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【RIZIN LANDMARK10】フライ級がヤバい!! 村元友太郎と対戦、ララミー「日本ではまだキョージがトップ」

【写真】いかにも頑丈そうな首と、気持ちの強そうな面構えをしているトニー・ララミー (C)RIZIN FF

RIZINフライ級戦線が熱い。豊富な日本勢に加え、海外勢の来日が増えている。17日(日)に名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10でもイ・ジョンヒョン、アリベク・ガジャマトフ、そしてトニー・ララミーが来日する。
Text by Manabu Takashima

昨日インタビューをアップしたダゲスタンのガジャマトフが、下馬評では3選手のなかえ一番の注目株かもしれない。しかし、MMAPLANETの一押しはカナダからやってくるララミーだ。

かつてドミニク・クルーズはスイッチを繰り返し、前後移動をしつつ左右&上中下と攻撃を散らしてテイクダウンに結びつけるシャッフルMMAで一世を風靡した。しかしながら、その動きは人体の構造として負荷が大きく、ドミニクはヒザの負傷を始めケガに泣かされるキャリアの終盤を送った。

それ故に、あの戦い方ができるファイターはMMA31年の歴史でドミニク・クルーズ唯一人と言われてきた。確かにドミニク以降、洋の東西と問わず彼の動きをコピーしようとしたファイターが見られたが、誰もモノにすることはできなかった。

そんな唯一無二のスタイルを進化させ、さらにテイクダウンに帰結するのではなく打撃で倒すスタイルを見せているのが、このララミーだ。ララミーがシャッフルMMAを消化し、さらに昇華させることができたのは極真空手というベースが存在したからだった。今やUFCに次ぐ陣容を誇るRIZINフライ級戦線で堀口恭司越えの可能性を誰よりも持つと思えてしまう──そんなララミーの言葉をお届けしたい。


荒っぽいことが好きだから、RIZINルールはUFCルールより合っている

──17日のRIZIN LANDMARK10における村元友太郎選手との対戦のため来日直前かと思いますが、インタビューを受けていただきありがとうございます(※取材は8日に行われた)。

「実は、もう日本にいるんだ」

──えっ、そうなのですか。

「時差や気候の違いを調整するには、試合の3日前の来日では厳しいからね。なんせ20時間もフライトがあるから。4日に東京に着いて、今はJapan Top Teamで練習をしているよ」

──おお、では朝倉海選手らと練習をしているのですね。

「彼とは同じ空間にいるけど、練習をしているのは同じ日に戦うJapan Top Team所属選手が中心だ。皆良い選手たちで、RIZIN初戦に向けて良い準備ができている。最高の試合を見せる自信はあるよ」

──北米のフライ級ファイターの進路はUFCの一択かと思っていました。お兄さんのTJはUFCファイターでしたし。トニー自身もLFAでも戦っていますが、RIZINで戦う選択をしたのはなぜでしょうか。

「RIZINが僕を見出してくれて、連絡をくれたからだよ。まだ25歳だけど、それほど将来のことを考えている猶予はない。ずっとPRIDEの映像も視てきた。PRIDEの時代って本当に楽しめるMMAだったように思っている。それもあってRIZINのことはチェックしてきたし、違うルールだっていうことも把握している。

僕は荒っぽいことが好きだから、RIZINルールはUFCルールより合っている。レスリング寄りのMMAより、ファイトを求めているからね。サッカーボールキック有りのRIZINルールはフィットしていると確信しているんだ。何より日本のファンの前で戦いたいという気持ちがあったから、北米のMMAから飛び出すことを決めたんだよ」

──RIZINルールが合っていると断言できるトニーですが、そのような考えを持てるようになった格闘技歴を振り返ってもらえないでしょうか。

「もちろん!!」

──まず、コンバットスポーツとの出会いを教えてください。

「11歳の時に始めた極真空手だよ」

──極真ですか! 

「そう、極真だ」

──カナダでは決してメジャーでないと思いますが、極真を始めたのは?

「昔ほど知名度はないようだ。ホントに。でも、僕が住んでいた地域にあったジムの代表が、極真空手の高段者だったんだ。そこで極真空手、キックボクシング、そして柔術の練習を同じジムでやるようになった」

──極真の道場でキックや柔術も学べたのですか!!

「そうだよ? それが何か、気になるの?」

──日本の極真空手の道場で、キックボクシングや柔術を学べるという認識が我々の世代にはなかったので。

「そういうことなんだ。先生は極真空手の指導者だったけど、ジムでは極真以外のクラスもあった。そして僕は多くの試合に出たいと思っていたから、キックと柔術も習っていたんだ。特に極真では試合経験を積むことができたよ」

──フルコンタクト空手がベースのMMAファイターはそれほど多くないですが、極真が生きる点はありますか。

「絶対的にタフネスさだよ。そして、堅実な基本だ。戦いのベースを極真の稽古で身に着けることができた。極真で学んだ基礎があったから、多くのことがキックボクシングやボクシングに応用することが可能だった。その結果、空手とキックボクシングを合わせて戦えている。

12歳になってMMAの練習をするようになってからは柔術、そしてレスリングにも力を入れるようになったよ。ボクシングとキックボクシングもだけどね」

どのような試合展開になってもそこで勝つ。それには個々の競技の試合経験が生きてくる

──極真では試合経験を積むができたと話されていましたが、他の競技でも競技会で戦っていたのですか。そうであれば戦果のほどは?

「極真は10回ぐらい優勝経験があるよ。レスリングはカデットでカナダ王者になったし、パンナムに出場している。キックだとWKAのアマチュア・トーナメントでも優勝した。ボクシングではゴールデングラブ王者、柔術では大きなトーナメントじゃないけど数えきれないほど金メダルは手にしたよ」

──キッズの頃から、本当に多くの試合経験があるということですね。その頃にはMMAファイターになることを考えていたのですか。

「そうだね。ただ、カナダ(オンタリオ州)ではアマチュアのMMAも戦うことはできなかった。だから、最初の試合は米国に行って戦っているんだ。そんな状況だったから、色々な競技のトーナメントで戦ってきた。MMAを戦うための準備をしていたんだよ」

──他競技で多くの試合をしたことは、MMAを戦うようになって生きていますか。

「MMAは文字通り、ミックストマーシャルアーツだ。ただのケージレスリングじゃない。レスリング、柔道、ボクシング、キックボクシング、柔術……全ての要素が含まれている。でも多くの人はMMAストライキング、MMAグラップリングをやっていれば良いと勘違いしている。

それらの競技の個々の技、そして規律を学んで融合させる。それがMMAなんだよ。どのような試合展開になってもそこで勝つ。それには個々の競技の試合経験が生きてくる。そういう意識を持って、アマチュアの競技会で戦ってきた。どの競技でも世界王者になるためにね。それぞれで、結果を出そうという考えでやってきたことで今の僕がある」

