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【UFC309】展望 余人をもって代え難き存在=ジョーンズ×普通の男であることに価値を置くミオシッチ

【写真】持ち過ぎた才能が、人生を狂わせながら強さは絶対のジョン・ジョーンズ。そして強さを求めて、幸福な人生を歩むこととなったミオシッチ。対照的な強者の戦いだ(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにてUFC 309「 Jones vs Miocic」が行われる。由緒ある大会場におけるメインイベントは、事実上無敗で二階級制覇を達成したジョン・ジョーンズに、元王者のスタイプ・ミオシッチが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

王者JJは、実に13年半前の2011年3月にマウリシオ・ショーグン・フアを3RTKOに下してライトヘビー級王座を獲得すると、6度の防衛に成功し長期政権を築いた。しかし、その後はコカイン使用、ひき逃げ、禁止薬物使用といったさまざまな問題行動を起こして3度に渡って王座を剥奪されてしまう。だがそのたびに復活しては、恐るべき強さで王座復帰を果たしてきた。

さらに2020年には飲酒運転&発砲事件による逮捕を経て、自ら王座を返上。ヘビー級への転向の意志を明らかにするが、その翌年にフィアンセへの家庭内暴力で再逮捕された。


それでも昨年3月には宣言通りヘビー級で復帰。シリル・ガンヌとの王座決定戦において1Rわずか2分でギロチンチョークで仕留め、二階級制覇を達成している。オクタゴン内での絶対的な強さにおいても、その内面に棲まうデーモンの巨大さにおいても余人をもって代え難き、格闘技の矛盾を最大限に体現する存在だ。

対するミオシッチは、8年半前の2016年5月にファブリシオ・ヴェウドゥムを敵地クリチバで1RKOに下し、ヘビー王座を獲得。その後アリスター・オーフレイム戦ジュニオール・ドスサントス戦フランシス・ガヌー戦とヘビー級王座3連続防衛というUFC新記録を樹立した。その後ダニエル・コーミエに敗れるも、リマッチで勝利して王座奪還に成功。が、21年3月にフランシス・ガヌーとの再戦に敗れて再び王座を明け渡している。

ちなみにミオシッチは、以前からファイターであると同時に消防士としての職を持ち続けている。仕事で地域に貢献し、家庭でも妻と子供を大切にする「普通の男」であることに何よりも価値を置く、JJとはあらゆる意味で対照的な生き方を実践している。

2022年にはフルタイムの消防士となったことが報じられ、ミオシッチは幸せな引退を果たしたと考える向きも多かった。しかし昨年3月、上述のようにガンヌを倒したJJがオクタゴンの上で「みんな、俺がスタイプを倒すところが見たいか? スタイプよ、練習してくれていると嬉しいぜ。あんたは歴史上のグレーテイストヘビーウェイトだ。あんたと戦いてえんだ。ものすごくな!」と不敵な笑顔で宣戦布告。11月に復帰してJJへの王座挑戦が決まった。

だが、この大一番に向けての練習中にJJが胸筋断裂の大怪我を負ってしまい、手術と半年以上の治療期間を要することが判明し欠場を余儀なくされてしまう。ここでUFCは、当日のバックアップファイターとして用意されていたセルゲイ・パブロビッチとミオシッチの暫定王座戦を行うことはせず、パブロビッチとトム・アスピナルによる暫定王者決定戦を敢行し、1R1分でKO勝利したアスピナルが王座に就いた。

強引な措置とも言えるが、デイナ・ホワイトUFC代表は「ミオシッチ対JJはレガシーファイト。歴史上最も偉大なヘビー級王者と、歴史上最も偉大なミックストマーシャルアーティストの激突だぞ。レジェンド二人の対決をファンも見たいし、私も見たいし、両者ともやりたがっている。スタイプに暫定王座戦を戦ってくれなどと頼むこと自体、まったくもって失礼な話だよ」と説明した。両者のカードは、競技の理屈をスキップしてでもUFCが実現させたいメガファイトということだ。

その後アスピナルがまたしても1分KOにて暫定王座を防衛する間に、正規王座のJJは手術を経てリハビリを完了。一年の延期を経て、今回──暫定王者として圧倒的に勝ち続けているにもかかわらず挑戦できない気の毒なアスピナルが「老いぼれどもによる、異議にまみれたタイトル戦だ」と毒づくのをよそに──ついにミオシッチとの防衛戦がついに実現することとなった。

