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PFL2024#10:セミファイナル・ダコタ・ディチェバ vs. タイラ・サントス

女子フライ級決勝戦5分5R。

今年から始まったPFLフライ級で、昨年のPFLヨーロッパで優勝したディチェバはPFL側の最推し選手。予選リーグは実力差がある相手に2試合連続1RKOで勝ち上がり。準決勝では、トップグラップラーで35歳でMMAデビュー、予選リーグでサントスに敗れたが、3Rには得意のグラウンドに引きずり込み、スプリット判定まで持ち込んだジェナ・ビショップと対戦。2度テイクダウンを許したものの、すぐに立ち上がって脱出し、ヒザと前蹴りで腹を効かせて、3試合連続の1RKOで決勝まで上がってきた。26歳。

サントスは2022年6月にヴァレンチーナ・シェフチェンコの持つUFCフライ級王座に挑戦し、四つからテイクダウンを奪ってシェフチェンコを苦しめ、スプリット判定負け。続くエリン・ブランチフィールド戦は、ブランチフィールドのテイクダウンを切って打撃を入れて攻めたものの、後半は組みでスタミナを削られる展開で判定負け。トップランカーだったものの連敗でリリースされた。試合ぶりが地味なことも関係していると思われる。PFLではビショップには苦戦したものの、準決勝のBellator王者カモーシェ戦では(カモーシェの体重オーバーによる体調不良もあったものの)タックルを切って打撃を入れる展開で判定勝ちしている。31歳。

実質、非UFC女子フライ級最強決定戦。ここまでは優遇されたマッチメイクと言われることもあったディチェバだが、サントス相手に勝つようなら本物。オッズはサントスが苦戦したビショップ相手に1RKOし、無敗をキープしているディチェバがフェイバリットとなっている。

ローを蹴るディチェバ。スイッチしながらジャブ・前蹴りを出す。鋭いロー。インロー。右を打ち込んだ。組んだサントス。引き剥がそうとするディチェバだが、サントス組んでダブルアンダーフックでクラッチ。テイクダウンを狙う。ケージでこらえたディチェバが逆に上になる。離れて立つディチェバ。立ち際に左を入れた。首相撲に捕らえたディチェバがヒジを入れるが、サントスまたケージまでお仕込みボディロックでクラッチ。小手に巻いて凌ぐディチェバだが、サントス後方に倒してテイクダウン。すぐに立ったディチェバ。クラッチを切ってバックヒジを入れて離れたディチェバ。前蹴り。ケージまで下がるサントスに右を打ち込む。ジャブもヒット。左で飛び込むディチェバ。思い切りよく打撃を打ち込む。カーフキック。パンチ連打で出るサントスだがバックステップしてかわしたディチェバ。ボディブローを入れる。前蹴りが顔面にヒット。残り1分。パンチの連打を入れてケージまで下がらせると飛び込んでヒジ!離れた。詰めてヒザをボディに入れるディチェバ。パンチで出たサントスに右を合わせた。ゴング。

1Rディチェバ。テイクダウンを取られてもすぐに立ち上がった。

2R。すぐに中央を取るディチェバ。サウスポーから左ストレート。サントス詰める。ディチェバ首相撲に捕らえてヒザ!しかしサントス下がらず組み付いた。タックルへ。ヒジで抵抗するディチェバだがスタンドバックに回る。ディチェバクラッチを切って離れた。パンチ・前蹴りを入れるディチェバ。ボディストレート。ワンツー。サントスもスタンドで下がらない。しかし腹にヒザを入れたディチェバ。カーフキック。前蹴りを顔面に入れる。左ミドル。左ストレート。さらにヒザ。腹にもらったがそのままタックルに入るサントス。ケージに押し込むが、ディチェバ入れ替えてヒジ。ケージを背負って動きが止まったサントス。左右のパンチを貰い動きが止まったサントス。またヒザ。さらにヒジ。タックルで凌ぐサントス。ディチェバ入れ替えて右のヒジを顎に入れる。腹にヒザ。効いたサントスにまたヒジ。左ボディ!前かがみになったサントス。さらにボディを入れレフェリーストップ!

ディチェバ、フィニッシュされたことがなかったサントスをKOし100万ドルゲット。サントスの組みにも対応し、テイクダウンされてもすぐにリカバリーしていた。組みに対応できるだけに、打撃も思い切って打ち込んでいた。強さを見せての勝利。

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【PFL2024#07】ビショップにTDを奪われるも、ディチェバがヒザ蹴り&三日月で倒し決勝進出

<女子フライ級準決勝/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
Def.1R3分54秒 by TKO
ジェナ・ビショップ(米国)

サウスポーのビショップに対し、ディチェバがプレスを掛ける。前手を伸ばすビショップが左ストレートを見せた。ディチェバも右ストレート、右三日月蹴りを繰り出した。ビショップが一気に距離を詰めると、ディチェバは下がってサウスポーへのスイッチも見せる。ビショップがパンチを振りながら飛び込み、ディチェバをケージに追い込みダブルレッグから両足をすくい上げて背中を着かせた。ディチェバはケージ際でガードに戻す。足を上げて三角をセットアップか。しかしケージに背中を着けて立ち上がり、左腕を差し上げてビショップをケージに押し込んだ。

ビショップがワキをくぐって切り返し、さらにバックに回った。ここはディチェバが離れて、打撃の圧力でビショップにケージを背負わせる。ケージ中央で首相撲からヒザ蹴りをボディに突き刺すディチェバ。続けて顔面に右ヒザを突き上げると、ここでビショップが倒れるもレフェリーはストップせず。スタンドの戦いを促したディチェバが、立ち上がったビショップに右三日月蹴りからラッシュをかける。ビショップがダウンすると、遂にレフェリーが試合を止めた。

試合後、ディチェバは「ジェナを含めて皆、色んなことを言っていたけど──見ての通りよ。ファイナル? 退屈な判定決着にはさせないわ」と語り、決勝で対戦するタイラ・サントスとのフェイスオフが行われた。


