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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN63 キック コルビー・コヴィントン ジョアキン・バックリー

【UFC ESPN63】バックリーがコヴィントンを流血→ドクターストップに追い込んでTKO勝利

<ウェルター級/5分5R>
ジョアキン・バックリー(米国)
Def.3R4分42秒 by TKO
コルビー・コヴィントン(米国)

サウスポー同士の両者、バックリーがジャブから前に出る。コヴィントンも上体を低くしてハイキックを蹴る。バックリーが距離を詰めると、コヴィントンは右の前蹴り。バックリーは細かいジャブから前に出て、コヴィントンもジャブを返してテイクダウンを仕掛ける。距離が離れるとバックリーがジャブを突いて左フック、インローからパンチにつなげる。

さらにコヴィントンがダブルレッグに入ろうとすると、バックリーは右アッパーを突き上げて離れる。この攻防でコヴィントンが右目尻を大きくカットする。バックリーがサイドキックと右ミドル、ワンツー、右ハイと右サイドキック、右ストレートから右ボディディと手数を増やす。コヴィントンもワンツー。右ジャブからバックリーを追いかけるが、バックリーは距離を取る。

バックリーはブロックとバックステップでコヴィントンのパンチをディフェンスし、コヴィントンの右ハイをブロックして右フック、左ストレートからパンチをまとめる。コヴィントンは右ミドルを蹴って、ジャブからワンツー。ダブルレッグでバックリーをケージまで詰める。腕を一本差して切ったバックリーはコヴィントンをがぶって離れる。

試合がスタンドに戻るとバックリーはコヴィントンの頭が下がったところに右フックから左ストレート、右アッパー、左ハイを蹴って前に出る。さらにコヴィントンの右ハイをブロックして右フックを返すと、これでコヴィントンが尻餅をついてガードを取る。

2R、コヴィントンがワンツーと右フック、右ミドル。バックリーはジャブを突いて右ミドルを蹴る。さらにバックリーの組みを切ると右のパンチを連打。距離が離れると右ボディ、コヴィントンがパンチで来るところに右アッパーを合わせて左フックを返す。コヴィントンはワンツー。ダブルレッグでバックリーをケージに押し込むと尻餅をつかせる。

コヴィントンはバックリーの背中をマットにつけさせてサイドに出ると、バックリーは足を戻しつつ半身になって立ち上がる。コヴィントンはバックリーのヒジを取って寝かせようとするが、バックリーが立ち上がる。試合がスタンドに戻るとコヴィントンは右ミドル。バックリーはワンツー、ジャブから右ハイとサイドキック、シングルレッグも見せる。さらにバックリーはジャブと左ロー。コヴィントンは左ストレートで飛び込む。バックリーはジャブでコヴィントンを下がらせる。

3R、コヴィントンがすぐにダブルレッグに入り、試合がスタンドになると両手のガードを上げる。バックリーはジャブからボディにパンチをまとめ、このジャブから右ハイへ。コヴィントンは回転しての右ハイキック。バックリーが左ストレートから右フック、コヴィントンのテイクダウンを切ってハーフガードで上になる。ここからバックリーがすぐにマウントを取るが、コヴィントンの反転して逃げる。

このまま立ち上がるコヴィントンだが消耗が目立つ。逆にバックリーがワンツー。再びコヴィントンのテイクダウンを切って上になると、亀になるコヴィントンをがぶる。このままコヴィントンを寝かせて上になったバックリーがパンチとヒジ。コヴィントンも亀になって必死にバックリーの足に組みつき、バックリーがバックをとりつつ三角絞めへ。頭を抜いたコヴィントンがインサイドガードでトップキープする。

バックリーがケージを背にして立ち上がると、コヴィントンはダブルレッグへ。バックリーは右手を差し上げて、コヴィントンのテイクダウンを切る。ここで両者距離が離れるとコヴィントンにドクターチェック。顔を血で真っ赤に染めるコヴィントンにストップが告げられ、バックリーがTKO勝利を収めた。これでバックリーは6連勝となった。

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【UFC ESPN63】オクタゴン3戦目、元K-1戦士ヌットソン「打撃を避ける相手に対して、私の打撃を見せる」

【写真】最後の一言、涙ものです(C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)、2024年のUFC最終戦=UFC on ESPN63「Covington vs Backley」がフロリダ州タンパのアマリー・アリーナで行われヨセフィン・ヌットソンがピエラ・ロドリゲスと対戦する。
text by Manabu Takashima

K-1女子フライ級GP準優勝。ワールドクラスの立ち技ファイターから、MMAに転向。UFCでも2連勝中のヌットソンは、その頭抜けた打撃力があるがゆえに、UFCで秀でた打撃能力を見せることができていない。

それがMMA。そして彼女は、そこを十分に理解するファイトIQの持ち主だ。そんなヌットソンが、MMAファイターとしての成長を誓ってオクタゴンに足を踏み入れる。その意気込みを日本のファンを思う優しさを持った言葉とともにお伝えしたい。


――オクタゴン3戦目が控えているヨセフィンです。

「もう準備はできているわ。前回の試合から、あらゆる面で成長しているからそこを見て欲しいと思っている」

――6月のジュリア・ポラストリ戦はクラシカルなストライカー×グラップラーの対戦となり、トップからのパンチとヒジで流血。判定勝ちを収めましたが、簡単な試合ではなかったです。

「私自身、あの試合の動きには満足できていない。もっとディフェンスできたはずだし、それも分からずに戦っていた感じだったわ。彼女はテイクダウンが強い相手だったけど、もっとスプロールしてスタンドで戦えたはず。あの日の私は、私ではなかった。

3月から6月に試合が延期され、対戦相手も変わった。私は背中に問題を抱えていて、気持ちも後ろ向きだたった。体も気持ちも万全じゃないという状況で、気持ちだけでもしっかりと創らないといけなかった。だからこそ、今週末の試合ではもっとデキる自分でいたい。しっかりとテイクダウン・ディフェンスも見せないとね」

――納得のいく内容でないのに、勝てた。それは本当に大切なことだと思います。

「そうね。納得できないけど、勝利を持ち帰るという最低限の成果はあったし。でもMMAほど何が起こるか予測できないファイトはない。全てにおいて対応できなければ、良い試合はできない。私と戦う相手は、ほぼほぼ打撃は防御に徹して組む機会を伺っている。そういう相手と、ファンが喜ぶ試合をするのは簡単じゃないけど、そこを目指して戦っていたい。繰り返しになるけど、前回の試合は最低限の成果を上げることができた。そういうファイトだったわ」

――スタンドでやりあう時と、グラウンドで凌ぐ時。スタミナの消費の仕方も違ってくるのではないでしょうか。

「それこそ、もっとも気をつけている部分ね。組み技で力を使い過ぎないでいられれば、私のゲームはもっと上達する。打撃は当然として、組み技でも自分のレンジで戦う時は、引き出しも多い。そのレンジ自体、MMAでもボクシングよりもキックの方が良い距離だと感じる時もある。でもね、技術や戦略を突き詰めていけばいくほど、最後は自分の気持ち次第。そう感じているわ」

――キックの距離という話がありましたが、MMAの距離は背が高く、リーチの長い選手が創りやすいイメージがあります。真正面に立って、拳が届く距離に常にいるのではないので。

「私のボクシングの距離は、相手もテイクダウンに入りやすい。それは理解しているわ。そして、私の相手はグラウンドで戦うことを一番に考えて戦っている。前回の試合も、もちろんそうだった。反対に私は常に立って戦い続けることが大切で。だから毎試合、ディスタンスコントロールには細心の注意を払っている。ファンもずっと私が背中をマットにつけているより、立って戦うほうがエンジョイできるわけだし。

