僕のスタミナが強化されたことは100パーセント間違いない。毎日、心肺機能を鍛えている。チームの皆と週に4度、ここより高度の高い山に行って心肺機能のトレーニングをしているんだ。絶対にスタミナ切れをすることはないよ」

──ONEで戦ってきた時のフェザー級は70キロで、水抜き減量が禁止されていました。今回は北米MMAルールのフェザー級でドライアウトがOKの66キロ。この計量方法の違いに戸惑うことはないですか。

「今回の試合はハイドレーション・テストがないから、減量にも凄く自信を持っている。このやり方だと、66キロへの減量はとても簡単だからね。ハイドレーションありで70キロで戦うよりも、ハイドレーション・テストがなくて66キロに落とす方が、試合当日もよく動けるはずだ。ハイドレーション・テストは本当にストレスだったからね(笑)」

──ではダギースレンの印象を教えてください。

「きっと、僕のことをKOしようと思っているだろうね。同じだ。僕も彼をKOしたいと思っている(笑)」

──この試合はトーナメントの準々決勝です。ダギースレン以外にも6人の参加選手がいます。一番、警戒している選手は誰になっていますか。

「あぁ、誰だっけ? 5月に戦う予定だった日本人選手って?」

──チハヤフル・ズッキーニョス選手ですね。

「そうそう、彼と戦いたいね」

──アドニスがダギースレンに勝ち、ズッキーニョス選手が初戦に勝てば準決勝で戦うことになりますね。

「レッツゴー、やろうぜ(笑)」

──では今回のトーナメントで勝つ自信のほどは?

「100パーセント、自信があるよ。絶対に勝つ」

──では、どのような試合を日本のファンに見せたいと思っていますか。

「見ていて楽しい試合をするから、注目してほしい。最高のパフォーマンスをこの試合で見せたい。僕はチーム・ラカイを誇りに思っているから、その誇りを持って今回の試合に勝つ」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027 計量結果

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉:61.1キロ
[挑戦者] 竹中大地:61.1キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ:65.9キロ
アドニス・セビジェーノ:65.8キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:66.0キロ
中川晧貴:66.1キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄:66.1キロ
パク・サンヒョン:67.4キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔:66.0キロ
田口翔太:65.7キロ

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル:56.9キロ
和田教良:56.9キロ

<バンタム級/5分2R>
藤原克也:60.8キロ
土本暉弘:61.2キロ

<81キロ契約/5分2R>
森井翼:80.6キロ
織田ジュラシック:80.8キロ

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠:57.0キロ
澤田政輝:56.8キロ

<バンタム級/5分2R>
上田祐起:61.3キロ
福井竜郎:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ:57.1キロ
カーヴィ:56.6キロ

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太:65.6キロ
鶴屋健人:65.6キロ

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ:60.5キロ
上野滉太:60.7キロ

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵:70.3キロ
友實竜也:70.5キロ

<フライ級/5分1R>
藤原浩太:55.9キロ
小早川大地:56.1キロ

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【Gladiator027】計量終了 タイトル&トーナメント戦&国際戦&プレリミ――パク・サンヒョンのみ計量失敗

【写真】古賀珠楠×澤田政輝、上田祐起×福井竜郎戦、ルキヤ×上野滉太戦、土本暉弘、鶴屋健人、磯嶋祥蔵らプレリミも楽しみな明日のグラジだ(C)MMAPLANET

明日7日(土・現地時間)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR027の計量が同市のSMOKER GYMで行われた。
Text by Manabu Takashima

メインのバンタム級選手権試合、フェザー級次期挑戦者決定戦および同リザーブ戦、そしてフライ級の国際戦と6試合がメインカードで組まれている同大会。

猛暑日、加えて湿度は47パーセントという大阪の地で迎えた計量だが、その暑さを利用し200グラムオーバーで大阪入りしたGLADIATORバンタム級王者の竹本啓哉は、計量前のジョグで体重を落としきり今回は本計量でパスをした。

一方、チャレンジャーの竹中大地は竹本と同じ61.1キロでパス。また昨年のフェザー級王座決定トーナメント決勝を計量オーバーで不戦敗→ノンタイトル戦で敗れたダギースレン・チャグナードルジは悪夢を払拭するように無事、計量を終えている。


ダギースレンとオオトゴンバートル・ボルドバートルのモンゴル勢は日本の暑さに顔をしかめながら、1300メートルの高地ウランバートルとは違って空気が薄くない大阪で、体が軽々と動くという。結果、朝のジョグでダギースレンは既に体重を落とすことができていたという。・

そのダギースレンと戦うアドニス・セビジェーノも普段は標高1100メートルのフィリピン・ラトリダートでトレーニングを積んでおり、大阪の気温は普段と変わらないが「空気が綺麗だ」と快適そうにドライアウト有りの計量を悠々とパスした。

