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【ONE170】野杁正明が緊急参戦→連敗脱出とONE初勝利をかけてタクレティと対戦

【写真】昨年12月のリウ・メンヤン戦は1Rにダウンを奪われたあと、猛反撃に転じた野杁。今回こそONE初勝利を掴めるか(C)ONE

24日(金・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE170に野杁正明の参戦が決定。フェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールでイラクのシャキール・タクレティと対戦する。
Text by Takumi Nakamura


昨年4月にONEと契約し、ここまで2戦を戦っている野杁。ONEデビュー戦となった6月のONE167ではフェザー級トップファイターの一角=シッティチャイ・シッソンピーノンに判定負けし、12月のONE Friday Fights92でも中国のリウ・メンヤンにも判定で敗れて未だ勝ち星を挙げられていない。

特にメンヤンとの一戦では開始早々にクリンチからの離れ際の右ストレートでダウンを奪われ、徹底したボディへの攻撃で反撃を試みたもののダウンを奪い返せないという、手痛い敗戦を喫している。

K-1時代から「連敗したら辞める」と発言していた野杁だけに、キャリア初の連敗でその去就にも注目が集まったが、試合後の自身のInstagramで「口だけじゃんと思われるかもしれません。そこに関してはすみませんと言わせてください。ただ自分の格闘技人生は残り数年だと思います。満足いくまで、納得するまでやり切ろうと思います」と現役続行を表明していた。

この時点で野杁の復帰時期は未定だったが、約1カ月というショートノーティスで試合のオファーが舞い込み、再びリングに立つことを選択した。

対戦相手のタクレティはイラク出身のファイターで、アマチュアムエタイではIFMAアジア選手権の銀メダルを獲得。タイのパタヤに活動の拠点を置き、2023年10月のONE Fight Night15ではフランスのバムパラ・クヤテからヒジでダウンを奪って判定勝利、翌年1月のONE Fight Night18ではルンラーウィー・シッソンピーノンにKO負けしている。

ONEでの過去2試合はいずれもムエタイルール、2戦1勝1敗のタクレティだが、気をつけなければいけないのは体のサイズだ。タクレティは身長186㎝を誇り、クヤテ戦は174.5ポンド=79.15キロ、ルンラーウィー戦はライト級(77.10キロ)で試合をしており、ライト級から階級を落とす形になる。

先月野杁が苦杯をなめたメンヤンも身長184㎝、70キロよりも重い階級で戦った経験がある選手で、身体的な特徴はタクレティと重なる。当然1カ月という期間で急激にフィジカルが強化されることはないため、今回も野杁はフィジカル差という戦いにも挑まなければならない。

一方でKO負けを喫したルンラーウィー戦でのタクレティはサウスポーのルンラーウィーの左ミドルをカットできず、1Rに左ボディストレートからの左ミドル、2Rに左ハイキックでダウンを奪われ、ヒジで立て続けにダウンを奪われてマットに沈んでいる。スイッチファイターで左の蹴り・ボディへの攻撃を得意とする野杁からすればルンラーウィーの戦い方はタクレティ攻略の参考になるはずだ。

同大会ではフェザー級ムエタイ王座をかけて王者タワンチャイ・PK・センチャイと挑戦者スーパーボン・シンハ・マウインの一戦が組まれており、ルールは違えど野杁が目指す頂はこのレベルでの戦いだ。今の野杁に求められるのは確実に1勝を挙げること。常にタイトル戦線で戦ってきたK-1時代にはなかった状況だが、だからこそ勝利に飢えた野杁の貪欲なファイトを期待したい。

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【ONE FF92】2025年の立ち技を占うフェザー級3連戦。野杁、グレゴリアン、シッティチャイが揃い踏み

【写真】ONEデビュー戦はシッティチャイに敗れた野杁。ONE初勝利をかけて中国のメンヤンと対戦する(C)ONE

20日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 92。今大会は通常よりも豪華なマッチメイクが並ぶ通称テントポール大会で日本からも野杁正明、KANA、吉成士門が参戦する。
text by Takumi Nakamura

16日に日本で記者会見が行われ、チャトリ・シットヨートンCEO出席のもと、2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナでのONE172開催が発表された。第1弾カードとして武尊×ロッタン・ジットムアンノンのフライ級キックボクシングスーパーファイト、アドリアーノ・モライシュ×若松佑弥のフライ級MMA世界王座決定戦の2試合が決定し、チャトリCEOは出場候補選手として野杁・KANAの名前も挙げている。


今年3月にK-1との契約にピリオドを打ち、ONEに戦いの舞台を移した野杁。その初陣となった6.8ONE167ではシッティチャイ・シッソンピーノンの牙城を崩すことが出来ず、判定負けという結果に終わっていた。今回は中国のリウ・メンヤンを相手にONE2戦目を迎える。

メンヤンはONEの公式プロフィールでは32勝6敗の戦績を持ち、過去にスッドサコーン・クリーンミーに勝利した実績が光る。とはいえONEでのタイトル獲得を狙う野杁からすれば、ここで取りこぼしは許されない相手。確実に勝利を収め、再び上位ランカーとの対戦につなげなければいけない一戦だ。