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PFL2024#7:メインカードオッズ

デニス・ゴルツォフ 1.14
ティム・ジョンソン 5.25
ダコタ・ディッチェバ 1.20
ジェナ・ビショップ 4.25
タイラ・サントス 3.50
リズ・カモーシェ 1.28
オレグ・ポポフ 1.36
リントン・ヴァッセル 3.05

PFLプレーオフ1週目はヘビー級&女子フライ級のトーナメント準備期間が試合がメインカードで組まれている。プレリムは通常のワンマッチ。

ヘビー級は元Belltor暫定王者モルダフスキー、Bellator10位ポポフ、PFL5度目の出場となるゴルツォフらロシア人ファイターと、UFC・Bellatorをリリースされローカル落ちしていたが、欠場選手の代役で2戦目だけに出場して決勝トーナメント進出を決めたティム・ジョンソンの4人。ポポフ vs. モルダフスキーのロシアンBellator対決は、元暫定王者モルダフスキーよりもポポフがフェイバリット

女子フライ級は無敗のロシアンストライカーでPFL激推しのディッチェバと、36歳でMMAデビューした元トップグラップラーのビショップ、新旧UFCランキング1位のサントス vs. カモーシェの組み合わせ。予選は明らかにワンランク落ちる相手に勝ち上がったディッチェバが大きくフェイバリットになっているが、ビショップもリーグ戦ではサントス相手にテイクダウンしてグラウンドに持ち込んだ後は圧倒していたので、どちらか自分の土俵に持ち込むことが出来た方がそのまま試合を決めるか。

第1試合開始は7日朝7時。10時開始のメインカードから速報します。

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【PFL2024#07】プレーオフ開幕!! 女子フライ級準決勝はカモーシェ✖サントス&ディチェバ×ビショップ

【写真】決勝に残るのは── (C)PFL

2 日(金・現地時間)テネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムでPFL2024#07が開催される。レギュラーシーズンを終え、今大会からプレーオフが開始されヘビー級と女子フライ級の準決勝が4試合組まれた。
Text by Manabu Takashima

レギュラーシーズンのランクから1位と4位、2位と3位が戦うセミファイナルはヘビー級がデニス・ゴルソフ×ティム・ジョンソン、オレッグ・ポポフ×リントン・ヴァッセルの2試合。女子フライ級はダコタ・ディチェバ×ジェナ・ビショップ、タイラ・サントス×リズ・カモーシェという顔合わせとなっている。


女子フライ級を実力で引っ張ってきたのは、間違いなくカモーシェだ。初戦はジュリアナ・ヴェラスケス、2戦目は渡辺華奈との激闘の末、腕十字で下し準決勝進出を決めた。対するUFCからPFL転じたサントスは初戦でデニス・キルホンツの代役イララ・ジョアニをRCNで一蹴してクイックシックス獲得も、2戦目ではビショップにスプリット判定と僅差で勝利をモノにしている。

一方、メディアデーでカモーシェ、サントス共に対戦相手よりもディチェバに関する質問の方が多かったように、レギュラーシーズンで常に話題の中心にいたのはディチェバであることは間違いない。同時にメディアやファイターからも彼女がプロテクトされている声は絶えることなく聞かれたが、ケージのなかでのパフォーマンスは圧巻。見事なボディショットを決めてリサ・マールディン&チェルシー・ハケットを倒し、その力強さでプロテクトされなくても強いのではないか──という風に見方を変えさせてきたのも事実だ。

そんなディチェバへの評価がカモーシェとサントスで割れたのも印象深い。ここは自分たスプリットだったビショップ押しのサントス、そしてディチェバのバリューを決勝で奪い取るというカモーシェの思惑が見え隠れする。

いずれにせよ、今週末の試合が事実上の決勝戦という意識を両者が持つなか、シーズンと違ってプレーオフはボーナスポイントがないという一面を忘れてはならない。シーズン中は多少のミスがあっても、アグレッシブに攻め合うために攻撃的な面がより重要だった。ただし、ボーナスポイントがないフィールドでは、ミスを少なくして戦うことは欠かせない。レギュラーシーズンの2試合と違い、ミスをチャラにする場面は準決勝では少なくなることは間違いない。

勝てば官軍のトーナメント戦だけに、攻めと防御のバランスが過去2試合とは違ってくる中で、Bellatorで戦うようになり、常にアグレッシブに戦った来たカモーシェの気持ちが、攻撃だけでなく防御面でも強度を上げることができるのか。この辺りがキーポイントになりそうだ。

もう一つの準決勝=ディチェバ×ビショップ戦の行方を占うと、如何にビショップがディチェバに組みついてテイクダウンを奪えるのか。これまでのようなスラッピーな打撃で踏込み、勢いで制するというやり方は厳禁──頭が下がり、腹が守れない組みのセットアップでは、ディチェバの標的になるだけだ。

組みつくタイミングをしっかり見極めることができるだけ、ディチェバとの打撃に対する防御&耐久力があるのか。また組んで、すぐに自分の形に持ち込みテイクダウンを奪えるのか。倒した後のコントロールと同様に、この2つの局面はディチェバの総合力が問われる。そんな準決勝となろう。

以下、メディアデーでカモーシェ、サントス、ディチェバでのコメントだ(※要約)。

リズ・カモーシェ
「カナとの試合は寝技でのポジションを凄く考えた。彼女の形でスタンドで戻ると柔道の投げ技で頭から落とされるから。

まずはタイラに勝つこと。それが今のゴール。正直なところ、タイラはこのシーズンでトップの動きをしてきた。私と彼女は別々のブラケットに入るべきだった。彼女との試合こそ本当の意味でタイトルファイトであり、もっとも困難が伴う戦いになるはず。