しかし、リザーブ戦でハンセン怜雄と対戦するパク・サンヒョンは67.4キロと1.15キロのオーバーに。パク・サンヒョンは5月の前回大会では68キロ契約はパスしていたが、4月に韓国の大会でバンタム級の体重を創れず倒れて、救急車で搬送されている。

減量には、それらの経験がトラウマとなり体を守るために体重が落ちなくなり、また精神的に鬱になるという話もある……。現に1.1キロ・オーバーながら、キム・サンヒョンは再計量に向けて体を動かすことという選択ができなった。階級制のMMAで戦う限り、これはもう彼自身がチームと共に乗り越えないといけない。

パク・サンヒョン以外、出場29選手は全員が本計量でパスしており、再計量はなかった。


■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027 計量結果

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉:61.1キロ
[挑戦者] 竹中大地:61.1キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ:65.9キロ
アドニス・セビジェーノ:65.8キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:66.0キロ
中川晧貴:66.1キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄:66.1キロ
パク・サンヒョン:67.4キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔:66.0キロ
田口翔太:65.7キロ

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル:56.9キロ
和田教良:56.9キロ

<バンタム級/5分2R>
藤原克也:60.8キロ
土本暉弘:61.2キロ

<81キロ契約/5分2R>
森井翼:80.6キロ
織田ジュラシック:80.8キロ

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠:57.0キロ
澤田政輝:56.8キロ

<バンタム級/5分2R>
上田祐起:61.3キロ
福井竜郎:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ:57.1キロ
カーヴィ:56.6キロ

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太:65.6キロ
鶴屋健人:65.6キロ

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ:60.5キロ
上野滉太:60.7キロ

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵:70.3キロ
友實竜也:70.5キロ

<フライ級/5分1R>
藤原浩太:55.9キロ
小早川大地:56.1キロ

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【Gladiator027】和田教良と対戦、オトゴンバートル「今年のRoad to UFCのメンバーなら優勝できる」

【写真】その可能性はいかほどのモノなのか、必見のオトコンバートル (C)MMAPLANET

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で草原のモカエフことオトゴンバートル・ボルドバートルが、和田教良と対戦する。
Text by Manabu Takashima

5月、そして今大会と連続でNavEとのフライ級王座決定戦が流れた。3戦目でタイトル戦と、北米フィーダーショーやK-MMA界のフィーダーショーばかりの早々の出世試合が失したモンゴルMMA界の将来を担うオトコンバートル。とにかく試合ができたことに安堵しつつ──その先にGladiatorフライ級のベルトばかりか、来年のRoad to UFC出場を彼は見据えている。


プロとして戦いを見せたかった

──7月7日に組まれていたNavE選手とのフライ級王座決定戦が5月に続き流れてしまいましたが、和田選手と戦います。今の心境を教えてください。

「NavEとのタイトル戦が延期され、ずっとその試合に向けて練習をしていたので……。彼の負傷が治らないということで『また試合がないのか』と落ち込んでいたんだ。でも、ワダが戦ってくれるので、気持ちを創り直して練習をしてきた状態で」

──キャリア2戦のオトゴンバートル選手だけに延期や対戦相手が変更という状況はメンタル面で影響がありましたか。

「5月の試合が延期になった時は、それほどでもなかったけど……7月もNavEが無理だと伝えられた時はさすがに厳しかった。代わりの選手を見つけるということだったけど、それはどうなるかも分からないし。あの時は不安だったよ。

凄く良い練習ができていたので、もうタイトル戦でなくても、誰が相手でも試合がしかった。でも試合ができることになったので、今はもう何も問題はないよ」

──3月のオトコンバートル選手の試合を見て、とんでもないファイターが来たなという評判でした。ただ試合前に「どういう選手?」と尋ねられると、「中村倫也選手とのレスリングスパーを見る限り、レスリングは強い」と返答をしていました。それが久保選手との試合では打撃だけで試合を進め、ハイキックでダウンを奪ってのギロチンで一本勝ちという内容で、驚かされました。

「作戦としては組みで勝負することも考えていた。でも1Rと2Rは可能なだけ打撃で戦ってみようと思ったんだ。そうしたら、凄く戦いやすくて。なら、このまま打撃でいこうと。その結果だよ。

実はナラントンガラグ先生からは打撃から組むように指示を貰っていたけど、打撃でイケそうだと自分の判断で打撃勝負に出たんだ(笑)」

──作戦よりも、直感。それもありかもしれないですね。

「ナラントンガラグ先生は試合中もずっと『組め』、『組め』と叫んでいて(笑)。でも打撃を見せたいという気持ちが強くて、ああいう試合になってしまった」

──ストライカーとレスラー、定石通りに戦えば組んでテイクダウンだったかと。

「事前に相手選手の組み、特に防御はそれほど上手くないことは分かっていた。だから組んで倒せば、もっと試合を早く終わらせることもできたかと思う。ただプロとして戦いを見せたかったんだ」

