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Report UFC UFN183 ジョゼ・アルド ブログ マルロン・ヴェラ

【UFN183】1P差が1P差に感じられない完璧なゲームメイク、ジョゼ・アルドがヴェラに3-0の判定勝ち

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
マルロン・ヴェラ(エクアドル)

サウスポーのヴェラがローと前蹴り。オーソドックスのアルドはガードを高く上げながら左ジャブを突く。ケージを背負いながら左右のローを繰り出すヴェラに対し、アルドは右フックをふるう。ヴェラがアルドの打ち終わりに組み付き、そのままケージへ押し込んだ。両脇を差して、相手の太ももへヒザを突き刺すヴェラ。アルドは左を差し返し、体勢を入れ替えてケージ際から離れた。

ケージ中央で打撃戦を再開する両者。アルドの左ジャブがヒット、さらに左ボディを打ち込むとヴェラの手数が減る。ヴェラの左ミドル、左ストレートをかわしたアルドが、ローキック、さらに左ボディからの右ローと対角線コンビネーションで攻め込む。ヴェラが組み付くも、すぐに離れたアルド。再び中間距離で右ボディストレートから、さらにボディ&ローのコンビネーションで相手を追い込んだ。

2R、ヴェラの左ストレート、前蹴りをバックステップでかわすアルドが、ボディ打ちで相手を下がらせる。ヴェラの動きに合わせて右ローを繰り出すアルド。さらに左ジャブ、左フックで相手を中に入らせない。アルドが左フックをもらったヴェラはバランスを崩す。組み付きたいヴェラに対して、アルドは自分の距離を保つ。右アッパー、左ボディを繰り出すアルド。ヴェラが前に出るが、そのたびにボディ打ちをもらい下がるようになる。

ここで組み付いたヴェラ、アルドはケージを背負いながらグラウンドに持ち込ませない。体勢を入れ替えたアルドは、首相撲からヒザ蹴り。そして距離を取るが、ここでヴェラが手数を増やし、さらに距離を詰めて組みつく。アルドは首相撲に切り替えてヒザ蹴り。離れるとヴェラがパンチを振るってラウンドを終えた。

最終R、いきなり前に出たヴェラに対し、組み付いたのはアルド。バックに回り、引き倒そうとする。バックにいるアルドに対して右ヒジを放つヴェラだったが、アルドは立っているヴェラからバックマウントを奪った。相手の体を伸ばし、グラウンドに持ち込んだアルド。4の字フックで相手の動きを止め、ケージサイドのアンドレ・ペデネイラスの指示を確認する。

体を起こしたヴェラ、立ち上がるもアルドはバックマウントを奪ったまま。アルドを背負いながら歩くヴェラだが、アルドは離れない。アルドがヴェラの右腕を抱えたところで、ヴェラは再びグラウンドへ。アルドははヴェラの首に腕を回すも、ヴェラもディフェンス。最後までアルドがバックマウントをキープしたまま、試合が終了した。

裁定は、ジャッジ3者とも29-28でアルドの勝利を支持。
結果こそ1ポイント差だが、2Rを奪われたことで3Rをしっかり取りにいったアルドの強さが目立った試合内容だった。


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News UFC UFN ESPN+41 UFN183 アンソニー・ペティス ケイオス・ウィリアムス ジェフ・ニール ジミー・フリック ジョゼ・アルド スティーブン・トンプソン ブログ マルロン・ヴェラ ミシェウ・ペレイラ

【UFN184】計量結果 2020年ラストUFCはジョゼ・アルド✖チート・ヴェラ&ペレイラ✖ケイオス

【写真】アルドはチートの足を止めることができるのk (C)Zuffa/UFC

18日(金・現地時間)、19日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN183:UFN on ESPN+41「Thompson vs Neal」の計量が行われた。

2020年最後のUFCは新型コロナウィルスが理由で変更されたカードが5試合と、今年を象徴するような大会となった。


メインでウェルター級のスティーブン・トンプソン✖ジェフ・ニールという渋いカードが用意された今大会、再注目はコ・メインのバンタム級の一番ジョゼ・アルド✖マルロン・ヴェラだ。

現状3連敗の元フェザー級チャンピオンのアルドだが、その相手はアレキサンダー・ヴォルカノフスキー、マルロン・モラエス、そしてUFC世界バンタム級王座決定戦で戦ったピョートル・ヤンだ。そのヤン戦では敗れてなお、アルドは中盤のローキックをボディを効かせるド迫力の攻撃を見せている。

一方のチートことヴェラは負傷絡みとはいえ、あのショーン・オマリーに初黒星をつけて勢いに乗る。スイッチヒッター、途切れることなく攻撃を繰り出す──ノンストップ現代MMAファイターだ。蹴り技を駆使するので腰は立ち気味でありながら、打撃とクリンチの融合は既に一体化という表現が相応しい。一つひとつの重厚感はアルドだが、ヴェラのハイペースに楔を打ち込むことができなければ、3Rで捕まえることは簡単ではないだろう。

さらに塩梅を掴んだ四次元MMAのミシェウ・ペレイラは、戦慄の2試合連続30秒以内KO勝ちケイオス・ウィリアムスとマッチアップされた。ペレイラが変則的な動き、ウィリアムスが右ストレートを当てることができるのか。

足を止めるわけではないが、ヒザ蹴りも含め近距離戦も弱くないペレイラとウィリアムス、一瞬の交錯で決着がつく緊張感あふれる攻防が見られそうだ。

さらにアンソニー・ペティス、マルロン・モラエス、グレッグ・ハーディーというヘッドライナー級のファイターがズラリと並んだ今大会。先週の大会で計量後に流れたジミー・フリック✖コディー・ダーデンのフライ級マッチも見逃せない。

■視聴方法(予定)
12月20日(日・日本時間)
午前6時~UFC FIGHT PASS

■UFN183計量結果

<ウェルター級/5分5R>
スティーブン・トンプソン: 170ポンド(77.11キロ)
ジェフ・ニール: 171ポンド(77.56キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド: 136ポンド(61.69キロ)
マルロン・ヴェラ: 136ポンド(61.69キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミシェウ・ペレイラ: 170ポンド(77.11キロ)
ケイオス・ウィリアムス: 169.5ポンド(76.88キロ)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・モラエス: 135.5ポンド(61.46キロ)
ロブ・フォント: 136ポンド(61.69キロ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ: 255ポンド(115.66キロ)
グレッグ・ハーディー: 266ポンド(120.65キロ)

