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【PFL&ONE】三浦彩佳 meets 渡辺華奈─01─渡辺✖カモーシェ戦から、女子J-MMAファイターが学ぶこと

【写真】シリアスな対談になることを予想していたが、試合前のインタビューや会見時とはまるで違う──渡辺の空気感により、バッカ明るい対談となった (C)MMAPLANET

6月13日のPFL2024#04でリズ・カモーシェとシーズン2戦目、そして3年前のリベンジ戦を戦った渡辺華奈。激闘と呼ぶにふさわしい勝負は、残り8秒で腕十字に切って落とされ返り討ちにあってしまった。
Text by Manabu Takashima

(C)PFL

この敗北で渡辺のPFL2024年シーズンは終幕となった。

しかし打撃を被弾しながら組んで上を取り続けた渡辺はこの間に如何にMMAファイターとして成長したのかを見せつけた。

BellatorからPFLと、フライ級という階級で世界と戦う渡辺の姿から、日本の女子MMAファイターはそれぞれが自分自身と照らし合わせて何かを感じ取ったはずだ。

MMAPLANETでは渡辺と4年に渡り練習を続けている三浦彩佳との対談を行った。1月のONE日本大会で平田樹を破りながら、次戦は澤田千優に敗れたジヒン・ラズワン戦が組まれるなど(※ラズワンの負傷で流れた)など、厳しい状態が続いている。そんな三浦が、渡辺✖カモーシェの激闘から何を感じたのか。また渡辺のカモーシェとの再戦に賭けていた想いと、下った試合結果をどのように受け止めているのか──を訊いた。


――BellatorからPFLで戦う渡辺選手と、ONEで戦う三浦選手。柔道出身、海外で戦う二人が一緒に練習をしているということですが、どれぐらいのペースで手を合わせているのですか。

渡辺 週に1度は必ず、多い時は2回ですかね。Fighter’s Flowのプロ練習に三浦さんが来てくれる感じです。

──一緒に練習するようになって、どれぐらいになりますか。

渡辺 2年ぐらい前ですかね。

三浦 そんなことないですよ。もう4年やっています(笑)。

渡辺 そんな前? そうか、まだパーソナルトレーニングのジムの方でマットを敷いて、壁レスもできないような小さなスペースでやっていたね。

三浦 初めて会ったのが、YouTubeの企画だったんです。華奈さんのところにお邪魔をして、柔道対決をして。その時に長南さんから「渡辺さん、どうだった?」って聞かれて、「メチャクチャ投げられました」と。そうしたら長南さんに「お前、そんなんで良いのか?」、「女に投げられて、悔しいだろ」、「勝つまで出稽古してこいッ!!」って言われたんです。

──そのようなスタートで4年も続いているのですね。

三浦 実は私は学生の時に、柔道が凄く好きで……。

渡辺 柔キチだよね(笑)。

三浦 ハイ、近代柔道も毎月買っていて。近柔に全日本強化選手の名簿とか載っているので、好きな選手や憧れの選手に〇印をいれて毎月チェックしていたんですよ(笑)。

渡辺 ヤバ……(笑)。

──……、……。

三浦 で、華奈さんのことがめっちゃ好きで。いっつも全日本強化選手にその名前があって。可愛い人なのに。

渡辺 嬉しいぃ。ファンだったんですとは言われたけど、そこまで詳しくは言ってくれたことじゃなかったし。

──憧れの存在とMMAの練習をするようになったと。

三浦 いざ練習を始めると、同じ柔道ベースでもレベルが違っていて。それにMMAになっても、華奈さんは頭抜けて強いんで。練習量の多さだとか、練習に対するストイックさが凄いからで。見習うところも多かったです。一緒に練習をさせてもらうことで、華奈さんの姿勢を見て、自分のモチベーションになりました。

──三浦選手から凄く良い練習ができていると早い段階で聞いていたのですが、色々と事情があって2人が一緒に練習をしていることをインタビューでも公にすることができなかったですよね。

三浦 そうでした。そうでした(笑)。色々とあって(笑)。

──ただ、当時はそういう風には思っていなかったのですが、改めて並んでいるところを見ると、階級差は明白に感じられますね。

渡辺 いや、着ぶくれですよ。これ。オーバーサイズのTシャツを着ちゃって(笑)。

三浦 アハハハハ。

──いえ、明らかに骨格です。

三浦 でも以前は同じぐらいの体重だったんですよ。

──これだけ骨格に違いがあって体重が同じなら、三浦選手がデブだっただけじゃないですか(笑)。

三浦 ハハハハ。でも、本当にブーちゃんだったんですよ。

渡辺 それがいつの間にか、どんどん小さくなってしまって。ズルい(笑)。挙句にアトム級だとか、言いだすし。

──三浦選手の話を聞く限り、渡辺選手はアスリートとして完成形にあったかと。ただし、国内で試合をしている時は、その柔道の強さと柔道で鍛えたフィジカル、そして生来の運動神経で勝っていて、MMAができている風には正直思えなかったです。

三浦 本当に一生懸命にやっていましたよ。でも今から振り返ると練習の効果は鈴木隼人さんが指導をしてくれるようになってから、より出てくるようになったかと思います。

渡辺 上田(貴生)さんは基本に則した防御と、極めるまでのパターン創りを細かく組み立てたりする感じで。

──上田さんは戦略家というイメージがあります。

渡辺 そうなんです。そこに隼人さんが加わって、レスリングが強化されました。上を目指せば目指すほど、MMAにはレスリングが必要になってきますし。

三浦 隼人さんが来てすぐの頃、お互いにテイクダウンを狙って、頭もぶつけたことがありましたよね(笑)。

──実は中学の時の女子の部活を傍から見ていて、先輩のイジメとか怖いイメージがトラウマになっていて。女子同士って、色々あるのではないかと勘繰ってしまうことも多々あったんです。

渡辺 三浦さんとはそういうのはないですよ。階級も違うし(笑)。

──そこ強調しますね(笑)。

三浦 そもそも戦っている団体が違いますからね。

渡辺 一緒に練習をし始めた頃には、三浦さんはもうONEで戦っていたしね。でも私は格闘技のことは知らないので、ONEがどういう団体なのかも一緒に練習をするようになって知ったんです。でも彼女こそ、一生懸命でしたよ。

──一生懸命の褒め合いになっているので、何か違う三浦選手の特徴はなかったですか(笑)。

渡辺 体が柔らかい。そして、ドンくさい。アハハハハハ。マット運動とかヤバいですよ(笑)。ジャンプもなんかタイミングが変だし、跳べていない。それなのに縄跳びは上手いから、意味が分かんなくて(笑)。

──そこは一緒に練習して解消されたのでしょうか。

渡辺 いえ、ドンくさいままなんです。でも、だから良いところがある。器用にできるわけではないので、一つのことを修得するまでずっと時間が掛っても続けています。そんなことを言っても、自分もBellatorに出始めたころとか技術的には本当にヤバかったですけど……。装備なしで、戦地に出向いているようなモノで。

──正直に申し上げて、自分は渡辺選手を過小評価していました。柔道流のテイクダウンはできても、その形に入るまでの打撃の距離をどう戦うのか。また組まれても、「切れますよ」という選手が米国やブラジルにはいる。Bellator Japanのイララ・ジョアニはともかく、Bellatorデビューとなったアレハンドラ・ララ戦などは、フィジカル&柔道では勝てないと思っていました。

