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ONE169:第2試合・三浦彩佳 vs. マカレナ・アラゴン

女子アトム級。

本来ストロー級の三浦だが、ONE女子ストロー級が実質休止状態で、アトム級でのオファー。下の階級の試合をオファーするのもどうかと思うが、パンクラス時代ストロー級で体重オーバーしていた三浦が、水抜きなしのONEアトム級で計量をクリアしている。1月に平田樹との「新旧アーセンの彼女対決」でひたすらスタンドバックを取り判定勝ち。4月にジヒン・ラズワン戦が組まれたが相手の怪我で消滅。10月にスライドするも、ラズワンが計量をクリアできずまたも消滅している。34歳。

アルゼンチンのアラゴンはONE初参戦。MMAは昨年4月にデビューしたばかりで、ここまで3戦全勝の22歳。実績・経験には大きな開きがある。三浦同様柔道バックボーンで、三浦の得意技であるスカーフホールドアームバー(Vクロスアームロック)での勝利がある。

すぐにダッシュして詰めた三浦。シングルレッグ。しかし脇を差して投げるアラゴン。小手を巻いた三浦だがアラゴンが投げてテイクダウン。サイドを取ったアラゴンだが、三浦は下から首をアラゴンの首に巻いて早くもVクロスへの展開の準備に入る。体勢が変わり立ち際にヒザを入れたアラゴン。組んだ三浦、得意の首投げ。こらえるアラゴン。首を巻いてなおも寝かせようとする三浦。亀のままこらえるアラゴンに、三浦リバースVクロスを狙う。決まらないが引っくり返して得意の袈裟固めに。Vクロスアームロック。こらえているアラゴンだが、しっかり組み直して極めるとタップ!

得意技で完勝。試合後、チャトリCEOから5万ドルのボーナスが送られる。

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【ONE169】試合キャンセルから1カ月後のアラゴン戦へ。三浦彩佳「まだ私に需要があるんだとプラスに」

【写真】「今年は大変な1年でしたけど、報われるものにしたいです」と笑顔で語る三浦(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE169で、三浦彩佳がアルゼンチンのマカレナ・アラゴンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

三浦にとって2019年のONE参戦以降、特にコロナ禍を経て2020年からは苦難が続いた。今年に入っても1月の平田樹戦からONEアトム級に転向し、2度のジヒン・ラズワン戦のキャンセル――そんななかでアラゴンとの試合が決まった三浦が、ONEアトム級で見出した光明とは。


――MMAPLANETではタイ入り直後にインタビューし、計量後にもコメントをもらってアップする予定でした。そこで試合中止というニュースが入り、三浦選手に連絡すると「怒りのミーティング中です」との返事があって『何が起こっているのか!?』と思いました。

「アハハハ! そうでしたね」

――公式発表は「ラズワンがハイドレーションテストをクリアできず、三浦彩佳との試合は中止」というものでした。計量当日、どのような状況だったのか教えてもらえますか。

前回は入国直後にインタビューを受けてくれていた三浦。計量後にアップ予定だったが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

「まず私が計量をパスして、リカバリーに入ったんですよ。その間、トレーナーの堀江(登志幸)さんが計量会場に残ってくれていました。私はラズワンも計量をパスするだろうと思っていたけど、『ラズワンは体重もハイドレーションもオーバー』と聞いて……」

――最初はラズワンが両方ともクリアできなかったわけですね。

「はい。私は『えっ!?』という感じでした。そこで正直——私はラズワンに対して怒りを覚えてしまったんですよ。前回は怪我でキャンセル、今回は計量オーバーって……。

4月のキャンセルも、発表後にラズワンがSNSにラズワンがSNSに『これなら試合できただろ』と思えるような投稿をしていたんです。キャンセルの理由は怪我だったけど、体重が落ちなかったんじゃないかとも考えてしまいますよね」

――実際のところは分かりませんが、そう疑われても仕方ない面はあるでしょう。ラズワンは3月の澤田千優戦でも計量オーバーでしたし。

「それで私は気持ちを揺さぶられたくないと思って、堀江さんと長南(亮TRIBE代表)さんにリカバリーに専念します』と、その場を離れました。でも2時間リカバリーして食事も終えたあと、『ラズワンが体重は落とせていたけど、尿を提出できなかった。ラズワンは失格で、この試合は中止となる』という情報を、SNSで視たんですよ」

――……えっ!? 対戦相手に連絡する前にSNSで発表したのですか。

「……いろいろと衝撃的すぎました。日本に帰ってきてからは普通に過ごしましたけど、当日はホテルで大暴れしましたよ。『こんなに人って怒れるんだ』っていうぐらいに(笑)。

私としては前回、すごく調子が良かったんです。全てを研ぎ澄ますことができていて、長南さんもそれを信じて『やっと試合ができる』と喜んでくれていました。自分は人生を賭けてONEに来ている。もともとはONEでいえばストロー級なのに、アトム級に落としている――という、いろんな感情があって大暴れしましたね」

――その時の状況を想像するのも怖いです(苦笑)。

「アハハハ。もうあの場にもいたくなかったので、すぐ飛行機の便を変更してもらい、帰国しました」

――結果、自身が出場する大会を日本で視聴していたそうですね。あの時、冷静に大会を視ることはできたのでしょうか。

「落ち着いていましたけど、ちょっと変な感じはしましたよね。本当に何とも言えなかったです。でもすぐに試合を組んでくださって、帰国してすぐにファイトキャンプに入った形になりました。ここまでドタバタな1カ月でした(笑)」

――ラズワン戦に向けて「すごく調子が良かった」とは、それだけONEアトム級への減量も順調だったのですね。

「順調でした。『もともとアトム級なんじゃないか』って言われるぐらいで。それはもう本当にトレーナーさんのおかげです。私自身もすごく勉強になりましたし」

――初のONEアトム級戦であった、1月の平田樹戦よりも遥かに良かったのですか。

「遥かに――そうですね。遥かに良かったです。これは今だからこそ言えますけど……あの時は試合が決まってから、毎日お腹を壊したり、胃が痛かったりして。試合直前まで、いろいろありました。『こんなに苦しい試合ってあるんだろうか』と思うぐらい。それを乗り越えることができたのは自信になりました」

――なるほど。以前なら2度も試合をキャンセルされたら、ずっとモヤモヤした気持ちが残るタイプだったように思います。それは成長といえるのでしょうか。

「今日はまだ文句を言いいましたけど(笑)、もうラズワンのことは相手にしていません。なるべく記憶からなくすようにしている、と言いますか。それもONEがすぐに試合を組んでくださったおかげで、感謝しています。ラズワン戦がキャンセルになったあと、現地でも『すぐ試合を組む』とは言ってもらえていました」

――これまでONEで試合をし続けるなかで、様々な苦難がありました。しかし今回それだけのフォローをしてもらえたとは、嬉しいことではないですか。

「ありがたいですし、実はラズワンに勝ったら今後はこう――という提案も頂いていて。私が階級を落とすことで対戦相手の幅も広がったでしょうし、そういう提案を頂くことができているのは、『まだ私に需要があるんだ』と気持ち的にはプラスになりました」

――需要がある。つまり試合が組まれるということは、一番安心できる材料でしょう。

「はい。現地で提案を頂いた時は、『今はラズワン戦に集中します』と答えました。結果的に試合がなくなり――でも、すぐにファイトキャンプに入って。これが今年4回目のファイトキャンプなんですよ。この年齢(現在34歳)になっても、まだ自分を作り上げることができる。それもプラスになっています。……ということも、試合に勝ってから言えることかもしれないですけど、私は勝つと信じてやっているので」

――次の対戦相手、アラゴンはONE初戦で情報も少ないかと思います。

「情報はあまりないですね。柔道がベースで、MMAの試合ではアヤカロック(スカーフホールド・アメリカーナ)をやっている映像は視ました。

柔道ではアルゼンチン代表になっているみたいですけど、正直実力は分からないですね。まだMMAでは3戦しかしていなくて、そこは私のほうが場数は多いですし。MMAでは私のほうがいろんな経験をしてきていると思いますし、全てにおいて圧倒したいです」

■ONE169 視聴方法(予定)
11月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE169 対戦カード

<ONE世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
[挑戦者] ウマウ・ケニ(セネガル)

<ONEムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジェイコブ・スミス(英国)

<ONEキックボクシング女子世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者] ジャッキー・ブンタン(米国)
[挑戦者] アニッサ・メクセン(フランス)

<フライ級((※61.2キロ)/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
タギール・カリロフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<キック・ストロー級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
エディ・アバソロ(米国)
モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)
ヴァウテル・ゴンサウベス(ブラジル)

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【ONE FN25】ハイドレーションをパスするために、体重超過のバンマードォーチーが話していたこと

【写真】その端麗な容姿を褒められると、照れたようにお礼の言葉を発する。実はシャイかもしれないバンマードォーチーだった(C)ONE

5 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night25。三浦彩佳の対戦相手のジヒン・ラズワンがハイドレーションがパスできず試合が中止になり、ムエタイでも同様に1試合がキャンセルに。他にもハイドレーションをパスすると体重がリミットまで落ちない選手が2名出るなど、ONE計量=ハイドレーションの効果が薄まる中で、その数値で是非を決めるシステムにほころびが感じられつつある。
Text by Manabu Takashima

そのハイドレーションをパスするために、体重オーバーとなった1人がダニエル・ウィリアムスと対戦するバンマードォーチーだ。中国のイケメンファイターは、実に15カ月振りの実戦となる。驚いたことにロングレイオフには、映画出演が関係しているというバンマードォーチーに話を訊いた。


――バンマー、今週末にダニエル・ウィリアムスと対戦します(※取材は2日に行われた)。ところで去年の7月にヴァウテル・ゴンサウベスに勝利して以来、15カ月振りの試合となります。これだけの間、試合をしなかったのは何か理由があったのでしょうか。

「ONEからは一度オファーがあったけど、体重が落とせないから断ったんだ。今年に入ってからは、しっかりと練習はしたけど……ちょっとしたことがって試合からは遠ざかってしまっていた」

──ちょっとしたの詳細を尋ねることは控えますが、体重が落ちないから試合を断ったというのはショートノーティスでのオファーだったのですか。

「そうだね、カタール大会の3週間前だった。ちょうど映画の撮影が終わったばかりで、あの期間で体重の調整は難しかった」

──映画に出ていたのですか!!

