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【PFL2021】プレーオフ=準決勝の顔合わせと試合順決定。第一弾でマクドナルド✖ブラダボーイ!!

【写真】ウェルター級ではロリマク✖ブラダボーイが、準決勝で潰し合う(C)PFL

20日(火・現地時間)、PFLより8月に3週連続で開催されるプレーオフ大会の対戦カードが発表された。

PFLでは2018年と2019年シーズンは、ベスト8がワンデートーナメントで準々決勝と準決勝を戦い、大晦日に世界チャンピオンの称号と賞金100万ドルを賭けてファイナルが行われていた。対して今シーズンはベスト4が5分3Rの通常のMMAマッチとなる準決勝を経て、10月27日にベガスのマンダレイベイで決勝を戦うというフォーマットに変更させている。

開催地をレギュラーシーズンのニュージャージー州アトランティックシティのオーシャンカジノ・リゾートから、フロリダ州ハリウッドのセミノール・ハードロックホテル&カジノに移し、8月13日=ウェルター級&ライト級、19日=女子ライト級&ヘビー級、27日にフェザー級&ライトヘビー級のセミファイナルが実施される。


準決勝の組み合わせはレギュラーシーズンの1位✖4位、2位✖3位となることもレギュレーションで決まっている一方、レギュラーシーズンではイベントはフェザー級&ライト級、ウェルター級&ライトヘビー級、女子ライト級&ヘビー級という組み合わせになっていたが、階級のカップリングは見直されている。

恐らくは残った顔ぶれによって、組み変えられたと思われる。というのもライト級ではアンソニー・ペティス、マーチン・ヘルド、そしてナタン・シュルチ、フェザー級でランス・パーマー、ヘビー級でファブリシオ・ヴェウドゥムとモハメド・ウスマンという風に目玉選手が既に脱落。レギュラーシーズンは番狂わせで盛り上がった一方で、ベスト4の顔ぶれが良くいえば新鮮、悪くいえばバリュー不足に陥ってしまった。

結果、プレーオフの盛り上がるのか、否か。重責を担った第1戦のメインでウェルター級のローリー・マクドナルド✖レイ・クーパー3世が組まれた。ウェルター級は肝入りファイターの敗退がなく、そのうえでロリマクが思わぬ1勝1敗でランク2位、ブラダボーイが計量失敗で減点がありランク3位になったことで、プレーオフ髄一の注目の一番が実現することに。

この他、同じく第1戦ライト級でクレイ・コラード✖ハウシュ・マンフィオというペティス喰いを果たしたファイター対決、第3戦のフェザー級=クリス・ウェード✖バッハ・ジェンキンスなど、決勝で見てみたかった顔合わせが準決勝で実現する。

ちなみにプレーオフ出場24選手、その国籍の内訳は米国が7選手で最多、次いでブラジルの6選手、そしてロシアの3名と続き、残りは英国、アルゼンチン、ノルウェー、豪州、クロアチア、カナダ、タジキスタン、パラグアイが1選手ずつとなっている。

■PFL2021プレーオフ対戦カード

PFL2021#09

<フェザー級準決勝/5分3R>
ブレンダン・ラウネーン(英国)
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)

<フェザー級準決勝/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
バッバ・ジェンキンス(米国)

<ライトヘビー級準決勝/5分3R>
エミリアーノ・ソルディ(アルゼンチン)
アントニオ・カルロス・ジュニオール(ブラジル)

<ライトヘビー級準決勝/5分3R>
セザー・フェレイラ(ブラジル)
マールシン・ハムレット(ノルウェー)

PFL2021#08

<女子ライト級準決勝/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ジャナ・ファビアン(豪州)

<ヘビー級準決勝/5分3R>
ブルーノ・カッペローザ(ブラジル)
ジャマル・ジョーンズ(米国)

<女子ライト級準決勝/5分3R>
ラリッサ・パシェコ(ブラジル)
テイラー・ゴールダード(米国)

<ヘビー級準決勝/5分3R>
デニス・ゴルソフ(ロシア)
アンテ・デリア(クロアチア)

PFL2021#07

<ウェルター級準決勝/5分3R>
ローリー・マクドナルド(カナダ)
レイ・クーパー3世(米国)

<ウェルター級準決勝/5分3R>
ジョアォン・セフェリーノ(ブラジル)
マゴメド・マゴメドケリモフ(ロシア)

<ライト級準決勝/5分3R>
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)
アレックス・マルチネス(パラグアイ)

<ライト級準決勝/5分3R>
クレイ・コラード(米国)
ハウシュ・マンフィオ(ブラジル)

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【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その壱─PFL後編=ロリマク✖チバウ「史上、例のない試合」

【写真】このチバウの無邪気が喜び方。そして後方でパフンピーニャが手を広げている姿も確認できる (C)PFL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年6月の一番、第一弾は6月10日に行われたPFL2021#04 からクリス・ウェード✖アルマン・オスパノフ戦だった。この両者の試合から、シーズン制フォーマットを敷くPFLの“おかしさ”に話題が発展。後編では、消化試合、減量失敗という2つのポイントを軸に、さらにPFLについて言及してもらった。

<青木真也が選ぶ6月の一番─その壱─前編はコチラから>


──8月開催のプレーオフ、クリス・ウェード、ブレンダン・ラウネーン、モヴィッドハイブラエフ、バッバ・ジェンキンスの4名、この行方はどのようになると予測しますか。

「なんだかんだとウェードだと思います。完成度が高いし、オスパノフを相手にしっかりと勝てたのは大きいと思います」

──ジェンキンスのテイクダウン一点突破を阻止できますか。

「あぁ、ジェンキンスの評価が高い人っていますよね。ランス・パーマーにレスリングで勝つのだから、もう力はある。“ど”レスラーに、レスリングに勝つ。でも、ジェンキンスと比べると……ウェードかなぁと思います」

