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【Gladiator029】令和の元寇、吉田開威と暫定バンタム級王座決定戦。シンバートル「羊肉と乳製品」

【写真】ムービーもスチールも関係ないと思われるほど、インタビュー中に動きがない。ある意味、モンゴルの不動心シンバートル(C)MMAPLANET

12日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR029でシンバートル・バットエルデネが吉田開威とGladiator暫定バンタム級王座決定戦を戦う。
Text Manabu Takashima

昨年10月にBreakthrough Combat旗揚げ戦では、キャリア3戦目ながら下馬評をひっくり返し吉野光に快勝したシンバートル。プロMMAデビューは2022年10月で、去年の5月には母国で元Gladiatorバンタム級王者テムーレン・アルギルマーを下している。

モンゴル相撲、レスリングをベースにMMAを戦うシンバートルはMMAの試合経験は少ない一方で、2023年と2024年の2年間でモンゴル国内ではキックボクシング、コンバットサンボでナショナルトーナメントで優勝し、散打とシュートボクシングで準優勝という結果を残している。

テイクダウン&グラウンドコントロールの強さで定評のある吉野の抑え込みを返したブリッジ、テイクダウンもしっかりと奪ったことで──僅か1試合で、国内での評価を絶対とした。

令和の元寇、盟友オトゴンバートル・ホルドバートル、ダギースレン・チャグナードルジと共にグラジのベルトをモンゴルに持って帰るべき戦うシンバートル。その強さの源はモンゴル相撲、羊肉、乳製品、そして乗馬だった。


モンゴルで漢として生まれたからには、モンゴル相撲と乗馬をするのが基本

――10月30日にBreakthrough Combat旗揚げ戦で吉野光選手に勝利し、一度は今大会で竹本啓哉選手戦のオファーがあったと伺っています。

「すぐにまた日本でデキることが決まって、信じられないほど嬉しかったです」

──吉野戦の勝利で、シンバートル選手の評価は爆上がりました。

「ヨシノ選手は、本当に強くて勉強になりました。そんな彼と良い試合ができて、良かったです。とにかく日本の人達に自分のことを知ってもらえて嬉しいです」

──あの試合、下になった時に右に左と逆方向にブリッジをして上を取っていた動きを中村倫也選手が絶賛していました。

「そうですか(微笑)」

──……(笑)。あのように相手を動かせて、上を取るということは練習でも意識しているのですか。

「抑えられた時に返す練習は、常にやっています。あの動きも練習通りの動きでした」

──凄まじい体力、そして体幹の強さを感じました。「羊肉を食らい、馬に乗った幼少期を過ごした選手は強い」。そんな柏木信吾氏の主張があるのですが、シンバートル選手も子供の頃に乗馬をされていたのでしょうか。

「乗馬はモンゴルの文化です。モンゴルで漢として生まれたからには、モンゴル相撲と乗馬をするのが基本です。自分はオブスゴル県という田舎で生まれ育ったので、馬に乗るのは生活の一部でした。今も田舎に戻ると、馬に乗っています。ナーダムのような特別な日には人間も馬も着飾っていますが、自分たちは子供の頃から暴れ馬を抑えることが役割だったので手綱も鞍もなく、裸の馬に乗っていました」

──それは……木登りどころでない、強靭な体を創り上げることができますね。

「(照れ笑いを浮かべるのみ)」

オトコンバートル こいつは質問しないと、返事をしないから(笑)。

──ハハハハ。なるほど、です。栄養価の高い羊の肉を食べて、裸の馬に乗る。よって強い肉体と絶妙なバランス感覚を養うことができたと思っていますか。

「その影響は大きいと思います。自分は勉強も好きでなかったですし、毎日のように草原で馬に乗っていたいという子供だったので。そして暇さえあれば、友達とモンゴル相撲をしていました。モンゴル相撲をして、羊の肉を食べて。お菓子も乳製品という生活をしてきたので、今の体が出来上がりました」

──そのモンゴル相撲の経験なのか、あれだけレスリングができても絶対的にアンダーフックという思考でもなく、クリンチの攻防でオーバーフックに取るところが、師匠のジャダンバ・ナラントンガラグに非常に似ていると思いました。

「それこそナラントンガラグ先生の指導の賜物です。アンダーフックを狙って来た相手の腕をオーバーフックで固定して、殴るんです。このオーバーフックはモンゴル相撲の一つの形ですね。相手の腕の自由をきかなくして、柔道でいう外無双や内無双を仕掛けるのがモンゴル相撲の特徴的な動きなので。そこはMMAでも使いやすいです」

自分はグラップリングでも打撃でも戦えるので

──そこにレスリングが融合し、かつ柔術的な動きが非常にスムーズだというのが──これも中村倫也選手のシンバートル評でした。

「自分のベースはレスリングですが、MMAはそれだけでは戦えないです。なのでグラップリング、柔術も凄く練習しています」

──それは道着を着ての柔術ですか。

「いえ、ノーギです。MMAのための練習なので、道着は着ません」

──では、次の試合に向けての話を聞かせてください。竹本選手との試合から、暫定王座決定戦で吉田選手と戦うというオファーを貰った時はどのような気持ちでしたか。

「自分はどのような試合でも受ける腹積もりでいます。なので対戦相手が代わっても、それほど影響はないです。それでもタケモト選手と戦う予定だったので、タケモト選手の映像をチェックして練習をしていました。タケモト選手に勝つために努力をしてきたのですが、やはり暫定王座を賭けて戦える方が嬉しいです」

──竹本選手と吉田選手、まるでタイプが違うファイターと戦うことになりましたが。

「確かにグラップリングが強い選手から、ストライカーに代わりました。ただ、特に問題ないです。自分はグラップリングでも打撃でも戦えるので。

(ここでインタビュー中に傍らにいたオトゴンバートルが、何やらモンゴル語でシンバートルに話しかけ)練習もいつも通りやっていますが、ヨシダ選手になったことで打撃戦の比重を増やしています」

──打撃で勝負をするつもりですか。

「今はまだヨシダ選手のことを研究中ですが(※取材は12月20日に行われた)、しっかりと対策を練って作戦を立てて戦います。ただ狙いはサブミッションです。レスリングやグラップリングを駆使して、一本勝ちをしたいです」

──吉田選手はKO宣言しています。

「KOですか(笑)。素晴しい意気込みですね。ただ、私も練習をしているので。試合でどちらが強いのか、。素晴しい戦いをファンの皆に見てもらいたいと思っています」

──今日はありがとうございました。ところでシンバートル選手はいつも、そんな風に無口なのですか。

「いやぁ……」

オトコンバートル 緊張しているだけよ。いつもは、こんなんじゃないので(笑)。

■視聴方法(予定)
1月12日(日)
午後3時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
※メインカードのみ


■Gladiator029対戦カード

<Gladiatorライト級王座決定戦/5分3R> 
田中有(日本)
小森真誉(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定戦/5分3R>
今井健斗(日本)
オトゴンバートル・ホルドバートル(モンゴル)

<Gladiator暫定バンタム級王座決定戦/5分3R>
吉田開威(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R> 
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
岩倉優輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
水野翔(日本)
桑本征希(日本)

<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
井口翔太(日本)

<ウェルター級/5分3R>
森井翼(日本)
井上啓太(日本)

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
藤原克也(日本)

<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
花園大輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
こう(日本)

<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
高橋佑太(日本)

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
八木祐輔(日本)

<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
萩原和飛(日本)

<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
松生知樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
熊崎夏暉(日本)

<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)

<ライト級/5分2R>
藤井丈虎(日本)
健椰(日本)

<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
福島祐貴(日本)

<バンタム級/5分2R>
原田康平(日本)
内田勇作(日本)

<OPバンタム級/5分1R>
岩田虎之助(日本)
小林龍輝(日本)

<OPライト級/5分1R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
内山裕太郎(日本)

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【Breakthrough Combat01】キャリア3戦目、吉野光戦へ。シンバートル「繊細さで上回っていれば勝てる」

【写真】目指す舞台は、UFCというシンバートル。今回がキャリア3戦目となる (C) MMAPLANET

本日30日(水)、会場非公開で開催される配信イベント=Breakthrough Combat01のメインで吉野光と戦うシンバートル・バットエルデネは、これがキャリア3戦目というファイターだ。
Text by Manabu Takashima

2戦目で元Gladiatorバンタム級王者テムーレン・アルギルマーを下し、シャンダスMMAの新兵器と呼ばれるようになった。4日前に22歳になったばかりのモンゴリアンMMAニュープロダクトに話を訊いた。