「そうなんだ、中国で最初のボクシング世界王者になった人物を題材とした映画に出演していたんだよ」

──バンマーはどのような役を演じていたのでしょうか。

「主役だよ(笑)」

──えぇ、バリバリのムービースターではないですか。

「そうかもしれないね(笑)。他にも映画出演はしているし、TVにも出ている。でも、僕の目標はチャンピオンベルトを巻くことで銀幕のスターになることではない。MMAで成功したいんだ。

なぜ僕が映画に出たり、TV番組に出演できてより大きな額の報酬を手にできるのか。それは僕がMMAファイターだからだよ。監督やプロデューサーがMMAの試合を通じて僕のことを知ったのだから。MMAファイターだから、この機会を手にすることが可能になった。8歳からやってきたMMAこそが僕の人生。漢として、MMAやマーシャルアーツでキャリアアップすることを諦めたくないんだ。

それに映画界やTV業界で活動したことで、僕は人として成熟できた。ムービーワールドとMMAワールドは関わっている人間が違う。本当に違うんだ。彼らと会話したり、現場の様子をこの目で見て違う世界を知ることができた。僕の試合を通してMMAを知った人もいる。責任感が増したよ」

──なるほどです。この間、バンマーが所属するエンポ―・ファイトクラブ所属のスムダーチー、イー・チャアやロンチュウというファイター達は上海や米国で練習するようになっていますが。バンマーは、ずっとエンポー・ファイトクラブでトレーニングを続けてきたのでしょうか。

「そうだね。エンポー・ファイトクラブでの練習は、良い指導者に恵まれているし満足している。ただ、この試合後は、僕も新しい技術を身に着けるために米国で練習しようかとも考えているよ」

──では、ダニエル・ウィリアムスの印象を教えてください。

「素晴らしいストライカーだ。これまでもストライカーを相手に、良い試合をしてきた。それに僕の友人のツオロンチャアシーに勝っている。同時に僕も打撃には自信を持っている。この試合は互角の展開になるだろう。技術的にも、互角だと思う。ただ、この試合はMMAだからね。打撃だけでなく、グラップリングでも華麗な動きを披露したい。MMAの神髄とは何かが分かる。そんな試合になるだろう」

──ところでDJが引退をしました。フライ級王座を巡っての戦いは激化するかと思います。

「DJはいつだって僕のアイドルだった。大好きで、本当に尊敬していたんだ。DJの試合から学ぶことは本当に多かった。なぜ引退するのか驚いたよ。今も完璧なアスリートなのに……。ただ僕に関しては、この試合が終わるとストロー級に戻そうと思う。今年になるのか、来年になるのか分からないけど次の試合はストロー級で戦うつもりなんだ。ストロー級の黄金のベルトが僕のゴールだ」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後8時45分~U-NEXT

■放送予定
10月5日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■対戦カード

<ONEキックボクシング世界ライト級選手権試合/3分5R>
[王者]アレクシ・ニコラ(フランス)
[挑戦者]レギン・アーセル(スリナム)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ユセフ・アスイック(デンマーク)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
アレクセイ・バリカ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)
ザカリア・ジャマリ(モロッコ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)

<ムエタイ119.25ポンド契約/3分3R>
エイミー・ピルニー(英国)
シール・コーエン(イスラエル)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ(タイ)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

<136.25ポンド契約/5分3R>
バンマードォーチー(中国)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

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【PFL&ONE】三浦彩佳 meets 渡辺華奈─01─渡辺✖カモーシェ戦から、女子J-MMAファイターが学ぶこと

【写真】シリアスな対談になることを予想していたが、試合前のインタビューや会見時とはまるで違う──渡辺の空気感により、バッカ明るい対談となった (C)MMAPLANET

6月13日のPFL2024#04でリズ・カモーシェとシーズン2戦目、そして3年前のリベンジ戦を戦った渡辺華奈。激闘と呼ぶにふさわしい勝負は、残り8秒で腕十字に切って落とされ返り討ちにあってしまった。
Text by Manabu Takashima

(C)PFL

この敗北で渡辺のPFL2024年シーズンは終幕となった。

しかし打撃を被弾しながら組んで上を取り続けた渡辺はこの間に如何にMMAファイターとして成長したのかを見せつけた。

BellatorからPFLと、フライ級という階級で世界と戦う渡辺の姿から、日本の女子MMAファイターはそれぞれが自分自身と照らし合わせて何かを感じ取ったはずだ。

MMAPLANETでは渡辺と4年に渡り練習を続けている三浦彩佳との対談を行った。1月のONE日本大会で平田樹を破りながら、次戦は澤田千優に敗れたジヒン・ラズワン戦が組まれるなど(※ラズワンの負傷で流れた)など、厳しい状態が続いている。そんな三浦が、渡辺✖カモーシェの激闘から何を感じたのか。また渡辺のカモーシェとの再戦に賭けていた想いと、下った試合結果をどのように受け止めているのか──を訊いた。


――BellatorからPFLで戦う渡辺選手と、ONEで戦う三浦選手。柔道出身、海外で戦う二人が一緒に練習をしているということですが、どれぐらいのペースで手を合わせているのですか。

渡辺 週に1度は必ず、多い時は2回ですかね。Fighter’s Flowのプロ練習に三浦さんが来てくれる感じです。

──一緒に練習するようになって、どれぐらいになりますか。

渡辺 2年ぐらい前ですかね。

三浦 そんなことないですよ。もう4年やっています(笑)。

渡辺 そんな前? そうか、まだパーソナルトレーニングのジムの方でマットを敷いて、壁レスもできないような小さなスペースでやっていたね。

三浦 初めて会ったのが、YouTubeの企画だったんです。華奈さんのところにお邪魔をして、柔道対決をして。その時に長南さんから「渡辺さん、どうだった?」って聞かれて、「メチャクチャ投げられました」と。そうしたら長南さんに「お前、そんなんで良いのか?」、「女に投げられて、悔しいだろ」、「勝つまで出稽古してこいッ!!」って言われたんです。

──そのようなスタートで4年も続いているのですね。

三浦 実は私は学生の時に、柔道が凄く好きで……。

渡辺 柔キチだよね(笑)。

三浦 ハイ、近代柔道も毎月買っていて。近柔に全日本強化選手の名簿とか載っているので、好きな選手や憧れの選手に〇印をいれて毎月チェックしていたんですよ(笑)。

渡辺 ヤバ……(笑)。

──……、……。

三浦 で、華奈さんのことがめっちゃ好きで。いっつも全日本強化選手にその名前があって。可愛い人なのに。

渡辺 嬉しいぃ。ファンだったんですとは言われたけど、そこまで詳しくは言ってくれたことじゃなかったし。

──憧れの存在とMMAの練習をするようになったと。

三浦 いざ練習を始めると、同じ柔道ベースでもレベルが違っていて。それにMMAになっても、華奈さんは頭抜けて強いんで。練習量の多さだとか、練習に対するストイックさが凄いからで。見習うところも多かったです。一緒に練習をさせてもらうことで、華奈さんの姿勢を見て、自分のモチベーションになりました。

──三浦選手から凄く良い練習ができていると早い段階で聞いていたのですが、色々と事情があって2人が一緒に練習をしていることをインタビューでも公にすることができなかったですよね。

三浦 そうでした。そうでした(笑)。色々とあって(笑)。

──ただ、当時はそういう風には思っていなかったのですが、改めて並んでいるところを見ると、階級差は明白に感じられますね。

渡辺 いや、着ぶくれですよ。これ。オーバーサイズのTシャツを着ちゃって(笑)。

三浦 アハハハハ。

──いえ、明らかに骨格です。

三浦 でも以前は同じぐらいの体重だったんですよ。

──これだけ骨格に違いがあって体重が同じなら、三浦選手がデブだっただけじゃないですか(笑)。

三浦 ハハハハ。でも、本当にブーちゃんだったんですよ。

渡辺 それがいつの間にか、どんどん小さくなってしまって。ズルい(笑)。挙句にアトム級だとか、言いだすし。

──三浦選手の話を聞く限り、渡辺選手はアスリートとして完成形にあったかと。ただし、国内で試合をしている時は、その柔道の強さと柔道で鍛えたフィジカル、そして生来の運動神経で勝っていて、MMAができている風には正直思えなかったです。

三浦 本当に一生懸命にやっていましたよ。でも今から振り返ると練習の効果は鈴木隼人さんが指導をしてくれるようになってから、より出てくるようになったかと思います。

渡辺 上田(貴生)さんは基本に則した防御と、極めるまでのパターン創りを細かく組み立てたりする感じで。

──上田さんは戦略家というイメージがあります。

渡辺 そうなんです。そこに隼人さんが加わって、レスリングが強化されました。上を目指せば目指すほど、MMAにはレスリングが必要になってきますし。

三浦 隼人さんが来てすぐの頃、お互いにテイクダウンを狙って、頭もぶつけたことがありましたよね(笑)。

──実は中学の時の女子の部活を傍から見ていて、先輩のイジメとか怖いイメージがトラウマになっていて。女子同士って、色々あるのではないかと勘繰ってしまうことも多々あったんです。