──なるほどぉ。では焙れた人材も優秀というなかで、PFL2021年シーズンで他に気になるファイターはいますか。

「それはローリー・マクドナルドです。しかもグレイゾン・チバウに負けちゃうんだから(笑)。あの試合はMMAにおいて例のない試合です。結果的にハッピーエンドで、勝った方も負けた方も損をしない」

──確かに、チバウは2Rまでにフィニッシュしないと、5Pを獲得できずプレーオフ進出はなかった。そしてロリマクは6P獲得していて試合前から決勝進出が決まっていました。つまりあの3Rは、MMAにおいて存在しなかった消化ラウンド。勝っても負けても何も状況が変わらないという5分間でした。

「MMAにはまずないですよね。負けても良い試合なんて。試合数が違うけど、野球とか敗戦処理ピッチャーがいるわけで、敗北こみのシーズンの戦い方をするけど。それと個人戦のMMAでは試合数も違うし、1敗の重みも違ってくるものだし。でも、それが今回のロリマクにはあった」

──感情は抜きにして、負けても損失はないというのは──それこそIFLのチーム戦で、勝利が確定しているあとに出てくる選手ぐらいだったかと。と同時に面白いなと思ったのが、勝ってもプレーオフ進出はないチバウがあれだけ喜んでいることなんですよね。

「面白いですよねぇ(笑)。ロリマクは流してフィニッシュにいかないし。チバウはセコンドのパフンピーニャと一緒に大喜びして(笑)」

──あの状況はサッカーの入れ替え戦で勝っても、他の試合の結果で昇格できない状況と同じで。普通は勝っても、お通夜です。

「1億円獲得が無くなった試合ですからね(笑)。ロリマクの足を引っ張ったわけでもない。PFLの価値観では敗退、優勝賞金もなし、終了です。でも、これまでのMMAの価値観が残っていて喜んでいる。ロリマクに勝って、その勲章で次の話があるかもしれないですしね。無邪気で良い感じでした(笑)」

──またPFLのフォーマットでは減量失敗はマイナス1Pで、勝ってもポイントにもならない。相手は自動的に3P獲得でボーナスを取らせないために戦う。勝ってもゲインはない。それがブラダボーイとニコライ・アレクサヒンの試合でした。そういう点において、PFLはここでもMMAで初めての状況を生み出しているかと。

ブラダボーイはボーナス点を与えないために3Rを戦い抜いた(C)PFL

「体重オーバーの試合は、やったもの勝ちがいくらでもありましたからね。

これも点数制で、新しい価値観が生まれました。ただし、リーグ戦を他でやっても二番煎じだし、じゃぁUFCのような選手層の厚さで。これができるかといえば絶対に無理です。どれだけの数のリーグを創らないといけないんだって(笑)。

PFLの規模というか、PFLはコレを狙っているから、こういう規模でやっている。それでも減量失敗は、やったもん勝ちではないという状況は何かしらの抑止力にはなるかもしれないですね」

──そのウェルター級はロリマク、ブラダボーイ、ジョアォ・セフェリーノ、そしてマゴメド・マゴメドカリモフの4人がプレーオフ進出です。

「ロリマクは、クーパー3世のような力で押し切っているタイプは苦手だとは思いますけど……でも、ロリマクのほうが強いと思います」

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【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その壱─ウェード✖オスパノフ「PFLの息吹き」

【写真】プレーオフが4人となり、PFLのシーズンフォーマットの面白さが世に浸透し始めた?! (C)PFL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年6月の一番、第一弾は6月10日に行われたPFL2021#04 からクリス・ウェード✖アルマン・オスパノフ戦、そしてPFLについて語らおう。


──青木真也が選ぶ2021年6月の一番、最初の試合をお願いします。

「クリス・ウェード✖アルマン・オスパノフです」

──おおPFLのフェザー級の一戦ですね。

「PFL自体がすごく良い大会になっていますね、今。フェザー級に落としたウェードが勝ちましたけど、スイングした良い試合でしたね。まぁウェードが良かったという話になるのですが」

──UFC時代のフォークスタイルと柔術を融合したグラップリングで興味深い試合をしていた選手ですが、突き抜けることはできなかったです。

「はい。ただ、ああいうスタイルの選手はなかなかいなかったですし、打撃もできないわけではなかった。今回の試合では蹴ることもできていました。フィニッシュはパンチになっているのですが、その前のハイで決まっていました」

──はい、あの一撃でオスパノフが背中を見せてから殴られてKO負けです。

「ミドルが顔に入った形でしたよね」

──私はウェードはオスパノフの打撃に圧されると予想していたので、意外な試合展開と結末でした。

「ですよね。僕もオスパノフは強いと思っていました。ACAでも期待の選手で。だいたい、ブラックタイガーに勝っていますからね」

──ブラックタイガー? ローローボール・マーク・ロコ……ではないですよね。

「……ラスル・ミルザエフです……ACAの」

──あぁ、ディエゴ・ヌネスやトニーニョ・フリアに勝っている選手ですね。

「はい。でもシャミル・シャフブラトフには負けていて。そのミルザエフに勝って……。カザフスタン大会、ホームタウンで勝ったからどうなんだというのもあったけど、期待値の高い選手でした。

結果、ACAでも良い試合はするけど勝ち切れてはいなかったですけどね。スタートダッシュ系で、攻撃は良いけど、攻撃儲けるからそういう風になる選手だと思います」

──それでもウェードに勝つと思っていたのですが、結果としてTKO負け。やはりUFCのレベルは……とオウム返しになってしまいます。ただ環境としてUFCをリリースされても100万ドルが目指せるプロモーションがある素晴らしさを感じます。

「1億円が懸かっているから、凌ぎ合いがあります。リーグ戦ではないけど2試合のレギュラーマッチから、4人トーナメントのプレーオフというフォーマットがはまってきて競技的に一番面白いと思って見ています」

