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【UFN190】MMA遊牧民。キャリア14連勝に向け、シャクハト・ラクモノフ「強豪と戦い地位を上げる」

【写真】中央アジアやモンゴル系の選手らしく、非常に朴訥とした感じで無駄な言葉は吐かない。その一方で、しっかりとインタビューに応じてくれたラクモノフだった(C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで 行われるUFN190:UFN on ESPN+48「Gane vs Volkov」で、シャクハト・ラクモノフがミシェウ・プラゼレスとオクタゴン2戦目を戦う。

カザフスタン、キルギス、ウスベキスタンと中央アジアのMMAファイターが世界で浸食を始め、特にカザフはスラブ系でないアジア系のファイターの活躍が目立つ。ラクモノフは母国のバトル・オブ・ノマッドやロシアのM-1でキャリアを積み、昨年10月のアブダビ大会でUFCデビューを果たした。

そして、アレックス・オリヴェイラという猛者を相手に、ギロチンで初回一本勝ちを果たしている。MMA遊牧民=ラクモノフに初インタビューを試みた。


──ミシェウ・プラゼレスと26日に戦います。今の調子はいかがですか。

「全てにおいて問題ない。あとは試合を待つだけだよ」

(C)Zuffa/UFC

──昨年10月にアレックス・オリヴェイラからギロチンで一本勝ち、見事なUFCデビューを飾りました。

「凄く経験のある相手だったけど、しっかりと準備ができていた。どの試合も特別ということはなく、ファイトはファイトだと思っている。ただし、あの試合に限ってはUFCデビュー戦で、数多くのカザフの人々が視ているから、そういうプレッシャーがあったのは確かだよ。対戦相手が怖いと思ったことは全くなかったけどね」

──シャクハトは長身でリーチが長い選手ですが、打撃だけでなくギロチンでもの腕の長さを生かしていました。バックグラウンドとなる格闘技は何ですか。

「子供の頃から多くのマーシャルアーツを学んできた。ボクシング、キックボクシング、柔道も少しやった。ウェルラウンデット・ファイターだから、誰とだろうが、どの局面でも戦える」

──それらのスポーツで何かタイトルを獲得したことはありましたか。

「コンバットサンボでカザフスタン王者になっている。パンクレーションやアマチュアMMAのWMMAAでも表彰台に立っているよ。それにグラップリングでも、ローカル・トーナメントで優勝している」

──つまりプロMMAでデビューする前に、もうMMAに近い打撃、テイクダウン、寝技のある競技で結果を残していたのですね。

「コンバットサンボとパンクレーションを経験したことで、スムーズにプロMMAに転向することができた。ただし、レスリングに関しては特に力を入れて強化してきたよ」

──MMAを始めた理由は何だったのですか。

「好きだったからだよ。MMAルールで戦うことは、とてもエキサイティングだからね」

──なるほど(笑)。では今回の試合はどのように準備してきたのですか。

「まずカザフスタンのアルマトゥイで所属するDARプロチームで練習をし、フロリダのサンフォードMMAで最後の調整したんだ。DARプロチームにもジョージー・キチジンや何人かレスリングがベースの強いトレーニング・パートナーがいるけど、サンフォードMMAはUFCやBellatorの強豪が数多く練習しているジムだから、興味があった。彼らとトレーニングをすることで、自分の動きをしっかりとチェックできたよ」

──キチジンはONEで世界ウェルター級王座に挑んだり、ACAでもタイトル戦線にある選手ですね。

「そうだよ。強いよ。今回は彼らとの練習でフィジカルを上げ、フロリダにいってスパーリングに力をいれた。サンフォードMMAでは、これまでやってきた練習とは違うメニューが多くて、凄く良い経験になったよ」

──その練習の成果をぶつけるべき相手ミシェウ・プラゼレスの印象を教えてください。

「FCで10勝もしている経験豊かな選手だよ。年はいっている(※39歳)けど、その影響は試合では見られない。1年間試合をしていないので、しっかりと調整してくるだろうね。