渡辺 三浦さんとはそういうのはないですよ。階級も違うし(笑)。

──そこ強調しますね(笑)。

三浦 そもそも戦っている団体が違いますからね。

渡辺 一緒に練習をし始めた頃には、三浦さんはもうONEで戦っていたしね。でも私は格闘技のことは知らないので、ONEがどういう団体なのかも一緒に練習をするようになって知ったんです。でも彼女こそ、一生懸命でしたよ。

──一生懸命の褒め合いになっているので、何か違う三浦選手の特徴はなかったですか(笑)。

渡辺 体が柔らかい。そして、ドンくさい。アハハハハハ。マット運動とかヤバいですよ(笑)。ジャンプもなんかタイミングが変だし、跳べていない。それなのに縄跳びは上手いから、意味が分かんなくて(笑)。

──そこは一緒に練習して解消されたのでしょうか。

渡辺 いえ、ドンくさいままなんです。でも、だから良いところがある。器用にできるわけではないので、一つのことを修得するまでずっと時間が掛っても続けています。そんなことを言っても、自分もBellatorに出始めたころとか技術的には本当にヤバかったですけど……。装備なしで、戦地に出向いているようなモノで。

──正直に申し上げて、自分は渡辺選手を過小評価していました。柔道流のテイクダウンはできても、その形に入るまでの打撃の距離をどう戦うのか。また組まれても、「切れますよ」という選手が米国やブラジルにはいる。Bellator Japanのイララ・ジョアニはともかく、Bellatorデビューとなったアレハンドラ・ララ戦などは、フィジカル&柔道では勝てないと思っていました。

渡辺 たくさんの人がそう思っていたと思いますよ(笑)。

──でも、自分の目は節穴でしたね。

(C)BELLATOR

渡辺 いえ最初のリズ・カモーシェ戦の結果こそ、その予想通りになっていますから。

三浦 あの試合の後から、華奈さんはサウスポーに変えて凄く変わったと思います。しっくり来ている感じで。

渡辺 柔道では右手前だったので、そのまま組めるような感じになって。

三浦 打って入って、差しが反対だとワンテンポ遅れるというか。だから両方できれば良いんですよね。

──以前、米国では組みのオーソも、打撃では一旦は打撃のオーソに前手を変えて指導をすると聞いたことがあります。ストロングハンドを後ろにすることで、打撃の理解が進み。そこからサウスポーが良いか、スイッチヒッターになるのも可能だからと。

三浦 そうなんですね。

────柔道とレスリングは姿勢がまた違うのですが、「レスラーに体を起こさせ打撃が使える構えになっても、前足と同じサイドの左ジャブを打ち込む際に、体重が足に掛かり過ぎる。そうなると相手のテイクダウン狙いに対応できない。なので、まず遠い距離からでも優れた身体能力を生かして打ち込める右クロスを指導する。右のクロスだと、重心を後ろ足に掛けやすく、テイクダウン狙いをスプロールするのも容易くなる。そうやって打撃とは何かを、利き手が後ろの構えで一旦は教えるんだ。そこからサウスポーでもスイッチでも、採り入れれば良い」と今は亡き名コーチ、ショーン・トンプキンスが話していました。

渡辺 なら、オーソを経験していて良かったということになるんですね。

三浦 そういえば浜崎(朱加)さんも、そうだったと聞いたことがあります。最初はオーソで、サウスポーにしたと。でも、本当に華奈さんはサウスポーがハマって結果にも表れるようになったと思います。

──カモーシェ戦後のMMAファイターとしての成長振りは、目を見張るものがあるかと思うのですが、間近で見てきた三浦選手はその辺りはそのように見ていましたか。

三浦 だって日本を代表して戦うなんて、華奈さん以外にいないですよ。その通りになったというか、エリート街道をいっているなと。顔、顔、顔(と渡辺に)、なんて顔をしているんですか(笑)。

渡辺 褒められることはなれていないので、もっとけなして(笑)。

三浦 そんなことできないですよ。Bellatorのファイトウィークって、華奈さんの話を聞くとONEとは違って、本当に大変だったみたいで。リズ・カモーシェ戦の時とか凄かったんですよね?

渡辺 試合直前になってコンタクトは禁止だって、外されました(苦笑)。ウォーミングアップ場も寒くて。全然汗をかけなくて、コロナ禍だったので外も出られない。バスタブもなかったです。米国でも州によって違うし、もちろん国が違うと全然違っていました。

三浦 その点、ONEのファイトウィークは凄く過ごしやすいです。ホスピタリティとか、凄くよくて。

渡辺 だって通訳さんとかいるんでしょ?

三浦 通訳というか、日本人のスタッフもいますし、直接テキストを送ったりとかしてコミュニケーションも取れます。逆に通訳もいない、そんなファイトウィークで戦えるだけ、華奈さんは精神的に強いと思います。

渡辺 まぁ、ぶっちゃけ大丈夫よ。どんな状況でも(笑)。

──三浦選手からサウスポーに構えが変わって、スムーズになったという話がありましたが、ご自身では何が変わったと思っていますか。

渡辺 それまでやってきたことが、出るようになったことはあるかと思います。それ以上に練習環境を変えたことですね。カモーシェに負けて打撃をやらないといけない。そしてテイクダウンの種類を増やさないといけないと凄く感じたので。まだ打撃なんて全然出せていないですけど、あれから週に3、4度ずっとやっているし、隼人さんが来てくれてから試合前はマンツーマンぐらいの勢いでずっと見てもらっていて。

そうやってここ3年を過ごしてきたので、試合前のインタビューで「強化してきたところは?」という質問があると、ずっと打撃とレスリングと言い続けてきたと思います(笑)。自分は色々なことはできないので、そこだけを突き詰めてきました。それが試合でちょっとずつ出てくるようになってきた感じです。

三浦 ちょっとじゃないです。こんなに出るんだっていうぐらい試合毎に変わっています。打撃に関しても、出ないこともあるかもしれないけど、持っているというのがあれば気持ち的に全然違うと思います。

──いわば三浦選手も同じようなことを追求してきたと思います。客観的に渡辺選手の成長を観察することができていますが、自身に照らせ合わせて思うところはありますか。

三浦 いやぁ、もう……。だからこそ、華奈さんのコレを見て出したいなって思うんです。私も首投げ一辺倒でないように。そこはまだ色々な意見を言ってもらうこともありますが、1月の(平田)樹ちゃんとの試合は自分のなかでちょっとずつ出せてきているのかと思いました。試合を決めきることはできなかったことは悔しかったのですが、差してヒジを出すとか、少しは出せたかなと。華奈さんのようにドーンと出せていないですけど(苦笑)。

渡辺 もっとデキるんだよ。私はあんなもんじゃない。

──凄いどや顔ですね。「もっとできる」ということは出せていないのに(笑)。

渡辺 アハハハハハ。

三浦 でも、ホントにもっとデキますよ。華奈さんは。

渡辺 もっとデキるんですけどねぇ……。あんなもん、まだ30パーセントですからね(笑)。

──渡辺選手と三浦選手の違いは、特に直近の試合では首に手を巻いて投げることを相手が怖がるのか、それはもう通じないよという風に戦ってくるのか。その違いもあったかと思います。ONEでもティファニー・テオやシィォン・ヂィンナン戦を想定すると、そこまでセットできないことを考えて首投げ以外のテイクダウンが必要になってくる。ただし、平田選手は組めるし、首投げを嫌がって腰を落とすのだから、すかしてコントロールという流れは何も悪くないです。

三浦 つまり首投げの形に入れない相手と、華奈さんは戦っているということですよね。カモーシェは投げの反応とか、本当に対策練習もしていたと思います。

(C)PFL

渡辺 マジで強かった。

──開始早々のテイクダウン狙いを苦も無く反応してがぶった。奇襲にも反応できるのかと驚きました。

渡辺 実は自分も思い切り入ったので、その当たりで効いちゃったぐらいなんです。

三浦 えぇ!!