長年パウンドフォーパウンドランキングのトップに君臨し、一年前には体にかなり脂肪が乗ったヘビー級としても圧巻の強さを見せつけた37歳のJJと、片や42歳にして3年8ヶ月ぶりの復帰戦となるミオシッチ。当然下馬評は圧倒的にJJ有利だ。

が、もしミオシッチが王者時代に劣らぬコンディションでJJの前に現れれば話は別だ。全てに卓越した王者JJだが、最大の武器はレスリングをベースとした圧巻のグラップリング力。相手が組みを警戒するからこそ、JJはスタンドでオクタゴン中央を取りプレッシャーをかけつつ、他の追従を許さない創造性に溢れた攻撃を交えて距離を支配することができる。

ただし体格に勝りレスリングにも長けたミオシッチは、JJのテイクダウンを恐れずスタンドで逆に圧をかけてくるだろう。仮にミオシッチがJJのテイクダウンや寝技を凌ぎ、スタンドで前に出る展開が生まれれば、俄然試合は興味深いものとなる。アルロフスキー、ヴェウドゥム、オーフレイム、ドスサントスといった名だたるヘビー級王者たちを沈めてきた一撃必殺の右を持つミオシッチの圧力を、手を開いた柔らかい構えと関節蹴り等独自の武器を用いて間合いを作る──しかしライトヘビー時代の機動力はないと思われる──JJがいかに捌くのか。

ここで忘れてはならないのは、苦境に陥った時の強さこそがJJの真骨頂だということだ。かつてJJは、1度目のアレクサンダー・グスタフソン戦ドミニク・レイエス戦で前半は思うようにテイクダウンを取れず大苦戦を強いられたことがある。が、いずれも後半に驚くべき精神力とスタミナを発揮。何より勝利への執着心が試される極限状況下にて、前に出て挑戦者を削り続けて圧倒して逆転勝利をもぎ取っている。

また、JJと組技の練習を重ねる世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアンは、「グラップリングのみの練習でも、ジョンは展開に応じて直感的にゲームプランを変えることができるんだ。また、一つのことを教えると、たちまちそれを別の部分でも応用できてしまう」とJJの真の強さは試合中の適応力や応用力にあると語る。

試合が競った展開になればなるほど、JJの恐るべき勝利への執念、適応力、創造力を我々が目にする可能性は高まる。

今回、JJ自身も己の全てを出し尽くすフルラウンドの戦いを予期している模様だ。「お互いにとって長い夜になるだろう。相手の心臓を皿に盛りつけてみんなの前で食らうのは格別だ。奴を深海に引き摺り込んで溺死させてやる。スタイプの技術じゃなく、心臓に襲いかかるつもりだ」と、心にダークサイドを秘めた者ならではの発言でその覚悟を語っている。

相手を罵ることはもちろん、試合前には多くを語りたがらないミオシッチも「ライトヘビーで戦ってきたジョンは、俺のような相手と戦ったことはない。試合が開始すればすぐに体感するはずだ」と自信をのぞかせている。

適正階級ではない怪我上がりの38歳と、3年8ヶ月ぶりに戦う42歳の戦いでありつつも、まごうことなきMMAレジェンド二人による重量級スーパーファイトであるこの試合。UFCヘビー級最多防衛記録を持つミオシッチが、MMA史上最高のファイターと呼び声高いJJを追い詰めることで、その奥深くにさらに眠っている力が呼び覚まされる──そんな極限の戦いを期待したい。

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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【UFC309】UFC300の次はMSG、6勝6フィニッシュのNCAA3冠=ボー・ニコル「マッシブなポスチャーを」

【写真】とても穏やか。そして拙い英語へもPatienceしてくれます (C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンでUFC 309「Jones vs Miocic」が開催される。
Text by Manabu Takashima

同大会のメインカード、コメイン前でキャリア7戦目、UFCでは4戦目となるボー・ニコルがポール・クレイグと戦う。NCAAを制すること3度、MMAに転向後は5試合連続で初回フィニッシュ。前回のUFC300におけるコディ・ブランデージ戦で初めて2Rを経験も、全試合フィニッシュ記録は更新している。

ガードからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるクレイグ戦を前にニコルにインタビューをすると、MSGで戦うことの特別さが伝わってきた。


──今週末のポール・クレイグ戦に向けて、今の気持ちを教えてください。

「最高の気分だよ。ただ減量という一番気が滅入る時間帯を向けているけどね。そこ以外は何かも素晴らしいよ」

──NCAAを3度制したレスラーなので減量は手慣れたモノという印象があるのですが、それでもやはり気が滅入るものなのですね。当日計量だったレスラー時代と、前日計量のMMAとはまた違うものですか。

「そりゃあレスリング時代の方がきつかったね。試合まで時間もなくて、リカバリーもそれほどできない。と同時に、レスリングではMMAほど体重を落とさない。レスリングもMMAも直接比較すると楽な部分もどちらにもある。でも、全てをひっくるめるとレスリングの減量の方がしんどいね。とにかく計量後1時間で試合が始まる。これはタフだよ」

──ではMMAを戦うようになってリカバリーには、レスリング時代にない知識も必要になったということは?