──日本で戦うことが決まりました。

「話が来た時は、本当に嬉しかったです。練習仲間のオトゴンバートルやダギースレンが日本で試合をしてきたので、自分も本当に日本で試合がしたいと思っていました。その想いが叶うので、メチャクチャ練習をしています」

──5月にテムーレン・アルギルマー選手に勝利し、シャンダスMMAの新兵器という風に呼ばれています。

「凄く嬉しいです。テムーレン選手に勝って、日本の人々が自分に興味を持ってくれて嬉しい限りです」

──ところで対戦相手の吉野選手は日本で名の通った吉野光選手です。キャリアも15戦以上あります。対して、シンバートルはキャリア2戦。試合を受けることに躊躇することはなかったですか。

「確かに経験豊かで、強い相手です。ただし自分も、このシャンダス・ジムで強くて経験のある選手たちと練習をしています。その練習の成果を見せたいです。シャンダスMMAでは今年の1月からトレーニングをしています。

ナラントンガラグ先生が指導し、活躍している選手が多いのでシャンダスに入門したんです。それまでの1年はマザーライMMAで練習をしていました」

──つまりテムーレンとは元チームメイト対決だったのですね。

「そうですね。まぁ、試合ですから。試合となれば、以前の同門とかという気持ちはなくなります。目の前にいる相手なので、殴るだけです」

──その練習仲間から日本で戦うことに関して、アドバイスはありますか。

「皆から貰っています。皆が教えてくれますが、敢えて言うとエンフオルギル・バートルフー選手から『自分がやれることをやれ』と言われたことが一番残っています。なのでレスリングで勝負します。自分が一番できるもので、戦います」

──フオルギルは日本で戦ったことはないかと思うのですが……。レスリングで勝負、コンバットサンボやシュートボクシングの国内大会で結果を残しているシンバートルですが、もともとバッググラウンドはレスリングだったのですか。

「自分はホブスゴル県で生まれ育ったのですが、子供の頃からモンゴル相撲と柔道をやってきました。県の大会レベルで優勝したぐらいで、大きな大会で結果を残すということはなかったです。ただ、試合にはよく出ていました。なので自分のベースはモンゴル相撲と柔道です」

──それでいてコンバットサンボやシュートボクシングのように打撃のある競技でも結果を残しているのですね。

「実はまだ打撃の練習はしていなかったのですが、なぜか打撃のあるルールの方が戦いやすと感じていました」

──吉野選手は柔道出身、組み技の強さが売りの選手ですが、レスリング勝負ということは組みでやり合える自信があるということですね。

「ヨシノは色々な技を持っていますね。柔道がベースなのは明白です。私はレスリングで対抗します。自分のレスリングの技術は、ヨシノの柔道よりも繊細です。その繊細さがあれば、彼を上回ることができます。

何よりも、ファンの人達につまらない試合は見せたくないです。スキルのある、技術的に高い試合を見せたいと思うので自分は準備万端で日本へ行きます。ヨシノもそのつもりで、調整をしてほしいです」

■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat01計量結果

<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量

<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ

<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ

<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ

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45 AB Gladiator Gladiator024 Gladiator028 Grachan K-MMA MMA MMAPLANET o RIZIN YouTube   ゆうと キック キム・ウィジョン キム・スーチョル ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ヅッキーニョス チャンネル テムーレン・アルギルマー パン・ジェヒョク ライカ 上田祐起 南友之輔 吉田開威 宮田和幸 木村柊也 水野翔 江木伸成

【Gladiator028】KOタイム平均61秒の木村柊也、初の国際戦でAngel’s FC王者と。吉田開威✖上田佑起も!!

【写真】チームメイト南友之輔がテムーレン・アルギルマーを破った時の試合解説を聞けば、木村が打撃を知り抜いていることが理解できる (C)MMAPLANET

20日(金)、10月6日(日)に大阪府豊中市の176BOXで行われるGLADIATOR028の追加カードが発表されている。
Text by Manabu Takashima

フェザー級挑戦者決定トーナメント準決勝=ダギースレン・チャグナードルジ×チハヤフル・ヅッキーニョス、パン・ジェヒョク×水野翔が組まれたメインカードに、木村柊也✖キム・ウィジョン、吉田開威✖上田祐起というフェザー級とバンタム級の3回戦が加わった。


木村は日本拳法史上唯一、大学在学中にその頂点である日本拳法総合選手権を2度制した不世出の拳法家だ。しかも、コロナで2年大会が開かれなかったため、通常通り開催されていれば4連覇の可能性もあった。

その木村は昨年12月のGLADIATOR024におけるデビュー戦で66秒KO勝ちを収めると、3月のGrachanでは42秒、そして5月のグラジで76秒と、まだ2分以上戦ったことがないゴールデンルーキーだ。1試合平均61秒という信じられないKOタイムを記録している裏にはグラジとグラチャンというプロモーションにおいては、木村との対戦を受ける同じような経験のファイターが表れなかったことも考えられる。

それもそうだ、不世出の日本拳法家──彼の選択が違っていれば、大舞台でもっと脚光を浴び、いきなり戦績の違うファイターと相対していたこともあったはず。そこを師・宮田和幸氏は「打撃はできても、組みはまだまだ」という慎重な姿勢で教え子の成長を待った。

そして迎える今回の一番、対戦相手のキム・ウィジョンは韓国のAngel’s FC暫定ライト級と中国のICKF(International Kung Fu Federation)フェザー級の2本ベルトを所有しているファイターだ。

柔道準国家代表チームのメンバーだったキム・ウィジョンの戦績は5勝3敗、アマでは3勝2敗と決して綺麗ではない。以前の韓国MMA界風という表現になるが、デビュー直後から経験値の違うファイターとの戦いに挑んでおり、一時代前のキャリアの積み方をしてきた選手ともいえる。

昨年3月にグラジに来日した際にはバンタム級で戦い、ゆうとに判定負けを喫しているが、その3カ月後にはベトナムでフィリピン人ファイターを下し、Angel’s FCで暫定ライト級王座を獲得している。とはいえ、対戦相手のレベルが分からないタイトル奪取よりも、この1年半に渡り所属するJB MMAジムだけでなく、あのイ・ユンジュン率いるRoad GYMアックジョン内のチームAOMでプロ練習に参加している点に注目したい。

現役を全うできていればK-MMA最高のウェルラウンダーとして、その歴史に名を刻んでいたであろうイ・ユンジュンのみならず、出稽古を行うキム・スーチョル、柔術黒帯で元MMAファイター=チョ・ヒョンスン さらには柔術韓国国家代表チームのコーチを務めるアン・ヒョンジンらとの実戦スパーリングで鍛え抜かれてきた。

この間の組み技の完成度のアップは、少なく見積もっても木村が実戦で経験したことがないレベルであることは間違いない。とはいえ、MMAは打撃から始まる戦いだ。当たる時と当たらない時が瞬時に理解でき、体の使い方と力の入れ方を修正できるという天才打撃家が組ませない打撃で初の国際戦をクリアできるのか。あるいは組まれて、初めて苦い水を飲むことになるのか。徳島出身、来年3月のRIZIN高松大会出場が、今から期待されている木村のパフォーマンスは要注目だ。

また木村と同様にストライカーでも、こちらは剛柔流空手を学び、硬式空手の世界で今も活躍する吉田が国内で初めて、3回戦に挑む試合も興味深い。というのも吉田は6月に中国のWKG&M-1に出場しており、見事なハイキックを決めて10秒KO勝ちを収めた試合は3回戦として実施されていた。

この勝利で、MMAでも倒す感覚を身に着けたことが期待される吉田の相手=上田祐起は5月のグラジで柔術黒帯の江木伸成を破り、7月大会ではRNCでMMAでは約2年振りの勝利を手にしている。

2度に渡るBloom FC出場──九州遠征で連敗を喫した状況から、地元・関西で上昇気流のきっかけを掴んだ上田の組みに対し、春日井たけしの下の行われる中京最大のプロ練習の成果を吉田が出すことができるのか。勝敗、勝ち方次第で今後のタイトル戦線に強く影響を与える一戦となるだろう。

