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UFC311:セミファイナル・メラブ・ドバリシビリ vs. ウマル・ヌルマゴメドフ

バンタム級タイトルマッチ5分5R。ヌルマゴメドフ2位。

王者ドバリシビリは初防衛戦。スターリングが王者だった当時は、同門で友人ということもあり挑戦の機会がなかったが、スターリングを破ったショーン・オマリーのタイトルに昨年9月に挑戦。4Rまでタックルからのテイクダウンでオマリーを封じ込め、最終ラウンドにオマリーの蹴りでボディを効かされるも、逃げ切って勝利。フェザー級王者イリア・トプリアに続きジョージア人2人目の王者となった。テイクダウン数85回(13試合)はジョルジ・サン・ピエールの90回(22試合)に続くUFC史上2位。34歳。

ヌルマゴメドフは引退した従兄弟のハビブ、来週Road to Dubaiで防衛戦を行う弟のウスマンに続き、無敗での王座戴冠を狙う。強すぎるがゆえに、対戦を避けられていたため、なかなかランカーとの対戦が実現せず、前戦で初めてランカーのコーリー・サンドヘイゲンとの対戦が実現。スタンドでサンドヘイゲンのバックを奪い、スクランブルで逃れようとするサンドヘイゲンからしっかりとバックをキープし続けての判定勝ち。ムエタイのキャリアもあり、キック世界王者のサンドヘイゲン相手に打撃でも上回って勝利している。UFCではまだテイクダウンを許したことがない。29歳。

オッズでは挑戦者ヌルマゴメドフがフェイバリットとなっている。

オーソドックスのドバリシビリにヌルマゴメドフはサウスポー。前蹴りで牽制するヌルマゴメドフ。カーフを蹴ったドバリシビリ。遠い間合いで牽制する両者。ワンツーを打ち込んだヌルマゴメドフ。ドバリシビリは右オーバーハンドから組みに行く。一瞬バランスを崩したヌルマゴメドフだが、立て直して離れた。ワンツー、前蹴りを放つヌルマゴメドフ。ドバリシビリは飛び込みから左右のパンチを振る。また飛び込むと今度はタックルにつなげた。受け止めたヌルマゴメドフに対し、離れ際に右を入れるドバリシビリ。距離がつまりパンチを入れるドバリシビリにヌルマゴメドフはシングルレッグ。ドバリシビリこらえる。離れた。ヌルマゴメドフがミドルからタックルへ。受け止めたドバリシビリ。また離れ際にパンチを入れる。ヌルマゴメドフが詰めてワンツーを放つと右がヒット。一瞬ぐらついたドバリシビリ。残りわずかだが、両者距離を詰めずに様子見したまま、1R終了のホーンを聞いた。

2R。中央で構えるヌルマゴメドフ。ドバリシビリは飛び込んで右を入れるが、ヌルマゴメドフも飛び込んでの左を返す。ドバリシビリは右オーバーハンドを放ちながらニータップを狙ったが、パンチで引き剥がしたヌルマゴメドフ。ドバリシビリがパンチを入れるとタックルにつなげようとしたが、足に触らせないヌルマゴメドフ。しかしヌルマゴメドフの飛び込みに合わせてシングルレッグに。クラッチしたが、逆にバックに回るヌルマゴメドフ。バックに回って左足をフックしハーフバックでグラウンドに持ち込んだ。足のフックを解除して立ったドバリシビリ。スタンドバックから、クラッチを切って離れた。ドバリシビリがまた右オーバーハンドを放ちながらニータップにつなげるが掴ませないヌルマゴメドフ。ヒザを腹に打ち込むヌルマゴメドフ。今度はヌルマゴメドフがタックル。切ったドバリシビリ。ドバリシビリがパンチで詰める。ケージを背負ったヌルマゴメドフに四つで組み付いたが、ヌルマゴメドフが押し返して離れた。残り30秒。左ミドルから右オーバーハンドを入れたヌルマゴメドフ。ドバリシビリがパンチから組んでテイクダウンを狙うも離れたヌルマゴメドフ。2R終了。

3R。前蹴り・ジャブで牽制するヌルマゴメドフ。ドバリシビリがまた右オーバーハンドからニータップ。そのままバックを狙うが、回らせずに離れたヌルマゴメドフ。ドバリシビリの右にヒザを合わせるヌルマゴメドフ。またパンチからシングルレッグに入るヌルマゴメドフだが切られた。左右のパンチを振りながら詰めるドバリシビリ。ヌルマゴメドフがタックルに入るが切った。ドバリシビリシングルレッグ。倒した。押さえ込まずに指を指してアピールしたドバリシビリ。またタックルに入るとテイクダウン。しかしヌルマゴメドフは倒された勢いでスイープを仕掛けて立ち上がる。離れた。パンチで出たドバリシビリにヌルマゴメドフがシングルレッグ。スタンドバックに回って後方に引き込もうとするヌルマゴメドフだが、両手を広げて倒されないアピールをするドバリシビリ。一瞬倒されたがすぐに立った。スタンドバックのまま3R終了。

4R。ドバリシビリがシングルレッグからバックに回ろうとしたが放した。また詰めたドバリシビリ。シングルレッグで倒した。立たれるとすぐに離れる。しかしまたシングルレッグでテイクダウン。ヌルマゴメドフが立つと離れた。右を入れたドバリシビリ。ヌルマゴメドフは口が半開きで疲れが見える。ドバリシビリがパンチで出るとヌルマゴメドフはタックルに入るが、振りほどいたドバリシビリ。パンチで出たドバリシビリにまたシングルレッグ。しかし倒せない。パンチを入れて引き剥がしたドバリシビリ。ボディを入れるドバリシビリ。ヌルマゴメドフのシングルレッグを引き剥がす。またタックルに入るが切ったドバリシビリ。ケージに押し込むとドバリシビリがダブルレッグ。テイクダウン!背中を向けて立つヌルマゴメドフ。ドバリシビリはバックからパンチを入れる。4R終了。

5R。バックブローを見せたドバリシビリ。飛び込んでタックルに。受け止めたヌルマゴメドフ。ドバリシビリはすぐに離れる。今度はシングルレッグ。振って倒そうとするがこらえたヌルマゴメドフ。さらにシングルレッグを仕掛けてこらえたヌルマゴメドフだが、今度はケージに詰めてダブルレッグに。ヌルマゴメドフは左腕を小手に巻いてこらえた。ヌルマゴメドフがタックルに入るが足に触らせずに切ったドバリシビリ。タックルのフェイントからパンチを入れるドバリシビリ。ドバリシビリまたタックルへ。こらえたヌルマゴメドフ。またタックルに入るドバリシビリを切ってパンチを入れた。残り1分。ハイを放つヌルマゴメドフにドバリシビリの右フックがヒット。ぐらついたヌルマゴメドフ。ドバリシビリシングルレッグからテイクダウンするが、押さえ込まずにアピールする。またタックルへ。バックに回ったドバリシビリが後方に倒した。ドバリシビリは自ら立つと、最後に距離を取り勝利をアピールしタイムアップ。

48-47、48-47、49-46の3-0でドバリシビリが王座防衛!

勝ったドバリシビリは「世界中のジョージア人のみんなありがとう。足を怪我していたが、UFCは自分にすべてをくれたから、がっかりさせられなかったんだ。ウマルはいい選手だ。自分はアンダードッグだったが、自分を信じていた。誇らしく思っている。今日引退してもいいくらいだ」とコメント。

敗れたヌルマゴメドフは、「接戦だった。負けたとは思わなかったが、1Rの後は手を怪我したから全力を出せなかった。でもジャッジと争うつもりはない。もう一度試合を見直すよ」と語った。

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45 AB BELLATOR o UFC アルマン・ツァルキャン イリー・プロハースカ ウマル・ヌルマゴメドフ キック クレイトン・カーペンター ショーン・オマリー ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ペイトン・タルボット ムイン・ガフロフ 中村倫也

UFC311:オッズ/予想と展望

イスラム・マカチェフ 1.28
アルマン・ツァルキャン 3.85
メラブ・ドバリシビリ 3.35
ウマル・ヌルマゴメドフ 1.34
イリー・プロハースカ 2.10
ジャマール・ヒル 1.77
ベニール・ダリウシュ 2.40
ヘナート・モイカ1.60
ケビン・ホランド 1.89
ライニアー・デ・リダー 1.93
ペイトン・タルボット 1.08
ハオニ・バルセロシュ 8.50
ジャイルトン・アウメイダ 1.21
セルゲイ・スピバック 4.60
ボグダン・グスコフ 1.33
ビリー・エレカナ 3.45
グラント・ドーソン 1.40
ジエゴ・フェヘイラ 3.05
ザカリー・リース 2.70
アザマト・ベコエフ 1.49
カロル・ホザ 1.39
アイリーン・ペレス 3.10
中村倫也 1.19
ムイン・ガフロフ 5.00
リッキー・トゥルシオ3.35
ベナルド・ソパイ 1.34
タギル・ウランベコフ 1.31
クレイトン・カーペンター 3.60

メイン・セミのタイトルマッチに出場する4人全員がコーカサス地方(ダゲスタン、アルメニアジョージア)出身。

メインのライト級タイトルマッチでは、ツァルキャンがタイトル初挑戦。両者はツァルキャンのUFCデビュー戦で対戦している。ツァルキャンがマカチェフ相手にレスリング勝負を挑み、マカチェフがUFCで初めてテイクダウンを奪われている(UFCで16戦した現在も2度のみ)。レスリングでマカチェフとやりあえる唯一の選手かもしれない。

