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Interview ONE ONE FN27 サンザール・ザキロフ ブログ 和田竜光

【ONE FN27】和田竜光、ストロー級転向でザキロフと対戦「強い相手から避けるつもりは一切ない」

【写真】ストロー級転向にあたり、自らザキロフを指名したという和田。ストロー級最強に向けた戦いが始まる(C)TATSUMITSU WADA

11日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN27で、和田竜光がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

7月にシェ・ウェイに判定勝利した和田は試合後にストロー級への転向を表明。2025年最初のONE FNがストロー級転向初戦となり、対戦相手はロシアのザキロフに決まった。

ランキングにこそ入っていないザキロフだが、ONEでは本田良介をKOした試合も含めて3戦3勝。和田も「実力的にはジャレッド・ブレックスの2番手にいる」と認める強敵だ。

和田はストロー級で戦う上でザキロフを自ら指名したことを明かし、「ストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言える」と語った。


――ストロー級転向初戦でサンザール・ザキロフとの対戦が迫ってきました。ザキロフ戦はどういった経緯で決まったのですか。

「話があったのは10月の後半くらいですね。前回の試合(7月にシェ・ウェイに判定勝利)が終わったあと『次からはストロー級でやりたい』という希望は伝えていて、それまでに試合の話はあったんですけど、色々と調整していくなかで1月の頭の大会でまとまった感じです。対戦相手に関してはザキロフとやることには何も問題はなかったので、そこはトントン拍子で決まりました。

というのも元々ザキロフは10月に箕輪(ひろば)君と試合が決まっていて、箕輪くんが交通事故に遭って、試合が飛んだじゃないですか。あの時に自分のSNSでも(ザキロフに)『俺とやらない?』って発信して、それをONEにも伝えてたんです。それもあってこのタイミングで色々とハマッた感じです。多分ザキロフと試合したい人もあまりいないだろうし、ザキロフも箕輪戦が飛んで試合をしたかったと思うんで」

――なるほど。一選手としてもザキロフには惹かれるものがあったのですか。

「僕がONEのストロー級を見ていて、ジャレッド・ブルックスが実力的にちょっと抜けていると思うんですよ。2月にブルックスとジョシュア・パシオが試合しますけど、僕は2番手にいるのがザキロフかなと思っています。

ランキングには入ってないけど、実力的にはそこですよね。ちょうど僕もストロー級に落として一発目で、いきなりランカーとやれればよかったですけど、まだストロー級では何の実績も残してなかったんで、そうなったらザキロフがちょうどいいじゃんと思ってました」

――ランキングには入っていない。でもトップクラスの実力がある。そういう相手と戦うことはリターンが少ないと思う選手もいると思うのですが、和田選手は実力がある相手とやりたいと思っていたのですか。

「今までのプロ生活でもそうなんですけど、僕は強い相手から避けて試合するつもりは一切ないんで。主催者からこいつとやれと言われればやりますって感じですけど、出来るならそういう強い選手とやりたいなっていう思いは常にあります」

――改めてザキロフの対戦相手としての印象はいかがですか。

「ストロー級っぽくない体型で、戦い方がちゃんとしているというか、ウェルラウンダーですよね。ストロー級は小柄でがっちりしていて、戦い方も偏ってる選手が多いじゃないですか。パワフルだったり、テクニカルだったり。その中でザキロフは自分みたいな感じかなと思います」

――自分と似ている部分があると感じますか。

「テイクダウンの方法はちょっと違うんですけど、打撃でプレッシャーをかけてテイクダウンに繋げて、トップコントロールで相手を削ってバックからRNCを狙う。 で、相手が起きてきたら、また打撃で仕掛けてテイクダウンにいく。打撃と組み技を連動させるという部分の考え方としては似てると思います」

――試合を見ているとパワフルさや力強さが目立つ選手ですが、そういった相手を攻略するイメージはできていますか。

「確かに試合を見ていて、テイクダウンが強くて、打撃も強くて、トップコントロールも上手で、 それこそロシアスタイルみたいな感じで、完成度が高いなとは思います。ただ組みで言ったら上久保(周哉)の方が強いでしょっていう。俺は普段から上久保と組んでんだぞっていう、自分への自信というか。