テイクダウンをされて背中をつけても、十分に戦える。そこを恐れることはないわ。でも、それはマイ・ワールドではない。私の方から寝技で戦うことはないのだから」

――次の試合も、ロドリゲスはテイクダウンを狙ってくると踏んでいますか。

「イエス。彼女はボクシングもできるけど、打撃は私の方がずっと速い。それは彼女も分かっているはず。振り回すようなパンチを見せて近づき、テイクダウンを狙ってくる。彼女の打撃はテイクダウンにいくためのフェイク。私とスタンディングバトルを楽しむつもりはないはずよ。

その粗い打撃を私が意識しすぎて、やり合おうとするのを待っている。そこでテイクダウンを狙うために。あまり固定観念を持って戦いたくないけど、彼女が接近戦で打撃を続けることはないはずよ」

――ロドリゲスはコンテンダーシリーズ以前の方が、スタンドに関わらずグラウンドでもアグレッシブでした。UFCでは足を広げて、重心を低くして構えています。最初から相手の攻撃を見る態勢にあるように見えます。

「あの構えだと蹴りは使えないし、パンチも力は入らない。時折り、思い切り前に出てきて攻撃を纏めポイントを得るファイトになっている。グラウンドでも、抑えてコントロール中心で。とにかく危ない局面にならないよう、少し有利という戦いを心がけている。私がすべきことは、そんな戦いだと勝てないと思わせることね。

あのラッシュが、私と戦うならテイクダウンをするため。私とやりあうつもりはない。以前のようにスタンドでアグレッシブになると、私のチャンスは広がる。そういうところに追い込みたいけど、それで今の彼女がリスクをおかして攻めに転じるのか。まぁ、私がやることは変わらないわ。テイクダウン狙いを切って、スタンドゲームを続けること。

そのために自分の力がだしやすい距離を掴むこと。自分のサイズに合った間合いをね。それができれば、対戦相手云々でなく自分の戦いをして勝つことができるから」

――これからトップ10、トップ5を目指すうえで、今回の試合で何を見せないといけないと思っていますか。

「勝つだけでない。皆の記憶に残る試合をする。でも、実はファンやプロモーターよりもチームの目の方がプレッシャーになっているの(笑)。チームの皆は私の力が分かっている。でも私が力を出し切れていないことに、ストレスを感じているみたいで。チームの期待に応えないといけない。そのプレッシャーは何に対してよりも強いわ。

だからこそ、皆のサポートでハードトレーニングをして身に着けた力を出し切りたい。私のゲームを徹底する。そうすれば相手の流れになった時も、力は出せる。そうなると、皆は私のフル・ポテンシャルを見ることになる。

誰も私と打ち合わない。それでも、私の力を見せる。真っ向勝負をせずにテイクダウンを狙い、打撃を避ける相手に対して、私の打撃を見せる。それがMMAファイターとして、成長した証明になるから。どの局面でも、私が試合をコントロールする。フロアもウォールも使って、私のMMAを戦うわ」

――ヨセフィン、力強い言葉です。ポテンシャルをフルに発揮できる試合になること楽しみにしています。

「ありがとう。あと、一つ質問があるんだけど?」

――ハイ。K-1の行方ですか(笑)。

「違う、違う。来年、日本でUFCがあるって聞くんだけど。実際にはどうなのかなって」

――それは……期待は高まっていますし、根拠のある話も伝わってきます。それでも正式発表があるまで、何とも言えないのが実情かと。

「そうなのね……日本でUFCがあるなら、絶対に戦いたい。K-1とUFCの両方で、日本で戦ったファイターになりたくて」

――そうなると女子では初めてのケースですね。

「それに……例え私の試合が組まれなくても、日本のファンはUFCが戻ってくることを凄く楽しみにしているだろうし。その場で戦えたら最高だけど――。凄く出たいけど、出られなくても良いから、日本のファンが待ちわびているUFC日本大会が実現してほしい」

■視聴方法(予定)
8月25日(日・日本時間)
午前9時00分~UFC FIGHT PASS
午前8時45分~U-NEXT

■UFC ESPN63対戦カード

<ウェルター級/5分5R>
コルビー・コヴィントン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<フェザー級/5分3R>
カブ・スワンソン(米国)
ビリー・クゥアンティロ(米国)

<フライ級/5分3R>
マネル・ケイプ(米国)
ブルーノ・シウバ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダスティン・ジャコビー(米国)
ヴィトー・ペトリーノ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R
ダニエル・マルコス(ペルー)
エイドリアン・ヤネツ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ナバホ・ステーリング(ニュージーランド)
トゥコ・トコス(英国)

<ライト級/5分3R>
マイケル・ジョンソン(米国)
オットマン・アザイタル(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
ドラッカー・クローズ(米国)
ヨエル・ロドリゲス(スペイン)

<フェザー級/5分3R>
ショーン・ウッドソン(米国)
フェルナンド・パディーリャ(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
マイルス・ジョンス(米国)
フィリッピ・リマ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
アマンダ・マーヴェリック(米国)
ジェイミーリン・ホース(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
デイビー・グラント(英国)
ラモン・タヴァレス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(コロンビア)
ヨセフィン・ヌットソン(スウェーデン)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 カマル・ウスマン キック ジョアキン・バックリー スティーブン・トンプソン

【UFC307】プレッシャーをかけ続けたバックリーが、ジャンプイン&右フックでワンダーボーイをKO

<ウェルター級/5分3R>
ジョアキン・バックリー(米国)
Def.3R2分17秒by KO
スティーブン・トンプソン(米国)

サウスポーのバックリーに対し、左回りのトンプソンはワンツーに組みつかれてダブルレッグでテイクダウンを許す。トンプソンはケージを使って立ち上がると、ワンダーボーイ・チャントの後押しを受ける。右を振るって離れたバックリーが圧を掛けるが、トンプソンはワンツーで前に出る。スリップしたバックリーが立て直し、トンプソンがハイキックを狙う。ステップインを捌き切れないトンプソンだが、右ミドルで距離を創ろうとする。構わず組んでケージにトンプソンを押し込むバックリーはボディを殴る。

このタイミングで回って距離を取り直したトンプソンは、バックリーの前進に右を合わせていく。バックリーはワンツーのコンビからダブルレッグで、テイクダウン。ヒザ立ちから起き上ったトンプソンをリリースも、常に圧をかける。回って外したトンプソンが右ハイキックを繰り出し、怒涛のダブルレッグ&ドライブにも倒されずに初回を戦い終えた。

2R、スイッチしたトンプソンが右リードフック、オーソに戻して右ショートのカウンターを繰り出す。スピニングバックキックをダッキングでかわしたバックリーが右を当てる。その右を振ってシングルに出たバックリーだが、頭部にエルボーを連打されて頭の位置を上げる。トンプソンは離れるが、ニータップで尻もちをつかされる。すぐに立ったトンプンに対し、バックリーはエルボーで流血に追い込まれているか。体を入れ替えてwんつー、離れて前蹴りのトンプソンが、カウンターで右を差す。バックリーの動きが見えてきたトンプソン、対して疲れたかバックリーの圧が弱まる。それでも左を当てたバックリーが、ワンツー、スリー&フォーで前に出て組みつくとバックに回る。

後方に倒さてたトンプソンが、即バックアップ。ここでバックリーのヒザが急所に入り、試合が中断される。直ぐに再開され、右ハイからサイドキックのトンプソンが、左ローを蹴る。と、手をマットについて左の蹴りを見せたバックリー。トリッキーな動きにもトンプソンは動じなかった。

