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【Special】月刊、良太郎のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「JJが怪物から仙人になってきた」

【写真】王道の戦い方+引き出しの多さ+必要最低限の出力。これはジョン・ジョーンズの変わらない強さでもある(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年11月の一番──11月16日に行われたUFC309のジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチ。今回も水垣氏と同チョイスとなったが、打撃という視点でジョーンズの強さについて語らおう。

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:11月
JJ×ミオシッチ「いよいよJJが負ける姿が想像つかない」


――実は11月の一番も水垣さんと同じジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチをセレクトしてもらいました。この試合はやはりジョーンズについてお聞きしたいと思います。

「あれはもう…変人の領域に達してますね(笑)。やっぱりジョン・ジョーンズに対する幻想があるじゃないですか。でも体つきを見たりすると、みんなが知っている全盛期から2周も3周も回った選手だと思うんです。だから正直まだ強いのか?と思って見ている人が多かったと思います。ミオシッチも42歳で、約3年8カ月ぶりの試合だったので、ジョーンズが何だかんだで勝つだろうなとは思っていましたが、スピニングバックキックを左の脇腹に突き刺してKO勝ちするというのは全く予想してなかったです。もう本当にすげえな、この人っていう。それしか出てこないです」

――JJは明らかにライトヘビー級時代と比べると体のコンディションは悪いじゃないですか。それでもなんだかんだで勝ってしまいましたよね。

「コンディションは間違いなく良くないですよね。ボクシング的に言ったら、 かつてのスター選手が復活して、倒して勝っちゃうことってあるじゃないですか。あれはボクシングがパンチに限定された競技でラウンド数も長いからだと思うんです。キック・ムエタイは蹴りもあってラウンド数も短くなるから、どうしても若くてフレッシュな選手の方の勢いに飲まれてしまうけど、サムエー、ブアカーオ、センチャイのように制空権を制して、相手を制圧して距離感を支配する達人みたいな40代の選手もいる。MMAは試合時間が長いのでボクシングに近いところがあるけれど、レスリングや組み技をやらないといけないし、よりフィジカル的な強さが求められる。そんな競技なのにジョン・ジョーンズはボクシングやキック・ムエタイでオールドスターが未だに強いというのをMMA、しかもUFCでやっちゃってる感じですよね。

今回のミオシッチ戦で言うなら、右と左をスイッチして戦えるベースがあるんですけど、無駄な動きが一切ないんです。ミオシッチがバー!と攻めた時にジョーンズが後ろを向いて逃げたじゃないですか。あれを若いファイターがやるともっとクイックな動きになるんですけど、ジョーンズはちょっとスローな動きでしたよね。言葉は悪いですけど年齢を重ねた選手というか。でも見方を変えれば必要最小限の動きとスピードでかわしてるわけですよ」

――なるほど。それは面白い視点です。

「細かい技術で言うと、オーソドックスに構えたら自分の距離感でスナップがついたジャブを当てて、サウスポーに構えたら前手で相手の前手を触っておいて、同じモーションでローと三日月蹴りを蹴って、たまに左ストレートを打つ。やってることは普通、王道中の王道なんです」

――特別なことをやっているわけじゃない、と。

「ただジョーンズがすごいのは1Rに決めた大外刈りのような技の引き出しが豊富なところです。あんな技もやるんだという引き出しがあるんですよね。勝つために必要なことを最小限の出力で無駄なくやる、そして技の引き出しが多い。それがジョン・ジョーンズだと思います」

――フィニッシュになったスピニングバックキックについてはいかがでしょうか。

「あれは最初にジョーンズが三日月蹴りでレバーを意識させておいて、アレックス・ペレイラがよくやるようなお尻をくっと入れるフェイントでミオシッチを下がらせて金網を背負わせる。それで逆回転のスピニングバックキックをレバーの逆側にぶちこむと。あれは当たった場所的にボディが効いたというよりも骨がいったんじゃないかなと思います」

――あの一発にもそういった細かいテクニックがあるわけですね。

「昔は怪物で最強だったのが、段々と仙人みたいになってきましたよね」

――良太郎選手のお話を聞いていると怪物時代のジョーンズも無駄打ちが少なかったり、余計な出力をしていなかったり、今と共通している部分もあるんでしょうね。

「そうですね。そこに昔は若さがあったというか、細かい部分のスピードや反応速度は当時の方があったと思います。こういうタイプは段々と反応が悪くなって結果が出なくなってきて、それで引退という流れになるんですけど、ジョーンズは負けないんですよね。なんでそれが出来るのかは……正直分かりません(笑)」