ダコタはこれまでキャリアの少ない相手と戦ってきたけど、今回の準決勝でようやく同じような戦績の選手と戦う経験をすることになった。でも最終的には彼女は私と戦うことになるでしょうね」

タイラ・サントス
「スタイル的にも良い試合になると思うけど、フィニッシュして勝てる。チャンピオンに近づいてることは夢が現実になりつつある。今年は2試合をして、その間の練習というコンビネーションで成長することができた。

PFLではしっかりと選手をプロモートをしてくれている。以前に属していた場所では、そういうことはなかった。でも、それがプロモーターのやるべきことで、ファイターは戦うことが仕事だから。

もう一つの準決勝ではジェナが勝つだろうけど、私はダコタと戦いたい」

ダコタ・ディチェバ
「毎試合同じだけど、試合のたびに成長をしてファンが喜ぶパフォーマンスで魅せることが大切。

ハイライトリール・フィニッシュを狙うわ」

■視聴方法(予定)
8月3日(土)
午前6時45分~U-NEXT

■ PFL2024#07対戦カード

<ヘビー級準決勝/5分3R>
デニス・ゴルソフ(ロシア)
ティム・ジョンソン(米国)

<女子フライ級準決勝/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
ジェナ・ビショップ(米国)

<ヘビー級準決勝/5分3R>
オレッグ・ポポフ(ロシア)
リントン・ヴァッセル(英国)

<女子フライ級準決勝/5分3R>
タイラ・サントス(ブラジル)
リズ・カモーシェ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タイレル・フォーチュン(米国)
セルゲイ・ビロシチェニ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
アレクセイ・パーガンデ(米国)
ダニエル・ボーハル(米国)

<フェザー級/5分3R>
コディ・ロウ(米国)
ザッカリー・ヒックス(米国)

<ライト級/5分3R>
セルヒオ・コシオ(メキシコ)
デドレック・サンダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ジャリール・ルイス(米国)
アンソニー・アイビー(米国)

<ウェルター戦/5分3R>
ケヴィン・ピース(米国)
ニック・メック(米国)

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PFLが8月に開催するプレーオフ3大会の日程を発表



 PFLが8月に開催するプレーオフ3大会の日程を発表。

 8月2日にテネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムで開催する『2024 PFL 7』はヘビー級と女子フライ級のプレーオフが行われ、デニス・ゴルツォフ vs. ティム・ジョンソン、ダコタ・ディチェバ vs. ジェナ・ビショップ、オレッグ・ポポフ vs. リントン・ヴァッセル、リズ・カモーシェ vs. タイラ・サントス等が行われます。

 8月17日にフロリダ州ハリウッドのハードロックライブで開催する『2024 PFL 8』はライトヘビー級とライト級のプレーオフが行われ、インパ・カサンガナイ vs. ジョシュ・シルベイラ、ロブ・ウィルキンソン vs. ドブレトジャン・ヤグシムラドフ、ガジ・ラバダノフ vs. マイケル・デュフォート、ブレント・プリムス vs. クレイ・コラード等が行われます。

 8月23日にワシントンD.C.のザ・アンセムで開催する『2024 PFL 9』はウェルター級とフェザー級のプレーオフが行われ、ブレンダン・ラフネイン vs. カイ・カマカ3世、マゴメド・ウマラトフ vs. ドン・マッジ、ガブリエル・ブラガ vs. ティムール・ヒズリエフ、シャミル・ムサエフ vs. ムラド・ラマザノフ等が行われます。続きを読む・・・
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【PFL2024#04】ディチェバが初回TKOで第一シード。準決はビショップと。そしてカモーシェ×サントス!!

<女子フライ級/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
Def.1R3分23秒by TKO
チェルシー・ハケット(豪州)

オッズは₋2800と天文学的規模で優位のディチェバ。サウスポーの構えから左右のローを蹴るディチェバが、右フック一発でダウンを奪う。立ち上がったハケットにヒザ蹴りを入れ、組みに行く。両ワキを差したハケットが逆にケージに押し込み、バックを伺う。半身で耐えるディチェバは、胸を合わせてヒザを狙う。肩を押し付けるハケットだが、前腕でスペースで創られるとヒザからパンチを被弾する。

距離を取り直したディチェバが右前蹴りを顔面に。続いてヒザをボディ、間合いを取り直してサウスポーに戻すと左ストレートへ。これは空振りとなったが、組んでダーティボクシングからヒザ蹴り、パンチのラッシュを掛けて左ボディショットを決める。崩れたハケットを見て、レフェリーが試合をストップ、2試合連続のクイックシックスを達成したディチェバは合計12Pとして、プレーオフ第一シードを座を獲得。準決の相手は4位のジェナ・ビショップに。もう一つの準決勝は2位のタイラ・サントス×3位のリズ・カモーシェに。もう、見事過ぎるとしか言えないPFLの手腕だ。


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45 MMA MMAPLANET o PFL PFL2024#04 UFC ジェナ・ビショップ タイラ・サントス リズ・カモーシェ 渡辺華奈

【PFL2024#04】PFLの匙加減、ズバリ!! 2位と3位の対戦は、サントスがビショップ下すも9点止まり

<女子フライ級/5分3R>
タイラ・サントス(ブラジル)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
ジェナ・ビショップ(米国)

距離をすぐに詰めて右ミドルハイを見せたサントスが、左右のフックで前に出る。組んだビショップだが、逆にケージに押し込まれる。小外をかわし、体を入れ替えたビショップ。ケージ際で、ポジションの入れかわりが続く。サントスの首相撲に、ビショップはレベルチェンジでダブルレッグからバックに回る。サントスは即、正対してついに小外刈りでテイクダウンに成功。クローズドガードからハイガードを狙ったビショップに対し、サントスは胸を張って勢いのあるパンチを落とす。

頭を下げて鉄槌に切り返したサントスをビショップが下から殴る。サントスは振りかぶって右パウンド。ここからボディを連打されも、クローズドを開かないビショップはラウンド終了までボトムに居続けた。