UFCでは彼のような強い相手と戦って、自分の地位を上げていくもの。経験の少ない相手とUFCで戦いたいと思っていない」

──背が低いですが、凄く爆発力がある選手です。寝技も凄くアグレッシブです。

「柔術とファイトは違う。柔術のように簡単に寝技の展開にはならない。彼が想い描くような試合にはならないよ。ただ試合の立ち上がり関しては、打撃にも注意が必要になってくると思う。自分の距離で戦うよ。余り試合前から、こういうことを言うのは好きじゃないけど、しっかりと戦う準備は出来ているから問題ないよ」

──分かりました。あとはケージの中で魅せてほしいと思います。

「技、僕の能力を皆に見てもらいたい」

──シャクハト、今日はありがとうございました。ところでノマッドというニックネームですが、本当に遊牧民なのですか。

「アハハハ、全く試合に関係ないことだけど、僕は強くなるためにカザフ中、色々な場所を移り住んできた。それにこれからUFCで世界中で戦っていくから、リアルライフでノマッドだと思っているよ」

■視聴方法(予定)
6月27日(日・日本時間)
午前2時00分~UFC FIGHT PASS

■UFN190 対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
シリル・ガンヌ(フランス)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<ヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(ハイチ)
タナー・ボーザー(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ハオーニ・バルセロス(ブラジル)
チムール・ワリエフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
ダニエル・ピネダ(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
ニコラス・ダルビー(デンマーク)
ティム・ミーンズ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ヘナト・モイカノ(ブラジル)
ジェイ・ハーバート(英国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダニーロ・マルケス(ブラジル)
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ミシェウ・プラゼレス(ブラジル)
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァルリー・アウベス(ブラジル)
ジェレマイア・ウェルス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マルチン・プラチニオ(ポーランド)
イケ・ビジャヌエバ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ジュリア・アヴィラ(米国)
ユニア・ストレアレンコ(リトアニア)

<フェザー級/5分3R>
チャールス・ロサ(米国)
ジャスティン・ジェインズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ヤンシー・メデイロス(米国)
ダミア・ハゾヴィッチ(デンマーク)

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Interview Special アレックス・オリヴェイラ シャクハト・ラクモノフ ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:10月─その壱─ラクモノフ×オリヴェイラ「多様化はすさまじい」

【写真】 無敗のM-1王者とはいえ、UFCデビュー戦でオリヴェイラに一本勝ちというのは……予想外だ(C) Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年10月の一番、第一弾は24日に行われたUFC254からシャクハト・ラクモノフ✖アレックス・オリヴェイラ戦について語らおう。


──10月の青木真也が選ぶ、この一番。まず第1試合目は?

「ラクモノフ✖オリヴェイラですね。正直、ラクモノフはノーマークでした。しかもオリヴェイラが3ポンドの体重オーバーで。ラクモノフってM-1からなんですね。M-1のウェルター級チャンピオンで。この試合を見ると、M-1も普段からフォローしないといけないなって思ってしまいますよね」

──どこかACA、Fight Nightに続くロシアのプロモーションというイメージに落ち着いてしまっていましたが。

「そうなんですよ。ACAはもうUFCのチャンピオンですし、でもM-1も全然違うんだなって。だってアレックス・オリヴェイラってUFCで18試合もして、トップ中のトップじゃないけどウィル・ブルックスとかカーロス・コンディットに勝っている選手ですよ。今も連勝中で──代役とはいえ、ラクモノフが勝つなんてまるで思っていなかったです。

この選手はロシア系でなくモンゴロイド、アジア系の顔で親近感がわくなぁって。でも体力のある感じで。カザフスタンって余り勉強できていないんですけど、柔道も強いですしね」

──カザフは資源が豊富で中央アジアでは断トツでGNPの高い国だという記憶があります。そして中央アジアの国においてはイスラム教徒とロシア正教の人口比が近いという。

「国土もデカくて。でもロシアと中国に挟まれて、ちょっと危ういですよね。中国が100年計画で進行しようとするルートにありますよね」

──と同時にロシアも北部をウクライナ化しようとしたり。

「危ういけど、そりゃ強いですよ。中国のMMAってもともとウィグル人、モンゴル人が多くて漢人はさほど多くなかったじゃないですか」

──ウィグル人だとジュマビエク・トルスン、リー・ジンリャンを代表する内モンゴルの人はいくらでもいる印象です。

「顔が上海の人たちと違いますもんね。僕たちが思う中国と、本当の中国は違うってことなんですよね。圧倒的に漢人が強い、民族の集合体で。裏を返すと、ソ連と同じで……、これって怖いですね。ゾッとしますね。なら中国もやっぱり出てくるのかって。