同大会に出場する4選手がプレスリリースに寄せたコメントは以下の通りだ。

木村柊也
「今回、初の国際戦ということでいつも以上に気合が入っています。ただ、自分がやることはいつもと変わらないので豪快なKOで会場を爆発させます!」

キム・ウィジョン
「GLADIATORという日本を代表する団体で再び試合する事が出来で光栄です。昨年の試合では初めてのバンタム級戦であまり動く事が出来なかったですが、今回は適正階級のフェザー級なので、良い試合が出来ると期待しております。木村選手は全勝でKOが出来るタイプなので、私と相性がいい試合が出来ると思います。自分にとっても久々の復帰戦なので、激しい楽しい試合しますので、是非楽しんで下さい」

吉田開威
「僕は毎試合勝利にこだわっています。勝利し続けることが、自分の最高の評価に繋がっていると感じています。今回の戦いにはかなり自信があります。私たち二人の戦いを楽しみにしてくださいそして吉田開威に注目してください」

上田祐起
「暗く長いトンネルに入ったように負けが込んでいたのですが、やっと光が見え自分の戦い方を思い出すことができました。このまま連勝街道に乗ってどんどんステップアップしたいと思います。ゆくゆくはGLADIATORを代表する選手として強い外国人と戦いたいと思っているので、この試合も完全決着で終わらせて競技レベルの違いを見せようと思います。その為にも最後まで油断せず僕の目指すMMAを応援してくれる人、対戦相手、この先対戦する事になる選手、全ての人に見せられるように試合まで残り数週間作り上げていきます」

■視聴方法(予定)
10月6日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

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45 Gladiator Gladiator CS02 MMA MMAPLANET o キック テムーレン・アルギルマー 南友之輔 竹中大地

【Gladiator CS02】南友之輔がテムーレンに逆転KO勝利!バンタム級王者・竹中大地に挑戦表明

<バンタム級/5分3R>
南友之輔(日本)
Def.2R0分56秒 by TKO
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

テムーレンが右ロー。それをかわした南が右ストレートで飛び込む。南はテムーレンの左に右フックをかぶせ、テムーレンのローをカットしながら、ジャブを突き刺す。テムーレンは離れた間合いから右フックで飛び込む。南はインローを蹴り返して、左フックから右ストレートにつなげるが、テムーレンが南の左フックに右をかぶせると南がバランスを崩す。

さらにテムーレンは南の立ち際に右フックを打ち込み、右ストレートから飛び込むと首相撲からヒザ蹴りを突き刺す。テムーレンはサウスポーにスイッチして左フックを強振。今後はこれを当てて南の動きを止める。テムーレンは左ストレートから右フック、スピニングバックエルボー、右ストレート、再びスピニングバックエルボーと手数を増やす。南はワンツーを返して、テムーレンは右ローと右ストレート。南はテムーレンが左を伸ばすところに右をかぶせ、右のフェイントから左フックにつなげる。

テムーレンも右ストレートから左フック、右カーフ。スイッチして左の前蹴りを蹴る。そこに南が右ストレートを狙うが、。残り2分を切ったところでテムーレンが組んでテイクダウン。そのままヒジを落とし、南の立ち際にテムーレンがヒザ蹴り。南も右フックを返す。距離が離れると南が右ストレート。テムーレンはオーソドックスに構えを戻してスピニングバックキック、じりじりと詰めて右カーフを蹴る。南もインローを蹴り返し、テムーレンがサウスポーから左ミドルを蹴ると南が左フックを狙い、外側のカーフを蹴る。

2R、オーソドックスの両者。南がインロー、テムーレンの前進に左フックを合わせて右ストレートにつなげ、細かくパンチをまとめる。テムーレンも右ローを返し、インローを蹴るが、そこに南が右ストレートを合わせて返しの左フック。この一撃でテムーレンをなぎ倒し、見事な逆転KO勝利を収めた。

試合後、南は「警戒していた大振りのパンチで、面食らった部分があって、足を止めてやってやろうって気持ちが強すぎて苦戦したけど最後は倒せてよかったです。7日にバンタム級のタイトルマッチが行われて、チャンピオンが竹中(大地)選手に代わったんですけど、次はタイトルマッチをやらせてもらいたいです。最近はスカッとするKOできなかったけど、窮地に陥っても倒せるパワーがあるところを見せられたと思います。空手のそういうところも見せられたし、KOできるところも見せられたと思います」と語った。


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45 AB Gladiator Gladiator Challenger Series02 Gladiator CS02 LFA MMA MMAPLANET o Progress RIZIN Road to UFC UFC YouTube ガブリエル・シウバ ジョゼ・アルド ソドノムドルジ・プレブドルジ チャンネル テムーレン・アルギルマー パン・ジェヒョク ユ・スヨン 上久保周哉 南友之輔 松嶋こよみ 石田拓穂 竹内稔 竹本啓哉

【Gladiator CS02】竹内稔のProgress王座に挑戦、上久保周哉「MMAで勝てる戦い方で、勝ちます」

【写真】上久保にとってグラップリングは遊びではなく、Part of MMAの真剣勝負 (C) RANK5/ GYO DOK LEE

今日12日(金)に会場非公開、無観客&配信専門大会として開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj で上久保周哉がProgressフェザー級チャンピオン竹内稔に挑む。
Text by Manabu Takashima

昨年のRoad to UFCはベスト4に終わり、12月にGLADIATORで再起した上久保は2月のGLADIATOR CS旗揚げ戦で強豪から勝利を挙げて、Road to UFC再挑戦を狙っていた。しかし、股関節が悲鳴をあげガブリエル・シウバ戦は流れ、Road to UFC再出場はならなかった。

そんな上久保はUFCに向けて、LFAからステップアップを果たすことを決めた。北米ナンバーワン・フィーダーショーでの厳しい戦いに向けて、試運転のグラップリング王座戦を戦う。このグラップリングマッチは、キング・オブ・アナコンダ=竹内の一発の強さを認めた上で、自身のMMAを貫いて勝利を得ることができるか──という勝負論ある戦いとなる。


こんなに体が痛くても、UFCという強さのラインを求めるからこの練習ができる

――竹内稔選手の持つProgressフェザー級王座に挑戦。なんとも意外で、そして楽しみな一戦──なのですが、なぜ?と思ってしまう戦いが決まりました。

「そうですね、実はRoad to UFC出場を目指して2月のGLADIATOR CHALLENGER SEREISでLFAのガブリエル・シウバと戦うことが決まっていました。それが正式発表の前に股関節のケガで戦うことができなくなって。最初は片側だったのが、両側を傷める状態になりました。試合が決まってから痛みがだんだんとひどくなっていって。蹴りが使えなくなり、パンチのミットにも支障が出て。一番酷い時は普通に歩くのも15分間が限度という感じになり、試合ができるコンディションではなくなってしまいました。

試合はやりたかったです。それはRoad to UFCに向けて、強い相手に勝つことは必要だったし。でも、その体にできなかった。練習ができないのに試合をするのか。同時に試合をしないと次に繋がらない。ブラジルから選手を呼んでもらって、長谷川さんが色々と動いてくれた。そこまでしてくれているのに、この試合をしないで良いのかという想いもありました。様々なチャンスを棒に振るのかと」

──でも戦える状態ではなかったと。それで終わりでなく、次を考えてのことなら戦わなくて正解かと思います。結果、4月ぐらいまで練習はできていなかったと聞いていますし。

「かなり練習はしなかったです。ただ、しなくても良くなるものではなくて。放っておいて完治するものでなく、できるだけより良い状態を保つために努力をするというのが現実で」

──人工関節を入れる必要があるかもという話を聞いた時には、絶望的な気持ちになりました。

「そうですね……。入れるとすれば、引退してからですね。痛みがマシになっても、これまで通りに動けないと意味がないですし。それ以前に歩くにも痛い、起きるのも痛いという状態でした」

──現状というのは?

「切らないで治療を進め、2月と比べるとそれは良くなりました。練習中も気は使っていますけど、MMAファイターなんだから、ケガをしていない関節の方が少ないですよ(笑)」

──2月の試合がなくなった時点で、Road to UFCは諦めていたのでしょうか。

「ほとんど諦めていたけど、名前が出揃うまでは出場した場合のことは考えていました。出られた時のために、やれる治療を全部やることにして。そういう準備はしていました」

──結果、出場権は与えられませんでした。

「あの時は正直、2月に試合をしておけばという気持ちにはなりました。でも、やっていると5月に戦うことはできなかったかもしれないですしね。短期間の連戦はきつかったと、今は思っています」

──その状態でシウバ戦をクリアしたとしても、手負いが過ぎる上久保選手とユ・スヨンの試合など、見たくないと正直に思います。

「う~ん、Road to UFCに関しては、如何に良いコンディションを保つことができるのか。そこが大きいですからね。あの時の自分では、上手く創れなかったと思います」

──その結果がGLADIATOR CHALLENGER SERIESでPROGRESSのタイトル戦になったというのは?