僕が上久保に練習で勝っていたら話は早いですけど、僕は上久保にやられてる側なんで、胸を張って自信があると言えないところがありますけど(苦笑)。でもそういう組みの強い相手は普段から体感しているので、ザキロフの組みが多少強かろうが、そこまでびっくりすることではないだろうなと思います」

――ザキロフの組みが強かったとしても、その強さまでイメージできているようですね。

「あとはこの前(12月)ブルックスがフライ級でリース・マクラーレンとやった試合を見て、やっぱりこのぐらいかっていう感じがあったんですよ。ストロー級のトップでも(フライ級でやっていた)自分とは差があるというか。

(ブルックスとやって)負けちゃうんじゃないかとは思わなかったんで。ブルックスが強いのは分かるし、実際に触れてみたら強いんだろうけど、あのぐらいだよねっていう」

――直前にブルックスとマクラーレンの試合があったことで、フライ級とストロー級の違いを見ることができた、と。

「もともとそう思っていたんですけど、改めてやっぱりそうだよね、このぐらいだよねと思いました」

――和田選手自身はストロー級への減量やコンディショニングはいかがですか。

「今のところ(取材日は1月5日)減量に関して言うと、体重は順調に落ちてます。あとは最後のところで『うわ、落ちねえ』っていう場面が来なければ大丈夫だと思います。動きに関しても、体重が軽くなって体がどうこうっていうのは、ここまでは感じてないんで、あと数キロでそこにピーンと来なければ動けるんじゃないかなというところまでは持って来ることが出来ました」

――今回の試合はランキング戦ではないですが、今後のストロー級戦線を占う一戦になると思います。この試合に勝ってタイトルを狙っていきたいですか。

「ベルトは当然1番の目標だし、変な話、ベルトにこだわってストロー級に落としたところもあるので、今回の試合で実力を証明したいところです」

――フライ級はなかなかチャンスが巡ってこないという部分もあったのでしょうか。

「フライ級はタイトルマッチが上手く回ってなかったですし、僕が今の位置からベルトを狙うとなると、もうあと何戦もやらないといけなかったと思うんですよ。実力で(フライ級のトップ選手に)劣ってるとは思ってないんですけど、僕が積んできてしまったものが、そうさせてるというか。

僕の中では負けたとは思っていない試合もあったけど、結果は負けになってしまって。そこを挽回してタイトルマッチまで行くような時間は正直もう作れない。それでいてコンスタントに試合するのが難しいとなおさらですよね」

――確かにそうですね。

「あとはストロー級という階級の話で言ったら、僕はONEが世界一だと思っています。もしフライ級にDJ(デメトリウス・ジョンソン)がいたら、DJがいる以上、ONEのフライ級が世界一かもって思えるじゃないですか。DJがアレッシャンドリ・パントージャとやってもDJが勝つんじゃね?とか。でもDJが引退しちゃって。これが(ストロー級転向の)後付けというか、結果的にそういう展開になったんですけど。

逆にストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言えると思うんです。だから僕はONEストロー級のベルトには価値があると思うし、ストロー級はONEのMMAで一番価値がある階級だと思います」

――ONEでストロー級のベルトを巻けば、間違いなく世界一になった瞬間を味わえると。

「胸を張って言えると思います。あのリングにぶっ込まれて、『ストロー級で誰が1番強いんだ?』って聞かれたときに『俺だよ!』って。ONEの他の階級、例えばフライ級もレベルは高いけど、周りは『UFCにはパントージャがいるじゃん。朝倉海がいるじゃん、RIZINには堀口恭司がいるじゃん』って言うと思うんです。でもストロー級でチャンピオンになれば、誰もが『あいつがストロー級で世界一だ』と認めるしかないと思います」

――それでは最後にこの試合を楽しみにしている日本のファンにメッセージをいただけますか。

「僕が持っているスキルを出して、それをザキロフとぶつけ合うような試合になると思います。どういう結末・最後になるのかは分からないですけど、そういった部分を楽しんでもらえたら嬉しいです」

■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)

<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンザール・ザキロフ(ウクライナ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN25 YouTube アレクシ・ニコラ イー・チャア キック サンザール・ザキロフ ジヒン・ラズワン ジョン・リネケル スムダーチー ダニエル・ウィリアムス ツオロンチャアシー バンマードォーチー ボカン・マスンヤネ ボクシング マンスール・マラチェフ ライカ ルンピニー レギン・アーセル ヴァウテル・ゴンサウベス 三浦彩佳 箕輪ひろば