渡辺 たくさんの人がそう思っていたと思いますよ(笑)。

──でも、自分の目は節穴でしたね。

(C)BELLATOR

渡辺 いえ最初のリズ・カモーシェ戦の結果こそ、その予想通りになっていますから。

三浦 あの試合の後から、華奈さんはサウスポーに変えて凄く変わったと思います。しっくり来ている感じで。

渡辺 柔道では右手前だったので、そのまま組めるような感じになって。

三浦 打って入って、差しが反対だとワンテンポ遅れるというか。だから両方できれば良いんですよね。

──以前、米国では組みのオーソも、打撃では一旦は打撃のオーソに前手を変えて指導をすると聞いたことがあります。ストロングハンドを後ろにすることで、打撃の理解が進み。そこからサウスポーが良いか、スイッチヒッターになるのも可能だからと。

三浦 そうなんですね。

────柔道とレスリングは姿勢がまた違うのですが、「レスラーに体を起こさせ打撃が使える構えになっても、前足と同じサイドの左ジャブを打ち込む際に、体重が足に掛かり過ぎる。そうなると相手のテイクダウン狙いに対応できない。なので、まず遠い距離からでも優れた身体能力を生かして打ち込める右クロスを指導する。右のクロスだと、重心を後ろ足に掛けやすく、テイクダウン狙いをスプロールするのも容易くなる。そうやって打撃とは何かを、利き手が後ろの構えで一旦は教えるんだ。そこからサウスポーでもスイッチでも、採り入れれば良い」と今は亡き名コーチ、ショーン・トンプキンスが話していました。

渡辺 なら、オーソを経験していて良かったということになるんですね。

三浦 そういえば浜崎(朱加)さんも、そうだったと聞いたことがあります。最初はオーソで、サウスポーにしたと。でも、本当に華奈さんはサウスポーがハマって結果にも表れるようになったと思います。

──カモーシェ戦後のMMAファイターとしての成長振りは、目を見張るものがあるかと思うのですが、間近で見てきた三浦選手はその辺りはそのように見ていましたか。

三浦 だって日本を代表して戦うなんて、華奈さん以外にいないですよ。その通りになったというか、エリート街道をいっているなと。顔、顔、顔(と渡辺に)、なんて顔をしているんですか(笑)。

渡辺 褒められることはなれていないので、もっとけなして(笑)。

三浦 そんなことできないですよ。Bellatorのファイトウィークって、華奈さんの話を聞くとONEとは違って、本当に大変だったみたいで。リズ・カモーシェ戦の時とか凄かったんですよね?

渡辺 試合直前になってコンタクトは禁止だって、外されました(苦笑)。ウォーミングアップ場も寒くて。全然汗をかけなくて、コロナ禍だったので外も出られない。バスタブもなかったです。米国でも州によって違うし、もちろん国が違うと全然違っていました。

三浦 その点、ONEのファイトウィークは凄く過ごしやすいです。ホスピタリティとか、凄くよくて。

渡辺 だって通訳さんとかいるんでしょ?

三浦 通訳というか、日本人のスタッフもいますし、直接テキストを送ったりとかしてコミュニケーションも取れます。逆に通訳もいない、そんなファイトウィークで戦えるだけ、華奈さんは精神的に強いと思います。

渡辺 まぁ、ぶっちゃけ大丈夫よ。どんな状況でも(笑)。

──三浦選手からサウスポーに構えが変わって、スムーズになったという話がありましたが、ご自身では何が変わったと思っていますか。

渡辺 それまでやってきたことが、出るようになったことはあるかと思います。それ以上に練習環境を変えたことですね。カモーシェに負けて打撃をやらないといけない。そしてテイクダウンの種類を増やさないといけないと凄く感じたので。まだ打撃なんて全然出せていないですけど、あれから週に3、4度ずっとやっているし、隼人さんが来てくれてから試合前はマンツーマンぐらいの勢いでずっと見てもらっていて。

そうやってここ3年を過ごしてきたので、試合前のインタビューで「強化してきたところは?」という質問があると、ずっと打撃とレスリングと言い続けてきたと思います(笑)。自分は色々なことはできないので、そこだけを突き詰めてきました。それが試合でちょっとずつ出てくるようになってきた感じです。

三浦 ちょっとじゃないです。こんなに出るんだっていうぐらい試合毎に変わっています。打撃に関しても、出ないこともあるかもしれないけど、持っているというのがあれば気持ち的に全然違うと思います。

──いわば三浦選手も同じようなことを追求してきたと思います。客観的に渡辺選手の成長を観察することができていますが、自身に照らせ合わせて思うところはありますか。

三浦 いやぁ、もう……。だからこそ、華奈さんのコレを見て出したいなって思うんです。私も首投げ一辺倒でないように。そこはまだ色々な意見を言ってもらうこともありますが、1月の(平田)樹ちゃんとの試合は自分のなかでちょっとずつ出せてきているのかと思いました。試合を決めきることはできなかったことは悔しかったのですが、差してヒジを出すとか、少しは出せたかなと。華奈さんのようにドーンと出せていないですけど(苦笑)。

渡辺 もっとデキるんだよ。私はあんなもんじゃない。

──凄いどや顔ですね。「もっとできる」ということは出せていないのに(笑)。

渡辺 アハハハハハ。

三浦 でも、ホントにもっとデキますよ。華奈さんは。

渡辺 もっとデキるんですけどねぇ……。あんなもん、まだ30パーセントですからね(笑)。

──渡辺選手と三浦選手の違いは、特に直近の試合では首に手を巻いて投げることを相手が怖がるのか、それはもう通じないよという風に戦ってくるのか。その違いもあったかと思います。ONEでもティファニー・テオやシィォン・ヂィンナン戦を想定すると、そこまでセットできないことを考えて首投げ以外のテイクダウンが必要になってくる。ただし、平田選手は組めるし、首投げを嫌がって腰を落とすのだから、すかしてコントロールという流れは何も悪くないです。

三浦 つまり首投げの形に入れない相手と、華奈さんは戦っているということですよね。カモーシェは投げの反応とか、本当に対策練習もしていたと思います。

(C)PFL

渡辺 マジで強かった。

──開始早々のテイクダウン狙いを苦も無く反応してがぶった。奇襲にも反応できるのかと驚きました。

渡辺 実は自分も思い切り入ったので、その当たりで効いちゃったぐらいなんです。

三浦 えぇ!!

渡辺 だから、セコンドには「自分、あの時に何か貰いました?  ヒザですかね?」とかって聞いているんですよ。でも「普通に入っただけだよ」と言われて(苦笑)。

──凄まじい話です。

渡辺 ぶっちゃけていうと、男子選手とやっているような気分になりましたね。あんな風に対応されると。

<この項、続く>

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45 IMMAF MMA MMAPLANET o ONE アデーレ・フォーナリノ ティファニー・テオ マイッサ・バストス 山田海南江

【ADCC2024 Asia & Oceania Trial 02】女子55キロ級に出場、山田海南江「今までいっぱい泣いてきたから」

【写真】今年2度目のタイ。ONEとは異なり自身で航空券とホテルを抑え、戦う。それでもグラップラーは海を渡り、世界の頂点を目指す(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(土・現地時間)、タイはバンコク郊外ランシット大で行われるADCCアジア&オセアニア二次予選の女子55キロ級に山田海南江が出場する。
Text by Shojiro Kameike

昨年11月にシンガポールで開催された1次予選で、女子トーナメントは世界大会への出場権が賭けられていなかった。しかし山田は「ADCCルールに慣れるため」と女子55キロ級にエントリーし準優勝という結果を残している。今年3月にはONEサブミッションレスリングで、現役最強の柔術家のひとりマイッサ・バストスを相手に、敗れながらも好勝負を展開した山田が、今回挑むADCC予選について語った。


――タイのバンコク入り直後のインタビューとなります(※取材は5月9日に行われた)。昼に出発した東京の気温が18℃で、夜のバンコクが35℃と寒暖差が大きいようですね。

「そうなんです。東京も飛行機の中も寒い、空港に着いたら暑い、タクシーに乗ったら寒い――の繰り返しで(苦笑)」

――ここまで調整とコンディションはいかがですか。

「体調は問題ないです。実はコンディションよりも、ONEの試合が終わってから自分の中でギャップが生まれちゃっていて」

――ギャップとは?