──フィニッシュの前、右ミドル、右ロー。そして右の蹴りを見せるように動き、スイッチして左ハイという素晴らしい蹴りが決まりました。

「スパーリングで試したことはあったけど、特に磨いていてきた蹴りではなかった。試合をしていて、『やってみようかな』というぐらいで蹴ったんだ」

──その後、シングルを仕掛けてきた久保選手をギロチンに捕えました。あの首を取る動きは、レスラーとして体に沁みついているものなのでしょうか。

「相手の組み方は、防ぎながら首が取れる状態だった。その時にナラントンガラグ先生から『金網に押し付けろ』という指示があって、その声に従ったんだ。そうすると、凄くギロチンを極めやすい形になった」

──そこはトンガーの言うことに従うと(笑)。

「ハハハハハハ。まぁ、そういうことかな(笑)」

──まだ2戦目、打撃にも自信がつきましたか。

「やっぱり僕の課題は打撃の強化なので、凄く自信になったよ。あの試合があって、今はより強くなっているしね」

彼の覚悟とか、別に何も想うところはない

──次の対戦相手の和田選手ですが、1度は対戦を固辞した。しかし一晩経って「強い相手と戦わないなら、何のためにMMAをやっているのか。ここで戦わないと後悔する」と覚悟を決めてオトゴンバートル選手との試合を受けたそうです。

「まぁ彼の覚悟とか、別に何も想うところはないよ。彼が断わって試合がなくなるかもしれないという状況で、翌日に戦うということを聞かされたから、とにかく試合がなくならなくて良かったと。本当にそこにつきる」

──なるほどです(苦笑)。では和田選手の印象を教えてください。

「良い選手だよ。クリンチになると強さを発揮する。なので、次は僕の組みを見せたいと思う(笑)」

──和田選手と戦うことで、同じグラップラーのNavE選手対策なるという考えはありますか。

「試合経験を積むのだから、役には立つよ(笑)。実は前の試合で組まなかったことで『本当は組みが強くないんじゃないか』とか言われたから、今回の試合はとにかく組み勝ちたい。それはNavEとの試合でも同じ、グラップリングが強いなら、それより強いことを組んで照明したいと思う」

──では和田選手と2月に対戦して、勝利したチェ・ドンフンがRoad to UFCにステップアップ。初戦で前回の準優勝者に勝ちました。その事実を意識することはありますか。

「彼がチェ・ドンフンと戦ったことは、意識している。僕の方がチェ・ドンフンより上だと見せつけたい。そして、次のRoad to UFCには出たい。今年のRoad to UFCもフライ級の試合には注目してチェックしている。ただ、あのメンバーなら僕は優勝できると素直に思った。

GLADIATORからRoad to UFCにステップアップしている選手もいるし。そこを意識して、次の試合もインパクトのあるファイトをして、10月にNavEとのタイトル戦に繋げたい」

──Road to UFCを見据えてインパクトを残すなら、また打撃ではないですか。

「あぁ、なら相手に合わせるよ。組んで来たら組む、打撃で来たら打撃で勝負しようと思う(笑)」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027対戦カード

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉(日本)
[挑戦者] 竹中大地(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
中川晧貴(日本)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔(日本)
田口翔太(日本)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
土本暉弘(日本)

<81キロ契約/5分2R>
森井翼(日本)
織田ジュラシック(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
澤田政輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
上田祐起(日本)
福井竜郎(日本)

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
カーヴィ(日本)

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太(日本)
鶴屋健人(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
上野滉太(日本)

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵(日本)
友實竜也(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原浩太(日本)
小早川大地(日本)

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【Gladiator027】T準々決勝で中川晧貴と対戦、チハヤフル・ズッキーニョス「忖度なしのマッチメイク」

【写真】 過去1年で5戦し、3勝2敗。敗れた相手が河名マスト、ダギースレン。国際戦は2試合と充実の時を過ごし成長してきたズッキーニョス(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027では、8人制の次期挑戦者決定トーナメントが開幕。準々決勝でチハヤフル・ズッキーニョスが中川晧貴と対戦する。
Texy by Shojiro Kameike

これまでハンセン怜雄、石田拓穂とリライアブル勢を相手に、2連続KO勝ちしているチハヤフル。遂にリライアブル・フェザー級を代表する中川との対戦を迎えるが、同時にこの一戦はグラジ生え抜きファイター同士の激突でもある。国内外から強豪選手が集まるトーナメントで、チハヤフルが見せたいものとは――「プロのファイターとしての本懐」だ。