――ムエタイのスーパースターだった選手が日本でトレーナーとして働きながら試合をしても日本人には負けないというパターンに似ているのかなとも思います。

「貯金と言えば貯金で勝っていると思いますが、それだけでもないし、UFCのあのレベルでやっているわけですからね。今回も相手はブランクがあるとはいえミオシッチですし。ここまで来たら、もう相手は1人=トム・アスピナルしかいないですけど、なんかやらなそうな感じじゃないですか。色々と難癖をつけて(苦笑)。でも僕はそれも含めて強さだと思うんですよ。フロイド・メイウェザーじゃないけど、博打する時は自分のタイミングでやる、みたいな。だからそこも全部ひっくるめて最強幻想がありますよね」

――試合以外の部分でも主導権を握るところも含めて強さですね。あれだけ色々な問題を起こしてもUFCで試合を組まれ続けているわけですし。

「本当ですよ。 普通は追放レベルですからね(苦笑)」

――いずれにしてもUFCから必要とされ続けているという時点で スペシャルな選手であることは間違いないですね。

「はい。ただみんなはもうちょっと彼に尊敬や畏敬の面を求めていると思います(笑)」

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:11月 JJ×ミオシッチ「いよいよJJが負ける姿が想像つかない」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年11月の一番──11月16日に行われたUFC309のジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチ、改めてUFCヘビー級王者としての強さを見せつけたジョーンズについて語らおう。


――今月の一番ではジョン・ジョーンズ×スタイプ・ミオシッチの一戦を選んでいただきました。この試合をセレクトした理由を訊かせてもらえますか。

「これはもうジョン・ジョーンズという選手だからですよね。ジョーンズは僕がUFCに行く前からUFCで戦っている大ベテランで、今でもUFCチャンピオンでい続けているという。何で言うんですかね、『誰もジョーンズには勝てないのか?』という、ちょっとした虚しさを感じた試合でした」

――ジョーンズは今回がヘビー級転向2戦目で体もシェイプされていなかったですし、今回は厳しい試合位になると思っていました。

「ヘビー級になって体も大分デカくなって、あの体を見た時に『今まで通り動けるの?』と思ったんです。そうしたらヘビー級転向初戦のシリル・ガンヌ戦はギロチンで一本勝ちして。でもあの試合は2分くらいで終わった試合だったので、判断できないところがあったんです。試合が長引いたらすぐに失速するんじゃないかなと。それで今回のミオシッチ戦はもっとジョーンズが距離を取って戦うと予想していたのですが、序盤から腹を効かせて自分から攻めたんですよね。しかも1Rにいきなり打撃からの大外刈りでテイクダウンして。あれがあったので2R以降のミオシッチはなかなかパンチの距離に持ち込めなかったですよね。逆にジョーンズは1Rで距離感が分かったので、すぐにダメージを与える打撃を切り替えましたよね」

――水垣さんの分析ではあの大外刈りが試合の流れを決めた、と。ただあの技を武器として持っていたとしても、復帰戦の1Rのあの時間帯で決めるのは普通ではないですよね。

「はい。相手のパンチが見えている状況だったら、ああいう技(大外刈り)でテイクダウンできると思うんですよ。でもミオシッチはハードパンチャーで、ジョーンズ自身も1年8カ月ぶりの試合だった。そういう状況で打撃の距離感を合わせるのは難しいし、序盤からああいう技にトライするのはリスクがあると思うんですよ。でもそういう技をパッとやって決めってしまうという」

――あの動きはジョーンズにしかできないですか。

「動きそのものは特別な技ではないと思いますが、あの状況で決めるのは……やっぱりジョーンズは特別ですね。体格的に恵まれている上に技の引き出しも多くて、もちろんジョーンズも色んな努力をして強くなったと思うのですが、あれはずるいです(苦笑)」

――もはやずるいレベルの強さだ、と。

「はい。しかも普通はあれだけ偉大な選手だったらもっとリスペクトされるじゃないですか。でもジョーンズは色んな問題を起こして、スーパーヒールのポジションを確立している。見ていて面白いというのは違うのかもしれないけど、自分のキャラクターを確立していますよね」

――憎まれ役なのにファイターとしては抜群に強い。ジョーンズにしかできないポジションですね。

「僕もジョーンズと話したことがあるのですが、普段は本当に物静かでオラオラするようなタイプでもないんですよ。以前、DJ.taikiさんがジャクソンズMMAに練習に行った時、空港までの移動手段がなくて困っていたら、ジョーンズが『俺が車で空港まで乗せていってあげるよ』と言って送ってくれたことがあったそうなんです。だから本来はそういう一面も持っている人なんですよね。それなのになんであんなに問題を起こしてしまうんだ?という(苦笑)。僕はジョーンズのことが嫌いとかは一切ないんですけど、あれだけ強すぎるとジョーンズが試合で辛くなった姿・苦しむ姿を見たくなっちゃうんですよね」