しかも今大会では野杁に勝利したシッティチャイがメインイベントのムエタイルールでシャドウ・シンハ・マウインと対戦し、元K-1&GLORY王者のマラット・グレゴリアンとアブデラリ・ザヒディのキックボクシングルールの一戦も組まれている。

年をまたいだ1月24日(金・現地時間)にタイのインパクト・アリーナで開催されるONE170ではムエタイルールのフェザー級王者タワンチャイ・PK・センチャイにスーパーボン・シンハ・マウインが挑む王座戦も行われる。

キックルールのタイトルを保持するチンギス・アラゾフの動向が不透明ではあるが、この一カ月の間にキック・ムエタイの両ランキングに名を連ねるトップ選手たちの試合が続くことになる。3月の日本大会で野杁がどんな相手と対戦するのかも含めて、2025年のONEキック・ムエタイのフェザー級戦線を占う年末年始だ。

またKANAは野杁に続いてK-1からONEに参戦。その初陣でK-1時代から対戦を熱望していたアニッサ・メクセンと対戦する。KANAはK-1でのキャリア後期=2023年にK-1でのアニッサ戦が具体的に進行していたものの、最終的にアニッサがONEとの契約を更新したため、K-1でのアニッサ戦は実現せず。KANA自身がアニッサと戦うためにK-1からONEへの移籍を決断し、そのアニッサ戦がONEの初陣で実現した形となる。

11.8ONE169のジャッキー・ブンタン戦では敗れたアニッサだが、卓越したアウトボクシングで3分5Rフルラウンドに渡ってブンタンを翻弄し続けた。KANAとしてはワンマッチの短期決戦=3R以内にアニッサを捕まえきれるか。そこがアニッサ超えの鍵を握るだろう。

またKANAと同じく今回がONE初参戦となる吉成士門は、直近の試合で小笠原瑛作から勝利しているリッティデット・ソー・ソンマイとムエタイルールで対戦する。これまで通常のグローブによるムエタイルールで戦ってきた士門にとって、MMAグローブ&3分3RのONEのムエタイルールは初挑戦。これまでと変わらぬパフォーマンスをONEでも発揮できるかに注目したい。

■ONE Friday Fights 92視聴方法(予定)
12月20日(金・日本時間)
午後9時30分~U-NEXT

■ONE Friday Fights 92 対戦カード

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)

<ムエタイ・140ポンド契約/3分3R>
スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン (タイ)
パンリット・ルージョメイサイワーリ(タイ)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)
ヨッドナムチャイ・フェアテックス(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)
イゴール・ベクレフ(ロシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
シブムン・シッチェブンタン(タイ)
アブドゥラ・ダヤカエフ(ロシア)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ラック・エラワン(タイ)
コーコー・ソー.ソンマイ(タイ)

<キック・159ポンド契約/3分3R>
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
アブデラリ・ザヒディ(モロッコ)

<ムエタイ・121ポンド契約/3分3R>
マイサンカン・ソー・インジョルンガンチャン(タイ)
ワッチャラフォン・PK・センチャイ(タイ)

<キック・フェザー級/3分3R>
リウ・メンヤン(中国)
野杁正明(日本)

<キック・女子アトム級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
KANA(日本)

<ムエタイ・134ポンド契約/3分3R>
リッティデット・ソー・ソンマイ(タイ)
吉成士門(日本)

<キック・バンタム級/3分3R>
エルブルース・オスマノフ(ロシア)
ネイサン・ベンドン(英国)

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o YouTube スーパーレック・キアトモー9 ソーキ タワンチャイ・PK・センチャイ ダニエル・ウィリアムス チャンネル ノンオー・ハマ ボクシング 吉成名高

これぞ無双!立ち技最強格闘技ムエタイの衝撃KO集

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タワンチャイ・PK・センチャイムエタイジムvs ショーン・クランシー
ガオグライゲーン・ノラシン VS マイティ・モー
センチャイ・ソーキンスターvsノンオー・シットオー
ノンオー・ハマvsセーマペッチ・フェアテックス
ブアカーオ・ポー・プラムックvs小比類巻貴之
吉成名高vs ルンサックノーイ・シット二ワット
パスクアーレ・ガ・アモロッソvsキッティ・ソー・ジョー・ダンラヨン
スーパーレック・キアトモー9vsダニエル・ウィリアムス

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45 GLORY K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE167 キック シッティチャイ・シッソンピーノン タワンチャイ・PK・センチャイ ボクシング マラット・グレゴリアン 野杁正明

【ONE167】野杁正明と対戦、シッティチャイ「ゲーオから野杁に勝つために必要なことを教わっている」

【写真】ONEでは連敗中だが、過去にONEでタワンチャイ、Kunlunでスーパーボン、GLORYでグレゴリアンに勝っているシッティチャイ。復活のために新たな取り組みに着手している(C)MMAPLANET

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、シッティチャイ・シッソンピーノンがフェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールで野杁正明と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

GLORY時代はライト級(70キロ)王者として、6度の王座防衛に成功し、一時代を築いたシッティチャイ。ONE参戦後はタワンチャイ・PK・センチャイに勝利するもの、スーパーボン・シンハ・マウィン、チンギス・アラゾフ、マラット・グレゴリアンには敗れており、現在は2連敗と苦しい戦いが続いている。