<ウェルター級/5分3R>
アンソニー・ペティス: 170ポンド(77.11キロ)
アレックス・モロノ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
パニー・キアンザド: 135.5ポンド(61.46キロ)
シジャラー・ユーバンクス: 136ポンド(61.69キロ)

<195ポンド契約/5分3R>
デロン・ウィン: 194.5ポンド(88.22キロ)
アントニオ・アローヨ: 194ポンド(87.99キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジリアン・ロバートソン: 125ポンド(56.7キロ)
タイラ・サントス: 126ポンド(57.15キロ)

<ミドル級/5分3R>
タフォン・エヌシュクウィ: 186ポンド(84.37キロ)
ジェイミー・ピケット: 184.5ポンド(83.68キロ)

<フライ級/5分3R>
ジミー・フリック: 125ポンド(56.7キロ)
コディー・ダーデン: 126ポンド(57.15キロ)

<160ポンド契約/5分3R>
カールトン・マイナス: 159.5 ポンド(72.34キロ)
クリストス・ギアゴス: 159 ポンド(72.12キロ)

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Interview Special UFC ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:7月─その壱─ピョートル・ヤン×ジョゼ・アルド「ACA」

【写真】ピョートル・ヤンの戴冠=ACA=ロシアの軽量級の強さ (C) Zuffa / UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年7月の一番、第一弾は12日に行われたUFC251からピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルドの一戦を語らおう。


──海外の注目すべき試合は、まま戻ってきたMMA界。2020年7月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合をお願いします。

「ピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルドですね。ヤンはUFCでも無敗でチャンピオンになった。これはACAのレベルの高さを証明しましたね。フライ級からフェザー級にかけては、なんだかんだといって強い。

フライ級のアルカル・アルカロフも苦戦はしても負けていないし。ヤンがチャンピオンになって、マゴメドシャリポフがフェザー級であの位置にいるというのは」

──思えばUFCのチャンピオンやトップというファイターは、ここまで輩出しているのはACAぐらいかもしれないですね。

「ロシアのこのあたりは強いですよね」

──今は独立した国も多いですが、サンボでも旧ソ連国家ではロシア語も話せない超強豪の軽量級世界王者などがいました。

「ソビエト連邦という共同体から、独立した国にチャンピオンも散らばり、そこいらの国から出てくる柔道やサンボの世界王者クラスの選手はソ連時代には世界大会に出られないという恐ろしい状況だったわけですし」

──その恐ろしさの末裔が、MMAでも活躍していると。

「それぐらいレベルが高いです。ただし、コンディション的にはACAの時の方が強い」

──そこは科学的要素も含まれているでしょうが、結局は強さの上にそこがあり、互いが使用していた。そこが抜けても彼らは強いということなのでしょうか。

「UFCでは抜いているというか、上手く調整している。誰もが(笑)。でも、強いですよ。アルドのローにも下がらない。構えは変えたけど、押し切っちゃう。あれは普通ならローから上を貰っちゃいます。やっぱり、ヤンもタフです」

──ただしヤンはまだジミー・リベラとジョゼ・アルドしか、トップ10とは戦っていない。この辺りがまた楽しみです。

「マルロン・モラエス、コディ・ガーブラント、それとお縄を頂戴しているTJ・ディラショーが出てきたら……。ディラショーがいない間にモラエスとセフードが潰し合い、その間隙をぬってヤンが世界チャンピオンになった感はありますしね。

そこも含めて、コロナ禍での運というのはあります。アブダビはブラジル人とロシア人だらけだったし。そこはあると思います。と同時にアブダビのような状況にロシアがあるということは、これからもどんどん出てくるでしょうね」

──柔道やボクシングだとロシア勢は重量級もトップを走っていますが、MMAは決してそうではないのも興味深いです。

「ACA自体がウェルター級になるとガクンと落ちます。それでもヤンがガーブラントとかやると……、分からないけどガーブラントとかが勝ってしまいそうですね。だからチャンピオンだけど、もう一周できる。これはもうUFCならでは、です。それだけ層が厚い、UFCに集まっているということですよね」

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Bu et Sports de combat Interview UFC ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ 岩﨑達也

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルド

【写真】ヤンはまだ底を見せていない。アルド戦では彼の全容は見えないということは、誰と戦ったも楽しみが増える(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──ピョートル・ヤン✖ジョゼ・アルドとは?!

ジョゼ・アルドですら憎くもない人間と戦い続けることはできない


──ジョゼ・アルドを5Rにパウンドアウトで破ったピョートル・ヤンがバンタム級王者になりました。この試合、初回はヤンが攻勢でした。

「結果から言わせてもらいますと、やはりやる気の問題なんだと思います。アルドは長年ずっとトップを戦ってきて、最高の結果も残してきた。でも、今も収入を得るためなのか、まだやれると証明しようと戦っているのか。それは頭の判断ですが、体が戦いたがっているようには見えなかったです。それでも良いところがあるのはさすがなのですが……、ジョゼ・アルドですら憎くもない人間と戦い続けることはできない。それが人間という生き物なのかと思った次第です。

UFCのPPV大会では数字が取れる名前のある人がずっと上の方で戦っていますが、もうお腹いっぱいになったような選手が少なくないです。これから成り上がってやろうという選手とは、明らかに気持ちは違うのですが……ファンは、ビッグネームが見たいということなのですね。

そういうなかで1Rにアルドがパンチを打とうとしているのですが、彼のパンチが良いのは右ローをしっかりと蹴ることができている時なんです。パンチを打とうとしている時は、エネルギーが小さくなってしまう。ジャブからワンツーなんて、ボクシングをやっていると。アルドがパンチで行こうとする時は、ピョートル・ヤンの間です。ただし、右のカーフキックが入るとアルドの間になります」

──1Rはずっとパンチを被弾し、最終局面でテイクダウンを狙いました。

「不可解ですよね。あの先に何があるのか。蹴れば自分の間になるのに、あそこでテイクダウンにいった。いった先にどのようなビジョンがあるのか。恐らくは、コレというものがないからスクランブルに持ち込まれると自分から下になってしまったのでしょう。

ピョートル・ヤンに関しては、これはヒョードルやヌルマゴメドフにも当てはまるのですが、スタンドの打撃よりパウンドが圧倒的に良いです。スタンドでもショートの右アッパーなどは凄く良かったですが、パウンドの時の質量が一番高いです。もともと重力や引力との関係もあるので、人は上を取った時の方が質量は高いのですが、そうなった時にピョートル・ヤンの質量は最高値です。あのボディで、試合を終わらせることができてしまいそうなぐらい。