【ONE FN25】ハイドレーションをパスするために、体重超過のバンマードォーチーが話していたこと

【写真】その端麗な容姿を褒められると、照れたようにお礼の言葉を発する。実はシャイかもしれないバンマードォーチーだった(C)ONE

5 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night25。三浦彩佳の対戦相手のジヒン・ラズワンがハイドレーションがパスできず試合が中止になり、ムエタイでも同様に1試合がキャンセルに。他にもハイドレーションをパスすると体重がリミットまで落ちない選手が2名出るなど、ONE計量=ハイドレーションの効果が薄まる中で、その数値で是非を決めるシステムにほころびが感じられつつある。
Text by Manabu Takashima

そのハイドレーションをパスするために、体重オーバーとなった1人がダニエル・ウィリアムスと対戦するバンマードォーチーだ。中国のイケメンファイターは、実に15カ月振りの実戦となる。驚いたことにロングレイオフには、映画出演が関係しているというバンマードォーチーに話を訊いた。


――バンマー、今週末にダニエル・ウィリアムスと対戦します(※取材は2日に行われた)。ところで去年の7月にヴァウテル・ゴンサウベスに勝利して以来、15カ月振りの試合となります。これだけの間、試合をしなかったのは何か理由があったのでしょうか。

「ONEからは一度オファーがあったけど、体重が落とせないから断ったんだ。今年に入ってからは、しっかりと練習はしたけど……ちょっとしたことがって試合からは遠ざかってしまっていた」

──ちょっとしたの詳細を尋ねることは控えますが、体重が落ちないから試合を断ったというのはショートノーティスでのオファーだったのですか。

「そうだね、カタール大会の3週間前だった。ちょうど映画の撮影が終わったばかりで、あの期間で体重の調整は難しかった」

──映画に出ていたのですか!!

「そうなんだ、中国で最初のボクシング世界王者になった人物を題材とした映画に出演していたんだよ」

──バンマーはどのような役を演じていたのでしょうか。

「主役だよ(笑)」

──えぇ、バリバリのムービースターではないですか。

「そうかもしれないね(笑)。他にも映画出演はしているし、TVにも出ている。でも、僕の目標はチャンピオンベルトを巻くことで銀幕のスターになることではない。MMAで成功したいんだ。

なぜ僕が映画に出たり、TV番組に出演できてより大きな額の報酬を手にできるのか。それは僕がMMAファイターだからだよ。監督やプロデューサーがMMAの試合を通じて僕のことを知ったのだから。MMAファイターだから、この機会を手にすることが可能になった。8歳からやってきたMMAこそが僕の人生。漢として、MMAやマーシャルアーツでキャリアアップすることを諦めたくないんだ。

それに映画界やTV業界で活動したことで、僕は人として成熟できた。ムービーワールドとMMAワールドは関わっている人間が違う。本当に違うんだ。彼らと会話したり、現場の様子をこの目で見て違う世界を知ることができた。僕の試合を通してMMAを知った人もいる。責任感が増したよ」

──なるほどです。この間、バンマーが所属するエンポ―・ファイトクラブ所属のスムダーチー、イー・チャアやロンチュウというファイター達は上海や米国で練習するようになっていますが。バンマーは、ずっとエンポー・ファイトクラブでトレーニングを続けてきたのでしょうか。

「そうだね。エンポー・ファイトクラブでの練習は、良い指導者に恵まれているし満足している。ただ、この試合後は、僕も新しい技術を身に着けるために米国で練習しようかとも考えているよ」

──では、ダニエル・ウィリアムスの印象を教えてください。

「素晴らしいストライカーだ。これまでもストライカーを相手に、良い試合をしてきた。それに僕の友人のツオロンチャアシーに勝っている。同時に僕も打撃には自信を持っている。この試合は互角の展開になるだろう。技術的にも、互角だと思う。ただ、この試合はMMAだからね。打撃だけでなく、グラップリングでも華麗な動きを披露したい。MMAの神髄とは何かが分かる。そんな試合になるだろう」