「そこに関しては、凄く科学的な減量方法を取り入れているから問題ないよ。確かに細かい失敗はあったけど、全ての経験が生きてきている。毎回、しっかりとその時に合ったカットとリカバリーをしてきたしね」

──ところで前回の試合は初めて2Rを経験しました。5分以上戦ってどのような印象を持ちましたか。

「ハハハハ。いう間でもなく、良い経験になったよ。ケージの中に以前より長くいることができたのは良かった。9分間戦っても何も問題はないばかりか、より動けることが確認できたんだ。フレッシュなままだったよ。コンディションとスタミナに自信が持てるようになった」

──押忍。前回のUFC300は誰もが認める歴史的なショーでした。そして今回はMSGでのファイトになります。28歳のボーにとって、MSGで戦うことは特別なのでしょうか。

「そりゃあそうさ。この機会を得られたことは、最高に光栄に感じている。ものすごく歴史のある会場……MMAだけでなくバスケットボール、アイスホッケー、ボクシングの名勝負が繰り広げられた来た。ガーデンに一歩足を踏み入れると、その伝統と威厳が感じられるんだ。そういうエネルギーを得て、今週末は戦えると思うとワクワクしてくるよ。

ただ大観衆の前で戦うのとは、違う。なんというのか、特別な感覚……それを心の底から感じられそうだ。確かに米国にはもっと大きくて、近代的な会場も増えている。スフィアなんて、その最たるものだよね。

ただニューヨーク、マンハッタンのど真ん中で戦うことは特別だ。アリーナの壁に飾れた数々のポスターからも、あの場で何が行われたのかが伝わってくる。その歴史の重みは皆が共有しているんだよね。今回の試合にサインしたことを伝えると、皆が『おぉ!! MSGで戦うのか!!』って興奮していたから」

──米国の人は格別、その感覚を持っているのでしょうね。そのMSGで戦う相手ポール・クレイグは、ボトムからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるファイターです。

「危険な相手だ。UFCにおける戦績を見ても、それが証明されている。経験に裏付けされたサブミッションの使い手で、僕としては冷静かつ自信を持って戦う必要がある。焦って戦いたくない。過去に経験したたことがない試合になるだろうから、我慢強く戦うことが自分を助けてくれると思う。それでも、しっかりとポジションを考えて戦うと、サブミッションの餌食なることはないだろう」

ポール・クレイグはUFCで9勝8敗。4試合が三角絞めで勝っている(C)Zuffa/UFC

──ボーも既に仕留め方を心得ているかと思います。

ただし、ボーはレスラーです。テイクダウンからトップコントロールという常套手段が、クレイグの望む戦場になるということが特異な状況です。

「アームバーやトライアングルをセットするまでに、上手くパンチやエルボーを使っている。辛抱強く、三角絞めや腕十字の機会が訪れるのを待つことができるファイターだ。その時が来たら、全力でフィニッシュに掛かる。その機会を与えない。それが僕に必要になってくることは間違いない。あのハイガードを取れないと、彼にはチャンスはない。そのためのコントロールを僕ができるのかだよ」

(C)Zuffa/UFC

──ボーのポスチャーに要注目です。

「そこはしっかりと、やってきた。ポスチャーが悪くて、頭が下がっていることを僕らはデンジャーゾーンと呼んでいるんだ。しっかりとポスチャーができていれば、打撃を叩きこむことができる。ポスチャーに関しては、トレーニングキャンプの軸だったといえる。徹底的に考え、対策をこうじてきた。マッシブなポスチャーを見せるよ」

──ただ寝技に付き合わない戦いもMMAには存在しています。

「つまりは打撃だよね。今回のファイトキャンプ以前から、最高のコーチの下でストライキングを学んできた。打撃に関しては、僕にアドバンテージがある。彼の方が経験値は高いけど、僕の方が若くて速く、パワーもある。スタンドでの勢いのある打撃のある攻防は、ポールの弱点だ。立ち技は絶対的に僕の方が上だよ。