そのなかで決まった野杁との対戦に向けて、シッティチャイは過去に野杁とも対戦経験があるゲーオ・ウィラサクレックを臨時コーチとして招聘して野杁戦に備えていた。


――ONE167で野杁選手と対戦が決まったシッティチャイ選手です。野杁選手と試合が決まった時はどんな心境でしたか。

「彼がトップレベルのファイターの1人だということを以前から知っているから、とても気持ちがたかぶったよ」

――野杁選手の存在はいつから知っていたのですか。

「K-1でゲーオ(・ウィラサクレック)と戦った頃だね。試合が決まって改めて試合映像も見直したけど、彼はパンチ中心のスタイルで、技がパワフルかつ精度が高い選手だと思う」

――野杁選手は日本の中量級のトップ選手です。彼はスキルは世界レベルだと思いますか。

「その通り、彼は日本のトップ選手だし、そのスキル・能力は確かなものだ。ただし“世界”という基準で言うと、それが分かる相手とは戦っていないと思う。これから彼が世界のトップと戦っていくうえで、自分のどこを成長させる必要があるかを感じていくだろうね」

――野杁選手は負けそのものも少ない選手ですが、彼に勝つイメージは出来上がっていますか。

「彼が負けの少ない選手だということも知っている。でもこうして彼と試合をすることが決まって、僕が彼に勝つファイターになると思っているよ。もちろんKOするチャンスとタイミングが来れば、KOを狙っていきたい」

――SNSでシッティチャイ選手が先ほど名前も出たゲーオ選手と一緒に練習している映像を拝見しました。

「実は野杁戦のためにゲーオにトレーナーを依頼したんだ。彼は野杁と2度戦っているし、野杁に対してどういう攻撃をすればいいかをアドバイスしてもらっている。野杁に勝つために必要なことを教えてもらっているよ」

――それはすごく興味深いです。すでに日本のファンはシッティチャイ×野杁に期待・注目していますが、より楽しみになりました。

「自分自身、ONEで2連敗して良い結果を残していないから、日本のファンにも期待してもらっているとは思っていなかったよ。とにかく野杁戦は自分が持っているものをすべて出して、周りの期待に応えたいし、がっかりさせたくない。今回はそういう気持ちもあるから、余計にエキサイトしているよ」

――連敗しているという部分で、何か練習面で変えたことはありますか。

「自分も年齢を重ねて、若いころと同じ肉体ではない。特に格闘技という体を痛めつける競技をやってきたからなおさらだ。これからも試合を続けて、勝っていくためにはフィジカルやストレングス面が重要になってくる。だから今は科学的なトレーニングも取り入れて、自分の肉体を鍛える・進歩させようと思っている」

――シッティチャイ選手はGLORY時代に王者となり、6度の防衛にも成功した70キロ最強を証明したと思います。そのうえで今はONEでチャンピオンになって自分の強さを証明したいという想いがあるのですか。

「ONEは今現在も成長しているプロモーションで、ONEでチャンピオンになれば世界中のファンに自分の存在を知ってもらうことができる。今の自分の目標の最高到達点はONEでチャンピオンになることだ」

――それでは最後に日本にいるシッティチャイ選手のファンにメッセージをいただけますか。

「まず日本からも自分のことを応援してくれてありがとう。若い頃はずっとK-1に出て日本で戦いたいと思っていたから、日本のファンに応援してもらえることは本当にうれしい。今回は日本のファンにも喜んでもらえる、いい試合を見せたいと思う」

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【ONE167】野杁正明がシッティチャイと激突!6・8インパクト・アリーナ大会でONEデビュー

【写真】野杁がムエタイのトップ選手と戦うという意味でも非常に興味深いマッチアップだ(C)MMAPLANET/TAKUMI NAKAMURA

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、野杁正明のONEデビュー戦が決定。シッティチャイ・シッソンピーノンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

4月23日にONEと契約したことが発表された野杁。待望のONEデビュー戦は6月のONE167、ONEフェザー級 ムエタイ世界タイトルマッチ=王者タワンチャイ・PK・センチャイ×挑戦者ジョー・ナタウット、ロッタン・ジットムアンノンの約9カ月ぶりの再起戦が組まれた大会で行われる。


対戦相手は元GLORYライト級王者のシッティチャイ。GLORY時代にはロビン・ファン・ロスマーレンから王座を奪取し、マラット・グレゴリアン、ディラン・サルバドール、テイジャニ・ベスタティらを下して6度の防衛に成功し、一時代を築いた。

2020年からONEに戦いの場を移し、スーパーボン・シンハ・マウィン、タワンチャイ、チンギス・アラゾフ、グレゴリアンと対戦。この4人との対戦ではタワンチャイに勝利するもの、スーパーボン、アラゾフ、グレゴリアンには敗れており、タイトル戦線から一歩引いた位置にいる状況だ。

