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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC309 コナー・マクレガー シャーウス・オリヴェイラ マイケル・チャンドラー

【UFC309】4Rまで一方的に攻められ続けたチャンドラーが、大逆転直前まで反撃もオリヴェイラが勝ち切る

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
Def.3-0:49-46.49-46.49-45
マイケル・チャンドラー(米国)

まず右前蹴りを見せたオリヴェイラが、右を伸ばす。ここで右目を気にするようになったオリヴェイラだが試合は続く。チャンドラーは蹴りを捌き、右ボディストレートを伸ばす。直後に右を見せたオリヴェイラは、シングルレッグでドライブし軸足を払いつつ、チャンドラーの左足を捩じりながらトップへ。四の字に組んで足関を防ぐチャンドラーは、背中をベタっとマットにつけた状態で、足の組みが外れる。

残り1分、左腕を差して抑えるオリヴェイラが右足を抜きにかかるが、チャンドラーが許さない。このままオリヴェイラがボディを跨がないトップキープをラウンド終了まで続けた。

2R、オリヴェイラが右カーフを蹴る。右ボディから前に出るチャンドラーは、ワンツーから詰められるとバランスを崩す。すぐに立ち上がったチャンドラーが、右を被弾し走って間合いを取りなおす。チャンドラーは再び右を受け、ショートの連打もケージを背負って左ハイを受けそうになり、ヒザをもらう。懸命に右を伸ばすチャンドラーに対し、飛び込むように組んでテイクダウンを奪ったオリヴェイラが即マウントを奪う。

オリヴェイラは上体を起こしてエルボーを落とすと、三角を狙いつつヒジを続ける。額をカットされたチャンドラーは、そのままエルボーを受けながらもマウントを取られたまま何とかサバイブした。

3R、ジャブを伸ばすチャンドラー。オリヴェイラは右カーフ、ダブルジャブを繰り出す。チャンドラーは組みを切ったが、ケージを背負ってアッパーを打たれる。それでも思い切りパンチを振るうチャンドラーを冷静に見るオリヴェイラがアッパーを決める。ヒザ、ヒジからアッパー、そして組も倒してバックに回ったオリヴェイラがボディトライアングルに取る。

シートベルトでRNCを狙われるチャンドラーが、懸命に耐える。時間が十分にあるオリヴェイラは焦らずワキ腹やテンプルを殴って行く。アゴの上から絞めていったオリヴェイラだがチャンドラーはここも生き残った。

4R、左ミドルから組んでいくオリヴェイラ。切ったチャンドラーがジャブを伸ばす。オリヴェイラはワンツー、左を返されても跳びヒザを繰り出す。それでも左を振っていくチャンドラーは、組まれても小手投げを狙う。耐えたオリヴェイラはワキを潜ってバック、自ら背中をつけて寝技に持ち込む。スクランブルに持ち込めず、チャンドラーはボディトライアングルに取られる。それでも腹ばいから起き上がろうとしたチャンドラーは正座状態からRNCをセットされそうになるが、この回も耐えきった。

最終回、右ヒザをアゴに届かせたオリヴェイラが前蹴りを効かせる。チャンドラーはダブルレッグを切って右フックから左を当てる。直後に右を効かせたチャンドラーはオリヴェイラのシングルを崩して、サイドバックから鉄槌を連打する。チャンドラーはクローズドガードのオリヴェイラにエルボーを続けるが、三角絞めをセットされそうになる。

ここは早く対処したいチャンドラーは、肩を入れて防ぎスタンドに戻る。残り1分40秒、オリヴェイラは組んでバックへ。大ブーイングが起こるが、見事が動きだ。しかも、ルオトロチンで絞め、攻めの姿勢を見せて時間を使う。チャンドラーは立ち上がって、後方にスラムを2度見せる。舌を出し笑顔を見せたオリヴェイラ。チャンドラーは試合タイムは残っているが、オリヴェイラの手首を叩いて健闘を称えるという仕草を見せた。

「これまで戦ったことがないほどタフな男だ。心の底から尊敬する」と話した勝者は、次々期挑戦者になることをアピール。そして、敗者は「どうだ。NY、楽しんだか」とまるで勝者のようなドヤ顔で、改めてコナー・マクレガー戦を要求した。


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【UFC309】展望 レスリング再認識、戦いに飢えるチャンドラー×冷静沈着シャーウス・オリヴェイラ

【写真】激闘必至。それ故にそうならない展開になっても、非常に興味深い(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにてUFC 309「 Jones vs Miocic」が行われる。ジョン・ジョーンズvsスタイプ・ミオシッチという重量級レジェンド二人によるヘビー級タイトルマッチをメインとする今大会のコメインは、前王者シャーウス・オリヴェイラとマイケル・チャンドラーによるライト級トップコンテンダーズマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

シャーウス・オリヴェイラは2014年前の10年8月にUFCデビュー。オクタゴン序盤は買ったり負けたりが続いたが、持ち前の極めに加えて強力かつ多彩な打撃を身に付け、2018年6月から破竹の8連勝を記録。2021年5月にチャンドラーとの王座決定戦に臨み、2RTKO勝利してライト級王座に就いた。その後ダスティン・ポイエー戦ジャスティン・ゲイジー戦と強打者二人に連勝するも、ゲイジー戦時に0.5パウンドのウェイトオーバーでタイトルを剥奪されてしまった。

2022年10月にはイスラム・マカチェフと王座決定戦に挑むが、2R肩固めで一本負け。昨年6月にベニール・ダリューシュに1RTKO勝利して復活を果たしたものの、今年4月にはアルマン・ツァルキャンに判定1-2で惜敗し、タイトル戦線から一歩後退を余儀なくされている。


マクレガーのやるやる詐欺、被害=チャンドラー

対するチャンドラーはBellatorライト級王座に三度就いた後、2021年1月よりUFCに参戦ダン・フッカー相手に1R2分過ぎに見事な左フックを当て、TKO勝利し鮮烈なデビューを飾った。続く5月には、参戦2戦目にしてオリヴェイラとのライト級王座決定戦という大一番に挑むも、上述のように2RTKO負けを喫した。

その後ジャスティン・ゲイジー戦トニー・ファーガソン戦ダスティン・ポイエー戦とライト級トップ選手と3連戦して1勝2敗だが、全試合が大激闘でいずれもボーナスを獲得している。

昨年前半には稀代のメガスター、コナー・マクレガーとのビッグファイトに向けてともにTUF31に出演し、チームコーチとして競った。が、マクレガーがドーピング検査リストに再登録したのは、番組放映終了後しばらく経った10月のことだった(検査に引っかからないためにはそうする必要があったということだろう)。

そこから半年検査を受け続けたマクレガーがようやく試合出場資格を得たことで、番組放映から1年以上経った今年の6月、ついに両者の試合が組まれた。が、やっと実現にこぎつけたはずの試合も、直前でマクレガーの足の指の骨折を理由にキャンセルされてしまった。

結果──今年の9月、デイナ・ホワイトUFC代表が「チャンドラーは『もう待つのはヤメだ、試合をさせてくれ』と言っている」と発言し、その後すぐに今回のオリヴェイラとの再戦が発表された。チャンドラーは他の選手と試合せずにマクレガーを待ち続けたことで、30代後半の2年近くを浪費したことになる。さながら格闘技版「結婚(対戦)するする詐欺」の被害者の如しだ。

とまれ、今回約3年半ぶりとなる両者による再戦。当然のように下馬評は前回勝利し、近年コンスタントに試合をしているオリヴェイラが有利と出ている。しかし、より声高にこの試合への意気込みを語っているのは、前回の大一番に敗れ、また2年間試合できていないストレスも溜めたチャンドラーの方だ。

「前回は僕が勝ったけど、もう過ぎたこと。現在は今度の試合に集中しているよ」と静かに語るオリヴェイラとは対照的に、チャンドラーは「あの試合の後、キャリアで一番落ち込んだ。22歳でこのスポーツをはじめた時以来の夢が叶う直前で、シャーウス・オリヴェイラにその夢を砕かれた。今回はあの時起きた間違いを正すチャンスだ。奴を倒してナンバーワンコンテンダーになる」と、勝者に保証されているわけではないタイトル挑戦権獲得を前提に話を進める。さらに

「1月あたりにマカチェフがツァルキャン相手に防衛戦を行い、マカチェフが勝つだろう。でも奴は2月末からラマダン(イスラム教徒の断食月)に入るから、しばらく試合はしない。その間にコナーと俺の試合が実現するかも知れないな! それも勝った後に俺はマカチェフに挑戦し、UFC史上最年長ライト級王座となるんだ! その次は(フェザー級から転向を表明した)マックス・ホロウェイとも戦い、倒したい。俺はMMA史上もっとも凄まじい12ヶ月を過ごすことになるな!」と、どこまでもポジティブに壮大な構想を語る、38歳の愛すべきドリーマーだ。

チャンドラー氏の大いなる野望の出発点でもあるこの試合のポイントは、大激闘となった前戦を踏まえて、お互いがいかに修正、進化した姿を見せるかだ。

前回勝利にもオリヴェイラは「同じミスは繰り返さない」

前回勝利したのはオリヴェイラだが、1Rに踏み込んでの強烈なフックを当て先にダウンを奪ったのはチャンドラーの方。それについてオリヴェイラは「僕は下がってしまうというミスを犯した。チャンドラーのような爆発的な打撃の持ち主相手には、絶対に下がってはいけなかったのに。同じミスもう絶対に繰り返さない」と語っている。