渡辺 だから、セコンドには「自分、あの時に何か貰いました?  ヒザですかね?」とかって聞いているんですよ。でも「普通に入っただけだよ」と言われて(苦笑)。

──凄まじい話です。

渡辺 ぶっちゃけていうと、男子選手とやっているような気分になりましたね。あんな風に対応されると。

<この項、続く>

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【DEEP JEWELS45】パク・シウと暫定王座&再起戦、万智「過去最強!! 勝って星花ちゃんと統一戦!!!!」

【写真】相変わらず、ド天然な元気っぷりを見せていた万智。悪霊に憑りつかれると思うほど、前回の敗戦は精神的にダメージがあったという(C)MMAPLANET

26日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS45でDEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦=パク・シウ✖万智が行われる。
Text by Manabu Takashima

コロナ期より日本をターゲットにトップファイターを目指してきたパク・シウに対し、昨年11月にキャリア1年で同王座決定戦に出場し松田亜莉紗に敗れた万智。

あれから半年を経て万智はさらに天然振りを発揮し、天賦の才を磨いてきたのか。その言葉では、想像もつかない今の万智──だが、とにかくインタビューでは絶好調さとハードな練習振りが伝わってきた。


――日曜日にパク・シウ選手と暫定ストロー王座決定戦です。その前に昨年11月の松田亜莉紗選手とのタイトル戦、スプリット負けという結果に関してですが……コールを受けた時、どのように思いましたか。

「勝ったと思いましけど……もう、ねぇ……」

──口が曲がっていますよ。

「アレは勝っていました、万智が。だから、ポカーンと夢みたいですよね。ドミさん(弥益ドミネーター聡志)も試合後、コーナーで凄く喜んでくれていて。梅田(恒介)さんは微妙な顔をしていました。でも、試合後に映像をチェックして『勝っていた』と……。『角度の問題だ』って。万智のヒジが当たったのと、相手のストレートが当たったのと。相手のセコンドも万智が勝ったと思っていたように見えました」

──万智選手が勝っていたという意見は少なくないですが、勝った松田選手には何も非はなく。松田選手陣営は、勝ったことを否定する必要はないですし。

「そうですね。まぁ向うはラッキーで、こっちはラッキーじゃなかったということですよね(笑)」

──その敗北をすぐに消化できたのでしょうか。

「あのう……皆には『落ち込んでいない』って言っていましたけど、結構引きずっていました……。練習にいっても、やる気を失って続けていた感じで。あの試合に集中して、その後のことも何も考えないぐらいだったので。でも、皆だって万智が勝ったと言っていましたよ……」

──勝ったと思った試合を落としたことで、何か学んだことはありましたか。

「もっと攻めないといけないな、と。あれだけコントロールしていたけど、判定負けするってことは。フィニッシュを目指さないといけないと思うようになりました」

──まだ不満そうですね(苦笑)。

「でも、今回タイトルを掛けてまた戦うことができるので」

──この試合が決まったのはいつぐらいだったのでしょうか。

「実は3月大会にもオファーがあったんです。あの時は古傷の具合が良くなくて、パクちゃんと戦うには……。なので5月にしてもらったんです。ただ3月の時は、タイトルは掛かっていなくて日韓戦のような感じで組まれていたんだと思います。結果、ラッキーだなって(笑)」

──その辺りで吹っ切れたようですね。

「もう、やる気満々になりました。タイトル戦の前から、次にやるのはパクちゃんだっていう空気だったので。でも、試合が正式に決まった時から、気持ちが入りました。なんか、呪われているなって思っていたんです。練習は好きだから続けていても、やる気がでない。身が入らないから、悪霊に憑かれている。絶対に何かがいるって」

──そろそろホラー系になってきましたね(笑)。

「真剣にそう思って、お祓いにも行きました!!」

──えっ……。絶句です。

「でも、何も変わらないから(笑)。呪いじゃなかったです。アハハハハ、試合が決まったらめっちゃやる気が出て」

──いや……。

「そうなんです。試合がないから、目標を見つけることができなくてやる気が起こらなかっただけで(笑)。もう、決まってからはやる気満々です」

──パク・シウ選手とは練習仲間でもあったので、練習環境を変えないといけなかったのではないですか。

「そこはパクちゃんが、52キロ級に上げたことで練習をしなくなっていました。マスタージャパンの金曜日の練習に行くのも止めて。JTTに行くようにしたのですが、(伊澤)星花ちゃんが所属になったので、JTTにも気まずくて行けなくなって。金曜日の朝は急いで宇都宮に帰って、正午からZEROでムエタイの練習をするようになりました」

──急いで、というのは?

「木曜日は東中野のトイカツ道場で練習をしてから、中野の友達の所に泊まっていたんです。次の日はマスタージャパンの練習があったので。でも、パクちゃんが韓国に戻ったので、またマスタージャパンでの練習を再開しました」

──とはいえ、マスタージャパンの女子練習で一緒の藤野恵実選手も同じストロー級ですよね。

「ハイ。試合をするとなったら……。藤野さんが修斗のチャンピオンになったことはめっちゃ嬉しいです。ヤバいぐらい嬉しかったです。でも、戦うとなったら調整が必要になるかと思います」

──現状の練習のルーチンは、どのようになっているのですか。

火曜日のアライアンスの練習メンバーと。野田遼介は、1週間後のONE FFで本田良介とリョースケ対決がある──とか、ないかと……という話も

「月曜日は佐野のグロリアMMAでグラップリングとムエタイ。

火曜日はここ(アライアンス)。水曜日が手塚(裕之)さんのところと、那須のクロウフォレスト。もうクロウフォレストの練習大っ嫌いです。みなにボコボコにされて……」

──そこも、つまりは……。

「ハイッ!! それだけ良い練習をさせてもらっていることなんですけどね(笑)」

──押忍。そして木曜日は?

「八丁堀で津田(勝憲)さんのパーソナルでミットを持ってもらっています。それから東中野ですね。金曜日が今はマスタージャパンと、土曜日がパラエストラ松戸、IGLOOからゼロです。そして日曜日がマスタージャパンの女子練習です」

──休息日は無しですか!!

「若いんで(笑)。ヤングですから」

──ヤング……。

「アハハハハ。でも一部練習の日もあるので、休めてはいます」

──なるほど……なのか……。これだけ色々なところで練習をしていて、対策などを立ててくれるのは梅田さんなのですか。

「ハイ、そうです。あとドミさんもセコンドに就いてくれるので。手塚さんも……手塚さんは声出し係ですけど(笑)」

──アハハハハ。ともあれパク・シウ選手は大変な相手です。

「私も大変だと思っています」

──?

「私もパクちゃんからすれば、大変だと思います。差はないです。過去一番強いです。でも、皆が『パクちゃんは大変な相手』と思っていることは分かります。昔、練習でボコボコにされていたし。

でも、パクちゃんも警戒していると思います。女だから、差はそんなにない。同じ性別だし、男の人と試合をするわけじゃないので」

──女子練習以外は男の選手との練習が、今も主なのですね。

「ハイ。多いです。あとはマスタージャパンでチィちゃん(澤田千優)と。チィちゃんがジヒン・ラズワンとやるまでは水曜日はパンクラスイズムで一緒にやっていて。移籍したので、マスタージャパンでやるようになって……今、一番の練習パートナーです。チィちゃんとは打撃有りで、マ~ジでガチスパーをやっていて。マジでヤバいです。力は凄くあるし、凄く良い練習になっています」

──とはいえパク・シウ対策という面では、ストライカーとの練習も大切になってくるかと思うのですが……。

「対策練習はやっていないです。自分のやることをやっているので。それをいくつかのパターン持っていて、得意なことを伸ばしているのですが、打撃の練習も頑張っているので。コンビネーションも皆に褒めてもらっています。

MMAの打撃が上手くなっているっていわれます。ゼロでムエタイをしたこともいきて、津田さんのミットでMMAの打撃が伸びている。だから組みばっかりパクちゃんが警戒してきたら、打撃だけで戦っちゃうかもしれないですよ(笑)。テイクダウン前もテイクダウン後も、めっちゃくちゃ考えるようになっているので。組みのパターンも増えて、際を頑張れるように。

その部分ではIGLOOでの練習も凄くタメになっています。(山田)海南江さんには、メチャクチャにやられて。自分が何も考えられないぐらい、やられているんですけどね(笑)。クルクル回されて──その技を、教えてくれるんです。寝技では一番の練習をしてくれています」

──今日の練習では足関節もかなりトライしていました。

「足関節は得意です。MMAでは使ってこなかっただけで(笑)。足関はメッチャ得意ですっ!!」

──すごいドヤ顔ですね。過去最強バージョン、期待が高まってきます。

「そうなると思います。練習でやっていることを、試合で出すことができれば」

──そのために必要なことは何になると思っていますか。

「気合い」

──体言止めですか(笑)。

「気合いです。根性、気持ちです。そこがあればデキる。パクちゃんは10年振りのタイトルマッチらしくて……あんなに強いのにチャンスがなかったから、ここに掛けてくる想いが強いと思います。

でも私はタイトルマッチを前の試合で経験して、しかも負けているから失うモノがないチャレンジャーの気持ちで戦えます。思い切りいくだけ。だから気合いと気持ちで頑張ります」

──勢いがそのまま言葉になっているように感じます。

「実は『稲妻メンタル』を読んで、メンタルを鍛えてきました!!」

──鈴木千裕選手の?

「ハイ。書いていることは当然のように参考になります。同時に元気過ぎて、一気に読めない(笑)。元気過ぎて、こっちがやられてくるので、精神面のスタミナ強化になっています(笑)。でも、練習で疲れて元気がない時に読むと鈴木選手の『気合いッス』っていう言葉で元気になれるんです。で、気合いが入って来る。鈴木選手はもうこれだけ実績を残した。私は何もない。こんなままじゃヤバい。だから気合いッス!!」

──浜口京子さんに見えてきました。

「似ているって言われています(笑)」

──元気な万智選手であることは間違いないようです。では、最後に改めてパク・シウ戦について意気込みの方をお願いします。

「色々な場所で、色々な人達にサポートをしてもらっているので、皆に感謝している気持ちを持ってパクちゃんと戦います!!