──現代MMAはウェルラウンディット・ファイター同士の戦いです。それでもストロングベースを持っているファイターが大半ですが、ここまで数々の競技歴があるトニーはバッグラウンドを問われると、どのように答えますか。

「僕はボクサーであり、レスラーと答えるかな」

──なるほど、今の話を伺ってトニーがあの戦いができることが理解できたような気がします。ボクシングとレスリングは前手が違いますし。

「しっかりと僕の試合を視てくれているようだね。僕の動きは、予測不能だ。対戦相手はスイッチをするのかしないかも分からないし、左右どちらから攻撃がくるのかも分からない。逆に僕は相手のリアクションを見ることができる。トレーニングの時から左右、何でもできるようにしているからね」

──それにしても、凄く自然ですよね。スイッチから次の動作に全くラグが無いように感じます。ステップインでも自然にスイッチをして、またステップバックも同じ。ただし、スイッチなしで前後移動もあり、繰り出される攻撃は左右・上中下と様々で、相手は混乱してしまうかと。

「スイッチに関してというと、僕のバックグラウンドは極真だ。極真は基本スクエア・スタンス(平行に両足が揃っている)だからね。結果、対戦相手はどちらの構えは分かり辛い。そして、当たり前のようにスイッチを繰り返す。スイッチを多用して左のパンチ、左の蹴り、右のパンチ、右の蹴りと繰り出せば、相手は予測できない」

──空手に構えなしという言葉が日本にはあります。その理由の一つに構えると、相手に情報を与えてしまうからと。

「その通りだと思うよ」

相手の長所が、自分の長所と同じなら恐れることはない

──いやぁ、今日の話を伺って村元選手との試合がますます楽しみになってきました。その村元選手にはどのような印象を持っていますか。

「オールラウンダーだね。でも、正直なことをいえば僕は余り対戦相手の試合はチェックしないんだ。自分の動きを変える必要はないと思っているし、どんな相手でも対応できるから。トレーニングパートナーは意識して動いてくれているかもしれないけど、僕は毎日の練習で成長できれば良い。ベストの動きを目指しているから、変化を加える必要はないというのが僕の考えなんだ。

対戦相手じゃない。自分がどう動くのか。戦いは如何に自分の動きができるかで決まる。逆をいえば、自分の戦いから遠ざかると勝てない。相手に自分の戦いをさせないために、僕の戦いをするんだ。そのために可能な限り、自分本来の戦いを貫き通す。

だからといって全く相手の試合をチェックしないわけじゃないよ。動きを見て、何が効果的かは頭に入れておく。そうすることで、微調整は必要でも全く違う戦いになることはないからね」

──つまりは村元選手にはハイスピード&ハイペースのスクランブルMMAをさせないということですね。

「スピードとペース? 僕の相手は世界で一番素早く動き続ける人間と戦わないといけないんだよ。相手の長所が、自分の長所と同じなら恐れることはない。でも試合って、結果的にこれまでにやってきたことがでるんだ。スピードとペースが同じでも、僕と同じことはできないだろう?

スピードとペースを武器に戦ってくるなら、僕のファイトがどういうものがすぐに理解できるに違いない。相手が動けば動くほど、僕の攻撃機会は増える。結果、仕留めやすくなるよ」

──いやぁ、もうお手並み拝見とさせていただきます。

「全てに期待して欲しい。速い試合展開のなかで、ドミネイトしてフィニッシュのタイミングを探る。これまでの試合でやってきたことを17日の試合でも見せるよ」

──RIZINフライ級のトップは堀口恭司選手、そして扇久保博正選手というベテランです。そして世界中から選手が集まりつつあり群雄割拠。誰が抜けだすのかという状況にあります。この状況から抜け出し、トップと対戦する力があるという想いをファンに抱かせることができる試合になることを期待しています。

「2、3試合でRIZINのベルトを巻く。そのために日本で戦うんだ。僕はフライ級で、世界のベスト。その座に就くのは、時間の問題でしかない。日本ではまだキョージがトップだと思われているかもしれないけど、彼に勝てないわけがない。まずは17日の試合からだ。試合を見てもらえれば、僕がリアルディールだと分かってもらえるはずだ。過去最高のシェイプだし、皆に喜んでもらえる試合をするよ」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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45 DWCS DWCS S08 DWCS S08 Ep10 MMA MMAPLANET o UFC ジョナサン・ミカレフ ダナ・ホワイト ドミニク・クルーズ ニック・クレイン フリエタ・マルチネス ヤディエル・デルヴァリエ ルイス・グールレ

【DWCS S08 Ep10】37秒一本勝ちのクレインら、4人が昇格。マルチネスは「若すぎる」と見送りに

<ミドル級/5分3R>
ニック・クレイン(米国)
Def.1R0分37秒by RNC
ヘラルド・ソウザ(ブラジル)

右前蹴りのクレイン、ソウザは左をフックもダブルレッグでテイクダウンを許す。スクランブルでバックに回ったクレインは、ソウザの前転にポジションを失いそうになりながら、RNCを支点にバックを取り直して両足をフックする。そのままソウザの背中を伸ばしたクレインが、RNCを極めきりタップを奪った。

そして2024年、最後の結果発表。ジョナサン・ミカレフのサインアップに続き、フリエタ・マルチネスは「どれだけ君のことを気に入っているか、表現のしようがない。信じられない才能の持ち主だけど、まだ20歳になったばかりだ。ベイビーだ。この階級ではまだ小さい。君はこのスポーツの未来だ。ドミニク・クルーズのコーチにも期待している。ここで契約して苦労するよりも、PIメキシコで引き続き練習して、試合経験を積んで欲しい。その時が来たら、即サインをする。我々は君の望んでいる。私たちは君を愛している」という最大の賛辞と受け取られる評価にも、表情は固まっていた。

「クソみたいな決定だろ。でも、自分が正しいと信じている」とはいうものの……大絶賛した勝者が若いから契約できないなら、これはもう出場させなければ良かったと指摘したくなる。マルチネスは気の毒でならない。

「試合が始まってから、なぜか分からないけどメチャクチャ気に入った」とヤディエル・デルヴァリエはUFCと契約に。そしてルイス・グールレ、「ニック(ピッチニーニ)のカムバックを尊敬している。勝つために戻って来たけど、不幸にも勝てなかった。ロイヴァルのコーナーでやってきた、1週間で契約した。君はUFCの漢だ」とステップアップが決定。そして「ショートノーティス出場、1分以内で紫帯の君が黒帯の相手を決めた。UFCにやってこい」とクレインも昇格に。そして、「最高のTVショーは、火曜日の夜だ」とダナ・ホワイトは2024年のコンテンダーシリーズを振り返った。


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45 DWCS DWCS S08 DWCS S08 Ep10 MMA MMAPLANET o UFC キック ドミニク・クルーズ フリエタ・マルチネス レスリー・ヘルナンデス

【DWCS S08 Ep10】ドミニク・メソッド?! テコンドー&レッスルのマルチネスが、ヘルナンデスに競り勝つ

<女子ストロー級/5分3R>
フリエタ・マルチネス(アルゼンチン)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
レスリー・ヘルナンデス(米国)