持ち前の瞬発力を活かし、遠い距離から踏み込んでの強打を得意とするチャンドラーに対して、打撃の多彩さではるかに上をゆくオリヴェイラ。宣言踊りにしっかりとガードを固めた上で、強烈にして精度の高いパンチ、蹴り、さらに近距離での肘や首相撲からのヒザも織り交ぜながら前に出てこられると、上背に劣り武器も限られるチャンドラーは苦戦を免れ得ないだろう。

そこでチャンドラーにとって勝利への鍵となりそうなのは、テイクダウンの使い方だ。実際オリヴェイラは、前回のツァルキャンでは要所でテイクダウンを許し、いわゆる「塩漬け」にされた時間の長さ故に惜敗している。

「俺はこの2年間オクタゴンから強制的に遠ざけられたことで、このゲームの大局を眺めることができて、大きく成熟した。今までより冷静に計算ずくに、そしてスマートに勝利を目指す『チャンドラー2.0』をお見せするよ」と語るチャンドラー。

これまでUFCで見せてきた殴り合い上等スタイルに抑えを利かせ、ミズーリ大学時代にNCAA D1オールアメリカンに輝いたレスリングを組み込むことこそ「計算づくでスマートな」戦い方ではないだろうか。もしチャンドラーが、前進するオリヴェイラの打撃をテイクダウンで断ち切ることに成功すれば、勝利の確率は大きくと上がる。

もちろんツァルキャン戦でしてやられたオリヴェイラの方も、二戦連続で「漬け」られるつもりなど毛頭ないはずだ。進化した両者の攻防──前回の大激闘をも上回る戦いになるやもしれないファイトに胸躍らせたい。

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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45 MMA MMAPLANET o ONE UFC UFC309 YouTube   アレクサンダー・グスタフソン エドゥアルダ・モウラ エリク・アンダース オーバン・エリオット カリーニ・シウバ ゴードン・ライアン シャーウス・オリヴェイラ シリル・ガンヌ ジム・ミラー ジョナサン・マルチネス ジョナタ・ジニス ジョン・ジョーンズ スタイプ・ミオシッチ セルゲイ・パブロビッチ デヴィッド・オナマ トム・アスピナル ドミニク・レイエス ハメ・ジョントップ バシル・ホフェス ファブリシオ・ヴェウドゥム フランシス・ガヌー ボー・ニコル ポール・クレイグ マイケル・チャンドラー マウリシオ・ショーグン マウリシオ・ルフィ マルチン・ティブラ マーカス・マギー ミッキー・ガル ラミズ・ブラヒメジ ロベルト・ロメロ ヴィヴィアニ・アロージョ

【UFC309】展望 余人をもって代え難き存在=ジョーンズ×普通の男であることに価値を置くミオシッチ

【写真】持ち過ぎた才能が、人生を狂わせながら強さは絶対のジョン・ジョーンズ。そして強さを求めて、幸福な人生を歩むこととなったミオシッチ。対照的な強者の戦いだ(C)Zuffa/UFC

16日(土・現地時間)ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにてUFC 309「 Jones vs Miocic」が行われる。由緒ある大会場におけるメインイベントは、事実上無敗で二階級制覇を達成したジョン・ジョーンズに、元王者のスタイプ・ミオシッチが挑むヘビー級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

王者JJは、実に13年半前の2011年3月にマウリシオ・ショーグン・フアを3RTKOに下してライトヘビー級王座を獲得すると、6度の防衛に成功し長期政権を築いた。しかし、その後はコカイン使用、ひき逃げ、禁止薬物使用といったさまざまな問題行動を起こして3度に渡って王座を剥奪されてしまう。だがそのたびに復活しては、恐るべき強さで王座復帰を果たしてきた。

さらに2020年には飲酒運転&発砲事件による逮捕を経て、自ら王座を返上。ヘビー級への転向の意志を明らかにするが、その翌年にフィアンセへの家庭内暴力で再逮捕された。


それでも昨年3月には宣言通りヘビー級で復帰。シリル・ガンヌとの王座決定戦において1Rわずか2分でギロチンチョークで仕留め、二階級制覇を達成している。オクタゴン内での絶対的な強さにおいても、その内面に棲まうデーモンの巨大さにおいても余人をもって代え難き、格闘技の矛盾を最大限に体現する存在だ。

対するミオシッチは、8年半前の2016年5月にファブリシオ・ヴェウドゥムを敵地クリチバで1RKOに下し、ヘビー王座を獲得。その後アリスター・オーフレイム戦ジュニオール・ドスサントス戦フランシス・ガヌー戦とヘビー級王座3連続防衛というUFC新記録を樹立した。その後ダニエル・コーミエに敗れるも、リマッチで勝利して王座奪還に成功。が、21年3月にフランシス・ガヌーとの再戦に敗れて再び王座を明け渡している。

ちなみにミオシッチは、以前からファイターであると同時に消防士としての職を持ち続けている。仕事で地域に貢献し、家庭でも妻と子供を大切にする「普通の男」であることに何よりも価値を置く、JJとはあらゆる意味で対照的な生き方を実践している。

2022年にはフルタイムの消防士となったことが報じられ、ミオシッチは幸せな引退を果たしたと考える向きも多かった。しかし昨年3月、上述のようにガンヌを倒したJJがオクタゴンの上で「みんな、俺がスタイプを倒すところが見たいか? スタイプよ、練習してくれていると嬉しいぜ。あんたは歴史上のグレーテイストヘビーウェイトだ。あんたと戦いてえんだ。ものすごくな!」と不敵な笑顔で宣戦布告。11月に復帰してJJへの王座挑戦が決まった。

だが、この大一番に向けての練習中にJJが胸筋断裂の大怪我を負ってしまい、手術と半年以上の治療期間を要することが判明し欠場を余儀なくされてしまう。ここでUFCは、当日のバックアップファイターとして用意されていたセルゲイ・パブロビッチとミオシッチの暫定王座戦を行うことはせず、パブロビッチとトム・アスピナルによる暫定王者決定戦を敢行し、1R1分でKO勝利したアスピナルが王座に就いた。

強引な措置とも言えるが、デイナ・ホワイトUFC代表は「ミオシッチ対JJはレガシーファイト。歴史上最も偉大なヘビー級王者と、歴史上最も偉大なミックストマーシャルアーティストの激突だぞ。レジェンド二人の対決をファンも見たいし、私も見たいし、両者ともやりたがっている。スタイプに暫定王座戦を戦ってくれなどと頼むこと自体、まったくもって失礼な話だよ」と説明した。両者のカードは、競技の理屈をスキップしてでもUFCが実現させたいメガファイトということだ。

その後アスピナルがまたしても1分KOにて暫定王座を防衛する間に、正規王座のJJは手術を経てリハビリを完了。一年の延期を経て、今回──暫定王者として圧倒的に勝ち続けているにもかかわらず挑戦できない気の毒なアスピナルが「老いぼれどもによる、異議にまみれたタイトル戦だ」と毒づくのをよそに──ついにミオシッチとの防衛戦がついに実現することとなった。

長年パウンドフォーパウンドランキングのトップに君臨し、一年前には体にかなり脂肪が乗ったヘビー級としても圧巻の強さを見せつけた37歳のJJと、片や42歳にして3年8ヶ月ぶりの復帰戦となるミオシッチ。当然下馬評は圧倒的にJJ有利だ。

が、もしミオシッチが王者時代に劣らぬコンディションでJJの前に現れれば話は別だ。全てに卓越した王者JJだが、最大の武器はレスリングをベースとした圧巻のグラップリング力。相手が組みを警戒するからこそ、JJはスタンドでオクタゴン中央を取りプレッシャーをかけつつ、他の追従を許さない創造性に溢れた攻撃を交えて距離を支配することができる。

ただし体格に勝りレスリングにも長けたミオシッチは、JJのテイクダウンを恐れずスタンドで逆に圧をかけてくるだろう。仮にミオシッチがJJのテイクダウンや寝技を凌ぎ、スタンドで前に出る展開が生まれれば、俄然試合は興味深いものとなる。アルロフスキー、ヴェウドゥム、オーフレイム、ドスサントスといった名だたるヘビー級王者たちを沈めてきた一撃必殺の右を持つミオシッチの圧力を、手を開いた柔らかい構えと関節蹴り等独自の武器を用いて間合いを作る──しかしライトヘビー時代の機動力はないと思われる──JJがいかに捌くのか。

ここで忘れてはならないのは、苦境に陥った時の強さこそがJJの真骨頂だということだ。かつてJJは、1度目のアレクサンダー・グスタフソン戦ドミニク・レイエス戦で前半は思うようにテイクダウンを取れず大苦戦を強いられたことがある。が、いずれも後半に驚くべき精神力とスタミナを発揮。何より勝利への執着心が試される極限状況下にて、前に出て挑戦者を削り続けて圧倒して逆転勝利をもぎ取っている。