SARAMIさんがパンクラスを獲った。藤野さんが修斗を獲った。次は万智がDEEPを獲ります。パクちゃんが勝っても、もう星花ちゃんが戦いたいってならないから、タイトルを返上しちゃうと思うんです。だから万智が暫定チャンピオンになって、星花ちゃんと統一戦をします」

■DEEP Tokyo Impact2024#03視聴方法(予定)
5月26日(日)
午後5時20分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、サムライTV

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN22 アクバル・アブデュラエフ ウェイ・ルイ キック ジヒン・ラズワン ジャン・リーポン ノエル・グホンジョン ハム・ソヒ ハリル・アミール ビアンカ・バシリオ フー・ヤン ボクシング モーリス・アベビ リース・マクラーレン ルンピニー ヴィクトリア・ソウザ 松嶋こよみ 海外 澤田千優 秋元皓貴

【ONE FN22】本戦2戦目、グホンジョン戦1カ月前に澤田千優が話していたこと「油断せず、フィニッシュ」

【写真】収録は3週間前、澤田の打撃は伸びしろばかりだが、その伸びが期待される打撃を使うことが絶対でないのがMMAの面白さ(C)SHOJIRO KAMEIKE

3日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN22で、澤田千優がノエル・グホンジョンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年に入りONE本戦契約を得た澤田は、3月にONEアトム級5位のジヒン・ラズワンを判定で下した。前日計量をクリアできず、ハイドレーションテストもクリアできなかったなかで迎えたラズワン戦。澤田以上に体重をオーバーしていたラズワンに勝利した澤田は、その戦いの中で何を得たのか。改めてラズワン戦を振り返るとともに、グホンジョン対策も語ってくれた。


――1カ月前の試合になりますが(※取材は4月8日に行われた)、ラズワン戦の勝利おめでとうございます。

「ありがとうございます!」

――ONE出場は約1年振り、本戦契約の初戦となりました。改めて感想を教えてください。

「当然のことではありますが、ラズワン選手は今まで戦ってきた相手よりもパワーがありましたし、レベルも高かったです。これからもONEでレベルの高い相手と戦えることはワクワクしています。ランク5位のラズワン選手があれだけ強いのであれば、その上にいるハム・ソヒ選手やチャンピオンのスタンプ選手は、もっともっと高いレベルにいる。私もそのレベルの選手になれるように頑張らなきゃ、って思いました」

――勝利は勝利ですが、試合前の計量とハイドレーションテストはクリアできませんでした。どのような状況だったのでしょうか。

「やはりハイドレーションテストで難しい面はありました。今回の要因としては、提出の際に尿が出なかったことです。体重は予備計量でクリアしているかどうかは分かりますよね。でもハイドレーションテストの尿は……数値的なものは分からないので、クリアできるものかどうか色で判断していたんです。『今のは濃かったかなぁ』と考えたりしていると――」

――結果、提出のタイミングで尿が出なくなってしまったと。澤田選手がそのような状態にあるなか、ラズワンはハイドレーションテストをクリアしたものの、体重は2キロオーバーでした。

「相手のほうが先に計量を終えていて、ハイドレーションテストはクリアしていたから、体重を落とすのは諦めたのか……。私はクリアするために3時間ぐらい計量会場にいたのですが、ラズワン選手はもう戻ってきませんでした。

ただ、私も計量オーバーしているので、試合を拒否することはできなかったです。どちらもオーバーしているから平等である、という捉え方でした。さらにONEのルールではハイドレーションテストが優先されるので、あとはキャッチウェイトで戦うしかなくて」

――計量オーバー、ハイドレーションテストの失敗は試合に影響を及ぼしましたか。

「コンディションも良く、作戦を変えることはなかったです。ただメンタル面については……。小さい頃から体重に関してはシビアに考えていて、今回は『やってはいけないことをやってしまった』と考えました」

――……。

「でもセコンドの良太郎さんや松嶋こよみさんから『ここで泣いていても仕方ない。あとは勝つしかない。勝って状況を変えよう』と言われて、気持ちを切り替えることができました」

――確かに試合が成立すれば、あとは戦うしかありません。その点は海外の選手はハッキリしているように思います。

「あぁ、そうですよね。『何が悪いの?』というぐらいの感じの選手もいますし」

――試合では1Rに攻め急いでいる印象を受けました。それは計量オーバーが何か関係あったのでしょうか。

「計量オーバー云々ではなく、私の場合はよくあることなんですよね。もちろん良いことではないですけど(苦笑)。突っ込みすぎちゃったり、良いポジションを取りたいという気持ちが出すぎて、体が前のめりになってしまう。結果、三角に入られたりとか。

でも視野が狭くなることはなく、セコンドの声も全て聞くことはできていました。だから自分の中では冷静に戦うことはできていたんです。2R、3Rと進むにつれて落ち着きは出てきたと思います。でも視ている側からすれば、ヒヤヒヤしてしまう内容になりましたよね」

――2Rから何か変わったというのは、1R終了後のインターバルでセコンドからどのような声を掛けられたのでしょうか。

「まずスタンドの攻防は悪くない。だから安心して相手の動きを見ながら、ミットで練習したとおりにフェイントをかけて、タイミングが合えばテイクダウンに行け――という指示でした。そう言われて『いつも練習でやっていることが通用する相手なんだ』と思うことができて、私もいつもどおりの試合運びができたのかなって思います」

――ラズワンの打撃をかわしたり、相手に打撃を出させないようにしてテイクダウンに入る。それがチーム・アカツキのミット練習でやってきたことの成果だったのでしょうか。

「その成果が出た――と言っていいのでしょうか。あの試合内容であれば」

――そう言える試合内容だったと思います。

「ありがとうございます。しっかりとスタンドの攻防をしつつ、自分の良いところを出せたのは良かったですね。それが1Rだけでなく2R、3Rも続けることができましたし」

――一方で、ONE本戦契約の初戦として一本勝ちできず悔しいのか。あるいは勝つことができてホッとしているのか、どちらでしょうか。

「フィニッシュはしたかったです。でも相手のレベルが高いことは分かっていたし、まずは勝たないといけないっていう気持ちのほうが大きくて。もちろんフィニッシュして、目立つ試合をしなきゃいけなかったとは思いますが、まずは勝てたこと――しかも完封できたので良かったとは思っています。ファイターとしては完封したうえでフィニッシュすると、高望みしないといけないんでしょうけど(苦笑)。ただ、何より勝てて安心しました」

――前回の試合から2カ月のスパンでオファーが来たということは、ONEから評価してもらえているとのではないでしょうか。

「評価してもらえていると嬉しいです。特に前回はランキングに入っている選手に勝ったので、『サワダってどんな選手なんだ!?』と気になってくれているんじゃないかという手応えもあります。ラズワン戦の直後に、会場の廊下でマッチメイカーの方とすれ違って。その時に『おめでとう! またすぐ試合できるかい?』と訊かれたんです」

――おぉっ!? それは凄いですね。

「その時点では即答できなかったんですけど、帰国してからONEジャパン経由で正式なオファーが届いて、今回の試合が決まりました。やっぱり勝っただけじゃなく、すぐ次のオファーが来たことも安心できた理由でしたね」

――ラズワン戦と同日にグホンジョンはヴィクトリア・ソウザに判定勝ちを収めています。ONEとしても同日に同じ階級の試合で勝った者同士の試合は組みやすかったでしょうね。

「そのほうが選手側もそうですし、観ている人にとっても分かりやすいですよね。次の試合が想定しやすくて」

――ご自身の試合前に、グホンジョンに対して「勝てば次はこの選手かなぁ」と意識しましたか。

「絶対にこの選手と対戦するだろうとは思っていなかったです。でも体の大きさや動きも近い部分があって。控室も同じだったのでグホンジョン選手を見ながら『やっぱりラズワン選手は大きいなぁ』と考えていました(笑)」

――アハハハ。確かに澤田選手、グホンジョン、そしてソウザはフレームも近かったですね。ただただラズワンがONEアトム級の中では大きすぎるという。

「グホンジョン選手の試合を視て、MMAファイターとして全てできるというよりは柔道ベースで腰が重く、一発一発のパンチに体重が乗っていると思いました。一発もらったら危ないなという印象です。足さばきや組みついた時の投げも無意識でやっているように感じますね。あとはスイッチせずに自分の構えを貫きながら前に出てくるタイプなので、そこは警戒しつつ、私も相手の得意な部分に付き合わず戦いたいです」

――グホンジョンの特徴として相手がテイクダウンに来た際、自身がどんな体勢でもカウンターで投げてきます。今まであのようなタイプはいなかったのではないですか。

「今までは相手が投げのムーブに入ったとしても、その前に私が組みきっているからテイクダウンできていました。グホンジョン選手は投げの体勢に入るまでのスピードが速いので、警戒しないといけないですね。特に相手が投げの体勢に入れないよう、私から動いていきたいです。

あと、たとえば私の体が浮いてしまっていると、相手は投げやすくなってしまうじゃないですか。そこは気をつけて丁寧に倒していきたい。それとMMAなので、相手の意識を投げ以外に散らすことができるような打撃を出していきます」

――なるほど。では最後に、次のグホンジョン戦への意気込みをお願いします。

「2戦目で、まだまだ世界に強い人はたくさんいます。油断せず、フィニッシュして『この選手の試合を見たい』という勝ち方をして日本に帰ってきたいです」

■放送予定
5月4日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■ ONE22対戦カード

<ONEムエタイ女子世界ストロー級選手間試合/3分5R>
[王者]スミラ・サンデル(スウェーデン)
[暫定王者] ナタリア・ディアチコワ(ロシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アクバル・アブデュラエフ(キルギス)
ハリル・アミール(トルコ)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ドミトリー・メンシコフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
モーリス・アベビ(スイス)
ジャン・リーポン(中国)

<キックボクシング・バンタム級/3分3R>
秋元皓貴(日本)
ウェイ・ルイ(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
リース・マクラーレン(豪州)
フー・ヤン(中国)

<キック・ライト級/3分3R>
ルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ)
ボグダン・シュマロフ(ブルガリア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーンPK・センチャイ(タイ)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)

<サブミッショングラップリング132ポンド契約/10分1R>
市川奈々美(日本)
ビアンカ・バシリオ(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ショーン・クリマコ(米国)
ホシュエ・クルス(メキシコ)