2R、左を伸ばすビショップに対し、右インローを蹴るサントス。両者、荒い打撃戦のなかでサントスがヒザをボディに入れる。腹を蹴られた状態でクリンチに持ち込んだビショップが両ワキを差して、ケージにサントスを押し込む。ダブルレッグに切り替えたビショップ、サントスは尻もちをつかされて即スクランブル。レッスルアップからボディロックも、ビショップは腰の乗せて投げを狙う。ビショップは左腕を差して、ケージに押し込んでいたが、体を入れ替えられる。

ランク2位と3位の力のこもった攻防、元UFCタイトルコンテンダーは結果的にボディロック&小外で倒し、サイドで抑える。足を戻し、ラバー狙いのビショップは疲れがうかがえる。サントスもガードの中で息を整え、一旦はボーナスPは除外し勝利を目指すという心境か。サントスは初回と同様にトップで、ラウンドを戦い終えた。

最終回、左カーフのサントスが右ミドルを蹴る。ビショップが左に回りつつワンツー。ローから右を狙うサントスに、果敢にワンツーを振るい組もうとする。サントスも左に回りながら、ジャブを伸ばし右前蹴りへ。ビショップも左で打っていくが、サントスがカウンターを合わせる。さらに三日月を入れたサントスが、右インロー。ビショップのワンツーフックに組みつくと、ケージ押し込む。とビショップは逆に大内刈りでテイクダウンを決めると、マウントを奪う。鉄槌に背中を見せたサントスは、ボディトライアングルに捕えれるもアゴの上からRNCは防御する。

やや背中がずれており、絞めをセットしきれないビショップは残り30秒で胸を合わされる。ハイガードも防がれたビショップは、逆転一本勝ちの機会を失いタイムアップに。6P獲得同士の潰し合いは、意外にもスプリットに割れたがサントスに凱歌が挙がった。

結果、サントスが9Pで暫定首位、ビショップは6Pのまま──渡辺華奈とリズ・カモーシェは3Rフィニッシュ勝利でプレーオフ進出が確定する。PFLのスクリプト、いやマッチメイクの秀逸さが分かる流れとなった。


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【PFL2024#04】プレーオフ進出へ、カモーシェと再戦。渡辺華奈「リーグ戦を超えた大きな意味を持つ」

【写真】ポジティブな空気と日差しの恩恵を受けているような渡辺。良い空気感です (C)TAKAO UEDA

13日(木・現地時間)、コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナでPFL2024#04が開催される。今大会ではヘビー級と女子フライ級でシーズン2戦目が実施され、渡辺華奈とリズ・カモーシェが対戦する。
Text by Shojiro Kameike

PFL2024年シーズンの初戦となった今年4月のシェナ・ヤング戦では、計量オーバーの相手に判定勝ちを収めて3Pをゲットした。プレーオフ進出を賭けた2戦目で、3年前に敗れているリズ・カモーシェと対戦することに。ここでまさかの再戦が実現するとは――改めて渡辺にPFL初戦の感想と、念願ともいえるカモーシェ戦への想いを訊いた。


『まさかココで当たるのか』と(苦笑)

――今回がPFL2戦目となります。4月の初戦では、まず対戦相手であるシェナ・ヤングに計量オーバーがありました。ペナルティとしてヤングはリーグ戦のポイントがマイナス1、そしてファイトマネーの一部が渡辺選手に与えられる……そこはリーグ戦のポイントが与えられないのかと思いました。

「そうなんですよ。相手がマイナス1ポイントなら、そのポイントを私に欲しかったです(笑)。相手がマイナス1ポイントだと、私以外のファイターも得するわけじゃないですか。私は体重オーバーの相手と戦うことで損をするのに」

――ファイトマネーの一部を貰えても、その金額が何百万円になることは稀でしょう。一方、優勝賞金100万ドルが賭かっているわけで。

「アハハハ、ファイトマネーの額なんて選手によって違いますしね。でも、そういうルールなので仕方ないと思うことにはしましたけど。柔道だとトーナメントで計量オーバーだと、その時点で終了ですよ。でもこの試合だけキャッチウェイトで、リーグは引き続き出場できるんだなって(苦笑)」

――試合で相手の計量オーバーの影響、たとえば「重いなぁ」と感じましたか。

「若干ですけど『重いな』って感じました。でも思っていたほどは重くなかったです。ヤングが上になった時、いつもの試合よりも相手が重いなと感じたぐらいですね」

――相手がギリギリまで体重を落としているか、それとも途中で諦めているかによっても、試合当日に何キロ戻っているかも変わってくるように思います。

「計量前日、ヤングのSNSを見たら『63キロあり、今から地獄の減量が始まる』みたいなことを書いていたんですよ。その投稿からSNSが更新されずに……だから計量当日は『やりやがったな』と思いました(苦笑)」

――それでも試合は出場できますし、海外の場合は『試合が成立したのだから何なの?』という割り切り方も凄いです。良くも悪くも、それが海外で戦うということなのだなと。

「凄いですよね。最近はビックリするぐらい、MMAでも計量オーバーが多いじゃないですか。選手も『お金を払えば良いんでしょ』みたいな感じで」

――柔道というオリンピック競技をやってきた渡辺選手からすると信じられませんか。

渡辺が125.75ポンド、カモーシェが126ポンドで計量クリア。左が本計量、右がセレモニアル。渡部はメイクが変わったぐらいしか変化がない? 対してカモーシェの腰回りにリカバリー感を感じるのは考え過ぎか(C)PFL

「信じられないです。

私たちの時代は、計量オーバーだと試合に出場できないのはもちろん、日本では一発で全日本強化選手から外されていました。柔道も今は大会前日の夜に計量が行われていて。でも大会当日にランダム計量があるんですよ」