また、JJと組技の練習を重ねる世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアンは、「グラップリングのみの練習でも、ジョンは展開に応じて直感的にゲームプランを変えることができるんだ。また、一つのことを教えると、たちまちそれを別の部分でも応用できてしまう」とJJの真の強さは試合中の適応力や応用力にあると語る。

試合が競った展開になればなるほど、JJの恐るべき勝利への執念、適応力、創造力を我々が目にする可能性は高まる。

今回、JJ自身も己の全てを出し尽くすフルラウンドの戦いを予期している模様だ。「お互いにとって長い夜になるだろう。相手の心臓を皿に盛りつけてみんなの前で食らうのは格別だ。奴を深海に引き摺り込んで溺死させてやる。スタイプの技術じゃなく、心臓に襲いかかるつもりだ」と、心にダークサイドを秘めた者ならではの発言でその覚悟を語っている。

相手を罵ることはもちろん、試合前には多くを語りたがらないミオシッチも「ライトヘビーで戦ってきたジョンは、俺のような相手と戦ったことはない。試合が開始すればすぐに体感するはずだ」と自信をのぞかせている。

適正階級ではない怪我上がりの38歳と、3年8ヶ月ぶりに戦う42歳の戦いでありつつも、まごうことなきMMAレジェンド二人による重量級スーパーファイトであるこの試合。UFCヘビー級最多防衛記録を持つミオシッチが、MMA史上最高のファイターと呼び声高いJJを追い詰めることで、その奥深くにさらに眠っている力が呼び覚まされる──そんな極限の戦いを期待したい。

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

The post 【UFC309】展望 余人をもって代え難き存在=ジョーンズ×普通の男であることに価値を置くミオシッチ first appeared on MMAPLANET.
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45 AB MMA MMAPLANET o ONE UFC UFC300 UFC309 YouTube エドゥアルダ・モウラ エリク・アンダース オーバン・エリオット カリーニ・シウバ コディ・ブランデージ シャーウス・オリヴェイラ ジム・ミラー ジョナサン・マルチネス ジョナタ・ジニス ジョン・ジョーンズ デヴィッド・オナマ ハメ・ジョントップ バシル・ホフェス ボクシング ボー・ニコル ポール・クレイグ マイケル・チャンドラー マウリシオ・ルフィ マルチン・ティブラ マーカス・マギー ミッキー・ガル ラミズ・ブラヒメジ ロベルト・ロメロ ヴィヴィアニ・アロージョ

【UFC309】UFC300の次はMSG、6勝6フィニッシュのNCAA3冠=ボー・ニコル「マッシブなポスチャーを」

【写真】とても穏やか。そして拙い英語へもPatienceしてくれます (C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンでUFC 309「Jones vs Miocic」が開催される。
Text by Manabu Takashima

同大会のメインカード、コメイン前でキャリア7戦目、UFCでは4戦目となるボー・ニコルがポール・クレイグと戦う。NCAAを制すること3度、MMAに転向後は5試合連続で初回フィニッシュ。前回のUFC300におけるコディ・ブランデージ戦で初めて2Rを経験も、全試合フィニッシュ記録は更新している。

ガードからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるクレイグ戦を前にニコルにインタビューをすると、MSGで戦うことの特別さが伝わってきた。


──今週末のポール・クレイグ戦に向けて、今の気持ちを教えてください。

「最高の気分だよ。ただ減量という一番気が滅入る時間帯を向けているけどね。そこ以外は何かも素晴らしいよ」

──NCAAを3度制したレスラーなので減量は手慣れたモノという印象があるのですが、それでもやはり気が滅入るものなのですね。当日計量だったレスラー時代と、前日計量のMMAとはまた違うものですか。

「そりゃあレスリング時代の方がきつかったね。試合まで時間もなくて、リカバリーもそれほどできない。と同時に、レスリングではMMAほど体重を落とさない。レスリングもMMAも直接比較すると楽な部分もどちらにもある。でも、全てをひっくるめるとレスリングの減量の方がしんどいね。とにかく計量後1時間で試合が始まる。これはタフだよ」

──ではMMAを戦うようになってリカバリーには、レスリング時代にない知識も必要になったということは?

「そこに関しては、凄く科学的な減量方法を取り入れているから問題ないよ。確かに細かい失敗はあったけど、全ての経験が生きてきている。毎回、しっかりとその時に合ったカットとリカバリーをしてきたしね」

──ところで前回の試合は初めて2Rを経験しました。5分以上戦ってどのような印象を持ちましたか。

「ハハハハ。いう間でもなく、良い経験になったよ。ケージの中に以前より長くいることができたのは良かった。9分間戦っても何も問題はないばかりか、より動けることが確認できたんだ。フレッシュなままだったよ。コンディションとスタミナに自信が持てるようになった」

──押忍。前回のUFC300は誰もが認める歴史的なショーでした。そして今回はMSGでのファイトになります。28歳のボーにとって、MSGで戦うことは特別なのでしょうか。

「そりゃあそうさ。この機会を得られたことは、最高に光栄に感じている。ものすごく歴史のある会場……MMAだけでなくバスケットボール、アイスホッケー、ボクシングの名勝負が繰り広げられた来た。ガーデンに一歩足を踏み入れると、その伝統と威厳が感じられるんだ。そういうエネルギーを得て、今週末は戦えると思うとワクワクしてくるよ。

ただ大観衆の前で戦うのとは、違う。なんというのか、特別な感覚……それを心の底から感じられそうだ。確かに米国にはもっと大きくて、近代的な会場も増えている。スフィアなんて、その最たるものだよね。

ただニューヨーク、マンハッタンのど真ん中で戦うことは特別だ。アリーナの壁に飾れた数々のポスターからも、あの場で何が行われたのかが伝わってくる。その歴史の重みは皆が共有しているんだよね。今回の試合にサインしたことを伝えると、皆が『おぉ!! MSGで戦うのか!!』って興奮していたから」

──米国の人は格別、その感覚を持っているのでしょうね。そのMSGで戦う相手ポール・クレイグは、ボトムからの三角絞めと腕十字に特別な強さを見せるファイターです。

「危険な相手だ。UFCにおける戦績を見ても、それが証明されている。経験に裏付けされたサブミッションの使い手で、僕としては冷静かつ自信を持って戦う必要がある。焦って戦いたくない。過去に経験したたことがない試合になるだろうから、我慢強く戦うことが自分を助けてくれると思う。それでも、しっかりとポジションを考えて戦うと、サブミッションの餌食なることはないだろう」

ポール・クレイグはUFCで9勝8敗。4試合が三角絞めで勝っている(C)Zuffa/UFC

──ボーも既に仕留め方を心得ているかと思います。

ただし、ボーはレスラーです。テイクダウンからトップコントロールという常套手段が、クレイグの望む戦場になるということが特異な状況です。

「アームバーやトライアングルをセットするまでに、上手くパンチやエルボーを使っている。辛抱強く、三角絞めや腕十字の機会が訪れるのを待つことができるファイターだ。その時が来たら、全力でフィニッシュに掛かる。その機会を与えない。それが僕に必要になってくることは間違いない。あのハイガードを取れないと、彼にはチャンスはない。そのためのコントロールを僕ができるのかだよ」

(C)Zuffa/UFC

──ボーのポスチャーに要注目です。

「そこはしっかりと、やってきた。ポスチャーが悪くて、頭が下がっていることを僕らはデンジャーゾーンと呼んでいるんだ。しっかりとポスチャーができていれば、打撃を叩きこむことができる。ポスチャーに関しては、トレーニングキャンプの軸だったといえる。徹底的に考え、対策をこうじてきた。マッシブなポスチャーを見せるよ」

──ただ寝技に付き合わない戦いもMMAには存在しています。

「つまりは打撃だよね。今回のファイトキャンプ以前から、最高のコーチの下でストライキングを学んできた。打撃に関しては、僕にアドバンテージがある。彼の方が経験値は高いけど、僕の方が若くて速く、パワーもある。スタンドでの勢いのある打撃のある攻防は、ポールの弱点だ。立ち技は絶対的に僕の方が上だよ。

テイクダウンの機会があればするし。そうでなかったとしても、どの局面でも問題ない。それだけファイトキャンプで準備は整えてきたからね」

──ボー、今週末の試合を楽しみにしています。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「UFC309を日本のファンにも楽しんでもらいたい。いつか日本を訪れて東京、地方、富士山に行きたいんだ。僕はMMAもそうだし、日本のレスリングの大ファンでもあるんだ。レスリング時代はタツヒロ・ヨネミツ(米満達弘。2012年ロンド五輪フリースタイル66キロ級金メダリスト)、今はリンヤ・ナカムラ、キョージ・ホリグチという友人がいる。日本のファンの応援に感謝しているよ」

■視聴方法(予定)
11月17日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

■UFC309対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国)

<ライト級/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
マイケル・チャンドラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
ポール・クレイグ(英国)

<女子フライ級/5分3R>
カリーニ・シウバ(ブラジル)
ヴィヴィアニ・アロージョ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マウリシオ・ルフィ(ブラジル)
ハメ・ジョントップ(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・マルチネス(米国)
マーカス・マギー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ウェイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
デイモン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)