前回は時間が経つにつれてマカチェフが上回っていき差が開いていった。今回は5Rマッチ。レスリング主体であることは変わりないが、打撃も強化してきているツァルキャン。前回はレスリング勝負を仕掛けたツァルキャンだが、同じ展開であれば、大きく差が開いていることはないだろう。マカチェフにとって数少ない、レスリングを警戒する必要があるツァルキャンであれば、タックルを餌にした打撃が突破口を開く鍵となるかもしれない。

マカチェフ判定勝ち。

セミでは王者ドバリシビリに対し、一族2人目のUFC王座獲得を狙うウマルが挑戦するバンタム級タイトルマッチ。ドバリシビリがタイトルを獲得した際、ランキング2位で無敗のウマルが当然挑戦者となることが予想されていたが、ドバリシビリはショーン・オマリーやピョートル・ヤンとの再戦に意欲を見せる発言をしており、さらに、防衛戦の時期として3月を示唆したため、ラダマンで3月の試合をラダマンで避けたいウマルの挑戦の機会が伸びるかと思われた。しかし、ウマルがSNS上で王者に逃げていると挑発すると、それが功を奏したのかは不明だが、1月にタイトル戦が実現することに。

ノンストップ・テイクダウンマシーンのドバリシビリだが、UFCで唯一テイクダウンを奪えなかったジョゼ・アルド戦では、ケージ押し込みでアルドを封じ込めて判定勝ちしている。また、ピョートル・ヤンとの対戦では、テイクダウンしてもすぐに立たれてコントロールする時間は短かったものの、スタンドでのカーフキック、タックルを餌にしたジャブを効かせて、ヤンの目を腫らせて完勝。タックルだけが引き出しではない。

ウマルは来週試合を控えているBellatorライト級王者ウスマンの兄で、弟同様ムエタイベースの打撃が強く、当然レスリングも強力。UFCでは6試合でテイクダウンを奪われたことがない。ドバリシビリの打撃が削っていくためのものなら、ウマルは倒せる打撃を持っている。

打撃もテイクダウンディフェンスもウマルが上かもしれないが、ドバリシビリが5R無尽蔵のスタミナで攻め続けた時、最後まで失速しないでいられるのか。あるいは、その前にウマルが打撃をヒットさせて大きなダメージを与えるのか。

ウマルKO勝ちと予想。

第3試合ではRoad To UFCシーズン1ウィナーの中村倫也UFC本戦3試合目を行う。前戦ではカーロス・ヴェラの引き込んで足関を狙ってくる、ある種負け覚悟の戦法に対し、完全に対応したものの、仕留めきることができず、1戦目に続いての判定勝ちに。今回の相手のムイン・ガフロフも1勝2敗と、ステップアップするための踏み台としては物足りない相手なので、今度こそフィニッシュ勝利したいところ。

第1試合開始は19日朝8時。アーリープレリムは8時~10時の2時間枠に5試合組まれているので、中村倫也の試合は前の試合が早めに終わった場合、9時よりも前に開始になる可能性もある。

速報します。

 

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45 AB BELLATOR MMA MMAPLANET o UFC UFC311 YouTube   イスラム・マカチェフ ウスマン・ヌルマゴメドフ ウマル・ヌルマゴメドフ コリー・サンドハーゲン ショーン・オマリー ジョゼ・アルド ピョートル・ヤン ヘンリー・セフード マラブ・デヴァリシビリ 朝倉海 空手

【UFC311】展望 世界バンタム級選手権試合。無尽蔵のスタミナ=王者マラブ×TD防御&蹴りの挑戦者ウマル

【写真】ロシア帽対決。世界最高峰のせめぎ合いが見られるに違いない(C)Zuffa/UFC

18日(土・現地時間)、カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームでUFC 311「Makhachev vs Tsarukyan 2 」が行われる。二大タイトルマッチを売り物にしている2025年最初のUFCナンバーシリーズのコメインは王者マラブ・デヴァリシビリに、無敗の挑戦者ウマル・ヌルマゴメドフが挑むバンタム級タイトルマッチだ。
Text Isamu Horiuchi

(C)Zuffa/UFC

王者デヴァリシビリは、2018年9月から実に6年間にわたってUFC10連勝を記録。

ついに昨年9月、ラスベガスの球形建造物スフィアで行われたメガイベント「ノーチェUFC 306」のメインイベントにてショーン・オマリーへの挑戦を実現させた。この大舞台でデヴァリシビリは、持ち前の唯一無二の戦い方を見事に貫き──無尽蔵のスタミナを武器に常に動き続けると、オマリーの打撃を避けてテイクダウンを何度も成功させ、組技で圧倒し続けた末に3-0の判定で完勝。フェザー級元王者イリア・トプリアに続きジョージア共和国出身者として二人目のUFC王座に輝いた。


対するウマルは、そのファミリーネームが示すように29戦無敗のまま引退した元ライト級王者カビブ・ヌルマゴメドフの従兄弟にして、Bellatorで無敵を誇るライト級王者ウスマン・ヌルマゴメドフの兄。幼少時から取り組んできた打撃と、カビブの父である故アブドゥルマナプ門下で鍛え上げたレスリング力を武器にここまで18戦無敗、UFCでは6連勝中だ。

(C)Zuffa/UFC

あまりの強さが原因となったか、ウマルは上位勢から対戦がなくランキング上位に顔を出せなかった。

ようやく昨年8月にランキング2位のコリー・サンドハーゲン戦が実現。リーチに勝るサンドハーゲンの打撃を巧みに捌き、テイクダウンやバック取りを成功させスクランブルも制し、中盤以降は打撃でもペースを握って3-0で快勝し挑戦権を手にした。

さて同じ東欧系の両者だが、戦前は周囲が呆れるほど派手な言い合いを展開している。発端はウマルがSNS等で、新王者の座に就いたデヴァリシビリが自分以外の相手を挑戦者候補として挙げたことを受け「マラブは俺を恐れ、避けている」と書いたこと。これを見たデヴァリシビリは怒り心頭。先月の記者会見前の舞台裏でウマルを見かけるやいなや「お前はなぜ俺を侮辱する! こっちに来い!」と迫って関係者に制止された。

頭に血を昇らせたまま臨んだ記者会見にて王者は「俺はいつもウマルに敬意を表してきたのに、突然俺にトラッシュトークを仕掛けやがった!」、「こいつは苗字がヌルマゴメドフだというだけで、実績も資格もないのにタイトルマッチをプレゼントされたんだ。お前などレスリングがまったくできないサンドハーゲンに勝っただけじゃないか!」とまくし立てる。

対するウマルは笑って「カイ・アサクラなんてデビュー戦でタイトル戦を与えられたぞ。実績とか資格があるとか、誰も気にしないだろう」と、マラブの友人でもある朝倉海を引き合いに出して切り返す。が、王者は聞く耳を持たず「お前は男になりやがれ! お前は男じゃない。クソ野郎だ! お前へのリスペクトを完全に失った。本物の男はオンラインでトラッシュトークなどしない!」と声を荒げる。

ウマルが「ちょっと落ち着いてくれよ。俺はあんたの国についても、国民についても、あんたの性格について何か言ったか? 何も言っていないよな。ただあんたが俺を避けていると言っただけだぞ」と指摘するも、ますますヒートアップした王者は「嘘を言うな! お前は自分が書いたことを忘れたのか。お前の言葉は全て嘘じゃないか!」と止まらない。やがて両者とも母国語ではない英語でお互いの言葉に被せ合い収拾が付かない状況になると、見かねたデイナ・ホワイト代表が介入して「次の質問に行ってくれ」と強引に話を打ち切り、場内からは笑い声が漏れた。

が、その後も王者は──ノンストップでテイクダウンを仕掛け続けるオクタゴン上とまったく同じ要領で──甲高い声で挑戦者に罵声を浴びせ続け、ウマルも返すが、止まらない王者がそこに言葉を重ねて訳が分からなくなる展開が続く。結局両者は似たような口論を延々と繰り広げては、誰かが割って入って強制終了される場面を合計三度繰り返したのだった。

今まで「強いだけで面白味のない人間」としてスポットライトを与えられる機会が少なかった王者デヴァリシビリだが、今回の一件を経て「ヤバい奴」というイメージが完全に定着。良い意味でも悪い意味でもキャラが立ち、ファンの注目を浴びる存在となった。

ちなみに、このたび完全に貰い事故で王者にディスられてしまったサンドハーゲンは、今回の試合ではウマル応援派となることを宣言している…。

そんな因縁の両者による対決だが、下馬評ではウマルが大きくリードしている。挑戦者優位説の最大の根拠は、ウマルは王者の最大の武器であるテイクダウンを防ぐだけのレスリング力があると思われること、さらに打撃の技術で大きく王者を上回っているということだ。