――確かに……あまりにも強すぎるので苦戦するジョーンズを見たい気持ちは理解できます。

「そうなんです。今までUFCでも特別なものを感じる選手はいたと思うんですけど、どこかで底が見えてくるというか、そういう試合や負けがあるじゃないですか。でもジョーンズはそれがないんですよね。このまま苦戦することなく引退するとなったら、それはそれで悲しい。僕はミオシッチはジョーンズの相手としてはベストチョイスだと思っていて、ファイターとして試合をしながら消防士という一面もあって、そういう人柄も見えてくるじゃないですか。逆にジョーンズは格闘技は強いんだけど問題を起こしまくる問題児で、ミオシッチにジョーンズを苦しめて欲しかったんですよね。そう思っていたら逆にジョーンズが圧勝してしまうという(苦笑)」

――極端かもしれませんが、ジョーンズがこのまま勝ち続けていくと、恵まれた体格と持って生まれた格闘センスを持った人間には誰も勝てないということになっちゃいますよね。

「そうなんです。僕はダニエル・コーミエーがジョーンズが対戦した時、完全にコーミエー派だったんです。コーミエーはジョーンズと違って技術と技のタイミングを精度を研ぎ澄ましてUFCチャンピオンになった選手で、コーミエーもジョーンズとは真逆のタイプだと思うんですよね。でもいざ蓋を開けてみたらジョーンズがコーミエーに2戦2勝して(※2戦目は試合後にジョーンズがドーピング検査で陽性反応が出たためノーコンテストに変更)。もしかしたらミオシッチだったらコーミエー戦の続きを見せてくれるんじゃないかと思って期待したんですけどね……。ライトヘビー級時代にマウリシオ・ショーグンに勝った頃のジョーンズは怖いくらい強くて、ショーグン戦以降は5Rフルに使って勝つみたいな試合も増えていたと思うんですよ。実際にドミニク・レイエスとやった試合は以前のような強さ・魅力がなくなっていて。それでいよいよジョーンズ政権が崩れる時代が来ると思っていたら、ガンヌとミオシッチにああいう勝ち方をしてしまうわけだから。いよいよジョーンズが負ける姿が想像つかないし、どうしたんもんですかね………と思う以外の感想がないです(苦笑)」

――ジョーンズのスペシャルな部分は一旦抜きにすると、レスリングの強さ+ロングリーチから繰り出す多彩な打撃という意味では、自分の強みや特徴を理解して試合を組み立てていますよね。

「そうですね。レスリングが強くて、あの長いリーチで色んな打撃が出来る。対戦相手からすると中に入り込んで打撃を打ち込たいところですが、いざ中に入ってもレスリングや首相撲でコントロールされてしまう。じゃあ離れたところで戦おうとすると、今度は長いリーチから打撃がバンバン飛んでくる。僕もリーチが長い相手の中に入って殴るのが得意だったのですが、ジョーンズみたいな戦い方をされると、どうしようもないです(苦笑)」

――そういった戦い方の上手さもあるということで。

「技の引き出しそのものが多くて、どの局面でどの引き出しを開ければいいか。そこのチョイスには抜群のセンスがあるし、しっかり戦略を立てるコーチやブレーンがいるんだと思います」

――2025年はトム・アスピナルとの対戦が期待されていますが実現するかどうか…ですよね。

「フランシス・ガヌーとやったらどうなるんだろうと思いますが、ガヌーがPFLと契約しているので現実的ではないじゃないですか。だったらアスピナルだとは思うんですけど、どうなるのかなと」

――もしかしたらこのままジョーンズが引退して、ジョーンズは特別だったと割り切った方がいいのかなとも思ってしまいました。

「どうだろう…僕はジョーンズが負けるまで現役は続けてほしいと思いますね。ジョーンズには恨みもなにもないのですが(笑)、あれだけ強すぎるとどうしても負ける姿が見たくなります」

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC309 キック ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ

【UFC309】やはり別格、ジョン・ジョーンズがスピニングバックキックでKO勝ち。ミオシッチは引退宣言

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
ジョン・ジョーンズ(米国)
Def.3R4分29秒by TKO
スタイプ・ミオシッチ(米国)

サウスポーに構えたJJに対し、ミオシッチが右を伸ばす。JJは左三日月、ミオシッチはインローを蹴る。左右のパンチでJJを追うミオシッチのパンチをかわして、間合いを取り直したJJがサイドの関節蹴りから、同じ足で大外刈りを決める。ハーフでエルボーを打ち下ろすJJは、ワキを殴って顔面にヒジを落とす。ドスンと音がする重い一元を落とし、フルガードに戻させないJJは左のエルボーを連打してパス。シングルレッグを潰して、ハーフに収まるとさらに勢いを増したエルボーを続ける。ニーシールドから離れることができなかったミオシッチは、鉄槌からヒジに防戦一方だが、クルスフィクスは許さない。