──プレーオフが8人より、4人になりサバイバル感が相当に増して試合単位でなく、階級として興味が惹かれます。

「そうですね、落ちる選手が増えるから。しかもプロモーターが誰を落としたいのか、相当に透けてきて。でも、その通りにならない」

──ライト級でアンソニー・ペティス、ヘビー級でファブリシオ・ヴェウドゥムを押していたのにどちらも消えた。1993年、伝説のK-1第1回GPでピーター・アーツとモーリス・スミスに如何に佐竹雅昭が絡むのかと思われたら……。

「ブランコ・シカティックとアーネスト・ホーストが残って、ホーストが優勝(笑)。そういう面白さがありますね。ペティスだけなくて、マーチン・ヘルドもそうだし。それにライト級では2連覇中のナタン・シュルチ、フェザー級でもランス・パーマーも消えている」

──3連覇を目指したパーマーのレギュラーシーズン敗退はセンセーショナルでした。パーマーが消え、ウェードが残ったフェザー級はブレンダン・ラウネーンと共にパーマーを破ったモヴィッドハイブラエフとバッバ・ジェンキンスが残ることになりました。

「メインストリームから外れた第3世界のMMAっぽさが最高に面白くて」

──ラウネーンはBAMMAからACB、コンテンダーシリーズでも勝利している英国人で。ハイブラエフはONEで大きく注目された時期がありました。そしてジェンキンスは前BRAVE CFフェザー級チャンピオンです。

「そういう世界観に元UFCファイターが絡むことで、そっち側の選手たちの力がどれほどなのか。答え合わせができる。そこがPFLを最高に面白いモノにしています」

──まさにオスパノフがウェードに敗れたように。

「PFLは、これから伸びていく息吹きのようなモノを感じますね。ACBからACAとロシアが面白かったのが、トップどころがUFCやBellatorに流れ一段落ついた。そういうなかで、中央アジアやダゲスタンなんかのロシアも絡んでACA的なところも包括していて、PFLをより面白くしています」

──凄く気に入っている感が伝わってきます。

「まぁウェルター級までなんですけどね。ライトヘビー級とヘビー級は世界的に見ても絶対数に違いがあって。もう限られているから、UFCから零れるとこうなっちゃうのかなっていうのはありますよね。

やっぱり世界的な規模でいえばバンタム級からウェルター級までですよね。だからUFCの仕事からあぶれたなかからでも、これだけ良い選手が集まる」

──逆にライトヘビー級とかでなくバンタム級が見てみたいですね。

「でも、そこが米国のビジネスなんでしょうね」

<この項、続く>

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MMA PFL キック クリス・ウェード バッバ・ジェンキンス ブレンダン・ラウネーン ランス・パーマー

【PFL2021#06】ランス・パーマー、レスリングで後れを取り──ハイブラエフに敗れシーズン終幕

<フェザー級/5分3R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ランス・パーマー(米国)

得点0のツータイム・ワールドチャンピオン=パーマーに対し、まずハイブラエフが右後ろ回し蹴りを繰り出す。静かな立ち上がりの中で右ローを入れたハイブラエフが、右前蹴りを突き刺す。パーマーは左ハイから右ロー、右を伸ばし組んでいったハイブラエフだが、バランスくを崩すとすぐに離れる。直後に右ハイを見せるなど、パーマーに入らせないハイブラエフが再び右前蹴りを入れる。

続くステップインに左を合わせたパーマーは、姿勢を乱して立ち上がったハイブラエフをケージに押し込む。自ら離れたパーマーが左フック、右で迎え撃つハイブラエフとスリリングがやり取りが繰り広げられる。跳び右ハイを放ったハイブラエフ、続いて左フックを当てる。ローから後ろ回し蹴りをハイブラエフが見せたところで初回が終わった。

2R、この回で勝利しないとプレーオフ進出がなくなるパーマーだが、右ローから組まれてテイクダウンを許してしまう。足を束ねて左フックを打つハイブラエフはスクランブルでバックに回る。スイッチを潰し、バックを維持するハイブラエフがリフトアップからスラム。さらに足を払ってレスリングでパーマーを削っていく。再度、スイッチを潰されたパーマーは、一旦背中をマットにつけると即スクランブルへ。

ハイブラエフのバックコントロールが続き、いよいよ追い込まれたパーマー──プレーオフ進出へ残された時間は2分を切る。キムラを狙うパーマーをハイブラエフがリリースする。パーマーは左ストレートを当て、左ミドルへ。ハイブラエフは距離をコントロールしつつ、右ロー、右フックを打っていく。さらにパーマーの左ストレートにヒザを合わせていったハイブラエフは、左フックにも後ろ回し蹴りを見せ時間に。パーマーの3連覇は潰えた。

最終回、従来のMMAにはない消化ラウンド=5分間をパーマーはどのような気持ちで戦い切ることができるのか。ハイブラエフはステップインに左を合わせ、パーマーも目の前の勝利を取りにジャブから左を見せる。さらに左リードフックからジャブもハイブラエフのカウンターの右、続く左を被弾する。勢いのある右ミドルを蹴ったハイブラエフがワンツーからスリーとフックを連打。カウンターの左、ステップジャブと攻勢のハイブラエフが、続いてワンツーを当てる。

ガードの上からのハイキック、続くシングルとディフェンスしたパーマーだが、自ら攻めるには至らない。ハイブラエフはスピニングバックキックを腹に決め、スピニングバックフィストも繰り出す。残り20秒で意地の左ストレートを打ち込んだパーマーだが、ハイブラエフが飛び込んで左を当て──最後は足を使いタイムアップに。パーマーはハイブラエフの肩を抱き、敗北を受け入れているような表情を浮かべた。

判定勝ちのハイブラエフはブレンダン・ラウネーン、クリス・ウェード、バッバ・ジェンキンスともにプレイオフ進出を決めた。


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MMA クラレッサ・シールズ クリス・ウェード クレイ・コラード バッバ・ジェンキンス ブレンダン・ラウネーン ボクシング

【PFL2021#04】試合結果 ライト級でシュルチ、ヘルドが脱落濃厚。ペティスは2週間後に仕切り直し

【写真】2度の五輪金メダリスト、ボクシングで成功を収めているがまるで気取ったところがなく、MMAソサイエティに溶け込んでいたシールズ。次戦が楽しみになる(C)PFL