最終回、すぐに前に出たバックリーが右フックから左フックを当てる。さらに右を振りながら前に出るバックリーに対し、トンプソンがハイキックを繰り出す。ケージに押し込まれた状態から脱したトンプソンは、右ハイをガードの上から蹴って行く。直後にパンチをふるいながらステップインしたバックリーが、まるでジャンプをするように飛び込んで右を放つ。この一発がトンプソンの顔面を捕え、勝負が決した。

勝者は「タイトルショットまであと1試合。カマル・ウスマンと戦いたい」と話した。


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【UFC307】ラストファイトへ、カーラ・エスパルザ「長い旅路の終わり。でも楽しむためにココに来た」

【写真】ファイトウィークとは思えない幸せな過ぎる家族の一コマ (C)MMAPLANET

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターで開催されるUFC307「Pereira vs Rountree」でカーラ・エスパルザが1年11カ月振りにオクタゴンに戻ってくる。
Text by Manabu Takashima

昨年9月に母になったエスパルザが、出産後に初ファイトをテシア・ペニントンと戦う。2度のUFC世界ストロー級王者は何を想い、母としてケージに足を踏み入れるのか。彼女の心境を尋ねたくインタビューを試みると、エスパルザは「この試合が最後」と話し、その心境を語ってくれた。


――カーラ、ZOOMの画面からトレーニングを終えたばかりに見えますね。

「そうね。ホテルの練習スペースで汗を流して、気分は爽快ね」

――少しZOOMに入ってくるのが遅れていたので、てっきり授乳中かと思っていました。

「アハハハ。練習をしながら、ファイトウィークになってもベイビーの世話をしているのは確かね(笑)」

――2022年11月以来のオクタゴンとなりますが、この間には昨年の9月に出産を経験しています。お母さんとなって、ファイトに戻ってきた心境を教えてください。

「最高ね。でも、本当に毎日が目が回りそうなほど大変で。強いファイターと、良き母の両立は大変だわ。でも、試合をするのだからやり切るしかないわよね」

――私の妻は3度出産をして、格闘家ではないですが出産の度に体の具合が変わると言っています。カーラの場合は、何かフィジカルの違いを感じますか。

「そうね、ファイターには細かいケガがつきものだったけど、いうと一晩休むと大丈夫っていうモノも今ではしっかりと体を休める必要が出たかなと思う。それが出産とどれだけ関係しているか、確かなことは言えないけど。私自身の体の変化は見られるわ」

――赤ん坊は泣きたいときに泣いて、時間の理念など吹っ飛んでしまった日々を思い出します。まさに忍耐の日々でした。

「ホントにその通り。ベイビーはベイビーに必要なことを、必要な時に私に求めてくるわ。ただ、私には凄くサポートしてくれる主人がいてくれて。そこは本当に助かっているから感謝の限りね」

――出産を経験すると、メンタルが強くなるということは?

「絶対的にね。何かハードなことがあっても、ベイビーが困難を乗り越えるモチベーションになっているから。この子の存在が私のメンタルを強くしてくれるし、ボディケアにも神経が行き届くようにしてくれているわ」

――その一方で日本の女性アスリートは妊娠を機に、現役を退くというケースが多かったです。

「私がこの子を授かった時、もうキャリアは15年を迎えていて2度のUFC世界チャンピオンも経験していたから、やり切った感はあったの。MMAにおける夢は達成したし、これからはベイビーと共に生きていこうと思ったわ。特にベルトを取り返した時に、はっきりと達成感を感じていたし。私の人生はネクストチャプターに入り、24時間ずっとこの子の母親でいようと思うようになったわ」

――もうベストファイターの座に戻ろうとは思わない?

「ノー。もう自分のキャリアには満足しきっているから、今が引退のタイミング。私は人生の第2章を歩むことにしたの」

――えっ、つまりは今回が引退試合ということですか。

「そうよ」

――スミマセンでした。全く知らなくて。それは……試合前ですが、おめでとうと言わせてください。

「ありがとう(笑)。そう、今が潮時よ。最高のタイミングで、最後の戦いに臨むことができるわ」

――最後にもう一度、母親になってから戦おうと思ったのは?

「そうね……妊娠をして、出産を経験して……でも、区切りをつけたかったのかもしれない。とにかく、土曜日の試合が私にとって最後のMMAになることは間違いないわ。そう、人生の区切りのファイトね」

――試合前からエモーショナルになることはないですか。

「もちろん。長い旅路を終えようとしているのだから。それは感傷的になるわ。でも、私はここに楽しみに来たわけで。息子の前で戦って、グローブをケージに置くまで全力で戦うわ。

もうMMAと一定の距離を置いて、家庭に入る。でも、時々セミナーとかできれば良いわね」

――実は昨年の春にチーム・オーヤマでトレーニングをしていた澤田千優選手が、たった2度だけカーラがトレーニングセッションに姿を見せてくれた時に受けた教えが凄く勉強になったと言っていました。そのカーラの知識をチーム・オーヤマで後進の指導に生かすことはないのかと。

「彼女とのトレーニングセッションは覚えているわ。私も凄く楽しかった。彼女もそうだし、他の選手にも何かを伝えることはできると思う。もちろん、チームメイトの役に立ちたい。役に立てるだろうし。でも、人生のプライオリティは良き母であること。だから常駐の指導者になることはないだろうし、さっきも言ったようにセミナーなんかで私の知識をシェアできれば良いかなと思っている感じね」

――今回の引退試合、カーラが全てを出し尽くしたファイトを楽しみにします。

「試合に出る限り、私のゴールは勝利を手にすること。最後の試合でも自分の手が挙げられるために戦う。テシアはリマッチで絶対に勝ちたいと思っているでしょうけど、今回も私が勝つ――絶対にね。これまで打撃を見せる機会が少なかったから最後の試合で、私のストライキングを見せることができれば楽しい時間になるかなって(笑)」

――素晴らしい意気込みです。引退試合の前にありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。私の現役最後の声を日本のファンに届けてもらえて嬉しいわ。2010年……私がデビューした年にメグミ・フジイと戦って以来、日本のファンが応援し続けてくれたことは本当に嬉しかった。長い間、ありがとう」

■視聴方法(予定)
10月6日(日)
午前7時30分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 F1 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 YouTube   アイリーン・アルダナ アマンダ・ヌネス アレキサンダー・ヘルナンデス アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イアズミン・ルシンド イホール・ポティエリア オヴァンス・サンプレー オースティン・ハバート カーラ・エスパルザ ケイラ・ハリソン ケトレン・ヴィエイラ ケヴィン・ホランド ジュリアナ・ペニャ ジョアキン・バックリー ジョゼ・アルド スティーブン・トンプソン セザー・アルメイダ ソルト タラ・ラロサ ティム・ミーンズ マイラ・ブエノ・シウバ マリオ・バウティスタ マリナ・ホドリゲス ミーシャ・テイト ラケル・ペニントン ロクサン・モダフェリ ロマン・デリツ 大成

【UFC307】TUF18以来、11年間も続く因縁に決着の刻。UFC女子世界バンタム級選手権ペニントン×ペニャ

【写真】オンナの意地が、世界の頂点を争う場で爆発。こ、こわい (C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターにて、UFC 307「Pereira vs Rountree」が行われる。アレックス・ポアタン・ペレイラがカイル・ラウントリー・ジュニアの挑戦を受けるライトヘビー級タイトル戦をメインとするこの大会のコメインは、新王者ラケル・ペニントンに元王者ジュリアナ・ペニャが挑戦する女子バンタム級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ペニントンは2018年5月、当時の絶対王者アマンダ・ヌネスに初挑戦するも終始圧倒され、5Rに背後からのパウンドでTKO負けを喫した。しかしこの敗戦が自分を見直すきっかけとなり、2020年6月から連勝を重ね、今年1月にマイラ・ブエノ・シウバとの王座決定戦に漕ぎ着けた。ここで相手の組技を凌ぎ主武器のパンチを当てて削ったペニントンは、5R判定3-0で激闘を制して新王座に就いた