サイドキックやミドル、テコンドーの蹴り技を繰り出すマルチネス。右ストレートを伸ばしたヘルナンデスが、右カーフを蹴る。マルチネスの蹴り足をキャッチし、捌いてパンチを入れたヘルナンデスが続いてパンチで前に出る。ダブルレッグを合わせたマルチネスは、テイクダウンからスクランブルでバックへ。すぐにヘルナンデスが胸を合わせると、マルチネスは距離を取り直す。

カーフで尻もちをつかされたマルチネスは、すぐに起き上ると走って飛び蹴り。動きの多いなかで、マルチネスが右を当てる。マルチネスは蹴りの踏み込みから組みつくと、ボディロックテイクダウンを狙う。ヘルナンデスはヒザを腹に突き刺し許さない。ヘルナンデスは左ボディショットを入れ、マルチネスもハイから右オーバーハンド、ティットラtyギ&トリョチャギというコンビを見せておいて、一気にダブルレッグでテイクダウンを決める。ヘルナンデスの手をついての蹴りに距離を詰めたマルチネスが、パンチを落として初回が終わった。

2R、右ハイ~右サイドキックとMMAでは、あまり見られない蹴りの連係を駆使したマルチネスが、ここでもダブルレッグへ。ヘルナンデスは切ってロングの右を入れるが、距離を詰めたマルチネスが連打から上段後ろ回し蹴り。蹴りを見せてからのテイクダウンという流れて、ついにバックに回ったマルチネスが両足をフック。ヘルナンデスが胸を合わせた直後に、マルチネスがスイープ狙いからスクランブル──試合はスタンドに戻った。

シングルレッグから背中に回り、ジャンプしてバックグラブとしたマルチネスは、着地して正対するとダブルレッグへ。ヘルナンデスが切って、ヒザ蹴り。ケージ際でのクリンチ合戦から離れたマルチネスが、跳び二段ヒザ蹴りを放つ。マルチネスは動きが多い分、疲れも見えるようになりサイドキックに右を合わされる。それでもフットワークで間合いを維持したマルチネスの左ハイが、ヘルナンデスの顔面をかすめた。

最終回、テイクダウン狙いを切ったヘルナンデスが、右ストレートをヒット。続いてワンツーから左フックを振るう。構えを変えて、足を使うマルチネスは組みから蹴り、ヒザとここまでの逆のパターンで攻める。結果、組んでバックに回りグラウンドに持ち込んだマルチネスがバックグラブ。胸を合わされそうになり立ち上がるも、ヘルナンデスががヒールへ。外、内とヒールを続けるヘルナンデスはロールして防御のマルチネスに足関を続ける。

やがて足を抜いたマルチネスはスクランブルで、ヘルナンデスのバックへ。ここもテイクダウンから徹底してバックを取り続ける。残り75秒で胸を合わせたヘルナンデスがエルボーを打って離れる。ヘルナンデスはマルチネスのスピニングバックキックにバックを取るが、逆にワキを潜られ背中を取られる。直ぐに正対した離れた両者、最後までアグレッシブに攻撃を続けタイムアップを迎えた。

テコンドー流の蹴りとテイクダウンのコンビから、徹底したテイクダウン&バックコントロールに転じたマルチネスがスプリット判定勝ちを決め、バック宙。PIメキシコシティで指導を受けるドミニク・クルーズのアイデンティティが感じられる興味深いMMAを見せたマルチネス──UFCでそのファイトを見てみたいものだ。


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45 MMA MMAPLANET o Special TJ・ディラショー UFC アレッシャンドリ・パントージャ アーセグ イスラエス・アデサニャ カイ・カラフランス スティーブ・アーセグ ドミニク・クルーズ ボクシング マイケル・チャンドラー 大沢ケンジ 朝倉海 柏木信吾 水垣偉弥 良太郎

【Special】月刊、良太郎のこの一番:8月 カラフランス×アーセグ「スイッチを使う打撃として参考になる」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年8月の一番──8月17日に行われたUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」のカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグについて語ろう。


――今回はカラフランスのKOをピックアップしていただきました。まずその理由から聞かせてください。

「カラフランスは約10カ月ぶりの復帰戦で、アーセグはアレッシャンドリ・パントージャに負けて以来の試合だったんですよね。アーセグはフライ級では身長が高いんですけど(173㎝)、カラフランスは身長に対してリーチが長い体系なんですね。で、僕もMMAの選手を指導するうえで構えをスイッチする打ち方を勉強していて、この試合でカラフランスはファーストコンタクトから左→右→左とスイッチしながら出す攻撃を積極的にトライしていたんですよね。この形をトータル3回くらいトライしていて、アーセグもカラフランスの左のオーバーハンドを気にして、あまり自分から前に行くことが出来ていなかったんです。

アーセグもカラフランスが入ってくるところにアッパーを用意していて、それがいい形で当たったんですけど、フィニッシュシーンのカラフランスは左→左で入ってるんですよ。しかも左を見せたあとに左手でアーセグの前手を払って、それをアーセグに反応させておいて、右のオーバーハンドからスイッチしての左フックでダウンを奪っていました。あれは僕もすごく参考している動きですね。マイケル・チャンドラーもストレートでやる動きなんですけど、カラフランスの場合はストレートというよりもしっかり骨盤・軸に体重を乗せて、いい角度でフックが入りましたよね」

――試合途中にカラフランスのパンチの空振りが目立っていて、少しやりにくそうに見えていました。

「最初カラフランスは自分の右側に回ってトライしようとしてたんですよ。そこをリセットして左に回ったときにアーセグにアッパーを合わせられてるんですね。で、それもあったので次のトライではカラフランスがアーセグの前手を払いにいってるんです。あの前手払いにアーセグが反応してしまい、軸・顔が上がってしまったんです。あれはスイッチパンチャーに対して絶対にやってはいけない動きなんです」

――アーセグにミスがあったんですね。

「カラフランスはカラフランスで失敗もしているんですけど、最後のトライではそこを修正して打ち抜きました。だからここはしつこくやり続けたもの勝ちというか。アーセグはカラフランスのプレッシャーを感じていて、バックステップが少し甘くなっていたのかもしれないです。この試合は僕がMMAファイターを指導するにあたって、すごく勉強になる試合でした。構えをスイッチしてくる選手に対して“これをやってはいけませんよ”という意味でも参考になりました」

――良太郎さんはただ構えをオーソドックスとサウスポーに変えるだけではなく、スイッチしながらの打撃も研究しているのですか。

「はい。そういったスイッチしながらの打撃=ムービングの打撃に関しては、アルファメールの流れでいうとTJ・ディラショーとコーディ・ガ-ブランドがいて、ドゥェイン・ラドウィックのチームに分家していって……ですよね。実際にラドウィックはすごくムービングの打撃を研究していて、そこの指導が上手いんですけど、かなり複雑で覚えるのが難しいんですよ。あとはムービングをよく使う選手は体の反応速度が衰えると、それがパフォーマンスの低下に直結しちゃうんですよね。それこそディラショーやガ-ブランド、イスラエス・アデサニャもそうですよね。年齢を重ねることでの反応や体の連動が落ちると、一気に動きが落ちてしまうんです」

