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【UFC310】ゴリンボ戦へ、元祖K-1 MMA=ヴィセンチ・ルケ「積極性を失うことは、自分を見失うこと」

【写真】UFCにあってもフィジカルモンスター=ゴリンボを相手に、どのような接近戦打撃MMAをルケは見せるころができるのか (C)Zuffa/ UFC

明日7日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC 310「Pantoja vs Asakura」。同大会でヴィセンチ・ルケが、テンバ・ゴリンボと戦う。
Text Manabu Takashima

魔裟斗に憧れK-1の距離でMMAを戦ってきたオクタゴンの激闘王ルケは、コロナ期の4連勝からその後は1勝3敗と調子を落としている。パンデミック期間中、名前のあるファイターは戦いを控え、上昇志向の強いファイターは次々と試合を受けた。

そんな時期に名を挙げたものの体は疲弊し、調子を落とした。ルケもその1人かどうかは分からないが、彼は負けが込む間に自身の戦い方を見つめ直してきたという。ニック・ディアス戦が流れることすら想定内、溢れんばかりの戦闘意欲を持ちながら落ち着いた様子のルケ。彼は再びタイトルに向けてウイニングトラックを駆けることができるのか──。


──ヴィセンチ、テンバ・ゴリンボ戦を週末に控えた今の調子を教えてください(※取材は4日に行われた)。

「100パーセントの状態で試合に挑めるよう、仕上げることができた。肉体的にも精神的にも、完璧な状態でバトルに向き合える。キルクリフFCという世界一の練習環境があるので、問題なく調整できている」

──ゴリンボは同門の佐藤天選手に勝っていますね。チームとしてリベンジを果たしたいところではないでしょうか。

「その件があるから、この試合は普段以上に高いモチベーションで臨むことができている。タカシ・サトーは僕にとって最高の友人だ。タカシは1週間後に韓国で試合があるから、今回はずっと一緒に練習してきた。リベンジを果たして、タカシに続いてほしい。

タカシは素晴らしい柔道テクニックの持ち主で、ゴリンボのテイクダウンについて凄く効果的なアドバイスをしてくれたんだ」

──ところでヴィセンチは8月にニック・ディアスと対戦予定でしたが今大会に延期され、さらに負傷欠場でゴリンボと戦うことになりました。どちらがタフな相手云々は問わずして、ただ注目度という点では圧倒的にニック・ディアス戦がゴリンボ戦を上回るのは事実です。このビッグファイトが流れて、気落ちすることはなかったですか。

「8月にディアスとの試合がなくなった時は、本当に落ち込んだよ。それから12月にリスケされたけど、ディアスとの試合を想定して練習をしつつ、今回も試合が組まれないもあると思ってやってきた。誰も何が起こるか分からない。だからディアス戦がまたなくなっても、気持ちをキープすることができていた。もう、これ以上オクタゴンに上がれない時間を過ごしたくなかった。対戦相手がゴリンボになっても、これまで培ってきたモノを全てぶつける。

これが8月の時だったら、代役と戦うことはできなかったかもしれない。あの時の精神状態では。でも、今回は全く問題ない。全力でゴリンボに向き合い、最高のバトルを繰り広げたい。今回のファイトキャンプではサウスポーだけでなく、色々なタイプのファイターとスパーリングを繰り返してきた。その頃から、何があっても大丈夫なように準備をしていたんだ。誰とでも戦えるように」

──ところで2020年と2021年の好調ぶりと比較すると、この2年は厳しい時間を過ごしてきたかと思います。

「確かに過去4試合で3つも黒星をついてしまっている。それも絶好調だった2020年と2021年のファイトとキャンプの繰り返しという日々の跳ね返りだ。ちょっと心身ともに疲れてしまっていた時に、プライベートでも問題があって……。

でも、なかなか勝てない日々こそ僕が進化できるチャンスだった。自分のミスに直視して、トレーニングを続けて成長できた。この3つの敗北の分、僕は強くタフになっている。今のヴィセンチ・ルケがどういうファイターか、土曜日の夜に明らかになるよ」

──この間、ヴィセンチの得意だったキックボクシングのような距離の打撃戦が近年のMMAでは増え、この距離で戦う術を身に着けたファイターが多くなっているように感じます。

「僕はMMAでも、K-1の距離でアグレッシブに戦うスタイルを貫いてきた。でもUFCで20試合以上も戦っていると、少しずつ対戦相手が僕の戦いを研究し、対策を練るようになってきたことは感じていた。だからこそ、この間に自分の打撃戦を見直してきたんだ。技術の幅を広げ、より多様性のある戦いができるように。でも、このトライはすぐにオクタゴンの中で成果が分かるモノじゃない。年単位で堅実な変化があるかどうか。それが今回の試合で見られるのか。新しいウェポンを持ってオクタゴンに上がり、微調整を加えたファイトをするつもりだよ」

──激闘王が、自制をしてアグレッシブ一本槍ではないファイトを心掛けるようになる?

「時には距離を取って戦う必要は、あるだろう。ただ、積極的に戦うことが僕のファイトの軸にある。それは変わらない。積極性を失うことは、自分を見失うこと。そうなると戦えない。ヴィセンチ・ルケとして、僕は自分の戦いを全うするつもりだよ」

──では改めてゴリンボの印象を聞かせてください。

「彼は打撃もできるし、グラップリングも強い。スタミナもあるウェルラウンディットな対戦相手だ。人並外れたフィジカルの持ち主で、そのパワーで勝利を手にして来た。打撃にしても、組み技にしてもパワフルで粗い。それがここまでは、功を奏してきたといえる。

ああいう戦い方をされると、リズムが狂ってしまうことが多々あるんだ。ただ、彼はまだ僕と同じレベルの厳しい戦いを経験したことがない。この試合で、ゴリンボはソレを知ることになるだろう。キルクリフFCには様々なタイプのファイターが練習している。だから自分のリズムで戦えない時のアジャストの仕方、想定外の事態に陥った時の対処方法を身に着けている。土曜日の試合はゴリンボにとってビッグファイトになるだろうし、全力で向かってくることは間違いない。でも、僕はその全てに対応できるだろう」