対するペニャは、2021年12月にヌネスに挑戦。圧倒的不利という下馬評のなか初回の猛攻を耐え抜くと、2R突然雑になった王者の打撃にことごとくカウンターを合わせて大反撃に。怯んだヌネスに組みつき投げ倒すと、背後からチョーク一閃。世界を震撼させる大番狂わせを引き起こしてみせた

しかし8カ月後のリマッチでは、2Rに不用意にパンチで前に出たところにカウンターを合わされる形で3度のダウンを喫してしまう。その後も前に出続けたペニャだが、ことごとくヌネスにテイクダウンを合わされてしまい、5R判定で大敗して初防衛に失敗した。

2023年5月に予定されていたヌネスとの3度目の対決は、ペニャが肋骨を骨折してキャンセル。この時に代打のアイリーン・アルダナに完勝して防衛に成功したヌネスは、王者のまま引退を発表した。こうして空位となったタイトルを今年一月の決定戦でモノにしたのが、ペニントンというわけだ。

TUF18以来、11年間のドロドロ

今回が初対決となる両者だが、二人の因縁は11年前2013年に行われたTUFシーズン18シーズンまで遡る。この年初頭、UFCはロンダ・ラウジーを初代バンタム級王座に認定して初の女子試合を開催している。新設された女子部門の拡大を目論み、各チームに女性監督(ラウジーとそのライバルだったミーシャ・テイト)を迎えて女性選手たちを競わせるというはじめての試みが行われたのが、このTUF18だった。

予選を勝ちハウス入りを果たした8人の女子選手のなかで、チーム・テイトのドラフト1位に指名されたのがペニャ、3位指名がペニントンだった。ペニャはトーナメント一回戦にて、当時頭一つ抜けた実績&知名度を誇っていたベテラン、シェイナ・ベイズラーと1位指名対決に臨んだ。幾度となくテイクダウンを奪われても柔術流のスクランブルを駆使して動き続けたペニャは、突出した体力と圧力とアグレッシブネスをもってベイズラーを呑み込んでゆき、2Rにチョークで一本勝ち。

陽の当たらないところで長年努力を重ね、ついに大舞台で輝くチャンスを掴んだベテラン──日本流に「ジョシカク第一世代」とも呼べるだろう──を、新世代が若さと勢いで打ち砕く。あまりにも残酷かつ鮮やかに新時代の到来を象徴する一戦となった。

このシーズンにおいては予選でタラ・ラロサ、トーナメント一回戦&フィナーレでロクサン・モダフェリといったジョシカク勢も敗れ去り、時代の移り変わりを色濃く反映した。ただしモダフェリがその後階級を落として戦い続け、2017年には新設のUFCフライ級王座決定戦に出場、その後も2022年までUFCで活躍したことは特筆に値する。

閑話休題。

対するペニントンは、一回戦で長身のムエタイ使いジェサミン・デュークと対戦。デュークの強烈な前蹴りや膝や肘をもらいつつ、強烈なパンチを打ち返す大激闘の末に判定勝利を収めた。この試合はデイナ・ホワイト代表も絶賛し、ファイト・オブ・ザ・シーズンを受賞。「女性版フォレスト・グリフィンvsステファン・ボナー(※)」という声まで出るほど、今まで女子MMAに触れてこなかった層にその可能性を知らしめる試合とされた。

(※第一回TUF決勝のグリフィン×ボナーは、壮絶な殴り合いによってUFCの魅力を一般大衆に伝え、その後の人気爆発に大きく貢献したとされる試合。ホワイト代表は、30年を超えるUFC史上ベストバウト1位を聞かれた際には常にこの試合を挙げる。それほどその歴史的意義は高く評価されている)

素晴らしい内容の初戦を経て、決勝での対決が期待されたペニャとペニントンだが、ペニントンは試合前の右手の負傷の影響もあって準決勝で敗退。両者の対戦は実現しないまま、ペニャが準決勝&フィナーレともにその組み力を如何なく発揮して圧勝してシーズン優勝を果たしたのだった。(ペニントンはフィナーレの前座試合に出場してモダフェリに勝利

ちなみに両者は単にチームメイトというだけでなく、ハウス内の狭い二人部屋の二段ベッドの上下に陣取り生活を共にする仲でもあった。ペニャはこの種のリアリティショーの盛り上がりには欠かせない「自己中迷惑キャラ」を地で行く女性。常に自分の好きなように振る舞い、ハウス内の男女から煙たがられても一切気にせず、自分に向けられる非難を平然と他人に転嫁しては視聴者のヒートを誘っていた。

もっともシーズン序盤の二人は、(自分が同性愛者であることを公言し女性的な所作は好まない)ペニントンにペニャが「プリンセス風」メイキャップを施し、ドレスを着せてモデルウォークを教えるというコミカルな場面も見られ、関係は良好だった模様だ。

しかしペニントンはやがて、常に騒音を立て続けるペニャに耐えられなくなり本人に直接対峙する。が、ペニャは笑って「そんなことしてないわ」と全否定。呆れ気味のペニントンが「あんた精神安定剤が必要なんじゃない?」とこぼしても、ペニャは「私は至って冷静よ。みんな揃ってそうやって、私がしてもいないことを言って責め立てる嘘付きなのよ」と返したのだった。

とまれペニントンとペニャはともに、UFC女子部門の創設期にその未来を担う若手として登場し、先行世代を容赦無く打ち破り新時代の到来を告げた選手たちだ。そしてすっかり女子部門が確立した現在、11年の時を経てその頂点を──お互い30代半ばという円熟期に入った──二人が競い合う。オールドファンには感慨深い構図がこの試合には存在する。

当然両者とも11年前来の確執は意識しており、ペニントンは「あれからアイツと連絡を取ったことがあるかって? あるわけないでしょ。ジュリアナと同じ部屋に住むのは本当に苦痛だった」、「やっと11年前の話に決着を付けることができる」と語れば、ペニャの方も「ラケルは私がメイクしてあげたおかげで、彼女の生涯で最も美しい見た目になれた。なのにそんな私に感謝するどころか文句を言うなんて、なんて酷い人間なのでしょう。みんなで私の陰口を叩いて、私の生活を生き地獄にしたのはあいつらよ」とまったく譲らない。

さらにUFC女子勢では群を抜いたトラッシュトーク力を誇るペニャは、返す刀で(4月に鮮やかなUFCデビューを飾り、ペニントン×ペニャ戦の試合の勝者への次期挑戦者の有力候補である)ケイラ・ハリソンにも言及し「お注射はもうやめておきなさいね。今はやっていないだろうけど、アイツは昔は間違いなく打っていたわよね。昔ATTに練習に行った時にある人に言われたのよ『ATTの女子選手たちは、シャワー室でお互いにケツに注射を打ち合っているんだぞ』ってね」と、一部男性ファンの想像力まで掻き立てながら挑発してみせた。

当然ハリソンが「私は柔道で12歳の頃から検査を受けてきて、一度も陽性になったことはない。使っていないからよ!(次の対戦相手について聞かれて)別に誰でもいい。もっともそれがジュリアナなら喜んでタダで頭にエルボーを叩き込んでやるけどね」と反応すると、ペニャは「まあなんて怖い。典型的なロイドレイジ(ステロイドの副作用で激昂すること)の症状だわ!」と見事に切り返したのだった。