――スイッチしながらの打撃は運動能力に影響される部分も大きい、と。

「僕はそう思います。やはりムービングは体を連動させる動きなので、一つの形を覚えるのではなくて(重心を)おしりに乗せる、股関節に乗せる、体軸を変える……そういった動きが必要になるんです。どうしても年齢やキャリアを重ねると無理して戦わなくなるというか、若い時のようにたくさん動いて戦うというよりも、どっしりと構えて動きのベースをしっかり作って戦う選手の方が被弾は少なくなりますよね」

――非常に興味深い話です。

「例えばオーソドックスだけ、サウスポーだけしか使わない選手だったら、年齢を重ねても自分と相手との空間支配能力でなんとかなるものなんですよ。そしてその空間支配能力はあまり年齢に影響されることがない。アレックス・ペレイラがまさにそれです。逆にムービングする選手は空間支配の仕方が変わるし、反応速度が衰えてくると、そこに大きなズレが生じてくるんです。だからもし年齢を重ねてスイッチを使うとするなら、流れるようにスイッチを使って動き続ける=ムービングのスタイルよりも、オーソドックスとサウスポーをどちらも使えるスタイルの方が合っていると思うし、どうしても前者のスタイルは全盛期が少し短くなるのかなと思います。それでいくとカラフランスはキャリアは37戦やっていますけど、年齢的には31歳だし、まだ体力的に落ちることはないと思うんですよ。もし朝倉海選手がUFCのフライ級でやっていくなら、カラフランスとやると面白いと思いますよ」

――今後もスイッチしながらの打撃、良太郎さんが言うところのムービングの打撃は伸びていくでしょうか。

「日本人でも頻繁にスイッチしたり、ムービングする選手は増えていますけど、アメリカに比べると遅いじゃないですか」

――僕が初めてスイッチやムービングを意識したのは、おそらくドミニク・クルーズだと思っていて、彼がWECチャンピオンとして防衛を重ねてUFCに参戦したのは2010年~2011年です。

「僕もアメリカに練習にいった選手に聞くと、アメリカではスイッチやムービングがMMAをやる選手たちの基本的なドリルに組みこまれているそうなんです。ボクシングも国によってファイトスタイルが違うと言われますが、あれはその国の選手に合ったスタイルというわけではなくて、指導方法・方針の違いだと思うんです。もし日本人がメキシコでボクシングを始めたらメキシカンスタイルになるはず。もちろんそこには持って生まれた身体能力という部分での向き不向きはあると思いますけど、ただし最初からスイッチすることを教えていれば、そういう動きはできますよね。僕が最初から指導する選手は子供も含めて、オーソドックス・サウスポーどちらもできるようにしていますし、初歩の段階でどちらの構えもできるように仕込んでおくことで、将来的にスイッチやムービングの基礎はできやすいと思います」

――最初にどちらかに構えて、逆の構えを覚えるではなくて、最初からどちらも構えるようにするわけですね。

「どちらが利き手か、どちらの構えの方が力が伝わりやすいかは選手によって違うし、格闘技のバックボーンによっても変わってくるので、それはやりながらカスタムしていくイメージです。スイッチを練習するからスイッチヒッターにならなくてもいいし、どちらも構えることが出来たら、オーソドックスがやられて嫌なこと、サウスポーがやられて嫌なことを自分で覚えることもできて、同じジムの仲間の練習相手にもなる。そういう意味でもプラスですよね。どちらもの構えも出来ることと、構えをスイッチしながら打撃を出すことは別で、そこへの向き・不向きもあるので、僕はそういう考え方で見ています。少し話は脱線してしまいましたが、アーセグをKOしたカラフランスの打撃はスイッチを使う打撃として非常に参考になりました」

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【UFC ABC07】トニー・ファーガソンが対戦、マイケル・キエーザ「僕は日本で戦わなければならない」

【写真】さすがはカラーコメンテーター。非常に整理整頓された言葉が続いた(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC ABC07「Sandhagen vs Nurmagomedov」が開催され、マイケル・キエーアがトニー・ファーガソンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

今やファイターだけでなく、UFC中継の解説者としても活躍中のキエーサに解説業とファイター人生を尋ねた。「自由になれれば強くなれる」という彼の言葉はオクタゴンの内外で当てはまる。非常に穏やかでキエーザだが、日本のファンへの一言という紋切り型の締めに対し、それまで以上に声が籠るという一面が見られた。


――トニー・ファーガソン戦が今週末に行われます(※取材は7月30日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

(C)Zuffa/UFC

「凄く良いよ。

2016年にトニー・ファーガソンと試合が組まれたけど実現しなかった。僕はウェルター級に階級を上げたし、もう戦うことはないかと思っていたんだ。たけど、トニーがウェルター級に転向して僕を指名した。あの時は凄く興奮したよ。トニーは素晴しいファイターで、将来は殿堂入りするだろう。そんな彼と彼と戦うことができて本当に嬉しい」

──マイケルは3連敗、トニーは7連敗中です。この状況は勝利を目指すためにモチベーションになるのか、それともプレッシャーになるのでしょうか。

「3連敗もしていたら、本来はプレッシャーを感じるものだろうね。でも、今の僕は人生で一番大切なモノは何かが分かったから、プレッシャーを感じていないんだ。家族、友人たちとの関係は勝ち負けに左右されるものじゃない。勝とうが負けようが、彼らは僕を愛してくれている。

以前は試合に負けてファンがSNSに書き込む悪口や無神経な言葉に影響を受けることがあった。でも年を重ねて、人として成熟するとSNSの声なんて、何も重要でないと思えるようになった。僕には愛する人達、僕を愛してくれる人たちが近くにいてくれる。そんな愛すべき人々の存在が、僕からプレッシャーを取り除いてくれた。

何も縛られることなく戦うよ。そのために練習でベストを尽くしてきた。トニーが今、どのような心境で戦うのかは知る由もないけど、今の僕はそんな感じなんだ」

──自分の大切な人が理解してくれていると、顔も名前もしらない人間の書き込みなんてどうでもよくなりますよね。

「正直、今朝も色々と言われているよ。トニーは、多くのサポーターがいるからね。トニーを崇拝している分、僕に口撃をしてくるんだ(笑)。でも、僕がやるべきことはオクタゴンに上がって、勝利を得るために戦うだけだから。

家族を信じて生きるって、実は生き方を楽にしてくれるんだ。だって、それ以上に大切なモノは存在しないんだから。26歳の頃は、勝敗を生死のように捉えていた。でも、そんな風に考えることがなくなって、ファイターとしても成長していると感じている。自由でいることは競技者を強くする。今、僕は3連敗中だけど、人生においてその差は収入の差でしかない。勝てば、もっと収入が増えていたんだけどね(笑)」