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN20 ジヒン・ラズワン 澤田千優

【ONE FN20】澤田千優、1Rのピンチを乗り越えてTD&バックコントロールでラズワンに判定勝利

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
Def.3-0
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

サウスポーの両者、澤田が小刻みにステップして左ローを蹴る。ラズワンのパンチにダブルレッグを合わせてテイクダウンすると上四方で抑え込む。ラズワンがブリッジを効かせてポジションを返し、澤田の動きに合わせてバックへ。そこからマウント移行すると、ブリッジに合わせて三角絞めへ。この時間が長く続くが、澤田はラズワンの体をまたぐようにしてディフェンスして立つ。

試合がスタンドに戻ると、澤田は右フックから左ストレート。右腕を差してロープに押し込み、左ヒジを当てる。離れると澤田が左ストレートを当て、ラズワンも左ストレートを返す。澤田は右の前蹴りから左ストレート、ここも細かくステップを使って左を当てる。ラズワンはジャブを当て、澤田の左ローをキャッチしながら左ストレート。これでトップポジションをとるが、自ら立ち上がりスタンドで左ストレートを当てた。

2R、澤田がジャブと左ロー、左ストレートで前に出る。ラズワンは足を使って距離を取り、澤田の入り際に左ストレートを当てる。澤田はラズワンの前足にシングルレッグに入ってテイクダウンし、パスガードを仕掛ける。ラズワンが腕十字を狙うと、それをつぶしながらパンチを落とす。

澤田はパウンドとパスガードを織り交ぜ、サイドポジションに出ると顔面にヒザ蹴り。今度は澤田が腕十字を狙いつつ、バックコントロールする。ラズワンが亀になるとパンチとヒザ蹴りを入れて腕十字へ。ラズワンはそれを前に落として立ち上がる。

3R、ラズワンが澤田の入りに左ストレートを合わせ、ダブルレッグも切る。澤田は足を使いながらジャブと右フック、ラズワンの左ストレートにダブルレッグを合わせてテイクダウンする。ラズワンが足を使って澤田を後方に返そうとするが、澤田はバックコントロールしてパンチを落とす。

さらに澤田はラズワンの右腕を両足で挟む=クルスフィックスからヒジを入れる。ラズワンも右腕を抜くが、澤田は丁寧にバックコントロールして細かくパンチとヒジを入れる。ラズワンも背中を見せて立ち上がるが、澤田はコーナーに押し込んだままダブルレッグでテイクダウン。バックを取ってヒザを入れ続ける。このまま試合終了となり、1Rのピンチを乗り越えた澤田がラズワンから判定勝利をもぎとった。


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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN20 アリス・アンダーソン キック ジェネリン・オルシム ジヒン・ラズワン ジャネット・トッド プレム・フェアテックス ペッディージャー・ルクジャオポーロントン ボクシング マイッサ・バストス ルンピニー ヴィクトリア・ソウザ 修斗 山田海南江 澤田千優

【ONE FN20】澤田千優戦へ、ジヒン・ラズワン「アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だった」

【写真】フェアテックスのロゴがまぶしい?ジヒン・ラズワン(C)ONE

本日9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、ジヒン・ラズワンが澤田千優と対戦する。
Text by Manabu Takashima

レスリングベース、修斗でチャンピオンになったアスリート=澤田に対し、ラズワンは動物病院で働く普通の女の子という印象が強い選手だった。そのラズワン、今年の1月からフェアテックスジムの所属となりパタヤに生活をしている。

家族から離れ、フルタイムMMAファイターとしての生き方を選択したラズワン。それこそが、彼女がやりたいことをして生きるという選択だった。


――今週末、日本からのニューカマー澤田千優選手と戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じよ。そしてチヒロにはONEでのデビュー、おめでとうと伝えたい。土曜日の朝に彼女と最高の試合をしたいと思っている」

──今回はバンコクでの試合となります。ジョホールバルからだとシンガポールは隣町のような感じだと思うのですが、バンコクで戦うことをどのように思っていますか。

「私は1月からタイのパタヤに住んでいるの」

──つまりフェアテックスジムで練習をしているということですか。

「イエス。だからバンコクは凄く近くて、移動も簡単よ」

──なぜ、タイガームエタイでトレーニングをするようになったのですか。

「去年の3月にフェアテックスのプレム・フェアテックスからスタンプのトレーニングパートナーを務めて欲しいという依頼があって、5月のアリス・アンダーソン戦までパタヤで練習をしていたの。その後はマレーシアに戻っていたけど、プレムから再び連絡があって、もっと長い期間トレーニングをすることになって。その間にフェアテックスと複数年契約をサインしたの。凄く良い機会だと思って、パタヤに移り住むことにしたわ」

──去年の3月といえば、ジヒンはスタンプに敗れてから半年後です。リベンジしたいと思っていたかと思うのですが、練習パートナーの要請を受けることに躊躇することはなかったですか。

「私はリベンジをしたいという想いを持ったことはないわ。再戦したいと思っていてもね。とにかくワールドチャンピオンを含めて、多くのすぐれたトレーニングパートナーがいる場所で練習をできることがとても魅力的に感じて。それにフェアテックスには4、5人の女子MMAファイターが常に練習している。ジョホールバルでは女子選手と練習をすることがなくて、凄く良い経験になったの」

──フェアテックスで練習するようになり、何が一番変わりましたか。

「練習環境は全く変わったわ。故郷にいる時は、お昼は動物病院で働いていたから夜の6時から10時半ぐらいまで練習する日々だった。でもフェアテックスでは朝起きてランニングをし、それからミット打ち。少し休んで、お昼のクラスと夕方のクラスと1日に3度練習できるようになった」

──フルタイムのファイターになったということですね。

「本当に新しい体験で。仕事のことを考えなくて、練習に集中できることが本当に新鮮なの。練習は厳しくなったから、そこはスマートになる必要があって。調子が落ちているなと思ったら、体のメンテをしないとケガをしてしまうし。ただ、休める時に休むというのも、仕事をしている時はできなかったことだから。仕事をして疲れるのと、練習して疲れるのは別モノで。仕事中は体こそ疲れないけど、ストレスが溜まって精神的に疲れていたわ。今はトレーニングでヘトヘトになっても、爽快な気持ちね」

──ところでパタヤで格闘技に集中するという話をした時、ご両親はどのような反応でしたか。

「私の決心には驚いていたわ。ずっと一緒に住んでいたし、家から出たことがなかったから。でもフェアテックスの環境、そして仲間のことを知ると安心してくれたわ」

──親というものは子供達に夢を叶えて欲しい一方で、安定した生活を望むものですしね。

「両親には、私の夢の旅路をサポートしてくれて本当に感謝している」

──1月からフェアテックスの所属になったということは、フルタイムファイターとなって、今回が最初の試合ですね。

「去年の9月のジェネリン・オルシム戦前もフェアテックスで練習をしていたけど、長い休暇を取ってパタヤに行っていたから。ただ事実上フルタイムで練習はできていたから、今回が2試合目とも言ってもおかしくないわ」

──フェアテックスで練習するようになって、どこが一番伸びましたか。

「もちろん、打撃ね。フェアテックスでムエタイの練習をするようになって、打撃にキレが出てきた。同時にグラップリングでも最高のコーチと練習仲間に恵まれているから、組み技も凄く進化しているわ」

──そういうなかで戦う澤田選手ですが、印象を教えてくれますか。

「グッドファイターでレスリングが強い。そして、小さいわね。でも、どんな相手と戦ってもそうだけど、彼女が小さいからといって軽視することは絶対にない。レコードは6勝0敗だし、本当にレスリングを生かした戦いができている選手だから。

もちろん、アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だったと思う。ただ、ないのだからしょうがないし、結局のところただ戦うしかないの」

──ところでチャンピオンが、チームメイトというのはどのような心境になるモノなのですか。

「世界チャンピオンと練習ができるなんて最高の経験になっているわ。ただONEが私たちの世界戦を組むのであれば、そこはプロとして戦うべきだし。それこそが、完璧なビジネスだから」

──なるほど、です。最高の練習環境を得た今、負けることができないというプレッシャーは?

「最初に言ったように私がフェアテックスに行くことを決めたのは、良い機会だったから。何が良い機会かといえば、自分がやりたいことができるということ。自分が思うように生きる──それが、何よりも大切なことでしょ」

──では土曜日の朝、どのような試合がしたいですか。

「今回は国際女子デーのラインナップに名前を並べることができると同時に、6年前の3月9日に私はONEデビュー戦を戦っていて。個人的な記念日なの。日本の皆は、国籍に関係なく選手をサポートしてくれる。そして日本には凄く強いファンベースがあるから、皆の期待に応えたい。私もチヒロもベストを尽くして、最高の試合を皆に届けたい」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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【ONE FN20】正真正銘、絶対的世界一=マイッサと対戦、山田海南江「誰かのせいにはしたくない」

【写真】ゴミゴミした中心部と違い、スッキリしたラートプラーオ。5月のADCCアジア&オセアニア予選はバンコク郊外のランシットで行われるため、この空気を知っておくことも貴重な経験になるはず(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、山田海南江がマイサ・バストスと対戦する。8日のInternational Women’s Dayに合わせたタイミングで実施されるオール女子大会で、唯一組まれたサブミッショングラップリング戦で、世界最高峰と戦う山田。
Text by Shojiro KameikeText by Shojiro Kameike