この意見を代表するのが、前戦にてウマルに敗れたサンドハーゲンだ。「マラブの勝ち筋が見えないよ。打撃でも上回れないし、テイクダウンも取れるとは思わない。ウマルがテイクダウンを凌いで打撃の距離をキープして勝つだろう。ウマルはスナイパーさ。みんな彼がどれだけ速いか分かっていない。蹴りがどこから来るかも分からないんだよ」と、実際にウマルの強さを体験した者ならではの意見を披露している。(もっとも彼は、例の記者会見以来アンチ・デヴァリシビリであることを宣言しているので、そこは差し引く必要があるかもしれない)

ここで留意すべきは、王者の真の強さはテイクダウン技術の高さや成功率自体にあるわけではないということだ。むしろ、相手にどれだけ凌がれようが立たれようが、幾度でもテイクダウンを試み続けることのできる底無しのスタミナにこそ、デヴァリシビリの真骨頂がある。

2022年8月のジョゼ・アルド戦ではなかなかテイクダウンを取れなかったデヴァリシビリだが、ケージに押し込み続けてアルドにテイクダウンの防御以外何もさせずに勝利。続く2023年3月のピョートル・ヤン戦では、なんと5Rで合計49度テイクダウンに入るという目が眩むようなUFC記録を叩き出し、ヤンに反撃の機会を与えずに完勝している。

(C)Zuffa/UFC

続く翌年2月のフリースタイルレスリング五輪王者ヘンリー・セフード戦では、1Rに上を取られてコントロールを許したデヴァリシビリ。

しかし2R以降は持ち前の超ハイペースで攻め続けてセフードを消耗させ、やがてレスリングでも圧倒。最終3Rでは高々と抱え上げ叩きつける派手な場面まで作って快勝した。

驚異的なスタミナで動き続け、レスリング技術で自らに勝る相手をも波状攻撃で疲弊させ、最後には呑み込んでしまう。誰もが分かっているはずの戦い方を、まだ誰も攻略できていない。

誰よりもMMAレスリングを熟知するカビブ・ヌルマゴメドフの教えを受け、同日にメインで防衛戦を戦うライト級絶対王者イスラム・マカチェフらダゲスタンの超弩級レスラーたちと日々を過ごしているウマルは、王者のノンストップ・テイクダウン攻勢をどのような形で無効化するつもりなのか。

ウマルは前回のサンドハーゲン戦においてトラックポジションからバックに移行する等、コントロールの引き出しの多さを見せている。もし王者のテイクダウンを防ぐだけでなく、背中を制する、上を取ることができれば波状攻撃自体を止めることができる。が、それを序盤だけでなく中盤以降も続けることができるのか、それとも今までの対戦相手同様、後半には呑まれていってしまうのか。最高レベルのテイクダウン&スクランブルの攻防、その長期的展開がこの試合の最大の見どころとなる。

もう一つ着目したいのは、スタンドの攻防におけるウマルの蹴り技だ。弟のウスマンとともに幼少時からムエタイを習っていたとのことだが、むしろ空手を想起させるしなやかな二段蹴りや伸びのある前蹴りを使いこなす。もちろん、相手の片足を抱えて軸足を刈って倒すことを得意とする王者に対して、掴まれる可能性のある高い蹴りを放つことにリスクはある。

ところで前戦のオマリー戦においてデヴァリシビリが唯一ピンチに陥ったのは、5Rに前蹴りで腹を効かされた場面だった。挑戦者が王者のテイクダウンを封じ続け、やがてその波状攻撃の勢いが弱まった時、ウマルの蹴りが試合の行方を大きく左右するダメージを王者に与える可能性はありそうだ。

天下無敵のデヴァリシビリ・スタイルに、最高レベルの組技と打撃を併せ持つ、世界最強ヌルマゴメドフ一族のウマルがいかに立ち向かうか。限りなく高いMMAの頂点をめぐる戦いを、堪能したい。

■視聴方法(予定)
1月19日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o Special UFC   ショーン・オマリー ジョゼ・アルド ボクシング マラブ・デヴァリシビリ ライカ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥 良太郎

【Special】月刊、良太郎のこの一番:9月 マラブ×オマリー「二歩下がって一歩出る、マラブの制空権」

【写真】9月の一番は水垣・良太郎両氏ともにマラブ×オマリーをチョイス。ぜひ両者の言葉を読んだうえで、この一戦を再考していただきたい(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年9月の一番──9月14日に行われたNOCHE UFC 306のマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリー、水垣氏も選んだこの一戦を、水垣氏とは異なる目線で語ろう。

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:9月
マラブ×オマリー「マラブは変な人? だからあれをやりきれる」

――9月の一番、良太郎選手にもマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリーの一戦を選んでいただきました。

「打撃という部分にフォーカスして、この企画をやらせてもらっていて、この試合はストライカーVSストライカーではないんですけど、僕は指導する立場でもあるので、ストライカーにとっては嫌な展開を作られた試合でした。しかもこの試合はUFCが誇る超スター選手のオマリーvsオマリーのような華がはないけど実力があるマラブという図式もあり、試合前のトラッシュトークも含めて、こういう試合展開になることは予想していた人も多かったと思うんですね。純粋な打撃だけのスキルとは違う部分で、打撃にフォーカスする試合としてセレクトさせていただきました」

――オマリーのようなストライカーからすると、テイクダウンを狙ってくる相手に対して、どう打撃を当てるか。これはMMAにおける永遠のテーマだと思います。

「多くの人がマラブが無限のスタミナでひたすらテイクダウンを狙って削る、もしくはカウンターパンチャーのオマリーが打撃を入れる、そういう試合をイメージしていたと思います。そこでいうと僕はスタンドの距離=制空権が鍵を握っていると思いました。

 オマリーはロングレンジを活かした打撃を当てたくて、5Rに三日月蹴りを効かせた場面もありましたが、あの時点でオマリー自身がスタミナ切れしていて追い足がなかったですよね。ああやって三日月蹴りで削って、そこから打撃で仕留める展開に持ち込みたかったと思うのですが、その三日月蹴りを当てたのが最終ラウンドで、試合の残り時間とお互いのスタミナを考えたら、あそこから仕留めないといけないオマリーよりも、最悪くっついて逃げ切ればいいマラブだったら、マラブの方が有利でしたよね。

 1Rはお互いスタミナもある状況ですが、マラブが上下のフェイントで揺さぶりをかけて組みついてテイクダウンを仕掛けて。あれを凌ぐ攻防のなかでオマリーはかなりスタミナをロスしたと思います。オマリーはカウンターパンチャーなので、あそこでロングレングのパンチを射抜いたり、カウンターのヒザ蹴りだったりを当てられればよかったのですが、それが出来なかったですよね」

――なぜオマリーはそれが出来なかったのでしょうか。

「これは対戦した選手にしか分からないと思うのですが、おそらくマラブはスタンドの距離が独特なんですよ。オマリーもVSストライカーだったら、スイッチを使って体の軸を色々と使い分けながらパンチを打ち抜くので打撃のゾーンが広くて、距離が独特なんですね。ただこれがVSマラブになると、マラブは打撃が当たらない距離でステップしていて、そこからダッシュ力を活かして入ってくる。相手からするとマラブはかなり遠い位置に感じると思います。

 それが特に分かりやすかったのが4Rにマラブがテイクダウンを奪った場面で、1~3Rまでの動きを見ていてもそうなのですが、オマリーが一歩前に出ると、マラブは二歩下がるんです。そしてすぐに一歩前に出る。そうするとオマリーが一歩下がったとしても、そこはマラブにとってはテリトリー内なんです。4Rにオマリーがフェイントをかけて前に詰めようとしたところで、マラブにジャブから綺麗にタックルに入られてテイクダウンされたのは、その距離のトラップに引っかかったからですね」

――あのテイクダウンはメラブの距離とステップに要因があった、と。

「スイッチする選手はステップせずに歩きながら前に出られる分、どうしても距離設定が緩くなる場面があるんですね。今回はそこにマラブが打撃ではなくカウンターのタックルを合わせたという形ですね。しかも今回は5Rマッチでお互いスタミナを消耗していて、特にオマリーは後半のラウンドになると下半身からの連動で強い攻撃を出せない・追い足がない状態に追い込まれていました。

 3Rあたりはオマリーも距離を探れているのかなと思ったのですが、いかんせんマラブがさっきのステップインでオマリーの体力とやることを削っていたので、オマリーとしてはマラブの泥沼にハマっていった感じですよね。どこまでマラブが意識していたか分かりませんが、2Rにオマリーにキスして余裕をアピールして挑発したじゃないですか。ああいう心理戦の駆け引きもあったと思います」

――スイッチヒッターに対して打撃ではなく、タックルのカウンターを合わせたということですか。

「そうですね。オマリーがスイッチして一歩前に出て、マラブが一歩下がるだけだったら、オマリーがプレッシャーをかけられるんですけど、二歩下がるとプレッシャーがかからないんですよね。しかもそこからすぐマラブがステップインしてきて、距離を取ろうと思った時には、マラブにタックルに入られる距離になっているという。

 もしオマリーが1Rから組まれる覚悟でローで足を潰すとか、ヒザのフェイントを入れるとか、そういう選択をしていたら展開は変わっていたかもしれないです。オマリーもどうしても自分のパンチに自信があるから、制空権を支配したいという気持ちがあったと思うんですよね。それが今回に関してはマラブに遠い距離に居座られて、あのダッシュ力で距離を詰められる=制空権を支配できないという時間が長かったように思います」