「Road to UFCがなくなってから、今後に関してはLFAやあそこと並ぶ場所で戦っていこうと考えていました。その方が、情熱を向けることもできるし、結果を残せば目標にも自ずと近づくので。そこでLFAに向けて長谷川さんが動いてくれて。

と同時に現状としては、治療も続けてきて練習スケジュールも色々と変えました。ケアに当てている時間も多いし、補強も増やしています。ただLFAを本番だとしたら、本番に向けて試運転がしたい。半年以上、試合間隔が空いているので。実際に自分がどれぐらい動けるのか、半信半疑で。MMAスパーリングも再開したのですが、まだまだトライすることもありますし」

──それ故のグラップリングマッチと。

「LFAという強い選手が立ち並ぶところでやるために、どこかのタイミングで実戦に近い試合経験がしたかった。グラップリングを実戦に近いという表現は、違っているかもしれないけど、MMAでないMMA的な試合がしたかったということです。

練習と試合で掴める感覚は全然違います。相手が対策をしてくることを越えていく必要があり、こちらが立てた作戦も当たるのかということもありますからね」

──UFCへの挑む姿勢というファクターがなくても、竹内選手と上久保選手の組み技戦はワクワクします。特にMMAグラップラーである竹本啓哉選手をアナコンダで仕留めたチャンピオンですし。

「一発のサブミッションを持っている選手……ブルーノ・プッチは一応そういう相手でしたけど、そういう相手とMMAでやってこなかった。でも、いずれ必要になってくる。そういう相手に自分のやりたいことをやらないといけないので」

──打撃がないので、失敗しても下になって殴られることはない。その状況で、竹内選手の仕留める力はより脅威になりませんか。

「ケージの中では、ある程度……一発を持っている柔術を封じ込めることはできる。まぁ僕が得意とする場所でやるから。一発は持っているかもしれないけど、普通にオープンなマットでやるのとは全然違うと思っています」

──ケージがあれば、頭を下げることができるのですか。竹内選手のアナコンダをセットするまで誘導する力と判断力に対し、ケージがあることで対抗できると?

「う~ん、まぁ偶然スパッと極まるようなことは起きないです。竹内選手はアナコンダが強いことが分かっているので。そこを考えて、MMAを見据えたグラップリングをしたいです。トップコントロールをしっかりとしたいと思います。そこで一本を取りたいという気持ちも、チョットあったりはするし。

勝つために正しい選択を瞬間、瞬間でできるのか。一本を取れそうな誘惑を我慢して、やるべきことができるのかという部分が大切になってきます。まずはポジション、万が一が起きないように自分の心を強くすることが大切です。

同時に……グラップリングでMMAファイターがトップにいて、『MMAなら俺が勝ちだ』ということは言いたくなくて。あの言い方は好きじゃないと常々思っているのですが、その腹積もりではいないといけないのも確かです。

ただ竹内選手がクローズドの中に僕を入れ続けて、『俺の勝ちだ』と思うのは自由です。けど僕はMMAファイターだからMMAで勝てる戦い方で、勝ちます」

──そこも「UFCを目指さないと、頑張れない」という名言通りですか。

「言うとUFCからするとRIZINと一緒で、僕なんていなくても問題なく回り続けることができる場所です。でも、あそこにジャンプするとジョゼ・アルドが復帰した世界線に立つことができるんです。その魅力には、なかなか抗うことはできないです。

だってこんなに体が痛くても、UFCという強さのラインを求めるからこの練習ができる。体が痛くても『別にUFCファイターなら、こんなぐらいやっているだろう』と思わされるので、続けることができます」

──なるほど、です。グラップリング戦を経て体と相談もあるかもしれないですが、その後はどのように考えていますか。

「LFAで同じように厳しい相手と厳しい試合をして、勝ちたいです。なので、そこを照準にした練習をしたい。体が持たなくなるかもしれないので、できるだけ早い内に勝負を賭けたいと思っています。UFCなのか、Road to UFCなのか、そこに通じる道は自分で創ります」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ:66.05キロ
ソドノムドルジ・プレブドルジ:66.15キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク:66.3キロ→66.3キロ→66.25キロ
石田拓穂:66.15キロ

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔:65.6キロ
[挑戦者] 上久保周哉:65.25キロ

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー:61.35キロ
南友之輔:61.6キロ

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【Gladiator CS02】計量終了 全員がクリアもパン・ジェヒョクが苦戦、3度目の正直でパス

【写真】7選手が一発クリアし、全体写真を撮っている時もパン・ジェヒョクの姿は計量会場になかった (C) RANK5/ GYO DOK LEE

12日(金)に会場非公開、無観客&配信大会で開催されるGLADIATOR CHALLENGER SEREIS02の計量が11日(木)に東京都目黒区のLANTIQUE BY IOQで行われた。
Text by Manabu Takashima

4試合というウィークエンドのスタートを告げるコンパクトな大会は8選手揃って計量をパスしている。


とはいえ前GLADIATORフェザー級王者で仕切り直しの挑戦者決定T出場(×石田拓穂)となるパン・ジェヒョクは計量スタート時間を過ぎ、他の選手がパスをしてから会場に現れ、66.3キロと50グラムのオーバーに。最計量でもこの50グラムが落ちずに苦戦していたパン・ジェヒョクだが、アルミサウナシートに身を包み、3度目正直でリミットいっぱいでクリアした。

相当ハードな減量だったのが、ぐったりとしていたパン・ジェヒョクは宿泊先近くの病院で点滴を打ってリカバリーに努めたという情報も入ってきた。対照的に同じく挑戦者決定T準々決勝で松嶋こよみと対戦するソドノムドルジ・プレブドルジは、パスするやコーラを一気のみ。生物としての強さを見せていた。

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ:66.05キロ
ソドノムドルジ・プレブドルジ:66.15キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク:66.3キロ→66.3キロ→66.25キロ
石田拓穂:66.15キロ

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔:65.6キロ
[挑戦者] 上久保周哉:65.25キロ

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー:61.35キロ
南友之輔:61.6キロ

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【Gladiator CS02】石田拓穂、トーナメント準々決勝のパン・ジェヒョク戦は「一番ハズレですよね」

【写真】石田は計量を66.15キロ(※1ポンド許容あり)でクリア(C)RANK5/ GYO DOK LEE

12日(金)に会場非公開で無観客&配信大会のGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj」が開催される。そのなかでフェザー級次期挑戦者決定トーナメント準々決勝が行われ、石田拓穂が前フェザー級王者のパン・ジェヒョクと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2020年2月にグラジでプロデビューした石田は、ここまで修斗大阪大会とグラジでキャリアを重ねてきた。昨年3月には約2年半ぶりのグラジ参戦で、チハヤフル・ズッキーニョスに逆転KO負け――わずか1分弱の試合ではあったが、フィニッシュ直前まで石田が優勢であった。今回のトーナメント出場について、本人は「人数合わせかと思った」というが、だからこそトーナメントを盛り上げるという意気込みを語ってくれた(※取材は6月5日に行われた)。


ここ1年は打撃に重点を置いてきた

――MMAPLANETでは初のインタビューとなります。石田選手も他のリライアブル所属ファイターと同様、地元の繋がりでジムに入ったのでしょうか。

インタビュー時の石田(C)SHOJIRO KAMEIKE

「いえ。他の人は神戸の長田出身が多いけど、僕は兵庫県でも小野市という田舎の出身です。ただ、柔道時代に有(田中有)と仲が良くて。僕は柔道で大学に行って、卒業後は1年ぐらい東京で働いとったんですよ。その時、SNSで有が東京でMMAの試合に出ることを知って。あれは大尊伸光選手と戦った時ですかね(2018年9月、田中がKO負け)。

もともとMMAに興味はあったけど、生で観る機会がなくて。そこで有の試合を観た時に、負けたけど『めっちゃカッコエェな。俺もやりたい』と。どうせなら仕事を辞めて地元に帰ろうと思って、有がおるリライアブルに入りました」

――大学はどこへ?