残り40秒、起き上ったJJは蹴り上げにも担ぎパス。キムラを狙いつつ、エルボーに切り替えて最後まで攻め続けた。

2R、奇跡的に大きなカットがないミオシッチは、右に回りながら左を伸ばす。JJはジャブを当て、ミオシッチが右アッパーを繰り出す。スイッチしたJJは、ここは三角蹴りを見せる。ワンツーで前に出たミオシッチは、パンチをボディに見せるが口が開いている。左ショートから、三日月で腹を抉ったJJは左インロー、続いて左ボディストレートを放つ。さらに首相撲から右ヒザを腹に突き刺す。ミオシッチも右を返したが、追撃はない。残り1分、左ミドルを蹴ったJJが、また三日月蹴りを決める。それでもワンツーで前に出るミオシッチに対して、背中を見せて距離を取ったJJがスピニングバックキックを繰り出した。

3R、すぐにJJがジャブを当て、前に出るミオシッチの間合いを外す。組んでアッパーを狙ったミオシッチに対し、JJは危険を察すると背中を見せて走り、距離を取り直す。そして三日月を入れたJJがエルボー、右を繰り出す。続く右で下がったミオシッチは、ワンツーを打ち返すが組まれてケージに押し込まれる。ミオシッチは離れて、JJの左ハイをブロック。サウスポーから右ジャブを当てるJJは三日月、インローと左からの蹴りで攻める。

ミオシッチはジャブを被弾し、前に出て左を届かせるが右は空を切る。圧を受けても右を繰り出すミオシッチは、右ストレート。JJが左をクリーンヒットさせるも、ミオシッチも頭がぶつかるぐらいの勢いで前に出る。左ミドルを入れたJJは、続く左スピニングバックキックをリブに決める。

腹ばいに崩れたミオシッチに追撃のJJが、見事なKO防衛に成功。「とてもタフだった。ずっと前に出てきた。ミオシッチはいつも最高のシェイプで仕上げてくる。それほどパンチを顔面に打てないと初回に思って、腹を狙った」と話した勝者は、王座統一戦に関しては言葉を濁したが、引退も否定。「交渉が上手くいくと、皆が見たい試合が実現するはずだ」というや、トランプ大統領に感謝の言葉を送り観客には「USA」チャントを要求。「俺は米国人チャンピオン、クリスチャンの米国人であることを誇りに思う」と締めた。

そして、敗者ミオシッチは「やり切った」と引退を宣下してケージを後にした。


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【UFC309】展望 余人をもって代え難き存在=ジョーンズ×普通の男であることに価値を置くミオシッチ

【写真】持ち過ぎた才能が、人生を狂わせながら強さは絶対のジョン・ジョーンズ。そして強さを求めて、幸福な人生を歩むこととなったミオシッチ。対照的な強者の戦いだ(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにてUFC 309「 Jones vs Miocic」が行われる。由緒ある大会場におけるメインイベントは、事実上無敗で二階級制覇を達成したジョン・ジョーンズに、元王者のスタイプ・ミオシッチが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

王者JJは、実に13年半前の2011年3月にマウリシオ・ショーグン・フアを3RTKOに下してライトヘビー級王座を獲得すると、6度の防衛に成功し長期政権を築いた。しかし、その後はコカイン使用、ひき逃げ、禁止薬物使用といったさまざまな問題行動を起こして3度に渡って王座を剥奪されてしまう。だがそのたびに復活しては、恐るべき強さで王座復帰を果たしてきた。

さらに2020年には飲酒運転&発砲事件による逮捕を経て、自ら王座を返上。ヘビー級への転向の意志を明らかにするが、その翌年にフィアンセへの家庭内暴力で再逮捕された。


それでも昨年3月には宣言通りヘビー級で復帰。シリル・ガンヌとの王座決定戦において1Rわずか2分でギロチンチョークで仕留め、二階級制覇を達成している。オクタゴン内での絶対的な強さにおいても、その内面に棲まうデーモンの巨大さにおいても余人をもって代え難き、格闘技の矛盾を最大限に体現する存在だ。

対するミオシッチは、8年半前の2016年5月にファブリシオ・ヴェウドゥムを敵地クリチバで1RKOに下し、ヘビー王座を獲得。その後アリスター・オーフレイム戦ジュニオール・ドスサントス戦フランシス・ガヌー戦とヘビー級王座3連続防衛というUFC新記録を樹立した。その後ダニエル・コーミエに敗れるも、リマッチで勝利して王座奪還に成功。が、21年3月にフランシス・ガヌーとの再戦に敗れて再び王座を明け渡している。

ちなみにミオシッチは、以前からファイターであると同時に消防士としての職を持ち続けている。仕事で地域に貢献し、家庭でも妻と子供を大切にする「普通の男」であることに何よりも価値を置く、JJとはあらゆる意味で対照的な生き方を実践している。

2022年にはフルタイムの消防士となったことが報じられ、ミオシッチは幸せな引退を果たしたと考える向きも多かった。しかし昨年3月、上述のようにガンヌを倒したJJがオクタゴンの上で「みんな、俺がスタイプを倒すところが見たいか? スタイプよ、練習してくれていると嬉しいぜ。あんたは歴史上のグレーテイストヘビーウェイトだ。あんたと戦いてえんだ。ものすごくな!」と不敵な笑顔で宣戦布告。11月に復帰してJJへの王座挑戦が決まった。