10日(木・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティ
オーシャン・カジノリゾートのPFL2021#04で開催された。

メインで五輪金メダル2度獲得、ボクシング世界8冠のクラレッサ・シールズが、ブリトニー・エルキンにマウントを奪われ寝技の洗礼をうけながら、逆転のTKO勝ちを収めた今大会はライト級とフェザー級でシーズン最終戦が組まれた。

しかし、アンソニー・ペティスが直前に欠場となり、不戦敗ではなく2週間後のPFL2021#06で、対戦相手をハウシュ・ウマンフィオに変更され組まれることに。またフェザー級ではランス・パーマーとモヴィッド・ハイブラエフもシャッフルされて、2週間後に対戦することが決まった。

このため今大会でプレーオフ進出4名は確定せず、現時点で獲得ポイントがOPのペティスとパーマーにも、チャンスは残されている。ちなみにPFLのオフィシャルサイトでは、ライト級でクレイ・コラードが2試合連続判定勝ちながら9Pで1位となっているが、ここではESPN発表ランキングに倣い、6Pの2位とした。

また太字の選手がプレーオフ進出決定。実線で名前が消されたファイターはシーズン敗退が決まっている。

【フェザー級ランキング】
1位 9P ブレンダン・ラウネーン
2位 8P クリス・ウェード
3位 6P バッバ・ジェンキンス
4位 5P シェイモン・モラエス
5位 3P モヴィッド・ハイブラエフ
6位 3P タイラー・ダイヤモンド
7位 0P ランス・パーマー
8位 0P ボビー・モフェット
9位 0P アルマン・オスパノフ
10位 0P ジェシー・スターン

【ライト級ランキング】
1位 6P ロイック・ラジャポフ
2位 6P クレイ・コラード
3位 3P ハウシュ・マンフィオ
4位 3P アレックス・マルチネス
5位 3P ナタン・シュルチ
6位 3P マーチン・ヘルド
7位 3P アクメト・アリエフ
8位 2P オリヴィエ・オバメルシェ
9位 0P アンソニー・ペティス
10位 0P ジョイルトン・ラターバッバ

PFL2021#04
<女子ライト級/5分3R>
○クラレッサ・シールズ(米国)3R1分44秒
TKO
詳細はコチラ
×ブリトニー・エルキン(米国)
<159.4ポンド契約/5分3R>
○カシアス・クレイ・コラード(米国)3R
判定
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×ジョイルトン・ラターバッバ(ドイツ)
<フェザー級/5分3R>
○バッバ・ジェンキンス(米国)3R
判定
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×ボビー・モフェット(米国)
<フェザー級/5分3R>
○ブレンダン・ラウネーン(英国)3R
判定
詳細はコチラ
×タイラー・ダイヤモンド(米国)
<ライト級/5分3R>
○ナタン・シュルチ(ブラジル)3R
判定
詳細はコチラ
×アレックス・マルチネス(ペルー)
<ライト級/5分3R>
○オリヴィエ・オバメルシェ(カナダ)3R
判定
詳細はコチラ
×マーチン・ヘルド(ポーランド)
<ライト級/5分3R>
○ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)1R0分27秒
KO
詳細はコチラ
×アクメト・アリエフ(ロシア)
<146.8ポンド契約/5分3R>
○シェイモン・モラエス(ブラジル)2R4分59秒
キムラ・アームロック
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×ジェシー・スターン(米国)
<フェザー級/5分3R>
○クリス・ウェード(米国)2R2分18秒
TKO
詳細はコチラ
×アルマン・オスパノフ(カザフスタン)

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PFL PFL2021#04 Report バッバ・ジェンキンス ブログ ボビー・モフェット

【PFL2021#04】しっかりとポイント計算、ジェンキンスが判定でプレーオフスポット勝ち取る

<フェザー級/5分3R>
バッバ・ジェンキンス(米国)
Def.2-1:29-28,29-28.29-28
ボビー・モフェット(米国)

サウスポーの構えから左ハイ、左ストレートを見せて組んだジェンキンスがすぐにバックに回る。臀部にヒザを入れられ立てないモフェットが、半身でニンジャチョークを狙うもこれは無理がある。前方に崩してワンフックしたジェンキンスは、手首を掴むモフェットの動きを利用し、背中を伸ばしにかかる。半身から正対したモフェットが立ち上がると、テイクダウン狙いに対し、ここもニンジャチョークへ。

離れたジェンキンスに右三日月を入れたモフェットだが、ジェンキンスはワンツーで左を当てミドルを蹴る。さらにワンツーを続けるジェンキンスが、来いと挑発。直後のモフェットのテイクダウン狙いを切り、ワンツーを伸ばしたジェンキンスが左ロー。左を伸ばし構えを変えたジェンキンスが、右ストレートを見せラウンドを取った。

2R開始と同時に跳びヒザから組みついたジェンキンスが、シングルレッグでテイクダウンを奪うとスクランブルで背中に回り、後方からパンチを入れる。スクランブルから立ち上がったモフェットのアッパー、ワンツーをかわすジェンキンスがダブルレッグを切られる。ケージにジェンキンスを押し込んだモフェットがヒザを狙う。

ヒザを入れた離れたジェンキンスは、掛け蹴りに惑わされることなくワンツーで前に出て、ここもシングルレッグを決める。モフェットはクローズドガードから、オープンも足を引いて立つことはできず、再び背中をマットにつける。モフェットはキムラも、切られて勢いのあるパンチを後方から連打される。ジェンキンスがこの回も試合を支配した。

最終回、ジェンキンスはワンツーから左アッパー、モフェットが左ハイを狙う。ミドルをブロックしたジェンキンスが左を伸ばし、シングルレッグからバックへ。モフェットがスクランブルから立ち上がり、離れてもすぐにシングルで倒される。とその刹那、ニンジャをセットしたモフェットは、フィジカルの強さでフリップして逃れたジェンキンスのバックに回る。足をフックしないRNCに入ったモフェットに対し、自ら背中をつけて逃れたジェンキンスがスクランブルからスタンドに戻る。