でもアルドが2Rに盛り返すというのは、さすがに歴戦の強者ですね。あの局面は、ヤンが腹を攻めなかった。ばかりか、ペースを落としました。そこでアルドの右の蹴りが入った。そうなると間が良くなり、左のボディブローも効き始める。あの局面ではアルドの方がヤンよりも、質量が高かったです」

──前足を蹴られたヤンがサウスポーにスイッチすると、一気に勢いがなくなったように見えました。

「サウスポーになった時は、本気で食いに行こうというのが見えなくなってしまいましたね。蹴りは良かったですけど。だから、あの時はアルドが勝てる、勝機を見いだせたはずなんです。それなのに3Rと4Rは、アルドは何もしなかった──下がるだけで。ビジョンが見えなかったです。反対に2Rを失ったヤンは、何かをしようと前に出てくる。その時にアルドが、ヤンに対して何をやろうとしているのか、それがなくて漠然と戦っているようにしか見えなかったですね。

そうなるとサウスポーでも、ヤンの質量が上がり、間もヤンになっていく。アルドのリアクションはバックステップで外すだけでしたし。だからヤンの回転が上がっていきました」

──最終回、仕留めに行った時のヤンは顔面を殴り、ボディを殴り、ヒザも蹴った。多彩な攻撃を見せていました。

「それはヤンが良いというよりも、アルドがもう終わっていたので。ああなると余裕が持てると思います。あの状況で、打ち返すことができる、あるいはテイクダウンができる人間に対して、あれだけのテクニックを見せることができるのか。この試合のアルドでは、ヤンの力というのは測りかねる部分があるかと私は思います。

いや凄く高い能力の持ち主ですよ、ヤンは。そして冷静です。最後のパウンドは殺すというよりも、レフェリーに止めろよというメッセージを送って殴っているように感じました。この試合もそうだし、もう5Rを戦い切れない選手が多くなっているから、5R制ってどうなんだろうなって感じます。5Rを戦い切る稽古と、気持ちがどれだけ創ることができるのかというのは、このところのUFCでは思うところですね。5Rあることで2Rぐらいは休む選手ができているので」

──日本人としては長丁場に活路を見出したいと思ってしまうのですが……。

「以前、黒崎健時先生が著書で42.195キロを100メートル・ダッシュのつもりでやりきれば必ず勝てるのだ。ただ、それをやる勇気のある人間がいないと言われています」

──物理的に無理だと思ってしまうかと、それは。

「でも、私はそれをやろうとする選手がこれまでも勝ってきたと思います。ジョルジュ・サンピエールにしても、ドミニク・クルーズにしてそうでした。今はあの時の彼らのように仕上げられないのでしょうね。

今後、ピョートル・ヤンがそこまでできるのか。それこそ指導者と選手が、人格の殺し合いをするような稽古でないと5分✖5Rというのは戦いきれないのではないかと思います。それは対人だけでなく、心肺機能を上げる練習にしても。そして、そんな稽古は10何年もできないでしょう」

──GSPやドミニクのようにピョートル・ヤンがなれるかどうかは、練習次第だと?

「ハイ。この試合からだけだとヤンは分からない。このままでコディ・ガーブラントやマルロン・モラエスとやって勝てるのか。ガーブランドはスタンドで、ドミニク・クルーズを効かせることができた選手です。それゆえにTJ・ディラショーにやられてしまったのですが……」

──そのTJ・ディラショーも来年の1月に戻ってくることができます。

「まぁ、UFCのバンタム級は凄いことになっていますね。だからこそアルドと戦った状態のヤンだと、ガーブラントには勝てないような気がします」

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Report UFC UFC251 ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ

【UFC251】ローを効かされ、サウスポーを強いられて尚、アルドをTKO。ヤンが新バンタム級世界王者に

<UFC世界バンタム級王座決定戦/5分5R>>
ピョートル・ヤン(ロシア)
Def.5R3分24秒by TKO
ジョゼ・アルド(ブラジル)

ヤンが左ジャブを伸ばし、アルドもジャブを返す。ボディを互いに打ち合うと、ヤンが左ハイを狙う。ジャブを伸ばすヤンが右オーバーハンドから、返しの左は空振りに。ここでアルドが右ローを蹴るも、直後にワンツーの右ストレートを打ち抜かれる。攻め急ぐことのないヤンはローでバランスを崩されたが、立ち上がってすぐにワンツーを打っていく。左の蹴りのフェイクに続く右ローを空振りしたアルドは、直後の右ハイはしっかりとブロックする。

アルドはジャブから右ロー、ヤンはボディを返す。残り90秒、右を当てたヤンはローで体がよれるも、すぐに右ストレートをヒットさせる。左ミドルを入れたヤン、アルドはテイクダウン狙いから下になり、ヤンが腰を上げた状態から重いパウンドを落とす。ボディを効かせたヤンは顔面にパンチを纏めるとアルドは、蹴り上げでスペースを作りながら、ガードを取ったままラウンド終了を迎えた。

2R、腹を空けたままの構えのアルドが強烈な右ローを蹴り、左ジャブ、再びローを蹴る。構えを変えたヤンは、右ミドルをブロックして左ストレートを伸ばす。右を当てたアルド、ヤンは左ハイ。オーソに戻したヤンは、左ボディを受けて大振りのパンチは空振りに。アルドはここでもローで左足を蹴り、ヤンは2つ蹴られたところでスイッチする。

右手前でもワンツーを伸ばすヤンだが、ボディを打たれる。アルドは右ミドルを入れ、右ストレートを2つ伸ばす。対サウスポーの方が戦いやすいか、アルドは右ボディを打ち込み、プレッシャーを強める。さらに右ハイを蹴っていくアルドは、オーソに戻したヤンに右ロー。ヤンは直ちにサウスポーに戻し、左ストレート、左ハイも最後に右ミドルを蹴ったアルドがラウンドを取り返した。

3R、サウスポーのままのヤンが右ミドルからヒザ蹴りと腹を狙われる。アルドは左リードフックを放ち、圧で上回るようになる。ヤンも左ミドルを蹴り返し、ワンツーで前に出る。右ジャブをヤンが入れると、アルドはボディを狙い、右ボディストレート、左ボディフックを2発入れる。左フック、ボディから右を当てたアルドは腹を殴る。ケージに詰まっていたヤンは、ここで前に出てオーソに。右から左アッパーもローを蹴られる。スイッチした直後にヒザを顔面に届かされそうになったヤンは、強まるアルドのプレッシャーのなかで左フックを振るう。

右ストレート、左ボディフックを入れたアルド、ヤンが左ボディストレートを返す。さらにワンツーで前に出たヤンは、右を被弾してスピニングバックフィストを見せる。ボディから左を当てたヤンに対し、アルドがヒザを返すも右エルボーを被弾する。アルドは動きが落ちてきたか、ヤンがラウンド後半になって盛り返した。