「自分ではマイッサ戦で、もっともっとやられると考えていたんです。コテンパンにやられなかったのは、良いことかもしれません。だけど、そんなに世界は遠くないのかなって勘違いも生まれてしまいました。手応えがあった部分、プラス思っていたものと違っていたんですよ。ONEが終わってから1週間ぐらいは自分の中でもいろいろ考えて。練習はしたいけど体調も悪くなってしまいました。心と体のバランスに差が生まれたといいますか」

――世界チャンピオンに負けたけど良い試合を見せた。再戦すれば勝てるかもしれない……と期待されながら、その再戦は初戦とは程遠い内容で敗れるという例は、過去多数ありました。そのケースでは、もしかしたら初戦で燃え尽きてしまっていたのかもしれません。

「何となく分かります。マイッサと試合をして良かったと思う自分と、まだ対戦しなくても良かったんじゃないかと思う自分がいて。それでもADCC予選に向けて気持ちを切り替えないといけない。どうやって切り替えようかと考えたら、また心と体のバランスが――」

――……。

「でも1日中そういうことを考えていると、やることがなくなって。いつもどおり指導はしながら、練習は休んでいると時間もできて『私はこのままで良いのかな?』と。結局は『やっぱり練習するしかない』ってところに辿り着きました」

――マイッサ戦を振り返ると、ご自身の中で試合内容に対して満足いかないものでしたか。

「正直、あまり覚えていないんです。あとで試合映像を見返すと、一方的に攻められていたことには変わりないです。でも最初に言ったとおり『もっとやられるかな?』と思っていた試合内容ではなくて。

どの試合でも、内容に満足することはないです。ただマイッサ戦は周りの人からも『良い愛だったね』と言われますし、高い評価も耳にします。かといって自分で自分を褒めることはない。自分で自分を褒めて良いのかどうかは分からないです。

でもあの試合を見て『勇気をもらった』という連絡をくださった方がいて。それぐらい視ている方の心に響いた試合だったんだなって思うと、あの試合をやって良かったんだなって考えています。それがまた心と体のギャップにも繋がってしまうんですけどね(苦笑)」

――プロとして考えるのであれば、次の試合オファーとファイトマネーが評価を表すものの一つだと思います。マイッサ戦後、ONEから試合のオファーはあったのでしょうか。

「それもADCCとの兼ね合いなんですよ。今の私が目指しているものはONEのベルトではなくADCCです。ADCC世界王者に至る過程として、ONEの試合が存在しているのであれば考えます。でも今の状態では、そのベルトを目指そうとは考えていなくて……。もちろん評価してもらえるのは嬉しいけど、自分の芯はぶらさずに続けていきたいですね」

――それだけ山田選手にとって、今はADCCこそが目指すべき世界の頂点ということなのですね。

「グラップリングって『世界の頂点』と呼ぶ基準が分からない競技じゃないですか。プロとして活動するにしても、やはり自分の中の世界チャンピオンとしての基準をクリアしてから次のことを考えたくて。その自分にとっての世界チャンピオンというのは、やっぱりADCC世界大会優勝なんですよ」

――そんななか昨年11月には、ADCCルールに慣れるためにと、代表決定戦ではないにも関わらずトーナメントに出場しました。以降、ルール対策はいかがですか。

「前回のインタビューでもお話したとおり、自分の中でタイマーを見ながらポイントが入らない前半と、ポイントが入る後半を意識して練習してきました。あとONEが終わってから1カ月間、足関節にこだわってきたんですよ。足関節で攻めて来る相手は絶対いるじゃないですか。特にポイントがない前半は足関節を凌げば、後半に自分がポイントを得られるチャンスが来るんじゃないかと思っています。

それと週1でレスリングの練習に行っていました。ちゃんとしたレスリングはもう5年ぐらいやっていなかったけど、ADCCのためにはレスリングも必要だと思って。今まで柔術だとギがある分、逃げていたところもあったんですよ」

――逃げていた部分……というと?

「ギは掴むところがあるじゃないですか。体で痛めているところがあると、ギを掴んで逃げてしまう時もありました。でもADCC、レスリングはそうもいかなくて。やっぱりADCCで戦うためには逃げることなく、その部分を埋める練習が必要だと思ったんです」

――なるほど。レスリングの練習は母校に行ったのでしょうか。

「いえ、早稲田大学ですね。早稲田のレスリング部に友達がいて。でも申し訳なかったです。全然レスリングができなくなっていて(苦笑)」

――やはり5年振りだと全く勝手が違いますか。

「ひとつは自分が柔術に慣れすぎていて、たとえばテイクダウンに入りきることができなくなっていました。柔術だとギロチンを警戒するので、テイクダウンに入るにしても、すぐに抜けられるような形になっていて。私はグラップリングでも、小さい頃からレスリングをやっていた部分をもっと生かしたいです。そのためにも普段から、もっとレスリングの練習をしておいたほうが良いと思いました。ハッキリ言ってしまえば、私にはレスリングの部分しか勝ち目がないから。アハハハ」

――笑いながら言うことではないです(笑)。

「前半に相手の足関節を凌いで、後半に持ち込んでポイントを取る。そのために自分が好きだったレスリングを――レスリングから離れた今もう一度見直すのも不思議ですね」

――今回の出場選手を見渡すと、やはり昨年11月よりも様々な競技で実績を残しているメンバーがエントリーしています。そのなかでもご自身のレスリング力、レスリングの経験はアドバンテージになるでしょうか。

「アドバンテージにするためにレスリングの練習をしてきました。前回、アデーレ・フォーナリノとの決勝戦では最初のほうで私がテイクダウンしたんです。それも含めて前回出場したメンバーの中では、レスリングに関しては私が上のほうにいたと思います。でも、おかげで私がレスリングで強いのはバレちゃったから、今回は簡単にテイクダウンに入れる状態に持っていかせてくれないでしょうね……」

――そう考えると、前回の予選でアナコンダを極めまくった竹内選手にも同じことが言えるでしょう。

「そうかもしれないですね。自分の強みが周りに知られているなかで、その強みにこだわって貫くか、あるいは別の強みを摂り入れるか。ただ、周りの選手を見ても思うんです。たとえばボトムからの展開にこだわっている選手も、間違いなくトップからの攻めも強いはずなんですよ。それでもボトムにこだわるのは、何か理由があるからで。自分はボトムからはヘタなので分からないですけど」

――ここでも自虐ですか(笑)。それだけに今の山田選手にとって、一番適正なのがADCCルールであると言えませんか。

「はい。今はADCCが一番、可能性のあるルールだと思うんですよね。でも今回出ている選手も、みんな強そうで」

――世界大会への出場権が賭かっているためか、エントリー選手の質が昨年11月とは大きく異なりますね。国際大会の実績を持つ比国のアニー・ラミレスをはじめとして、ONEで戦っているMMAファイターのティファニー・テオや、IMMAF世界王者のジャンナ・カスキノヴァなど多種多様な選手が出場します。

「アニーとは練習したことがあります。私が負ける感じではなかったけど、もともと60キロで試合をしているぐらい、とにかく大きいんですよ。柔術もグラップリングもやっていて、アジアで最強の一人だとは思います。

韓国のキム・シウンは今年1月に、マイッサが優勝したアブダビグランドスラム東京(女子茶帯ルースター級)で3位になっていますよね。マイッサが一度スイープでポイントを取られていて、その時から注目していました」

――なるほど。トーナメント表は計量後に発表されるとのことですが、現時点で出場メンバーを見た印象を教えてください。

「誰と対戦することになっても、結局は自分のスタイルは変わらないですね。これまでも、それで戦ってきましたし。あとは珍しく運次第って言いたいです。

私って、もともと運がないんですよ。レスリング時代のくじ引きとか。でも今回は運も勝負のうちだなと思っています。自分がやれることはやってきました。そこにプラスして『今まで泣いてきた分、運がついてきらら良いな』と。次が無い試合って心地良いです」