「山梨学院大学です。高校の時は近畿大会で優勝して、大学に行ったんですけど……。大学は1年から3年までヒザを怪我して、復帰して怪我をして――という繰り返しで。4年の時にようやく団体戦に間に合ったという感じです。大学時代に全国大会に出たのは、その最後の試合ぐらいですね」

――柔道から離れたあとに田中選手の試合を観て「MMAをやりたい」と思ったのは、「柔道でやり切ることができなかった」という気持ちがあったのでしょうか。

「その気持ちは絶対にあったと思います。柔道も長いことやっていて、辞める時は『もうエェわ』とう感情でした。でも、よくよく考えたら――柔道やり切っていないし。それで有の試合を観て、自分の中でまた火がついた感じです。リライアブルでMMAを始めたのは23の時ですね。グラジでプロデビューする1年前です」

――その1年間はアマチュア修斗に出ていたのですか。

「はい。アマ修にはウェルター級で出ました。重たい階級は人数が少ないから、すぐ全日本に出られるんじゃないかと思って(笑)。全日本選手権で3位になってプロ昇格しています」

――2020年から2021年にかけてグラジと修斗で4連勝を収めています。しかし今年3月のチハヤフル戦まで1年以上も試合が空いたのは、何か理由があったのですか。

「海外で試合を組んでくれるという話があって、ずっと待っていたんですよ。去年の10月にウズベキスタンのタシュケントで開催される、NAIZA FCで試合が組まれて。だけど相手が計量オーバーで試合できなかったんです(※対戦予定だったシャクゾドベク・ズマノフが計量をクリアできず)」

――1年ぶりの試合で、ウズベキスタンまで行って試合不成立とは……。

「試合が決まった時は『ヨッシャ!』という感じで、かなり練習で追い込みました。でもいざ向こうに行ったら、相手が計量オーバーで……」

――キャッチウェイトで試合を行う話は出なかったのですか。

「それが――キャッチウェイトはキャッチウェイトですけど、『違う相手を用意する。ウェルター級でデビュー戦の選手と対戦してくれ』と言われたんですよ(苦笑)。さすがに周りからも『そんなの怪我するだけやから』って止められましたね」

――NAIZA FCの試合消滅後、復帰戦となったチハヤフル選手との試合ではKO負けを喫しました。あの黒星については、どのように受け止めていますか。

「負けて落ち込んだりはしなかったです。自分が『かっこつけたろ』と思ったせいで、あの結果に転がってしまいました。僕は本来、組みから試合をつくっていくタイプで、打撃も自分から倒しに行くものじゃないんです。イライラさせて、相手が振ってきたところに組みに行く。

でもチハヤフル選手と向かい合ったら相手の打撃も怖くないし、自分の距離でもあったので『これは行けるな』と思ったんですよ。いつもの試合やったら、スクランブルの中で組みに行けている。でもチハヤフル選手は河名マスト戦で、同じような展開で倒されとったじゃないですか。だから自分も『もうちょい殴ったら倒れんちゃうかな?』と打ち合いに行って。代表(田中淳リライアブル代表)からも『行き過ぎや』と言われました」

――そんななかで、フェザー級トーナメント出場のオファーが来るのは意外でしたか。

「意外でした。もともとライト級で試合をしていて、フェザー級はチハヤフル戦が初めてやったんですよ。だからトーナメントと言われても、評価してくれているのか、人数合わせで入れてくれたのか(笑)」

――ライト級時と比べて、フェザー級戦で動きは変わりましたか。

「ライト級の時は減量がなく、計量当日の朝に測って300グラムや500グラムのオーバーっていうぐらいで。そこから厚着して散歩していたら、リミットまで落ちているような感じでした。フェザー級に落とそうと思ったのは、NAIZA FCがキッカケなんです。海外でフィジカルが強い外国人選手と対戦するなら、ライト級やと危ないなと思って。

だからフェザー級でも、そんなに減量はキツくないです。チハヤフル戦は試合時間が短かったけど、ライト級時代と変わった感じはなかったですね。あの試合では組んでないから、まだ分からない部分もありますけど……」

――チハヤフル戦では、ライト級時代よりも打撃のスピードとキレは増していたように感じます。

「あぁ、そうなんですね。それは階級を落とした影響もあると思いますけど、ここ1年は打撃に重点を置いてきたんです。打撃ができんと組みつくこともできない。相手をイラつかせたり、『コイツ打撃が強いんちゃうか』と思わせたほうが、組みに行くタイプとしては有利じゃないですか。そのために打撃を練習してきました」

僕がフィニッシュしたら、バーンと一気に名前が上がる

――ではトーナメント初戦の相手、パン・ジェヒョクの印象を教えてください。

「一番ハズレですよね」

――……ハ、ハズレ!?

「だって今回の出場メンバーで、一番強いじゃないですか。日本のトップファーターは誰もパン・ジェヒョクをフィニッシュすることができていなくて。判定決着でもハッキリと負けたのは、前の河名戦だけやと思うんです。それだけ強いからこそ、一番オイシイ相手でもありますよね。これで僕がフィニッシュしたら、バーンと一気に名前が上がるので」

――パン・ジェヒョクを下したら、いきなりトーナメント優勝候補になります。

パン・ジェヒョクも66.25キロでクリアしている(C)RANK5/ GYO DOK LEE

「あんまりトーナメント優勝とかは考えていないんですよ。出ている選手はみんな強いから、自分としては1試合1試合、しっかり戦うだけで。

パン・ジェヒョクはテイクダウンディフェンスを見ると、体のバランスが良いなと思います。でも今まで対戦した相手は、みんなレスリングのテイクダウンですよね。僕の柔道式のテイクダウンは、他とは違います。僕は壁レスの仕方が変で」

――変、というのは?

「みんな壁レスになると、ガッチリとクラッチして倒しに行きますよね。僕は柔道の足払いを生かして攻めていくタイプなんです。だからパン・ジェヒョクにとっては、今までのレスラータイプとは違う攻め方やと思います。

相手は打撃のバランスが良いから、ジャブにレスリングのような足へのテイクダウンを合わせても倒せんやろう、と思っているんですよ。だから相手の嫌なことをしながら、組みに行きたいです」

――なるほど。

「このトーナメントでは、僕はダークホースですよね。だからこそ盛り上げたいです。面白くない試合はしないので、皆さん配信を視てください。自分はやります!」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
石田拓穂(日本)

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔(日本)
[挑戦者] 上久保周哉(日本)

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
南友之輔(日本)

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【Gladiator CS02】南友之輔と対戦、テムーレン・アルギルマー「俺を指名してきた南は面白いヤツ」

【写真】イケイケ風だが、日本で得たファイトマネーでタイガームエタイで練習を行うなどMMAに対して一途なテムーレン (C)MMAPLANET

明日12日(金)に会場非公開、無観客&配信専門大会として開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj 」。同大会のオープニングファイトでテムーレン・アルギルマーが南友之輔と対戦する。
Text by Manabu Takashima

前のGLADIATORバンタム級王者は、昨年4月に初来日し2戦目で王座奪取とグラジにモンゴル旋風を巻き越した。しかしながら、9月に竹本啓哉にベルトを明け渡すと12月には竹中大地にRNCで一本負け。そんなテムーレンをキャリア3勝のルーキーが5月大会で勝利を収めた直後にコールアウトした。

7カ月振りの来日で、血気盛んなスーパールーキーの挑発をテムーレンはどのように捉えているのかをウランバートルのシレンベーリ・ファイティングセンターで訊いた。


――去年の12月以来、7カ月ぶりの来日が決まりました。今の気持ちを教えてください(※取材は6月7日に行われた)。

「日本でまた戦えることが凄く嬉しくて、言うと天に上るような気持ちだよ。体調も良くて、必死に練習をしているよ」

──5月15日に、Falcons FNのシネバートル・バットエルデネ戦をショートノーティスで受けたのは、それだけ試合を欲していたからですか。

「練習をずっと続けていたし、体調も問題なかった。だから1週間前のオファーでも戦うことにしたんだ。実戦から遠ざかっていて試合がしたかったからね」

──結果が伴わなかったことに関しては、どのように思っていますか。

「そりゃあ残念だよ。でも去年、日本で4試合戦うことができて、色々な経験を詰めたことは凄く大きかった。減量方法も自分で試行錯誤して、改善して計量ミスをすることもなかったし、様々な面で経験を積むことができていると思っている。それが自信にもなっているよ」