<ヘビー級/5分3R>
マルチン・ティブラ(ポーランド)
ジョナタ・ジニス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ラミズ・ブラヒメジ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
バシル・ホフェス(米国)

<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
エドゥアルダ・モウラ(ブラジル)

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【FAW2024#03】代理戦争決勝でトミー矢野と対戦、中村京一郎「彼には柔術という逃げ道がある」

【写真】計量終了直後に見せた表情、どこまでもリラックス。そして余裕が感じられる(C)MMAPLANET

明日、17日(金)に会場未公開で開催される格闘代理戦争-THE MAX-決勝大会で、中村京一郎がトミー矢野と対戦する。格闘DREAMERS出身、デビュー戦は両国国技館のPOUND STROMにおける狩野優戦だった。その敗北から、始まったといっても過言でない中村のMMAファイター人生。
Text by Takumi Nakamura

初戦と準決勝の戦い振りもそうだが、前回の試合と今回の決勝戦について話す中村の言葉の一つ一つから、この2年の間、彼がどれだけMMAと向き合った来ていたかが伝わってきた。


──試合を3日後に控え、やはりリラックスしていますね(※取材は14日に行われた)。

「緊張はしていないです。試合まで、このままです」

──4月のギレルメ・ナカガワ戦は組みを切って、殴る。殴って組ませない。その流れが完全に出来上がってきたところで仕留めに掛かると、打撃で思わぬ反撃を食らいました。

「まぁ、僕の試合が無かったら代理戦争も盛り上がっていなかったと思います。そういう点でも流れが僕に来ている。パンチを被弾したのは……僕の練習相手は綺麗な打撃で、見やすいんですよ。それが久しぶりの喧嘩ファイトというのか、見えなかったです。『うわ、そこから来るのか!!』みたいに。汚い打撃を久々に食らいましたね。でも、あれって練習ではできないことなんですよね。

やっぱりボンサイは打撃に拘っていないからこそ、打撃を当てることができるんだと思いました。クレベルにしても、サトシにしても、ギレルメにしても」

──組み技に秀でていても、喧嘩ができるというか。

「ボディも顔も打って、心が折れるグラップラーも多いのですが……。本人も打撃ができないのが分かっているのに、打撃で来る。根性ありますよね。油断をしているつもりはなかったのですが、どこかで打撃では来ないという想いがあったのだと思います」

──日本のストライカーは組まれると終わりという状態にまだあると思っています。それが北米に行くと、ムンジアル優勝者や世界のトップクラスの柔術家に組ませない。柔術家が如何に勝つかという点に注目がいくのと、真逆の状態が続いています。その点で、中村選手とギレルメの試合は北米の構図になっている試合内容でした。

「シャーウス・オリヴェイラ、ジルベウト・ドリーニョ、ディアス兄弟もそうです。あれだけ寝技ができる柔術家が、打撃がメチャクチャ強い。なんなら寝技をしなくて勝つ。自分はUFCで勝つことを目標にしているので、組まれるのは当然だと思ってやっています。組まれたら、嫌だという思考でなくて。そこで切れずに、打撃戦に戻せないならMMAのストライカーじゃないです。

同時に彼らに組ませたら危ない。その意識を持ち続けています。練習で取られないようになっても、やはり戦う相手本人ではないです。今もトミー対策で、今成(正和)さんのところで解除方法を習っていますが、それが絶対でないという意識でいます」

──関節技と打撃は練習で100ではできないですし。

「打撃に関しては、トミーがそこを分かっているのかなって思っています。本気で殴られたことがない。何発か被弾すると、凄い恐怖を感じるはずです」

──それは足関節やサブミッションにも当てはまりませんか。

「今成さんは際どく攻めてくれるので、有難いです(笑)。それでも100ではないので、ビックリタップには気を付けないといけない。ただ、トミーも本来は上を取りたいはずです。MMAなんで。それが無理なら、足関節に来る。でも、僕は殴れるので」

──真剣の斬り合いのような攻防になりそうです。Kガードからのエントリーなど、殴られる覚悟で仕掛けてくると怖そうです。

「どういう流れになるのか……でも、Kガードを仕掛ける時間があるのか。確かに殴られる覚悟で仕掛けてくると厄介かもしれないですけど、効かさると本来の極めの強さも維持できないですからね。元気な状態の下と、効かされた状態は違うと思っています。トミーに関しては、もう倒すイメージはできています。僕も組みが強い人と練習していますから。

でも、そういう選手と戦えると思っていなかったので、格闘代理戦争に出て本当に良かったです。きっと、普通にMMAの団体で戦っていたらギレルメもトミーも試合ができなかった。いうと初戦のミスター・ホンデも含めて、全て国際戦を経験できているので」

──なるほど。本当にその通りですね。

「今後、世界に出ると道程にあってMMAはそれほどでも、柔術はしっかりとデキる選手と戦うことができた。戦績だけ見ると僕が一番上のようですが、彼らの格闘技歴は僕なんかより、ずっとあって。それだけ戦うことに慣れている。そういう選手と戦うことができて良かったです。3カ月連続で試合をすることもなかったと思いますし」

──なんだか、もう優勝したあとの言葉に感じられますが(笑)。

「そうですね。ここはしっかりと勝たせてもらいます。僕は本気でBMFのベルトが欲しいんです。そのために絶対にUFCに行く……。そのために生きています。でも、トミーってそこまでじゃないだろうって。

インタビューを読んだけど、スターになりたいとか言っている。スターになりたいなら、別にMMAじゃなくて良いだろうと思います。柔術をずってやってきて、ちょっとMMAにヌルッと入り過ぎたんじゃないかと。

MMAでスターになりたいけど、なれなくても柔術が残るんだろうし。僕はMMAしかない。彼には柔術という逃げ道がある。僕には、逃げ道はない。MMAだけで、人生を生きていくんです。お世話になった人に、MMAで恩返しをする。そういう俺と戦って、『お前、大丈夫か?』という気持ちはありますよ。気持ちの問題ですよ、そことは別に技術は存在しているので。ただ俺とは、覚悟が違うだろうって。

接戦になった時、その差は出ます。そういう覚悟がPOUND STORMで狩野(優)選手に負けた時に無かったから、僕には凄く分かるんです。今のように腹が括れていなかったから、ラスト30秒でタップした……」

──POUND STORMにおけるDREAMERS勢で、その覚悟があったのは中村倫也選手だけだったと思います。

「記者会見で……高島さんが狩野選手と岩﨑(大河)選手に『リスクしかない、やる意味のない試合をなぜ、受けたのですか』みたいな質問をしたんですよ」

──中村選手と、ヘンリー(三上大智)選手にとっては失礼極まりない質問ですね(笑)。

「ホント、あの時は『あんた、俺と話したこともないだろう?』ってムカついていたんです」

──スミマセン(苦笑)。

「でも今なら、ああいう風に思われていてもしょうがないと分かります。あの時の僕はヌルッとMMAをやっていた。倫也さんを筆頭に、格闘技で実績がある選手や(鈴木)崇矢みたいにやる気に満ちている連中が周囲にいて。それで自分が強くなっている気でいたんです。同じ電車に乗っているだけで、自分の荷物は違うのに、同じ風景を倫也さんと見ていると勘違いしていました」

──……。

「だから狩野選手に言っていたことは、もうその通りで。そりゃあ、そうだし。あの時の自分は、それだけ分かっていなかったんです。腹の括りようも甘くて、本当にヌルッとしていました」

──……。

「トミーは柔術が本当に強い。尊敬しています。さっきも言ったように試合で競い合って来た歴史も凄く長いし。でも、KIDさんやアーセンがいたからMMAをやっている気分になっている。あの時の自分と同じじゃないかなって。この試合で腹の括り方の違いが出ます。あの時の僕の経験を、今回の試合でトミーにしてもらいます。

逆にこの試合で負ければ柔術も辞める─ぐらいの覚悟だと、怖いですよね。でも、そんなこと思っていないから。そこは今の僕とは違いがあります」

──押忍。では今後に関してですが、どのようなプランを考えていますか。なんといっても、まだ2024年は7カ月も残っています。

「まずトミーと戦うことでKRAZY BEEに行くことができていなかったので、また練習環境を整えたいです。この間、本当にそれは感じました。まだ知らないので、米国で練習もしてみたいですし。

米国に行ったからって、強くなれるとは思ってはいないです。だいたい、言葉も通じない。食べるモノ、水も変わる。よほどの適応能力がないと、食べるって強さの根源ですよ。それが変わって、簡単に強くなれるなんて僕は思っていなくて」

──それは鈴木崇矢選手と、意見がぶつかりますね(笑)。

「アハハハ。だからこそ、行ってみたいんです。僕は行っていないから、分かっていないので。格闘代理戦争の間、試合間隔が短いからスパーリングでバカバカやることを減らして、調整もできました。凄く良い期間になっていて、自分の日本での練習環境は最高です。だから、経験として米国に行く必要があると思います。

実際、崇矢も強くなって帰ってきましたらね。何かあるのだろうし、それは経験したいです。強くなることに正解はないので、何でもトライしたいと思っています」

──では試合に関しては?