だが、この大一番に向けての練習中にJJが胸筋断裂の大怪我を負ってしまい、手術と半年以上の治療期間を要することが判明し欠場を余儀なくされてしまう。ここでUFCは、当日のバックアップファイターとして用意されていたセルゲイ・パブロビッチとミオシッチの暫定王座戦を行うことはせず、パブロビッチとトム・アスピナルによる暫定王者決定戦を敢行し、1R1分でKO勝利したアスピナルが王座に就いた。

強引な措置とも言えるが、デイナ・ホワイトUFC代表は「ミオシッチ対JJはレガシーファイト。歴史上最も偉大なヘビー級王者と、歴史上最も偉大なミックストマーシャルアーティストの激突だぞ。レジェンド二人の対決をファンも見たいし、私も見たいし、両者ともやりたがっている。スタイプに暫定王座戦を戦ってくれなどと頼むこと自体、まったくもって失礼な話だよ」と説明した。両者のカードは、競技の理屈をスキップしてでもUFCが実現させたいメガファイトということだ。

その後アスピナルがまたしても1分KOにて暫定王座を防衛する間に、正規王座のJJは手術を経てリハビリを完了。一年の延期を経て、今回──暫定王者として圧倒的に勝ち続けているにもかかわらず挑戦できない気の毒なアスピナルが「老いぼれどもによる、異議にまみれたタイトル戦だ」と毒づくのをよそに──ついにミオシッチとの防衛戦がついに実現することとなった。

長年パウンドフォーパウンドランキングのトップに君臨し、一年前には体にかなり脂肪が乗ったヘビー級としても圧巻の強さを見せつけた37歳のJJと、片や42歳にして3年8ヶ月ぶりの復帰戦となるミオシッチ。当然下馬評は圧倒的にJJ有利だ。

が、もしミオシッチが王者時代に劣らぬコンディションでJJの前に現れれば話は別だ。全てに卓越した王者JJだが、最大の武器はレスリングをベースとした圧巻のグラップリング力。相手が組みを警戒するからこそ、JJはスタンドでオクタゴン中央を取りプレッシャーをかけつつ、他の追従を許さない創造性に溢れた攻撃を交えて距離を支配することができる。

ただし体格に勝りレスリングにも長けたミオシッチは、JJのテイクダウンを恐れずスタンドで逆に圧をかけてくるだろう。仮にミオシッチがJJのテイクダウンや寝技を凌ぎ、スタンドで前に出る展開が生まれれば、俄然試合は興味深いものとなる。アルロフスキー、ヴェウドゥム、オーフレイム、ドスサントスといった名だたるヘビー級王者たちを沈めてきた一撃必殺の右を持つミオシッチの圧力を、手を開いた柔らかい構えと関節蹴り等独自の武器を用いて間合いを作る──しかしライトヘビー時代の機動力はないと思われる──JJがいかに捌くのか。

ここで忘れてはならないのは、苦境に陥った時の強さこそがJJの真骨頂だということだ。かつてJJは、1度目のアレクサンダー・グスタフソン戦ドミニク・レイエス戦で前半は思うようにテイクダウンを取れず大苦戦を強いられたことがある。が、いずれも後半に驚くべき精神力とスタミナを発揮。何より勝利への執着心が試される極限状況下にて、前に出て挑戦者を削り続けて圧倒して逆転勝利をもぎ取っている。

また、JJと組技の練習を重ねる世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアンは、「グラップリングのみの練習でも、ジョンは展開に応じて直感的にゲームプランを変えることができるんだ。また、一つのことを教えると、たちまちそれを別の部分でも応用できてしまう」とJJの真の強さは試合中の適応力や応用力にあると語る。

試合が競った展開になればなるほど、JJの恐るべき勝利への執念、適応力、創造力を我々が目にする可能性は高まる。

今回、JJ自身も己の全てを出し尽くすフルラウンドの戦いを予期している模様だ。「お互いにとって長い夜になるだろう。相手の心臓を皿に盛りつけてみんなの前で食らうのは格別だ。奴を深海に引き摺り込んで溺死させてやる。スタイプの技術じゃなく、心臓に襲いかかるつもりだ」と、心にダークサイドを秘めた者ならではの発言でその覚悟を語っている。

相手を罵ることはもちろん、試合前には多くを語りたがらないミオシッチも「ライトヘビーで戦ってきたジョンは、俺のような相手と戦ったことはない。試合が開始すればすぐに体感するはずだ」と自信をのぞかせている。

適正階級ではない怪我上がりの38歳と、3年8ヶ月ぶりに戦う42歳の戦いでありつつも、まごうことなきMMAレジェンド二人による重量級スーパーファイトであるこの試合。UFCヘビー級最多防衛記録を持つミオシッチが、MMA史上最高のファイターと呼び声高いJJを追い詰めることで、その奥深くにさらに眠っている力が呼び覚まされる──そんな極限の戦いを期待したい。