ただし中国って、スポーツは国威発揚のためじゃないですか」

──ハイ。その通りですね。だから五輪スポーツのトップが流れてくることってないと思います。

「でも中央アジアはMMAとしてはロシアの文脈で。それに旧ソ連の国ってレスターとかお金のある国に買われて、国籍を移してスイス代表とかカナダ代表とか、国籍が変わることもあります。でも、MMAは国威発揚に関係ないし」

──ハイ。選手も自由に米国、北欧、東南アジアを行き来して練習もできるから国籍を移す必要もない。

「そうなんです。つまりは金になるから、国内に留まったトップ・アスリートがMMAに回ってくる。コンバットサンボという前段階もロシア繋がりでありますし。それを考えると怖いですよ、本当に。

2、3年前にロシアは掘っちゃダメだっていっていたのが、もう普通に世界中にロシア人選手が見られるようになった。なら、ここからは中央アジア選手が普通に拡散していくのでしょうね」

──UFCのヴァレンチーナ・シェフチェンコ、ラファエル・フィジエフと同様にONEにもキルギス国籍のウェルター級王者キャムラン・アバソフがいて、カザフスタンでは元フライ級王者のカイラット・アクメトフがいます。

「そうなんですよ。今、やたらとインドって聞きますけど、それは市場であって競技レベルの話じゃないじゃないですか」

──ほぼほぼ他の格闘技で国際的な活躍が聞かれないですしね。男女レスリングに少しはあっても。

「インドと中央アジアとは違いますよね。ただし、中央アジアも市場がないと、いくら強くても人数制限が掛かってくる。そこにムスリムという文脈を切り取るとどうなるのか(笑)。この辺りの多様化はすさまじいものがありますね、コロナで。機会を得るだけでなく、こうやって勝ってしまうんですから。ちょっと……ラクモノフを見ていても、ゾッとします」

──青木選手はMMAに歴史を重ねて見るのが好きなようですね(笑)。

「僕は歴史、そして物語が好きで。ただ試合をして勝ち負けを見るより、その選手の名前から人種や民族を考えてしまうタイプです(笑)」

──ラクモノフは試合から見て、どこに強さが感じましたか。

「第一に体が強い。突出した部分があるわけではないですが、しっかりとテイクダウンが切れていますし。打撃も下手で威力がある。誰がきても平気という雰囲気で戦っていますよ。佐藤天と戦うとどうなるのか。どっちがアジア一番かって……でも今やオリヴェイラに勝ったからラクモノフの格上になってしまいます」

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Report UFC UFC254 アレックス・オリヴェイラ シャクハト・ラクモノフ ブログ

【UFC254】カザフスタンのシャクハト・ラクモノフが、カウボーイ・オリヴェイラをギロチンで破る

<173ポンド契約/5分3R>
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)
Def.1R4分40秒by ギロチンチョーク
アレックス・オリヴェイラ(ブラジル)

キャリア12連勝中、UFC初陣のラクモノフが体重オーバーのオリヴェイラと戦う。右を当てて、ラクモノフのワキを走り抜けるオリヴェイラ。ラクモノフは右カーフを蹴り、蹴り足をとって右を当てようとする。右ジャブ&ローから、右オーバーハンドを見せたラクモノフは、オリヴェイラの右に右ヒザをボディに合わせ、パンチを纏める。オリヴェイラのクリンチにもヒザをボディに突き刺すラクモノフは、押し込み返されてもウィザーから小手を決めて投げを狙う。

耐えたオリヴェイラがダブルレッグを仕掛ける。ケージを背にしたラクモノフは耐え続け、残り30秒でギロチンから引き込むとクローズで固めてタップを奪った。「カザフスタンの国旗を掲げることができて嬉しい。UFCで18戦もしている相手に勝てて、感傷的になっている。最後は僕の得意技の一つなんだ。次? 家に戻って休むよ。カザフスタン人は急がないんだ」と勝者は話した。


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