リライアブルが続くのは少しやりづらさはあります

――本題の前に、お聞きしたいことがあります。Road to UFC準々決勝で河名マスト選手が戦っている時、Xで応援投稿を連投していましたね。

「あぁ、あれは……計量も試合も『何をやっているんだよ!』というのが本音だったんです(苦笑)。僕も準々決勝の相手をチラッと調べて、『問題なく勝ってくれるだろう』と思っていました。でも予想に反して苦戦していたので、『ぶっちぎりで優勝してもらわないと困る』という気持ちで投稿しました」

――それは「自分に勝ったファイターなのだから」という気持ちもありますか。

「もちろんです」

――一方で、一人のファイターとしてRTUを視た感想を教えてください。

「僕は今まで『UFCに出たい』とか、現実的に考えたことはなかったんです。でもRTUを視ていると、興味は出て来ますよね。UFCに限らず、自分ももっと上を目指したい――と」

――そんななかで今回は、対リライアブル3連戦の最終章となります。

「関西でフェザー級となれば、選手は限られてきますからね。もっと上を目指すのであれば、いつか中川選手とも対戦すると思っていました。同じ関西で負けていられない、という気持ちはあります。ここで中川選手との試合が決まったことに関しては、特に驚きもないです。ただ、リライアブルが続くのは少しやりづらさはありますね(苦笑)。中川選手が大将というか、遂に対リライアブルとしては最後になるのか……」

――同じトーナメントに石田拓穂選手と、リザーブではありますがハンセン玲雄選手も出場するので2巡目に入る可能性はあります。もう勝つまでやるかもしれませんね。ただ、――田中淳リライアブル代表は中川選手に「お前が負けたら終わりだぞ」と言い、気合いが入っている状況とのことです。

「アハハハ、リライアブルの応援団にも嫌われているでしょうね……。僕はリライアブルの選手のことは好きなのに」

――えっ、「好き」という気持ちは意外です。

「あの戦いぶりというか、僕の中では『恐れ知らずのファイターたち』というイメージで。ファイティングスピリットを持っている人たちだと思います」

――ここ最近はチハヤフル選手も打撃を鍛え上げているなかで、ファイティングスピリットを持つリライアブル勢と対戦するのはタイミング的にも噛み合ったのかもしれません。

「そうですね。ここまでの2試合は自分が押される場面もあり、試合内容としてはギリギリの勝負でした。それは正直な気持ちです。

まずハンセン戦は『今までの自分を捨てて打撃で勝つことにこだわりたい』と、僕自身が選んだ戦い方でした。一方で石田戦は、自分が全く考えていなかった勝ち方で。そういう意味では、自分のほうが完全に上回っていたとは思っていません」

――ただ、苦しい展開だったからこそ、最後に打撃で仕留めたことは自信になったのではないでしょうか。

「はい。ずっと打撃は練習していたのですが、これまで試合になると出せませんでした。出して当たったとしても、倒すことはできない。そういう試合が続いていましたが、この2試合で『当たれば倒せるんだな』ということが確認できたし、自信にもなりました。どれだけ練習しても、やはり打ち合いのマインドって実戦の中でしか培えないですよね。そのマインドを得ることができて、本当に良い経験になったと思っています」

――さらに7月大会では、対戦相手が直前に変更されるも、パク・サンヒョンを腕十字で下しました。

「パク・サンヒョン選手はストライカーでしたが、しっかり攻略できました。もともと対戦予定だったアドニス・セビジェーノ選手もグラップラーでありながら、打ち合いもやるタイプですよね。そのアドニス選手と戦うために準備していたので、打撃の対応力は上がっているという実感もあります」

――パク・サンヒョン戦は久々の寝技によるフィニッシュでした。打撃力が向上したことで、グラウンド勝負に対しても良い影響をもたらしていますか。

「意識は変わってきましたね。僕も昔は完全なグラップラーでした。それも打撃ができないから組みに行く、というタイプで。一回グラウンドに持ち込むと、絶対に離したくなかったです(笑)。でもそれは、『逃げの気持ち』なんですよ。最近は、そういう逃げの気持ちもなくなってきています。打撃も何もかも全部混ぜたなかでフィニッシュできる。そういったスタイルに変わってきていると思います」

――これまでチハヤフル選手と中川選手の対戦は、何度か耳にしていました。その意味では対リライアブル3連戦とは違う感情もあるのではないか、と思います。チハヤフル選手は中川選手との対戦は、いつ頃から意識していましたか。

「僕がグラジに戻ってきたのが去年の9月です。その少し前に中川選手がタイトルマッチに出ていました。僕が中川選手との対戦を意識し始めたのは、それよりも前です。RIZIN Triggerの試合(2022年2月、小島勝志に判定勝ち)や、富田戦(同年1月、富田翔市に判定負け)を視ていて――当時は中川選手のほうが、かなり格上でしたよね。僕もまだ、それほど試合をしていなかったので。その状況のなかで、中川選手に対しては『ああいう選手と競っていかないといけないな』と思っていました」