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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Report UFC UFC260 スタイプ・ミオシッチ フランシス・ガヌー ブログ

【UFC260】左ストレート、カウンターの左フック。ガヌーがミオシッチをKOし人類世界最強の座に

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
フランシス・ガヌー(カメルーン)
Def.2R0分52秒by KO
スタイプ・ミオシッチ(米国)

ガヌーがまず右ローを蹴る。続いてボディを入れたガヌーは、ジャブから右ストレートをヒットさせる。攻め急がないガヌーに対し、ミオシッチはシングルレッグを切ってバックを譲る。後方から強烈な勢いで連打したガヌーは、距離を取ったミオシッチに左ハイを蹴っていく。

顔面を蹴りがかすめたミオシッチは足を使い、回復に努める。ガヌーはここも慎重な姿勢を崩さず、ミオシッチのローを受ける。ガヌーもローを蹴り返し、残り30秒を切ってからは大きな動きはなかった。

2R、ミオシッチの左ジャブに、ガヌーが右ローを合わせる。と右ジャブから左ストレートをヒットさせたガヌーがダウンを奪う。殴られながら立ち上がったミオシッチが右を当て、左フックを振るってきたところにガヌーは左フックを打ち込む。左足が畳まれた状態で、後方に倒れたミオシッチ。レフェリーが試合を止めてジ・エンド──UFC世界ヘビー級王座にフランシス・ガヌーが就いた。


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News UFC UFC260 ショーン・オマリー スタイプ・ミオシッチ タイロン・ウッドリー トーマス・アルメイダ フランシス・ガヌー ブログ ヴィセンチ・ルケ

【UFC260】計量終了 注目!! ショーン・オマリーの再起戦、ヴィセンチ・ルケはK-1 MMAを貫けるか

【写真】コリー・サンドハーゲン級のインパクトを残すことができるか、ショーン・オマリー(C)Zuffa/UFC

26日(金・現地時間)、27日(土・同)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC260「Miocic vs N’gannou」の計量が行われた。

今大会はブライアン・オルテガの挑戦を受ける予定だったUFC世界フェザー級王者アレックス・ヴォルカノフスキーが新型コロナウィルスに感染し、世界戦は延期に。

この試合を含めコロナ関係で3試合がなくなり、対戦カードの変更も2試合見られるなどコロナの影響を大きく受けたPPV大会は、メインで世界ヘビー級選手権試合=王者スタイプ・ミオシッチ✖フランシスコ・ガヌーの一戦が組まれている。


計量ではライトヘビー級でアロンゾ・メニフィールドと対戦するファビオ・チェラントと。ウェルター級でアブバカル・ヌルマゴメドフと戦うジャレッド・ゴードンの2名が1ポンドオーバー規定より、0.5ポンドオーバーとなった。

全10試合とPPV大会としてはコンパクトになった今大会、コ・メインでタイロン・ウッドリーとヴィセンチ・ルケという楽しみなカードが組まれている。

元ウェルター級世界王者のウッドリーだが、王座を失ったカマル・ウスマン戦以来3連敗中、昨年9月のコルビー・コビントン戦ではレスリングという自身の庭で後手に回ってしまった。

対してルケはコロナ移行に2連勝中で、そのK-1MMAというべき、拳の届く距離での打撃戦で圧倒的な強さを見せてきた。あのレンジ、そしてコンビネーションをジャブ&テイクダウンのウッドリーに見せることができるか。ルケが通常のスタンスで同じように打撃を使いこなせるようだと、ウスマン戦が見えてくるだろう。

頂点がピョートル・ヤンからアルジャメイン・ステーリングに代わったバンタム級で、昨年5月に足の負傷でマルロン・ヴェラにまさかのプロ初黒星を喫したショーン・オマリーが、再びウィニングトラックに戻って来られるのか。

対するトーマス・アルメイダは、かつては21連勝という驚異的なレコードを持っていたが、フェザー級での試合を含め、22戦目からは1勝4敗──現在は3連敗中でがけっぷちの状態にある。オマリーもアルメイダに引導を渡せないようだと、ロブ・フォントらとのコンテンダー争いで後手に回ってしまう勝負の1戦だ。

■UFC260「Miocic vs N’gannou」視聴方法(予定)
3月7日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOライブ

■UFC260計量結果

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]スタイプ・ミオシッチ: 234ポンド(106.14キロ)
[挑戦者]フランシス・ガヌー: 263ポンド(119.29キロ)

<ウェルター級/5分3R>
タイロン・ウッドリー: 171ポンド(77.56キロ)
ヴィセンチ・ルケ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
トーマス・アルメイダ: 136ポンド(61.69キロ)
ショーン・オマリー: 136ポンド(61.69キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジリアン・ロバートソン: 125.5ポンド(56.92キロ)
ミランダ・マーヴェリック: 126ポンド(57.15キロ)