4R、ボディを貰った直後に左を顔面に返したヤンは、クリンチから離れると左ミドルを蹴り込む。アルドはボディ、そして右ストレート、さらに左ボディフックで腹を抉る。ヤンは前に出てクリンチからエルボー、ヒザ蹴りのアルドもヒジを打っていく。左2発からワンツー、ボディを入れたヤンは、アッパーを2つ見せる。アルドはボディを返すも、足払いでバランスを崩すなど中盤を迎えると動きが落ちる。

ボディ、左フックを打ったヤンは、右を当て口を開けたアルドに右ジャブから左ハイを狙う。回るアルドは、走るように間合を外す。追いかけたヤンが左ロー、鼻血を流すアルドは必死に距離を取る。ヤンはボディから右フック、左アッパー。頭を抱えたように動きが止まったアルドの足を取り、軸足を払ってテイクダウンしたヤンが、ガードのなかに収まる。細かいパンチ、ボディから右を打ち込み、エルボー、腰を上げてボディを殴ると、ヤンは勢いのある左のパンチを2つ打ち込み、ラウンドを明確に取った。

最終回、インターバルでどれだけアルドは回復できたか。いきなり左ストレートを打ち抜いたヤンは、ケージ際まで下がったアルドからボディから左アッパーでダウンを奪うとパウンドを纏める。ハーフで抑え、エルボーを入れるヤンが、ハーフのアルドの右腕を殺して抑えパンチとエルボーを落とす。

右腕を制されたままのアルドは、エルボーを受け背中を見せる。キャンバスがすぐに真っ赤に染まるほど流血に見舞われたアルドは、後方からの鉄槌に動けない。レフェリーは試合を止めず、ヤンは左右のパンチ、ヒザを続ける。バックを譲ったままのアルドは右のパンチ、鉄槌、エルボーを受け続け、ついにはレフェリーが試合をストップした。

新UFC世界バンタム級王者に輝いたヤンは、ケージサイドインタビューで「少しハードファイトになることは予想していたけど、ローがきつかった。初回と2Rはプレッシャーを与えて疲れさせ、3Rから攻めるのが作戦だった」と話した。


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News UFC UFC251 アマンダ・ヒーバス アレックス・ヴォルカノフスキー カマル・ウスマン ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ ペイジ・ヴァンザント ホルヘ・マスヴィダル マックス・ホロウェイ レオ・サントス

【UFC251】計量終了 終始笑顔のアマンダ・ヒーバス。マスヴィダルもミステリアス・スマイル!?

【写真】マスクをせずに計量に臨んだマスヴィダル、この笑顔が意味するところは (C)Zuffa/UFC

10日(金・現地時間)、11日(土・同)にUAEはアブダビのヤス島=ファイトアイランドで開催されるUFC251「Usman vs Masvidal」の計量及びフェイスオフが行われた。

3階級の世界戦に出場する選手は全員が問題なくパス。ジョゼ・アルドとバンタム級王座決定戦を戦うピョートル・ヤンはスケールに乗る前に服と一緒にマスクを外し、つけるように指示を受ける。

一方でマック・ホロウェイの挑戦を受ける世界フェザー級王者アレックス・ヴォルカノフスキーと、メインで世界ウェルター級王者カマル・ウスマンに挑戦するホルヘ・マスヴィダルはマスク無しで体重を測った。

そのマスヴィダルは下着を脱いで計量に臨み、指を組み腕を合わせるや満面の笑みを浮かべる。フェイスオフではマスクをつけたマスヴィダルだが、離れるとすぐに外し──ウスマンに何やら呟くようなシーンも見られた。


メインカード出場選手では会見などで、いつも明るさ満点のアマンダ・ヒーバスが大きなマスク着用でも体重計の上で思い切り笑顔を見せていることが分かった。そのヒーバス、ペイジ・ヴァンザントと相対すると鋭い目つきになるものの直後に背筋をピンと伸ばして、周囲にお辞儀するなど、どこまでも好人物ぶりを披露している。

なお女子バンタム級でカロル・ホサと対戦予定だったするヴァネッサ・メーロが 141ポンドと6ポンドのオーバー──30パーセントのファイトマネーのカットで、キャッチウェイト戦へ。またフライ級でジャルガス・ジャマグロフと戦うパウリアン・パイヴァは拝むような仕草をスケールの上で見せたが、3ポンド・オーバーで掌を合わせ周囲に詫び20パーセントの減給となり契約体重戦に臨むこととなった。

■UFC251計量結果

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]カマル・ウスマン: 170ポンド(77.11キロ)
[挑戦者]ホルヘ・マスヴィダル: 170ポンド(77.11キロ)

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 145ポンド(65.77キロ)
[挑戦者]マックス・ホロウェイ: 145ポンド(65.77キロ)

<UFC世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
ピョートル・ヤン: 135ポンド(61.24キロ)
ジョゼ・アルド: 135ポンド(61.24キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドレジ: 115ポンド(52.16キロ)
ローズ・ナマジュナス: 116ポンド(52.62キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ペイジ・ヴァンザント: 126ポンド(57.15キロ)
アマンダ・ヒーバス: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オデズミア: 205.5ポンド(93.21キロ)
イリー・プロハースカ: 205ポンド(92.99キロ)

<ウェルター級/5分3R>
エリゼウ・カポエイラ: 171ポンド(77.56キロ)
ムスリム・サリコフ: 171ポンド(77.56キロ)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ: 146ポンド(66.22キロ)
ダニー・ヘンリー: 146ポンド(66.22キロ)

<ライト級/5分3R>
レオナルド・サントス: 156ポンド(70.76キロ)
ロマン・ボガトフ: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ: 252ポンド(114.3キロ))
マクシム・グリシン: 223ポンド(101.15キロ)

<フライ級/5分3R>
パウリアン・パイヴァ: 129ポンド(58.51キロ)
ジャルガス・ジャマグロフ: 126ポンド(57.15キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
ヴァネッサ・メーロ: 141ポンド(63.95キロ) 136ポンド(61.69キロ)
カロル・ホサ: 141ポンド136ポンド(61.69キロ)

<バンタム級/5分3R>
マーチン・デイ: 136ポンド(61.69キロ)
デイヴィー・グラント: 136ポンド(61.69キロ)

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Interview UFC UFC251 ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ

【UFC251】アルドとバンタム級王座決定戦、ピョートル・ヤン「彼が成長しているようには見えない」

【写真】ヤンという名前は祖父が中国からロシアに移り住み、中国由来であることを会見で話したピョートル・ヤン(C)Zuffa/UFC

8日(水・現地時間)、11日(土・同)にUAEはアブダビのUFCファイトアイランドで開催されるUFC251「USMAN vs Masvidal」のバーチャル・メディアデー2日目が行われた。

ここではジョゼ・アルドとUFC世界バンタム級王座を賭けて戦うピョートル・ヤンの
受け答えを抜粋してお届けしたい(※要約)。


──パンデミック下で、試合に向けてどのようなトレーニングキャンプを行えたのだろうか。

「今はトレーニングについて振り返る時じゃないけど、全て上手くいったよ。トレーニングが十分でなかったとしても、僕のモチベーションは勝利を手にするのに十分だった。キャンプが良かっただけにチャンピオンになるチャンスは大きくなった。

世界中のファイターがパンデミックの影響を受けている。受けていない選手は1人としていない。状況に合わせて、誰もが家でしっかりと体を動かしてきたはずだ。皆が同じ条件だった。そして今、ここで戦う。問題ないよ」

──タイガームエタイの練習で得られたことは?

「初めてタイガームエタイを訪れたのは2014年だった。当時、まだプロで1試合しか戦ったことがなかった。食べ物、マッサージ、気候、凄く雰囲気が気に入って、キャンプに集中できたんだ。またキャンプをタイガームエタイで行いと思うし、新しい環境で練習するのも必要だと思っている」

──UFCタイトルに初挑戦するということで、普段と違う面は?

「ナーバスになり過ぎることはないし、心配もしていない。ただ試合に集中してきたし、それ以外の部分に関しては考えないようにしてきた。他のことは試合が終わってから考える。今は試合のことしか、頭にない」

──この試合はジョゼ・アルドが王座決定戦に出てくるに値しないという声があるけど、アルドのことだけを想定して練習してきたのか。それともアルジャメイン・ステーリングになることもあるという考えはあった?

「対戦相手を決めるのは僕の仕事じゃない。ただ、空位のベルトを賭けて誰とでも戦うつもりだった。マッチメイカーがアルドを選んだ。ならアルドと戦う。彼は偉大な選手だし、レジェンドだよ」

─そのアルドと、どのような戦いをしたい?

「試合展開によるよ。倒せそうならKOを狙う。判定になりそうなら、判定勝ちをする。僕のゴールは勝利で、勝ち方にはこだわらない」

──以前、ノヴァウニオンでトレーニングした経験があるけど、ジョゼ・アルドとの練習がアドバンテージになると思っているかい。

「スパーやグラップリングをジョゼ・アルドとしたことは、素晴らしい経験になっている。でも4年以上も前の話だ。僕はあの時より強くなっている一方で、彼が当時より成長しているようには見えない。

あの練習がアドバンテージになるとは考えていないよ。アルドはボクシングとローでプレッシャーをかける。ずっとその戦い方だった。練習をしたことで僕がアルドを少し理解した。アルドも僕のことが少し分かった。それだけでアドバンテージはないし、何も変わらない。

試合を盛り上げるにはプロモーションが必要だけど、僕らは互いに尊敬しあっている。互いを知っていることが試合に影響を及ぼすこともない。彼のゴールはチャンピオンになることで、僕のゴールも同じ。だから良い試合になるよ」

■UFC251対戦カード

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]カマル・ウスマン(ナイジェリア)
[挑戦者]ホルヘ・マスヴィダル(米国)

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
[挑戦者]マックス・ホロウェイ(米国)

<UFC世界バンタム級王座決定戦/5分5R>>
ピョートル・ヤン(ロシア)
ジョゼ・アルド(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドレジ(ブラジル)
ローズ・ナマジュナス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ペイジ・ヴァンザント(米国)
アマンダ・ヒーバス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オデズミア(スイス)
イリー・プロハースカ(チェコ)

<ウェルター級/5分3R>
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)
ムスリム・サリコフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ(フィンランド)
ダニー・ヘンリー(英国)

<ライト級/5分3R>
レオナルド・サントス(ブラジル)
ロマン・ボガトフ(ロシア)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
マクシム・グリシン(ロシア)

<フライ級/5分3R>
ザルガス・ズマグロフ(カザフスタン)
ハウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
ヴァネッサ・メーロ(ブラジル)
カロル・ホサ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マーチン・デイ(米国)
デイヴィー・グラント(英国)

カテゴリー
News UFC UFC251 アマンダ・ヒーバス アレックス・ヴォルカノフスキー イリー・プロハースカ カマル・ウスマン ジェシカ・アンドレジ ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ブログ ペイジ・ヴァンザント ホルヘ・マスヴィダル マックス・ホロウェイ レオナルド・サントス ロマン・ボガトフ ローズ・ナマジュナス ヴォルカン・オズテミア

【UFC251】対戦カード プレリミでタイトルコンテンダー=オズテミア✖元RIZIN王者プロハースカ

【写真】スイスからオズテミアがヒストリック・イベントに。西欧からオズテミア以外に3選手、旧ソ連圏以外の東欧からは対戦相手のプロハースカとポーランドのティブラの2選手が出場する。またメインのウスマン✖マスヴィダルもオフィシャルで発表された(C)MMAPLANET

2020年7月11日(土・現地時間)
UFC251
UAE アブダビ
UFC Fight Island

■視聴方法(予定)
6月12日(日・日本時間)
午前7時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOW ライブ

■対戦カード

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]カマル・ウスマン(ナイジェリア)
[挑戦者]ホルヘ・マスヴィダル(米国)

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
[挑戦者]マックス・ホロウェイ(米国)

<UFC世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
ピョートル・ヤン(ロシア)
ジョゼ・アルド(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドレジ(ブラジル)
ローズ・ナマジュナス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ペイジ・ヴァンザント(米国)
アマンダ・ヒーバス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズテミア(スイス)
イリー・プロハースカ(チェコ)

<ウェルター級/5分3R>
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)
ムスリム・サリコフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ(フィンランド)
ダニー・ヘンリー(英国)

<ライト級/5分3R>
レオナルド・サントス(ブラジル)
ロマン・ボガトフ(ロシア)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
マクシム・グリシン(ロシア)

<フライ級/5分3R>
ザルガス・ズマグロフ(カザフスタン)
ハウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
ヴァネッサ・メーロ(ブラジル)
カロル・ホサ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マーチン・デイ(米国)
デイヴィー・グラント(英国)

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Interview Special The Fight Must Go On WEC34 アレッシャンドリ・フランサ・ノゲイラ ジョゼ・アルド ブログ ミゲール・トーレス 前田吉朗