──再起へ、どのような試合をしたいと思っていますか。

「前回の試合で、僕はもう下り坂を転がり始めたと思う人がたくさんいたようだ。でも、僕のピークはこれからだよ。33歳を迎えてフィジカル、メンタル、テクニックと全てにおいて成長している。来年、ウェルター級をドミネイトするだけの力があることをゴリンボとの試合で証明する。大きくジャンプをする前には、一度屈むことが必要だろう?  前回のまでの試合が、それだったんだ」

──押忍。ではヴィセンチの復活を期待する日本のファンに一言お願いします。

「日本の皆の応援に、いつも感謝している。僕のママは実は黒帯の空手家なんだ。子供のころから、ずっと日本の武道の規律を教わってきた。僕の夢は日本で戦うこと。いつの日か、実現させたい。そのためにUFC310で皆が楽しめ、納得いく試合をして勝利を手にすることを約束するよ」。

■視聴方法(予定)
12月8日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT


■UFC310対戦カード

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
[挑戦者] 朝倉海(日本)

<ウェルター級/5分5R>
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<ヘビー級/5分3R>
シリル・ガンヌ(フランス)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
クロン・グレイシー(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ランドヴェール(米国)
チェ・ドゥホ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ドミニク・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
テンバ・ゴリンボ(ジンバブエ)

<フェザー級/5分3R>
モフサル・エフロエフ(ロシア)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ブライアン・バトル(米国)

<195ポンド契約/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<フライ級/5分3R>
コディ・ダーデン(米国)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・キエーサ(米国)
マックス・グリフィン(米国)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
チェイス・フーパー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)
ウーカシュ・プジェスキ(ポーランド)

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UFC310:オッズ/予想と展望

アレシャンドレ・パントージャ 1.36
朝倉海 3.25
シャフカト・ラフモノフ 1.26
イアン・マシャド・ギャリー 3.90
シリル・ガーン 1.29
アレクサンドル・ボルコフ 3.60
ブライス・ミッチェル 1.14
クロン・グレイシー 5.50
ネイト・ランドウェア 1.71
チェ・ドゥホ 2.20
ドミニク・レイエス 1.28
アンソニー・スミス 3.70
ビセンテ・ルーケ 2.30
テンバ・ゴリンボ 1.65
モフサル・イヴロイエフ 1.38
アルジャメイン・スターリン3.15
ランディ・ブラウン 2.90
ブライアン・バトル 1.43
クリス・ワイドマン 1.87
エリク・アンダース 1.95
コーディ・ダーデン 2.30
ジョシュア・ヴァン 1.65
マイケル・キエーサ 2.05
マックス・グリフィン 1.80
クレイ・グイダ 7.50
チェイスフーパ1.09
ケネディ・ンゼチュク 1.15
ルーカス・ブジェスキー 5.25

過去のパントージャのオッズ(直近3戦+朝倉海同様RIZINバンタム級王者で初参戦のケイプ戦)。

アレシャンドレ・パントージャ 1.54
ティーブ・エルセグ 2.50
アレシャンドレ・パントージャ 1.53
ブランドン・ロイバル 2.60
ブランドン・モレノ 1.50
アレシャンドレ・パントージャ 2.65
アレシャンドレ・パントージャ 1.91
マネル・ケイプ 1.91

アンダードッグだったモレノ戦以降はいずれもSlight Favorite(僅差でフェイバリット)だったが、今回はModerate Favorite。僅差ではないが大差でもない、中程度の差と見られている。朝倉海UFCデビュー戦、7年ぶりのフライ級、初の5分5Rと不安要素が多いので、この評価は致し方ない。

それでも一発勝負なら勝つチャンスはある。5Rマッチだが、ペース配分を考えるようだと長期戦になり、経験に勝るパントージャのペースになる。4R以降に失速する覚悟で、いつも通りの戦い方をしていった方がKO勝ちのチャンスが出てくる。開始直後に自ら間合いを詰めていけるかどうか。様子見してくる相手に合わせてしまったり、逆にパントージャが攻めてくるのを受けてしまうようだと厳しくなる。

予想はパントージャの判定勝ちだが、アップセットでのKO勝ちに期待。

セミは、本来メインでベラル・ムハメドのタイトルに挑戦予定だったラフモノフが、ベラる欠場により、イアン・マシャド・ギャリーとの無敗対決に。てっきり暫定王座決定戦になるものと思っていたし、そうしても文句は出ないと思っていたが、ノンタイトル戦5Rマッチに。ギャリーは昨年までキルクリフFCに所属しており、ラフモノフとは同門だったが、現在はシュートボクセ・ディエゴ・リマに移籍している。

こちらはやや離れたオッズに。同じ無敗だが、ラフモノフは全試合フィニッシュ勝利。自称ネクストマクレガーのギャリーはUFC8戦のうち5試合が判定での勝利。前戦はBellatorから移籍のマイケル・ペイジのUFC2戦目での対戦で、組んでバックを取っての判定勝ちだった。ラフモノフに比べると、慎重に勝てる相手をチョイスされてきた印象。

ラフモノフ一本勝ちと予想。

メインカードでビセンテ・ルーケとの対戦が予定されていたニック・ディアスの欠場により、急遽組まれたのがブライス・ミッチェル vs. クロン・グレイシーの一戦。2019年のカブ・スワンソン戦ではパンチを被弾しながらも組みに行くものの、引き込みすらさせてもらえず完封負け。4年ぶりの復帰戦となった昨年5月の試合では、シャルル・ジョーデイン相手に打撃のスキルが劣化しており打ち負け、引き込みを繰り返しても付き合ってもらえないという、スタイル的にも退化していた内容で完敗。なのに今回はランカーのミッチェルとの対戦に。