――ということは、当時は中川選手のほうが格上で、今は自分のほうが上だと認識しているわけですね。

「……、……、あくまで現時点の話ですよ」

――中川選手も昨年の王座決定トーナメントに出られなかったことは悔しく、チハヤフル選手のほうが先に進んでいると言っています。

「僕もこの1年でファイターとしての意識は変わりました。グラジでは毎大会、試合を組んでくれていますし……試合をした翌日には次のオファーを頂くような感じで」

――ただ、ここで再度トーナメントが開催されるとは考えていなかったでしょう。

「最初に中川選手との試合のオファーを頂いて、後でこの試合がトーナメント準々決勝になると聞きました。これは意外というか、ビックリしました。でも全然、嫌だとは思わないです。僕も途切れることなく試合をし続けたいですし、トーナメントであれば勝ち続ければ絶対に強い相手と対戦することになる。そして勝ち抜くことができれば、もう一度ベルトが見えてきますよね。つまり、間違いなく上に行けるという点は嬉しいです」

――では松嶋こよみ選手がグラジ参戦を発表し、トーナメントに出場することになったことについては、いかがですか。

「あれも発表ギリギリか、映像が流れた時に知りました。本当にサプライズでしたよね(笑)。ネームバリューは格段に上の選手です。ONEに参戦していたり、最近ではTOP BRIGHTSで負けてはいますけど、今から考えると相手がダウトベック選手で。そういう選手がグラジに出て来るというのは、驚きと同時に嬉しく思います。松嶋選手が出ることをキッカケに、グラジを視てくれる人も増えるでしょうし。それは楽しみです」

プロのファイターであれば、強い相手と対戦することが本懐であるはず

――それだけグラジに、国内外から強豪選手が集まってきています。グラジ生え抜きファイターを自認しているチハヤフル選手としては……。

「グラジ生え抜きの僕と中川選手が、初戦で潰し合うんですね(苦笑)」

―アハハハ。確かに厳しいマッチメイクです。

「強い選手が集まっていることで、以前よりも厳しい舞台になっていることは事実です。でもプロのファイターであれば、強い相手と対戦することが本懐であるはず。それでこそ戦いがいがあり、グラジのベルトを目指す価値があると考えています。グラジのレベルが上がっていくおかげで、自分のレベルも上がっていきますから。今回、生え抜き同士を潰し合わせるのも、忖度なしのマッチメイクですね」

――忖度なし、生え抜き同士の潰し合いで、どのような試合を見せたいですか。

「中川選手はレスラータイプで、積極的に極めにいこうとするわけではないけど、コントロールは上手いですよね。あと打撃も綺麗ですし、器用で何でもできるファイターだと思います。その反面、何か飛び抜けているものがあるわけではない。

彼とは環境が似ているというか、生え抜き同士で頑張っていきたい気持ちはあります。でも勝負は勝負なので、キッチリ勝たせてもらいます」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027対戦カード

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉(日本)
[挑戦者] 竹中大地(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
中川晧貴(日本)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔(日本)
田口翔太(日本)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
土本暉弘(日本)

<81キロ契約/5分2R>
森井翼(日本)
織田ジュラシック(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
澤田政輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
上田祐起(日本)
福井竜郎(日本)

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
カーヴィ(日本)

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太(日本)
鶴屋健人(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
上野滉太(日本)

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵(日本)
友實竜也(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原浩太(日本)
小早川大地(日本)

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【Gladiator027】ズッキーニョス×reliable最終決戦。中川晧貴「自分より2段階、3段階前を行っている」

【写真】王座を賭けた戦いには先んじていた中川だが、今はズッキーニョスが上にいるという認識がある (C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027では、8人制の次期挑戦者決定トーナメントが開幕。その初戦——準々決勝で中川晧貴とチハヤフル・ズッキーニョスが対戦する。
Text by Shojiro Kameike

海外から多くのファイターが参戦する今回のトーナメントで、なぜ日本人対決が行われるのか。日本×海外のマッチメイクでないのは、日本人選手を勝ち残らせたい――というわけではない。チハヤフルは中川と同じリライアブルに所属するハンセン玲雄と石田拓穂をKOしており、中川にとってはチームとしてリベンジを果たす大きなチャンスなのだ。リライアブル×チハヤフルの決着戦について、中川が語る!