【The Fight Must Go On】Media Passから後追い取材─01─2008年6月1日、WEC34&ミゲール・トーレス

WEC【写真】当時、UFCは既に北米メジャー大会で日本の専門誌のケージサイドの撮影は認めなくなっていたが、WECではケージサイドスポットが与えられていた(C)MMAPLANET

国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第33弾はMedia Passから──ポストファイト・インタビュー、その01として2008年6月1日のWEC34後のミゲール・トーレスのインタビューをゴング格闘技#194号から、再録して紹介したい。

Torres vs MaedaZuffa買収後、軽量級普及のために全米ケーブルネットワークで中継されるようなったWEC。

エース・ライア・フェイバーがジェンス・パルヴァーを地元サクラメントで迎え撃った大会のセミファイナルで、WEC世界バンタム級王者ミゲール・トーレスは日本から刺客=前田吉朗をTKOで下している。

Gina Caranoこの前夜、ニュージャージー州ニューアークのブルデンシャル・センターでElite XCがCBSでライブ中継大会を行なったビッグショーを行い、翌朝に朝一番の飛行機でカリフォルニアへ移動し、ギリギリのタイミングで間に合うという冷や汗もの取材だった。

確か、サクラメントの空港から『パンチを予見する男』福田直樹さんのレンタカーに同乗させてもらった記憶がある。

そこまでしてこの大会を取材した理由は、メインのユライア✖ジェンス、そしてセミのミゲール✖前田選手ではなく、第2試合でアレッシャンドリ・フランサ・ノゲイラがWEC初戦を戦ったからだ。

Also vs Pequenho無敵の修斗ライト級(現フェザー級)王者は、その比類なきギロチンの強さで一時代を築いた。そして、MMAの覇権は軽量級ですら日本から米国に移り、ペケーニョがメジャーに挑む。

勝手ながらペケーニョを追うのは自分だという使命感を持って痺れるスケジュールで取材を敢行した。結果、ペケーニョは組もうとして打撃を貰い続け最後は2Rでパウンドアウトされる。ペケーニョに完勝し、MMAの進化を見せつけたのは同朋のジョゼ・アルドだった。

ユライアがジェンスを、アルドがペケーニョに完勝した夜、大会終了後にミゲールが宿泊するホテルのエレベーターホールに座り込んでインタビューに応じてくれた。そこで話された内容はMMAが世に認められる前を知る──ミゲール・トーレスだらこそ語ることができる、MMA夜明け前夜の物語だった。



Niguel Torres――前田吉朗選手をTKOで下し、WEC世界バンタム級王座初防衛に成功したミゲール・トーレス選手。その激闘の程が顕著に表れた額の傷です。何針、縫いましたか。

「6針だよ。でも、全く大丈夫だ。体はピンピンしている。足首が少し痛むけど、これはマエダのアンクルロックでやられたからじゃないんだ。2カ月前にキックの練習をしていて怪我をしていたんだよ」

――そこに足首固めを仕掛けられたのでは、相当痛みがあったのではないですか。

「痛かったよ。でも、アンクルロックでタップだけはしない。僕が見様見真似でグラップリングを始めた時から、アンクルロックの練習をしていたから、自分が戦えるかどうかぐらい判断できるよ」

――1、2Rは苦戦した場面も何度もありました。それでも3Rになってから動きが速くなったのに驚かされました。

「僕が速くなったんだじゃない。マエダが遅くなったんだよ。ずっと同じペースで戦えるようにトレーニングをしてきたから。3Rの開始が、試合開始のつもりで練習してきた。マエダに額をカットされて、もっとクールなファイターのつもりだったけど、感情を抑えきれなくなった。父は『あんな風に二度となるな』って怒っていたよ。

血を見て、感情的になったんだ。でも、マエダのようなファイターにはそうやって戦った方がよりチャンスがあると思っていたんだ。殴られたら殴り返すという気持ちを持っているファイターだから、前に出れば出るだけチャンスが広がる。マエダの気持ちが強い分だけ、ダメージを与え、疲れさせることができる。ボディへのヒザ蹴りを多く打ったのは、そういう狙いがあったんだ」

――実際のところ外見とは違い、冷静だったのではないですか。

「本当に感情的だった。でも、僕はバーやジムで戦ってきた過去がある。荒いファイトでも最後は自分をコントロールできる」

――バーで戦っていた?

「17歳のとき、僕のホームタウンのバーでイリーガルファイトが始まったんだ。イリーガルなのにポスターも貼られて、宣伝されていたんだ。すぐに戦いたいと申し出たんだけど、小さすぎるという理由で断られた。120ポンドしかなくて、やせっぽちだったからね。18歳になり、ようやく戦うチャンスをもらうと、ガレージで友人とキックとボクシングを自己流で練習しているだけの僕は、10秒ほどでKO勝ちしちゃったんだ。

すると徐々に試合機会が増えていった。公式記録になんて残らないファイトだよ。僕自身、戦相手の名前すら覚えていない。計量もないし、階級もなかった。薄くて、縫い合わせが雑で、擦りつけると簡単にカットできるグローブをつけて戦っていたんだ」

――まさに地下ファイトといった危険なファイトですね。

「試合タイムは5分×2Rとだけ決まっていて、バーの中央にリングを持ち込んでいたから、一応はMMAの体裁だけは整っていたかな。そんなバーでの試合以外に、僕らのようにグループ単位で練習している連中の間で、道場マッチも盛んだったんだ」

――道場マッチはどのようなルールだったのですか。

「エルボーも踏みつけもあり、ただし、体重だけは合わせるようにしていた。1年半の間に5試合ジムで戦い、10試合ノーウェイト制のバーで戦った。WECの発表するプロフィールではキャリア34戦だけど、本当はマエダとの試合で48勝目を挙げたことになる。通算戦線は49戦48勝1敗だよ」

――当時から、ガードからの関節技を得意にしていたのですか。

「バーやジムでやっていた頃は、スタンドで戦うことが多かった。寝技で使う技は3つだけ。ギロチン、三角絞め、そしてアンクルロックだ。マルコ・フアスが、僕に三角絞めを教えてくれたんだ」

――マルコ・フアスが?