野杁がタイ人と対戦するのはプライチュンポン・ソー.シーソムポン戦以来、約3年ぶり。これまで世界の強豪と戦ってきた野杁だが、意外にもタイ人の対戦はプライチュンポンとゲーオ・ウィラサクレックの試合しかない。欧米人との対戦ももちろんだが、野杁の卓越した技術がムエタイのトップ選手に通用するかどうかという面でも興味深いマッチアップとなった。

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【ONE】「世界のトップに挑戦する」宣言から9カ月、野杁正明が契約発表!キック・フェザー級の戦いへ

【写真】本格的な70kg転向に合わせ、野杁がONEへの戦いに挑む (C)TAKUMI NAKAMURA

23日(火)、ONE ChampionshipのプレスリリースにてONEと野杁正明が独占複数試合契約を締結したことが発表された。
text by Takumi Nakamura

野杁は10代の頃から“怪物”と呼ばれ、K-1甲子園優勝をはじめ国内の様々なタイトルを獲得。新生K-1ではスーパー・ライト級(65kg)&ウェルター級(67.5kg)の2階級制覇を成し遂げ、日本立ち技格闘技のトップを走り続けてきた。今年4月にK-1との契約解除を発表し、その去就が注目されるなか、ONEとの契約が正式にアナウンスされた。


K-1ウェルター級のタイトルを保持していた野杁だが、2023年からは本格的に70kg転向を視野に入れていた。

同年3月には69kg契約でジャバル・アスケロフ、7月には69.5kg契約でアマンシオ・パラスキフをKOし、パラスキフ戦後は「今までは来るもの拒まず試合を受けてきましたが、世界の強豪と戦わせてください。そして(相手を)選ばせてください。これからは世界のトップとしか戦わないので、世界のトップに挑戦していく今後の野杁正明にご期待ください」と語っていた。

結果的にパラスキフ戦がK-1では最後の試合となり、現在の70kgの世界のトップ選手たちが集まるONEでの戦いに踏み出す形となった。

厳密に言うと70kgでの試合は未経験の野杁だが、ONEキックボクシング世界フェザー級王者チンギス・アラゾフと判定まで粘ったアスケロフを右ストレートでKOし、ONEに定期参戦していたタイフン・オズカンとスプリット判定だったパラスキフを右ミドルでKOしている。70kgでも十分に通用する実力とフィジカルは持っていると言えるだろう。

ONEフェザー級=70kgのランキングにはアラゾフ、スーパーボン、マラット・グレゴリアン、シッティチャイ・シッソンピーノン、タワンチャイ・PK・センチャイ、ジョルジオ・ペトロシアンという早々たるメンバーが名を連ねている。

チャトリCEOが年内のONE日本大会開催を明言する中、野杁のONEデビュー戦がいつになるのか。どんなマッチメイクが組まれるのか。そして野杁がONEの70kgでどこまで通用するのか。ONEでの野杁の戦いに注目していきたい。プレスリリースでの野杁のコメント配下の通り。

「(今の率直な気持ちは?)率直に嬉しいです。やっと!という気持ちが強いです。それとワクワクします。早く強豪しかいないリングで戦いたいです。(次のステージをONEに決めた理由)やはり立技最強の舞台はONEだと思っているので、そのリングに挑戦したかったからです。自分は世界最強を目指して格闘技をやっているので、今の野杁正明がONEにも通用するのかを試してみたかったのでこのキャリアを選びました。

(今後の目標は?)必ずONEのベルトを獲ること。自分だけじゃなく武尊くんと一緒に。そして日本人の強さを証明していきます。(誰と戦いたい?)誰との試合でも挑戦者だと思うので誰でもいいです。ランキングに入っている選手はもちろん、とにかく強い選手と戦っていきたいです。(ファンへのメッセージ)ONE Champinosipのファンの皆様、初めまして。日本の野杁正明です。試合を観に来て後悔はさせません。必ず満足いく試合をこれからしていくので是非注目していただけたら嬉しいです!応援よろしくお願いします!」

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FF46 キック スーパーボン・シンハ・マウイン タワンチャイ・PK・センチャイ

【ONE FF46】スーパーボンの右に耐えたタワンチャイ。蹴りを散らして距離を守り、世界王座防衛に成功

<ONEムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ/3分5R>
タワンチャイ・PK・センチャイ(タイ)
Def.3-0
スーパーボン・シンハ・マウイン(タイ)

サウスポーのタワンチャイが左ハイ、左ミドルと蹴りを散らす。スーパーボンは右ストレートを合わせる。右サイドキックをボディに突き刺すタワンチャイが、スーパーボンの左ミドルをキャッチしてマットに叩きつけた。タワンチャイはスーパーボンの右ハイをブロックすると、左ミドルを放ったがスーパーボンがカウンターで右クロスを叩き込む。右カウンター狙いのスーパーボン対し、タワンチャイは左縦ヒジ見せる。スーパーボンも右ハイから右ストレートに繋げたが、タワンチャイがスーパーボンにロープを背負わせて初回を終えた。

2R、スーパーボンが右ハイを見せる。タワンチャイは右サイドキックから左ミドルへ。スーパーボンの右ストレートとタワンチャイの左ヒジが交錯する。下がるスーパーボンにタワンチャイが左ヒジ、左ストレートで詰めていく。スーパーボンはタワンチャイの左ミドルに右を合わせた。左の蹴りを散らすタワンチャイを、右の射程距離に呼び込めないスーパーボン。タワンチャイが一気に距離を詰めると、インサイドから左ヒジを打ち込んだ。さらにタワンチャイの右前蹴りに左フックを合わせたスーパーボンは、相手の蹴りにパンチを合わせる作戦を貫く。