黒帯ルーキーに、突然ビッグチャンスが舞い込んだ。ムンジアル4連覇中のマイッサ・バストスとONEサブミッショングラップリング戦で対決する。ムンジアルはもちろんパン選手権、ヨーロピアン、アジア選手権やブラジレイロ優勝など、マイッサの国際大会の実績を挙げればキリがない。そんなマイッサとの対戦を控えた山田は、リモート画面の向こうで喜びを露わにした。ONEのリングで、世界一の柔術家が待っているから。


――山田選手にとって、海外のプロ興行に出場するのは今回が初めてなのですか。

「初めてです。現地での公式スケジュールが凄いですね。拘束時間も長いから『皆はどのタイミングで練習するんだろう?』って。今までレスリングや柔術だと、直前に近いぐらいの日まで調整してから試合に臨んでいたんですよ。でもONEの公式スケジュールを見ると、写真撮影やインタビューなどもあって……その状況に慣れていなさすぎて、どうしようかと思っています(笑)」

――昨年11月に出場したADCCアジア&オセアニア予選も、そういった公式スケジュールはなかったわけですよね。

「はい。あの時は自分たちで現地の練習場所を見つけて、試合前にMMAPLANETさんがインタビューしてくださった以外は、特に予定もなかったです。アハハハ。逆にONEはホテルと、体を動かす場所を用意してくれているのは安心でした。問題は体を動かすタイミングですね。でもその場所を使って体を動かしている選手も多くなくて」

――MMAの場合は大幅な減量をしている選手もいますし、特にONEはハイドレーションテストもあるので試合直前の調整方法も異なってくると思います。

「ハイドレーションテスト! それが一番の心配です。自分は今回、減量幅も少ないので問題はないとは思いますが……。日本で三浦彩佳選手にハイドレーションテストのことを聞いて、いろいろ勉強してきました」

――何もかも手探りで、調べながらのONE初戦なのですね。

「昨日の夜(※取材は6日に行われた)タイに着いて、そこからの公式スケジュールは先に届いていたんですよ。でも英語だし、私個人のスケジュールではなく全体のスケジュールで。その中から私が関わるものを自分で探すという感じでした。どう動けば良いのか、分からないことが多いです」

――聞いているだけで大変な状況であることは分かりますが、それでも山田選手が楽しそうにしているのが印象的です。

「アハハハ。試合が楽しみです。あのマイッサ・バストスと対戦することができるなんて」

――今回のバストス戦が発表されたのは3月に入ってからでした。かなり急なオファーだったのではないですか。

「お話があったのは2週間前ぐらいかなぁ……。すぐOKって返答しました。でもビザの申請とかあって、正式発表も遅くなったんだとは思います。私としては本当にマイッサ・バストスと試合できるのが嬉しくて(笑)」

――その言葉が決して嘘ではないと思えるほど、笑顔に満ち溢れています。

「そうなんですよ。マイッサって今年1月、柔術グランドスラム東京大会に出て優勝していたじゃないですか(女子茶黒ルースター級で優勝)。私もあの大会に出る予定だったんです。でも年末に怪我をしたために出場をキャンセルしたら、その後にマイッサが飛び込みでエントリーしていて。『うわぁ~』って思いました。

私も今年に入って黒帯になったので、もうIBJJFの世界大会はポイントがないと出場することができないんです。そんななかでマイッサと、しかも日本で戦えるチャンスなんて今回しかなかったのに――と。グランドスラムの大会当日は、会場の上のほうからずっとマイッサの試合を眺めていました。『マイッサと対戦できる選手、良いなぁ』って(笑)」

――確かにギ、ノーギを問わずマイッサの試合は自然と魅入ってしまうものがあることは分かります。

「あの強さは何でしょうね……。2019年に初めてムンジアルで優勝してから、ずっと勝ち続けているじゃないですか。ムンジアルのあとに主要な大会で負けたのは、2021年のパン選手権と今年のヨーロピアンぐらいで。その間ずっと強さが安定していて、つけこむ隙がないんですよ」

――ムンジアル4連覇をはじめ、ギでもノーギでも国際大会で勝ち続けている。分かりやすいところでいえば柔道の谷亮子さん、レスリングの吉田沙保里さんや伊調馨さんのような実績ですよね。

「そう! 本当にそうなんですよ。だから今回の試合も、まずONEとしてはマイッサに出場してもらいたかった。その相手を探して私にオファーが来たって捉えています。そういう扱いに対して思うところはあるというか。ONEとしてはマイッサが勝って、いずれダニエル・ケリーと対戦させたい――というようなプランもあると思うんですよ。でも私は、そんなことを気にしていなくて。何より私自身がマイッサと対戦したかったです。

もちろん『マイッサの相手』という扱いじゃなくて、いずれ私という選手にオファーが来るような試合を見せたいです。今回だけでなく世界を目指すために、それだけの強さを身につけていかないといけないですし」

――なるほど。今回はノーギでの試合となります。ギとノーギで試合の印象も異なりますか。

「ギのほうがベリンボロとかの固定力は強いと思うんですよ。掴むところがあるので。もちろんノーギでも強いけど、私としてはノーギのほうが対策もできると思っています。今回の試合でも凄い技数で攻めてくるでしょうし、その対策を講じながら自分の得意なところに持って行く。私としては、その試合展開しかないと考えています。マイッサとの試合のなかで、私にチャンスが巡ってくることは少ない。その少ないチャンスにつけ入るしかないですね」

――マイッサもギよりノーギのほうが展開も速いし、何よりサブミッションを狙い続けています。ONEサブミッショングラップリングでも強いタイプなのだろうとは思いますが、それだけ展開が速い相手のほうが手は合うのではないでしょうか。

「そういうタイプのほうがやりやすいです。これまでも強い選手と対戦したほうが、私のレベルも上がるというか――私自身、試合が楽しくなるんですよ。強い相手との試合だと、自分が持っている以上のものを出せるみたいで。

去年11月のADCCでは、決勝でアデーレ・フォーナリオには負けてしまいました。でも試合写真や映像を視ると、よほど試合が楽しかったんでしょうね。ずっと笑っていて……私ってヤバいヤツなんじゃないかと思いました(笑)」

――それはファイターにとって素晴らしい素質であり、才能だと思います。ADCC直後の前澤智戦も楽しかったのではないですか。

「楽しかったです! 自分では分かっていなかったんですけど、入場の時から笑っていて。会場へ応援に来てくださっていた方からは、『後ろの席から、あの子笑っているよ……っていう声が聞こえた』と言われました。まぁ、変な人間ですよね」

――いえいえ。ADCCや前澤戦と同じく、あるいはその時以上に楽しそうな山田選手を見て、マイッサ戦にも期待することができるのは確かです。

「ありがとうございます。もともと試合に対して不安や恐怖とかって無いタイプなんですよ。もしかしたら、気づいていないだけで不安や恐怖は感じているかもしれません。でもそれ以上に、『ここまでやってきたから大丈夫だ』って納得できるほど取り組んでいるので。

私の中では、去年のムンジアルで負けたことが一番大きいです。茶帯の2回戦で逆転負けを喫してしまって……『私はこのままで良いんだろうか?』と思いました」

――……。

「紫帯で3位になった時は、『今までのやり方を続けていけば大丈夫だろう』という確信があったんです。でも、そう思ったやり方を1年間続けた結果、茶帯で負けてしまって。『何が悪かったんだろう? このままじゃいけない』と考え始めたんですね。『これは海外で練習したら解決するものだろうか』とか、いろんな気持ちが生まれていました。

それで去年の秋から、自分の練習については自分自身で考えるようにしたんですよ。それまではパーソナルで指導してもらったりしていて。もちろん自分の負けを、教えてくださっていた人たちのせいにすることはないです。ただ自分自身で考えたほうが、試合で勝っても負けても納得できるんじゃないかと思ったんですね」

――誰かのせいにはしたくない。でも、このままだと誰かのせいにしてしまうかもしれないし、そんな自分が許せないという気持ちもあったのではないですか。

「……そうかもしれないです。今までもそうだし、今後もし負けた試合でも誰かのせいにはしたくない。自分で決めた目標だから、自分の気持ちも曲げたくはないですからね。まさか黒帯デビュー戦の相手が世界一のマイッサだとは思わなかったけど(笑)」

――それこそ初めてのオリンピックで、1回戦で吉田沙保里さんや伊調馨さんと戦うような。

「本当にそんな感じです(笑)。もう最高ですよ。今、私に良い風が吹いているんじゃないかって思います。マイッサには――もちろん今のままではギだと歯が立たないし、ノーギでも怪しいですよ。自分の100パーセントを出しても勝てない。それこそ120パーセントまで自分を引き上げないと勝てないです。だからこそ試合が決まった瞬間、どうやって120パーセントを引き上げるかって考えるのが楽しくて」

――そうして強くなる、強くなろうとする瞬間が楽しいわけですね。まさに根っからのファイターです。

「正直『これからはSNSも活用して自分のことをもっとアピールしていかないといけない』とは思っています。強いことはもちろんだけど、強い選手は世界にたくさんいますからね。その中から、どうやって自分が試合に呼ばれるようになるかっていうことも考えるんですよ。でも自分の中では強くなりたい……強くなることが一番で。

今年はADCC世界大会と、IBJJFノーギワールドにも出たいです。ノーギワールドもポイントが関わってきますけど――さっき言ったとおり、ここでマイッサ戦が決まるのは私に良い風が吹いてきているとは思います。でもそのチャンスを掴むためは、強くなるしかないから。格闘技をやる限り、その気持ちは絶対に変わりません」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT


■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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【ONE FN20】ONE本戦デビュー、ラズワン戦へ。澤田千優「残りあと何年という計画があって……」