柔術黒帯で、16勝中KO勝ちはゼロ、一本勝ちが9回のグラップラー・ミッチェルだが、さすがにクロン相手には寝技に付き合わない方がイージーに戦えるだろう。オッズでは今大会で2番目の大差でミッチェルがフェイバリット。メインカードに抜擢されているが、クロンにとっては正念場となる試合。しかし、前回の戦い方を見る限りは望み薄か。

第1試合開始は8日朝8時から。速報します。

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【UFC308】展望  このスポーツの模範ロバート・ウィティカー×危険かつ情緒不安定カムザット・チマエフ

【写真】心技体の合計点。高いのどっちだ (C)Zuffa/UFC

26日(土・現地時間)、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナにてUFC 308「Topuria vs. Holloway 」が行われる。新王者イリア・トプリアにBMF王者マックス・ホロウェイが挑戦するフェザー級タイトルマッチをメインとするこの大会のコメインは、元世界王者のロバート・ウィティカーとプロ無敗のカムザット・チマエフが激突する大注目のミドル級トップコンテンダーマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ウィティカーは2017年の7月、ヨエル・ロメロとの5Rの激闘を制してミドル級暫定王者に就くと、同年末には当時の正規王者ジョルジュ・サンピエールのタイトル返上&引退を受けて正規王者に認定された。2019年10月にイスラエル・アデサニャに敗れて王座を失ったが、その後も常にミドル級トップ戦線で戦い続けている。

昨年7月には現王者のドリキュス・デュプレッシーに2RTKO負けを喫したものの、今年に入って2月にパウロ・コスタに判定3-0で快勝し、さらに6月にはUFC無敗のイクラム・アリスケロフと対戦。1R早々に必殺の飛び込んでの右ストレートを当てると、さらに右ハイ、そして右アッパーをスマッシュヒットして圧巻のKO勝利を飾っている。


対するチマエフはこれまでプロ13戦全勝。昨年10月には元ウェルター級王者のカマル・ウスマンに判定3-0で快勝し、UFC7連勝を飾った。ウィティカーとの試合は今年の6月に予定されていたが、チマエフの体調悪化により中止となり、上述のようにウィティカーは代役のアリスケロフに鮮烈な1RKO勝利。4ヶ月後の今回、両者の試合が改めて組まれた。

UFC王者✖BMF王者という豪華メインイベントに劣らぬ注目を集めているこの一戦。その理由は何よりもまず、チマエフが途轍もなく高い戦闘能力と心身の不安定さを併せ持つ、色々な意味で目の離せない存在であることだ。そしてウィティカーこそチマエフのキャリア上最強の相手であり、今回ついにその「底」が露呈する可能性が少なくないことだ。

2020年7月、チマエフは(コロナ禍による米国入国規制に対応して開催された)アブダビのファイトアイランドことヤス島大会に登場し、ジョン・フィリップスとのミドル級戦において2Rダースチョークで圧勝して鮮烈なUFCデビューを飾った。

その10日後には同会場に行われた大会にも欠場選手の代打としてウェルター級戦=リース・マッキー戦に登場。1RパウンドによるTKOで相手を葬り去り、10日で2勝という(ワンデートーナメント廃止以降の)現代UFCにおける最短記録を──しかも2階級をまたいで──樹立してのけた。

さらにその2ヶ月後には再びミドル級戦に登場し、今度はわずか17秒でジェラルド・マーシャートからKO勝ちを収め、66日で3連勝という新たな現代UFC記録をも達成した。

結果以上に圧巻だったのがこの3戦の内容だ。最初の2戦は試合開始と同時に距離を詰めてテイクダウン。そのまま相手を逃さず強烈なパウンドや肘で削り、一方的に攻撃してフィニッシュした。3戦目も試合開始直後から前に出て、テイクダウンを警戒する相手を右ショート一発で昏倒させた。

問答無用のテイクダウン力と相手に何もさせない圧倒的コントロール力、さらに精度と破壊力を併せ持つ打撃まで備えた男が、試合開始と同時に様子見を一切せず相手に迫り、一片の躊躇もなくフルスロットルで攻撃し続け、最短距離で粉砕する──見る者全てを戦慄させる戦いを披露したチマエフは、当然のようにデビュー3連続でパフォーマンス・オブ・ザ・ナイト・ボーナスを受賞した。

その言動も超攻撃的な戦い方に相応しく、二戦目の勝利後には「俺は全ての相手を破壊する!」と絶叫し、三戦目の前には「お前の顔面を粉砕してやる」と相手を挑発すると、17秒でその通りに実行。こうしてチマエフは、UFCデビューから僅か2カ月にて世界で最も熱い注目を浴びる若手MMAファイターの座に駆け上がったのだった。

3カ月後の12月には早くもウェルター級トップランカーのレオン・エドワーズとの対戦が組まれたが、両者とも新型コロナウィルスに感染して試合は延期に。その後この試合は二度リスケジュールされたものの、チマエフの回復が遅れて実現せず。21年3月にチマエフは肺の合併症を理由にSNSで「もう終わりだと思う。みんながっかりすると思うけど、僕の心と体が僕に全てを語っている」と引退の意志を表明し、洗面台に吐いた血を写したショッキングな写真を投稿した。

が、チマエフを治療のためにベガスに呼んだデイナ・ホワイトUFC代表は、これは一時的な気持ちの揺れによるものと説明して引退を否定。実際やがて症状が改善したチマエフは、2021年10月にリー・ジンリャンと対戦した。以前同様、開始同時に距離を詰めて組みついてチマエフは、ジンリャンをリフトしたままケージの中を歩きながらケージサイドのホワイト代表に向かって「俺が王者だ! 全員殺してやる!」と叫んでからテイクダウン。そのまま強烈なパウンドとチョークを織り交ぜて一方的に攻撃し、3分過ぎにジンリャンを絞め落として破天荒極まりない復活を遂げた。