「優勝したら超RIZINという話が途中で出てきて……。まぁ、対戦相手にもよるんだけど……。ただ、スーパーアリーナのでっかいバージョンなんですよね。そこは倫也さんから、『そういう大観衆の前で試合をすることは、絶対に今後に生きる。RIZINに関しては好き嫌いはあっても、そこはあるよ。京ちゃんはUFCの雰囲気を知ったけど、試合をするのとセコンドは絶対に違うから』と言われて……。

あれだけMMAに掛けている倫也さんの言葉は、やはり重みが違って。それに、どアウェイ。そこを乗り切る練習になるかなと思っています」

──超RIZIN後も、まだ半年残っています。

「ハイ。来年のRoad to UFCに出るなら、国内のタイトルも必要で。Grachanでフェザー級タイトルを狙うというのもありますけど、チャンピオンの小島勝志さんは僕が山梨でMMAを始めた時のジムの会長なんです……。あとGLADIATORのチャンピオンは(河名)マストさんで練習仲間で。パンクラスは(新居)すぐるさんで、先輩だし(笑)。そうなると、戦う場所もしぼられてくるかなと思っています。

とにかく、僕はMMAファイターとしてまだまだです。だからRoad to UFC云々でなく、UFCで勝つためにBMFのベルトを取るためにグラップリングもレスリングも、打撃だってもっともっと強くなる必要があります。だから、まずは本当に自分がどう強くなれるのかを考えていきたいです」

──いやぁ、代理戦争のキャラ潰しになるかもしれないですが、全然傍若無人の若者でなく、口の聞き方も礼儀作法も心得ていますよね。ケージの中でカメラマンを手で払うとは、思えないです(笑)。

「いや、あれは……レフェリーも、カメラマさんに外に出てって言っているのに、ずっといるから(笑)。レフェリーの声が聞こえていたから、早く外に出てくださいって伝えたんですよ。でも代理戦争はカメラさんが下りてからも長い。そこは何とかしてほしいです(爆)」

──アハハハハ。

■視聴方法(予定)
5月17日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

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【UFC300】極めとパウンドの攻め・防ぎ合い。アルマン・ツァルキャンがオリヴェイラに2-1勝利

<ライト級/5分3R>
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)
Def.2-1:29-28.29-28.29-28
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)

左ハイにオリヴェイラに軸端払いを合わされ、姿勢を乱したツァルキャンがシングルへ。切ったオリヴェイラはがぶりから、立ち上がったツァルキャンにジャンピングギロチン。懸命に腰を押すツァルキャンからマウントを奪うと、エルボーを落とす。もう一発エルボーを入れたオリヴェイラは肩ブリッジにもマウントをキープする。2度目の肩ブリッジでリバーサルし、胸を合わせたツァルキャンが細かいパウンドから左エルボーを2発決める。

スイープ狙いを防がれたオリヴェイラはクローズドガードを取る。ツァルキャンは強烈な勢いで右エルボー落とす。スイープ狙いで崩し、右足を掴んだ状態でツァルキャンの顔面を蹴ったオリヴェイラ。素晴しいバーリトゥード技術だが、ツァルキャンは左ヒザがキャンバスについており、明白に反則だ。ドクターチェックを受けたツァルキャンのトップポジションで試合は再開。オリヴェイラに減点はなかった。

ツァルキャンは狭いスペースでエルボーを入れ、オリヴェイラがスイープからスクランブルに持ち込む。エルボーを見せて離れたオリヴェイラに対し、ツァルキャンがスピニングバックキックを放ったところで時間となった。

ハグから始まった2R、オリヴェイラが右ストレートをヒットさせる。ワンツーでつめ、ヒザをボディに突き上げるツァルキャンがジャブへ。続いてカカト落としを蹴ったツァルキャンが、シングルレッグでテイクダウン。後転してスクランブルに持ち込んだオリヴェイラはボディロックに左腕で頭を抱える。頭を突っ込みギロチンを防いだツァルキャンが、その頭を抜いてテイクダウンに成功する。オーバーフックでツァルキャンのパウンドを防ぐ──巧妙なガードワークを駆使するオリヴェイラだが、それでもエルボーは受ける。

残り2分、三角絞めを防いだツァルキャンだがパウンドは打てない。オリヴェイラは致命傷にならない位置のパンチは打たせ、顔面だけは守る。それでもツァルキャンは左ヒジを連続してカットを誘うと、ついに勢いのある右のパウンドが打てるように。終了間際に腕ひしぎ腕固めで右腕を伸ばしたオリヴェイラだが、時間となった。

最終回、オリヴェイラの跳びヒザは空を切り、ツァルキャンがワンツー。オリヴェイラもワンツーから、フックの応酬へ。詰めてクリンチのツァルキャンが右腕を差す。ヒザのオリヴェイラに対し、エルボーのツァルキャンが離れてダブルレッグ。切ったオリヴェイラはジャブを被弾する。それでも右ミドルを決めたオリヴェイラだが、ダブルレッグにギロチンを合わせるも倒されてサイドで抑えられる。

ヴァンフルーのツァルキャンが、クルスフィックスを狙う。と、反転したオリヴェイラの動きを利してバックに回る。オリヴェイラは足のフックを許さないよう動き、強引に乗ってきたところで前方に落とす。すかさずダースから、ノーアームギロチンをセットしたツァルキャン。一瞬、腹ばいで体が伸びるような仕草を見せたツァルキャンが時間まで耐え、激闘が終わった。

結果、スプリット判定勝ちを手にしたツァルキャンは「この階級で最高の人間であるオリヴェイラに感謝している。ただ、ジャッジ1人が彼につけたのは理解できない。とにかく僕は王座に挑戦したい。5年前、ショートノーティスで戦ったけどイスラム・マカチェフにとって一番タフな試合になった。彼が機会を与えてくれるなら、次に勝つのは僕だ」と話した。


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【UFC300】ケイラ・ハリソンと対戦、女子格レジェンド=ホーリー・ホルム「少しでも成長しようと」

【写真】落ち着き払っているホルムだった (C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 300「Pereira vs Hill」で、ホーリー・ホルムがケイラ・ハリソンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2017年にボクシングの殿堂入りを果たしたホルムだが、ボクシングでの活動が9年間だったのに対し、MMAは13年目を迎える。そしてボクシングよりも、キックの印象が強い被弾しないMMAストライカーは42歳になっても衰えることを知らない。

ハリソンと戦うことで、ロンダ・ロウジー戦が思い起こされるホルムだが、日進月歩の女子MMAで2011年から戦い続けてきたホルムこそ、今はベルトを巻いていなくともUFC300で戦う相応しいファイターに違ない。


――今週末UFC300という大舞台で戦うこと、どのように考えていますか。

「現役チャンピオンと元チャンピオンが揃って出場している大会に参加できて、本当にワクワクしているわ。この大会で戦うメンバーの1人に選ばれて光栄よ。でも、出場するからにはしっかりと勝たないといけないから」

2009年、MMAデビューの2年目にジャクソンズMMAでMMAファイターとスパーリングをしていたホルム

──ボクシングで世界のベルトを15本も巻いた。

そんなホーリーが、Legacy FCに出場し始めた頃からファイトを見させてもらってきましたが、あの頃ここまでMMAにのめり込むと思っていましたか。

「こんなに長く戦うなんて、思っていなかったわ。ファイト毎に自分の限界を見極める必要があると思って戦ってきて、それが1年、1年と続いてきた感じね。それにしても、ここまで長いキャリアになるとは全く想像もしてなかった」

──ここまで戦うことができる要因はどこにあると思っていますか。

「やっぱり精神面の影響が大きいと思うわ。ファイトでも、ビジネスでもフィジカルよりもメンタルに依るところが大きいから。もちろん肉体的にヘルシーでないといけないけど、メンタルもそうね。心身ともに健康で、しっかりと考えることができる状態でいないと。それに他の選手が負ったような大きなケガとは無縁というのも、やっぱり大きいわね。だからこそ、前進できる。今も、前を見続けて戦うことができているわ」

(C)Zuffa/UFC

──ところで今回のケイラ・ハリソンとの一戦は、多くの人がロンダ・ロウジーとの戦いを連想しているかと思います。

「2人ともバックグラウンドは柔道だから。皆が、あの2人を比べるのはしょうがないこと。でもロンダとケイラは全然違う。ロンダの方が立ち技で戦いたがっていた。それにロンダは柔道で戦っていたけど、ケイラはレスリングで戦っている。何よりロンダはオーソドックスで、ケイラはレフティ。そこからして違っているわ。だから、ロンダ云々でなくケイラの動きに集中する必要があるの。

同時にロンダと戦ったことで、私は本当に色々なことを手にすることができたのは事実よ。メンタル的にもあんなに凄いプレッシャーのなかで戦ったことはなかった。それでもポジティブに乗り越えることができた。ケイラは、MMAでそういう経験していないでしょうね。何よりロンダと戦った時と比べると、MMAは凄く進化している。それは私も証明してきたし、多くのガールズがケージのなか見せてきた。今もそう。少しでも成長しようと、練習を続けているから」

──では、ケイラとの試合でカギを握る攻防はどこになると思いますか。

「とにかく集中することよ。ケイラの想うような試合展開にさせないためにも、集中して戦うこと。ファイターなら誰もそうだけど、距離のコントロールは絶対よ。望むような試合をするには、絶対的に自分の距離で戦わないといけない。

どれだけ相手との間に距離があるのか。そして、どれだけ空間をコントロールできるのか。それがMMAというゲームで、自分のパズルで埋めていく必要があるの」

──簡単に伝わることではないでしょうが、そこも踏まえてどのような試合をファンに見せたいと考えていますか。

「今も私がこの階級の実力者だと、証明したい。私の持つ、全ての技術を駆使して戦うわ。とにかくケイラとの試合はビッグファイトよ。この試合で勝利を手にすれば、またタイトルに挑戦できると思っている。どうなるかしらね」

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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【UFC300】展望。ゲイジー×ホロウェイ、Baddest Motherfuckeを超越したBMFタイトル戦!!