――オマリーにとっては自分のやりたい攻防に持ち込めなかったわけですね。

「オマリーからすると相当やりづらかっただろうし、試合をしながらイライラしていたと思います。最後は体力的にいけなかったのもあるし、どうしても1Rから4Rまでの攻防で、打撃が当たらなかったら組まれる→トップキープされて時間を使われる→判定になったら負けるということも頭に刷り込まれていたと思います」

――またマラブはテイクダウン以外でかなり細かいパンチのフェイントを入れたり、目線を散らしたり、体を上下させたり、常に動き続けていますよね。あれは打撃の観点から見ていかがですか。

「あれはうざったいですね。フェイントには動くフェイントと動かないフェイントがありますが、マラブは典型的な動くフェイントで、常に上下に体を動かして、基本的にテイクダウンにつなげる打撃なんだけど、必ず当たる打撃も混ぜてくる。それでいて遠い距離にいるなと思ったら、ものすごいダッシュ力で組んできて、試合後半になっても疲れることなく、それを延々と繰り返してくるわけだから…ストライカーからしたらたちが悪いですよ(苦笑)」

――あのファイトスタイルだけだったら対応できるかもしれませんが、あれを5R続けられるスタミナがあることが厄介ですよね。

「はい。もしかしたらオマリー陣営は、さすがに後半は動きが落ちるだろうから、そこで勝負しようとしていたところもあったのかなと思うんです。競技は違いますけど、ボクシングの井上拓真×堤聖也みたいに、みんなさすがに堤選手は後半ペースが落ちると思っていたら、結局最後まで落ちなかったじゃないですか。ああなると対戦相手からすると手遅れなんですよ。しかもオマリーのようなカウンターパンチャーは、玉砕覚悟で前に出て打撃を当てるのが決して得意ではないので、後半のラウンドで一気に逆転という形にはならなかったですよね」

――ちなみにもし良太郎選手の選手あマラブと戦うことになったら、どういう作戦を立てますか。

「僕だったら…1Rはイーブンに動かせますね。結局マラブのリズムに合わせちゃうからやられるわけで、だったらこっちもあえて乗っかる。マラブと同じことをやるわけじゃなく、こっちはこっちで色んな打撃のフェイんをかけて動く。もちろんスタミナはロスしますけど、その方がマラブもマラブでやりにくいと思うんです。オマリーはどちらかと言うとフワフワ~と動いてドン!と当てるタイプですが、逆に最初からパンチとかヒザ蹴りをどんどん見せていった方がよかったかもしれないです。これもすべてたらればの話ではあるんですけどね」

――最近のMMAは判定で打撃・ダメージが重視されやすくなっていますが、UFCのチャンピオンの顔ぶれを見ると組み技系の選手も多いですよね。

「やっぱり時代は回るんですよ。そういうなかでイリア・トプリアのような選手がチャンピオンになるところが面白いですよね。ただUFCのトップレベルの技術を10段階で評価したら、すべての技術が7~8はあると思うんですよ。そのうえで10ある技術で勝負しているというか。トプリアやジョゼ・アルドのような純ストライカーに見える選手でも、元は柔術黒帯だったりするわけじゃないですか。

 きっとそれは練習環境が以前よりも整備されていて、自分にあったスキルを学べるコーチや指導者がいるから、ベースにある格闘技を活かしながらMMAファイターとして完成度を上げられるからだと思うんですよね。そういう部分でもUFCの試合を見ていくのは興味深いですし、これだけレベルが上がったもの同士が戦うのに『嘘だろ?』『こんなのある?』みたいなフィニッシュも起こるわけだから、純粋にUFCは見ていて面白いですよ」

――今回もたっぷり語っていただき、ありがとうございます!

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45 MMA MMAPLANET o Special UFC アルジャメイン・ステーリング ウマル・ヌルマゴメドフ コナー・マクレガー コリー・サンドハーゲン シャーウス・オリヴィエラ ショーン・オマリー ジョゼ・アルド ダナ・ホワイト ネイト・ディアス ピョートル・ヤン ボクシング マラブ・デヴァリシビリ ライカ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥 良太郎

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:9月 マラブ×オマリー「マラブは変な人。だからあれをやりきれる」

【写真】ファイトスタイルそのものは疲れるスタイル。それを5Rやりきってしまうのがマラブの強さだ(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年8月の一番──9月14日に行われたNOCHE UFC 306のマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリーについて語ろう。


――9月の一番はマラブ・デヴァリシビリ×ショーン・オマリーの一戦を選んでいただきました。この試合はマラブの強さが目立った試合だったと思います。

「色々と僕の中でも見どころがあった試合で、マラブのようなタックルマシーンに対して、オマリーのようなストライカーがどう戦うのか。そこは自分自身の現役時代からの永遠のテーマでもあり、この試合でもそこを主に見たい、もっと言うならオマリーがどういう戦い方をするのかを見たかったんですね。結果的にはオマリーがストライカー病というか、マラブのタックルを警戒して手が出ないという、よくあるパターンにハマっちゃったなっていう感じでしたね。と同時に、このテーマはまだまだ続くなと思ったのが正直な感想です」

――試合全体を通して見ると、1Rに2回組まれてテイクダウンを許してしまったことが、2R以降の試合展開に影響を与えたと思います。

「ずばりそれだと思いますね。1Rが始まってテイクダウンされるまでのオマリーは、割と前蹴りだったり攻撃が出ていたんですよね。逆にマラブはいつもよりちょっとな控えめで、タックルに行きにくそうに見えました。でもそこで1回マラブがテイクダウンを取ったことで、徐々にオマリーの手が出なくなってきて。オマリーからすると打撃を出すとマラブに触れる、警戒して打撃を出せないというパターンにハマっていった印象です」

――仮に組まれたとしてもマラブのクリンチをはがしたり、完全には寝かされない状況を作っていれば違ったと思うのですが、しっかり組まれてしまった印象があります。

「そうなんですよね。結構ちゃんと組まれてしまって、その後のラウンドもすぐに立ち上がることができない展開になってましたよね。それだけ1Rにテイクダウンされた時に、もうテイクダウンされたくないなというのがオマリーの中で出てきちゃったんだと思います。マラブは割とテイクダウンしても相手を立たせるタイプなんですけど、オマリーは一度組まれて尻餅をつかされると、そのまま動きが止まったり、下になる展開が長かったように見えました」

――もちろんオマリーもレスリング・組み技への対応はできる選手だと思いますが、マラブのような超トップ選手との対戦は少なかったと思います。

「まさにそれもあって、正直過去の対戦相手を見ると、あまりマラブのようなタイプとはやってないんですよね。アルジャメイン・ステーリングとやった試合が初めてレスリングが強力な相手とやった試合だと思うんですけど、アルジャメイン戦も2R開始直後にパコーン!と一発で倒しちゃったので、レスリングや組みの技術をちゃんと見ることが出来ないままだったんですよね。そういう部分で、マラブとやってどうなのかなと思っていたのですが、 やや安易にグラウンドで下になったり、ガードポジションを取ったりしていて。オマリーはグラウンドで下からガンガン戦えるタイプでもないと思うのですが、そこで立ちに行く感じでもなかったので、組まれる・テイクダウンされるとキツいというのが見えちゃいましたよね」

――どうしてもマラブクラスのレスリング力がある選手と対戦すると、その部分で差が出てしまいますよね。

「そこは相性の問題もあると思います。ストライカーとレスラーは、単純に言うとどうしてもストライカーは相性が悪くて、その相性の悪さがもろに出ちゃったのかなと。例えばジョゼ・アルドやピョートル・ヤンがマラブとやった時、アルドは下がりながらテイクダウンに対処する感じで、テイクダウンは許さなかったんですけど、その代わりにケージに押し込まれ続けたんですよね。で、ヤンはスイッチを使いながら対応しようとしたのですが、マラブにそこを上回られてしまうという試合でした。じゃあオマリーはどうなんだ?というところだったのですが、結果的にオマリーはアルドやヤンのところまではいかなかったなというのが正直なところですかね」

――見ている側からすると、テイクダウンをディフェンスできないなら、打撃を思い切り当てにいくという選択肢はなかったのかと思うのですが、そこはファイター側からするとどうなのでしょうか。

「あとは一発を当てに行きたいは行きたいんですけど、結局そこで組まれちゃうんで。一発を当てるタイミングを探っているうちに結局(試合が終わる)なんですよね。ようは一発を当てるための距離になる=組まれる距離なので、行ったら組まれるという感覚もあるんですよ、タックル系の選手に対しては。だから一発を当てるための行き方が難しいんですよね、単純に思いっきりいけないという」

――その一発を当てるためには組み立ても必要だし、そうしているうちに組まれるリスクが大きいということですね。

「一発にかけるということは、ある程度の強打を当てて、その一発でKOするなり、ダウンさせるなり、大ダメージを与えるのが欲しいじゃないですか。リスクを追う分の見返りが欲しいというか。それに見合う一発を当てる距離まで詰めるというと、またそこですごく難しくなってきますよね」

――あとマラブの方もテイクダウン以外でかなり細かいパンチのフェイントを入れたり、目線を散らしたり、体を上下させたり、常に動き続けていますよね。

「動きそのものが多いですよね。絶対打撃が届かない距離でもシャドーボクシングやスイッチしたり、地味な動きなんですけど、それをずっと繰り返している。ただタックルだけ狙っているより、こういう動きをやられると嫌ですよね」