──ハハハハ。そんなマイケルですが、もう6年ほど現役ファイターでありながら、UFC中継で解説者としても活躍しています。解説という仕事をすることが、MMAファイターとして役に立つことはありますか。

「もちろん、あるよ。絶対的にね。中継で解説をすることで、ファイトをするだけの自分とは違うビジョンが見えてくるようになった。ファイターの多くは自分の試合と対戦相手の試合しか、真剣にチェックしないものだ。

でも、少しでも良い解説者になろうとすればあらゆる選手のことを知らないといけない。そのためにチェックする試合の数が劇的に変わった。その結果、MMAについて理解が深まったよ。MMAは99パーセントの精神力と1パーセントの体力で戦うスポーツだ。解説の仕事をして、精神的に良い影響が出るようになった。ほとんどのファイターが、僕のような環境下で過ごしていないからね」

──TV解説は一般層にMMAを理解してもらうのに、とても大切な役割を担っていると思います。ただ殴り合いが見たいという視聴者に、MMAが何たるかを伝えることができる。そんな解説という仕事で、マイケルはどのようにMMAをジェネラル層に届かせ、より理解を深めてもらえるよう話していますか。

「まずファイトのストーリー性を伝え、興味を持たれるように心掛けている。DJは話しが面白いけど、知性を持ち合わせた解説をしている。ドミニク(クルーズ)は、技術の説明が秀でている。カラー・コメンテーターにも、それぞれ特徴がある。UFCの解説者に同じような人間はいない。ローラ(サンコ)は凄くエネルギッシュだけよね。マイケル・ビスピンはリズムよく、視ているファンの気持ちを上げている。そして、分かりやすい話し方だ。

そんななかで系統としては、僕はドミニクのような解説者になりたいと思っている。ドミニクって言葉をただ発するだけでなく、理に適う知識を持って言葉にできるんだ。試合を視ながら、そこで必要な知識をさりげなく話している。結果、ファンのMMAへの理解力が深まっている。そんなドミニク・クルーズの良さを受け継ぐような解説者になりたい」

──解説者は視聴者のことを100パーセント考える仕事で、ファイターは自分が勝つために我儘を通さないといけない。まるで別モノですね。

「どちらもスイッチを入れることが大切だよ。自由になれると、戦いやすくなる。そこが土曜日の試合でも大切になってくるだろう。自分にプレッシャーを与えることなく、戦いたい。そうやって戦うと、新しい自分になっている。きっと土曜日の試合で、ファンの皆が見たことがない戦いができるだろう。その機会を得られたのだから、存分に楽しみたいと思っている」

──マイケル、今日はありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「このスポーツから足を洗う前に、僕は日本で戦わなければならない。以前、UFC日本大会を訪れた時に、『こんなファンの前で戦いたい』と心底思った。僕はPRIDEを見て育ったし、今でもRIZINをチェックしている。日本のファンこそ、世界でベストのファンだ。日本の人達はマーシャルアーツへの造詣が深い。『いつかの日か、さいたまスーパーアリーナで戦いたい』と神に祈っているよ」

──嬉しい限りの言葉です。

「それに日本でUFCが行われる日は、近づいている。タツロー・タイラはフライ級のトップランカーに成長し、カイ・アサクラがUFCにやってくる。僕はウェルター級だから、手の合う日本のスーパースターはいないかもしれないけど、対戦相手は見つかるはずだ。UFCが日本に戻った時、絶対にその場に一緒にいたい」

■視聴方法(予定)
8月4日(日・日本時間)
午前1時00分~UFC FIGHT PASS
午前0時45分~U-NEXT

■ UFC ABC07対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
マイケル・キエーザ(米国)

<女子ストロー級/5分3R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ヨエル・アルバレス(スペイン)
エルビス・ブレネウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
カウエ・フェルナンジス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
シャミル・ガジエフ(バーレーン)
ドンテイル・メイス(米国)

<ライト級/5分3R>
グラム・クタテラデス(ジョージア)
ジョーダン・ブシニック(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)
サム・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート(英国)
ロランド・ベドヤ(ペルー)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
デニス・チュルリン(ロシア)

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45 MMA MMAPLANET o Special UFC アレッシャンドリ・パントージャ ドミニク・クルーズ マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 大沢ケンジ 平良達郎 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:6月 平良達郎×ぺレス「フィニッシュより、あの戦い方に驚き」

【写真】おたつロックからのフィニッシュが話題になったが、そこに至るまでの戦いぶりを再評価したい(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年6月の一番──6月15日に行われたUFC on ESPN58の平良達郎×アレックス・ぺレスについて語ろう。


――平良選手がフライ級5位のぺレスに2RTKO勝利し、日本人前人未到のオクタゴン6連勝を果たし、フライ級で5位にランクされることとなりました。当然、水垣さんにもこの試合をセレクトしてもらったのですが、率直にどんな感想を持ちましたか。

「フィニッシュもそうなんですけど、僕は一発でテイクダウンを決めたことに驚きましたね。ああいう風にパっと(テイクダウン)出来るとは思っていなかったので。ムハマド・モカエフもぺレスをテイクダウンするのに手こずっていたので、ああいう形でテイクダウンしたことに驚きました。またあの時の平良選手のテイクダウンはどちらかというと(テイクダウンを)切られるパターンなんですよ。タックルに入って、出ている頭と逆側の脇を差されるっていう。あの形は仮にケージまで押し込めたとしても、脇を差し上げられて四つ組みになりやすいんです。でも平良選手はそうなりそうなところで、上手くぺレスの身体を引き出して足をかけてテイクダウンする。あれは見ていて僕も勉強になりました」

――私も試合前は平良選手が勝つにしても、一発でテイクダウンを取るという展開は想定ませんでした。

「僕も平良選手がどこで勝負するのかなと思っていて、もっとスタンドでカーフを蹴って削ったり、四つ組で上手くテイクダウンしたり、そういう試合をイメージしていたんです。実際の試合では自分からタックルに入ってテイクダウンしましたけど、あれは考えていなかったですね。レスリングレスリングしていない、足をかけてのテイクダウンというか、ダゲスタン系の選手がやるような足をかける系のテイクダウンですよね。アメリカの純レスリングにはない技術だと思うし、それを上手く使って戦っているなと思いました。それでいて彼には柔術的なテクニックもあって、そこをミックスさせたものが平良選手のスタイルだし、フィニッシュは機転を利かせた技というか、ああいう技を使うのは彼の頭の良さであり、すごく頭が柔らかいなと思いました」