ワンツー、そしてスリーを見せたジェンキンスの腹を連続で殴り、ヒザを入れるモフェット。離れてからも首相撲でヒザを突き上げると、モフェットはテイクダウン狙いをニンジャで切って倒れない。ここからも腹を集中して攻めるモフェットの勢いは止まらず、パンチ数で圧倒する。最後の組みもニンジャで防いでパンチをまとめたモフェットが、最終回は完全に自分のラウンドとした。

それでも1&2Rのテイクダウン&コントロールで取ったジェンキンスが、29-28の3票を集め判定勝ち。3Pを獲得し、合計6Pでプレーオフ進出を決めたジェンキンスは、おかしなダンスを披露した。


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News PFL PFL2021#04 アンソニー・ペティス クラレッサ・シールズ クレイ・コラード バッバ・ジェンキンス ブログ モヴリッド・ハイブラエフ ランス・パーマー

【PFL2021#04】計量終了 カオス!! ペティス、病欠&パーマー✖ハイブラエフとリスケ。体重オーバー多し

【写真】史上最高の女子アスリートになると明言してのMMA転向。既に貫禄があり過ぎるクラレッサ・シールズ(C) PFL

10日(木・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティのオーシャン・カジノリゾートで開催されるPFL2021#04の計量が9日(水・同)に行われた。

ところが計量直前にPFLより同大会のラインナップが決定というリリースが出され、そこにはライト級のアンソニー・ペティスがハウシュ・マンフィオと、フェザー級ではランス・パーマーがモヴィッド・ハイブラエフと25日(金・同)に開かれるPFL2021#06で戦うことが記されていた。

なかなかの体格差のシュルチとマルチネスだ(C)PFL

ペティスと対戦予定だったアレックス・マルチネスは、今大会でナタン・シュルチと戦うことに。

同様にそれぞれパーマーとハイブラエフの対戦相手ジェシー・スターンとシェイヤン・モラエスが今大会で相対する。

リリースではリスケについての詳細はなく、ファイトウィークには現地入りしメディアの取材にも応じていたペティスに関しては、病欠という話が聞かれる。


体調不良という情報もないフェザー級勢ともども対戦カードがスライドされるのでなくシャッフルされたことになる。とはいえ計量失敗や体調不良のドタキャンは-1Pのペナルティが与えられているが、ペティスにもその裁定が下るのか。

2週間後のレギュラーシーズン最終戦は、ヘビー級でファブリシオ・ベウドゥムがメディカルにパスせず、モハメド・ウスマンの負傷欠場も決まっている。

この体格差もなかなかのもの。100万ドル目指し、「No」の選択はないとはいえ、これは何が起こるか分からない試合になりそうだ(C)PFL

混乱が見られる今大会、計量でもクレイ・コラードと対戦するジョイルトン・ラターバッバが159.4 ポンドと4ポンド以上のオーバーに。

ペティスを初戦で破り一躍ライト級の中心ファイターとなったコラードは無条件で3Pを獲得できるが、合計6Pではプレーオフ進出が確定できないことで体重オーバーのラターバッハとの対戦を了承している。

計量失敗で、この表情。良い人っぽいが、気持ちを創ることができるか(C)PFL

またフェザー級でもモラエスと戦うことが急遽決まったジェシー・スターンも 146.8ポンドで計量に失敗。

モラエスも3Pではプレーオフを諦めないといけないこともあり、勝っても得点のないスターンとの戦いに臨むことになった。

ジェンキンスはフェイスオフで目を合わせることはなかった(C)PFL

フェザー級連覇中のパーマーにPFL初黒星をつけて、同階級の本命となったバッバ・ジェンキンスは、今大会からの出場となったボビー・モフェットと戦う。

モフェットはかなり硬い表情で「フィニッシュする。彼はそんなことあり得ないと思っているだろうけど、そうなる。明日の朝、目覚めるとそれを知るはずだ」とセレモニアル計量後に話した。

対してジェンキンスは「明日の朝は起きてブレックファーストを食べる。そして夜のファイトに臨む」と緊張からか時系列を誤っていたモフェットに言葉にチクり。そして「やることはシンプルだ。ケージに入って、クイック6を手にしてナンバーワンシードでプレーオフへ行く」と不敵な笑みを浮かべて話した。

2度の五輪金メダル獲得、女子プロボクシング8冠からMMAデビューを戦うクラレッサ・シールズは体重計の上で大声を挙げてガッツポーズを見せた。

ラファエル・ロバトJrの茶帯ブリトニー・エルキンとフェイスオフを終えると、シールズは「ここに来られたハッピー。個人的にエルキンが何をしてくるか、全く気にしていないわ。『初回にKOする』とか『2Rで倒す』とか、そういうことは以前も言ってくる相手がいたけど、一度として負けたことはなかった。また同じようになることを願っている。明日はボクシング、打撃、レスリングを見せるわ」と非常に落ち着いた表情で話した。

■視聴方法(予定)
6月11日(金・日本時間)
午前7時00分~Official Facebook

■ PFL2021#04計量結果

<女子ライト級/5分3R>
クラレッサ・シールズ: 154.8ポンド(70.21キロ)
ブリトニー・エルキン: 155.4ポンド(70.48キロ)

<ライト級/5分3R>
カシアス・クレイ・コラード: 155.8ポンド(70.66キロ)
ジョイルトン・ラターバッバ: 159.4 ポンド(72.3キロ)

<フェザー級/5分3R>
バッバ・ジェンキンス: 145.6ポンド(66.04キロ)
ボビー・モフェット: 146ポンド(66.22キロ)

<ライト級/5分3R>
ナタン・シュルチ: 156ポンド(70.76キロ)
アレックス・マルチネス: 156ポンド(70.76キロ)

<フェザー級/5分3R>
ブレンダン・ラウネーン: 146ポンド(66.22キロ)
タイラー・ダイヤモンド: 145.6ポンド(66.04キロ)