絶対女王ヌネスが去って話題が少ない女子バンタム級へのファンの興味を繋ぎ止めるのに、根拠など一切気にせず放言するペニャの口が一役買っていることは否定できない。

一方でペニントンとペニャのオクタゴンのなかでの振る舞い=パフォーマンスに目を転じると、試合はまずはパンチで突進して組みつきたいペニャとスタンド戦をキープしたいペニントンのせめぎ合いとなる可能性が高そうだ。前戦でペニャは、ワキを開けてパンチを振り回して前に出ては、ヌネスに面白いようにカウンターを合わされ何度も倒されている。が、ヌネスほどの圧倒的な破壊力の拳やリーチの長さを持ち合わせていないペニントンは、いかにペニャの突進を止めるのか。

ペニャが組みつくことに成功すれば、次はペニントンの安定したディフェンスを、いかにペニャが攻撃的グラップリングでいかに切り崩すかの攻防となる。

もっとも技術的なこと以上に、互いの精神と肉体のタフネスのぶつかり合いこそがこの試合最大の見どころだろう。女子有数の頑丈さを誇り、被弾するたびに倍打ち返しては相手を削り続け、体力&根性の判定勝利を重ねるペニントン。やはり被弾上等の恐れを知らぬ突進と、問答無用の組みの圧力とノンストップ攻撃で相手を呑み込んでしまうペニャ。引退したヌネス、下の階級のシェフチェンコやグラッソのような洗練された技術を持っていない両者だからこそ、あのハウスでの日々以来、お互いが歩んできた11年間の集大成をぶつけ合うような闘いを期待したい。

■視聴方法(予定)
10月6日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN56 キック ジョアキン・バックリー ヌルスルタン・ルジボエフ

【UFC ESPN56】約20㎝の身長差をはねのけ、バックリーがルジボエフを判定で下して4連勝

<ウェルター級/5分3R>
ジョアキン・バックリー(米国)
Def.3-0:30-27.30-26.29-26.
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)

身長178㎝のバックリーと196㎝のルジボエフ。サウスポーのバックリーに対し、ルジボエフが右の前蹴りを放つ。バックリーは離れた位置からジャブ、左で飛び込むチャンスをうかがう。ルジボエフはバックリーのステップインに右ストレートを狙う。バックリーがダブルレッグに入るタイミングで、ルジボエフが右のヒザ蹴り。バックリーがそのままテイクダウンを奪う。インサイドガードでトップキープするバックリー。一旦立ち上がると、ルジボエフもすぐに立ち上がる。

そこにバックリーは右フックから飛び込んでパンチをまとめる。ルジボエフもパンチをまとめて右のヒザ蹴り。先ほどと同じようにバックリーがダブルレッグでテイクダウンする。ガードポジションのルジボエフが下から腕十字を狙うと、バックリーが立ち上がる。試合がスタンドに戻ると、ルジボエフがバックリーのステップインに右ストレートを狙う展開が続く。バックリーがパンチからスピニングバックキックを放つも空振り。ルジボエフは二段蹴りを放つ。

2R、バックリーが前進して左ミドル、右ローを蹴ると、ルジボエフが右ストレートを合わせる。今度はルジボエフが右ミドルを蹴り、バックリーが蹴り足をキャッチするようにダブルレッグでテイクダウンする。ルジボエフは下からパンチを放ち、バックリーが立ち上がると蹴り上げ→立ち上がる。ルジボエフは右ストレートからパンチをまとめ、バックリーは左の前蹴り、右フックから距離を詰めていく。

ルジボエフはそこに右アッパーを合わせ、距離が離れると右ストレート・右の前蹴りを伸ばす。なかなか距離を詰められないバックリーだったが、ルジボエフをケージに押し込むと四つ組みからテイクダウンしてサイドへ。バックリーが鉄槌を入れ、マウントポジションを取ろうとするが、ルジボエフがガードポジションに戻す。バックリーがパンチを落とすと、ルジボエフがカウンターの腕十字を仕掛ける。

3R、バックリーが構えをスイッチし、ルジボエフは右カーフを蹴る。バックリーが構えを戻すとルジボエフワンツー、右ストレートで飛び込む。そこにバックリーが右フックを合わせ、追撃で右フックでダウンを奪う。パウンドで追撃するバックリー。ルジボエフも蹴り上げから後転して立ち上がる。ルジボエフは距離を取って右ストレート、右ヒザ蹴り、右前蹴り。バックリーは再びルジボエフの右ストレートに右フックを合わせ、そのままグラウンドで上を取り、一気にマウントポジションへ。

ここからバックリーがパンチとヒジで攻め込む。ルジボエフは半身になって、バックリーがバックを狙ったところで、ルジボエフが正対してインサイドガードでトップキープする。ルジボエフが右のパウンド、ハーフからヒジを落とす。バックリーも脇を差して起き上がるとスクランブルの展開からバックリーが上のポジションを取りかえす。

サイドポジションをとったバックリーがパンチを連打。ルジボエフも必死にガードに戻す。バックリーはパンチをボディと顔面にパンチを落とす、ここでルジボエフがグラウンド状態で顔面を蹴ってしまい、インターバルが与えられる。試合はスタンドで再開となり、ルジボエフの右ミドルにバックリーが右フックを合わせる。

ここで試合終了となり、ルジボエフのロングリーチに苦しんだバックリーだったが判定勝利を収めた。


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45 AB Cage Warriors JJ・オルドリッチ LFA MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN56 アラン・ナシメント アレックス・カサレス アロンゾ・メニフィールド エステバン・リビヴィクス カーロス・アルバーグ カーロス・キャンデラリオ コディ・ダーデン ザルガス・ズマグロフ ジェイク・ハードリー ジミー・フリック ジョアキン・バックリー スラヴァ・ボルシェフ タバタ・ヒッチ チェイス・フーパー チャールズ・ジョンソン テレンス・マッキニー デリック・ルイス ヌルスルタン・ルジボエフ ビリー・ゴフ ホドリゴ・ナシメント

【UFC ESPN56】果てなく続く生き残り合戦。ハードリー×ジョンソン、サバイブするのはどっちだ?!

【写真】平良達郎と鶴屋怜がいる階級は、どの試合も興味深いが――この試合は世界フィーダーショーの比較という点でも興味深い(C)Zuffa/UFC

11日(土・現地時間)、ミズーリ州セントルイスのエンタープライズ・センターでUFC on ESPN56「Lewis vs Nascimento」が開催される。2018年1月以来のセントルイスでのUFC、メインはイベントタイトルにあるようにヘビー級のデリック・ルイス×ホドリゴ・ナシメントが組まれている。
Text by Manabu Takashima

メインカードが7試合、プレリミが6試合と試合数が逆転した感もある大会で、注目なのはプレリミのジェイク・ハードリー×チャールズ・ジョンソンの一戦だ。


南アフリカのEFC、英国のCage Warriorsのフライ級王者からコンテンダーシリーズに挑んだハードリーは、まさかの計量失敗。それでもミッチ・ラポーソをRNCで一蹴し、UFCは契約という判断をした。体重オーバー勝利での契約は論議を呼んだが、ハードリーは「ダナの目が間違っていないことを証明する」と世界最高峰への戦いに臨んだ。

しかし、デビュー戦でアラン・ナシメントの組みに圧倒され判定負け。その後はカーロス・キャンデラリオ、マルコム・ゴードンをフィニッシュし調子に乗るかと思われたが、前戦ではコディ・ダーデンにフルマークの判定負けと波の乗り切れていない。