【写真】両者とも156ポンドで計量を終えている。最高の駆け引きのあとで、最高の殴り合いに発展する可能性も?? (C)Zuffa/UFC

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催される。プレリミ含めて全試合がメインイベント級と呼べるスーパー・メガ・ヒストリカルショーで、UFC認定の非公式タイトル=BMF(Baddest Motherfucker=最高にヤバい奴)現王者であるジャスティン・ゲイジーにマックス・ホロウェイが挑む一戦もラインナップされている。
Text by Isamu Horiuchi

もともとこのBMFタイトルが創設されたのは、2019年11月のネイト・ディアズ×ホルヘ・マスヴィダル戦だ。その3カ月前のアンソニー・ペティス戦に勝利したネイトが「俺は真のBaddest Motherfuckerの座を賭けてマスヴィダルと戦いてぇんだ。ただ相手を抑え込んでルール上の勝利を狙うような連中じゃなくな」と発言。この言葉にダナ・ホワイト代表も大いに乗り気となり、BMFの文字が大きく刻まれたベルトを本当に作成、両者による決定戦を敢行したのだった。


試合は1Rに右ハイでネイトの右目上をカットしたマスヴィダルが終始優勢に試合を進め、3R終了時にTKO勝利。元WWEスーパースターのザ・ロックことドウェイン・ジョンソンにBMFベルトを巻かれたのだった。

その後4年近く封印されていたBMF戦だが、初代王者のマスヴィダルが引退を表明した3カ月後の昨年7月、ゲイジー×ダスティン・ポイエーにて復活。ここでゲイジーが右ハイでポイエーを沈め2代目王座に輝いた。この勝利でイスラム・マカチェフの持つライト級王座の挑戦権を得たと思われたゲイジーだが、その話がなかなか具体化しないまま、今回元フェザー級王者のホロウェイを相手に史上初のBMF王座防衛戦に臨むこととなった。

挑戦者のホロウェイは、現在アーノルド・アレン戦とコリアンゾンビことジョン・チャンソン戦と2連勝中。ライト級のゲイジー同様、こちらもフェザー級タイトル挑戦に最も近いところにいると思われる選手だが、新王者イリャ・トプリアの都合や前王者アレックス・ヴォルカノフスキーとのダイレクトリマッチが優先されているせいか、なかなかタイトル戦の話が挙がらない。

そこで今回──ある意味正式のタイトルよりも世間的な注目は高いかもしれない──BMFタイトル戦に出陣を決めた。

現BMF王ゲイジーはこれまで25勝のうち20KO、実に80パーセントのKO率を誇る。名だたる強豪たちと対戦経験を持つ前ライト級王者シャーウス・オリヴェイラをして「自分が対戦した中で最もパンチ力があったのは断然ゲイジー」と言わしめるライト級屈指のハードヒッターだ。対する挑戦者ホロウェイは、これまでUFCの試合中に誰よりも数多く有効打を当てているとされるボリュームストライカー。(有効打かどうかの判断に厳密さはないと思われるが)昨年のアレン戦のライブ中継の途中で合計3000発ヒットという記録を達成したと伝えられ、2位に1000発以上の差をつけていると説明された。

そんな両者の「ヤバい奴決定戦」である以上、期待されているのがド派手な打撃戦であることは言うまでもない。実際にゲイジーはこの試合について「理想的には、KOして眠らせるよりも目をカットするとか、彼の腕が折れてしまうとか、何らかの形で歩けなくすることで試合が終わってくれる方がいいとは思う。でも実際に向こうはこっちをKOしようと向かってくるだろう。だからこっちも向こうがどうなろうが、完全に眠らせてしまおうがまったく良心の呵責は感じないよ」と彼流の静かな言い方で凄絶な展開を予告している。

対するホロウェイも「僕なりにBMFを一言で言い表すなら”violence(暴力)”だ。ゲイジーはバイオレントな男だ。この試合は暴力そのものとなる。最高だ。生きがいだ。考えるだけで満面の笑みが浮かんでしまうよ」と真っ向から打撃戦を挑む姿勢を見せている。

わざわざ階級上の超弩級のハードパンチャーとの殴り合いに嬉々として臨むホロウェイの精神性は、確かに常識を超越したBMFさ(ヤバさ)に溢れている。しかし、近年の両者の戦いぶりやMMAファイターとしての進化を考えた場合、この戦いで重要なのはBMFな要素のみではないと思われる。むしろBMFを超えたお互いの格闘家としての成熟度こそ、今回問われているのではないだろうか。

前回ポイエーを倒してBMF王座に就いたゲイジーだが、その勝因が本人の成熟ぶりにあったのは自他ともに認めるところだ。2018年4月にポイエーと対戦した際には、序盤から体を振って距離を詰めて殴りに行ったゲイジー。最後も強引に前に出たところにカウンターをもらってマットに沈んだ。以降この試合を教訓として忍耐強く戦う術を身に付け、5年を経た再戦となった前回のBMF戦ではまるで違う戦い方を見せた。

前に出てくるポイエーの打撃に柔らかく体を使って反応しては強烈なカウンターを何度も当て、最後もポイエーが近づいてきたところに右ストレートから右ハイ一閃。見事なコンビネーションをもってゲイジーは鮮烈なKO勝利を収めた。

2018年のポイエー戦と並んでゲイジーが「大きな教訓となった」と認めているのが2022年5月のシャーウス・オリヴェイラ戦だ。序盤からお互いに効かせ合う凄絶な展開となった1R。チャンスと見るや我を忘れて大振りの一発狙いを繰り出していったゲイジーは、逆にオリヴェイラの一撃を貰ってダウンし、チョークで仕留められてしまった。

その後ゲイジーは、次戦となる昨年3月のラファエル・フィジエフ戦でこの敗戦の学びを生かしてみせた。最終3R、やや動きの落ちたフィジエフに対してゲイジーは急くことなく強烈なジャブで出鼻をくじき続けてペースを握る。終了寸前、後のないフィジエフが勝負を掛けて振り回してきた左右のフックを見切ったゲイジーは、見事なカウンターのテイクダウンに成功。最後まで冷静さを保ち勝負どころを見極めての完勝だった。

昨年のフィジエフ戦とポイエーとの再戦でゲイジーが見せた冷静さと忍耐強さこそ、今回の対ホロウェイBMF戦の勝利に向けても、最重要視される。一発の威力より圧倒的な手数で勝負するホロウェイだが、相手が強引に前に出たところに放つカウンターには一撃必殺の威力が宿る。前戦にて手負いのコリアンゾンビが強引に詰めてきた時に巧みにバックステップして距離を作り、右オーバーハンドをスマッシュヒットして劇的なKO勝利を挙げたのは記憶に新しいところだ。

5年前、急遽のオファーを受けて短い準備期間で敢行したライト級戦(2019年4月、ポイエーとライト級暫定王者決定戦にて5R判定負け)の時とは違い、今回は十分に時間を掛けて筋肉量を増やしてきたというホロウェイ。減量苦からも解放され「スピードは落ちず、パワーは上がって体調は100パーセントさ」と語っており、過去最高に力強い姿が期待できそうだ。

仮にBMFを期待する雰囲気に流されて、ポイエー初戦やオリヴェイラ戦の向こう見ずなゲイジーが現われるようなことがあれば、ホロウェイが世間を驚かせる可能性も高まるだろう。

当然ゲイジー本人もそこは十分承知しているようで「確固たる技術を用いて、距離を支配し、角度を作って素早く反応して戦う」と予告している。おそらく今回のタイトル戦で我々が見るのは、闇雲に前に出て相手を殴りにゆくのではなく、冷静に相手を見て反応し、有効な打撃を繰り出してゆくゲイジーの姿だろう。

その上で勝負所を見極め凄まじい威力の打撃を爆発させる、前戦に続くゲイジー流進化版BMFを期待したい。

今回のBMF戦で進化が求められるのは、ホロウェイも同様だ。この試合でまず警戒すべきはゲイジーの強烈な右のカーフキックだろう。オーソドックスに構えて絶妙の間合いを保ちつつボクシングで勝負するホロウェイは、以前から相手の右ローを被弾する傾向が見られる。2019年末のヴォルカノフスキーとの初戦では序盤からカーフを何度も貰ってペースを握られ、2年後のジャイー・ロドリゲス戦の序盤でもローを効かされる場面が目立った。