<ライト級/5分3R>
マーチン・ヘルド: 155.6ポンド(70.57キロ)
オリヴィエ・オバメルシェ: 155.4ポンド(70.48キロ)

<ライト級/5分3R>
アクメト・アリエフ: 155.6ポンド(70.57キロ)
ロイック・ラジャポフ: 156ポンド(70.76キロ)

<フェザー級/5分3R>
シェイヤン・モラエス: 146ポンド(66.22キロ)
ジェシー・スターン: 146.8ポンド(66.58キロ)

<フェザー級/5分3R>
クリス・ウェード: 146ポンド(66.22キロ)
アルマン・オスパノフ: 144.8ポンド(65.68キロ)

【フェザー級ランキング】
1位 6p ブレンダン・ラウネーン
2位 3p バッバ・ジェンキンス、モヴィッド・ハイブラエフ、タイラー・ダイヤモンド
5位 3p クリス・ウェード
6位 0p ランス・パーマー
7位 0p シェイヤン・モラエス
8位 0p アルマン・オスパノフ、ジェシー・スターン、ボビー・モフェット

【ライト級ランキング】
1位 3p カシアス・クレイ・コラード
2位 3p アクメト・アリエフ
3位 3p アレックス・マルチネス
4位 3p マルチン・ヘルド
5位 3p ハウシュ・マンフィオ
6位 0p ジョイルトン・ラターバッバ
7位 0p ロイック・ラジャポフ、ナタン・シュルチ
9位 0p アンソニー・ペティス
10位 0p オリヴィエ・オバメルシェ

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Gladiator014 MMA PFL PFL2021#04 Preview アルマン・オスパノフ キック タイラー・ダイヤモンド バッバ・ジェンキンス ブレンダン・ラウネーン. シェイモン・モラエス モヴリッド・ハイブラエフ ランス・パーマー 中島太一

【PFL2021#04】パーマー落選の危機。混戦フェザー級にコンバットサンボ世界王者オスパノフ参戦

【写真】2戦目からの参戦ではプレーオフに残るには初回フィニッシュしても他力本願となるが、非常に楽しみなオスパノフの北米デビューだ (C) MMAPLANET

10日(木・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティのオーシャン・カジノリゾートPFL2021#04が開催される。2021年のレギュラーシーズンも2巡目になり、フェザー級とライト級の2試合目=最終戦を迎える。

今年はプレーオフ進出が8名から4名に絞られたため、6人のファイターが早くも閉幕を迎えることになる。しかも、2階級揃ってランス・パーマー、ナタン・シュルチという2度の世界王者が初戦で判定負け、さらには鳴り物入りでPFL入りを果たしたアンソニー・ペティスも、クレイ・コラードに思わぬ敗戦を喫し終幕の危機にある。

ここではフェザー級の星取り状況から戦局を占ってみたい。


ブレンダン・ラウネーン(C)PFL

現時点でフェザー級のランキングは以下の通り。

1位のブレンダン・ラウネーンこそボーナスポイントを獲得し6Pで抜けているが、他の勝者は判定勝ちで3Pの獲得に留まっている。つまり2戦目の勝ち負けに加え、フィニッシュ及びラウンド数でランキングは大いに入れ替わる公算が、大だ。

【フェザー級ランキング】
1位 6p ブレンダン・ラウネーン
2位 3p バッバ・ジェンキンス、モヴィッド・ハイブラエフ、タイラー・ダイヤモンド
5位 3p クリス・ウェード
6位 0p ランス・パーマー
7位 0p シェイヤン・モラエス
8位 0p アルマン・オスパノフ、ジェシー・スターン、ボビー・モフェット

タイラー・ダイヤモンド(C)PFL

そこで気になるのが、今大会のマッチアップになる。首位のラウネーンはダイヤモンドという2位の選手と対戦する。

この試合で勝利すればジェンキンス、ハイブラエフ、ウェードが6Pを獲得しても合計ポイントでも並ぶだけで、4位以内は確定になる。とはいえラウネーンの実力はまだまだ未知数、ダイヤモンドに土をつけられる可能性は五分五分と見ても良いだろう。

一方で初戦を終えてアントニー・ディジー、チョ・ソンビン、ラジャー・ストヤディノビッチの3選手がシーズンから姿を消しており、アルマン・オスパノフ、ジェシー・スターン、ボビー・モフェットが今回からロースターに加わったとも情勢の変化を後押しするだろう。

パーマーはストディノビッチも代役スターン、ジェンキンスはディジーに代わってモフェットと対戦することで、得点加算は濃厚だ。加えて新規参入選手は3P以上を目指さないと勝ち上がりが厳しく、ボーナス獲得ファイトを展開してくるだろう。

バッバ・ジェンキンス(C)PFL

そうなると隙が大きくなり、パーマーとジェンキンス、2人のレスラーは手堅く勝てる公算は高い。

特にパーマーに勝って2位につけるジェンキンスはフェザー級の最終試合だけに、手堅く3Pの獲得でプレーオフ進出できる状況にあるなら、ボーナスを必要としない勝利を目指すであろう。

ランス・パーマー(C)PFL

対してパーマーは3P獲得だかで4位当確となるには、2位の3選手と5位のウェードのうち2人がノーポイントになっても、ポイント上で並ぶのみ。

彼より先に戦うハイブラエフとウェードの試合結果を見て、フィニッシュ狙いのファイトが必要になる公算は高いだろう。

クリス・ウェード(C)PFL

またウェードに関しては、オスパノフという新顔のなかでも厳しい相手を迎え撃つことになった。

2014年、千葉県成田市で行われたサンボ世界大会でコンバットサンボ68キロ級優勝のオスパノフは、すでにMMAで6勝1敗の戦績を残しており、その後は母国のイベントからACBに活躍の場を求めた。その初戦で中島太一をスピニングヒールキックでKO勝ちしているオスパノフ。ACBとACAでは通算3勝3敗だったが、3勝は全てKO勝ちで一発勝負の状況に非常に適している。