が、その後チマエフは2022年9月に大会目玉カードのニック・ディアス戦を体重超過で飛ばしてしまう。そこで急遽組まれたケヴィン・ホランド戦に圧勝すると、試合後のインタビューでは謝罪するどころか「ウェイトオーバーなんてどうでもいい! 俺は落とせたのに医者に止められたんだ!」と前代未聞の開き直りを見せた。

次戦の昨年10月の元ウェルター級王者のカマル・ウスマン戦は快勝。が、今年6月に予定されていたウィテカー戦は、キャンプ途中で原因不明の体調不良に襲われて回復せず、キャンセルを余儀なくされた。

比類なき戦闘能力とアグレッシブネス、その激しさを反映するが如き精神面健康面の脆さも併せ持ったチマエフは、「次にいつ試合するのか」、「どんな戦いを見せるのか」、「そもそも本当に試合をするのか」とさまざまな形でファンの興味を掻き立て続ける存在だ。

ちなみに近年チマエフは、米国入国に必要なビザが降りないとのことで、昨年のウスマン戦はアブダビ大会、6月に予定されていたウィティカー戦はサウジアラビアのリヤド大会、今回改めて組まれたウィティカー戦は再びアブダビでの試合となる。ビザが降りない理由は、(18歳でスウェーデンに移住した)チマエフの生まれ故郷であるチェチェン共和国の首長ラムザン・カディロフ──米国当局からは人権侵害に関与したとして入国禁止の制裁対象とされている──とチマエフがごく親しい間柄であるためだと報道されている。

実際カディロフの二人の息子にMMAを指導し、長男のデビュー戦ではセコンドに付いたチマエフは、現在も頻繁にSNSでカディロフと親しくしている写真を投稿している。当然ファンからは批判の声も挙がっているが、本人は気にかける様子もなく、冗談めかして「(ホワイト代表と親しい)ドナルド・トランプが大統領になってくれない限り、僕は米国に入国できずにUFCタイトルに挑戦できないかもしれない。でも気にしないさ。僕はどこでも戦うし、ベルトなき王者というだけだ」と語る。このような政治的事情も、チマエフの激しくも儚く、そして危なっかしいイメージを増幅させている。

そんなチマエフの前に今回立ちはだかるウィティカーは、全く対照的なイメージを纏っている。常に若者のロールモデル(模範)であることを心がけ地域貢献活動にも精を出し、対戦相手へのトラッシュトークなどは一切行なわず、誰からも好かれ尊敬される存在だ。チマエフも以前ウィティカー戦との対戦可能性について聞かれた際に「できれば別の選手とやりたいよ。ロバートは良い人間で尊敬している。もっと憎むことのできる相手と対戦して殴りたい。彼とはむしろ一緒に練習したい」と語っており、両者の間には遺恨らしきものは存在しない。

下馬評では無敗のチマエフ(ミドル級ランキングは13位)が現在ランキング3位のウィティカーより有利と出ているが、チマエフ危うしとの声も小さくない。

最大の疑問は、チマエフの一番の強みであるテイクダウン&コントロールが、ウィティカー相手にどこまで通用するかだ。ウィティカーは、これまでウェルターとミドルを行き来してきたチマエフがはじめて戦う真のミドル級の体格のトップランカーだ。2014年から10年間ミドル級で戦い続けており、ヨエル・ロメロをはじめとする何人もの強力なレスラーのテイクダウンを凌いで勝利した実績がある。

レスリングの練習に余念のないウィティカーは「私はなかなかテイクダウンされないし、抑え付けるのも困難だよ」と自信を覗かせている。試合開始と同時に暴風雨のような攻撃を繰り出すチマエフは、これまで全ての相手から1R早々にテイクダウンを奪っている。が、仮に今回同じことをできたとしても、これまでのどの対戦相手よりも高い身体の出力を持つウィティカーをコントロールし続け、フィニッシュあるいは大ダメージを与えることができるのか。チマエフの攻撃力が最大値にある1Rの攻防こそ、一番の見どころだ。

もしウィティカーがチマエフの序盤の猛攻を凌いだ場合、ウィティカー有利説のもう一つの根拠=この試合が5R制だということが大きな意味を持ってくる。ウィティカーが何人ものミドル級トップ勢と5Rフルに戦い、制しているのに対して、チマエフはジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ戦とウスマン戦で3R判定の試合を二度経験しているのみ。この二戦ともに2R以降はノンストップラッシュを控えてペースを抑え、反撃をもらう場面もあった。試合が4、5Rに突入してもスタミナが残せるのか、フタを開けてみなければ分からない。

また、長期戦になればなるほどチマエフが距離を詰めてテイクダウンを取るのは困難となり、必然的にウィティカーが望むスタンドの攻防が多くなるだろう。そこでは近距離を得意とするチマエフの拳より、蹴りを多用して距離を保つウィティカーが、遠い間合いから一気にブリッツして(=飛び込んで)放つ必殺の右が炸裂する可能性が高い。チマエフも「もしロブがテイクダウンだけを警戒するのなら、僕のライトハンドでKOされる可能性もあるよ」と打撃戦にも自信を覗かせているが、どう出るか。

チマエフは前回の体調悪化を踏まえ、今回ロシアのコーカサス山中にある五輪選手用の訓練施設オゾン・ヴィレッジでキャンプを張った。世界レベルのレスラーやコーチ陣と練習を重ね、万全の調整ができた模様だ。試合前記者会見では、五分刈りではなく自然な短髪&眼鏡を着用して登場。今までのヤンチャなイメージから一変して、物静かにしてきわめて温厚な調子で受け答えをしたこと自体が反響を呼んでいる。

長年ミドル級世界トップに君臨する超実力者ウィティカーとの対戦で、底知れぬ強さを見せてきたチマエフの底が割れる日がついに来るのか、それとも予測不可能にして危険極まりない男チマエフがまたしても世界を震撼させるのか。興味は尽きない。