<ライト級/5分3R>
ジェイミー・マラーキー: 155.5ポンド(70.53キロ)
カーマ・ワーシー: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド: 205ポンド(92.99キロ)
ファビオ・チェラント: 206.5ポンド(93.66キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジャレッド・ゴードン: 171.5ポンド(77.79キロ)
アブバカル・ヌルマゴメドフ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
モデスタス・ブカウスカス: 205.5ポンド(93.21キロ)
ミハウ・オレキシェイジュク: 206ポンド(93.44キロ)

<フェザー級/5分3R>
ショーン・ヤング: 145.5ポンド(66.0キロ)
オマール・モラエス: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
アブ・アザイター: 185.5ポンド(84.14キロ)
マフクアンドレ・バリユー: 185ポンド(83.91キロ)

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【UFC252】スタイプ・ミオシッチがダニエル・コーミエーから判定勝ちで、ヘビー級王座防衛

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
スタイプ・ミオシッチ(米国)
Def.3-0:49-46.49-46.48-47
ダニエル・コーミエー(米国)

まず左ローを蹴ったミオシッチ。コーミエーは続いてローを受け、左ジャブを被弾する。コーミエーのローを空振りになり、逆にローを入れてジャブで差したミオシッチが左ボディフックを決める。直後にシングルでテイクダウンを奪ったコーミエーは、スクランブルでがぶってヒザを顔面に蹴り上げる。

離れたミオシッチは左前蹴り、ワンツーを繰り出す。ボディを繰り返したチャンピオンは、右ストレート。コーミエーも右を返す。2度目のアイポークで中断を要求したミオシッチは、ドクターチェックを受ける。再開後ローを蹴り合い、ミオシッチが組みを切って右を当て、ボディを2発打ち込む。コーミエーも右を返すが、間合を取り直したミオシッチがワンツー、左ロー。距離を詰めたコーミエーが右をヒットさせ、ミオシッチの腰が落ちる場面も。直後に初回が終わった。

2R、ミオシッチの左ローが急所に。リスタート後、右アッパーから左をチャンピオンが伸ばす。コーミエーは左ロー、シングルと見せてこね気味の右フックを振るう。右オーバーハンドをかわしたミオシッチは左ボディフック、右フックを当てる。コーミエーが左リードフックをヒットすると、ミオシッチも右を返す。クリンチで足払いを耐えたコーミエーはボディを打たれても、左ジャブを伸ばして右を狙う。ダックから右を伸ばすコーミエーは左ボディフックを放つ。と、終盤に右を連続で当てたミオシッチは、背中を見せて晴れようとしたコーミエーを後方から殴る。バランスを崩して尻もちをついたコーミエーの足を跨いで座り、パンチを連打した。

3R、前のラウンドの勢いを駆って前に出てジャブ、右ストレートを打ち込むミオシッチが、ヒザ蹴りも見せる。ボディへのヒザ、右フックを振るうミオシッチがボディから右を当てる。クリンチでケージにコーミエーを押し込み、スピニングバックエルボーを胸に当てたチャンピオン。間合を取り直すと、王者は左右のフックを振るって前に出る。ケージを背負うコーミエーは両ワキを差され、時間が過ぎる。

右を入れて離れたミオシッチは、足を使う。コーミエーはローも、ダーティーボクシングから離れたミオシッチが連打を入れる。ここで挑戦者はアイポークがあったと激しい口調でレフェリーに文句を言い、直後にタイムアップに。

4R、左目が潰れたコーミエーは右フックを放つ。ボディを返したミオシッチが左ローから右クロス。挑戦者もワンツーを返すが、クリンチで押し込まれる。ミオシッチは離れて右フックをヒットし、ストレートも届かせる。ローに右を合わされたコーミエーは組みに行くと、逆に金網に押し込まれる。体を入れ替えようとしたところで離れたミオシッチだが、右を当てた直後に逆に右フックを被弾する。

さらに頭を下げて振り回す右を決めたコーミエーを、ミオシッチはクリンチでケージに押し込む。打撃の間合いも、クリンチでも動きが少なくなった両者。残り15秒になり、手数が増えたが、タイムアップ前に視線を外してコーナーに戻った。

最終回、ミオシッチが左ボディを入れ、ロー&ジャブへ。コーミエーも右を返すが、ミオシッチが右をヒットする。組んでケージに押し込みながら、コーミエーはすぐに体を入れ替えられてしまう。残り2分40秒までケージ際の攻防が続き、離れると互いにパンチを被弾しながら攻撃を続ける。

コーミエーはクリンチを選択し、ケージ際でバックを許しそうになる。右腕を差して正対したコーミエーに対し、離れたミオシッチがワンツーを放つ。右を2発入れた王者のテイクダウン狙いを切ったコーミエーが右エルボーを打ち込む。戦いは再びケージへ。ミオシッチがコーミエーを金網に押し付け、終了間際まで離れずタイムアップに。