そこで鍵となりそうなのが、昨年4月のアレン戦でホロウェイが見せた新しい戦い方だ。普段とは逆にサウスポー中心に構えたホロウェイは、スイッチや横への動きも随時に交えて多彩な角度を作り、強打を誇る新鋭アレンに動きを読ませずに判定勝利した。

昨年の来日時にこの試合について筆者が質問した際「MMAは常に進化するスポーツだから、自分も進化しないと置いていかれてしまうんだよ」と答えてくれたホロウェイだけに、今回も危険極まるゲイジーの蹴り、そして凄まじい破壊力の拳を捌くための新しい姿を期待したい。

ちなみにゲイジー陣営もこのアレン戦のホロウェイの新しい戦い方を警戒しているらしく、公式予告番組「UFC 300 Countdown」カウントダウンでも、ゲイジーがコーチたちとともにこの試合のホロウェイの立体的な動きを熱心に分析研究する姿が映し出されている。ホロウェイが見事なタイミングでアレンにワンツーを入れた場面を見たゲイジーは「もし俺がローを蹴ることで、彼のこの動きを誘い出すことができたなら、そこにカウンターを合わせることができるよな」とコーチに語っている。

やはり──この試合はただのBMF決定戦ではない。お互いが最も進化した状態の対戦相手を想定し、勝つための緻密な策を組み立て最高の状態に仕上げた上で、死力を尽くして戦うのだ。

すでに長きにわたって世界トップで戦いつつ、なおかつMMAファイターとしての進化を見せてくれるゲイジーとホロウェイ。この階級を超えたBMF戦は、彼らがそれぞれの階級で頂点に登ってゆくための道筋としても興味深い。

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC300 アルジャメイン・ステーリング アルマン・ツァルキャン アレックス・ポアタン イェン・シャオナン イリー・プロハースカ カルヴィン・ケイター ケイラ・ハリソン シャーウス・オリヴェイラ ジェイリン・ターナー ジェシカ・アンドラーデ ジエゴ・ロピス ジム・ミラー ジャスティン・ゲイジー ジャマール・ヒル ジャン・ウェイリ ジョン・ジョーンズ デイヴィソン・フィゲイレド ヘナト・モイカノ ホーリー・ホルム ボビー・グリーン ボー・ニコル マックス・ホロウェイ マリナ・ホドリゲス 秋山成勲

【UFC300】UFC100、200&300出場。オクタゴン44戦目ジム・ミラー「予想も期待もしていなかった」

【写真】1983年8月30日生まれ。MMA戦績37勝17敗1NC。UFC戦績26勝16敗1NC。いぶし銀な鉄人(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 300「Pereira vs Hill」で、ジム・ミラーがオクタゴン44戦目をボビー・グリーン相手に戦う。
Text by Manabu Takashima

ジム・ミラーはUFC100、UFC200 、UFC300を戦う──この惑星でたった1人の存在だ。UFC100は25歳の時、UFC200は32歳だった。そして40歳になってUFC300を戦う。功労賞的な出場ではない。今も世界最高峰にあってコンペティティブな存在だから、あの場に立てる。世界チャンピオンという肩書はない。それでも紛れもなくMMA界のオンリーワン、ジム・ミラーに話を訊いた。


――今週末、UFC300でボビー・グリーンと対戦します。今の調子は?

「キャンプも最高だったし、凄く調子が良い。後は戦うだけだよ。UFC300に関しては、数年前から出たいという気持ちは口にしていた。でも、自分の立ち位置によってUFC300のようなビッグショーで戦えるか否か状況次第だった。でも、このところのファイトが認められたのか出場オファーが届き、拘って来た甲斐があったよ。

トレーニングキャンプを経て、ボビーと戦う。つまり、ここからということ。ボビーに勝って、このまま正しい方向に進んでいくつもりだよ」

──ところでジムはUFC100、UFC200、そしてUFC300を戦う唯一のファイターです。心の底から、自らを誇れることかと。

「そうだね。自分でも凄いことだと思っている(笑)。ただ、本音をいえば少しプレッシャーも感じているんだ。第1試合からメインイベントまで凄い試合が並んでいるなかで、チャンピオンと元チャンピオンの名前をいくらでも見ることができる。18人もの世界チャンピオンが出ているショーで、僕は彼らに繋げるためにもしっかりとファンの気持ちを温めたい。自分の役割を果たすつもりだ」

──そんな……UFC300は試合順こそあっても、全員がヘッドライナーですよ。この大会は過去の名声だけで戦える場所ではないはずです。UFC100でマック・ダンジグと、UFC200では五味隆典選手と戦った。UFC100は2009年で、UFC200は2016年でした。そして2024年となった今も、ジムはコンペティティブな存在です。だから出場権利を得ることができたに違いない。

「サンキュー。本当に色々と努力を続けてきた。と同時に、幸運でもあったんだ。大きなケガをすることなく、キャリアを積みかさねることができた。ライム病との診断を受けて頭を悩ますこともあったけど、症状を軽減させる努力をして……楽しく、ここまで戦い続けることができた。そして、今回のような大きな大会で大勢のファンの前で試合ができることが凄く嬉しい。コロナ後、今回のような大観衆のなかで戦うのは2度目なんだ。ファンが僕の名前を叫ぶなかで戦うことが楽しみでならない」

──そして今回のファイトが、UFCで実に44戦目になります。信じられないような試合数です。

「アッハハハハハ。こんな風なキャリアを送ることになるなんて、予想もしていなかったよ。期待もしていなかった。年老いたライト級ファイターとして、いかにトレーニングをして、いかに戦うのか。その方向性を見つけ出せたことが大きい。40歳のライト級って、ヘビー級では50歳のようなモノだからね(笑)。

簡単なことではない。でも、MMAの戦い方をずっと研究してきた。マーシャルアーチストとして、自分のスタイル、自分の力に合った方法論を見つけてきたんだ。そうやって積み重ねてきたことが、合致して実を結んだとは思っているよ。なんといってもファイトだけでなく、僕の人生に合致したんだ」

──素晴らしいです。

「UFC100の翌年に生まれた子供がもう14歳だ。以前は子供達は、僕が何をしているのかはちゃんと理解できていなかった。それが今では、より深く理解できている。この時間、経験を子供達と共有できて幸せな限りだ。子供達も土曜日の試合を観戦することを楽しみにしている。本当に喜ばしいことだよ」

──そんな記念すべき夜も、対戦相手はジムをぶっ飛ばしに来ます。

「その通りだ(笑)。ボビーは素晴らしくタフなファイターだよ。彼もまた長い間、UFCで戦ってきた。過去に何度か戦う話もあったけど、実現には至らなかった」

──2022年7月に対戦予定でしたが、グリーンがドラックテストに陽性反応が出てキャンセルとなりました。

「その通りだね。ただ、あれからもいつかは戦う時が来るとずっと思って来たんだ。ボビーのようなユニークなスタイルの選手と、こうやって戦うことができて嬉しいよ。ヤングキッズと戦う時は、何も知らない。本当に何も分からない相手と拳を交えることになる。でもボビーは違う。彼は彼で、色々なことを積んできている。ボビーのようなUFCで20数試合(※23試合)も戦ってきた選手と戦えることが楽しみでしょうがない」

──押忍。ところでUFC100に出場していた選手で現役を続けているのはジムに以外、ジョン・ジョーンズ、そして秋山成勲選手がいます。秋山選手は48歳になった今も試合に出ていますが、ジムが秋山選手の年齢に近づく頃にUFC400が開かれるはずです。

「ノー、ノー(笑)。待ってくれ、UFC400で戦うつもりはないよ(笑)。だから、僕はライト級だからセクシーヤマとは違う。ライト級ファイターが48歳で戦うなんて、あり得ない」

──可能性はゼロとは思えなくて。

「う~ん……。UFCが僕と同じようにリタイアしている選手との試合を組んで、ショーの役に立てるなら……その時は考えるよ(笑)」

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC300   アルジャメイン・ステーリング アルマン・ツァルキャン アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イェン・シャオナン イスラエル・アデサニャ イリー・プロハースカ カルヴィン・ケイター キック グローバー・テイシェイラ ケイラ・ハリソン シャーウス・オリヴェイラ ジェイリン・ターナー ジェシカ・アンドラーデ ジエゴ・ロピス ジム・ミラー ジャスティン・ゲイジー ジャマール・ヒル ジャン・ウェイリ ダナ・ホワイト デイヴィソン・フィゲイレド ヘナト・モイカノ ホーリー・ホルム ボクシング ボビー・グリーン ボー・ニコル マゴメド・アンカラエフ マックス・ホロウェイ マリナ・ホドリゲス ライカ

【UFC300】展望─01─ポアタン✖ヒル。記念大会のメインはKO必至。瞬き厳禁=近距離の打撃戦?!