■視聴方法(予定)
10月26日(日・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
10月27日 午前3時~PPV
午後10時 30分~U-NEXT

The post 【UFC308】展望  このスポーツの模範ロバート・ウィティカー×危険かつ情緒不安定カムザット・チマエフ first appeared on MMAPLANET.
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MMA o RIZIN Road to UFC UFC YouTube その他 アレックス・ペレス アンソニー・スミス クレイ・グイダ ジョシュア・ヴァン タティアナ・スアレス タリソン・テイシェイラ チェイス・フーパー ドミニク・レイエス ニック・ディアス ブランドン・モレノ マックス・グリフィン マネル・ケイプ モフサル・エフロエフ ランディ・ブラウン 中村倫也 佐々木憂流迦 堀口恭司 平良達郎 朝倉海 木下憂朔 風間敏臣 魅津希 鶴屋怜

UFC 310:朝倉海 アルティメットメディアデー Presented by U-NEXT

概要欄
UFC® 310:ムハマッド vs. ラフモノフ
日本時間:2024年12月8日(日)
会場:T-Mobileアリーナ(アメリカ・ネバダ州ラスベガス)
配信:U-NEXT / UFC Fight Pass

世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体であるUFC®(Ultimate Fighting Championship)が日本時間12月8日(日)に開催を予定しているUFC® 310のセミメインイベントにて、UFCフライ級王者アレシャンドレ・パントージャが、UFCデビューを飾る朝倉海を相手に3度目の防衛戦に挑みます。

2023年7月に開催したUFC 290で、当時のUFCフライ級王者ブランドン・モレノを下してUFCフライ級王座を獲得したアレシャンドレ・パントージャ(28勝5敗、ブラジル/アハイアウ・ド・カボ)は、以降の1年間でブランドン・ロイバルとスティーブ・エルセグを退けて王座防衛に成功しました。パントージャはサブミッションで10勝、ノックアウトで8勝、第1ラウンドフィニッシュ10回を記録しており、モレノ(3戦)、アレックス・ペレス、マネル・ケイプ、佐々木憂流迦、カイ・カラ・フランスら強豪に勝利しています。

UFCデビュー戦がタイトルマッチという歴史的な一戦に挑む朝倉海(あさくら・かい、21勝4敗、愛知県)は、現在、日本で最も有名なMMAアスリートであり、10年以上のMMA経験を持つ実績あるノックアウトアーティストと称されています。朝倉のベーススタイルは打撃とグラップリングを包括する日本の空手、禅道会。UFC参戦までに2連勝を収めており、日本のRIZIN FFでは過去12試合中9試合でメインイベントまたはセミメインイベントを務めています。最近では2023年12月にフアン・アーチュレッタを破ってRIZIN FFバンタム級王座を獲得した経歴を誇ります。また、これまでに朝倉はマネル・ケイプ、堀口恭司、佐々木憂流迦らを下してきました。

朝倉の参戦により、UFCロースターに名を連ねる日本人選手はフライ級ランキング5位の平良達郎、女子ストロー級の魅津希、ウェルター級の木下憂朔、ROAD TO UFCシーズン1バンタム級ファイナリストの中村倫也と風間敏臣、ROAD TO UFCシーズン2フライ級優勝者である鶴屋怜の7名となります。

対戦カード一覧(予定)
【メインイベント】
ウェルター級タイトルマッチ
ベラル・ムハメド vs. シャフカト・ラフモノフ

【セミメインイベント】
フライ級タイトルマッチ
アレシャンドレ・パントージャ vs. 朝倉海

【その他カード:順不同】
ヘビー級:シリル・ガーン vs. アレクサンドル・ボルコフ
ウェルター級:ビセンテ・ルーケ vs. ニック・ディアス
フェザー級:モフサル・エフロエフ vs. アルジャメイン・スターリング
ウェルター級:ランディ・ブラウン vs. ブライアン・バトル
ヘビー級:タリソン・テイシェイラ vs. ルーカス・ブジェスキー
女子ストロー級:タティアナ・スアレス vs. ビルナ・ジャンジロバ
フライ級:コーディ・ダーデン vs. ジョシュア・ヴァン
ライト級:クレイ・グイダ vs. チェイス・フーパー
ウェルター級:マイケル・キエーザ vs. マックス・グリフィン
ライトヘビー級:アンソニー・スミス vs. ドミニク・レイエス

※対戦カードおよび試合順、試合数は事前の予告なしに変更となる場合がございます。

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AB o UFC キック ダナ・ホワイト ニック・ディアス

UFC on ABC7:セミファイナル・シャラ・マゴメドフ vs. ミハル・オレクシェイチュク

ミドル級。

隻眼ファイターシャラマゴ。ちゃんとしたコミッションがある場所では試合許可が降りないと言われ、ダナ・ホワイトが中東のみで試合を組むと明言しているが、今後もずっとそうなのか。前回は6月22日のサウジアラビア大会で、代役初参戦のアントニオ・トロコリに組みで劣勢な展開から、2R以降は打撃で攻勢となり3RKO勝ち。組みに穴があるままではタイトル戦線まで上がるのは厳しいと思われる。30歳。

オレクシェイチュクも6月に試合をしてからインターバル約2ヶ月での出場だが、こちらは前回KO負けで、今年に入ってから2試合連続秒殺KO負け。相手がランカークラスのミシェウペレイラとケビン・ホランドなので仕方がない部分もある。UFC7勝6敗1NCで、7勝のうち6KO・6敗のうち5一本負けと、こちらも打撃が強く組みに穴がある。29歳。