「そう、彼とバス・ルッテンの教則ビデオを持っていた友人がいて、そのビデオが僕らの関節技の先生だった(笑)。対戦相手はMMAが分かっていない喧嘩好き、レスラーかボクサーばかりあったから、本当に基礎的なことしか紹介されていなかったけど、しっかり通用したよ」

――トーレス選手はそもそも、なぜ格闘技を始めたのですか。

「僕はボクシング、カラテ、テコンドー、あらゆるコンバット・スポーツに興味を持っていた」

――ボクシングは米国に住むメキシコ人にとって最も人気のあるスポーツですよね。

「父は毎晩のようにボクシング中継を見ていて、僕はその隣に座っていたんだ。ボクシングも大好きだったけど、僕の街にはボクシング・ジムがなかった。でも、カラテやテコンドーのような武道のジムはあったんだ。ブルース・リーやカラテ・キッド、サムライ・ムービーも大好きだったし、7歳の時にカラテを始めたんだ」

――他のスポーツ、球技などには興味はなかったのですか。

「サッカーは6歳の時からやっていた。レッスン料を支払えなくなって、カラテの練習を1年半後に続けられなくなっから、それからはサッカーをしていた。体を動かしていたかったからね。14歳になって、新聞配達や芝生刈りのバイトをして、テコンドーを習うようになったんだ」

――レッスン費用を両親に頼らず、格闘技ができる環境を自身で用意したと。

「家族も、そこまで必死になって取り組めるものがあって宜しい――なんて感じだったけど、さすがにプロのファイターになるとは思っていなかったみたいだよ。大学に進んで、ドクター、法律家、ビジネスマンになってほしかったんだろうね。どこにでもいる親と一緒だよ。僕はカレッジには進んだけど、ファイターとして生きていくのに大学に通うのは回り道だったよ。で、卒業したとき、両親は『さぁ就職だね』と言ってきたけど、『これでファイトに専念できる』って答えたんだ」

――そのファイターになるための、第一歩が自身で稼いだお金をつぎ込んだテコンドーだったのですが、もっとMMAにリンクできる格闘技を学ぼうとは?

「その通りだね。テコンドーの先生は僕に『テコンドーが最高の格闘技だ』と、言い続け洗脳していたんだ。一発の蹴りで、勝負はつくって。ハイスクールではレスリングが盛んで、彼らはレスリングが最高だと思っていた。そしてメキシコ人で無口な僕がテコンドーをやっていることに目をつけ、スパーリングをすることになったんだ。僕は蹴りを使った瞬間、フロアに叩きつけられたよ。『先生、どうやったら彼らの攻撃をストップできるのですか』、僕はすぐに尋ねたんだ。でも、先生はその解決策を持っていなかった。それでも僕はテコンドーの技術で、テイクダウンを防ぐ術を考えたけど、答に辿りつかなかった。そして、テコンドーを辞めたんだよ。もっとルールがなく、顔を殴ることが必要だと思ったから、キックボクシングとボクシングを始め、柔術の練習を開始した」

――その頃にはUFCを見ていたのですか。

「第1回大会から見ているよ。だから、すぐに柔術を始めたかった。でも、柔術のアカデミーは当然のように、僕の住んでいる辺りにはなかった。レスリングを習おうかと思ったけど、ハイスクールの連中は僕を仲間に入れてくれなかったしね。僕は細いからレスリングは無理だっていうんだ。まぁ、いいよ。今、多くのレスラーが僕のジムにやってきて柔術を習いたいって言うんだからね(笑)。結果、僕はガレージで友人たちとトレーニングを始めたんだ。凄く小さなマットでね。僕はガレージ生まれのファイターなんだ」

――それほど細く相手を見つけることも難しかったのに、ボクサーになろうという思いはなかったですか。

「ボクシングを本格的に習うには、シカゴまで通わないといけなかった。当時は車を持っていなかったし、レッスン料もかかる。働きながらカレッジに通っていたので、シカゴでボクシングを習う余裕はなかったよ。だから、ハモンドにいて可能になる練習しかできなかったんだ。それに、もうMMAに夢中になっていたからボクサーになろうという気持ちはなかった。キックも使いたかったしね」

――寝技だけでなく、立ち技も自己流だったのですね。

「そうだよ。指導者なんていなかった。ボクシング、キックだけじゃく自分が身につけていたカラテ、テコンドーの技も取り入れていたよ」

――オレ流の練習で、イリーガルなファイトで練習し、本格的にプロMMAの大会に出場するようになったというわけですね。

「本格的というか、バーをつかった一応は認められた大会だった。ファイトマネーは最初は0ドル。次の試合が100ドル、それから20ドルぐらいずつ上がっていった。そういうイベントを行っていたのがブラーリオ・コラル、そう、その後エリック・ムーンと共同でアイアンハート・クラウン(以下、IHC)を運営するようになった奴さ。

コラル(左)とエリック・ムーンに挟まれて

コラル(左)とエリック・ムーンに挟まれて

僕のMMAキャリアでコラルとの付き合いは、とても長い。彼の金払いの悪さには、本当に手を焼いたよ。今や犬猿の仲だけどね(笑)。

僕は多くの観客をアリーナに呼ぶことができたから、IHCやトータル・コンバット・チャレンジという地元の大会でも、結構いい契約を結ぶことができた。でも、コラルはエリックとIHCを共同で開き2000人~3000人の観客が集まるようになっても、ファイトマネーを支払おうとしなかった。で、エリックがポケットマネーで渡してくれたんだよ」

――なるほど、UFC人気が爆発する以前のMMAらしい話です。MMA好きでも、いろいろなタイプの人間が関わっていたものです。プロになってからの練習環境も、以前のように俺流だったのですか。

「コラルのバーファイトに出るようになったのが2000年からで、その1年前に初めて柔術を習った。ヒクソン・グレイシーがやってきてセミナーを開いたんだ。100人ぐらい参加者がいて、セミナー後には数人に青帯が与えられた。その時、青帯を受けた連中と道衣を着たトレーニングを始めるようになり、その中の一人がブラーリオ・コラルだったというわけさ。

彼のジムへ行き、そこで練習仲間はできたけど、まだ指導者はいなかった。僕の寝技は、自分たちで試行錯誤のなか磨いてきた。その後、インディアナポリスで試合があった時に、マルセーロ・モンテーロという柔術家と会ったんだ。彼がデラヒーバのことを紹介してくれて、1カ月後にリオの彼のアカデミーへ行った。ブラジルでのトレーニングは良い経験になった。青帯だったけど、もう30試合もMMAを戦っていたから、思った以上に対応できたんだ。そうしたら、デラヒーバは僕に紫帯をくれたんだ」

――ヒカルド・デラヒーバの下で柔術を学んでいた当時、プロ34戦目として発表されていたIHCで行われた修斗公式戦で、ライアン・アッカーマン選手に判定負けを喫しました。キャリア唯一の敗北です。