――次が無い試合、というのは……。

「今回負けたら、次のチャンスは2年後じゃないですか。そういう試合って久しぶりなんですよね。今は光と絶望の中間にいる状態で」

――オリンピック出場のチャンスは4年に一度しかありません。一方でプロの試合は勝てば、あるいは良い試合をすれば、すぐに次のオファーが来る可能性がある。マイッサ戦でギャップを感じたと言われましたが、「負けても良い試合だったから次がある」というプロの世界が、これまで山田選手が生きて来たレスリングや柔術の世界とは違うわけですよね。

「そうか、そういうことですね。『負けても次がある』という世界に馴染んでいないというか。それと私は今まで楽しんで柔術をやってきました。でも今回『負けたら次はない戦いだ』と気づいた瞬間、勝ちたいという欲が強くなって。そのために『楽しみたい』と『勝ちたい』の間で、気持ちの浮き沈みが激しかったです。

でも今はもう吹っ切れました。今回出ているメンバーの中でも、その気持ちを味わっている経験は私が一番だと思っています。『みんな、その環境に置かれたことないでしょ?』と言いたいです。私は今まで、その環境でいっぱい泣いてきたから。負けたら次はない、だから勝ってラスベガスの世界大会に行きます」

■視聴方法(予定)
5月11日(土・日本時間)
午後12時00分~Flo Grappling

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【Special】J-MMA2023─2024、平田樹「アーセン云々なんて触れないで、無意味な試合と言いたいです」

【写真】気を張っていない平田樹の表情が見られたような気がします。現状MMAトレはHEARTSのみ。グラップリングをトライフォース、ムエタイをクレインで練習しているそうだ (C)MMAPLANET

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Manabu Takashima

J-MMA2023-2024、第十弾は28日(日)に東京都江東区の有明アリーナで開催されるONE165「Superlek vs Takeru」で三浦彩佳と対戦する平田樹に話を訊いた。

ファイト周辺の派手な言動と繰り返された計量失敗、彼女に対する反発は業界内から強い。それに故に練習場所を固定できず、明確なビジョンも練習に持ち込むことが困難だった平田が、自らの意志で大沢ケンジ率いるHEARTSでトレーニングを行うようになった。

ハム・ソヒ戦後に引退を真剣に──いや、それ以上に自然と考えた平田がこの場に戻ってきたのは人を殴りたいという衝動と、MMAを楽しみたいという本能だった。山本アーセンの元カノ&今カノ対決というエグすぎで専門メディアが料理できないマッチアップを消化する必要がある平田の胸中とは。

■2023年平田樹戦績

3月25日 ONE FN08
●0-3 ハム・ソヒ(韓国)


――大沢ケンジさんが2021年10月のリトゥ・フォーガット戦前(※平田が体調不良で欠場)にミット打ちを一緒にやっていた時とは全く違って、凄く熱心に練習をしていると言われていました。

「そうです。ちゃんとやっています(笑)。自分から大沢さんにお願いして」

──練習環境などで平田選手からアクションを起こすのは、過去にあまり記憶になかったです。

「初めてです。去年の10月ぐらいに日本で練習をしていくなら、大沢さんが私の試合を一番多く見てくれていると思って。実はハム・ソヒ戦が終わった後、4月に直樹がパンクラスで試合をした時に会場で大沢さんと少し話をして。あの時、私はもう引退を考えていて。それを話すと、皆が反対するなかで大沢さんが『良いんじゃない。一回辞めても良い。若いし。やりたくなったら、復活するから。一回、離れるのも良いよ』って言ってくれたのが心に残っていて。やっぱりMMAをやりたいと思った時に大沢さんに教えてほしいなってなりました」

──平田樹がカフェでカプチーノを淹れている取材をするのが、楽しみでした(笑)。正直、ハム・ソヒ戦の敗北で辞めるかもしれないなと思っていたので。

「私も、そう思っていました。両親も柔道の時はあれほど辞めるなと言っていたのに、『辞めて良いよ』という感じだったし」

──もう長い間、平田選手の表情や言動からMMAファイターをやっていて幸せなのかなという疑問がありました。で、どこかで会った時に「カフェをやりたい」と言っていたので、それで良いのではないかと。

「米国で練習して勝てなかった。色々と言われて……『だったら、もうイイよ』って。デビューの頃は勝って、皆が凄いねって言ってくれました。でも、負けると全く違う世界が見えてしまって……。子供の格闘技と一緒で勝っているから楽しくて、負けたら楽しくないから辞めたいって(苦笑)」

──ハム・ソヒに負けるのは致し方ないですけど、普段から目立っている分……何より試合前に弱い言葉を発せない分、跳ね返りも大きかったです。それもまた致し方のない、キャリアの積み方をしてきたので。

「そういうのは、自分も色々と感じていて。でも自分で選んだことだし頑張ろうって、やってきたけど、あの負けで全部が弾けた感じがしました。こんなに早く辞めたいと思う日が来るなんて、全然考えたこともなかったです。もっと長くやって『もう良いかな』っていう風になるのかと思っていたので。

ハム・ソヒ選手との試合は、本当に強さを見せつけられて。試合中もどうしたら良いのか、分からない。誰を頼って良いのかも分からない。でも戦うしかない。凄く心細くて、本当にしんどかったです。だから、もうMMAに関係のないことをやりたいって思ったんです。お母さんがパン屋さんの店長で、朝早くから真剣に働いていて。何か、格闘技以外であんな風に没頭したいと思いました。本当に辞めるモードで、練習もホントにやっていなくて」

──それでも続けようと思うようになったのは?

「やっぱり直樹の試合を見て……なんか、悔しくて。『あれっ? 何か悔しいな』ってホント思ったんです。嬉しけど、悔しい。自分の方が勝ち続けていたのに……」

──それは直樹選手が、真面目にMMAに取り組んできたからではないですか。

「そうなんですけど、なんか悔しくて。でもMMAでなくトライフォースの柔術でも良いかなかって思って、グラップリングから練習をするようになりました。そうなると、何か違うんです。極めるとかだけじゃ、何か物足りなくて。やっぱり、殴りたい。直樹の試合を見ても思ったんですよ。漬けて漬けてっていう試合をしているから、『もっと殴れよ』って。そうなった時、こうやって想う自分がいるんだから──まだできるわって。

その時に『辞めたら』と言ってくれた大沢さんに習いたいな、と。なんかハム・ソヒ戦後に休んでいる期間に色々と気付くことがありました。普通の休みじゃなかったですね。運動をする格好にもならないし、シューズも履かなかった。普通の人みたいに毎日、化粧をして。でも、気がつけばここに戻ってきて……。

直樹もそうだし、(鹿志村)仁之介もそうだけど、選手に対して皆が一つになっている。あれが凄く羨ましくて。ああいうモノが創れそうだったのに、自分で壊しちゃダメだと思うと『また、やりたい』という気持ちが大きくなりました。『勝たなきゃ』、『勝たないとダメだ』っていう気持ちになっていたのから、『戦いたい』という気持ちに戻ったというか。

もう試合に向けてというよりも楽しさを取り戻す──じゃないけど、最初は体を動かすことが楽しい、練習することが楽しいっていうところからやり直しました。以前は試合が近づくほどに楽しみが大きくなっていたのが、最近は試合が近づけば近づくほど気持ちが落ちてしまっていました。今回の試合も勝ちたいけど、やりたいことをやりたい。試合をすることが、楽しくなっています」

──まぁ楽しくないから辞めていると、それこそ先ほど話に出た子供の習い事で。辞めたいという気持ちから、戦うことを楽しみたいと思えるようになったのは平田樹が本当の意味でMMAファイターになってきたということではないのでしょうか。