──連敗を喫したことで来日の機会が途絶えるという不安はなかったですか。

「当然、毎試合勝つつもりで戦っている。でも、戦略が上手くハマらなかったり、ちょっとしたボタンの掛け違いで生じたズレを修正できないで負けることもある。勝負だし負けることもあって然りだ。連敗したから日本でもう戦えないというネガティブな気持ちになることはなかった。自分にできることは練習をして強くなること。そうすればGLADIATORに呼ばれることがなくても、違う道は開けるものだから」

──結果、オファーがありました。そして、対戦相手の南選手はキャリア3勝0敗。そんなルーキーからコールアウトがあったことをどのように捉えていますか。

「自分が彼の立場でも、同じようにしていたはず。だから、そこは気になることはないよ。ファイターはチャンピオンになりたいのだから、立ち塞がる相手をぶちのめして前に進む。それが選手としてあるべき姿だ。だから、俺を指名してきた南は面白いヤツだと思った。ただ、相手を間違っているけどね」

──まさに「テムーレンに勝ったら、王座に挑戦」と言っていて、それこそ南選手が描いている青写真です。

「俺と戦いたいと言ったことをミナミは後悔することになるよ」

──では南選手の印象を教えてください。

「試合映像をチェックしたけど、ミナミのレベルには俺に達していない。どういう武器があるのかも、分からない。俺より下の選手、ハッキリ言えばそういうことだよ。全局面でヤツより上だ。立ち技、レスリング、寝技、スタミナ、ファイトIQ、全ての面で俺が上回っている。

シレンベーリの練習仲間たち。左から今大会で松嶋と戦うソドノムドルジ・プレブドルジ、テムーレン。RIZINに参戦経験があり、21日にFury FCで戦うバータル・アズジャブハラン。GladiatorからONE FFに向かったバットオチル・バットサイハン。そして右端がツェルマー・オトゴンバヤル

まあ、しっかりと練習をしてケージに入ってきて欲しい。

俺の過去の試合を見て研究しているだろうけど、もうあの頃と今は違う。それだけ激しい練習をしてきたし、今も続けている。ミナミは自分で口にした言葉が現実になるように、頑張って欲しい(笑)」

──7カ月振りの日本でのファイトで、何をファンに見せたいと考えていますか。

「日本で4試合戦って、俺を応援してくれる人もいた。そういう人達に激しい試合を見せたい。どの道、勝つのは俺だから。俺の夢はMMAを続けて、大きな舞台で戦うこと。そのために激しい練習の日々を送っている。当然、障害になるモノは払いのける。そこはミナミも覚悟をしてほしい」

──この試合の5日前に竹本啓哉選手の持つGLADIATORバンタム級王座に竹中大地選手が挑戦します。試合予想をお願いします。

「タケナカが勝つ。タケナカは攻撃的で、打撃の当て勘が良い。タケモトは戦略を立てて、その戦いを積みかさねていくタイプだ。見ている人にとって、面白くない試合をする。俺はより攻撃的なタケナカが勝つと思う」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

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【Gladiator CS02】上久保周哉の挑戦を受けるプログレス王者、竹内稔「首を抱えれば絶対に極められる」

【写真】冷静と情熱のあいだ――アナコンダを極める時の熱量が凄い竹内 (C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(金)に会場非公開で開催される無観客&配信大会のGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj」で、PROGRESSフェザー級王者の竹内稔が上久保周哉の挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

竹内にとっては今年2月に代名詞のアナコンダチョークで竹本啓哉を下し、巻いたベルトの初防衛戦となる。ケージ戦の経験は上久保のほうが圧倒的に多い。しかし竹内はケージでアナコンダを極める自信を深めているようだ。ロータス世田谷で一緒に練習することもある上久保を、誰もが来ると分かっているはずのアナコンダで仕留めることができるのか。そんな竹内がアナコンダと、上久保の強さについて語る。


壁ありのほうがアナコンダに入るバリエーションは多い

――5月11日のADCCアジア&オセアニア二次予選では、66キロ級3回戦敗退で世界大会出場は成りませんでした。まずADCC予選の感想を教えてください。

「ちょっと思い通りに体が動かなかったというか、自分がミスをしてしまいました。確かに相手は強かったけど、メチャクチャ強いという感じでもなくて。もうちょっとうまく考えて戦えば、勝てたのかなって思います」

――体が動かなかった、というのはコンディションの問題でしょうか。

「調子は良かったです。3回戦は試合中に焦ってしまったんですよ。まずノーポイントの時間に自分がスイープできて、『これならまたスイープできるかな』と思いました。そのあとポイントが入る時間になると、自分がパスを狙った時にスイープされて。相手にポイントが入って『ヤバイッ!』と焦ってしまい、プランが全て崩れてしまいました。さらに自分が不用意にバックを狙った時、逆に相手にバックを奪われました。そこで焦ることなく、もっと考えて戦っていれば――と思っています」

――――ADCCルールの特徴の一つが、前半はノーポイントで後半からポイントが入るというものです。日本ではADCCルールの試合を経験する機会がなく、そのルールが体に染みついていないという問題点はありせんか。

「それはあると思います。結局『ポイントを取られても一本で勝てばいい」と考えてしまうんですよね。だけど相手はヌルマゴ軍団出身で、メチャクチャ力が強かったんです。アナコンダを狙っても力で跳ね返されてしまうような感じでした。

アナコンダを極めることができないなら、スイープとかポイントを取りに行けば良かったです。でも切り替えることができず、自分はスイープされ、アナコンダを極めることもできず焦っていました。その状態で残り2分になっていて、巻き返すのは難しかったですね」

――昨年11月の1次予選ではアナコンダを極めまくっていただけに、2次予選では警戒されていたのでしょうか。

「3回戦の相手は、それほど僕のことを知らなかったと思います。だから自分も『『アナコンダを極めることができるだろう』と考えてしまったんですね』

――やはり竹内選手の中で、アナコンダには絶対的な自信があるのですね。

「首を抱えれば絶対に極められると思っています。100パーセントと言ったら言い過ぎですけど……、95パーセントは極めることができます(笑)」

――まだ修斗でプロデビューする前に修斗グラップリングの大会で、初めて竹内選手がアナコンダを極めるところを見てから十数年が経ちます。以降もずっとアナコンダを極めているなかで、取り方は変化してきましたか。

「昔はそこまでレスリングができず、完全にカウンター待ちでした。今は組手で崩し、相手の頭を下げて首系を取りに行くという技術も身につけました。入り方のパターンは、かなり増えています」

――3月3日の峯岸零弥戦(Level-G、サブオンリーで判定負け)のように、相手がボトムになった場合は?

「峯岸戦は不完全燃焼でした(苦笑)。やはり相手が下になった状態では難しいですね。やはりカウンタータイプではあるので、相手が攻めて来るかスクランブルになった時に取るのが70パーセント、自分から攻めて取るのが30パーセントぐらいです」

――では2月にプログレスのベルトを獲得した竹本戦は、相手がシングルレッグで入ってくるように誘いこんだのでしょうか。

「いえ、それが……完全に警戒してテイクダウンに来ないと思っていたけど、来たので確実に仕留めました」

――えっ!? 竹内選手から誘ったわけではないのですか。それは意外です。

「どういうことですか?」

――竹本選手に訊いたところ、シングルレッグに行くように誘い込まれたような感覚があっていたそうです。

「いえいえ、そんなことはないです」

――えっ、えぇ……。普通は竹内選手のアナコンダを警戒して、シングルレッグで入るのは躊躇しますよね。それでも相手がシングルレッグで組んでくるのは……。

「そういう試合、よくあるんですよ。ADCCでも、アナコンダが来るのは分かっているはずなのにテイクダウンを狙ってきて。もしかしてテイクダウンしやすいと思われているのでしょうか(笑)」

――自分でも気づかないうちに相手を誘い込んでいるのは、もう魔性のアナコンダですよ。

「アハハハ。練習だと、相手がテイクダウンに来ることは少ないです。でも試合だとシングルレッグで入ってくるのは、やっぱり焦りがあるからじゃないですか。試合では自分からアクションを起こしていかないといけない、という気持ちが出てきますよね。それが焦りにつながって――とは考えます」

――カウンターが7割、自分から攻めていくのが3割というのは狙っている数字なのですか。それとも結果的に、自然とその割合になっているのか。

「自然とその割合になっているんだろうと思います。ただ、自分がずっと待っているわけではないです。僕が攻撃して、さらに攻撃して、相手が出てきたところを狙います」

――それを「誘っている」というのです(笑)。ではグラップリングにおいて、アナコンダなど首系以外の技を極める割合はいかがですか。

「今はボディロックでテイクダウンしてくる選手が多いじゃないですか。首系以外だとボディロック・テイクダウンへのカウンターがあります。試合ではあまり極まったことはないけど、練習では極まっていますね。プログレスの場合は、ケージに押し込んでテイクダウンを狙ってきた時のカウンターを考えていて」