――相手からすると、あれだけちょこちょこ動き続けられると、フェイントだと分かっていても引っかかってしまうものですか。

「あとはやっぱりああやって動いている中で、本物と偽物の(動きの)違い、本当に来る時と来ない時って、 何もしないでバッ!と来るより、色々と動いてる中でバッ!と来る方が、対応も遅れると思うんですよね。そういう部分はあると思います。だからあれだけ目の前で動き続けられていたら、やりにくいと思いますね」

――オマリーも5Rに三日月蹴りを効かせる場面がありました。メラブは試合後に「効いていない」と言っていましたが……。

「あれは効いていたと思います。分かりやすくお腹をさすってましたからね」

――右の三日月蹴りをもらったあとのシーンですが、あの前の左の三日月蹴りも効いていたと思います。

「あれも絶対効いてましたね。ボディが効いたかどうかは本人しか分からないし、効いていても『効いてない』って言い張ると思うんですけど、セラ・ロンゴ・ファイトチームで一緒に練習していた(井上)直樹くんの話だと、練習でもマラブは腹を効かされていたことが結構あると言っていたんで、マラブは腹が弱いんじゃないか説も出てますね。だから試合展開や相性もあるんですけど、あれがもっと早い段階で来ていたら、面白かったのかなという気もしますよね」

――それまでの打撃とは違い、明らかにオマリーのプレッシャーがかかっていた時間でした。

「そうですね。あれはオマリーが5Rに判定で勝つのがほぼダメだろうと思っていた中での開き直りがあったから、また前に出始めたんだと思います。もうテイクダウンされてたとしてもしょうがないって気持ちがあったからこそ、もう1回(打撃を)作り直したんじゃないかなと思います」

――5Rに弱みを見せたメラブですが、あのテイクダウンを軸にしたファイトスタイル&無尽蔵のスタミナは真似できないですよね。

「あのスタミナは異常ですね。ファイトスタイルそのものは疲れるスタイルだと思うんですよね。今回の試合はトップを取ってからキープする時間が長かったですが、他の試合では結構立たせるんです。で、また倒す。倒して、立たせて、倒して…を繰り返して倒してテイクダウンの数で印象つけるみたいな、めちゃめちゃしんどい戦い方をしているので、それが出来るスタミナは尋常じゃないですね。対戦相手=タックル受ける側としては、やっぱりしつこくタックルを切って切って、マラブが疲弊してきてタックルに入れなくさせるというのも1つの作戦としてあると思うんですよね。ただマラブは疲弊しないから、その希望がなくなってしまうという」

――あれだけスタミナがあるとテイクダウンの攻防でマラブを疲れさせるという作戦もチョイスできません。

「テイクダウンそのものもバーン!と入って綺麗に倒しちゃうじゃないですか。一回ケージに押し込んで、低い姿勢でケージレスリングを頑張って倒すという展開が少ない。テイクダウン能力の高さも、マラブがバテにくい要素だと思います」

――水垣選手はどういうタイプだったらマラブを攻略できると思いますか。

「攻略法がなかなかないですよね(苦笑)。それこそシャーウス・オリヴィエラみたいに打撃があって、グラウンドで下になっても戦えるとか。そういうファイターだったら可能性があるのかなっていう気はするんですけどね」

――マラブとレスリング勝負できるか、レスリングそのものを捨てて勝負するか。

「そうなんですよ。さっきも話したようにジョゼ・アルドはほとんどテイクダウンを許していないんですけど、テイクダウンディフェンスするためにずっと押し込まれたままで判定負けしているんです。テイクダウンされないことに集中すると打撃が出せないし、相手がバテない限りは押し込まれ続けるので、ポイントを取られちゃいますよね。だからメラブ攻略は本当に難しいです。

あと試合とは関係ないですけど、メラブってちょっとおかしいじゃないですか。試合が始まった瞬間、オマリーのセコンドと言い合ったり、試合中にオマリーにキスしてハーブ・ディーンにめちゃくちゃ怒られたり。あとは試合前にインスタグラムで氷が張ってる湖に飛び込んで、練習でカットしたところを縫ってる動画をアップしてダナ・ホワイトに『アイツはレベルが違うバカだ』ってキレられてましたよね。普通はあんなことしないですよ(笑)」

――大分変わっていると言えば変わっていますね…。

「基本的に変な人なんだと思います(笑)。でも、だからこそああいうファイトスタイルをやりきれちゃうというか。普通は5Rマッチでああいう試合はやろうと思わないし、それをやっちゃうというのは何かぶっ飛んでる新しいタイプですよね」

――敗れた方のオマリーについても一言いただけますか。

「あと僕の中でオマリーとコナー・マクレガーを重ねていて、マクレガーもここで負けるだろうと思われている試合で勝ち続けて、オマリーもそういうキャリアだったと思うんですよ。マクレガーはネイト・ディアスに負けてライト級に上げてタイトルを獲っていますけど、最後はハビブ・ヌルマゴメドフにやられて、それからスーパーファイトを中心にやっていくスーパースター路線に行ったじゃないですか。じゃあオマリーはここで負けて、これからどうなっていくのかなと。そこにも凄く注目しています」

――さてマラブの次の挑戦者にとしてウマル・ヌルマゴメドフが噂されています。

「そこは僕、すごく楽しみなんですよ。ウマルもレスリング力があるから、そこでも勝負もできるし、打撃という部分ではウマルの方が上だと思うんですよね。だから打撃+レスリング力でどこまでマラブに対抗できるのかっていうところですよね」

――前回水垣さんにウマル・ヌルマゴメドフ×コリー・サンドハーゲンを解説していただきましたが、マラブよりもウマルの方が技の引き出しは多い印象です。

「例えばウマルが一回・一発のテイクダウン勝負で負けたとしても、そこからのスクランブル勝負で後ろに回るとか、下からでも組み勝つみたいなものを見せてくれたら面白いなと思います。何度か言っているようにマラブが立たせるタイプなので、仮にマラブに3回テイクダウンされても立ち続けて、逆にウマルがテイクダウンもしくはスクランブルで上を取ってキープする。それをしつこくやれば、ウマルも強いと思います。あとはクリーンテイクダウンできなくても、スタンドバックの攻防に持っていければ、ウマルがマラブにヒザをつけさせて殴って、もう一回立って打撃をやるとか、そういうことが出来れば、ウマルにもチャンスが出てくると思いますね。この試合はぜひ実現させてほしいです!」

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【HEAT55 X AFC34 & Eternal MMA89 & Road FC70】今週末、日・豪・韓で戦う黒崎&神谷&黒井=鼎談

【写真】左から名古屋で戦う黒崎、豪州で戦う神谷。そして韓国で戦う黒井海成。凄い時代になったものだ (C)TAKUMI NAKAMURA

26日(土)、27日(日)の2日間、宮田和幸代表が率いるBRAVEから3選手が国内外の様々な舞台で戦う。熊崎夏暉は26(土)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT55 x AFC34でふくやーまん戦が控えており、神谷大智は同じく26日(土・現地時間)に豪州パースのHBFスタジアムで行われるEternal MMA 89でレイマート・キンタナと、黒井海成は27日(日・同)に韓国はウォンジュのチアク体育館で開かれるRoad FC 70でパク・ヒョングンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

それぞれバックボーンも特徴も異なる3人だが、BRAVEの「毎日が異種格闘技戦」(熊崎)という環境のもと、自身の武器を強化&弱点を克服し、己のファイトスタイルに磨きをかけてきた。レスリングという明確な軸がありつつ、ファイトスタイル、そして目指す舞台は自由――そんなBRAVE育ちのMMAファイターたちに話を訊いた。


――今回は10月26日& 27日に3選手が試合を控えているということで鼎談を企画させていただきました。年齢的には誰が一番先輩になるのですか。

神谷 年齢で言ったら僕が25歳で、夏暉が24歳で、海成が23歳で1歳ずつ違うんです。でもジムに入った順番でいくと海成、僕、夏暉なので、ちょっと複雑です(笑)。

――それぞれBRAVEに入った理由を聞かせてもらえますか。

黒井 僕は宮城で空手とキックをやっていて、K-1甲子園に出たり、そのまま立ち技を続けてK-1でプロになろうと思っていたんです。そうしたら新型コロナウィルスの影響で、東京に行くのが難しくなって。その時にたまたま宮田(和幸)先生のセミナーが地元であって、それに参加させてもらったんですね。

その時に(宮田に)「MMAもやってみない?」と声をかけてもらって。僕自身、MMAは見るのも好きだったし、セミナーの後にBRAVEの練習にも一度参加させてもらったことがあったんですね。その時にBRAVEに入門して、MMAをやってみようと思いました。

神谷 自分はもともと柔道をやっていて、大学3、4年の時に新型コロナウィルスの影響で、学校で練習できなくなっちゃったんです。それでどこか身体を動かせる場所がないかと探していてBRAVEを見つけました。もともと格闘技は好きだったし、柔道にも活きるだろうなと思って、一般会員として通っていた感じですね。

当時は週1回くらいしかジムに来ていなくて、そのまま大学を卒業して就職するつもりだったんですけど、どうもそれがしっくりこなくて。それで宮田先生をはじめ、色んな人たちと話していくうちに、格闘技の道に進むのもいいんじゃないかと思って、大学卒業後にプロになろうと思いました。