「そうなんですかね(笑)。でも、やりたいことをやるって楽しいなって、練習をしていて想うようになりました。これだけ基本から教えてくれる人がいるのだから、また前に進もうと。すると、またメチャクチャ楽しくなって。試合に向けても……どうせ試合はしんどくなるから、練習を思い切り楽しんでやろうと。

MMAを続けるなら、楽しみたい。今は本当にそういうつもりです。母親も『樹は楽しんでいる時が、一番強い』って言っていて。確かに、その通りだし。楽しんでやることが一番大切で、当然しんどいこともあるけど、今は楽しいことの方が多いです」

──なるほど。そうこうしていると、ONE日本大会で三浦選手との試合が決まりました。

「最初は違う相手を聞かされていたので、『えっ?』と思いました。階級は向うが上だし、『やる意味、なくない?』って思いつつも、決まったことなんで。だから、この先のことを頭に入れての練習もたくさんやっています。次は投げとアヤカ・ロックだけ、そこだけなんで」

──皆が分かっているのに、極めてしまうのは凄くないですか。跳ね返された試合もあったのに、またそこで勝つのは驚異的ではないかと。負けてもサブミッショングラップリングでダニエラ・ケリーと戦った時に、三浦選手の組みの強さを見た想いがしました。今回の試合は、決して簡単なファイトになるとは思えないです。

「う~ん、でも……なんでアレが極まるんですかね。逆に。アレを極めることができるって、自分とは違う世界を生きている人なんだろうなって思うんです。求められているモノが、自分と違う。あそこ止まりで良いと皆は思っているわけじゃないですか」

──凄く上から目線ですね(笑)。

「だって、自分だってアレで良いならアレで貫き通したかもしれないし。でも『首投げ止めろ』、『MMAを戦え』という声があったわけで。それで、私はMMAを戦いたくなりました」

──きっと三浦選手も言われていて、それでも貫き通しているのかと。

「でも、あんまり輝いているとは思えないですね。アレしかないですからね」

──う~ん、とことん来ますね(笑)。アレしかない人のアレって、凄く強いと思わないですか。

「う~ん、でもアレが極まらないと負けるじゃないですか。ティファニー・テオと戦った時は首を抜かれて、打撃でやられて。シィォン・ヂィンナンにも組めなくて、打撃の圧でやられました」

──パンダやテオのような試合を平田選手はできる、と?

「やってみたいですね。ソレをやらないと意味がない。いつも通りの試合をして、柔道対決とかってなると一番つまらないし。このカードを組まれたなら、MMAを戦って盛り上げる。MMAをやりたい。HEARTSでやっているMMAを見せたいです」

──そんな平田樹✖三浦彩佳戦ですが、煽り方が中途半端というか。やるとなったら、この試合はアーセンの元カノ✖今カノ対決で全面的に売らないのかと。ABEMAの煽り映像に乗っかって、申し訳程度に触れてんじゃないよ──と素直に思います。

「アハハハハ」

──この下品なカードは、ここで騒ぎ立てようやとは?

「ならないですね。私はアーセン云々なんて触れないで、無意味な試合だって言いたいです」

──それを平田選手も三浦選手も言って良いと思います。ただし、この試合を盛り上げるにはそこは避けては通れない。

「そうですよね。でも、自分的には騒ぎ立てられなくて良いです!!」

──ひょっとして、怒っていませんか……。

「お互いに求めていないカードだと思うし。向うも自分とやりたいなんて思ってなかっただろうし」

──自分の進みたい道を進むために、勝たないといけない試合になったわけですね。

「まぁ、そうなんですけど……。自分的には、大沢さんとのコミュニケーションがどれだけ取れるのか。そこが楽しみです。セコンドの声を聞いて、どれだけ動けるのか。前に就いてもらった時(※2021年2月22日、中村未来戦)は、そういう風にできなかったので。そこは自分にとって試合中の課題で。そこも踏まえて、成長が感じられる試合にしたいです。

これまで気持ちでやってきた部分があったけど、それじゃあ勝てないレベルの相手になってきています。心が折れても、サポートしてくれる人がいてくれる中で戦う。だからこそ気持ちと同時に、技術面でしっかりと魅せたいです」

──三浦選手に触れられると明白に不機嫌でしたが、そうでない部分では久しぶりに平田選手の表情が明るいですね。

「そうですか。今はMMAのことを話すのが楽しいし、練習が楽しいです。一歩、踏み出せたかなって。これまで他のジムに行っても、自分は目立っていて遠慮されていたことが多いと思います」

──まぁ所属もしていないですし、本当の関係は築けないかもしれないですね。大人の関係のような感じで。

「両親も『樹が行くことで、負けさせられないという思いになって所属するのは難しいかもね』って心配をしていました。自分は自分で『強くないといけない』とか思って、気が張ってしまっていて。皆が見ている平田樹はこうでないといけない、とか。同時に私が関わることで、ジム自体がアンチの標的になってしまうことが嫌で」

──そんなことまで危惧していたのですね。

「それがHEARTSだと、皆が茶化してくれて(笑)。(吉村)天弥君とか、『で、アーセンとはどうなの?』とか言ってくるし。なんか、それが楽しくて。ボコボコにやられても、気持ちが良いから、練習時間が長いとか思わなくなりました」

──三浦選手との試合を前にしてですが、今も頂点──現状はスタンプ・フェアテックスが目標なのでしょうか。

「やるからには上を目指すというのはありますけど、まずはランクに入らないといけない。それ以上にもっと場数を踏みたいです。だから、日本の団体だったらもっと試合ができるのかなって思ったりもしました」

──それでも平田樹という選手のポジションは特別で、他の選手より恵まれているという風に思うことは?

「まぁ、知らない人は分からないことだけど……色々と経験してきているので(笑)」

──その結果の今。この試合で何を見せたいと思っていますか。

「MMAです。コーチとのコミュニケーションも含め、全体的に総合力が上がった自分を見せたいです。これまで欠けていた部分がメチャクチャあったので。その欠けていた部分が補えて来た──MMA選手らしい試合をしたいです」

──ところで、体重の方は?

「あと2.5キロです(※取材は12日に行われた)。ここにいると『お前、体重落とせよ』って、皆に言われます(笑)。そんな皆に囲まれているからこそ、今回のように無意味だと思っている試合も、あとになれば意味があるんだろうなって思えるようになりました」

■視聴方法(予定)
1月28日(日・日本時間)
午後5時00分~ABEMA格闘チャンネル
午後6時30分~ABEMA PPV

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MMA MMAPLANET o ONE ONE161 ティファニー・テオ リトゥ・フォーガット

【ONE161】アトム級転向のティファニー・テオが、リトゥ・フォーガットをRNCで下す

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ティファニー・テオ(シンガポール)
Def.1R4分52秒by RNC
リトゥ・フォーガット(インド)

ストロー級タイトルコンテンダーのテオが階級を落とし、リトゥと対戦。身長、リーチで勝るテオは前蹴りを見せる。ローを蹴らながら右を当てたリトゥが、右フックを振るう。テオの右の蹴りをキャッチしてシングルを決めたリトゥだが、テオがすぐに立ち上がる。ケージを背負ったテオに対し、リトゥはシングルで押し込むがテオがネルソンで体を翻しバックに回る。RNCに手首を掴んで防ぐリトゥだが、左腕一本でテオが絞めを続ける。

ボディトライアングルに取ったテオは、右腕をかえてRNCを仕掛ける。リトゥが胸を合わせようとしたが、テオがバックを取り続ける。足のフックは解けたが、後方から頭部にヒザを連続で蹴っていくテオ。ここから三度、RNCを狙うとRNグリップで絞めあげリトゥがタップ。一方的な展開で、アトム級転向初戦でリトゥを切って落とした。