対してLFAフライ級王者からUFCにステップアップしたチャールズ・ジョンソンも――ハードリーが、異様にライバル視する――ムハマド・モカエフに完敗という形でオクタゴンでのキャリアを踏み始めた。

2戦目をザルガス・ズマグロフにスプリット勝利と競り勝ち、3戦目のジミー・フリックとのLFAフライ級王者対決を制したジョンソンだったが、ここから悪夢の3連敗を喫してしまう。

今年の2月に組まれた相手はデビュー以来17勝0敗のアマット・マクスンと、完全に土俵際にあったジョンソンは初回のダウンを跳ね返し、ショートのコンビとヒザ蹴りの連係で大逆転。生き残りに成功した。

とはいってもUFCの戦いは毎試合がトーナメント枠のないトーナメント戦が続く。未だ黒星先行のジョンソンと、ポテンシャルを発揮できない……あるいは、それが実力だったのかと判断を下されかねないハードリー。そんな両者の戦いは打撃と組み、両局面で削り合いが続くことが予想される。

フィニッシュ能力ではハードリーが上回るという見方もできるが、ジョンソンがマクスンに粘り勝ちした勢いを持続していれば、それこそハードリーは気持ちの勝負に持ち込まれるだろう。

また去年の8月に木下憂朔を下したビリー・ゴフ、再起を図るタバタ・ヒッチなど日本所縁のファイターも出場している。さらには勝っても負けてもフィニッシュ決着=テレンス・マッキニー、UFC在籍が13年となったアレックス・カサレス等々、中堅どころの豊富さが実感されるUFCセントルイス大会、だ。

■視聴方法(予定)
5月12日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS
午前4時30分~U-NEXT

■UFC ESPN56対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
デリック・ルイス(米国)
ホドリゴ・ナシメント(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジョアキン・バックリー(米国)
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)

<ライト級/5分3R>
ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)
マテウス・レンベツキ(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
アレックス・カサレス(米国)
ショーン・ウッドソン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)
ロベリス・デスパイネ(キューバ)

<ライト級/5分3R>
チェイス・フーパー(米国)
スラヴァ・ボルシェフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
テレンス・マッキニー(米国)
エステバン・リビヴィクス(アルゼンチン)

<女子ストロー級/5分3R>
タバタ・ヒッチ(ブラジル)
テシア・トーレス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
トレイ・ウォータース(米国)
ビリー・ゴフ(米国)

<フライ級/5分3R>
ジェイク・ハードリー(英国)
チャールズ・ジョンソン(米国)

<女子フライ級/5分3R>
JJ・オルドリッチ(米国)
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN54 キック ジョアキン・バックリー ヴィセンチ・ルケ

【UFC ESPN54】バックリーが多彩なパンチと蹴りで翻弄。引き込んだルケを2Rにパウンドアウト

<ウェルター級/5分3R>
ジョアキン・バックリー(米国)
Def.2R3分17秒by KO
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)

サウスポーのバックリーがアウトロー、ルケもインローと右ミドルを蹴り返す。バックリーも細かいステップから左ミドルとアウトローを蹴り、左ストレートから右フックを返す。ルケは右ストレートを狙いつつ、右ミドル。バックリーはそのミドルをブロックしてパンチを返す。

さらにバックリーは左ストレートから飛び込んでパンチをまとめ、ルケの右ミドルをキャッチして右フック。ルケも右ストレートをカウンターを狙いつつ、バックローの左ハイに右ローを合わせる。ケージをサークリングするバックリーに対し、ルケは前に出ながら右ミドル。バックリーが前に出てくると、ルケがシングルレッグを合わせ、バックリーをケージに押し込む形でダブルレッグへ。バックリーもケージを背負って倒れない。

2R、バックリーは右サイドキックとジャブ、ルケが右ミドルを蹴る。バックリーは左ストレートから右ボディ、左の飛びヒザ蹴りを見せる。ルケがインローを蹴ると、バックリーは左ボディストレートから右フック、左手を伸ばしたところから右フックと左ストレート、左インロー・ハイ、右サイドキックと手数を増やす。

ルケが前に出ようとすると、バックリーが左ストレートを合わせて返しの右フック。ルケの外側にステップするような左ストレートから細かいパンチにつなげ、右ローから左ハイ。ルケもダブルレッグに入るが、引き込むように下になる。バックリーが鉄槌を落とすと、ガードポジションのルケは両手でガードを固めて半身になる。バックリーは中腰になってパンチを連打し、ルケの動きが止まったところでレフェリーが試合を止めた。


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45 AB BELLATOR MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN54 アントン・トゥルキャリ アンドレ・ペトロスキー イボ・アスラン エリン・ブランクフィールド エルベウチ・バーンズ カイル・ネルソン クリス・ワイドマン コナー・マシューズ ジェイコブ・マルクーン ジュリオ・アルセ ジョアキン・バックリー セドリクス・デュマ チディ・ンジョグアニ デニス・ブズーキア ヌルスルタン・ルジボエフ ネイト・ランドヴェール ビル・アレジオ ブルーノ・シウバ マノン・フィオホ メリッサ・ガト ルピタ・ゴディネス ヴィクトリア・ダダコワ ヴィセンチ・ルケ ヴィルナ・ジャンジローバ 食事

【UFC ESPN54】ウスベキスタンMMAのパイオニア=ヌルスルタン・ルジボエフ「何かを残す」

【写真】セレモニアル計量には、ウズベキスタン国旗とともに臨んだ(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで開催されるUFC on ESPN54「Blanchfield vs Firot」。同大会にカザフスタン、キルギスに続き、中央アジアから台頭しつつあるウズベキスタン人ファイターのヌルスルタン・ルジボエフが出場し、メインカードでセドリクス・デュマと対戦する。
Text by Manabu Takashima

大会開催地であるアトランティックシティ近隣の大都市は、実は州を跨いだフィラデルフィア。ウズベキスタンMMA界のルジボエフは、現在フィラデルフィア在住でご当地ファイターということになる。フィラデルフィアに存在するウズベキスタン・コミュニティに支えられ、ルジボエフを65カ月振りにインタビューした。


――ヌルスルタン、2018年11月にキルギスで取材をさせてもらって以来、5年5カ月振りにインタビューできて凄く嬉しいです。

「あぁ、WEFでマルコス・ソウザと戦った次の日にインタビューをしてもらったね。覚えているよ(笑)」

──あの時、ヌルスルタンはUFCかBellatorファイターになってウズベキスタンのMMAを盛り上げたいと言っていました。そして今、UFCファイターになっています。

「サンキュー。あれから、僕も随分と場数を踏んできた。それと同じように、ウズベキスタンのMMAも成長してきた。あの頃、ウズベキスタンではMMAの大会も行われてもいなかったけど、今ではいくつかの団体があってイベントも定期的に開かれている。良い感じで成長しているよ」

──当時は国内に良い練習環境がなく、チェチェンで練習をしていると言っていました。その後、練習環境はどのようになっているのでしょうか。

「あれからウズベキスタンでもMMAの練習ができるようになっていたけど、3年前から米国にやってきてフィラデルフィアのマルコスMMAで、ジョアォン・マルコスの指導を受けているんだ」

──言葉、食事、習慣、随分とウズベキスタンと米国と違うと思いますが、困難なことはなかったですか。

「ペンシルヴァニアにはウズベキスタン料理のレストランもあるし、ウズベキスタンのコミュニティが、しっかりと存在しているので何も問題はない。今の練習環境を与えてくれたスポンサーにはとても感謝している」

──日本ではないですが、韓国のスウォンに中央アジアやコーカサスのファイターが集まって練習しているジムもありました。

「あぁアジスベク・ノロフのところだろう?」

──ハイ、そうです!!