テイクダウンの機会があればするし。そうでなかったとしても、どの局面でも問題ない。それだけファイトキャンプで準備は整えてきたからね」

──ボー、今週末の試合を楽しみにしています。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「UFC309を日本のファンにも楽しんでもらいたい。いつか日本を訪れて東京、地方、富士山に行きたいんだ。僕はMMAもそうだし、日本のレスリングの大ファンでもあるんだ。レスリング時代はタツヒロ・ヨネミツ(米満達弘。2012年ロンド五輪フリースタイル66キロ級金メダリスト)、今はリンヤ・ナカムラ、キョージ・ホリグチという友人がいる。日本のファンの応援に感謝しているよ」

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC302 バシル・ホフェス ミッキー・ガル

【UFC302】ドタバタ感のある根性ファイトを展開したホフェスが、最後はまとめてガルに競り勝つ

<ウェルター級/5分3R>
バシル・ホフェス(米国)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
ミッキー・ガル(米国)

ご当地ファイター、ガルに大きな声援が集まる。ケージ前でサークリングのガルに対し、ホフェスが右オーバーハンドを繰り出す。互いに慎重な立ち上がりとなり、ホフェスが右ローを蹴る。ガルは右オーバーハンドを被弾し、ジャブを返すも圧を受けた状態が続く。ホフェスは右オーバーハンドから返しの左フックを振るい、右フック、そして左ハイと手数を増やす。スイッチを交えて戦うホフェスだが、左ハイでスリップし尻もちをつく。

スタンドで待っていたガルは、立ち上がったホフェスのコンビに下がるなど劣勢が続く。ワンツーの右を受け手も勢いをつけて前に出るホフェスが、スーパーマンパンチ。ガルは右を返していく。組みつつ右フックを振るうガル、その右がヒットしホフェスの動きがドタバタしてくる。近距離の打ち合いもガルが右を当て、ホフェスが下がる。直後に時間となり、盛り返したガルだが初回を落としたか。

2R、間合いをはかるなか、ホフェスが右をヒット。ガルも右を打ち返す。ホフェスのスーパーマンパンチはタイミングが合わず、スピニングバックフィストも空振りに。ガルは右ミドルを蹴り込むが、姿勢を乱す。両者、リズムが良いように見えないがガルが右を当てる。サウスポーのホフェスも左を打ち返すと、見えていなかったガルは足を使うように。ホフェスの右にヒザを合わせようとしたガルだが、ワンツーに左を受けるなど初回終盤の勢いは遮断された。

それでも右ボディストレートを入れたガルは、大振りで動きが落ちてきたホフェスに右フックを決めて圧を掛けるとダブルレッグを決める。バックを譲らず、スタンドに戻ったホフェスだが、ここは削られたか。ガルはステップインが右エルボーを狙い、ジャブを届かせる。さらにワンツーの右ストレートをクリーンヒットさせたガルは、直後前進にダブルレッグを合わされテイクダウンを許す。ホフェスは自らスタンドに戻り、省エネ──すぐにラウンド終了を迎えた。

最終回、ガルがまずジャブを当てると、ホフェスの右オーバーハンドは空振りに。スピニングバックフィストも距離が合わなかったホフェスは、右フックを合わされ頭が揺れる。ガルが勢いづいて、パンチを被弾しても構わす打ち返す。足を止めてのパンチの交換で効かされたガルだが、直後に右を打ち抜いてホフェスの腰が落ちる。ここでテイクダウンを仕掛けたガルは、切られても組みを見せたことでパンチが当たるように。

嫌がってダブルに出たホフェスは、ギロチンに頭を抜いてトップを摂ると一気にパスを狙う。ハーフから立ち上がったガルは離れたホフェスに右を伸ばす。ここからワンツーで右を当てると、続くショートのフックでホフェスが足をばたつかせる。ロングからエルボーと前に出るガルに対し、ホフェスも打ち返してダブルレッグ。切ったガルがヒザを突き上げ、ニータップも切ると右をヒットさせる。右を連続で極めるガルは右エルボーにダブルレッグを合わされて背中をつかされる。ハーフで抑えるホフェスは、ポイントメイク。残り10秒でファイトはスタンドに戻り、足を止めての打ち合いっぽい流れでタイムアップを迎えた。

結果は3-0でホフェスに凱歌が挙がったが、フルマークが2人というのは意外だった。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN49 UFC290 ジャック・デラ・マダレナ バシル・ホフェス