――ランダム計量とは、大会中に抜き打ちで計量が行われるのですか。

「試合直前に各階級で何人かランダムに選ばれて計量するんです。『自分の階級の5パーセントまでしか増やしてはいけない』というルールがあって。だから体重を戻そうとリカバリーもできないし、過度の水抜きもできないです。水抜きをすると、どうしても大幅に体重が戻ってしまうことがありますからね」

――MMAと柔道、プロとアマを単純に比較することはできませんが、それがオリンピック競技に臨む選手たちの考え方なのですね。

「柔道では水抜きをしている選手はいないと思います。最後の1キロとかはあるかもしれないけど、MMAファイターのように3~5キロを水抜きで落とすことはないですね。自分も今でも、それほどの水抜きはやっていないです。試合が決まった時から減量を開始して、2カ月ぐらい掛けて落としていきますから。

私もMMAを始めて一度、体重調整では大変だった時があったんですよ。ホテルにバスタブがなかったり、アップ会場もメチャクチャ冷房が効いていて。その時は試合間隔が短くて減量も大変でした。それ以降は結構、余裕を持って体重を落とすようにしています」

――いつ試合があるか分からないのも大変ですが、PFLのように短いスパンで定期的に試合があるのも難しいのですね。どちらが適しているのかも人によって違うようですし。

「自分の場合は、試合間隔が空いていたほうが良いんです。今回は4月の次に6月なので、減量という減量はせずに体重を維持していました。前回の試合が終わって、帰国後からすぐに練習を開始して。しかも追い込み練習をしていたので体重も増えなかったです」

――なるほど。PFLの話に戻すと、3Pスタートという点については…。

「やはり6Pを取っておきたかったです。1Rから狙いに行って、まず1Rで極めることができなかった。2R、3Rも取り切れず、消耗してどんどん極めづらくなっていきました。相手のディフェンスも巧かったですね。細かいポイント――たとえばバックコントロールの時の位置などをズラされていました。

ただ、ぶっちゃけポイントについては、そこまで深くは考えていなかったです。PFLのフォーマットとしてリーグ戦であり、プレーオフはトーナメントですけど、自分にとってはあくまで一つの試合であって。あまり周りのことは考えず、自分のベストを尽くすことを考えていました。だから一つの試合として考えて、一本を取れなかったことが悔しいです」

――続く2戦目の相手が、リズ・カモーシェになると思っていましたか。

「できればプレーオフ決勝で当たりたかった――とは思います。プレーオフまではリーグ戦だけど総当たりではない、という時点でどうなるかは分かりませんでした。それにしても『まさかココで当たるのか』と(苦笑)」

――初戦で渡辺選手もカモーシェも3Pを獲得しています。対して上位3人はいずれも6Pという状況のなか、3P同士を当てるとは……。

「もう主催者のさじ加減ですよね(苦笑)。潰し合いさせられているのかな、とは思います。あわよくば二人とも消えてほしいのかな――って。完全に推されている選手が一人いるじゃないですか。みんな『今回のマッチメイク、どうなの?』と言われることも多くて。

私とカモーシェが試合をして、どちらが勝つにせよ判定決着なら3P……合計6Pでプレーオフに進めない可能性が高いです。ここで負けても6P、という選手もいますからね。0P同士の試合もあるし、なかなか面白いですよ(笑)」

――渡辺選手とすれば、次は6Pの選手と対戦すると思いますよね。

「はい、6Pの選手と試合したかったです。それがまさかのカモーシェが相手で」

ジムの仲間たちに『このジムで頑張っていたら世界でも通用するんだ』と思ってもらえるよう

――次の試合はクイックシックスでないと、プレーオフ出場は厳しくなります。もちろん上位3選手の試合内容次第ではありますが。

「私もカモーシェも、フィニッシュしないといけない。当然クイックシックスのことも頭にはあります。でもそれ以上に、私の中ではリーグ戦を超えた大きな意味を持つ試合なので。この試合に全てを賭けるつもりでやってきました。フィニッシュを狙うことはもちろんですけど、何が何でもカモーシェに勝つという気持ちのほうが強いです」

――Bellator時代とPFL時代で、カモーシェのファイトに変化はありましたか。

「ヴェラスケス戦ではクイックシックスを狙っていたことも大きいのでしょうけど、雑なところが多いと思いました。あとは今までの試合を視ていると、下になると苦手ですよね。上になると強いけど、テイクされて下になると巻き返せなかったりすることもある。そこがウィークポイントかなと思っています。あとはカモーシェ自身が前に出て来るので、逆に前に出て来る相手も嫌なのかもしれません」

――対して、渡辺選手は初戦から何が変わりましたか。

「全部ですね。変わっていないところがない、というぐらいですよ。打撃もまず構えから変わっていて、レスリングのテイクダウンも向上してきたので。

3年前、カモーシェに負けて『もっと打撃をしっかりやらないといけない。テイクダウンもバリエーションを増やさないといけない』と思って、ここまでやってきました。……とにかく組みたいです。前回は組めなかったので。組んでカモーシェの強さを感じたいです」

――3年前は1ラウンド35秒TKO負けで、渡辺選手としては『出し切れなかった』という想いが強いですか。

「それは強いです。内容は何も言えないぐらいの完敗でした。同時に自分がやってきたことを出し切れなかった悔しくて、そこからマインドを変えたんです。勝つことはもちろん、出しきる。出しきったうえで負けたら、それは仕方ないから。とにかく自分がやってきたことを出し切る、ベストを尽くすというマインドに変えてきました。

この試合に関しては、いろんな想いがあります。日本で練習していては海外で勝てない、という人もいるじゃないですか。海外では練習していない自分が勝つことで、日本で格闘技をやっている人たちが『日本で練習していても勝てるんだ』と思ってもらいたい。特にジムの仲間たちに『このジムで頑張っていたら世界でも通用するんだ』と思ってもらえるような、道になりたいです。日本のMMAを明るくできるように、全力を出し切って勝ちます」