ウェードとしてはフォークスタイルと柔術の融合ファイトで一本、もしくはコントロールして勝利を狙うこともできるだろうが、打撃の圧に巻き込まれるとペースを乱したうえでヒザ蹴りやパンチの餌食になることも多いにありうる。ブレンダン・ラウネーン以外、判定勝ちでは自力プレーオフ進出とならないため、他の選手の勝ち方を見た上で戦略が決定されるというPFLレギュラーシーズン最終戦独特の状況がファイター達のパフォーマンスにどのような影響を与えるのか、非常に楽しみだ。

■視聴方法(予定)
6月11日(金・日本時間)
午前7時00分~Official Facebook

■ PFL2021#04対戦カード

<女子ライト級/5分3R>
クラレッサ・シールズ(米国)
ブリトニー・エルキン(米国)

<ライト級/5分3R>
アンソニー・ペティス(米国)
アレックス・マルチネス(パラグアイ)

<フェザー級/5分3R>
バッバ・ジェンキンス(米国)
ボビー・モフェット(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブレンダン・ラウネーン(英国)
タイラー・ダイヤモンド(米国)

<ライト級/5分3R>
カシアス・クレイ・コラード(米国)
ジョイルトン・ラターバッバ(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
ナタン・シュルチ(ブラジル)
ハウシュ・マンフィオ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ランス・パーマー(米国)
ジェシー・スターン(米国)

<ライト級/5分3R>
マルチン・ヘルド(ポーランド)
オリヴィエ・オバメルシェ(カナダ)

<ライト級/5分3R>
アクメト・アリエフ(ロシア)
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)

<フェザー級/5分3R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
シェイヤン・モラエス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
アルマン・オスパノフ(カザフスタン)

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Bu et Sports de combat Interview バッバ・ジェンキンス ブログ ランス・パーマー 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】MMAを武術的な観点で見る。ジェンキンス✖パーマー「レスリングで先を取る」 

【写真】レスラー同士、「レスリングとMMAは違う」というパーマーの言い分は通らなかった…… (C)PFL

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑氏とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──PFL2021#01におけるバッバ・ジェンキンス✖ランス・パーマーとは?!


──NCAA時代にレスリングではジェンキンスに負け越していたパーマー。しかし、MMAの実績では上で「これはMMA、レスリングとは違う」と言っていたのですが、そのレスリングで遅れをとるとMMAとしての強さは全く見せることができなかったです。

「そういうつもりで、パーマーはレスリング勝負とは考えていなかったのかもしれないですね。対して、ジェンキンスは完全に重心がテイクダウン狙いで、かつパンチも出せるというモノでした。

組んでからバックに回り、そこからのパンチはピンポイントで素晴らしいものでした。フォークスタイルのクラッチをしてはいけない部分が、そのまま生きて自由になっている片手で殴りつける──教科書のようなパンチでした。

ジェンキンスはレスリングだけでなく、スタンドのパンチも強かったし蹴りも良かったです。とはいえ上と下が繋がるという我々が理想としている攻撃ではなかったのですが、レスリングでイニチアチブを取っているから、パンチと蹴りがバラバラでも構わない。青木選手のミドルやパンチが、サブミッションがあることで先が取れているように、ジェンキンスは迂闊な蹴りがあっても、パーマーがそれをキャッチしてもレスリング勝負で負けないという戦いができているので、パーマーが先を取ったことにならない。

正直、ジェンキンスはパンチ、組み、蹴りのトランジッションの部分で隙はあります。

パンチはパンチ、組みは組み、蹴りは蹴りという風にバラバラで。あのバラバラの戦いを日本人選手が、外国人を相手にやっても絶対に通用しません。それでも、あの蹴りを一方的に使えるというのは、絶対の自信がジェンキンスにはあったのでしょうね。それがレスリングで」

──「これはMMAです。キックではない」とか、「この試合はレスリングでなくMMA」という意見、MMAをある程度以上に消化している選手同士の戦いで通用しないで、得意分野同士で強い方がMMAでも強いということになるのでしょうか。

「これはMMAで、〇〇ではないという理屈は、MMAファイター同士では信憑性はないと考えます。MMAを知らない相手に、MMAファイターが言うのは通ります。そもそも、もう10年も前にMMAファイターはK-1のリングでK-1ファイターとやり合えていたし、ベン・アスクレンは今でもレスリングが強いでしょう。柔術がベースのMMAファイターが、今もノーギや柔術でも強いように。

そうしたら、これはMMAだっていう理屈は通りますか? それにどの競技にもマネージャーという選手がいます」

──マネージャー……ですか?

「ハイ。マネージメントで勝つ。打撃の試合もKOじゃない、マネージメントで勝つ。グラップラーでも極めなくて、マネージメントで勝つ。3Rや10分の戦いをマネージメントして勝つ。その競技でマネージメントで勝ってきた選手は、MMAに転向してマネージメントができなくて勝てなくなるということもあります。

パーマーはレスリング軸で、MMAでマネージメントができていたから、これまで勝ってきたけど……レスリングで上回るジェンキンスに対し、MMAのマネージメントができていなかった。どこで差をつけるのか、それはMMAという競技のなかに引きずり込むこと。そしてマネージメントでゴチャゴチャにする。それがパーマーのやるべきことだったのですが、何もできなかった。

その原因は試合だけでは分からないです。体調かもしれないし、精神的な問題かもしれない。ただビビっているのは明白でした。レスリングというか、パンチにビビっていた。過去の実績に関係なく、あの試合で起こった現象面でみれば、パーマーがそれだけ強い選手だということすら分からないぐらい──開始早々からバッバ・ジェンキンスの間でした。質量でジェンキンスが上で、間もジェンキンスだった」