【UFC ESPN49】UFC290からスライドのマダレナがTDで苦戦も打撃でホフェスに勝利し、オクタゴン5連勝

<ウェルター級/5分3R>
ジャック・デラ・マダレナ(豪州)
Def2-1:29-28.29-28.28-29.
バシル・ホフェス(米国)

マダレナは7月8日UFC290の試合が中止となり、今大会へスライド。これが急きょのオクタゴンデビュー戦となるホフェスが、低い体勢で構えてからダブルレッグで飛び込み、リフトアップからマダレナに背中を着かせた。ホフェスの首を抱えるマダレナだが、そのままケージに押し込まれてしまう。上半身を起こしたマダレナに、再び背中を着かせたホフェスは立ち上がる相手のバックをうかがうも、マダレナが投げを打った。凌いだホフェスはバックコントロールへ。マダレナが正対すると、ホフェスは右ヒジを繰り出しながら離れた。

バランスを崩したホフェスが尻もちを着くも、後転して立ち上がる。立ち上がった瞬間にアッパーを突き上げたマダレナと、ホフェスがパンチで打ち合う。ここでホフェスはテイクダウンを奪うも展開できず立ち上がった。ケージを背にしたホフェスが、マダレナとの打ち合いからダブルレッグへ。ドライブしたホフェスは右を打ち込みながら離れる。ケージ中央で左ミドルを放ったホフェスに対し、マダレナがパンチを打ち込む。残り30秒でホフェスはシングルレッグからグラウンドに持ち込み、ハーフガードのマダレナに肩固めを狙うもラウンド終了のホーンが鳴った。

2R、距離を詰めてきたマダレナにダブルレッグで組みついたホフェスだが、テイクダウンできず。マダレナがバックに回ると、ホフェスが離れた。マダレナがホフェスにケージを背負わせ、パンチの連打を浴びせる。サウスポーにスイッチしたホフェスが右フックと左ストレートを返す。マダレナは左前蹴りでホフェスを下がらせた。ホフェスはダブルレッグからドライブしてケージ際へ。ボディロックに切り替えて頭をおっつけている。

右腕を差し上げたホフェスだが、マダレナが体勢を入れ替えて離れた。パンチを上下に打ち分けるマダレナに対し、ホフェスの動きが少し落ちた。右ボディから左ストレートに繋げたマダレナは、ホフェスのダブルレッグをスプロールし、マットに両手を着けた相手にパンチとボディへのヒザを突き刺していく。しかし起き上がったホフェスが再びテイクダウンを奪った。ハーフのマダレナに対し、左腕を枕にしてパスを狙う。マダレナの左手首をコントロールしながら、またも肩固めを狙いながらパスしてサイドに移行した。マダレナもすぐにハーフへ戻したものの、疲労が見られる。ホフェスが肩パンチを浴びせ、トップをキープしたまま2Rを終えた。

最終回、ホフェスがサウスポーに構える。距離を詰めてパンチを伸ばすマダレナに左ストレートを当てた。ケージを背負いつつもシングルレッグで飛び込んだホフェスだが、これはスプロールされてしまう。ケージ中央でホフェスがニータップで組みついた。マダレナをケージに押し込むも、差し返したマダレナが離れる。左右パンチを振るうホフェスだが、疲労か相手をしっかり見ることができていない。しかしマダレナもホフェスに組まれ、ケージに押し込まれてしまう。

ケージ中央でマダレナのパンチがヒット。動きが止まったホフェスにマダレナが左ストレートを浴びせる。さらにケージへ追い込んで右ボディから顔面へとパンチを繋げるマダレナに対し、ホフェスも組みつくが離されてしまう。残り2分でホフェスが顔面にパンチを受け、大きくグラついた。マダレナが左ボディを突き刺すと、シングルレッグを狙ったホフェスだが、マダレナにバックを奪われてしまった。

マダレナはバックマウントからホフェスの体を伸ばしにかかる。ホフェスは反転してトップへ。マダレナは左目尻から出血が見られる。立ち上がった両者、ホフェスが残り30秒で組みつきマダレナをケージに押し込んだ。しかしマダレナが切り返してトップに回り、試合終了となった。

タフファイトの末、3名のジャッジがいずれも1ポイント差のスプリットでマダレナが勝利した。これでオクタゴン5連勝となったマダレナは「こんな試合になるとは思っていなかった。ショートノーティスだし、ガスタンクは十分じゃなかったから腹を攻撃した。この次に繋がる勝利だ」と語った。


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