下がりながらローを蹴るマゴメドフ。しかしマゴメドフの蹴りに合わせたオレクシェイチュクのパンチがヒット。バランスを崩して倒れたマゴメドフだがすぐ立つ。どんどん詰めるオレクシェイチュク。ケージを背負うマゴメドフ。テンカオ。左ボディを入れたオレクシェイチュク。ケージ際から逃さないオレクシェイチュク。下がりながらパンチを返すマゴメドフ。テンカオ・サイドキックを返すマゴメドフ。左ハイ。しかし受け止めたオレクシェイチュクが左を入れる。オレクシェイチュクのヒザに合わせて組み付いたマゴメドフだが、引き剥がしたマゴメドフ。マゴメドフバックブローからテンカオ。ハイはブロックしたオレクシェイチュク。間合いが近い。逃さないオレクシェイチュク。回り込んでパンチを入れる。右ボディを入れたマゴメドフ。ホーン。

1Rややマゴメドフ。

2R。すぐに圧をかけるオレクシェイチュク。下がりながらワンツーを入れたマゴメドフ。オレクシェイチュク組んでボディロック。引き剥がしたマゴメドフ。なおも詰めるオレクシェイチュクに右がヒット。前に出る圧が止まったオレクシェイチュク。マゴメドフ右ボディから左フック。オレクシェイチュクもボディを返して出る。打ち下ろしの右からハイキック。しかしキャッチしたオレクシェイチュク。倒すとバックについた。時間がない。チョークを狙うがワンハンドのみ。ホーン。

2Rマゴメドフ。

3R。すぐに詰めるオレクシェイチュクだが、マゴメドフは距離を取りながらサイドキック。ジャブ。オレクシェイチュクの左フックはブロック。詰めていくオレクシェイチュクだが、サークリングするマゴメドフを捕らえきれない。サイドキックを顔面に入れたマゴメドフ。首相撲からのヒザ連打から左ハイ。右ハイ。キャッチしたオレクシェイチュクがテイクダウン。すぐ立ったマゴメドフをまた倒そうとするが、ケージを使ってこらえたマゴメドフ。オレクシェイチュクタックル。シングルレッグでテイクダウン成功。下から殴るマゴメドフ。ヒジ。オレクシェイチュクもインサイドからパウンドを入れるが、フィニッシュが必要。マゴメドフ下からヒジ連打。タイムアップ。

30-27×2、29-28の3-0でマゴメドフがUFC3連勝。

次はランカーと見たいが、オレクシェイチュク相手にもテイクダウンを取られるなどスタンドレスリングには穴があるので、まずはストライカー対決が見たい。

試合後のインタビューでは、当初出場予定だったニック・ディアスと10月のアブダビ大会で戦いたいとアピール。階級が違うが…。

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45 AB MMA o UFC   ケビン・ホランド ニック・ディアス ミハウ・オレキシェイジュク

8.3『UFC on ABC 7』で予定されていたヴィセンテ・ルケ vs. ニック・ディアスが延期/セミファイナルはシャラ・マゴメドフ vs. ミハウ・オレキシェイジュクに変更




 UFCが8月3日にアラブ首長国連邦アブダビで開催する『UFC on ABC 7: Sandhagen vs. Nurmagomedov』のセミファイナルで予定されていたヴィセンテ・ルケ vs. ニック・ディアスが延期することと、代わりのセミファイナルとしてシャラ・マゴメドフ vs. ミハウ・オレキシェイジュクが行われることを発表。ルケ vs. ディアスは「トラベル・イシュー」とのことで、ビザ問題だと思われます。

 マゴメドフは6月の『UFC on ABC 6: Whittaker vs. Aliskerov』でアントニオ・トロコリに3R TKO勝ちして以来の試合でプロデビュー以来13連勝中(UFC2連勝中)。オレキシェイジュクは6月の『UFC 302: Makhachev vs. Poirier』でケビン・ホランドに1Rアームバーで敗れて以来の試合で2連敗中。続きを読む・・・
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AB o UFC ニック・ディアス マイケル・ペイジ

UFC302:第10試合・ケビン・ホランド vs. ミハル・オレクシェイチュク

ミドル級。ホランドウェルター級の15位。

ホランドは3月の前戦ではUFCデビュー戦のマイケル・ペイジと対戦。ストライカー対決だったが打撃では押され気味で、2Rにはテイクダウンからチョークを仕掛けてあわやの場面を作ったものの、3Rに失速し判定負け。当初、8月にニック・ディアスと対戦するオファーを受けていたが、もっと早く試合をしたいとのことでオファーを拒否(ディアスは後にビセンテ・ルーケと対戦することが発表)。今回のオファーは階級上のミドル級契約だったが、早期の再起戦を選択した。31歳。

ポーランドのオレクシェイチュクは逆にライトヘビーから落としてきて、ここまで3勝2敗。前回はミシェウペレイラにチョークで落とされ秒殺一本負け。UFCでの7勝中6KO、5敗中4一本負けと、ホランド同様グラウンドに穴があるストライカー。29歳。

オッズは実質階級下だがランカーのホランドがフェイバリット。

ホランドがオーソ、オレクシェイチュクはサウスポーで構える。左を入れたオレクシェイチュク。詰めていきパンチを打ち込む。下がって回るホランド。ジャブを打ち込むが、右の蹴りに左フックを合わせられダウン!上からパウンドを入れるオレクシェイチュク。ホランドガードから腕十字へ。迂闊に取られたオレクシェイチュク。仰向けになって完全に腕を伸ばされたが、ポイントがずれているのかタップしない。ホランド脇に抱えて抱え十字に。まだタップしないオレクシェイチュクだが、レフェリーハーブ・ディーンが止めた。

ストップに抗議するオレクシェイチュク。ポイントがずれていたのかもしれないが、あれだけ完璧に腕を伸ばされたのなら止められても仕方ない。

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AB o UFC ニック・ディアス

UFC on ESPN+97:第6試合・ジョジアニ・ヌネス vs. チェルシー・チャンドラー

女子バンタム級だったが、チャンドラーが1ポンドオーバーしキャッチウェイトに。ヌネス13位、チャンドラー14位。

ヌネスはUFCデビューから3連勝。ムエタイバックボーンのストライカーで、10勝中7KO。ここ2戦はフェザー級に上げての試合だったが、体格的にはバンタムが適正階級。30歳。