■視聴方法(予定)
6月14日(金)
午前6時15分~U-NEXT

■ PFL2024#01対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
ヴァレンティン・モルドフスキー(ロシア)
リントン・ヴァッセル(英国)

<女子フライ級/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
チェルシー・ハケット(豪州)

<ヘビー級/5分3R>
デニス・ゴルソフ(ロシア)
チアゴ・マヘタ・サントス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
リズ・カモーシェ(米国)
渡辺華奈(日本)

<女子フライ級/5分3R>
タイラ・サントス(ブラジル)
ジェナ・ビショップ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
オレッグ・ポポフ(ロシア)
デヴィオン・フランクリン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
マルセロ・ゴルム(ブラジル)
タイレル・フォーチュン(米国)

<女子フライ級/5分3R>
イララ・ジョアニ(ブラジル)
シェナ・ヤング(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ダニーロ・マルケス(ブラジル)
ティム・ジョンソン(米国)

<女子フライ級/5分3R>
リズ・カモーシェ(米国)
リサ・マールディン(米国)

<女子フライ級リザーブ戦/5分3R>
スミコ・イナバ(米国)
サライ・オロスコ(メキシコ)

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【PFL2024#04】シーズン2戦目、渡辺華奈戦へ。リズ・カモーシェ「カナから3Pを取るのは難しい」

【写真】非常に朗らか。ソフトな口調で、笑顔を絶やさす言いたいことは言ってくれるリズ姉でした!! (C)MMAPLANET

13日(木・現地時間)、コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナでPFL2024#04が開催され、ヘビー級と女子フライ級でシーズン2戦目が実施され、リズ・カモーシェが渡辺華奈と対戦する。
Text by Manabu Takashima

4月のシーズン初戦でジュリアナ・ヴェラスケスとの3度目の対戦を制したカモーシェだが、シェナ・ヤングを下した渡辺と同様に判定勝ちで獲得ポイントは3に留まっている。フィニッシュ重視、ボーナスポイント制を敷くPFL。初戦で彼女たち以外の勝者は初回フィニッシュ勝利を挙げており、6Pを獲得している。結果、カモーシェはプレーオフ進出圏内ギリギリの4位で、渡辺は5位という状況にある。判定勝ちでは計6Pまでしか積み上げがなく、他の試合結果にもよるが2人揃ってボーナスP──つまりフィニッシュが必要な状況に置かれている。

3年前に対戦経験のある両者、前回の試合ではカモーシェが僅か35秒で渡辺を下している。しかし、その後の渡辺の成長を誰よりも認めているのがカモーシェだった。ファイティング・エンタータイメント、公平性に欠く面も見られる渡辺との再戦を前にカモーシェに話を訊いた。


与えられた相手──つまりカナに勝つしかない

──ハロー、リズ。

「オハヨウゴザイマス」

──おはようございます(※取材は日本時間で5月29日の午前3時に行われた)。リズ、渡辺華奈選手と2週間後に戦います。今の調子を教えてもらえますか。

「心身ともにとても良い状態よ。カナのような才能があって尊敬すべき選手と戦えるのだから、凄く楽しみで。彼女とケージをシェアできることは光栄の一言ね」

──4月のジュリアナ・ヴェラスケス戦はしっかりと勝利を手にしましたが、PFLのシーズンフォーマットはポイントを頭に入れないといけません。特にリズは女子フライ級の最終試合で、既に3人の勝者がボーナス3Pを手にしていました。

「そうね(微笑)」

──この状況で、とにかく勝負を急いでいるようにも見えましたが……。

「私はこのシーズンフォーマットは気に入っているわ。フィニッシュを狙うということは、判定勝ち狙う試合よりもエキサイティングなモノになるから。ポイント制がファイターをよりプッシュするのも良いこと。ただし、このプレッシャーがストレスにもなるのは確かよ。

前回の試合が15分間続いてしまったことに関しては、納得していないわ。どのラウンドでも私はフィニッシュを狙っていたけど、できなかった。だから、今回のカナとの試合は少しでもポイントを多く取れる試合にしないと」

──対戦相手もフィニッシュを狙ってくると、逆にフィニッシュできるチャンスも増えます。対して、相手がサバイブに徹するとボーナスポイントを獲得することが難しくなります。

「私はUFCを離れてからは、以前よりずっとフィニッシュするというプレッシャーを感じて戦ってきたわ。UFCでは5試合で勝ったけど、4試合が判定勝ちだった。それがUFCをカットされた原因だと思っている。私にはフィニッシュが必要だった。Bellatorで戦うようになって、全ての試合でフィニッシュをすると強い気持ちで戦っているわ。

それもあってBellatorがPFLに買収されても、私は契約が切られることはなかった。より強い気持ちで、フィニッシュして勝とうと戦ってきたから」

──そんなシーズンフォーマットも2試合しかないので、ボーナスポイントの獲得を考えると、リズがジュリアナ・ヴェラスケスと初戦で戦うのは、不公平のように見えました。

「アハハハハ」

──個人名を挙げるのは避けますが、PFLは明らかにプレーオフ進出を期待しているファイターがいますね。

「アハハハハハ。まず、ジュリアナと3度目の戦いが初戦で組まれたことは凄く驚いたわ。彼女もずっとBellatorで戦ってきて、PFLのシーズンに参加するだろうと思っていた。でも、私の対戦相手になるということは頭になかったの。ファンの注目を集める試合だったら、カナかタイラ・サントスになるんじゃないかと予想していて。だからジュリアと3度目の対戦が組まれた時は、本当に驚いたわ。

多くの人が私とジュリアナのマッチアップは、アンフェアだと感じていたはず。そして、2戦目で私とカナが戦うことに関してもね(笑)。でも私たちは絶対に勝たないといけないし、フィニッシュしないといけない。より興味深い顔合わせになったという考え方もできるわ。そういう試合で勝てば、満足度も高くなるということを合わせて考えてもね」