――マットやリングの時とは違う取り方を考えているのですね。

「自分の中ではケージのほうが極めやすいと思っています。今までケージグラップリングの経験は少ないですけど、練習は壁ありでやっていますからね。壁ありのほうがアナコンダに入るバリエーションは多いですよ」

ポイントがあることで攻防が生まれ、取りやすくなる

――その壁ありの練習を、ロータスで上久保選手ともやっているのですか。

「そうですね。上久保選手とは2~3週間に1回、練習で会っていました(笑)。試合が決まってからは、練習で組むのは止めています。試合1カ月前になって、上久保君がロータスに行く曜日は外しました」

――では上久保戦のオファーが来た時は、やりづらいと思いましたか。

「試合したいか、したくないかと訊かれれば――まぁ、アハハハ。練習して強さも分かっていますからね。試合を視れば分かるとおり、上久保選手のファイトスタイルって試合すると削られるじゃないですか。普段一緒に練習していなくても、対戦したくない相手です(苦笑)。

とにかく相手の光を消すのが巧いですからね。さらに試合時間が5分3Rで、上久保選手はスタミナもメチャクチャありますし。だから対戦したくないです」

――先ほどから「対戦したくない」を連呼しています(笑)。

「アハハハ。上久保選手については、みんなそう思うでしょう。本当に強いですから。今まで対戦してきた中でも、特に極めづらい相手です。上久保選手は出力がずっと一定なんですよ。だから練習していると、後半のほうはもう嫌になってきます(笑)。

もう本当に凄いですよ。最初ガーッと来て、そのペースがずっと続く。だからどこかで落ちると思うじゃないですか。でも一度上がったら、ずっと出力が同じで。強弱がないから本当にキツイです」

――竹内選手が得意とするカウンターは、そんな強弱の間を探りながら、その瞬間だけ最大出力を当てていくものですよね。上久保選手の出力の出し方とは真逆といいますか。

「そうかもしれないですね。その上久保選手の攻略法を今、考えているところです。自分としても今までと同じ戦い方+、新しいものを考えないと勝てないと思います」

――対して上久保選手は今までの試合とは違い、何か変えてくるでしょうか。

「変えてこないんじゃないですかね? というのも、僕がやることは向こうも分かっていると思うので。少し変えてくるかもしれないけど……どうなんだろう、という感じですね」

――その点はプログレスのルールも大きく関わってくるように思います。ケージグラップリングで、引き込むと相手にポイントが入る。一方でグラウンドになると、ボディロックで抑え込むことは反則となります。

「ケージだと押し込めるし、そこでテイクダウンできると思います。ルールの部分で不利になることはないかな、と。ただ、今回の試合はポイントも重要になってくるので、あまり自分にとってマイナスになることはやりたくないですね。

ただ、自分としてはポイント制のほうが面白い試合になると思います。サブオンリーだと峯岸戦のような試合になってしまうかもしれません。ポイントがあることによって攻防が生まれて、一本を取りやすくなるとも思いますし」

――なるほど。

「たとえばADCCだと、延長戦になるとボトムになったらマイナスポイントになります。すると必ずテイクダウンを奪いに来るので、自分も首系を狙いやすくなる面はありますね。

ただ、上久保選手も一本を取る力がありますからね。自分がいつもどおり狙いに行くと、反対に極められてしまうかもしれない。細かいことは言えませんが、今までと完全に同じ戦い方だと厳しくなってしまう。上久保選手が強いことは十分に認識しています。それでも僕が一本勝ちしますよ」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
石田拓穂(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔(日本)
[挑戦者] 上久保周哉(日本)

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
南友之輔(日本)

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【Gladiator CS02】真価が問われるテムーレン戦へ、南友之輔「相手が今までより強いんで、力でへし折る」

12日(金)に会場非公開で開催される無観客&配信大会GLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj」にて、南友之輔がテムーレン・アルギルマーと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

全空連・WKFルールの空手では各世代で日本代表として活躍し、パリ五輪での空手不採用を受けてMMAの道を選んだ南。5月の秋田良隆戦に勝利後、元GLADIATORバンタム級王者テムーレンとの対戦をアピールし、デビューから10カ月&キャリア5戦目にしてテムーレン戦が実現することとなった。

大きな目標=UFC参戦に向けて「UFCにつながる試合を一つ一つクリアしていきたい」という南にとってターニングポイントになりうるテムーレン戦。この大勝負に向けた心境を語ると共に、MMAにおける打撃論についても語ってくれた。


──南選手も対戦を望んでいたテムーレンとの一戦が決まりました。5月の試合後に対戦アピールのマイクもありましたが、正式に試合が決まった時はどんな心境でしたか。

「最初、僕が(対戦アピールを)言った時に、テムーレンがInstagramのストーリーでやるぞみたいな感じの投稿していたらしくて、それをGLADIATORの櫻井(雄一郎)会長に聞いて、決まるんかなという気持ちではいました。だから正式に決まった時も『決まった!』というよりも『いよいよ決まったな』でしたね」

──テムーレン戦をアピールした一番の理由は何だったんですか。

「正直、自分は強い人とやりたいという気持ちがあって、テムーレンは元チャンピオンで、それが明確じゃないですか。しかも自分はこれから世界と戦っていきたいと公言していて、それだったら外国人、元チャンピオンが一番分かりやすい。それでテムーレンがいいなって感じです」

──南選手は伝統派空手の輝かしい実績を持ってMMAに転向して、なかなか試合を受けてもらえない、対戦相手が決まるのに時間がかかっていたように思います。

「そうなんですよ。全然相手が決まらんし、相手が決まっても対策とか練ってモチベーションがめっちゃ上がったみたいな相手じゃなくて、勝たないといけないみたいな雰囲気の相手だったり、僕が挑戦を受けるみたいな立場だったんです。まだデビューして4戦以下なのに(苦笑)。だからテムーレンはやっと自分の実力が分かるような相手かなと思います」

──ある意味、南選手にとっては本当のMMAキャリアのスタートのような試合ですね。テムーレンは自分のポテンシャルも出し切って、戦術も必要な相手だと思いますが、試合が決まってからどんな練習に力を入れていますか。

「試合が決まる前から、テムーレンとは同じ大会に出ることが多かったんで、ざっくり試合は見ていたんですよ。試合が決まってからちゃんと映像を見て、相手はこれがあるからこうしようというよりも、ここだけは気をつけて自分の持っているものをどう活かすか。そこを考えてやっていますね」

──テムーレンは手足の長さや一発の重さなど日本人はないものを持っている選手だなと思います。

「空手時代にモンゴル人と戦ったことはないんですけど、結構ヨーロッパの選手と国際大会でやってきたんで、外国人と肌を合わせた感覚はあります。だから外国人選手の体の強さや手足の長さ、国際戦の経験がない選手よりもイメージはしやすいのかな。そこをもとにだいたいのイメージを組み立ててっていう感じですね」

──空手とMMAではルールが違いますが、日本人選手と外国人選手ではどこに違いを感じますか。

「なんか“硬い”って感じですね。外国人でもフィジカルが弱い選手もいるんですよ。ただ(フィジカルが)強いヤツは『細いのに強いわ』みたいな。イメージ的には一瞬壁があるような感じです。僕も空手時代からフィジカルが強い方やったんで、これは勝てんわって思うことはなかったんですけど、相手とぶつかったときに結構『ゴーン!』と衝撃を感じることはありました」

──試合としてはどんな展開を想定していますか。言える範囲で教えてください。

「打撃で倒すのはもちろんなんですけど、そんな倒そう倒そうというよりも、自分が持っているポテンシャルや考えていることを、ちゃんと再現してイメージ通りにできれば、自然とKOに繋がるなって感じなんで、そんな今までと変わらずです。ただ、今までは駆け引きをしてくれない相手が多かったんで、正直(試合を組み立てるのが)難しかったんです。でもテムーレンは駆け引きしてくれる相手だと思うので、そういう意味では案外すぐ倒せるんじゃないかなというのがあります」