──レスリングで遅れをとっても、MMAなのだから打撃で上回って間を取り、質量で上回ることができるかと思うのですが。

「あのオーバーハンドですね。あれは勢いが良かった。空振りでも、当たったら凄いモノだと思います。武術的にMMAを見るということは、戦術的に見るのと近いものがあります。ただし、戦術と戦略は違います。パーマーはこの試合に関しては、戦略はなかった。何かやろうと相手の動きを見せ、戦術は変えようとしていましたが。

私は武術家であると同時に、ストラテジスト(戦略、方針を立案する専門家)でありたいと思っています。ストラテジーを考えるうえで、一番大切なことは何だと思いますか」

──自分が不利なところを想定することでしょうか。思い通りにいかないときに、どうするのか腹積もりをし、打開策を描いておく。

「つまり、一番大切なことはザックリいって予想なんです。それも具体的な。相手の質量が強いか弱いかで、立てる戦略は違ってきます。そこをパーマーは立てていなかった。もしくは立てそこなった。相手の方が質量が高い時の戦いができていなかったです。『こんなに圧力が高いと思わなかった』と試合後に言う選手がいます。つまり、自分の質量が小さきの戦いの準備ができていないということです。

しっかりと局面を考えて、有利・不利のどちらの場面でもクリアにして、試合に臨んでいたのなと思いました。それができていなかったから、ここまで3年間負け知らずのパーマーでも一方的に負けてしまった──そう結論づけることができます」

■視聴方法(予定)
4月30日(金・日本時間)
午前6時30分~Official Facebook

■ PFL2021#02 対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
ローリー・マクドナルド(カナダ)
カーティス・ミランダ―(米国)

<ウェルター級/5分3R>
レイ・クーパー3世(米国)
ジェイゾン・ポネ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ジョアォン・セフェリーノ(ブラジル)
グレイソン・チバウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
エミリアーノ・ソルディ(アルゼンチン)
クリス・カモージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アントニオ・カーロス・ジュニオール(ブラジル)
トム・ローラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
マゴメド・マゴメドケリモフ(ロシア)
ジョアォン・セフェリーノ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィニー・マガリャエス(ブラジル)
ジョーダン・ヤング(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
セザー・フェレイラ(ブラジル)
ニック・ローリック(米国)

<ウェルター級/5分3R>
サディボウ・シ(スウェーデン)
ニコライ・アレクサヒン(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダン・スポーン(米国)
マールシン・ハムレット(ノルウェー)

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other MMA PFL2021#01 Report バッバ・ジェンキンス ブログ ランス・パーマー

【PFL2021#01】レスリングでパーマーを圧倒したジェンキンスが3連覇目指すパーマーにPFL初黒星つける

【写真】レスリングでリードしたジェンキンスは、打撃でも余裕を見せる試合ぶりでパーマーを破った(C)PFL

<フェザー級/5分3R>
バッバ・ジェンキンス(米国)
Def.3-0:30-27. 30-27. 30-27
ランス・パーマー(米国)

サウスポー同士、パーマーが左ローを蹴る。一瞬オーソに構えたジェンキンスは、すぐにサウスポーに戻し右ジャブを伸ばす。ローに左を合わせていったパーマーがケージを背負って回り、ジェンキンスがデカゴン中央を取る。跳びヒザの着地後に左を入れたジェンキンス、パーマーも左ローから左オーバーハンドを見せる。ジェンキンスは右ハイを蹴り、低い構えから右ジャブを繰り出す。

ローに組みついてバックに回ったジェンキンスが、ボディロックから後方に崩してテイクダウン。パーマーがレスリングで攻められるという、この顔合わせならではの展開に。バックを制し、ヒザを入れるジェンキンスはリフトアップから後方にテイクダウンしパンチを打ちこむ。バックを譲ったままついには両足をフックされたパーマーは左右のパンチを受け初回を失った。

2R、直ぐに距離を詰めて左右のフックを放ったパーマーだが、逆に左を被弾する。パーマーが左ローを蹴り、2発目でジェンキンスが姿勢を乱す。前に出て左を見せたパーマーに、ジェンキンスがここで左を当てる。ジェンキンスは左を被弾した直後に組んでボディロックへ。ウィザーのパーマーは、右手をマットついてヒザを受けない姿勢を取る。ならばとジェンキンスはボディにヒザを突き上げ、前方に崩して背中に回る。

レスリングでリードするジェンキンスは、スイッチに反応したところで正対したパーマーが離れる。自ら組みに行くことがないパーマー、これでは打撃の圧が上がることはない。ジェンキンスは後ろ回し蹴りを繰り出し、パンチの交換からパーマーがローを蹴る。互いにハイを見せ、ジェンキンスがもう1度ガードの上からハイを蹴り、後ろ回し蹴りを繰り出した。

最終回、劣性のツータイム・ワールドチャンピオンはフックに距離詰めるも、組みにはいかない。離れたところで右ハイから左を伸ばすジェンキンス。右フックから左を伸ばすパーマーが、スーパーマンパンチも当たらない。クリンチの攻防でヒザをボディに入れた自ジェンキンスが、ケージに詰めてボディロック。ウィザーのパーマーは──と、ジェンキンスがヒザをつけて倒れる。

ヒザが急所に出も入ったから、インターバルを置くジェンキンスはパーマーとタッチグローブし、さらに回復の時間を置く。ジェンキンスがケージに押し込んだ状態で試合は再開され、リフトアップからテイクダウン。スクランブルで片足を束ねてボディロックへ。小手をきかせるパーマーだが、大内から小外でテイクダウンを許す。すぐにスクランブルに持ち込んだパーマーは、がぶるも右腕で左足を制されバックに回れない。

アームインギロチンに切り替えそうな動きから、10フィンガーギロチンに取ったパーマーに対し、ジェンキンスはカメラを見つけて笑顔を見せる。と、シングルに出たジェンキンスはヒザを受けそうになっても余裕の表情でスピニングバックキック、終盤もしっかりと距離を取ると、このままタイムアップを迎えた。

ジャッジの裁定はフルマークでジェンキンスに。2018年のPFL活動開始以来、11連勝で負け無しだったパーマーについに土がついた。


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