──とはいえ、プレーオフのトーナメント戦ではランキング1位とランキング4位が戦い、2位と3位が戦う。そこをベースに2試合も1位と10位が戦い、2位と9位が戦う。5位は6位と──というような感じで組まれるという話も聞かれていました。

「それだと私は7位のチェルシー・ハケットと戦い、カナはジュリアナとの試合になったということね」

──ハイ。ところが蓋を開けてみると、リズが5位の渡辺選手と。ばかりか2位のタイラ・サントスは3位のジェナ・ビショップと潰し合う。でも1位のダコタ・ディチェバは7位とチェルシー・ハケットが相手になりました。まぁ、全く公平性はないですよね。

「アハハハハハハ。ホンットにそうね。私も困惑したわ。でも、こういうものなのよ。ポイントシステムとかランキングシステムって、ポイントや順位が別に反映されないもので。レスリングでも、凄く似ている状況だったし。拮抗した試合を組もうとするところは、レスリングのトーナメントととても似ているわね。だからそこの文句を言ってもしょうがないし、私がコントロールできるモノでもない。だからこそ、与えられた相手──つまりカナに勝つしかないわけで」

フィニッシュを狙うだけ。それこそが今の私のファイトスタイルだから

(C)BELLATOR

──前回の渡辺選手との試合は3年前、35秒で勝利しました。

あの敗戦後の渡辺選手の成長について、どのように感じています。

「カナは本当に強くなっている。あの時のような試合になることは絶対ないと、私も気を引きしめているわ。カナはそれだけの結果を残してきたし、判定負けした試合も私からすれば彼女が勝っている試合だった。おかしな裁定で、負けたに過ぎない。

カナはスタンドが成長することで、グラウンドもリラックスして戦えているし、元々のベースだった柔道までもがMMAでより強くなっている。苦手な部分と、得意だった部分が揃って成長できるファイターって本当に少なくて。でも彼女はソレがきている。だからこそ、前回のようにはいかないという覚悟を持っているわ」

──ただし、この試合は両者とも3Pでは十分でないという状況で戦うかもしれないです。もちろん、それまでに終わっている他の試合の結果にもよりますが。

「私はフィニッシュを狙うだけ。でもカナから3Pを取るのは難しいと思っている。それでも2Rでも、3Rでもフィニッシュを狙う。それはポイントを取るためだけでなくて……結果としてボーナスポイントを得てプレーオフに近づけるだろうけど、それこそが今の私のファイトスタイルだから。Bellatorに移ってから、前回の試合まで判定勝ちは2度しかしていないように。

その2つの試合相手はヴェネッサ・ポルトとジュリアナだったけど、彼女たちは勝負どころで勝負を避ける。そういう試合をしてきたから判定になってしまった。でもカナもフィニッシュを狙ってくるから、今回の試合は判定にはならない。試合を終らせる、フィニッシュするわ」

──ポイントを狙うのは渡辺選手も同じでしょう。その上で打撃だけでなく、組みの面も踏まえて防御面の大切さをどのように考えていますか。

「テイクダウンからネガティブ・トップという試合になることが、一番嫌がれると思う。と同時に、カナが私に打撃戦を仕掛けることはないはず。立ち技でも寝技でもアドバンテージは私にある。それを証明するファイトにしてみせるわ」

──自信は十分過ぎるほどある……ようですね。

「カナほど成長著しいファイターはいないわ。でも、勝つのは私。それは、前の試合からの成長度合は私の方が上だと思っているから」

──日本人ファンとしては、リズと渡辺選手のファイトはファイナル、せめて準決勝で見たかったという心情かと思います。

「私もそうよ。カナとは決勝で戦いたかった。本当に彼女のことをリスペクトしているから。それに私は沖縄で育った。ファイナルで日本をバッグラウンドに持つ2人が戦うことで、あの素晴らしい、ファイターをリスペクトする文化を世界の人達に伝えることができたはずだから。

でも、私たちの試合がファイナルで行われることはない。私がファイナルに進んでも日本の一部を共有している人間……沖縄で成長し、日本のカルチャーが体に沁み込んでいる人間が決勝を戦うんだと思って、日本のファンの皆には楽しんでほしいと願っているわ」

■DEEP Tokyo Impact2024#03視聴方法(予定)
6月14日(金)
午前6時15分~U-NEXT

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PFL2024#4:オッズ/予想と展望

PFLで一番面白いリーグ2戦目。試合中、リアルタイムで決勝トーナメント進出者が決まっていく。試合順も重要で、最初の方の試合はとにかく早いフィニッシュ勝利が必要となるが、後になるほど得点状況が確認できるので、決勝進出を見据えた戦術が取れる。場合によっては、「負けても決勝進出」「勝っても予選敗退」といった消化試合が発生することもあるが。

わかりやすくするため、実際の試合順ではなく階級ごとにオッズを紹介。

ヘビー級 

(B)ワレンティン・モルダフスキー 6点・1位 1.59
(B)リントン・ヴァッセル 0点・6位 2.40
(P)デニス・ゴルツォフ 4点・4位 1.25
(P)チアゴ・サントス 0点・新 4.00
(B)マルセロ・ゴルム 0点・6位 2.45
(B)タイレル・フォーチュン 0点・新 1.57
(B)オレグ・ポポフ 5点・2位 1.36
(B)ダヴィオン・フランクリン 0点・新 3.15
(P)ダニーロマルケス 0点・新 2.35
(N)ティモシー・ジョンソン 0点・新 1.61
欠場
(B)ダニエル・ジェームス 5点・3位
(B)セルゲイ・ビロステニー 3点・5位
(N)ブラゴイ・イヴァノフ 0点・6位
(B)スティーブ・モウリー 0点・8位
(P)アンテ・デリヤ 0点・10位