3R、互いに前蹴りを出し合うなか、やはりスーパーボンはタワンチャイの左ミドルに右クロスを合わせていく。さらにミドルの打ち合いから、タワンチャイをロープに詰め、左ミドルに右を打ち込んでいく。蹴りで距離を取りたいタワンチャイだが、スーパーボンもローとミドルから距離を詰めていく。左ヒジの交錯から、タワンチャイが左ミドルを放つと、スーパーボンは右ショートから左ボディに繋げる。至近距離で首相撲からヒジをぶつけあう両者。残り30秒からパンチの打ち合いとなり、スーパーボンが右を当てると、今度はまたもヒジの打ち合いを展開した。

4R、スーパーボンが右ハイの連打から前に出る。タワンチャイも左ハイを返し、さらに左ローでこかしに行く。前蹴りとミドルの左ミドルの応酬を展開する両者だが、タワンチャイの左ローにスーパーボンが右ショートを合わせた。タワンチャイのヒジをもらうも、スーパーボンは相手のミドルの打ち終わりに左フックを叩き込む。ミドルとヒジを狙う両者、そのなかでタワンチャイがスーパーボンをこかしにかかる。ラウンド終了直前にはタワンチャイが右前蹴りでスーパーボンを下がらせた。

最終回。ハイとハイ、ミドルとミドル、ローとローをぶつけ合う両者。シーパーボンは右ハイを当てると、タワンチャイが距離を詰めて左ヒジを狙う。タワンチャイが左ストレート→左ロー→右ジャブでスーパーボンの動きを制する。スーパーボンが距離を詰めるも、首相撲で凌いだタワンチャイが逃げ切りの体勢に入ったか。右ヒジを振るいスーパーボンを中に入らせず、距離を保ったまま試合終了のゴングを聞いた。

互いのムエタイの技術全てを出し尽くした熱戦——裁定は、タワンチャイがユナニマスの判定勝ちで王座防衛に成功した。


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AB ABEMA GLORY K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF46 アニッサ・メクセン キック シッティチャイ・シッソンピーノン ジョセフ・ラシリ スリヤンレック・ポー・イェンイン スーパーボン・シンハ・マウイン スーブラック・トー・プラン49 セクサン・オー・クワンムアン タワンチャイ・PK・センチャイ チャンネル ブラック プラジャンチャイ・PK・センチャイ ペッディージャー・ルクジャオポーロントン ボクシング ムアンタイ・ PK・センチャイ ルンピニー 小笠原瑛作

【ONE FF46】2023年最終興行は3大王座戦を含む過去最高レベルの豪華ラインナップ!小笠原瑛作も参戦

【写真】ONE Friday Fightsが大きな盛り上がりを見せた2023年。それを締めくくるにふさわしいビッグイベントだ (C)ONE

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 46が開催される。
text by Takumi Nakamura

日本の小笠原瑛作が出場する2023年最後のONEの公式戦=ONE Friday Fights は過去最高、Fight Nightシリーズやナンバーシリーズで行われてもおかしくない豪華ラインナップとなった。

大会の後半3試合には3大王座戦=タワンチャイ・PK・センチャイ×スーパーボン・シンハ・マウイン(ムエタイ世界フェザー級)、ジョセフ・ラシリ×プラジャンチャイ・PK・センチャイ(ムエタイ世界ストロー級)、ペッディージャー・ルクジャオポーロントン×アニッサ・メクセン(キックボクシング女子世界アトム級)が並ぶ。


(C)ONE

タワンチャイ×スーパーボンは10月のONE Fight Night 15で予定されていたが、スーパーボンがふくらはぎの負傷により欠場。今大会にスライドして行われることになった。

スーパーボンはチンギス・アラゾフにこそ敗れているものの、シッティチャイ・シッソンピーノン、ジョルジオ・ペトロシアン、マラット・グレゴリアンには勝利している。タワンチャイもONEではシッティチャイに敗れたのみだが、戦ってきた相手のレベルで言えばスーパーボンの方が上という見方も出来る。

またフィジカルやスピード&アジリティのトレーニングも練習メニューに取り入れる新世代のムエタイ戦士=タワンチャイと「立ち技で倒すべき相手はあと2人。タワンチャイとアラゾフ」というスーパーボンによる、ムエタイの世代を超えた戦いでもある。ONEムエタイではパンチとヒジで打ち合う試合が増えているが、タワンチャイとスーパーボンはどちらも蹴りを得意にしており、激しいだけではない、ハイレベルな技術戦、特に蹴りの攻防に注目してもらいたい一戦だ。

(C)ONE

ラシリ×プラジャンチャイは昨年5月以来のリマッチだ。この時は王者プラジャンチャイにラシリが挑む形で、ラシリが3R終了時にプラジャンチャイを戦意喪失に追い込むTKO勝利で番狂わせを起こし、王座戴冠を成し遂げた。