――リライアブル×チハヤフル、遂に大将の登場です。

「アハハハ。いやぁ、僕はまだまだ大将というわけでは……」

――とはいえハンセン玲雄選手、石田拓穂選手とチームメイトがチハヤフル選手にKO負けを喫していることは気になりますよね。

「もちろん、それは気になりますよ。ここで自分が負けて、3連敗になったらヤバいと思っています。ジムの代表(田中淳リライアブル代表)からも『お前が負けたら終わりやと思えよ』って、ボソッと言われました」

――ボソッと、というのが怖いです。

「アハハハ! 怒りというよりも、そう激を飛ばしてくれます」

――中川選手としてはチームメイトがチハヤフル選手に連敗を喫し、怒りや焦りのようなものはないですか。

「僕自身は何も焦ってはいないですね。試合の勝ち負けに関しては『しゃあないな』という感じで。確かに会場で観ている時は、チームメイトが負けて『ウワッ!』とは思いました。でも全て狙われた打撃ではなくて、ラッキーパンチもあったじゃないですか。自分は今でも、先輩たちのほうが強いと思っています」

――ハンセン選手と石田選手は、中川選手にとって「先輩」になるのですか。

「MMAに関しては僕のほうが先に始めているんですけど、柔道ではハンセンさんや石田君のほうが先輩になるんですよ」

――なるほど。一方で中川選手は連敗を経て、5月大会で水野選手に勝利しました。

「勝ったことは勝ったけど、ギリギリ勝ったという感じですよね。自分の中では『勝っとんかなぁ……』というモヤモヤした気持ちもあって。だけど、あの勝利でチハヤフル選手と対戦できる機会を設けてもらえたことは嬉しいです」

――昨年1月のチョ・ソンビン戦以降、何か新しく取り組み始めたことや、修正してきた部分などはありますか。

「何せ僕は打撃が得意ではないんですよ。その克服と、自分から攻めていくこと。そして自分が得意なポジションに持って行くことですね。僕は自分の型にハメることができたら強いと思っているので」

――自分の型にハメるために必要なのが打撃の向上だった、ということですか。

「やっぱり打撃ができなければ、相手の打撃にビビッてしまって……テイクダウンに行くにしても、遠い間合いから入ってしまうようことがないよう、もっと打撃を覚えたいと思いました。そのためにジムでミットの時間を増やしたり、あとはボクシングをやっている人に来てもらったりとか。

水野戦は自分から圧をかけることはできたけど、そこからのアクションがなかったです。どうしても打ったら止まってしまう。そこは自分でも甘いよなって思いました。打った後に見てしまうのは、自分の一番アカンところです」

――「自分の型」という面でいえば、組みについては圧倒的な自信があるわけですよね。だからこそ待ってしまうのかな、と。

「あぁ、そうですね。自信があるから、どんな展開になっても組めばいいと思ってしまう。結果、自分からのアクションが少なくなっているかもしれないですね。アクションが少ない、自分から攻めていかないというのは、代表からも一番怒られる展開で(苦笑)」

――水野戦の内容についても代表から怒られましたか。

「勝ちは勝ちやからエェけど、直さなアカンところはいっぱいある――そう言われました。今回だけは許したる、みたいな(笑)」

――アハハハ。水野戦で勝ったらチハヤフル選手との対戦をアピールすることは、試合前から決めていたのでしょうか。

「そうですね。前から櫻井(雄一郎グラジエイター代表)さんに挨拶しに行く時は『チハヤフル選手と試合させてほしい』とお願いしていました」

――中川選手とチハヤフル選手は、いわばグラジ生え抜きのファイターです。一方、河名マスト選手や松嶋こよみ選手たちが、新たにグラジのフェザー級に参戦してくる展開に対しては、どのように考えていましたか。

「どんどん強い相手が出てきたなぁと思う反面、2連敗した自分は追い抜かれているなって思います。新しく出てきた選手だけじゃなく、チハヤフル選手は前回のトーナメントに出場していて。自分よりも2段階、3段階前を行っていると感じていますね。

やっぱり前回の王座決定トーナメントは、見ていて悔しかったです。怪我や仕事のこともあって……だけど、自分もやりたかったという気持ちはありました」

――ようやくチハヤフル選手との対戦を迎えます。中川選手の中では「追いついた」と考えていますか。

「いや、まだ追いついてはいないですね。でも挑むことができるようになって嬉しいです」

――中川選手としては、組みに行きたいですか。

「組みに行きたいです。それが僕の強みなので」

――チハヤフル選手も最近はKO勝ちも増えていますが、もともとは組みが強い選手です。その寝技については、どのようなイメージを持っていますか。

「イメージ、う~ん……パッとしないというか。動きはあるけど『重さ』がない。何か軽い、という感じはあります。だから自分が漬け込むことができるとは思っています」

――チームメイトがKO負けしているので、次は自分が殴ってKOしてやろうとは思わないですか。

「それは思いました(笑)。ケージの真ん中で殴り合ってやろうか――そうボソッと言ったら、代表から『アホか』って言われました。アハハハ。やっぱり自分らしい戦いをするのがベストやと思います」

――今回のトーナメントは8人制で行われます。他のトーナメント出場者については?