チャンドラーはここまでUFC初戦が140ポンド契約、2戦目がフェザー級、今回が体重オーバーによるキャッチウェイトで、バンタムで試合したことがない。ニック・ディアス・アカデミー所属。UFC初戦では、ユリア・ストリアレンコにテイクダウンからのパウンドで1RKO勝ち。それだけでランキング入りした。2戦目は女子フェザー級で、ノルマ・ドゥモンと対戦し、テイクダウンを取られる展開に。ガードからけっこう仕掛けていたが、防がれて判定負け。こちらもムエタイがバックボーンで、柔術は紫帯。33歳。

ランカー同士だが、どちらも女子バンタム級での実績には乏しい。

詰めたヌネス。左オーバーハンド。クリンチしようとするチャンドラーをパンチで引き剥がす。左ボディを入れたヌネスだが、チャンドラー組み付いてケージに押し込む。入れ替えたヌネス。離れた。またパンチで詰めるヌネス。打たれて顔を背けるチャンドラー。また組み付いたチャンドラー。ケージに押し込み四つでクラッチした。テイクダウン。ハーフ。パウンドを入れる。ヌネスガードを取るが、チャンドラーはインサイドから肘・パウンド。ヌネスガードから腕十字へ。チャンドラースラムで叩きつけて凌ぐとまたパウンド。体を起こして強烈なパウンドを入れる。足で距離を作り立ったヌネス。立ち際に蹴りを入れたチャンドラー。まだグラウンド状態で頭部にヒットしたかに見えたがレフェリー流した。ヒットは肩の模様。パンチで出たヌネスだがホーン。

1Rはパウンドの印象でチャンドラー。

2R。またパンチで出たヌネス。左がヒットしぐらついたチャンドラー。ヌネスパンチ連打でケージに詰めたが、チャンドラーまた組み付いた。四つからテイクダウン。押さえ込まれる前に立とうとしたヌネスだが、すぐに上になったチャンドラー。バックマウントに。鼻血を出しているチャンドラー。回転して逃れようとしたヌネス。ハーフにしたが肘連打をもらう。膝で距離を作り凌ぐヌネスだが、チャンドラーまたパウンド。肘。ヌネスには立つ動きなし。下から抱えてディフェンスするだけ。ホーン。

2Rチャンドラー。

3R。詰めて左オーバーハンドを入れたヌネス。左ボディ。しかし組まれることを警戒している。パンチ連打を入れすぐ離れたヌネス。パンチで出ると、組みに来たチャンドラーをプッシングして引き剥がす。ケージを背負わせたヌネスがパンチを入れる。ヌネスの左オーバーハンドがヒットするが組まれてケージに押し込まれた。抜け出て離れたヌネス。またパンチで出るが、ケージ際で組まれそうになり離れる。また出た。チャンドラー組み付くことに成功。ケージ押し込み。入れ替えて離れるヌネス。パンチで攻める。またパンチで出る。顔をそむけながら距離を取ったチャンドラー。飛び込んで左オーバーハンド。ヒットしているが倒せない。ひたすら左オーバーハンド。最後に左オーバーハンドのダブルを放ったヌネスだがタイムアップ。

三者29-28でチャンドラー勝利。

ヌネスUFC初黒星。3Rの戦い方が最初から出来ていれば。テイクダウンを許すとリカバリーが出来なかった。

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45 Grachan Grachan67 MMA MMAPLANET o ONE TSUNE UFC ニック・ディアス ライカ 児玉勇也 南友之輔 宮内拓海 御代川敏志 徳弘拓馬 手塚基伸 松井斗輝 松場貴志 海外

【Grachan67】松場貴志に挑戦、御代川敏志「組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる」

【写真】移動で交通機関の遅れが生じるなか、カラオケ店に入りリモート取材に応じてくれました (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan67で、御代川敏志が松場貴志の持つフライ級王座に挑戦する
Text by Shojiro Kameike

昨年8月、フライ級挑戦者決定トーナメント決勝で児玉勇也をKOした御代川が松場への挑戦権を獲得した。それは御代川にとって、2021年12月に敗れている児玉にリベンジを果たした瞬間でもあった。これまで御代川といえばグラップラーの印象が強かったが、トーナメント中にストライカーへと変貌を遂げている。その御代川に、スタイルの変化とタイトルマッチへの意気込みを訊いた。


――御代川選手といえば丸坊主のイメージが強かったのですが、今は金髪になっています。確かグラジエイターに出場した時はドレッドヘアでした。いろいろ髪型が変化しているのですね。

「確かに変わっていますね。丸坊主にしたのは、ドレッドヘアが絡まるようになり、試合しづらくなったからなんですよ(笑)。でも、せっかく髪を伸ばしていて勿体ないなぁと思って、丸坊主にした時に刈った髪は今も部屋にあります」

――部屋にドレッドヘアが飾られているのですか!

「最初は髪の毛を寄付しようと思ったんですよ。どなたかがヘアエクステンション用に使えってもらえるように。でもゴチャゴチャに絡まっちゃったので寄付もできず、オブジェとして部屋に飾っています」

――髪型と同じように、御代川選手の試合スタイルも変化してきたように感じます。まずは御代川選手のキャリアについてお聞かせください。

「MMAを始めたキッカケはUFCでした。UFCを見てMMAを好きになり――当時はGSPの全盛期でしたね。選手としてはニック・ディアスが好きでした。それで高校1年の夏ごろ、部活代わりにジムに通い始めたんです」

――それまで何かスポーツは経験していたのですか。

「何もやっていなかったです。あんまりスポーツが好きではなくて。でもMMAを始めたら楽しかったので、『MMAで生活していけたら良いなぁ』と思うようになりました」

――なるほど。現在、MMAと並行して士道館の空手大会にも出場されているので、空手がベースなのかと思っていました。

「空手はやっていなかったです。僕が今、ネクスト赤坂ベースというジムで働かせてもらっていて。その職場で空手を教わってみたら、本当に楽しいんですよ。蹴りやのバリエーションや、基本稽古、移動稽古、型とか楽しいですね。だからMMAとは別に空手も練習しているという感じなんですよ」

――御代川選手のファイトスタイルの変化として、グラップラーからストライカーへと大きく変わりました。前回の試合ではカーフを効かせてから綺麗な右ストレートで児玉選手をKOしました。その変化は空手によるところが大きいのでしょうか。

「空手の影響もありますけど、一番は赤坂ネクストでムエタイを教わったことが大きいです。トレーナーはヌンさんを筆頭に――」

――ヌンさん、とは?