──ところでDJが引退をしました。フライ級王座を巡っての戦いは激化するかと思います。

「DJはいつだって僕のアイドルだった。大好きで、本当に尊敬していたんだ。DJの試合から学ぶことは本当に多かった。なぜ引退するのか驚いたよ。今も完璧なアスリートなのに……。ただ僕に関しては、この試合が終わるとストロー級に戻そうと思う。今年になるのか、来年になるのか分からないけど次の試合はストロー級で戦うつもりなんだ。ストロー級の黄金のベルトが僕のゴールだ」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後8時45分~U-NEXT

■放送予定
10月5日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■対戦カード

<ONEキックボクシング世界ライト級選手権試合/3分5R>
[王者]アレクシ・ニコラ(フランス)
[挑戦者]レギン・アーセル(スリナム)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ユセフ・アスイック(デンマーク)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
アレクセイ・バリカ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)
ザカリア・ジャマリ(モロッコ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)

<ムエタイ119.25ポンド契約/3分3R>
エイミー・ピルニー(英国)
シール・コーエン(イスラエル)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ(タイ)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

<136.25ポンド契約/5分3R>
バンマードォーチー(中国)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN25 サンザール・ザキロフ ブログ 箕輪ひろば

【ONE FN25】箕輪ひろば戦へ、怖いモノ無しの20歳ザキロフ「彼は僕とファンが喜ぶような試合はできない」

【写真】 溢れる自信というか、自信しかなかったザキロフ(C)ONE

5日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night25で、箕輪ひろばと対戦するサンザール・ザキロフを初インタビュー。
Text by Manabu Takashima

キャリア10戦10勝、フィニッシュ率90パーセントの脅威の20歳は3月に対戦した本田良介、今回戦う箕輪ひろば、そしてONE世界ストロー級王者ジョシュ・パシオを弱いと一刀両断した。


――サンザール、ONE FFでの試合を見ても輝かしい将来が待ち受けているであろう20歳のファイターが、初めてONE本戦といえるFight Nightショーで戦います。今の気持ちを教えてください。

「これまでの試合を振り返って、どうこういうつもりはない。まだ序の口だよ。全てはここから始まると思っている。今週末のビッグショーが、待ちきれないよ」

――過去の試合を振り返って何かいうつもりはないということですが、申し訳ないです。3月の本田良介選手との試合を振り返っていただけないでしょうか、あの試合は日本のファンに大きな衝撃を与えました。

「まぁ、ぶっちゃけていうと3月の試合は本当にイージーだったよ。そして、今週末の試合も同じだ。イージーファイトになる。それは言っておくよ」

――何と!! 自信満々のサンザールですが、いつ頃から格闘技を始めたのでしょうか。

「両親が5歳の時に僕をテコンドーのクラスに連れて行った。それからハマって、僕が成長するのと時を合わせてウズベキスタンでファイト・ビジネスが成長をしたことは、とても幸運だったと思う」

――テコンドーがベースなのですね。大会での優勝経験などもありますか。

「ここまでに獲得したタイトルは多すぎて、全てを話すにはインタビュー時間が足らないよ。そのなかで、伝えるべきなのはウズベキスタンにあるユニバーサル・ファイティングのナショナル選手権で5度優勝していることかな」

――ユニバーサル・ファイティング? 大会名なのですか。

「ノー。そういうルールの戦いだよ。ハンド・トゥ・ハンドコンバットでコンバットサンボに似ているけど、道着は上下とも長袖で……半パンではない。ただ本当にコンバットサンボに似ている」

――それはプロMMAファイターになるために、ユニバーサル・ファイティングを戦っていたということですか。

「ウズベキスタンでMMAが公に開催されるようになったのは、2020年なんだ。それまでMMAの練習をしていても、戦えるのはハンド・トゥ・ハンドのユニバーサル・ファイティングだけだった。だから僕はロシアに移り、MMAの練習をして試合にも出ていた時期がある。

そしてウズベキスタンでMMAが認められるようになり、母国に戻ってキャリアを積むようになったんだよ」

――なるほど、20歳のサンザールにはそのような格闘技歴があったのですね。つまりMMAは10戦でもハンド・トゥ・ハンド・コンバットの経験は豊富だったと。ところで今もウズベキスタンで練習を続けているのですが。