「石田君が同じトーナメントに出るとは思っていなかったです(苦笑)。というより、トーナメント開催が発表されて、自分の名前も並んでいたじゃないですか。まずそこに自分が入るとも思っていなかったんですよ。松嶋こよみ選手とか凄いメンバーがいっぱいいて。でもその中に石田君も入っているのは心強いです」

――心強い、という意見は意外でした。「やりづらい」と言うのかと……。

「石田君と対戦したいかどうかと訊かれたら、やりたくないですよ。でも石田君が強い選手を倒してくれると思うので(笑)」

――アハハハ!

「とにかく先のことを考えても仕方ないので、自分は一戦一戦を大事にしていきたいです。そうやって勝ちを掴んでいきたいですね。まずはチハヤフル選手——待っとけよ!」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027対戦カード

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉(日本)
[挑戦者] 竹中大地(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
中川晧貴(日本)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔(日本)
田口翔太(日本)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
土本暉弘(日本)

<81キロ契約/5分2R>
森井翼(日本)
織田ジュラシック(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
澤田政輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
上田祐起(日本)
福井竜郎(日本)

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
カーヴィ(日本)

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太(日本)
鶴屋健人(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
上野滉太(日本)

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵(日本)
友實竜也(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原浩太(日本)
小早川大地(日本)

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【Gladiator027】目標はRIZIN──も、竹中大地「今は竹本選手に勝つことだけに意識を集中させています」

【写真】理路整然としている。そこが竹中のMMAにも通じている (C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で、竹中大地が同バンタム級王者の竹本啓哉に挑む。
Text by Shojiro Kameike

ONEとの契約を終え、2023年に国内復帰を果たした竹中。7月に古巣の修斗で藤井伸樹を下すと、続いて12月にはグラジエイターでテムーレン・アギルマーに勝利した。その後RIZIN出場の噂もあった竹中が、ここで再びグラジのケージに足を踏み入れる理由とは?


――昨年12月にテムーレンを下して以来、7カ月振りの試合を迎えます。もともとRIZIN出場を掲げていましたが、この期間はRIZINと交渉していたのでしょうか。

「まず3月のRIZIN神戸大会の出場を目指して、オファーを待っている状態でした。実際、間に人を介して、RIZINに対してアクションを起こしていました。2人ぐらい対戦相手も上がったのですが、結局は決まらなかったです」

――現在、竹中選手が最も希望するのはRIZIN出場なのですね。

「今の自分が一番見ている先はRIZINです。それは決して思いつきではなく――今、国内のバンタム級はRIZINに選手が集まっていますし、自分がパフォーマンスを出せる間にRIZINで勝負させてほしいと思っています」

――そこで今回、どのような経緯でグラジに出場することになったのですか。

「まずRIZINも3月の神戸大会は試合が決まりませんでした。そのあと6月と7月も難しく、もし組まれるとしても秋ごろじゃないか、と……。自分としては、そこまで試合間隔を空けたくないので、7月には試合をしたいと思っていたんです。ちょうどその時にグラジエイターから『7月大会に出てほしい』というオファーがあり、こちらもお願いしました。

正直言って、本当にRIZINで試合が組まれるのであれば、それまで待ってもいいという気持ちでした。でも『秋ごろじゃないか』というのも、確実な話ではなくて。待った結果、もし秋にも試合が組まれなかったら、どんどん試合間隔が空いてしまいますからね。やっぱり僕もファイターなので、とにかく試合をしないと。いろいろ考えた結果、『7月に試合せななぁ』と思ったんです。それでグラジから『出てほしい』と言われたのは嬉しかったですね」

――昨年9月、グラジのケージに入り参戦発表を行いました。あの時点でグラジに継続参戦することは考えていましたか。

「半々、ですね。12月にグラジで戦い、RIZINに出られたら――と。2024年の動きは、12月の試合次第やと思っていました」

――今回対戦する竹本選手は竹中選手の参戦が決まり、続いて上久保周哉選手もグラジに出る話を耳にした時、仕事を辞めたことをご存じですか。

「えっ!? どういうことですか」

――「この2人がグラジに来るなら、もっと格闘技に集中しないといけない」と思ったそうです。

「僕のテムーレン戦を観て、そう思ったということですか?」

――いえ、参戦発表で竹中選手が入場してきた瞬間に、そう思ったとインタビューで話していました。

「すみません、そのインタビューを読んでいなくて……。でもそれは本当に嬉しいです。竹本選手が僕のことを、そんなに評価してくれているなんて」

――「2024年の動きは、12月の試合次第やと思っていた」ということですが、では12月のテムーレン戦の内容については、どう考えていますか。

「結果はフィニッシュでしたけど、テムーレンのポテンシャルをケージの中で感じた試合でした。テムーレンは攻撃の一つひとつに力があると感じましたね。僕としては内容的にもっと圧倒したかったです。見ている人も一瞬『竹中、大丈夫か?』と思ったでしょうし。自分としては、本当はもっと圧倒できたなと思います」