【写真】KO必至。MMA的にはヒルという見方も成り立つが、近い距離のポアタンの振りにどう体が反応するか (C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催される。プレリミ含めて全試合がメインイベント級と呼べる豪華カードがズラリと揃ったこの記念大会のメインを飾るのは、二階級制覇を達成した王者アレックス・ポアタン・ペレイラに、前王者のジャマール・ヒルが挑むUFC世界ライトヘビー級選手権試合だ。
Text by Isamu Horiuchi

この試合は、約1年半続いてきたUFCライトヘビー級戦線の混迷状況に完全に終止符を打ち、ついに誰もが認める──”Undisputed”王者を決定する戦いといえる。


同級の混乱は2022年11月、当時の王者イリー・プロハースカが右肩の負傷によりタイトルを返上したことに端を発する。これを受けて翌月、2位のヤン・ブラボヴィッチと3位のマゴメド・アンカラエフの試合が急遽王座決定戦に格上げされて行われた。

しかしこの試合が、直後の会見でダナ・ホワイト代表が「酷い試合だった。ファッ○ンな3ラウンドが終わった後、私は卒倒しそうになったよ」と得意のFボムを投下し吐き捨てるような内容の末にドロー、王座は空位のままとされた。呆れた表情のホワイト代表はその場で、年明けの2023年1月リオ大会にて、元王者のグローバー・テイシェイラと当時6位のヒルの間で新たな王座決定戦を行うと発表したのだった。

(C)Zuffa/UFC

突然の大抜擢を受けて敵地に乗り込む形となったヒル。

地元の英雄に対して多彩な打撃でスタンド戦を支配。5Rにはテイシェイラ執念のテイクダウンからマウントを奪われたものの、股間を抜けてスクランブルして上を取り返し、文句なしの判定勝利を収めた。デビュー後14戦にして見事世界の頂点に立ち「俺のような境遇からここまで来られるなんて」とマットに突っ伏して感涙にむせんだヒル。

そこから顔を上げて「多くの人間が俺には無理だとぬかしやがった。チャンスは1Rしかなく、5Rは戦えないとかな。見たかこのクソ野郎ども!!」とアンチに大見栄を切ったが、思わぬ展開が重なった末の「棚ボタ的」戴冠という印象は拭えず、ヒルをまだ真の王者としては認め難いという声が消えることはなかった。

防衛を果たすことでそんな声を黙らさんと意気込んでいたヒルだが、半年後の7月に悲劇が襲う。なんとファイトウィークの催しで行われたファイターたちによるバスケットボールの試合にてアキレス腱断裂の大怪我を負ってしまい、タイトル返上を余儀なくされたのだ。

(C)Zuffa/UFC

そこで同年11月、この一年間で実に三度目の王座決定戦へ。

前王者プロハースカと二階級制覇を目指して階級を上げてきたアレックス・ポアタン・ペレイラ。1Rに強烈な右カーフでダメージを与えたポアタンは、2Rに強引に詰めてきたプロハースカに左右のフックをヒット。崩れたところに追い討ちをかけてTKO勝利。キックボクシングとMMAの両方で世界二階級制覇という大偉業を達成してみせた。

今回の記念大会ではその新王者ポアタンに、手術とリハビリを経て復活したヒルが挑む。正規王者と、敗れることなく王座を失った前王者による真の世界の頂点を決める戦いが、ついに実現するというわけだ。

ヒルにとってこの試合は、戴冠後も自分を認めようとしない世間に対して自分を証明する戦いでもある。対戦相手の悪口を言わないストイックな求道者ペレイラのことを「クールな男で、ああいうやつは好きだ」と認めているヒルだが、自分のことをビッグマウスと罵るペレイラファンたちのことは我慢がならない様子だ。

「俺はアレックスを立ち技でKOしてやる。そしてその事実を奴のファンどもの目の前に突きつけてやるぜ。アレックス本人に対してはやらないけどな。俺のことを侮辱しやがる奴ら、お前らより俺の方が遥かに優れた存在だ。俺は自分の本職で世界のトップに上り詰めたんだ。それと比べてお前らは何様だ? たかが百人くらいの規模の工場で月間優秀社員に選ばれたとか、そんな程度でお前らは自慢し、自分を特別だと思ってたりするんだろ? 

お前らなとど違い、俺は選ばれた1パーセントの中の1パーセントの中の1パーセントだぞ。そんな俺の達成や努力に唾を吐きかけクソぶっかけるような真似しやがって。その理屈で行けばお前らなど、人生において誇れることなど何一つありはしないということを理解するがいい。お前らがどう足掻こうが、俺はこの3年間で、ほとんどの人間が生涯で稼ぐ額より遥かに多くを手にしたんだ。そいつらの子供が稼ぐ金を含めてもな。俺はお前らの言葉をモチベーションにして、お前らが崇め奉るアレックスを眠らせてやるぜ」と、対戦相手ではなくそのファンに対して身も蓋もないトラッシュトークを展開する前王者だ。

それはさておき、この試合で期待されているのは凄まじい殺傷能力を持つ両者による大打撃戦だ。グローリー2階級制覇という輝かしいキックボクシングの実績を持つポアタンは、当然のようにMMAでも9勝中7フィニッシュの全てがKO勝利だ。対するヒルも、7つのフィニッシュの全てがKO。しかし高校時代までバスケットボールに励んでいたというヒルは、MMAを始めるまで特に格闘技経験はない。まったく異なるバックグラウンドとスタイルを持つMMAストライカー同士の対決という意味でも、興味深い頂上決戦だ。

まず注目なのは、ポアタンの主武器である右カーフキックを巡る攻防だ。腰を捻らないコンパクトな蹴り方でありながら強烈無比な威力を持つこの右カーフを駆使し、序盤に相手の足を殺すのがポアタンの常套手段だ。ほぼノーモーションから放たれるため、相手にとっては反応が極めて困難となる。

ヒルのヘッドコーチであるチャド・ポメロイも「我々はローキックの対策を重点的に行っていて、強いムエタイ選手たちにスパーでローを蹴ってもらっている」と発言しており、挑戦者陣営がこの技を最も警戒していることは間違いない。ヒルとしては、スタンドでいかにプレッシャーをかけて王者のローを封じるかが勝利への大きな鍵となりそうだ。

その点本人は、11月のポアタンの戴冠をケージサイドで目撃した直後にすでに「1Rはスローな展開だった。イリーは広いスタンスでローに対処せずにダメージを受けてしまったが、俺にはアレックスが対処できないようなスキルと特性がある。奴は俺が試合に持ち込むスピードとボリュームに対抗できないよ」と自信を覗かせている。

実際ヒルは王者と同じ193センチという長身を誇り(201cmのリーチは王者のそれを1センチ上回っている)、前手での多彩な攻撃を軸に、足技も交えてプレッシャーをかけることを得意とする。さらに相手のジャブにカウンターを合わせるタイミングにも天賦の才を持ち、サウスポーを基本としつつスイッチも駆使するが故に、ローのダメージを両脚に分散させることもできる。

王者のローの距離を殺しケージ際に詰めるために必要な適性に恵まれているのは確かだ。さらに誰よりもポアタンをよく知るイスラエル・アデサニャとの練習も敢行したヒルは「彼は俺の質問に全て隠すことなく答えてくれて、(打倒ポアタンのための)素晴らしいインサイトを授けてくれたよ」と語っている。

もっともポアタンとしては、ローを嫌がる相手が前に出てくるのはいつものこと。前戦でも、プロハースカが2Rに強引に詰めてきたところを待ち構えていたように強烈な左右のフックを当てて沈めている。近距離からでも異次元の破壊力を発揮する拳こそ、ポアタンの真の怖さだ。

が、挑戦者はむしろそこにポアタンの弱点を見出しているようだ。「奴のディフェンスは、自分のオフェンスに依存しているんだよ」とヒルは言う。「守るときには、自分の攻撃の背後に隠れる形になっている。だからディフェンスを余儀なくさせるように追い込んでいけば、そこに弱点が出てくるはずだ」と。

実際ポアタンは、相手が距離を詰めてきた時に上半身を動かさず腕を伸ばして下がる傾向があり、その際に相手のパンチを被弾する場面も見られる。ケージ際からの一撃必殺のカウンターは持っているが、巧みなディフェンスワークを披露することはあまりない。対してヒルは柔らかく体を使ったスウェイも得意とする。前戦の4Rにテイシェイラをケージ際まで詰めると、リーチに勝る自分の打撃だけが当たる絶妙な距離を保ち、反撃を巧みなボディワークでかわしつつ多彩なコンビネーションで滅多打ちにしてみせた。「オフェンスに依存したディフェンス」を攻略する術を、ヒルは確かに持っている。

しかし──この師と仰ぎ敬愛する存在がヒルに打ちのめされる光景を、ポアタンはセコンドとして間近で目撃している。打撃戦で師と同じ轍を踏むつもりは毛頭ないはずだ。

今回の試合に向けてテイシェイラの道場で共に練習し、攻略法を伝授される日々を過ごしてきた王者は「ヒルの打撃は確かにパワーがあって危険だ。でも技術レベルを見ると(自分が倒した)イリーの方が優れていると思う」と静かに語り、自信を覗かせる。両者の間合いが蹴りの距離からパンチの距離へと移行した時、射程距離の長いヒルの拳と短いポアタンの拳、二つの凄まじい殺傷能力はどのように交錯するのか。

お互いのことを熟知し、研究し尽くした最高峰のMMAストライカー二人による決戦。意表をついてどちらかがテイクダウンを仕掛けてゆく可能性も含め──真のライトヘビー級の頂点を決める、記念大会に相応しい至上の攻防を堪能したい。

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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