ラシリは昨年11月に一階級上の王者ロッタン・ジットムアンノンに挑むも判定で敗れて、二階級制覇はならず。怪我による長期欠場のため、今年6月にプラジャンチャイとサムエー・ガイヤンハーダオによる暫定王座決定戦が組まれて、プラジャンチャイが勝利。ラシリの復帰戦に合わせて両者のタイトル戦が組まれた経緯がある。

前回の対戦ではラシリがリーチを活かしたジャブ&インローとステップワークを駆使してプラジャンチャイを翻弄。最終的にはラシリがパンチとヒザ蹴りでプラジャンチャイの眉間を切り裂き、左ボディを的確に打ち込んで戦意喪失に追い込んでいる。プラジャンチャイとしてはラシリとの距離をどう詰められるかがリベンジのポイントになるだろう。

(C)ONE

そしてペッディージャーとメクセンはキックボクシング女子世界アトム級暫定王座決定戦をかけて対戦する。

メクセンはGLORYをはじめキック・ムエタイで数々の実績を残して、2021年9月からONEに参戦。なかなかタイトル戦の機会を得ることができなかったが、ようやく今回のチャンスが巡ってきた。

一方のペッティージャーは今年3月からONEに参戦し、7カ月間で4試合を戦って全勝=すべてKO・TKOという驚異的なレコードを残している。

ペッティージャーは自分から距離を詰めて近距離の打ち合いで勝つ、まさにここ最近のONEムエタイを象徴するような戦い方を好む。このスタイルが百戦錬磨のメクセンにどこまで通用するかに注目したい。

王座戦以外にもノンオー・ハマ、セクサン・オー・クワンムアン、ムアンタイ・PK・センチャイとトップ選手が続々と登場。さらに第1試合ではK-1参戦歴のあるスリヤンレック・ポー・イェンインとヨーキッサダー・ソー・ソンマイが対戦し、ジャオスイヤイソー・ソー.デッチャパンも出場するなど、日本に馴染みのファイターも多い大会となっている。

■放送予定
12月22日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル(前半6試合)
午後9時30分~ PPV ONE official site (Englsih Page)

<ONEムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ/3分5R>
タワンチャイ・PK・センチャイ(タイ)
スーパーボン・シンハ・マウイン(タイ)

<ONEムエタイ世界ストロー級タイトルマッチ/3分5R>
ジョセフ・ラシリ(イタリア)
プラジャンチャイ・PK・センチャイ(タイ)

<ONEキックボクシング女子世界アトム級暫定王座決定戦/3分5R>
ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)
アニッサ・メクセン(フランス)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ノンオー・ハマ(タイ)
ニコ・カリロ(スコットランド)

<ムエタイ140ポンド契約/3分3R>
セクサン・オー・クワンムアン(タイ)
リバー・ダス(英国)

<ムエタイ136ポンド契約/3分3R>
ムアンタイ・ PK・センチャイ(タイ)
ナビル・アナン(タイ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ファリヤ・アミニプール(イタリア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジャオスイヤイソー・ソー・デチャパン(タイ)
ペットスクンビット・ボイ・バンナー(タイ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)

<ムエタイ132ポンド契約/3分3R>
小笠原 瑛作(日本)
チョーファー・トー・センティアンノーイ(タイ)

<ムエタイ132ポンド契約/3分3R>
スリヤンレック・ポー・イェンイン(タイ)
ヨーキッサダー・ソー・ソンマイ(タイ)

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【ONE FF46】タワンチャイ、スーパーボン超え=夢の実現へ「この一戦はファイトIQの高い試合になる」

【写真】フィジカルトレーニングも練習メニューに取り入れる。タワンチャイは新世代のムエタイ戦士だ(C)TAKUMI NAKAMURA

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 46にて、ONEムエタイ世界フェザー級(70.3キロ)王者タワンチャイ・PK・センチャイがスーパーボン・シンハ・マウインとの防衛戦に臨む。
text by Takumi Nakamura

10月のONE Fight Night 15でスーパーボンとの防衛戦が組まれていたタワンチャイだったが、スーパーボンの負傷欠場により延期。急きょキックボクシングルールでジョー・ナタウットと対戦し、判定勝利を収めていた。

あれから約2カ月、改めてスーパーボンとの対戦が決まったタワンチャイは「スーパーボンを含めても僕が蹴りではNo.1」と断言する一方で、スーパーボンに勝つことを「自分の夢」だと語った。


――10月のONE Fight Night 15ではスーパーボン選手が負傷欠場し、ジョー・ナタウット選手と対戦することになりました。やはり残念な気持ちはありましたか。

「スーパーボンとはムエタイルールで対戦する予定で、ナタウット戦はキックボクシングルールに変更になったから、ムエタイルールのために練習してきたことが出せなくて、そこが少しだけ残念だったよ」

――スーパーボン選手は「すぐ怪我を治して、出来るだけ早くタワンチャイと戦いたかった」と言っていました。タワンチャイ選手も同じ気持ちですか。

「自分も同じように早くスーパーボンと戦いたいと思っていたよ。スーパーボンがそう思っているのもそうだし、何よりもファンのみんながこの試合を早く見たいと思っていただろうからね」