――昨年7月の藤井戦も、予想以上に竹中選手が苦戦しているような場面もありました。藤井戦とテムーレン戦は、何かまだギアが上がっていないような……。

「あぁ、それはあります。特に藤井戦は試合自体が、だいぶ久々で。しかも藤井選手が相手というのも急に決まったので、仕上がりという面では不安定な部分もありました。この2戦を経て、今はだいぶ良い感じになってきていますね。試合感覚はバッチリ取り戻せています」

――藤井戦とテムーレン戦を経て、何か新しく取り組んでいることはありますか。

「新しいことというか、竹本戦が決まってからはチアゴ・ハタダさんとマンツーマンで柔術の練習をさせてもらっています。チアゴさんは堺市でアルティメット柔術というジムを開いている方で、メチャクチャ強いんですよ」

――それはギの練習をしているということですか。

「グラップリングですね。チアゴさんもMMAをやりたいということで、MMAグローブを着けたスパーリングもやっています」

――改めて柔術家とグラップリングの練習をして気づいたことはありますか。

「気づいたこと……、難しいですね。でもMMAでしっかりやってきたおかげで、寝技専門の人と寝技の練習をしていても対応できる部分がある。もちろん自分がやられることもあるけど、自信になることも多くて。

細かいことは言えないけど、練習の中ではできることも増えています。それと精度が高まっていますね。足の位置、クラッチの位置とか自分の中で技術が整理されていて、今が一番良い状態なんですよ。ずっとMMAグラップリングの練習をしてきて、竹本選手との試合が決まってから寝技の部分を改めて確認しているような感じです」

――それだけ竹本選手の印象=グラップリングということになりますか。

「グラップリングも強いけど、打撃の距離のコントロールも巧いですよね。それとテムーレン戦を見ると、ガッツある試合ができる選手で。あの試合は僕も会場で観ていて『あの展開で最後まで諦めず、攻め切った!』と思いました」

――竹本選手はテムーレンとギリギリの勝負を展開して判定勝ち。対して竹中選手はテムーレンをフィニッシュしているという点は、次の試合に向けて自信になりますか。

「どうですかね? 僕と竹本選手ではタイプも違うので――MMAを長くやっていたら、そこは関係ないって分かると思いますよ」

――やはりそうなのですね。竹本選手も今回の試合に向けたインタビューで、「格闘技で三段論法は通用しない」と言っていました。

「まさに、僕もそう思います」

――今回は竹本選手が持つベルトに竹中選手が挑む形となります。グラジのベルトを巻くことに対する意識はいかがですか。

「グラジに限らず、今は特にベルトは意識していないです。最初に今回のオファーを頂いた時も、ベルトが賭かっているかどうかも気にしていなくて。タイトルマッチであろうと、そうでなかろうと、竹本選手とは戦う。強い選手に勝てば、ベルトは後から付いてくるものだと考えています。

今は自分の中に『ベルトのために試合をする』という気持ちはないです。やっぱりファイターであるかぎり、強い相手や条件のほうが重要で。RIZINを目指す中で、グラジを軸に戦いたいと思っています。テムーレン戦も良い条件のオファーを貰いましたし、これからはRIZINとグラジで良いキャリアを積んでいけるんちゃうかな、と思っています」

――竹中選手としてはここで竹本選手に勝ち、年内にはRIZINに出場するのがベストなスケジュールでしょうか。

「いえ、竹本選手との試合が決まってからは、今後のことは考えていないようにしています。自分の中で『今後のことは喋りたくない』と言い聞かせているんですよ。今はただ7月7日、竹本選手に勝つことだけに意識を集中させています」

■視聴方法(予定)
7月7日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR027対戦カード

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 竹本啓哉(日本)
[挑戦者] 竹中大地(日本)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
中川晧貴(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準々決勝/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
ハンセン玲雄(日本)
パク・サンヒョン(韓国)

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定Tリザーブ戦/5分3R>
水野翔(日本)
田口翔太(日本)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
和田教良(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
土本暉弘(日本)

<81キロ契約/5分2R>
森井翼(日本)
織田ジュラシック(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
澤田政輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
上田祐起(日本)
福井竜郎(日本)

<フライ級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
カーヴィ(日本)

<フェザー級/5分2R>
野口蒼太(日本)
鶴屋健人(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
上野滉太(日本)

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵(日本)
友實竜也(日本)

<フライ級/5分1R>
藤原浩太(日本)
小早川大地(日本)

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