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ABEMA F1 MMA MMAPLANET o ONE ONE161 YouTube アドリアーノ・モライシュ キック シェ・ウェイ ジャン・リーポン チャンネル ティファニー・テオ ボクシング リトゥ・フォーガット ワン・シュオ 和田竜光 若松佑弥

【ONE161】ワン・シュオと再起戦、若松佑弥「何ならこの試合は誰にも見てもらえなくても構わない」

【写真】言っていることはクソ真面目でも。スクショの撮影では、『履いていますよ』モードになってくれた若松(C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで行われるONE161「Petchmorakot vs Tawanchai」で若松佑弥が、ワン・シュオと対戦する。

3月にアドリアーノ・モライシュの持つONE世界フライ級王座に挑戦し、ギロチンチョークで敗れた。念願のタイトル挑戦に敗れ、仕切り直しの一戦を前にして話を訊いた若松は──本人は侍と表現するが、まるで修行僧のような心境になっていた。


──今回の試合が決まったのは、いつ頃だったのでしょうか。

「最初は2カ月ぐらい前にシェ・ウェイと決まっていたのですが、試合の6、7週間前にワン・シュオに代わりました」

──タイトル挑戦権を得るには並び直しの再起戦ですが、正直ワン・シュオは1月に和田竜光選手に敗れており、正直なところ『おっ』となるマッチアップではなかったです。それはファンからしても、同じ印象だったのではないかと。

「もう日本人に負けている選手だから、そういう風に思われるということですよね。『勝つんだろうな』ってファンの人にも思われる……自分も第3者の立場だったら『若松が絶対に勝つ試合』と思う試合ですよね、でも僕は負けた身ですから、戦うだけです」

──そうですね。それでも……勝つか負けるかというスリルは試合前の時点では、それほど感じられないとは言えます。

「『確実に勝て』、『大胆にKOしてくれ』ということだと自分は理解しました。僕も『コイツに勝ちたい』、『越えていきたい』という選手と戦いたいです。でも、試合です。何が起こるか分からない。だからアドリアーノ戦と同じだけ集中して、これで何かあったら終わりだっていう気持ちです。楽な相手だからって、簡単に行くとは思えないです」

──もちろんです。ワン・シュオも絶対に勝つつもりで、若松選手がどうなろうが関係なく拳を振るってくる。それでもファンは「落とせない」という潜在意識を持った試合になる。

「なんていえば良いのか……。それでも長い人生のなかで、落とせない試合です。相手どうこうじゃなくて、自分との戦いなんですよね。将来、この試合を振り返った時に自分の記録の一つになるだけ、他人がどうこうじゃないっていう心境で。強いヤツと戦って盛り上げたいというよりも、僕はこれからもっともっとMMAを戦っていきたい。もちろん、さっきも言ったように強い選手と戦いたいです。でも、ONEが与えてくれた選手と戦うための自分との勝負。それが自分の将来のためになる。そういう風に思っています。ちょっと説明の仕方が分からないですけど……」

──何があろうが、最高の自分を創るための日々ということですね。

「ハイ。それが他の人に分かってもらえなくても良い。自分が、その大切さを理解していれば。ホント、何ならこの試合は誰にも見てもらえなくても構わないです。自分、応援してくれる人のためだけに僕は戦っていきたいんで」

──最近、MMAPLANETでもそういう論争になることがあるのですが、若松選手は知名度を上げたい派ではないということですね。「強いだけではだめ」だけど「強さは絶対」、「食べていくために知名度を上げる努力も必要」など、色々な意見がありますが。

「僕は開き直っています。俺は一人の侍として、人気がなくても良いし、試合以外のところで面白いパフォーマンスをやったり、目立つ発言をしたりとか……そういうことはやろうとは思わないです。下らない。それより負けないで、長い間MMAを戦っていきたい。一発屋芸人みたいなことはしたくない。強さに貪欲であり続け、毎日自分と向き合っていく。そういう人間になりたいというか、そういう格闘家人生を歩んでいきたいです。

以前は知名度を上げて収入を増やそうって思ったこともありました。YouTubeをすることが必要だと思ってやってみました。でも、僕は違った。強くなって、それで人から見てもらえるようになろうと考えるようになって。実力もないのに、そういうことばかりやって稼ぐより、勝った負けたでファイトマネーの上下があり、そういうところで勝って少しでも稼ぎを増やすプロMMAファイターでいたいです。

正直金は欲しいけど、戦って食うだけ稼げれば良いし。それ以上を求めて、戦いじゃないことに力を入れるのは自分は違うと思っています」

──SNSは全員が使えることができますが、それは車と同じで。車を移動の手段として使う人、モノを運んで稼ぐ人、人を乗せて稼ぐ人、そのなかで自分1人で運転して──競争して勝って億万長者になるF1ドライバーがいるように、SNSで儲けるにはそれができる才能が必要だと思います。猫も杓子もSNSで知名度が上がって、収入が増えるなんてことはない。

「僕はそれは無理だから。なら練習して、強くなって稼ぐ。そっちしか考えていないです。他人に何を想われようが、俺は俺。もうブレない。世界戦で負けて、一度自分を全否定しました……」

──負けたので、その要因は存在すると思います。ただし、自分は罠だろうが、ギロチンが待っていようが、ミキーニョとのスクランブルを制したり、テイクダウンを奪った若松選手をケージサイドで撮影していて、凄く興奮しました。打撃戦は詰将棋ではない。思わぬことが、組み技よりも起こる。そういうなかで、打撃でリードができないから組みでも勝負できる。そこを若松選手は見せていた。

「日本人でアドリアーノからテイクダウンを奪ったのは初めてだと思うし、じゃあ誰がアドリアーノをテイクダウンできるんだっていう気持ちはあります。負けたけど、テイクダウンを取れたことは自信になっています。それに後付けのようになってしまいますけど、僕はあの試合は競り勝つことを目標にしていました。

だから、凄く冷静だったんです。まるで練習みたいな気持ちだったから、ギロチンに対しても練習のようにタップをしてしまって……。普段の僕なら、タップせずに落ちていたと思います。でも、行けると思って入って──あれが待っていた。一瞬で摘んでしまった。冷静過ぎてもダメだと勉強になりました」

──凄まじいものですね。

「でも今までやってきたことは間違っていなかったです。自分は世界で1人、他と比較したり、他人の意見に左右されない。自分にフォーカスして、自信を持つようにしてきました。

そうでないと、SNSで知名度を上げようが、ステロイドで強くなって戦っていたら、メッキはすぐに剝がれてきます。僕はずっと戦える実力をつけて戦っていきたいです」

──常に自分と向き合っていると、モチベーションを外的要因に求めることはないでしょうか。例えばミキーニョに凄い勝ち方をしたDJともう一度戦うことを目標にするなどして。

「あれはトップ中のトップ、氷山の一角です。それよりも、自分に打ち克つこと。それを日々生きていく中で、続けること。自分と向き合うことの方が重要だと思っています。実際にそうやってきて、しんどかったです。でも、これで負けたらしょうがないと思える。それだけやってきました。弱い自分と向き合って、そこに勝つ。そこだけに集中し、打ち克つことをモチベーションにして……『チャンピオンになれるか』なんて考えることなく、『次で最後』という気持ちでやってきたので。

DJの試合を見て『やってやろう』という気持ちにはなります。でも、そんなのは当たり前で。当たり前のことだけやっていては、MMAを戦い続けることはできない。それに日々の誘惑に負けることなく、誰よりも練習していると競技人生も長くなると思います。そういう風に生きていると、またチャンスが巡って来るかもしれない。だから、まずは毎日を全力で自分と向き合うこと。それでも負けることもある。そして試合に負けても、死ぬわけじゃない。究極、回りに家族さえいてくれれば良い。だから自分の出来ることを全て費やすよう、毎日を生きていきたいと思っています。