熊崎 僕はずっと柔道をやっていて、大学時代の柔道部の監督が松本秀彦監督で、柔道と並行してサンボとコンバットサンボもやっていたんですね。それで段々とMMAに興味が出てきて、柔道部をやめてMMAをやるつもりだったんです。

そしたら監督に「それはもったいないから4年間は柔道を続けなさい。ちゃんと4年間続けたら、関東にあるBRAVEというジムを紹介するから」と言われて、その言葉通りに大学でも柔道をやりきって、BRAVEを紹介してもらいました。

――それぞれバックボーンもジムに入る経緯も違う3人ですが、実際にBRAVEで練習をスタートして、どんなことを感じましたか。

神谷 最初からプロ選手の練習に混じる感じだったので、最初は戸惑いましたが、自分に足りないと思ったことを宮田先生や周りの選手たちに質問して…という感じですね。

熊崎 今のBRAVEは本当に色んな選手がいるので、練習相手に困らないです。

神谷 ここのジムはレスリング、柔道、空手、伝統派空手、日本拳法、キックボクシング…と、色んなタイプの選手がいるので練習相手には事欠かないですし、選手同士でも色々と話し合いながらレベルを上げられるなと思います。

黒井 すごく自由にやらせてもらえるので、僕はやりやすかったです。自分の得意なところを伸ばしつつ、苦手なところを補うスタイルなので、僕の場合は組み全般、純粋なレスリング、投げ、グラップリング、壁レス……を教えてもらいつつ、あとはMMAにおけるグラップラーの間合いとか、そういうものを教えてもらうことが多いです。

熊崎 自分は柔道出身だったのでステップワークが難しかったですね。ああいう足の使い方は柔道にはないので。ボクシングや伝統派空手の選手はステップが上手いので、そういう選手に(ステップを)教わって、それから打撃に体重を乗せることを足していったイメージです。

神谷 僕はワンツーすら打てなかったです(苦笑)。柔道は構え的に上半身が起きていてワキも空いているから、打撃系の構えとは真逆じゃないですか。だからそれを矯正するのが大変でしたね。あとは夏暉が言っていたように柔道は擦り足でどっしり構えるので、ステップを踏むどころじゃないから、本当に一から新しいことにチャレンジする感覚でしたね。

だからスパーリングをやりながら少しずつ覚えていきました。その中でも一緒に練習している打撃出身の選手たちが「その動きはダメだよ」とか「こうした方がいい」と自然にアドバイスをくれる環境なので、それは本当に恵まれているなと思います。

――お互いに練習していてどんなところに特徴や強みを感じていますか。

黒井 大智さんは一度組んだら絶対に離さないという組みの強さがあって、そこは一緒に練習していてもすごいなと感じています。あと最近は打撃も上手くなっていて、一発一発のパンチがすごく重いですね。

夏暉さんは大智さんとは違うタイプの組みの強さがあって、スピードが早いうえに技のレパートリーが多いんですよ。僕としてはそれぞれ違う強さがあって、やる側としては嫌なタイプですね(苦笑)。

熊崎 海成は何でもできる器用なタイプだと思っていて、僕が教えた技もすぐ吸収して、感覚的なところは違うと思うんですけど、技や動きを見てある程度のことが出来ちゃうんですね。

そこが海成の特徴かなと思います。大智さんは海成も言っていたみたいに組まれた終わりです。一回組まれたら動かせてもらえない、そういう強さがありますね。打撃もどんどん上達しているので、そこも見習うべきことが多いです。

神谷 海成は吸収能力がずば抜けて高くて全体的に出来るというのもあるんですけど、自分の強味がどこにあって、それを活かす戦い方が出来る選手だなと思います。スパーリングをしていて、こっちの気が抜ける瞬間がないというか。常に打撃のプレッシャーをかけるし、組みに関しても必ず対応できるところにいる。

だから海成と向かい合っていると消耗していきますね。夏暉はとにかく極めが強くて、極めの強さはBRAVEでもトップクラスだと思います。あとは打撃でもスピードを使って、組みに攻防になったらすぐに極めに行く。そういう戦い方もできるので、極めの強さを生かす戦い方が発揮されれば同じレベルの選手に負けることはないと思います。

――黒井選手は2人から吸収能力の良さを挙げてもらいましたが、そこは自分でも意識しているところですか。

黒井 そうですね。僕は動きを選手で例えるというか、ボクシングだったらイリア・トプリア、蹴りだったらショーン・オマリー……そういう選手をイメージ・真似してやっていますね。あとは1日の練習に向けて3つミッションを作って、どれか1つは必ず成功させようと思ったり、教わった技をすべて覚えるのは無理だから、必ず1つは覚えて帰ろうと思ったり。色んなアドバイスをもらうけど、自分に合った使えるものを取捨選択したり、そういうところはすごく考えますね。

――熊崎選手の極めの強さは大学時代に松本先生に教わったものですか。

熊崎 まさにそうですね。大学に入るまで寝技はほぼやったことがなかったのですが、逆にそれが良かったんですよね。監督は「抑え込みは柔道じゃない。抑え込むなら極めに行け」という考え・指導だったので、予備知識がなかった分、自分的にはすんなり覚えることが出来ました。

逆に柔道出身なのに抑え込みが出来なかったので、抑え込みとかトップキープはMMAを始めてから覚えました(笑)。

――神谷選手は組んでからのキープ力には自信がありますか。

神谷 そうですね。僕はしつこく削って最後にフィニッシュするタイプなので、一度掴んだら絶対に離さない自信はあるんですけど、最近のMMAはポジションキープよりもダメージや極めに行く姿勢が評価されるので、僕としては戦い方を変えなきゃいけない部分はありました。

でも最近では抑えながら殴る練習が出来ているし、コントロールして殴る技術には自信があります。宮田先生も練習から『キープするだけじゃなくてダメージを与えろ』と口酸っぱく言われますし、キープしながら殴れるポイントを教えてもらっているので、細かい部分なんですけど、そういうアドバイスがすごく活きてきますね。

――こうしてお話を聞いていると同じ柔道出身でもファイトスタイルが違うわけですし、BRAVEのプロ練習はあらゆる格闘技のバックボーンを持った選手たちがぶつかり合う場所ですね。

熊崎 毎日が異種格闘技戦ですね。

神谷 ただそのなかでもやはり軸はレスリングだと思います。海成のような打撃の選手はいかにテイクダウンされないかで、僕や夏暉のような組み技の選手はいかにテイクダウンして展開を作っていくかなので、基本は“組んで倒す”や“組ませない・倒れない”だと思います。

――なるほど!! ここからはそれぞれの試合について聞かせてください。熊崎選手はHEATでふくやーまん選手と対戦します。

熊崎 相手は伝統派空手出身で型の選手ということですが、フィニッシュ率は100パーセントなので、大きい一発はもらわないように気をつけています。ただ自分も打撃が伸びてきているので、すべての局面で圧倒して勝ちたいです。

また今回は地元でやる試合で、地元にいる僕の仲間たちは地元でくすぶっているというか、なかなか夢を見て生きいけてないなと感じるので、そういう仲間たちに自分が夢を見せられる試合をしたいです。そういう面でも圧倒して勝つことが試合のテーマです。

――続いて神谷選手はEternalでレイマート・キンタナと対戦することになりました。

神谷 今のところ海外大会ならではの洗礼を浴びていて、当初決まっていた相手(ジャック・ベッカー)が試合の3週間ほど前に欠場になって、キンタナ選手と対戦することになったんですけど、キンタナ選手サイドから怪我で体重を落とせないからキャッチウエイトの74キロ契約に変更してくれないかと言われたんです。

僕とキンタナ選手は同じ大会でライト級の試合が決まっていて、お互いの相手が負傷欠場になって残った2人で試合を組まれることになったんで、相手が代わるのはしょうがないにしても、もともとライト級で試合が決まっていたんだから、契約体重を変えてくれというのはおかしな話じゃないですか(苦笑)。

――急遽参戦が決まった、もともと階級が違うではないですからね。

神谷 まぁ、こういうことがあるのも海外遠征だし、相手が代わってもやることは一緒です。ポジティブに考えれば、これから海外で試合をしていく上で、こういうハプニングは起こりうることだと思うので、それを今のタイミングで経験できてよかったなと。対戦相手や契約体重が変わっても勝つやつは勝つ、ということを次の試合で証明したいです。

――そして黒井選手はRoad FCでパク・ヒョングンと対戦します。ヒョングンはBreakingdownにも出場歴があり、Netflixで配信された「フィジカル100」にも出演するなど現地の人気ファイターという印象です。

黒井 初の海外での試合で、韓国ではかなり有名な選手らしいのですが、すべてにおいてレベルが違うと思っています。色々と挑発してくると思うんですけど、相手が口だけだってことを分からせてやろうかなと思います。

――次の試合で勝つことはもちろん、その先の目標を聞かせてもらえますか。

熊崎 最終的な目標はUFCなので、そこにつなげるためにもまずは日本の団体でベルトを獲りたいです。来年度までにはベルトを巻きます。

神谷 今回Eternalに出させてもらうことになったので、直近の目標はEternalでベルトを巻くことです。EternalからUFCに行くルートが明確に出来ているので、日本でタイトルを獲ることも大事だと思うのですが、僕の考えでは海外で実績を残してベルトを獲って、そこからUFCを目指していきたいです。Eternalでベルトを獲って勝ち続ければ(UFCは)決して遠い目標ではないと思うので、今回のチャンスをしっかりものにして結果を出していきたいです。