【写真】戦場が変わると同時に、所属ジムの変更も公言した (C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20で、修斗女子アトム級王者の澤田千優がジヒン・ラズワンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

澤田は昨年2月にONEフライデーファイトでサナーズ・ファイアズマネシュを下して以来のONE出場となる。しかも念願の本戦契約だ。さらに所属もAACCからキックボクシングジムのteam AKATSUKIへ変更となった。昨年12月に中村未来を下して修斗王座を防衛してから約3カ月間、そしてONE本戦での試合について澤田が語って。


――2月末にONEとの本戦契約と初戦が発表されました。今回の本戦契約は、いつ頃から話が進んでいたのでしょうか。

「正式発表の1カ月前ぐらいからです。私は修斗のインフィニティリーグに出ていた頃から『海外で試合をするならONEのアトム級を目指したい』と言っていて。フライデーファイトに出た時も、ABEMA TVの方がONEに私の本戦出場について話をしてくださったり、今年1月の日本大会も私が出場できるように動いてくださっていたそうなんです」

――そうだったのですね。残念ながら日本大会への出場はなりませんでした。

「そのあとONE JAPANの方から連絡を頂いて、今回の本戦契約に至りました。私も全ての事情を知っているわけではないので、正確なことは分かりませんが……」

――澤田選手はABEMA TVの海外武者修行プロジェクトに参加し、コンバテ・グローバルでアナ・パラシコスを判定で下しました。そして修斗の防衛戦を経てONE本戦契約を勝ち取るという、海外武者修行プロジェクトの成功例とも言えます。

「私が海外で試合をしたい、ONEアトム級で戦いたいという希望があって。ABEMAの方からも『ここで試合をしておくと、ONE本戦契約への良いアピールになるから』と、コンバテで試合をさせてもらいました。その経験はMMAをやっていくうえで、良かったです。ただ本戦契約して初戦がABEMAではなくU-NEXTで中継されるというのは――最初にONE JAPANから聞いた時は驚きましたし、少し不安というか気になることもあって」

――気になることとは?

「ABEMAの方にどう思われるんだろうな、と」

――えっ!? それはONEと中継サイドのお話であり、澤田選手が心配することではないと思いますが……。

「でも海外武者修行プロジェクトは、全てABEMAがサポートしてくれたもので。やっぱり筋というか――これまで私に関わってくれた方を裏切るようなことはしたくない。でも私自身が目指しているもののために、ONEの本戦には出たい。そう考えていた時に、ABEMA TVの北野(雄司プロデューサー)さんから連絡を頂きました。

『おめでとうございます。今後ABEMAがONE中継に関わることはないけれど、何かサポートが必要であれば、いつでも言ってください』と言われて、ホッとしたんですよ」

――それは素敵なお話です。同時に所属がAACCからAKATSUKIに変わることも発表されました。ONE本戦契約と同じタイミングとなったのは偶然だったのでしょうか。

「偶然ではないですね。でも、ONE本戦契約があったからAACCを離れた、というわけではないです。もともとMMAを続けるのは、残りあと何年という計画があって……」

――現在の年齢とキャリアで、現役生活の最後を見据えているのですか!?

「そうなんです。私の性格上、『ここまでにコレをやりきる』という目標を決めないと、頑張れないところがあって(苦笑)。ズルズルと格闘技を続けたくはないんですよ。レスリングを始めてから今のMMAに至るまで、常に自分の中で目標は定めています。

自分としては30歳ぐらいがピークで強い時期だと思っています。今26歳なので、残り5年の間にONEのチャンピオンになりたい。そのためには、もっともっと強くならないといけない、というビジョンをAACC代表の阿部(裕幸)さんとすり合わせて。結果、環境を変えて、いろんな方から刺激をもらいながら練習をしていくほうが良いんじゃないかと考えたのが、ジム移籍のポイントなんです」

――その移籍先としてAKATSUKIを選んだ理由を教えてください。

「AKATSUKI代表の良太郎さんはキックボクサーで、もともと良太郎さんから打撃を教わっていました。キックボクシングだけでなく、いろんな格闘技を見ていて、私のベースであるレスリングを生かせるような打撃を教えてくれる方です。他にも良太郎さんに打撃を教わっているMMAファイターがいます。私の弱い部分である打撃を本当に基礎から教わることで、これから海外の試合に向けてステップアップできるんじゃないかと。

フリーとしてAKATSUKIで練習させていただくこともできますが、私自身はどこか所属して、腰を落ち着けないと頑張るは難しいタイプでもありますし(苦笑)。それでAKATSUKI所属として活動させていただくことになりました。

去年の12月、修斗のタイトルマッチ前からお話を進めていて。防衛戦が決まった段階では阿部さんにも『年内いっぱいで……』というお話をしていました。ただ、もしかしたら1月のONE日本大会出場があるかもしれない。そこで移籍も発表しようと考えていて。本戦契約と初戦が3月になり、移籍の発表もこのタイミングなったという流れです」

――なるほど。修斗王座の防衛戦では、中村未来選手を相手に明確な差を見せつけて勝利しました。もう修斗の女子アトム級では対戦相手がいない……と思われるなか、ますますONEで戦う気持ちが強くなっていたのではないですか。

「はい。もともとファイトナイトに出場した時点で、本戦契約に本戦契約に手が掛かっているか掛かっていないか――という状況だったと思います。もし本戦契約がなければ、もう一度ファイトナイトに出るという話もありました。一方で、修斗女子アトム級の選手とは、みんな対戦していたじゃないですか」

――中村選手とはインフィニティリーグで対戦し、判定勝ちを収めていました。とはいえ、これは結果論ではありますが、個人的にはあの防衛戦があって良かったと思います。圧倒的な差を見せつけることによって、周囲にも『もう海外しかない』と思わせることができたのではないかと。

「それは私も試合前から考えていました。国内で試合をするかぎりは、絶対にそう思わせるような内容を見せなければいけない。実は、セコンドからは『タイトルマッチは5分5Rだから、5R戦うことを考えて』と言われていたんです。私も試合前は緊張しながら『ハイ! ハイ!』と答えていましたが、試合が始まったらチャンスがあれば極め切るという気持ちで臨みました。その気持ちが試合に出たと思っています」

――プロデビュー当時は、その気持ちがありながら試合中にプラン変更を余儀なくされたこともあったと思います。しかし最近は、その強い気持ちを貫いている印象があります。

「私はそれほど試合数をこなしているわけではなくて。でも練習しているなかで、MMAとしてレスリングはもちろん寝技や打撃など、MMAの選手としてMMAらしく戦うイメージを持って試合をしてきました。他の人の試合を視るだけでなく、他の選手から試合のつくり方について聞いているんですよ。そこで聞く意見が凄く勉強になります」

――今はAKATSUKIと、マスタージャパンが主な練習場所なのでしょうか。

「ここ1~2カ月は、マスタージャパンでは金曜日と日曜日の選手練に参加させていただいています。いろいろ練習している内容を、マスタージャパンですり合わせさせてもらっている感じで。『この打撃は通用する』、『まだ壁際はヘタクソだな』とか。そういう練習ができることは、とてもありがたいです。あとは万智ちゃんと週1回は必ずスパーする日をつくっています。あの子も本当に強くて。

それと今は追い込みの時期なので、柔術とグラップリングの練習のために、今成柔術に行かせていただいています。朝早くからグルグルとロールしているだけなんですけど(笑)。体の使い方を確認しながら、『これは違うかな』と思ったり。自分が極めるための体の動かし方だけでなく、極められないための体の動かし方が必要で」

――ONEアトム級はユニファイドであればストロー級です。澤田選手の場合、どうしても相手との体格差は課題となるでしょう。今日のマスタージャパン練習には、黒部選手とライカ選手が参加していました。万智選手も含めて階級が違う相手との練習が多いのですか。

「体格差については……ここ数カ月で鍛えたパワーだけでは到底敵わないと思います。海外の選手とはインナーマッスルや、地の力が違うので。力を力で制圧するよりも、距離で外したり組んだ時に抜くことは意識しています。だから自分よりも大きな相手との練習が重要で。黒部さんや藤野恵実さん、万智ちゃんと組ませてもらうと、自分より体重が10キロ以上は重くて力が強い選手の感覚が分かるというか。ここは抑え込める、ここは外したほうが良いという肌感覚を身につけたいと思っています」

――ジヒン・ラズワンはONE女子アトム級の中でも体格が大きく、組みも強い選手です。

「力は強そうですよね。お尻が大きいし、足も太くて。腰も強くて、なかなか壁際でも崩れない。打撃も出すし、MMAファイターとしてのバランスも良い選手だと思います」

――2022年9月のスタンプ戦(判定負け)でも、序盤はトップをキープしていました。ただ、アグレッシブすぎることでサブミッションが外れたり、敗北を招くこともあります。

「スタンプ戦でも最後は前に出たところに、ガチンとヒジを合わされていましたね。私との試合でも、まず出てきてくれるかなと思っています。でも真正面からぶつかると勝てないと思います。私も突っ込むタイプではありますけど、そこは我慢して相手もジレてくるような戦い方をする。そして相手がパンチを振ってきたところにカウンターで組むとか。今、上の階級の方たちと練習していることが生きる試合だと思います」

――ラズワンは過去にV.V Mei選手、平田樹選手に勝利しています。日本女子アトム級の敵という状態でもあります。

「その点は、あまり意識していないです。ただ、これまで日本人選手に勝っているからこそ、ONEから『サワダ、どうなんだ?』と試されているマッチメイクなんじゃないかと思っています。私にとっても大きなチャンスだから、絶対にモノにしないといけないですね」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午後9時30分~U-NEXT

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