今、MMAを戦えている時点で自分の限界に挑まないといけない。こういうことがデキない人が、世界中にはたくさんいます。なのに妥協して生きるようなことがあったら、本当にクソです。『こんなんじゃダメだ』って毎日を頑張らないといけない。そうやって過ごしてきました」

──そこまでの想いで迎えるワン・シュオ戦なのですね。では試合として、どのような戦いがしたいですか。

「タフで打撃があって、気持ちも強いという風に思われているみたいですけど、全てを消したいです。いざ試合が始まるとスピードも段違いだし、『あぁ、次元が違っていた』と思われて終わるはずです。僕が勝って当たり前と思われているんだから、そういう試合をします。ホント、相手が悪魔の実かなんか飲んでこない限り向うに勝ち目はない。そう思いつつも、試合は何があるか分からないので気を付けて戦います」


■放送予定
9月29日(木・日本時間)
午後7時~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE161対戦カード

<ONEムエタイ世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者] ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)
[挑戦者] タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP準決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
グト・イノセンチ(ブラジル)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP準決勝/3分3R>
イラジ・アジズプール(イラン)
ブルーノ・シャベス(ブラジル)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ジャン・リーポン(中国)
ザイード・イサガクマエフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ティファニー・テオ(シンガポール)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ワン・シュオ(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
アラヴェル・ラマザノフ(ロシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ジャン・チェンロン(中国)
センマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
バトラダズ・ガザエフ(ロシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ハン・ズーハオ(中国)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)

<サブミッショングラップリング・バンタム級(※65.8キロ)/12分1R>
ホドリゴ・マレロ(ブラジル)
ルスラン・バグダサリアン(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
マテウス・フィリッピ(ブラジル)
アリ・フォラディ(イラン)

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F1 ONE ONE Championship   エリピツア・シレガー キック ザイード・イザガクマエフ ティファニー・テオ ボクシング 三浦彩佳 上久保周哉 仙三

『ONE: Heavy Hitters』試合結果/ハイライト動画/仙三らが5万ドルのボーナス

【ONE】ジンナンが三浦彩佳の投げを完封、6度目防衛。仙三がKO勝ち、“永久寝技地獄”上久保周哉はONE6連勝! ハビブの練習パートナーのイザガクマエフが一本勝ちで「キル・アオキ」と対戦要求(ゴング格闘技)
▼第8試合 ONE世界女子ストロー級(※56.7kg)タイトルマッチ 5分5R
〇ション・ジンナン(中国)56.40kg, 1.0018
[判定3-0]
×三浦彩佳(日本)56.45kg, 1.0160
※ジンナンが6度目防衛に成功

▼第7試合 ムエタイ キャッチウェイト66.45kg 3分3R
×セーマペッチ・フェアテックス(タイ)65.65kg, 1.0087
[1R KO]
○タワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)66.45kg, 1.0214

▼第6試合 ONEライト級 5分3R
×ジェームズ・ナカシマ(米国)76.25kg, 1.0124
[2R 2分17秒 ダースチョーク]
〇ザイード・イザガクマエフ(ロシア)76.80kg, 1.0018

▼第5試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R
○スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)56.65kg, 1.0120
[判定2-1]
×エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)56.70kg, 1.0132

▼第4試合 ストロー級 5分3R
〇池田仙三(日本)56.35kg, 1.0191
[3R 2分00秒 KO] ※左ボディ
×エリピツア・シレガー(インドネシア)56.30kg, 1.0031

▼第3試合 ライトヘビー級 キックボクシング 3分3R
×ベイブラット・イスアエフ(ロシア)96.10kg, 1.0136
[1R 0分31秒 KO]※左フック
○ヤニス・ストフォリディス(ギリシャ)101.80kg, 1.0083

▼第2試合 ストロー級 5分3R
〇ティファニー・テオ(シンガポール)56.30kg, 1.0014
[2R 3分45秒 リアネイキドチョーク]
×メン・ボー(中国)56.70kg, 1.0083

▼第1試合 バンタム級 5分3R
〇上久保周哉(日本)64.90kg, 1.0014
[3R 4分36秒 リアネイキドチョーク]
×トロイ・ウォーゼン(米国)65.80kg, 1.0207

 ONE Championshipが1月14日にシンガポール・インドアスタジアムで開催した『ONE: Heavy Hitters』の試合結果。メインイベントの女子ストロー級タイトルマッチはション・ジンナンが三浦彩佳に判定勝ち。仙三はエリピツア・シレガーに3R KO勝ち、上久保周哉はトロイ・ウォーゼンに3Rリアネイキッドチョークで勝利しています。


 エカテリーナ・ヴァンダリーバ、仙三、ザイード・イザガクマエフが5万ドルのボーナスを獲得しています。


 ザイード・イザガクマエフ vs. ジェームズ・ナカシマ ハイライト動画。


 仙三 vs. エリピツア・シレガー ハイライト動画。


 上久保周哉 vs. トロイ・ウォーゼン ハイライト動画。続きを読む・・・
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MMA MMAPLANET ONE ONE Heavy Hitter ONE Heavy Hitters ティファニー・テオ モン・ボー

【ONE Heavy Hitters】パンチで攻めたモン・ボー、組み技は脆くテオのグラップル打撃&RNCに敗れる

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ティファニー・テオ(シンガポール)
Def.2R3分45秒RNC
モン・ボー(中国)

アトム級GP敗退からストロー級に戻したモン・ボーが、2度のタイトルコンテンダーであるテオと相対する。ローを蹴り合った両者、組んできたテオにモン・ボーが右フックを当てる。鋭い右カーフからワンツーで右を打ち込むモン・ボーが序盤をリードする。テオもカーフを返すが、モン・ボーがジャブからフックを振るい、右オーバーハンドを狙う。下がって右を当てるモン・ボーは、組まれてもすぐに殴りながら距離を取り直す。

テオは懸命に組みにいくも、離れたモン・ボーがワンツーを見舞う。荒い蹴りから距離を詰めるテオは、ローにパンチを合わされバック狙いも察知される。足払いのようにローでフリップされたテオは立ち上がってフックに必死に組みつくも、モン・ボーは苦も無く離れる。ようやく左フックをヒットさせたテオだったが、直後にワンツーを2度被弾。勢いづいたモン・ボーのパンチにダブルレッグを合わせたテオが、パウンドからスクランブルでバックへ。両足をフックしたが、モン・ボーが手首を掴んで防ぎ時間に。

2R、右を見せて左フックを見せるモン・ボーは、ローを蹴られるがワンツーで前へ。ローに左を合わせたモン・ボーが右カーフ、テオのローにワンツーからスリーを打っていく。スッとダブルレッグに入ったテオが、右腕を差してテイクダウンしバックに回る。立ち上がっても前方に崩されるモン・ボーは、ワンフック&シートベルトを譲る。

テオは鉄槌を連打し、手首をコントロールしパンチを続ける。背中をつけたモン・ボーのサイドを取ったテオがヒザで顔面を蹴り、パンチとヒザのコンビで攻めこむ。立ち切れないモン・ボーは、座った状態でRNCをセットされタップした。

打撃で攻め込まれたテオ、見事な逆転一本勝ちだった。


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ONE ONE Inside the Matrix ONE113 Report シィォン・ヂィンナン ティファニー・テオ ブログ

【ONE113】シィオン・ヂィンナン、ティフェニー・テオを寄せ付けず4度目の防衛に成功

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
シィオン・ヂィンナン(中国)
Def.3-0
ティファニー・テオ(シンガポール)