「ウズベキスタンとダゲスタンを行き来している。試合前になるとダゲスタンで練習をすることが多いかな」

――サンザールは打撃とテイクダウンにタイムラグがなく、一つの動きになっていることがとても印象に残っています。特にミドルから着地した直後にダブルレッグに入ったのは驚きでした。

「それが可能になったのはテコンドー時代から、柔道、グラップリング、サンボ、ハンド・トゥ・ハントと自分を律してコンバットスポーツに向き合ってきたからだろうね。それらの技術をスピードに乗ったまま合体させることができる。

そういう風に印象に残る動きをするのも、僕の仕事だ。と同時に対戦相手次第だよ。どういう動きができるのかも。直近の3試合で、まともに僕と打撃の攻防ができた相手は1人だけだった。他の2人は1発か2発しか、僕を殴ることができなかった。つまり、対戦相手が強くないと自分の攻撃を仕掛けることが可能になる。でも、ファンが驚くような動きをこれから見てもらえるようになるに違いないよ」

――では今週末の試合ですが、相手は日本の箕輪ひろば選手です。イージーファイトになるという言葉が既に聞かれていますが……。

「僕らは同じレベルにはない。現実的に彼は僕と互角の攻防を繰り広げ、ファンが喜ぶような試合はできない。すぐにフィニッシュして、5万ドルのボーナスを手にする。作戦的にはプレッシャーを掛けて、そこからより戦略的な動きを見せつつ、最後はボコボコにしてフィニッシュだよ」

――この試合はタイトルショットに近づくためには欠かせないトップ5入りが掛かった試合といえます。

「う~ん、現ストロー級王者のジョシュア・パシオと僕を比べることはできない。アイツは弱すぎる。ジャレッド・ブルックスは対戦相手として考えても、楽しみな相手だ。ブルックスこそトップで、僕が戦いたいと思うファイターだ。彼との試合はタフで、それだけリスクの高い戦いになるだろうね」

――サンザールはウズベキスタンでも特別な存在だと、ホッとします。逆にウズベキスタン人選手は皆がサンザールのようにポテンシャルが高いのであればゾッとします。

「ウズベキスタンには本当に多くのグッドファイターがいる。ただ、僕はウズベキスタンで最強の1人だと思う。皆が僕のレベルに至ってはいない」

――それは良かったです(苦笑)。では最後に改めて土曜日の試合に向けて、意気込みをお願いします。

「打撃を見せたい。ボーナスを取る可能性が高くなるからね。作戦に則して戦いつつ、ファンが喜ぶ華麗にファイトを見せたい」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後8時45分~U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN25 ONE168 ROAD FC YouTube サンザール・ザキロフ ジェレミー・ミアド チャンネル ライカ ルンピニー 修斗 山上幹臣 箕輪ひろば

【ONE FN25】12勝0敗の新鋭ザキロフと対戦、箕輪ひろば「相手の強いところから逃げない」

【写真】箕輪のMMA観が、どんどん明確になってきた (C)SHOJIRO KAMEIKE

5日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night25で、箕輪ひろばがサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

7月にジェレミー・ミアドを下して3年振りの勝利を得た箕輪。次は早くも9月のONE168米国デンバー大会でザキロフとの試合が決まれていたものの、この時はザキロフのビザ取得問題で試合が延期となっている。改めてタイでザキロフと相対することになった箕輪がチームメイト山上幹臣の勝利と、自身も連敗脱出で見えてきたものを語った。


――ミアド戦の勝利で連敗を3で止めました。大きな勝ち星だったかと思います。

「そうですね。勝つことが3年振りでしたし。それと『俺、昔は頭良く戦っていなかったな』ということを思い出したことも大きかったです」

――「頭良く戦っていなかった」とは?