ヘビーはなんと半分の5人が欠場。試合間隔が短く、フィニッシュ決着が多かったので、初戦のダメージで出場できない場合があるのは仕方ないが。初戦勝った3位ジェームス、5位ビロステニーも欠場しているため、2戦目からの出場となる新規参戦組にも十分決勝進出の可能性が残されている。なんなら敗退したとしても、決勝トーナメント進出者が欠場して代役で100万ドル獲得の機会を得る可能性もある(欠場した場合は、リーグ戦次点の選手の勝ち上がりとなる)ので、ヘビー級はチャンスが多い階級と言える。また、欠場したダニエル・ジェームスが1戦目の5点のみで勝ち上がる可能性も残されている。

1位のモルダフスキーは実はほぼ勝ち上がりが決まっていて、マルセロ・ゴルムがモルダフスキーの初戦の勝利タイム(2分17秒)より短い時間で勝たない限り、最低でも4位に入るし、2位ポポフと4位ゴルツォフが負ければ、その時点で決勝トーナメント進出が確定する。

しかしモルダフスキーの初戦の相手はヴァッセル。両者はBellatorで2度対戦して1勝1敗で、昨年3月の試合ではヴァッセルが1RKO勝ちしている。初戦負けているヴァッセルが、決勝進出のために最初からハイペースで攻めてくる可能性がある。リベンジ戦でもあるし、仮に消化試合になったとしても、モルダフスキーとしては気が抜けない試合となる。

2戦目からの代役出場となるティモシー・ジョンソンは、2021年にBellatorで当時の暫定王者モルダフスキーのタイトルに挑戦したことがある(判定負け)が、昨年リリースされて、PFLには移管されなかった。同じく代役出場となるチアゴ・サントスは本来ライトヘビー級で、TUFブラジルにはウェルターで出場していた選手。ヘビー級の試合は初。

2位ポポフ・4位ゴルツォフは、内容にかかわらず、勝てば決勝進出が決まる。相手にも恵まれているので、勝ち上がる可能性が高いか。あとはアンダーカードでも、早くフィニッシュするほど勝ち上がりの可能性が高くなってくる。

女子フライ級 

(P)ダコタ・ディッチェバ 6点・1位 1.08
(P)チェルシーハケット 0点・7位 10.00
(B)リズ・カモーシェ 3点・4位 1.33
(B)渡辺華奈 3点・4位 3.40
(N)タイラ・サントス 6点・2位 1.42
(B)ジェナ・ビショップ 6点・3位 3.05
(B)イララ・ジョア0点・8位 1.67
(P)シェイナ・ヤング -1点・10位 2.20
(B)ジュリアナ・ベラスケス 0点・6位 1.33
(P)リサ・モールディン 0点・9位 3.40

ヘビー級と対照的に、女子フライ級は欠場者ゼロで、全員がリーグ戦2戦目に臨む。決勝進出ラインの上位4名のち3人は初戦1Rフィニッシュ勝利。6点獲得の3人は、勝てば決勝トーナメント進出が確定する。

1位はPFLが露骨にプッシュしているディッチェバで、ストライカーだが、ここまではまだレベルが高い相手との対戦経験がない。今回の相手はキック世界王者のハケットで、もっとも相性がいい相手。そのため、オッズも今大会一番の大差でフェイバリットとなっている。ディッチェバの勝ち上がりは固い。

続く2位サントスと3位ビショップは直接対決。しかし、ビショップはMMA7戦全勝とは言っても、36歳でMMAデビューしてキャリア2年。柔術・ノーギで活躍してきた選手で、ディッチェバ同様、MMAのトップとは対戦経験がない。初戦もグラウンドに穴があるハケットが相手だから1Rでフィニッシュできたようなもの。元UFCランキング1位のサントス戦が、初めてMMAでの実力を試される試合となる。

ボーダーライン上の4位カモーシェと5位渡辺は直接対決。カモーシェは初戦がBellatorランキング1位のベラスケスとの対戦で、2戦目がBellatorランキング2位の渡辺と、もっとも厳しいマッチアップとなっている。前回3年前の対戦では、パンチのディフェンスに難がある渡辺に序盤からパンチを打ち込んだカモーシェが秒殺KO勝ち。打撃のスキルについては度々疑問視されてきた渡辺だが、リベンジを果たすには前回からの相当な向上がないと厳しい。

得点争いのカギとなるのが初戦でカモーシェに敗れたベラスケスで、2戦目の相手は初戦でディッチェバに一方的に敗れたモールディン。昨年、PFLチャレンジャーシリーズで勝って出場を決めた選手だが、正直今回の出場選手ではワンランク落ちる。もし、ベラスケスが1Rでフィニッシュ勝利した場合、カモーシェ vs. 渡辺戦が判定決着なら、得点は両者6点で同点となる。

ベラスケスが1R勝利し、カモーシェ判定勝ちの場合、タイブレーク規定の1「直接対決の勝者」により、勝ち上がりはカモーシェとなるが、渡辺が判定勝ちした場合は、タイブレーク規定3「フィニッシュ数が多い方」という規定により、決勝トーナメント進出はベラスケスとなる。ベラスケス vs. モールディン、イララ・ジョアニ vs. シェイナ・ヤングの2試合の決着が2R以降であれば、渡辺も勝てば(ほぼ)決勝進出となるため、カモーシェ vs. 渡辺戦の前に行われるベラスケス vs. モールディン戦など他の試合の結果も、戦い方に影響を与えることになる(もっとも、渡辺は試合の勝ちに徹するため、得点状況で作戦を変えたりはしないと言っているが)。

ワンマッチ

(B)スミコ・イナバ 1.25
(N)サライ・オロスコ 4.00
(N)メリッサ・バリック 1.36
(B)クリスティーナ・キャッツキズ 3.15

ワンマッチ2試合はどちらも女子フライ級。なにげにRIZIN参戦経験のあるオロスコが出ている(RIZIN.15で村田夏南子にヴォンフルーチョークで一本負け)。

第1試合開始は14日朝6時半。速報します。