黒井 僕はUFCというよりもRIZINで活躍したいです。上京してMMAをやろうと思ったのは朝倉(未来・海)選手たちや堀口(恭司)選手を見て、自分もRIZINに出たいと思ったからなんですね。そのうえで今回は海外=Road FCで試合をしたいと思ったし、国内ではGrachanを主戦場にしているので、Grachanのベルトを獲ってRIZINで戦うことが目標です。今RIZINのフェザー級がすごく盛り上がっていて、特に海外勢がみんな強いので、そういう選手たちを次々と倒していきたいです。

――ちなみに3人は練習以外でも仲が良いのですか。

神谷 ジム以外でもみんな仲が良いですし、いい意味で上下関係がないんですよ。ちょうどいい関係性というか。仲は良いけど礼儀はちゃんとしているみたいな。格闘技経験者が多いので、ここまではやっていい・これ以上はやっちゃいけないというラインが分かるメンバーなんですよ。

熊崎 体育会系ならではの感覚ですよね(笑)。

黒井 年下の僕でも気を使わなくていいので、本当にいい雰囲気のジムだと思います。

神谷 たまには気を使えよ!と思いますが(笑)、いきなり態度を変えられてもやりづらいので、今まで通りでよろしく!

■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE

■ Eternal MMA89視聴方法(予定)
10月26日(土・日本時間)
午後7時00分~UFC Fight Pass

■Road FC視聴方法(予定)
10月27日(日・日本時間)
午後4時00分~KAKAO TV、SOOP

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【UFC310】朝倉海のUFC初戦=パントージャ戦=世界フライ級王座挑戦が、正式発表。破格のデビュー戦

【写真】朝倉海のUFCデビューが決定。大手・電気通信会社が後押しするという話もある2025年のUFC日本大会、ついに実現に向かうのか(C)Zuffa/UFC

12日(土・現地時間)に12月7日(土・同)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC310で朝倉海が、UFCデビュー戦でアレッシャンドリ・パントージャの持つUFC世界フライ級王座に挑戦することが発表されている。
text by Manabu Takashima

6月のUFC挑戦宣言以来、ついに朝倉のオクタゴンデビューが世界王座挑戦という形で実現することが正式発表された。RIZINのリングでUFC挑戦を宣言した直後に朝倉は当時のバンタム級王者ショーン・オマリーへの挑戦を匂わせる発言をしていたが、Fight&Life誌の表紙を飾ったポートレイト撮影時に、「バンタム級としては、小さいです」という言葉が聞かれていた。

撮影後のインタビューでは「アッと驚くデビュー戦になる」とも話していた朝倉だが、恐らくはこの時点からパントージャへの挑戦という話が存在していたか、方向性を持っていたに違いない。

奇しくも一戦、一戦と実績を積んできた平良達郎がUFC世界フライ級1位のブランドン・ロイヴァル戦を戦う日に朝倉の王座挑戦が明らかとなったわけだが、THE BLACKBELT JAPAN陣営では日本時間の9月11日には「恐らくは」という状況で、朝倉の挑戦の話が届いており、平良はそこを受け止めてのロイヴァル戦で精神的な動揺はないと想像される。


ともあれ日本人ファイターのUFC初戦でタイトルショットは2001年2月の宇野薫(バンタム級王座決定戦=ジェンス・パルバー戦)、翌2002年3月の桜井マッハ速人(UFC世界ウェルター級王者マット・ヒューズに挑戦)以来、22年9カ月振り。日本人ファイターのUFC世界タイトル挑戦は2015年4月に堀口恭司がデメトリウス・ジョンソンにチャレンジして以来、9年8カ月振りとなる。

Zuffa体制序盤は2001年2月にジル・カスティーリョが、UFC世界ミドル級王者デイブ・メネーに挑戦した一戦や2003年11月にWFAウェルター級王者だったフランク・トリッグが、マット・ヒューズの持つウェルター級のベルトに挑むなど、初オクタゴンが世界戦という例は見られた。

さらに女子では2013年2月にStrikeforce世界バンタム級王者ロンダ・ロウジーがUFC女子世界バンタム級王者に認定され、初防衛戦の相手リズ・カモーシェが挑戦者という立場で初めてオクタゴンに足を踏み入れている。

2017年12月にTUF26決勝が初代UFC世界女子フライ級と女子ストロー級王座決定戦だったためニコ・モンターニョとロクサン・モダフェリ、カーラ・エルパルザとローズ・ナマジュナスも初戦でタイトル戦を経験している。とはいえ、近年は朝倉のようなデビューは異例中の異例だろう。

UFCアジアをリードするケビン・チャンは、今回の朝倉の挑戦に対し「我々のマッチメイカーがカイ・アサクラを即タイトル戦に起用したのは過去3年、日本から質の高いトップレベルファイターたちが生まれていたからだ。タツロウ・タイラ、リンヤ・ナカムラ、レイ・ツルヤらは、日本のMMAに再び黄金期が訪れることを示唆している」とプレスリリースにコメントを寄せている。

UFC310のメインはUFC世界ウェルター級王者ベラル・モハメッドにカザフスタン人ファイターのシャクハト・ラクモノフが挑戦する。東と中央の違いはあれど、アジア人ファイターが同日に頂点に挑む。そんなUFCにとっても歴史的なイベントでデビュー、そしてタイトル挑戦を迎える朝倉海のコメントは以下の通りだ。

朝倉海
「UFCフライ級を盛り上げるためにやってきました。12月7日、日本時間では8日(日)にラスベガスのT-Mobileアリーナで開催されるUFC 310でフライ級王者のアレシャンドレ・パントージャ選手と戦うことが決まりました。デビュー戦がタイトルマッチということで、不利だという声も多いかとは思いますが、必ず勝って、UFC初の日本人チャンピオンになりたいと思います。そして、UFCファンの皆さんに今まで見たことのないエキサイティングな試合をお見せすることを約束します。楽しみにしてください!」

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45 AB DEEP DEEP121 MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC UFC306 キック ショーン・オマリー ボクシング ライカ 江藤公洋 野村駿太

【DEEP121】DEEPライト級王座奪取直後の野村駿太「ジャブで右が当たる距離が創ることができた」

【写真】 右の突きが何度も江藤の顔面を襲った(C)MMAPLANET

16日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP121 Impactで野村駿太が江藤公洋を破りDEEPライト級チャンピオンの座についた
Text by Manabu Takashima

昨年7月にテイクダウン&コントロールで江藤に敗れた野村は、所属するBRAVE Gymや出稽古先のロータス世田谷で組みを磨き、組まれても構わないという自信を持ってMMAファイターとしてタイトル戦に挑んだ。

結果、江藤を入らせずに打撃を入れる。その打撃も伝統派空手のエッセンスを生かしつつ、MMAに昇華させた野村ならではの打撃となっていた。将来に関して、UFCという言葉も訊かれた試合後の合同インタビューから、MMAPLANETの問いへの返答を抜粋してお届けしたい。


──ベルト奪取、おめでとうございます。

「ありがとうございますっ!!」

──極端にいえば殴られるのが嫌な江藤選手と、組まれても構わない野村選手。その差が如実に出た試合になったかと感じました。

「完成度が高いという江藤選手の評価に、自分は疑問を抱いていました。去年戦った時はそういう風に思っていましたけど、ここのところは『そんなに完成度が高いかな?』って自分のなかで思うようになっていて。

自分が足りないと指摘されている組みの部分に関しても、かなり練習をしていますし。組みのトップの選手と、ずっとやりあえているんで。でも、江藤選手は打撃のトップの選手と打撃をやり合えるわけじゃないということが、自分の心のなかで余裕になってきていました。

自分は組みのトップの選手とずっと練習をしてきたことが心の支えになっていたので、落ち着いて戦えました」

──江藤選手が自分の距離とタイミングでないところから、組みつかないといけないほど圧をしっかりと掛けることができていました。

「イメージで言えばマクレガーとか、昨日、負けてしまったのですがショーン・オマリーのような戦い方が自分のなかでデキましたし、ジムの宮田先生だったり、指導をしてもらっている石渡さんからも、そこを創ることができれば今回はいけると言ってもらっていて。自分の意見も含め、全員の総意でした。チームと、自分の『これをやったら行けるんじゃないか』という意見が合致していたので、そこを淡々とやるだけっていう感じでした」

──上段回し蹴りも様子見ではなく、拳の攻撃と連動がありそうな雰囲気がして、これまで以上に有効に見えました。

「ローを警戒しているのが伝わってきたので。ローに対しては反応がメチャクチャ早かったです。そうですね、ローとストレートを気にしているなかで、天の声じゃないですけど『ハイを蹴ったら良いんじゃない?』って頭に浮かんだ形です。

セコンドが『下から』という風に声を出してくれていたので、江藤選手は下を凄く警戒していたのだと思います。だから、自分が何もしなくてもセコンドの声がフェイントになっていました」

──テイクダウンを何度目かに切った時に、ニヤッとかなり悪い笑顔を浮かべていました。

「していましたか?(笑)」

──ハイ。ただし、この勝利が100点満点にならないのは最終回です。テイクダウンされバックを取られた。あそこが守れなかったのは、どのようなことが原因だと思われますか。

「ただただ自分の弱さだと思います。動けたはずです。でも『このまま耐えておけば』と考えてしまって。1Rはアレで1分ぐらい過ごせたという気持ちが残っていて、このまま耐えたらエェかなっていう感じになっていました」

──つまり江藤選手が組んでくること有りきの受け方になってしまった?