「アジスベクはとても仲が良いんだ、普段から頻繁に連絡を取り合っている。彼もウズベキスタンを離れて頑張っている。ウズベキスタンでも練習環境は整いつつあるけど、僕と毎日練習したいと思う相手がいなかった。だから、米国で練習しようと思ったんだ(笑)。米国では1日に3部練をすることも可能だ。休んで、食べて、練習──その繰り返しの日々を送ることができる」

──そのような練習環境を経て、UFC2戦目を迎えます。今の気持ちは?

「全て順調に調整できている。3カ月かけて、しっかりと準備してきた。その全てを土曜日の夜に披露したいと思っている」

──では対戦相手の印象を教えてください。

「若いのに3度も、UFCで戦っている。良い選手だと思う」

──どのような試合をファンに見せたいと思っていますか。

「それは秘密だ。試合を見てほしい」

──どのような作戦かということでなく、どのような試合を見せたいのかを教えてもらっても良いですか。

「ケージのなかでは何が起こるか分からない。でも、何かを残したい。そして、ウズベキスタンに持っているフィットネスジムの皆に、この間の練習の成果を見せたい」

■視聴方法(予定)
3月31日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前7時30分~U-NEXT

■UFC ESPN54対戦カード

<女子フライ級/5分5R>
エリン・ブランクフィールド(米国)
マノン・フィオホ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
ジョアキン・バックリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
クリス・ワイドマン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)
セドリクス・デュマ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ビル・アレジオ(米国)
カイル・ネルソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
チディ・ンジョグアニ(米国)
リース・マッキー(アイルランド)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ランドヴェール(米国)
ジャマル・エマース(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
ジュリオ・アルセ(米国)
エルベウチ・バーンズ(米国)

<フェザー級/5分3R>
コナー・マシューズ(米国)
デニス・ブズーキア(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イボ・アスラン(トルコ)
アントン・トゥルキャリ(スウェーデン)

<女子フライ級/5分3R>
メリッサ・ガト(ブラジル)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ペトロスキー(米国)
ジェイコブ・マルクーン(豪州)

<バンタム級/5分3R>
エンジェル・パチェコ(米国)
キャオラン・ローラン(アイルランド)

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45 Brave CF MMA MMAPLANET o TOMA UFC UFC ESPN54   アントン・トゥルキャリ アンドレ・ペトロスキー イボ・アスラン エリン・ブランクフィールド カイル・ネルソン キック クリス・ワイドマン コナー・マシューズ ジョアキン・バックリー チディ・ンジョグアニ デニス・ブズーキア ヌルスルタン・ルジボエフ ネイト・ランドヴェール ビル・アレジオ ブルーノ・シウバ ボクシング マノン・フィオホ メリッサ・ガト ルピタ・ゴディネス ヴィクトリア・ダダコワ ヴィセンチ・ルケ ヴィルナ・ジャンジローバ 宇野薫 本田良介

【UFC ESPN54】ウィーン在住・熱血トルコ人ファイター、イボ・アスラン「俺はホンダが大好きだ」

【写真】ニックネームのTHE LAST OTTOMANは最後のオスマン帝国トルコ人という意味 (C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで開催されるUFC on ESPN54「Blanchfield vs Firot」。女子フライ級のエリン・ブランクフィールド×マノン・フィオホがメインの同大会で、興味深いUFCデビュー戦を迎えるファイターがいる。
Text by Shojiro Kameike

今から21年と1カ月前に宇野薫がBJ・ペンとライト級王座決定戦で引き分けたボードウォーク・ホールでオクタゴン初陣を迎えるイボ・アスランにとって、この一戦は2020年8月──コロナ禍の欧州でKSWに次ぎ、イベントを再開させたBRAVE CFのストックホルム大会でキャリア唯一の敗北を喫したアントン・トゥルキャリへのリベンジ戦となる。

世界最高峰での第一歩を示すファイトは、ただ敗北を喫しただけでなく個人的に想うところがありまくるトゥルキャリを相手の因縁マッチに。心からトルコを愛し、本田良介の人柄にベタ惚れのイボ・アスランの激熱・初インタビューをお届けしたい。


――イボ、まずバックグラウンドを教えてもらえますか。コンテンダーシリーズ出場時にグラフィックではトルコ国旗が見られましたが、BRAVE CFに出場していた時にオーストリア在住という説明もありました。

「僕はトルコのニーデで生まれた。イスタンブールから800キロメートル離れている小さな村だよ。7歳の時にオーストリアのウィーンに移り住んだ。両親がより良い職を求め、より良い生活をするためにトルコを離れたんだ。パスポートはオーストリアだけど、いつだってトルコを代表して戦っている。オーストリアは住んでいる場所に過ぎない。それに今ではイスタンブールとウィーンに拠点があって、頻繁に行き来しているよ」

──格闘技を始めたのは、オーストリアだったのですか。

「そうだよ。サッカーをずっとやっていて、年齢的にもまだアマチュアリーグに在籍していたけどプロを目指していた。自分でいうのもなんだけど、凄く上手かったよ(笑)。ただし、チームの他のメンバーは僕のように真剣にやっていなかった。僕はサッカーでも絶対に負けることが嫌で、常に勝ち続けたいと思っていたのに。対してチームメイトはパーティーを楽しんだり、必死にサッカーに取り組んでいなかったんだ。

そしてオーストリアでも有名なフットボール・アカデミーから勧誘されたのに、そのチームは僕の保有権を持っていると主張して移籍を許してくれなかった。『あと1年、ここにいろ』ってね。その時『クソ野郎ども。俺はもうこんなチームを辞めて、ただ自分のためだけに汗をかく』って宣言をして、ボクシングを始めたんだ」

──なんと(笑)……状況が状況であったとしても、そういう発言をするということはチーム・スポーツには向いていない性格だったのでしょうね(笑)。

「皆が僕のように規律正しく、しっかりとやるべきことに向き合っているのであればチーム・スポーツも好きだよ。でも100パーセント全力で取り組まない連中と、一緒にやっていくことが嫌だったんだ。同じゴールを見ていないと。何かをやるなら、100パーセント力を注ぐ。そういう性格なんだ。ボクシングは合っていたよ。自分が頑張れば、結果は出る。凄く楽しかった」

──なるほど。ただし人気ナンバーワン・スポーツで才能があったのに、勿体ないとも感じてしまいます。

「まぁ、ファミリーに流れる血のなせる業だろうね。父親は空手の黒帯だった。叔父や兄もファイターだ。父から今も言われているんだけど、僕は子供の頃に絶対にエレベーターに乗らず、階段を走って昇っていたそうなんだ(笑)。いつも体を動かして、エネルギーは発散していたようだ。そのエネルギーを燃やす場がサッカーからボクシング、そしてMMAに移り変わっていった。でも、その全てに100パーセントの力を注いできたことは絶対だよ」

──ボクシングからMMAに転向したのは?