「ヒザの手術をして、1年半ぶりの試合。万全のコンディションでなく、当時の僕としては重い61キロ契約だった。そして、1Rが終わった時点で足が動かなくなったんだ。気持ちは戦いたいのに、足が動かない。もどかしくて、しょうがなかった。僕の足はスパゲッティのようにフニャフニャになっていた、肉離れを起こしていたんだ」

――テイクダウンを奪われ続けたのは、その肉離れが原因だったのですね。

「使った技がギロチンとトライアングルだけだったのも、そうだよ。あんな結果に終わってファンは涙を流しているし、自分の不甲斐無さに怒りを感じた。彼らにあんな思いを二度とさせないためにも、この試合後7カ月も試合ができなかったけど、柔術もボクシングも、さらにハードに練習するようになった。そして、再戦ではアッカーマンを叩きのめしたよ」

――そもそも、なぜシカゴにあるカーウソン・グレイシーJrのアカデミーに通わず、ブラジルまで足を運んでいたのか、当時から疑問に思っていたのです。その後、カーウソン門下になってはいるのですが。

IHC時代、マリアッチの演奏で入場するミゲールの後方に在りし日のカーウソンの姿が見られる

IHC時代、マリアッチの演奏で入場するミゲールの後方に在りし日のカーウソンの姿が見られる

「なぜ? 僕はカーウソン・グレイシーがシカゴにいることを知らなかったんだ(笑)。

デラヒーバが、『なぜ、わざわざブラジルまで何度もやってくるんだ? カーウソンがシカゴにいるじゃないか』って教えてくれたんだよ。帰国後、カーウソンのところを訪ねて自己紹介をしたら、『君のことは知っている。何度も、試合を見ているから』って言うんだ(笑)。試合場でカーウソンが僕に話しかけてくれていたら飛行機で10時間かかるブラジルでなく、車を使って30分で行けるシカゴで柔術を習うことができたのにね」

――確かIHCではカーウソンJrをリング上で紹介していましたよ。

「僕は地下の控え室にいたし、誰が誰だか分からなかったんだ(笑)」

――ハハハハ。確かにIHCが使っていたハモンド・シビックセンターの控え室は地下3階ぐらいにありましたね。その後、カーウソンとはどれくらいの間、トレーニングをすることができたのですか。

「5年間だよ。カーウソンが亡くなるまで、ずっとカーウソンとやっていた。ステファン・ボーナーもいたよ」

――その間、グラップリングの大会に出たことはありますか。

「あるよ、もちろん。ギもノーギもどっちもやってきた。アーノルド・クラシックのノーギ・アマチュア、ギではブルーベルトで優勝した。グレイシー・ナショナルスでも優勝しているし、結構やっているんだ。今もグラップリングは好きだけど、MMAに専念している。5年前に作ったジムでの指導もあるし、自分の練習もある。MMA以外のことをするには時間が足らないね」

――ところで、日本ではハードコア・ファンはトーレス選手の来日を今か今かと待ち望む声が高かったです。特に修斗ファンはDVDやCS中継であなたの試合を見ているので北米タイトルを取ったときは、いよいよか――という声が挙がりました。

「う~ん、日本には行きたかったけど、ビジネスとして成立しなかったんだ。ジムでの指導、関連商品の販売など、日本に行って戦うよりホームタウンにいたほうが稼ぎになったから。でも日本は僕にとって憧れの地だったんだ。ハヤト・サクライ、ゲンキ・スドーは僕のアイドルだったし、ハツ・ヒオキも好きなファイターだ。今は何といっても、シンヤ・アオキの大ファンだ」

――IHCで修斗の北米王者になったあとも地元を中心に戦い、AFCを経由し昨年BORDOGと契約をしました。既にWEC がズッファに買収され、軽量級にスポットを当てるようになっていたなかで、どうしてボードッグを選択したのでしょうか。

「僕の教え子のエディ・ワインランドがWEC世界バンタム級チャンピオンだったからなんだ。エディは凄く可能性のあるファイターだったけど、青かった。チェイス・ビービに負けて、練習に来なくなってしまったんだ。それからしばらくして、僕の方にもWECから連絡があった。ボードッグとはカナダでライアン・ディアズ戦を含め、3 度も試合がキャンセルされた。僕は家族を養っていかないといけないのに、時間とお金を失っただけだった。WECから連絡があって本当に良かったよ。WECは北米だけでなく日本、そしてブラジルからも実力者が集まっている。今、僕のウェイトでは一番タフなプロモーションになっていると思うよ」

――ハニ・ヤヒーラ、ウィル・ヒベイロというブラジル人は手強そうですね。

「どっちと戦っても、僕はエキサイティングな試合になると思う。楽しみだよ」

――日本では山本KID徳郁選手が、バンタム級で戦っていきたい、WECのチャンピオンと戦いたいと公言しています。

「彼はユライアと戦いたいって言っていたよね。KIDヤマモトは本当に強いファイターだ。修斗で戦っていた頃から、とんでもなく強かった。そんな彼が僕の階級になり、僕を意識してくれるのなら嬉しいね。WECは世界のベストファイターが揃っているから、KIDもWECにやってきてほしい」

――KID選手と戦うなら、WECで戦いたいということですか。 日本ではなく。

「ファイトマネーが高い方で戦いたいよ。それが僕にとって、良い場所っていうわけさ。どうせなら、最も自分の価値を認めてくれる場所で戦いたい。ファイターなら誰もが、そう思うはずだよ」

――TUFでUFC人気が爆発しても、UFCにはトーレス選手の階級はありませんでした。MMA人気が高まるなかで、あまり注目されない軽量級にいて、MMA人気の上昇する様子をどのように捉えていましたか。

「僕の階級もいずれ脚光を浴びる。そう信じていた。だから、MMAをやめようとかそういう風に思ったことは一度もないよ。現実を見つめつつ、希望を失うことはなかった。僕が初めて試合をしたのはバーの中で、たった10人ほどの観客しかいなかった。それが20人になり、40人になり、どんどん増えてきた。そんなファンに満足してもらうよう、僕も戦ってきたつもりだ」

――このビジネスの好調さを背景にすぐに大金が手に入ると思い、また口にするファイターも少なくないですが、トーレス選手はビジネスになる以前のMMAを肌で知っているわけですね。

「バーで戦い、ジムで戦い、公共の体育館で戦ってきた。そして、とうとうナショナルTVでライブ中継される大会、1万2000人のファンの前で戦うことができた。すぐにそういうステージで戦えるほうが良いと思う人間もいるだろうけど、急ぎすぎてはダメだ。一気にたくさんのプレッシャーを感じると、自分を失うことになる。いろいろ経験してきて、今、この場所に立っていることを幸せに思うよ」