右ローを蹴ったテオ、パンダがローから右を振っていく。ワンツーをサークリングでかわすテオに対し、パンダがローから右を伸ばす。右を2発当てたパンダはボディからパンチをまとめる。パンダの動きに距離を取るテオは、いつまで圧力をかわすことができるか。左ボディ&右フックを伸ばすパンダが、テオのジャブに下がらずプレッシャーを与え続けた。

2R、コンパクトなパンチを連打し、空振りでも下がらせることができるパンダ。距離を取らせている感のあるテオは、左ジャブに右を合わされる。スイッチしても効果がないテオだが、組みから首投げを決めてテイクダウンを決める。

すぐにスクランブルに持ちこんだパンダは、ケージに詰められヒザを受けつつ押し倒すようにトップを奪う。ハーフでアームロックのテオは、腕を抜かれるとクローズドを取る。足を払って右を打ち込んだパンダ、テオが立ち上がったところで時間となった。

3R、左目の周囲が腫れあがったテオのジャブを頭を振ってかわし、パンダが右を当てる。テオのサウスポーからの左にも、左を当てたパンダがサークリングにも常に正面に立つように動く。右ハイを受けそうになり、手を広げて笑顔を見せたパンダ。直後にテオのグローブのテープが外れ、試合が中断する。数は多くないが、パンダは右ローを効かせ、さらに顔にパンチを入れ続け一方的な展開となった。

4R、パンダは後回し蹴りを見せ、左を振るう。そこに右ハイを合わせようとしたテオだが、やはり手の攻撃が当たらない。右のオーバーハンド気味のパンチも、やや勢いが落ちてきた感のあるパンダは、詰められケージに押し込む。ワンツーを入れて離れたテオだが、ここはテイクダウンが欲しかったところだ。打撃の間合いでオーバーハンドが多くなり、真っすぐは見せなくなったパンダが、大外の右フックを届かせる。テオの左ハイをかわしたパンダが右オーバーハンド、左ボディストレートを入れ試合は最終回へ。

5R、踏み込みが一歩が多くなったパンダに対し、テオが右ハイからワンツーを入れる。テープが外れ中断後、右ハイをテオが蹴っていく。頭を下げて、右オーバーハンドのパンダが巧みな左ボディを決める。残り2分20秒、組んでヒザをボディに入れたテオが大内刈りでテイクダウンを決める。

フックガードのパンダは、胸にヒザを入れられながらもバックを譲らずにスタンドに戻ることに成功する。右を見せて左ハイを狙ったテオ、パンダは右の鉄槌気味のパンチを繰り出すが、拳頭を当てるパンチを出さないまま危ないシーンは、ほぼなく試合終了となった。

レフェリーは当然、3者揃ってパンダを支持、シィオン・ヂィンナンが4度目の王座防衛に成功。「パフォーマンスは満足はしていない。パンデミックがあって、難しかった。でもタイトル防衛できたことは嬉しい」とチャンピオンは話した。


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News ONE ONE Inside the Matrix ONE113 エドゥアルド・フォラヤン オンラ・ンサン クリスチャン・リー シィォン・ヂィンナン タン・リー ティファニー・テオ ブログ マーチン・ウェン ユーリ・ラピクス ライニア・デリダー リトゥ・フォーガット

【ONE113】計量&ハイドレーション結果 国際大会再開、12選手がサークルケージへ

【写真】タイトル戦以外でエドゥアルド・フォラヤン、そしてリトゥ・フォーガットが出場する。フォラヤンの相手=カルーゾがデカい!!(C)MMAPLANET

本日30日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」の最終計量及びハイドレーション結果がONEより発表されている。

ONEでは水抜き禁止、北米MMAより実質1階級の体重が上限となり、ハイドレーション・テストが試合の2日前と前日に行われている。体重はリミット+500グラム、ハイドレーションは1.0250以下という規定が設けられており、1日でもパスできないと試合当日の朝に再計量が必要になっている。


本格的なイベントの再開となった今大会。4つのタイトル戦とフィリピン、インドという最重要マーケットを意識したといっても過言でない──6試合がライブ中継される。

従来のONEのハイドレーション・チェックの際は、計量ルームで小便が出るのを待つ選手が複数名見られる。ところが今大会は新型コロナウィルス感染予防のため、文字通り三密を避けるためにハイドレーション・チェックの時間がずらされるなど、ニューノーマル仕様が見られた。

そんななか数字から見て取れるのは、ライト級王者クリスチャン・リーの体重がリミットより1.4キロ軽く、対して挑戦者のユーリ・ラピクスはリミット丁度の77.1キロであること。その一方で、チャンピオンのハイドレーションは1.0005で、チャレンジャーは1.0248という上限ギリギリの数値だ。

クリスチャンにしても水分を多めにとっての数字であることが予想されるが、ラピクスは汗をかいて水分補給したことも十分にありえる。今夜のケージで両者がどのような体で現れるのか、見ものだ。

なおハイドレーションと計量結果は以下の通りとなっている。

※赤字の選手の名前をクリックするとインタビューに跳びます

■ONE 113 Inside the Matrix計量及&ハイドレーション結果

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン:92.7キロ/ 1.0112
[挑戦者]ライニア・デリダー:92.65キロ/ 1.0044

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー:75.7キロ/ 1.0005
[挑戦者]ユーリ・ラピクス:77.1キロ/ 1.0248

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン:70.25キロ/ 1.0061
[挑戦者]タン・リー:69.55キロ/ 1.0049

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン:56.25キロ/ 1.0014
[挑戦者]ティファニー・テオ:56.6キロ/ 1.0168

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン:76.5キロ/ 1.008
アントニオ・カルーゾ:76.2キロ/ 1.0061

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット:52.05キロ/ 1.0183
ノウ・スレイ・ポブ:52.0キロ/ 1.0103

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Interview ONE ONE Inside the Matrix ONE113 シィォン・ヂィンナン ティファニー・テオ ブログ 三浦彩佳

【ONE113】三浦彩佳が予想するONE世界女子ストロー級選手権試合──勝者:パンダ=シィオン・ヂィンナン

【写真】三浦はテオの強さを列挙したうえで、ヂィンナンの勝ちと予想した(C)ONE & MMAPLANET

いよいよ本日、 30日(金・現地時間)にイベント開催となるONE113「Inside the Matrix」。

4大タイトルが組まれた今大会、同階級で戦う選手に世界戦を予想してもらう──シリーズ第5回目は、三浦彩佳がONE世界女子ストロー級選手権試合、王者シィオン・ヂィンナン✖挑戦者ティファニー・テオの勝利者予想とその理由を語った。


三浦彩佳の予想
勝者:シィオン・ヂィンナン
理由
「4Rか5Rでパンダ選手がKOするかと思います。テオもスタミナがあると思うんですけど、シィオン・ヂィンナンの方が打撃も重いだろうし。前と同じように……、ヂィンナンがコツコツ打って、ティファニー・テオが根負けしたみたいな形になるかと。

ただ実際に戦ってみて……ティファニー・テオって上手くないし打撃も効かない、マイラ・マザールの方が強いと思っていました。でもリーチが長くて、追いかけっこになってしまって自分の距離を作ることができなかったです。

フィジカルも想っていた以上に強くて。それまでの試合では、そんな風に見えなかったのに、まるで男の人と戦っているみたいでした。ローもジャブも痛くないと思っていたら、試合中に『アレレ?』って感じで。ニコリニに競り勝てた理由が組み合って分かった感じです。

それにメンタルも強くて。試合前にエレベーターで鉢合わせした時も、がっつりとシカトされましたし(笑)。同時に頭も良いと思います。

ティファニー・テオはそれだけ強い選手で、パンダ選手も戦い辛い相手に違いないです。でも、やっぱりパンダ選手はパンチの回転数とか凄くて。結果的に、あの回転数にテオはやられちゃうんじゃないでしょうか。とにかく、どっちが勝とうが、私は彼女たちと戦えるように準備していきます」

■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード

ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)

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