疲弊して動きが落ちたなかで打撃の手数と精度で上回り、ケージに押し込まれる時間が少なかったチャンピオンが判定勝ちで、タイトル防衛に成功した。

試合後のインタビューでコーミエーは「両ワキを差されたことが決定的だった」と話し、左目は真っ暗で何も見えなかったことを告白した。


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【UFC252】計量終了 ミオシッチ✖DCは問題なく。ジム・ミラーがUFC最多出場記録、単独1位へ

【写真】13日に行われた記者会見でのフェイスオフ (C)Zuffa/UFC

15日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXが開催されるUFC252「Miocic vs Cormier3」の計量が14日(金・同)に行われた。

メインのUFC世界ヘビー級選手権試合で戦う、王者スタイプ・ミオシッチと挑戦者ダニエル・コーミエーは、それぞれ233ポンドと236ポンドで計量を終えている。

フェザー級でダニエル・ピネダと戦うエウベウチ・バーンズが149.5ポンドで大幅オーバーに。ファイトマネーの20パーセントがピネダに支払われキャッチウェイト戦で戦うこととなった。同じくフェザー級のTJ・ブラウンは1ポンド・オーバー規約を0.5ポンド上回る146.5ポンドとなり、彼もまた20パーセントを没収されダニー・チャベスと戦うことが決まっている。


プレリミメインではUFC最多出場記録でドナルド・セラーニと並んでいたジム・ミラーが、36試合目となる計量を無事パス。単独最多出場記録となるヴィンス・ピッチェル戦に臨む。またこの試合で勝利すれば、ミラーはUFC最多勝記録を21から22に伸ばすことになる。

そんなミラーとは対照的に初オクタゴンとなるハワイアンMMA第3世代のカイ・カマカ3世と対戦相手のトニー・ケリー──オープニングファイトで戦う両者は共に144.5ポンドでクリアしている。

■UFC252計量結果

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]スタイプ・ミオシッチ: 233ポンド(105.68キロ)
[挑戦者]ダニエル・コーミエー: 236ポンド(107.04キロ)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー: 136ポンド(61.69キロ)
マルロン・ヴェラ: 136ポンド(61.69キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジュニオール・ドスサントス: 238.5ポンド(108.18キロ)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 254ポンド(115.21キロ)

<フェザー級/5分3R>
エウベウチ・バーンズ: 149.5ポンド( 67.81キロ)
ダニエル・ピネダ: 146ポンド(66.22キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジョン・ドッドソン: 136ポンド(61.69キロ)
マラブ・デヴァリシビリ: 136ポンド(61.69キロ)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー: 156ポンド(70.76キロ)
ヴィンス・ピッチェル: 156ポンド(70.76キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
フェリス・ヘリッグ: 116ポンド(52.62キロ)
ヴィルナ・ジャンジローバ: 115.5ポンド(52.38キロ)

<フェザー級/5分3R>
TJ・ブラウン: 146.5ポンド(66.45キロ)
ダニー・チャベス: 146ポンド(66.22キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ヘナタ・ソウザ: 115.5ポンド(52.38キロ)
アシュリー・ヨーダ: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ヘビー級/5分3R>
クリストファー・ダカウス: 241ポンド(109.3キロ)
パーカー・ポーター: 264.5ポンド(1119.97キロ)

<フェザー級/5分3R>
カイ・カマカ3世: 144.5ポンド(65.54キロ)
トニー・ケリー: 144.5ポンド(65.54キロ)

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【UFC252】対戦カード ミオシッチ✖コーミエー、トリロジー第三幕。オマリーはマルロン・ヴェラと

【写真】ここでチート・ヴェラとのマッチアップは意外だったオマリー(C)Zuffa/UFC

15日(土・現地時間)
UFC252「Miocic vs Cormier3」
ネヴァダ州ラスベガス
UFC APEX

■視聴方法(予定)
8月16日(日・日本時間)
午前7時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOW ライブ

■対戦カード

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]スタイプ・ミオシッチ(米国)
[挑戦者]ダニエル・コーミエー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー(米国)
マルロン・ヴェラ(エクアドル)

<ヘビー級/5分3R>
ジュニオール・ドスサントス(ブラジル)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)

<バンタム級/5分3R>
ジョン・ドッドソン(米国)
マラブ・デヴァリシビリ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
イオン・クテレバ(モルドバ)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
ヴィンス・ピッチェル(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヘナタ・ソウザ(ブラジル)
アシュリー・ヨーダ(米国)

<フェザー級/5分3R>
エウベウチ・バーンズ(ブラジル)
ダニエル・ピネダ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
フェリス・ヘリッグ(米国)
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
TJ・ブラウン(米国)
ダニー・チャベス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
クリストファー・ダカウス(米国)
パーカー・ポーター(米国)