――むしろ平良選手にとってぺレスは苦戦を強いられる、攻略が難しい相手だと思っていました。

「フィニッシュもそうですけど、ぺレス相手にあの戦い方をして勝ったことが驚きました。僕は『どうやってぺレスを攻略するんだろう?』と見ていて、例えば組みの部分でも下になってスクランブルを仕掛ける、もしくはスイープして上を取るのかなと思っていたんですよ。ただぺレスは首系サブミッションも上手いので怖いなとか。だから平良選手がどう戦うのかすごく興味深くて。最後のフィニッシュも、試合後のインタビューで『レスラー対策のスペシャルムーブだ』ということを言っていましたが、ああやって自分がスタンドでバックを取るところまでイメージしていたんじゃないのかなと思います。レスラーに尻餅をつかせれば背中を見せて立ってくるから、そこに飛び乗ってスタンドのバックから攻める、みたいな」

――あとはぺレス相手に一切気持ちがひかない、自信たっぷりに堂々と戦っている姿が頼もしく見えました。

「僕が引退して思ったのが、相手がランキングのトップ5以内の選手になってくると、博打を打たないと勝てないんじゃないのかなというマインドになっていたんです。普段通りのスタイルを貫くのが難しいというか。チャンピオンクラスの選手と戦うと、どこかで自分が劣っているという考え方になって、自分自身の戦い方に自信を持てないから、一発先に当ててやろうとかどうやって一発逆転しようみたいな。ドミニク・クルーズとやった時なんかはそういうメンタルだったんです。でも平良選手を見ていると、そういうメンタルになっていないところがすごい。相手がトップ5でもなんとも思わずに、いつもの自分を出せば勝てると思ってやっている。それが僕からするとすごいなと思いますね」

――まさに強い人間のメンタリティですね。

「僕もランキング5位~10位の相手だったら、そういうメンタリティで戦えたんですよ。でもチャンピオン付近・トップ5になってくると、そうは思えなかったんです。でも平良選手はそうじゃないから、今後の試合にも期待が膨らみますよね」

――戦い方という面で先ほどは「平良選手のスタイルがある」という言葉もありましたが、彼独自のスタイルがあったうえでMMA的にもレベルが高いという印象ですか。

「これもまた僕との比較になっちゃうんですけど、僕はレスラーに対してレスリングを頑張って何とかしようと思って、それでレスリングを必死に練習して、自分のいい部分を出すこともできました。ただそれがトップレスラー相手になると、どうしてもレスリングが弱点になっていて、そこで勝てない苦手意識がありました。でも平良選手はレスラー相手にレスリングだけじゃなく、レスリング以外の色んな技術を駆使して対抗していると思うんですね」

――ランキング5位のぺレス相手に今回の試合内容で勝ったわけなので、僕はこのまま平良選手には自分のスタイルをぶつける形でトップ5の選手と戦ってほしいんですよね。

「チャンピオンのアレッシャンドリ・パントージャが柔術家なので、柔術家相手にどう戦うのかが見たいですよね。今回のぺレスの試合を見ると、柔術家とやるとどうなるんだろう?というところがあるので。僕はレスラーが苦手で、柔術家は得意なところがあったので」

――今後、平良選手よりも組み技・寝技が強い相手と戦うことになったら、平良選手はどんな戦い方をするんだろうという興味も沸きます。

「想像が膨らみますよね。7月27日(現地時間)にマネル・ケイプとモカエフが試合をしましたけど、あの試合を比べると平良選手の方が期待感を持てる試合だったと思うんですよ。しかもモカエフがUFC離脱という話(※取材日は28日)も出ているので、それだったらなおさら(タイトルマッチを)期待しちゃいますよね。同じ日本人だからということを抜きにしても、どちらがチャンピオンとやった時に期待を持てるかと言ったら、僕は平良選手の方だと思いますね」

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AB o UFC キック ドミニク・クルーズ ハニ・ヤヒーラ ピョートル・ヤン ボクシング マリオ・バウティスタ ロブ・フォント

UFC on ESPN58:セミファイナル・ダグラス・シウバ・ジ・アンドラージ vs. マイルズ・ジョーンズ

バンタム級

当初セミで組まれていたミドル級のイクラム・アリスケロフが、来週のサウジアラビア大会のメインに出場予定だったハムザト・チマエフ欠場により代役としてロバート・ウィテカーと対戦することになり、試合が消滅。代わってセミに昇格したのはUFC7勝5敗のシウバと5勝2敗1NCのジョーンズの対戦。

ジョーンズはレスリングベースのストライカー。2敗の相手はジョン・カスタネーダと現ランキング12位のマリオ・バウティスタ。昨年9月の試合は判定勝ちも、試合後に意図せず摂取した禁止薬物が検出されノーコンテストに。3月の前戦は、欠場選手の代役として、1週間前にスクランブル出場し、昨年のTUF準優勝のコーディ・ギブソンに判定勝ちした。30歳。

アンドラージは2014年にUFCデビューして、今年で10年になるベテランファイター。バンタム級で負けた相手はサイード・ヌルマゴメドフ、ピョートル・ヤン、ロブ・フォントの3人で、いずれもランカーまたはランキング目前の選手。アンドラージもランキング目前までは行っているが、あと少しで届いていない。ボクシングがバックボーンのストライカー。バンタム級ではハニ・ヤヒーラとドミニク・クルーズに続く3番目の年長ファイターで、来週39歳になる。

両者オーソドックス。右オーバーハンドを入れたジョーンズ。両者ともに警戒している。前蹴りを見せたアンドラージ。左で飛び込んだジョーンズ。カーフを蹴ったジョーンズ。右アッパーで飛び込んだアンドラージ。ジョーンズも左フックを一発返す。またカーフを入れたジョーンズ。足が流れたアンドラージ。右ボディ。ワンツーを入れたジョーンズ。アンドラージの飛び込みにフックを合わせたジョーンズ。アンドラージバックスピンキック。関節蹴り。飛び込んだジョーンズにアンドラージが組み付いたが、膝を入れて離れたジョーンズ。ホーン。

1Rジョーンズ。

2R。ジャブを突いたジョーンズ。またカーフ。飛び込んできたアンドラージに右フックを合わせた。またアンドラージが飛び込んだが、パンチをかいくぐって右をヒット。さらにアッパー。アンドラージも飛び込んでパンチを出すがブロックされる。ジョーンズの打撃のヒットが増えてきた。アンドラージは有効打がない。飛び膝。ブロックしたジョーンズがケージを背負ったところに飛び膝を見せた。またバックスピンキック。前蹴り。ちょっとずつ手数が増えているアンドラージ。しかしまたジョーンズのカーフで足が流れる。飛び込むアンドラージに右フックを引っ掛けると、ジャブのダブルから右フックを打ち込んだ。また右フック。一瞬手をついたアンドラージ。さらに左フックもヒット。またバックスピンキックを見せたがかすめたのみ。飛び膝もかわされる。ジョーンズのバックヒジは不発。ホーン。