――改めて対戦相手としてスーパーボン選手にはどんな印象を持っていますか。

「すごくタフな相手だし、これまでのたくさんの強豪に勝利している。スーパーボンの持ち味は蹴りで、特にスピードが速い蹴りを持っている。彼は全力でタイトルを獲りに来るだろうけど、彼にとってこの試合は簡単な試合にはならないだろうね」

――タワンチャイ選手も蹴りを得意にしていると思いますが、蹴り合いになっても勝つ自信はありますか。

「僕の蹴りの技術はONEの中でナンバーワンだと思う。それはスーパーボンを含めたうえで、だ。だから僕の蹴りは彼に通用するだろうね」

――最近のONEムエタイはパンチとヒジで打ち合う試合が多いですが、そういう試合にはならないですか。

「すごくテクニカルな試合になるだろうし、みんなが望むようなエキサイティングな試合になると思う。この試合の鍵はタイミング。どんな攻撃を出すにしても、お互いがどんなタイミングで攻撃を出すか。ファイトIQの高い試合になるだろうし、それは見ていて楽しめる試合になると思う」

――タワンチャイ選手はMMAグローブでの試合も多く経験していますが、グローブを変える以外に何か特別な練習はしているのですか。

「もう何度もMMAグローブの試合をやってきたから、特にグローブの違いを感じることはないし、MMAグローブだからと言って練習内容を変えることはないよ。今回の試合で重視してきたことはディフェンスで、特にスーパーボンはハイキックが上手いから、ハイキックをもらわないように対策を立ててきたよ」

――タワンチャイ選手のInstagramを見ると、器具を使ったフィジカルトレーニングやスピード&アジリティのトレーニングをやっている場面をよく見ます。ああいったトレーニングは普段から取り入れているのですか。

「ああいったトレーニングを始めたのは1年前からで、自分のディフェンス能力を上げることが目的だ。ジムにフィジカルトレーナーがいて、そのトレーナーから指導を受けている」

――具体的にどういった部分でディフェンス能力の向上を感じますか。

「まず筋力がつくだけじゃなくて、体の耐久力そのものも上がる。相手が何かアクションを起こしたときに、自分のイメージ通りに身体を動かせるようになったから、ものすごくトレーニングの効果を感じているよ」

――日本ではキックボクシングやムエタイをやる上でフィジカルトレーニングは必要ないという考えを持っている人たちもいます。例えばムエタイに必要なフィジカルは首相撲と走ることで十分だという考えです。タワンチャイ選手はこういった考えをどう思いますか。

「もちろん首相撲や走ることも必要な練習だと思う。ただし僕の場合は子供の頃からずっと首相撲をやっているから、それ以外の練習を取り入れることが気分転換にもなるんだ。ミット打ち、スパーリング、テクニックの練習に加えて、フィジカル的なトレーニングをやることで、練習そのものが退屈ではなくて楽しむことが出来る。そういう理由もあって、ああいったトレーニングを取り入れている」

――そういった練習を取り入れていることも含めて、タワンチャイ選手はムエタイの新世代を代表する選手だと思います。スーパーボン選手のように上の世代の選手を自分たち新世代が倒していきたいという想いはありますか。

「自分がナンバーワンになるために上の世代の選手に勝つことは必要だし、特にスーパーボンは本当に素晴らしい選手だから、彼に勝つことは自分の夢が実現することにもなる」

――分かりました。これはスーパーボン選手にも聞いたのですが、“タワンチャイ”というリングネームの由来を教えてもらえますか。

「この名前をつけたはPK・センチャイジムの先輩のプラジャンチャイで、プラジャンチャイは“月の光”、タワンチャイは“太陽の光”という意味なんだ。僕がジムに入った時からプラジャンチャイはムエタイのトップ選手で、僕にとって師匠のような存在だ。そのプラジャンチャイからこういったリングネームをつけてもらえて本当に光栄に思っているよ」

■放送予定
12月22日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル(前半6試合)
午後9時30分~ PPV ONE official site (Englsih Page)

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【ONE FF46】仕切り直しのタワンチャイ戦へ、スーパーボン「みんなが期待するテクニカルな試合になる」

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 46にて、スーパーボン・シンハ・マウインがタワンチャイ・PK・センチャイの持つONEムエタイ世界フェザー級(70.3キロ)王座に挑む。
text by Takumi Nakamura

当初、タワンチャイとスーパーボンのタイトル戦は10月のONE Fight Night 15で予定されていたが、スーパーボンの負傷欠場によって延期となっていた。

仕切り直しとなった対戦を前にスーパーボンは「タワンチャイはムエタイの新世代として、すごく成長していると思うが、僕の方が経験が豊富だし、試合の時の力は自分の方が上だと思っている」と語る。またスーパーボンはキック・ムエタイの集大成として倒すべき2人の相手の名前を挙げ、その先にある新たなチャレンジについても語ってくれた。


――当初タワンチャイとの一戦は10月のONE Fight Night 15で予定されていましたが、スーパーボン選手の怪我で延期となってしまいました。改めてどんな怪我だったのかを教えてもらえますか。