「ボクシングをやりながら、レスリングも始めた。そこでグラップリングを知って、この3つの練習をしているのだから、MMAこそ自分が究める戦いだと思ったんだ」

──オーストリアに関しても、トルコに関してもMMAの普及具合が分からないのですが、試合前はどちらで練習をしているのでしょうか。

「イスタンブールではレスリングとグラップリングの練習をしている。場所も一カ所でなく、いくつかのジムを回ってね。ウィーンでは、HERO GYMにボクシングとキックボクシングのトレーナーがいて、彼らと練習をしている。試合が決まればMMAのトレーニングをするためにラスベガスのエクストリーム・クートゥアーでキャンプを張るんだ。最高のMMAコーチ、トレーニングパートナーが揃っている。試合前のキャンプは、ベガスで仕上げをしている」

──今回も試合前はベガスで調整したということですね。

「ベガスに入る前に、プーケットのタイガームエタイで最初のキャンプを行った。タイガームエタイで5週間、ベガスは4週間のキャンプだったよ。タイガームエタイでは多くの日本人選手を見かけたよ。1人、本当にナイスガイで凄く親切にしてくれる日本人もいたよ。ホンダだ。アイツは最高のヤツだよ、いつもニコニコ笑っていて。さっきも言ったように僕は何でも全力を尽くす。どのクラスだって力の限り練習をしている。ホンダもそうなんだ。しかも、アイツはそれが幸せでたまらないようで笑顔を絶やさない」

──本田良介選手ですね。私も昨年11月にタイガームエタイで会ったのですが、MMAファイター生活を心の底からエンジョイしていました。

「そのうえ、本気で僕を助けてくれた。あんな気持ちの良いヤツに出会ったのは始めてだよ。ホンダに会えて、本当に良かった。朝6時のランニングですら、嬉しそうにしているんだよ。全く理解不能だ(笑)。どうやって朝の6時から楽しそうに走ることができるんだ!! 彼の精神性に触れることができて、本当にハッピーだ。

僕は常に、誰よりも練習をしている。でもジムに行くと、絶対にホンダもいる。『お前、俺より練習しているわけないよな』って伝えても、『僕は君より練習しているよ』って笑っているんだ。タイガームエタイは広いし、ストレッチとかフィジカルはMMAトレーニング場とは違う場所を使うこともある。凄くクラスも多いし。でも、アイツは先にいて、僕が体を動かしている際中に違う場所に移動して、違う練習を始めている……。俺はホンダが大好きだ。

そうだこのインタビューを通して、彼に伝えてくれ。『ホンダ、マイ・フレンド!! すぐに会いたいよ』って」

──承知しました(笑)。ところでにこやかに本田選手について話してくれたイボですが、今週末にUFC初陣というとても重要な試合が控えています。改めて今の気持ちを教えてください。

「15年間のハードワークを経て、今ここにいることを神に感謝している。自分の能力を世界で一番の大会で、皆に見てもらいたい。凄くハッピーだ。家族、コーチ、練習仲間、そしてトルコの皆のために戦う。唯一のUFCトルコ人ファイターとして、9000万人の期待を背中に受け、我が国を代表してアントン・トゥルキャリを倒す」

──2020年8月にBRAVE CFで戦い、キャリア唯一の黒星を喫した相手へのリベンジマッチでもあります。

「2020年8月はコロナ禍でオーストリアではジムも閉められ、何もかも止まっている状態だった。外出も許されていなかったよ。練習環境は全く整っていなくて、簡単な状況ではなかった。どの大会もコロナでなくなり、バーのセキュリティで生計を立てていたけど、当然のようにバーやクラブも営業停止になっていた。

金がなかった。だから5日前のオファーを受けた。当時のマネージャーから連絡があり、僕が気になったのはファイトマネーの額と対戦相手だった。それを確認し、映像をチェックして戦うことを了承した。彼はアマチュアでも豊富な経験があることも調べた上で、動きを確認して戦うことにしたんだ。僕のレベルにないことは分かったから。

でも、そこからはドタバタ続きだった。オファーは100キロ契約で、僕は107キロ。5日間で100キロまでなら落とせるという判断をしたんだ。そうしたら向うから93キロにしてほしいという連絡があった」

──えっ……それは駆け引きですね。

「そうプレイが始まった。100キロと93キロは全く違う。でも、ファイトが必要だったから『99キロまでなら落とす』と返答すると、今度は『94キロだ』って言うんだよ(苦笑)。マネージャーを介して試合の直前まで、そんなやりとりが続いたんだ」

──確か98キロ契約で実施されたかと。

「発表は98キロだったけど、実際は97キロ契約だった。つまり5日間で10キロ落とした。あの試合はコンテンダーシリーズや米国で戦うためのオファーを待っていて、1年半振りの試合だった」

──よく、そこから3キロアンダーになって試合を受けましたね。

「金が必要だった。そんな状況でも序盤は、力強く動けたんだ。でもアゴ、鼻をケガし、カットもあった。結果、2Rに背中を見せてフィニッシュされた。『おめでとう。アントン』だよ。でも今回は全てが違う。本当の俺を見せてやる」

──言ってみると、最高の場所で自己証明できる機会を得たということですね。

「UFCがアントンと戦わせてくれて、本当に感謝している。4年間、アントンは俺から逃げ続けた。4年間だよ。『もう一度、戦おう』とポッドキャストや色々な手段を使ってアピールしたけど逃げ続けた。でも、もう彼は僕の前から逃げることはできない。土曜日の夜、ケージに入ると誰も彼を助けることはできない。誰も、ね。

ホーホホホホホ。土曜日は会場入りしてから、試合まで全てを楽しむつもりだ。UFCで戦うことは世界中のファイターにとって夢だ。UFCから配られたコスチュームに袖を通し、トルコ国旗を掲げてケージに向かう。アントンなんか気にしない。その瞬間を楽しみたい。最高のデビュー戦になるだろう。アイツのことなんて、どうでも良い。僕のトルコ人パワーの凄まじさを皆に見てもらう。皆が、目撃者になるんだ」

──イボ、本当に興味深い話をありがとうございました。最後に日本のMMAファンに一言お願いします。

「日本の皆の行動力が本当に好きなんだ。トルコを多くのジャパニーズガールズが訪れている。ただ、椅子に座って時間が過ぎるのは待っているんじゃなくて活動的だ。トルコにもオーストリアにも、日本人の友達がいる。その皆が本当に博学なんだ。MMAのことも知っているし、サッカープレイヤーのことも知っている。ゴルフにも詳しい。そして日本のファンは、凄く選手想いだと聞いている。そんなことは、オーストリアはありえない。日本のファンがUFCだけでなく、他の団体も含め全てのMMAをサポートしてくれていることに感謝している。いつか、日本を訪れて日本の皆と練習したい。ホンダ、一緒に行くぞ!!」

──(笑)。

「そうだ、僕の一番の夢が何か尋ねてくれなかったよね」

──ハ、ハイ。イボの一番の夢は何でしょうか。

「UFCイスタンブール大会を実現させることだ。もしUFCがイスタンブールで大会を開けば、スィナン・エルデヌ・スポル・サロフに2万人以上のファンが集まるはずだ。それが僕の一番大きな夢なんだ。1年半、時間が欲しい。僕がKO勝ちを続けることで、その時がやってくるだろう。インシャーアッラー」

■視聴方法(予定)
3月31日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前7時30分~U-NEXT

■UFC ESPN54対戦カード

<女子フライ級/5分5R>
エリン・ブランクフィールド(米国)
マノン・フィオホ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
ジョアキン・バックリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
クリス・ワイドマン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)
セドリクス・デュマ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ビル・アレジオ(米国)
カイル・ネルソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
チディ・ンジョグアニ(米国)
リース・マッキー(アイルランド)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ランドヴェール(米国)
ジャマル・エマース(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィルナ・ジャンジローバ(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
ジュリオ・アルセ(米国)
エルベウチ・バーンズ(米国)

<フェザー級/5分3R>
コナー・マシューズ(米国)
デニス・ブズーキア(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イボ・アスラン(トルコ)
アントン・トゥルキャリ(スウェーデン)

<女子フライ級/5分3R>
メリッサ・ガト(ブラジル)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ペトロスキー(米国)
ジェイコブ・マルクーン(豪州)

<バンタム級/5分3R>
エンジェル・パチェコ(米国)
キャオラン・ローラン(アイルランド)

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