2Rもジョーンズ。

3R。フィニッシュが必要なアンドラージ。ジョーンズは攻めるようで攻めないフェイント。アンドラージが手を出せなくなる。ケージ際まで詰まったところで、アンドラージが飛び込むが、そこにフックを引っ掛けられ効いた。アンドラージがここでタックル。シングルレッグ。しかしアンドラージ切った。左オーバーハンドを振ったアンドラージだがジョーンズかわして逆にフックをヒット。ジョーンズ飛び込んでアッパー。アンドラージが飛び込んでパンチがヒットし、ジョーンズがマウスピースを吐き出す。はめ直して再開。残り1分。ジョーンズサークリング。アンドラージのバックスピンキックが側頭部にヒット。ちょっとぐらついたが、出てきたジョーンズに組み付いて凌ぐ。最後にパンチを打ち込んだジョーンズに対し、アンドラージは打ってこいとアピール。行かなければならないのは自分だが…。タイムアップ。

30-27×2、29-28の3-0でジョーンズ勝利。

両手を広げて納得行かないアピールを見せるアンドラージだが、判定は極めて妥当。なぜ最後に攻めなかったのか。

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o UFC YouTube YUKI ショーン・オマリー ジョゼ・アルド チャンネル ドミニク・クルーズ ヘンリー・セフード マネル・ケイプ 元谷友貴 平良達郎 朝倉未来 朝倉海

【UFC】朝倉海 UFCで戦いたい相手はショーン・オマリー!


UFCと契約した事を発表した朝倉海。出場する階級がフライ級かバンタム級か、ファンの注目を集める中、元谷友貴のYouTubeチャンネルに出演。その中で「階級はまだ話し合っている最中で、フライ級かバンタム級どっちでもUFCはウェルカムって言ってくれているので、相手とかも含めながら、ちょっといま交渉しているところですね」と語りました。

さらに対戦したい相手として、UFCバンタム級王者のショーン・オマリーを名前を挙げました。朝倉海×オマリー。。。確かに日本人ファンからすると映えるマッチアップ。色めき立つのは間違いありません。オマリーの打撃に海の打撃がどこまで通用するのか。見たいようで見たくない、怖い一戦です。

アメリカのUFCファンからすると、まだ誰?という感じだろうから、まずは初戦を勝って連勝していく事。朝倉未来曰く、超好待遇でUFCと契約したそうなので、戦績次第ではタイトルショットも夢物語ではないかもしれません。

でも改めてフライ級とバンタム級のランキングを見ると、フライ級なら平良達郎やマネル・ケイプ、ムハンマド・モカエフらとの対戦は楽しみですが、個人的には、より夢があるのはバンタム級かな。王者のオマリーや1位のメラブ・ドバリシビリは別格としても、ジョゼ・アルド、ドミニク・クルーズ、ヘンリー・セフードら、レジェンドクラスとの対戦も心ときめきます。フライ級になるか、バンタム級になるのか。しばらくの間、日本格闘技界最大の関心事になりそうです。
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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC298 YouTube   ドミニク・クルーズ 中村倫也 常達偉 摔跤 水垣偉弥

【UFC298】ヴェラ戦へ。中村倫也のMMA学概論─02─「意識を向けたところにエネルギーは発生する」

【写真】競技特性上、レスラーが嫌がる距離を取る中村。ここからさらに動いて誘い、無理に相手が前に出るように仕向けていた(C)MMAPLANET

17日(土・現地時間)、カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催されるUFC298「Volkanovki vs Topuria」でカルロス・ヴェラ対戦する中村倫也インタビュー第2弾。
Text by Manabu Takashima

古巣専修大学レスリングジムでトレーニングから、中村は競技として攻め主体の格闘技にあってMMAには、距離を取って「誘う」という間があることから、外見の動きと内面の思考と意志力の一致が欠かせないと独特の感性に得ることができたMMA論を語った。

ヨガでも、武術でもない。勿論、宇宙でもない。中村倫也はMMAを追求している。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>


──持続力というのは?

「これまで1Rのなかで、体力を気にして躊躇するようなことがあったのですが、それがなくなってガンガンと蹴りが出せるとか。そういう部分ですね。心配なく、それが出せるようになりました。ただ、そうなると自分がどんどん攻め気になってしまうのがMMAで、後ろのスペースを使わなくなってくるんですよ」

──そこで後ろの発想があるのが、倫也選手ですよ。攻め主体は、あらゆる競技の特徴で。そこで後ろを気に出来る。ある意味、武術に通じています。

「レスリングは場外に出ると減点なので、その感覚は持っているといえば持っているのですが……」

──でも、それはある意味攻められている方の感覚ですよね。倫也選手が言われたイケイケになると、後ろのスペースを使わなくなるというのとは状況が違います。


「そうですね。レスリングは誘うってことはしないですしね。でも、MMAをやるようになってから『しても良いじゃん』って誘うような動きをここでも取り入れています。『コイツは並行ステップをすれば、並行でついて来る。なら、角度をつけてテイクダウンを狙おう』とか。それがメッチャ通用するんです」

──うん。倫也選手、去年はシルムとモンゴル相撲の体験紀行を実施しましたが、今度は台湾に行って摔跤をやりましょう!!

「摔跤? それって何ですか(笑)」

──平たくいえば中国式レスリングですが、武術として功夫の母体であり、功夫の究極系とも言われています。なので打撃、擒拿、関節技も含まれています。競技としてサークルマットで戦い、レスリングのように押し出されるとポイントを失いますが、押し出すことを目的とした押し出しにはポイントは与えられません。あくまで円の移動で相手を崩して、ボディバランスを崩した時のみ有効です。さらにヒザ下への蹴り、バランスを崩す目的の蹴りも許されています。

■台湾に残る伝統的な摔跤を伝承する常達偉(チャン・ターウェイ)氏のインタビューはコチラから

「円の動きなのですか! おおっ!! 行きたいですっ! めっちゃ行きたいです(笑)」

──鍛錬が功夫で。

「凄いっすね。呼吸法とかも、何かありそうです。そうっすね、その理論は生きて来そうです(笑)。台湾、行きたいです!!」

──八極拳とかも、ぜひ体験してほしいです。站椿とかも、倫也選手は生かせそうです。

「いやあ、楽しみです(笑)」

──本当に話が逸れてしまいましたが、レスリングに誘うことを用いて、どのような変化が起こったのでしょうか。

「手を首にかけて誘うとか、そういう距離感ではやっていました。そこからアンクルピックみたいな形で。でも、触らない位置で誘うというのはやらないことですし、学生達も違和感があるようです。レスラーにとっては、触ることができない距離は気持ち悪いはずです」

──レスリングは闘牛同士の戦いですよね。

「アハハハハ。確かに。闘牛士がいない。闘牛✖闘牛ですね。だから、そこを踏まえてレスリングのスパーをやってみます。ただ久しぶりだし、思い切り押し切られることもあるかもしれないですけど、工夫をして進化をもたらせたいですね」

──MMAって気持ちの良い空間のやり取りは、他の競技よりも少ないかとも思います。以前、水垣偉弥さんとアライアンスに行った時に、ドミニク・クルーズの師匠であるエリック・デルフィエロにミットを持ってもらったのですが、『気持ち良くない。逆に気持ち悪いミットでした』と感想を述べていました。

「そうなんですね、ミットからそうなる。コーチがわざとやっているわけですね、凄いですね。でも、誘えるっていうのはMMAを始めて気付いたことです。だから逆に僕は上手い人とやると、誘われてしまことが凄く多いです。(アリアンドロ)カエタノ戦は自分が闘牛になって、変な位置から飛び込んで一発を貰ったし、野瀬(翔平)君との試合で一発を貰ったのも自分から突っ込んだ時です。

ガルシア戦で事故は無かったですけど、向うが2歩、3歩と下がった時に追う技術が自分にはなかったです。そこは頭を抱えました。今回、決まっていた相手もサークリングを多用するタイプで、シミュレーションをしたときに『あっ、コレ誘われてるわ』みたいなことに気付きました。そこでプレッシャーの掛け方とか、距離の潰し方を色々とやっている際中だったんです」

──その距離を潰せるようにならないと、上には行けない?