「ふくらはぎの筋肉を断裂してしまい、ドクターから2カ月間は試合ができないと診断されたんだ。ただ色んな治療を施して、1カ月半で練習を再開した。最初は足を使わないようにボクシングの練習から始めたし、今はもうしっかり治っているよ」

――タワンチャイとは少しでも早く試合をしたかったのですか。

「試合が流れているから、すぐにやりたかったし、長い間待ちたくなかった」

――今回はムエタイルール=MMAグローブでの試合ですが、MMAグローブでの試合は初めてですか。

「そうだね。ただ以前からMMAグローブを使ったスパーリングはやっていたし、MMAグローブで試合することは問題ないよ」

――特にやりにくさはないですか。

「そうは言っても通常のグローブとMMAグローブには違いがあって、MMAグローブはディフェンスには使いづらく、拳を守ることも難しい。でもそれは相手も同じ条件だから気にはしてないよ」

――タワンチャイには対戦相手として、どんな印象を持っていますか。

「すごい良いファイターだし、ムエタイの新世代として、すごく成長していると思う。でも僕の方が経験が豊富だし、試合の時の力は自分の方が上だと思っている」

――スーパーボン選手もタワンチャイ選手もテクニシャンなので、日本のファンはこの試合が非常にテクニカルな試合になることを期待しています。

「まさにその通りだよ(笑)。僕もタワンチャイもテクニシャンだから、みんなが期待しているようなテクニカルな試合になると思う」

――最近のONEムエタイはパンチとヒジで打ち合う試合が多いですが、そういう試合にはならないですか。

「もちろんファイトだから、そういう試合になることも分かる。でも僕とタワンチャイは正しいタイミングでパンチもヒジも蹴りも出すことが出来る。だからパンチとヒジの打ち合いだけでなく、もっと色々な技を見せることが出来ると思う」

――今回の試合は2023年のONEを締める大会です。どんな試合を見せたいですか。

「僕はいつもファンのためにベストを尽くして戦っているし、相手がタワンチャイだから力を入れるということもない。いつものように全力で戦うし、チャンスがあればハイキックで倒すような、そういった試合を見せたいと思っている。絶対にファンをがっかりさせるような試合をしないよ」

――日本の武尊選手や内藤大樹選手がスーパーボン選手のジムで練習していますが、日本以外にも世界中から選手が練習に訪れるのですか。

「そうだね。色んな国の選手が練習に来ているよ。ちなみにトレーナーの一人が少し日本語が話せるから、ぜひ日本の選手にはもっと練習に来て欲しいね」

――スーパーボン選手も色んな国の選手と練習することで気づくことや学ぶことはあるのですか。

「それは大きなアドバンテージになる。自分が持っていないテクニックを体験できるからね。それこそ武尊たちとも練習して色んなことを学んだよ」

――スーパーボン選手ほどムエタイで実績を残している選手でも、新たなテクニックを学びたいという気持ちは変わらないのですね。

「今自分にはムエタイとキックで勝ちたい相手がいて、その選手に勝つことが出来たら新しいことにチャレンジしたいと思っている」

――スーパーボン選手が勝ちたいと思っている選手はずばり誰ですか。

「一人は今度対戦するタワンチャイ、もう一人はチンギス・アラゾフだ」

――新しいチャレンジというのは……。

「MMAかもしれないね。その時になったら改めて話すよ」

――分かりました。それでは最後の質問です。以前から気になっていたのですが“スーパーボン”というリングネームの由来を教えてもらえますか。

「自分の名前がボンで、兄もムエタイをやっていたんだけど、兄を超える選手になりたいと思って、自分の名前に“スーパー”をくっつけて、自分のことを“スーパーボン”と言い出したんだ。そうしたら父も僕のことを“スーパーボン”と呼ぶようになって、それがそのままリングネームになったんだよ(笑)」

――“スーパー”にはそういった理由があったのですね。本日はインタビューありがとうございました!

「アリガトウゴザイマス!」

 MMAPLANETでは前回タワンチャイ戦が延期になる前にスーパーボンにインタビューを行っていた。その時にスーパーボンが現代ムエタイについて話していた部分を改めて掲載したい。

――これまでタイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況でした。そのなかでONEが70キロの選手を世界中から集めて、試合を組んでいることをどう感じていますか。

「逆に言えば自分より小さい階級の選手たちは海外で試合をすることができなくて、僕たちが海外で稼いできたようなお金をタイ国内では稼ぐことができないという事実があった。そういう我々に対して、ONEがタイ国内でもいいお金を稼げる状況を作ってくれたことは喜ばしいことだし、自分のように実績とキャリアがある選手だけでなく、まだキャリアが浅い選手も含めて、すべての選手にそのチャンスを作ってくれたことは本当にありがたいと思っている」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。スーパーボン選手はこれについてどう感じていますか。

「ムエタイからギャンブルという要素がなくなり、本当のムエタイを見てもらえるという意味で、観客にとって凄くいいことだと思う。また選手にとっても判定基準にギャンブルが影響しないからこそ、もっと純粋に自分のスキルを使って戦うことが出来る。ムエタイがギャンブルではなくなるからこそ、ようやくムエタイの本来あるべき姿をみなさんに知ってもらえるようになったと思う」

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