──今までは相手が南選手のことを警戒しすぎて技術の交換やキャッチボールがなかったのですか。

「そうなんですよ。僕が一方的に攻めているんですけど、相手に守りに入られるとリアクションがないから、結構やりづらかったというのが正直な感想で。相手は完全にケージを背負って、1発だけ狙ってガツーン!と来るみたいな。それはそれでその一発に気をつけなきゃいけないから戦いづらいんです(苦笑)」

──それでいて会場の雰囲気としては「南、行けよ!」という空気になって。

「まさにそれですね。自分で自分の試合を見直して『こいつ全然倒さんよな』と思っていました(苦笑)。そういう意味でテムーレンは技の駆け引きをしてくれるし、結構パンチを振ってくるじゃないですか。だから見ている方は面白いと思います。自分でもそういう相手の方がしっかり見えるし、僕の持ち味も出るかなと思います」

──話を聞いていると、相手がテムーレンだからこそ、南選手が持っている引き出しやできることをもっと試合で出せそうですね。

「相手の強さやレベルが上がると、一番いいパフォーマンスや技を出さないといけないし、今までよりももっと高いものを見せられるんじゃないかなと思います」

──そこを含めて試合自体も楽しみですか。ワクワクするというか。

「そうですね。どんな感じになるんだみたいな。で、最初のリングの中央の取り合い、そういうところから楽しんでいきたいです」

──取材前の練習を見ていると、組みと打撃のミックス、打撃からの組み、組みから打撃など、そういった部分を意識しているように見えました。

「例えば今までの僕は自分からタックルに行くことは少なかったと思うんですけど、もっとシンプルに打撃と組み、組みと打撃という上下の動きは練習しているんで、それを見せられたらいいなと思っています」

──MMAに転向してレスリングや寝技の練習も好きになりましたか。

「そうですね。最初はやられてばっかりで、やらないといけないからやってるぐらいだったんですけど、今はもう自分から行って楽しく、こんなんもできるわとか、頭で考えることもできるようになりました」

──先ほどの打撃の話にもつながるかもしれませんが、BRAVEにはレスリング出身の選手も多いので、練習でも技術の攻防ができますよね。

「確かにそうかもしれないですね。自然とそういう練習ができているかもしれないです」

──この試合は南選手にとって初の国際戦かつ元王者との対戦で、ターニングポイントになる一戦だと思います。どんな試合だと位置づけていますか。

「別に普段とそんな変わらず、気負うこともなく。ただ勝ったら…というか、勝たないと先は見えてこないんで。なんで勝つことしか考えてないですね。もちろん心の内では『やったんぞ!』って気持ちもありますけど、いつも通り準備して、いつも通り挑む。ただ相手が今までよりも強いんで、しっかり力でへし折ってやろうと思っています」

──南選手を取材していて、もともと持っている目標設定が高いところにあって、そこから逆算してキャリアを考えている印象があります。例えばUFCや海外で活躍するためにどういうキャリアを積まなければいけないかを考えているというか。

「そうかもしれないですね。ここをクリアしないとRoad to UFC(RTU)に出ている中国の選手たちには絶対に勝てないと思うし、ここをクリアしないと自分が目指す場所には辿り着けない。なので、ここは絶対にクリアしないとなと思っています」

取材日に伊藤空也がEternal MMA王座獲得を報告。海外で戦う選手が身近にいることが南にとって刺激になっている。(C)PROGRESS

──BRAVEには海外のプロモーションでも試合をしている選手が多いですが、刺激を受けることも多いですか。

「多いですね。(原口)伸さんがRTUに出ていて、(伊藤)空也さんがEternal MMAでチャンピオンになって、すごい環境で練習できているんだなと思います」

──またGLADIATORからも河名マスト選手がRTUに出ていて、色んなものが繋がっていますよね。

「最初はGLADIATORという関西の団体で、海外の選手も呼んでるしぐらいの感覚だったんですけど、今はもうそれこそ河名選手が(RTUに)出たり、道が明確になってきているんで。それがすごくいいところだし、取り組みやすいですね」

──南選手のこれからのMMAファイターとしての理想像はどんなものがありますか。

「BRAVEに来たのが去年の3月なんで、まだ1年半くらいなんですよ。だからまだまだMMAファイターとしてできないことはたくさんあります。そのなかで今は打撃で圧倒できるところまでとりあえず行って、レスリングやグラップリングは徐々にできてくる部分ではあると思うんで。結果的にレスリングとグラップリングもできている状況に持っていきたいですね。グラフでいったら最初は打撃のところだけ飛び抜けているのが、だんだんと円に近づいていくイメージです。そのうえでKOを狙っていきたいです。海外だとコナン・マクレガーとかショーン・オマリーみたいに極めもできるけど、倒して勝つみたいな選手がいいですね」

──純粋な打撃だけで言えば、南選手はMMAファイターのなかでもトップの実績がある選手だと思います。MMAファイターの打撃のレベルは高いのか。またMMAという枠の中で使える打撃を使っているのか。どう見ているのかを聞いてみたいです。

「正直、距離感や駆け引きは空手の選手の方が強い、優れていると思います。MMAはレスリングもあるから、打撃の駆け引きを誤魔化すわけじゃないですけど、そこをやらずにレスリングに持っていけるところはありますよね。もちろん打撃の駆け引きを上手く使う選手もいますが、洗練されているという意味では空手の方が洗練されていると思います。例えば僕らは打撃を効かせるとかじゃなくて、触ることが必要な競技なんですよ。触られた時点で相手のポイントになっちゃうし、それを判断するのが審判だから、見ている審判に対してどう見せるかを意識しなきゃいけないんです」

──当てる・当てないではなくて、審判に触っているように見せる・見せないのレベルということですね。

「はい。審判の目線まで意識して動いて、その部分で相手と勝負して上回らないといけない。それと比べたら、MMAは基本的に自分と相手の打撃の交換で、審判の目は多少意識しても触る・触らないのレベルではないじゃないですか。そういう意味では空手と比べると頭を使わず、自分がやることを整理しながら戦えると思います。MMAは下(組み)を意識すればいいくらいなんで」

──審判にどうジャッジされるかを意識しながら戦うというのは相当神経を使いそうですね。

「仮に相手の攻撃を避けたとしても、それが当たっているように見えたらアウトだから、審判に避けたことが分かるように避けないといけない。そういう意味でMMAは当たっていなければOK、ギリギリでも避ければOKだから全然違いますよね」

――そこまで意識して戦っていた南選手からすると、仮にもらってもダメージを受けなければいいというMMAは幅が広がりますか。

「あとはそこの微調整ですね。さっきは避ける方の話をしましたけど、当てる方は当てる方で審判にアピールしないといけないから、わざと動きを大きくして当てるアピールするわけですよ。MMAはコンパクトに当てて、ギリギリで避けるから、そこの調整はめっちゃ必要だし、今もやっている最中ですね」

──例えば自分の攻撃でMMA用に微調整した部分はどこですか。

「空手は単発単発の競技なので、別に打ち合いが好きなわけじゃないんです。だから打ち合いに入る一瞬でヤバいポイントを作って、打ち合いになる時間でいかに当てるかを意識していいます」

──こちらが外から見ているものと南選手が試合をやりながら見ている世界は違うようね。

「ああそうですね。もしかしたらそういうズレはあるかもしれないです。でもシンプルに空手の速い打ち込みだけでは勝てなくなってくると思うので、近いところでの勝負だったり、そういうものをこれからは覚えていかないと。あいつはここの攻防ができないじゃなくて、あいつはここの攻防も強いと思われるようになりたいです」

──MMAには色んな選択肢があるなかで、南選手は海外での戦いを見据えていると思います。世界で戦うことへの想いを聞かせてもらえますか。

「やるからには世界一になりたい。世界一になるためには、UFCに行かないといけない
そういう感覚ですね。何が正解かは分からないですけど、UFCにつながる試合を一つ一つクリアしていきたいです。次テムーレンに勝って、GLADIATORのタイトルマッチをやらせてもらえるなら、そこを勝つことで色んな景色が見えてくると思うんですよ。大雑把にではなくて、一つの明確な目標があって、そこに向けてどういう道筋を選んでいくか。それを自分で選択していきたいですし、その選択を作るためにも勝ち続けていきたいと思います」

──それではテムーレン戦を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いします。

「打撃で圧倒して、触らせずシンプルに倒すところを見せられたらなと。あとは新しい、こんなこともできたんや、こういう打撃、こういう組み方、そういうことできたんやっていうのを見せられるように、しっかり勝ちます」

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