「そうッスね。アレを潰さないといけない」

──後ろも気にするし、前にも出ないといけないと。

「金網の中ではあの空間を支配しないといけないです。実際に戦うようになって、気付くことは多いです。僕はシミュレーションの1回、1回を本当の試合のようにやっているんで気付きは多いです。そして、これまで戦ってきたなかで気持ちが良かった瞬間を思い出す作業をメンタルコーチング・セッションとかでするんですけど。その時って前の空間と後ろの空間が把握できている瞬間なんです」

──おぉ。

「なんか細胞が、そうなっていて。あと2歩下がると金網だからとか、もう少し来たら外すとか」

──それが倫也選手は競技を戦っていて、できているということですか。相手の攻撃が見えるだけでなく、自分の動きを把握すると相手も自分のことも分かり過ぎて、動けなくなる。それが護身を目的とする武術を競技に用いる難しさだと理解してきましたが……。

「はい、はい、はい。そこを凄く探しているんです。頭がバババババババと凄く回っていて、凄く活性化して色んな展開を想定する。でも体の動き、速さには限界があるから。ワッと自分が攻撃した後の展開まで色々と考えちゃって動けなくなります。頭のモーターが早過ぎて、から回しているみたいな。

パッと拾って、その動きに繋げるにはどういう心理状態が良いのか。それを探しているとことですね」

──倫也選手、長い間は戦えそうにないですね(笑)。

「できないッスね(笑)」

──武術は生涯をかけてやるもので。そこと同じ精神状態を現役競技生活のなかで求める。いやぁ、凄まじいです。

「それを体現したいというのはあります。それが整っている時が統一体ですもんね」

──出たぁ、統一体。自身の体が最も整い、意志伝達が行きわたる。それでいて、特別ではない。無理をしない状態ですね。

「今、教わっているメンタルコーチングの方だったり、ちょいちょいストレッチスタジオでお世話になっている人たちって真理とか、法則を纏める人たちなんですよ。そういう人たちの言っていることで、一致することを拾っていく。格闘技でないところで生きている人の考えも、格闘技のシチュエーションで生きることに通じることがある。そこで、こう切り替えるのは格闘技の考え方と同じだ──とか。そういう人が統一体になることが、一番パフォーマンスを発揮できるという風に言っています。呼吸、姿勢、そこからですね」

──通じているのですね。

「人間は外見の動きだけでなく、内面と通じている。MMAを戦うようになって、そこが一番感じられることです。意識を向けたところにエネルギーは発生する。そこを凄く感じていて……僕はレスリング時代はコンディションがメチャクチャだったんです。今はそうでなくなったのは、そこを感じるようになったことも関係しています。

ずっと頑張って前へ、前へ、前へという人生を送ってきたので、自分の体って実際よりも前にあるという感覚になっていました。肩を動かそうと思ったら、本来はある位置よりも気持ちでは前に肩がある。気持ちが前のめりになっているので。そこから動かそうとすると、実際の肩の位置と距離があるから支点がズレてケガをする。

ストレッチをするのも、伸ばしたい場所を明確にする。本当にその箇所に意識をして伸ばすと、伸びも違います。そんな風に本当の自分の体の位置への理解が深まり、ケガも減りました」

<この項、続く>

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o UFC キック ドミニク・クルーズ マリオ・バウティスタ

UFC296:第5試合・コーディ・ガーブラント vs. ブライアン・ケレハー

バンタム級

バンタム級王者のガーブラントだが、フライ級に落とした際にランキングから外れており、現在もノーランカー。無敗のまま、25歳でかつての絶対王者ドミニク・クルーズを破りタイトルを獲得した時は、当分安定してベルトを保持し続けると思ったが、タイトル獲得後の戦績は2勝5敗。5敗のうち、KO負けが4つもある。カラフランス戦でフライ級に落としたが、1RでKO負けし即バンタムに戻している。前回はUFC1勝3敗のトレヴィン・ジョーンズと対戦し、2Rまで打撃の手数で上回ると、3Rには手を出さず、ラウンドを捨てての逃げ切り判定勝ち。まだまだ復活には程遠い。8月にはジョーンズに唯一敗れているマリオ・バウティスタと組まれていたが負傷欠場で、今回の相手ケレハーも中堅クラスでまだノーランカー。マッチメイクがだいぶ慎重になっている。32歳。

ケレハーはUFC8勝7敗で2連敗中、前回敗れた相手がマリオ・バウティスタ。1Rにテイクダウンを奪われ、マウントからのパウンド→バックマウントからのチョークで完敗している。一本勝ち10回のうち、ギロチンでの勝利が7回ある。勝っても負けてもフィニッシュ率高め。バンタムでは大ベテランの域に入る37歳。

さすがにこのレベルの相手には、元王者ガーブラントがフェイバリットとなっている。

ガーブラントジャブ。ワンツー。パンチでアグレッシブに攻めている。ケレハーカーフキック。前蹴り。またカーフ。足が流れたガーブラント。ケレハーがプレスしていくが、ガーブラントが飛び込んでパンチ3連打をヒット。また詰めるケレハー。カーフを放ったタイミングでガーブラントが飛び込みワンツー。前蹴りをかわしたガーブラントがケージを背負ったところにケレハータックル。ケレハーの差した右腕を小手に巻いてこらえるガーブラント。離れた。パンチで出るガーブラント。ワンツー。ケレハーまたカーフ。ちょっとバランスを崩したガーブラント。逆にガーブラントが組みに行く。ケージに押し込んだが、肘を入れて離れた。ガーブラント飛び込んでパンチ6連打。出てきたケレハーに右フック。ヒットし効いた!すぐに詰めたガーブラント。さらに詰めて右を打ち込むとケレハーうつ伏せに倒れ込みダウン!追い打ちせずKO!

カーフを蹴られた左足が大きく腫れているガーブラント。結果ほどには楽な試合ではなかったのかもしれないが、ようやく復調してきた感がある。

試合後のインタビューでは「4月か5月にデイブソン・フィゲイレードと戦いたい」とアピール。