「そうですね。そこまでにやってきたことが、最後に崩れて。それがまだ自分っぽいところなのですが、その当たりを修正できればもっと強くなれると思います。あの場面の自分に対しては『何してんねん!』という気持ちと、『もっと強くなれるな』という気持ちがあります」

──今後に向けて、世界へ行くという言葉も聞かれました。とはいえ、その道に明確な道筋は存在していないのが実情です。

「ハイ。目標はやっぱりUFCです。昨日(※UFC306)を視ていても『ここで戦えると、格闘家として最高やな』という気持ちになりました。そのなかで世界を代表するストライカーのショーン・オマリーがああいう形で負けたりして、自分もああなるのかっていう迷いも少し生じたのですが、この勝利で『俺も世界に行けるな』って気持ちがしています」

──空手家がグローブをつけると、拳の届く距離でボクシングやキックになることが多いと思います。今夜の野村選手は、右の突きが伝統派空手の動きながらしっかりと当たり、ダメージを与える突きになっていたように思いました。パンチがフック系になることはなかったかと。

「ジャブで自分の拳を伸ばしたところで、相手に当てることができ距離を創ることができたのが大きかったです。接近戦や頭を下げる場所で戦うという選択もったのですが、伸ばしたところで殴る距離が創れたことで右が当たり、だからこそテイクダウンが切れたということもあります。

あの距離を創ることができれば、自分の時間をずっと続けることができます。制空圏を創ることができた。これまでは打ち気になって浮き気味になっていたのに対して、ジャブが有効だったからストレートが生きました。

Road to UFCを視ていても倒せるかどうかが、問われていて。DEEPに来てから4試合、5試合前から他の選手にはないミッションを自分に課してきました。今回のミッションはケガをしても良いから、勝つということ。その気持ちがあったのでリラックスして戦えることができました」

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『UFC 306』メラブ・ドヴァリシュヴィリ vs. ショーン・オマリーを見たファイター・関係者の反応



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【UFC306】無尽蔵のスタミナとステップ&TD、デヴァリシビリがオマリーに判定勝利して王座戴冠

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[挑戦者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
Def.3-0:49-46.48-47.48-47.
[王者] ショーン・オマリー(米国)

サウスポーのオマリーが前に出ていく。ここでデヴァリシビリがレフェリーに何かをアピール。レフェリーからは軽い注意があっただけで試合は続行となる。オマリーは構えをスイッチしつつ、左ミドルやスピニングバックキックを見せる。デヴァリシビリはじりじりとプレッシャーをかけ、オマリーは右のボディストレートを見せる。

デヴァリシビリは左ミドルを蹴って前進。オマリーはオーソドックスから右ストレート、ジャブを細かく当てて右をボディと顔に打ち分ける。さらにオマリーはアッパー気味の左を見せて関節蹴り。デヴァリシビリは小刻みなステップからシングルレッグで組んで、オマリーをケージに押し込んでバックを取る。デヴァリシビリは細かくオマリーの太ももにヒザ、パンチを入れる。オマリーも立ち上がって距離を取る。

試合がスタンドに戻ると、。オマリーはサウスポーにスイッチする。デヴァリシビリは右フックからシングルレッグに入ってテイクダウンを狙い、オマリーの頭をコントロールしてギロチンを仕掛けてがぶる。オマリーも頭を抜いて立ち上がる。残りの時間はオマリーが前に出てスピニングバックキックを見せた。

2R、サウスポーのオマリーがプレッシャーをかける。デヴァリシビリはケージ内を大きくサークリングして右ミドルを蹴る。オマリーは構えをスイッチして右ボディストレート、ステップインして顔への右ストレートを見せる。

デヴァリシビリもジャブを突いて前に出て、オマリーの右ストレートにダブルレッグのカウンターを合わせてテイクダウンする。オマリーはクローズドガードを取り、デヴァリシビリはオマリーの顔を左手で押しながら右のパンチを落とす。ここからデヴァリシビリは中腰になり、オマリーのオモプラッタを外して右のパンチを落とす。

オマリーは下から三角絞めと腕十字を狙うが、ここでオマリーがデヴァリシビリのMMAグローブの中に指を入れてしまいレフェリーに注意される。再開後、デヴァリシビリはプレッシャーをかけながらパンチを落とし、亀になるオマリーにパンチを入れる。これを嫌ったオマリーが自らガードを取ると、デヴァリシビリはパンチを落とす。

オマリーは背中を見せつつ立ち上がろうとするが、デヴァリシビリはバックコントロールしながらヒザを入れ、オマリーをケージに押し付けるようにギロチンを狙う。

ここでデヴァリシビリがオマリーの背中にキスをして挑発。レフェリーに注意されると、デヴァリシビリはラウンド終了と勘違いして技を解いて立ち上がる。ラウンドは残り4秒ほど、残っており背中を見せてしまったデヴァリシビリにオマリーがパンチを打ち込み、デヴァリシビリとしてはヒヤリとする一幕だった。

3R、オーソドックスに構えるオマリーが右ボディストレート。デヴァリシビリは構えをスイッチしてステップを刻む。オマリーはサウスポーから左ミドル、オーソに構えて右ストレートを顔とボディに伸ばす。オマリーは左右にステップしてパンチを打つが、デヴァリシビリがシングルレッグに入ってそのままオマリーをケージに押し込む。

デヴァリシビリはオマリーの頭をがぶってコントロールし、ヒザ立ちのオマリーの足にヒザ蹴り。オマリーが立ち上がると顔面にヒザを入れる。ここはオマリーが立ち上がって頭を抜く。

試合がスタンドに戻ると、オマリーはオーソドックスから右ボディストレート。サウスポーからの三日月蹴りは当たらない。続くヒザ蹴りもデヴァリシビリは当てさせず、蹴り足を取ってテイクダウンを狙う。ここは両者の距離が離れ、オマリーが右ボディからの左フック。デヴァリシビリは顔にパンチを振ってシングルレッグを見せ、右カーフを蹴る。

オマリーは右ストレート、デヴァリシビリはしつこくシングルレッグでオマリーの足をすくおうとするが、オマリーもすぐに反応してテイクダウンさせない。終盤、オマリーがパンチからヒザ蹴りを2発繰り出した。

4R、構えを何度かスイッチし、オマリーは右ボディを放つ。これをフェイントにして顔への右につなげる。デヴァリシビリはじりじりとプレッシャーをかけ、左ジャブと左フックで前に出る。そしてデヴァリシビリがダブルレッグでテイクダウンを奪うと、オマリーの右足をまたいでハーフガードでトップキープする。

デヴァリシビリはオマリーの上体を押さえて小さくパンチを入れる。オマリーもデヴァリシビリの体を蹴り離そうとするが、今度はデヴァリシビリがオマリーの左足をまたいでハーフガードでトップキープして右ヒジを落とす。

何とか脱出しようとするオマリーだが、デヴァリシビリのトップキープが強い。オマリーが亀になって立ち上がると、デヴァリシビリはスタンドのままバックについて、四つん這いになるオマリーの太ももにヒザ蹴りを入れて、時折顔面にパンチを入れる。

オマリーが正対してフックガードを取ると、デヴァリシビリはトップキープしてヒジを落とす。オマリーがケージに背中を預けて立ち上がろうつするとギロチンを狙い、オマリーを寝かせて一気にパンチを連打。立ち上がったオマリーにも連打を集めて、来い来いと挑発する。

5R、オマリーがすぐにプレッシャーをかける。デヴァリシビリはケージ内をサークリングして間合いを外す。デヴァリシビリは足のステップを止めず、右のロングフックからニータップでテイクダウンを奪う。オマリーはすぐ亀になってケージまで移動し、四つん這いになって立とうとするが、デヴァリシビリがオマリーをバックコントロールする。

これまでのラウンドと同じように、デヴァリシビリはバックを取って足とボディにヒザ蹴り、パンチを入れる。ここでオマリーも正対して距離を取り、試合をスタンドに戻す。オマリーはサウスポーから関節蹴りと左ミドル、デヴァリシビリはシングルレッグを狙いつつ、やはりケージ内をサークリングする。

ここでオマリーが右の前蹴りを突き刺すと、デヴァリシビリがボディをさすてオマリーを挑発する。すぐにオマリーがスピニングバックキック、デヴァリシビリのテイクダウンを切ってすかさず右アッパーを突き上げる。

デヴァリシビリがシングルレッグに入るが、これはオマリーが切る。デヴァリシビリはガードを上げて前進。オマリーはボディに前蹴りを突き刺すが、デヴァリシビリは足を止めずに動く。オマリーはデヴァリシビリにケージを背負わせて右の前蹴りと左ミドル、右ヒザ蹴りを突き上げる。終了間際、デヴァリシビリがシングルレッグでオマリーをテイクダウンして試合を終える。判定は49-46、48-47、48-47でデヴァリシビリが勝利し、バンタム級のベルトを巻いた。


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