「ヌンサヤームですね、元ラジャダムナン王者の……」

――ヌンサヤーム・ギャットウィチアンさんですか! 元ラジャ2階級制覇王者で、日本でもトレーナーとしての評価も高いです。

「はい。試合でKOできるようになったのは、ヌンさんに教わってからです。打撃のコンビネーションだけではなく、倒せるパンチの打ち方、蹴りの打ち方——あとはその打撃を当てるための戦略や考え方がハマりました。試合のコンセプト、どう戦うかっていう」

――これは失礼な言い方になるかもしれませんが、トーナメント決勝で児玉選手をKOした時、「このコンビネーションを出せる選手だったのか!」と驚きました。

トーナメント決勝、児玉戦では開始早々、カーフが当たり強い音が響いたほどだった(C)GRACHAN

「アハハハ、そうでしょうね。以前は組みの要素が強かったと思いますし。カーフで試合をつくれるようになったことも大きくて。カーフの効かせ方は空手で鍛えられたモノかもしれないです」

――結果、あのトーナメント決勝でご自身も手応えを感じましたか。

「それまで練習ではできていたことが、ようやく試合でも出せるようになりました。自分でも言うのも何なんですけど、器用なほうなので練習では結構できたりするんですよ。でもそれを試合で出せないという期間が長かったです」

――御代川選手は2017年にプロデビューし、2021年までは勝ちと負けを繰り返すキャリアでした。しかし2022年以降は5連勝し、トーナメントでも優勝しています。打撃以外で伸びた部分はありますか。

「やっぱりパラエストラ千葉ネットワークで、組みが伸びたからですね。組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる。パラ千葉に入ったのも、ヌンさんに打撃を教わり始めたのも3年前——ちょうど連勝が始まった頃でした」

――そこでグラチャンのフライ級挑戦者決定トーナメント出場の機会を得るのも、不思議な縁ですね。そうなると必然というか、運命かもしれません。

「はい。練習はガッツリやっていましたが、目標が定まっていない時期でした。あのトーナメントも代役出場だったんですよ。もともと同じパラ千葉の松井斗輝が出る予定で。でも僕が出ることになり、勝ったらベルトに挑戦できる。そのチャンスをもらえたことで、ベルトという目標ができました」

――ではトーナメントに向けて新たに強化してきたものはありましたか。

「強化したものというか……、準決勝(宮内拓海にスプリット判定勝ち)は直前に抽選でカードを決めることになって。でも直前まで対戦相手が分からないと困るじゃないですか。だから岩﨑(ヒロユキGrachan代表)さんにも『困ります』と言ったんですよ」

――すると岩﨑代表は……。

「このほうが選手も成長するから、って(笑)」

――アハハハ。実際に成長できたのでしょうか。

「そうですね。誰と対戦するか分からない。予想できない。だから普段の練習が大切で――自分も成長できたと思います。自分の希望としては児玉選手にリベンジしたかったけど、それは決勝で達成して優勝できたので良かったです」

――では挑戦するチャンピオン、松場選手の印象をお願いします。

「組みでも打撃でも、自分が勝てると思います。もともと自分で勝手に、松場選手に対して強いイメージを持っていました。でも試合映像を視ていると、組みも打撃も自分のほうがレベルは高いと思うようになって。ただ、松場選手はMMAとしてのレベルが高い。試合のつくり方が巧いですよね。だから自分も戦術とか、そういう部分が大切になってきます」

――今回、ベルト挑戦ということでモチベーションも上がっていますか。

「気持ちは上がっています。でも、いつもどおり戦いたいです。グラチャンのベルトを獲ったら、海外で試合をしてみたいですね。以前ストロー級で試合をしていた時は、ONEを目標にしていました。でも勝てなくて、いろんなジムを転々としていて……。それが今はパラ千葉で若い子たちと練習させてもらって、トーナメントにも出させてもらい、自分も成長することができました。もちろん国内でもそうだし、海外の試合も含めて、どれだけ自分が成長したのかを確かめたいです」

■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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MMA o ONE UFC   イスラエル・アデサニャ カマル・ウスマン ジョン・ジョーンズ ニック・ディアス ロビー・ローラー

ニック・ディアス「UFCにはできるだけ早く試合をしたいと言っている」



ニック・ディアス「年末に試合をしたいが、やるならカマル・ウスマンのタイトルに挑戦したい」(2022年05月27日)

 こちらの続報。


 ニック・ディアスが以下のコメント。

「UFCにはできるだけ早く試合をしたいと言っている」

「ジョン・ジョーンズではないが…まぁイスラエル・アデサニャとかアレックス・ペレイラとか、常にベストな相手と戦いたい」


Nick Diaz(Sherdog)

 ニック・ディアスは8月には40歳になります。2021年9月の『UFC 266: Volkanovski vs. Ortega』でロビー・ローラーに3R TKO負けして以来試合をしていませんが、この時も6年8ヶ月ぶりの復帰戦でした。

 昨年5月に当時ウェルター級王者だったカマル・ウスマンと対戦したいと言った時はデイナ・ホワイトに一蹴されています。続きを読む・・・