「ONEに来てアディワン、シウバと戦って、2試合とも上手く作戦がハマッたんですよ。真っ向勝負したわけではなく、アディワンの嫌な距離をつくって、アディワンが入ってきたところに合わせてテイクダウンを奪う。そこから箕輪ひろばのフィールドで戦う。シウバ戦も相手に寝技をさせるけど、一本を取らせないところで殴り続ける。スクランブルし続ける。その作戦が上手くハマって。だから上手く作戦を立てて、それを実行に移せれば勝てるというふうに思い込んでいました

だけど修斗で戦っていた時は作戦云々じゃなくて、キツイところに突っ込んで行って勝つという試合だったんですよね。それが修斗の勝ち方だと思うんですよ。シンドイ試合をして勝つ。僕たちはそういう試合を視て育ってきましたから」

――かつての北沢タウンホール大会は、そういった試合で溢れていました。

「もっと掘り下げると、アマチュア修斗があるじゃないですか。1日で6試合から8試合ぐらい戦って、その中で勝ったヤツだけがプロに行ける。そういった試合を経て、自分もシンドイところに突っ込んでいけるところが強みでした。でもONEに来て最初の2試合で、頭良くスカして勝つような戦い方を覚えてしまって。

それはそれで良いんですよ。しっかりと作戦を立てて実行することを捨てたわけじゃないです。でも僕の場合は前提として『シンドイところで勝負できないと勝利に繋がらない』と改めて思いました」

――3連敗中は、シンドイところで勝負できていなかったのですね。

「圧倒的なレスラーと、バックボーンのない僕が戦う場合は、ずっと『レスリングじゃない部分で戦う』と言ってきました。でも、そうじゃない。MMAという競技で戦う以上、レスラーだろうがストライカーだろうが、各々のフィールドで戦って勝負できないと『総合』にならないと思い始めたんです」

――レスラーがストライカーを相手に打撃で上回らないと組むことができない。それが現在のMMAだと思います。

「そう考えると、さらにMMAと競技が確立してきていますよね」

――ミアド戦では思い出した部分だけでなく、自分自身の進化を出すことはできましたか。

「ミアドって見たとおりのストライカーじゃないですか。そこに対して『もらいたくないから打撃の攻防をしない』『パンチを当てに行かないで寝技に行く』という展開ではなく、しっかりミアドと打撃の展開をしたことですね。

キチッと打ち合ったなかでテイクダウンする。本当は一本取りたかったけど、そこで取れなかったのは反省点です。でもスクランブルでキチッと対処できたことで、『これがMMAだよな』って改めて思いました」

――1Rにダウンを喫したこともあり、「なぜミアドを相手にここまで打ち合うのだろう?」とヒヤヒヤした気持ちもありました。箕輪選手にとっては、その打撃の攻防が自分にとってやるべきことだったのですね。

「自分の課題としていたのは、相手の強いところから逃げないことでした。もちろんダウンさせられたのは良くないです。でもあのダウンがあっても尚、僕がストライキングで押すことができました。自分からパンチを当て、プレッシャーをかけてから寝技に持って行くことができた。打撃を嫌がっている状態では、絶対にあの展開にならない。だから結果オーライかな、と考えています」

――あの試合展開でスプリットになるのは怖くないですか。

「その怖さはあります(苦笑)。3人のジャッジのうち1人は1Rのダウンのみでミアドが勝ちだと判断した――ダメージに判定を持っていかれすぎだろとは思いますよ」

――現在のMMAはダメージ重視というか、コントロールよりも手数のほうが重視される傾向にあります。その判定基準について考えたり、対策を施すことはありますか。

「ジャッジメイクについてですよね。もちろん考えます。自分はフィニッシュを狙ってはいるけど、スパッとしたKOもできないし、ルオトロ兄弟みたいな一本も取れない。誰が見ても『ルオトロが勝っているよね』と思われるような寝技の展開もできない。そんななかで、最近は圧倒的に箕輪が勝っているという展開がないと、判定に影響しない。難しいですね。

今、僕の中ではテイクダウンして、スクランブルを起こさないほうが良いのかなとも思っています。スクランブルって先にアクションを起こしているほうが取っていると考えていたけど、おそらく『どっちつかず』の状態なんですよ。どんなに良いスクランブルの展開をつくっていても、最後に下になっていたらジャッジメイクで弱いですし。そのあたりは頭の中に入れていますね」

――ONE参戦以降、勝っている試合は全てスプリットの判定勝ちです。毎試合、判定がどうなるのだろうとヒヤヒヤしませんか。

「僕の中では3-0なんですよ。3-0で圧倒的に勝っている試合をして、それでギリギリ、スプリットなんですよね。だから『ギリギリどちらが勝ったのかな?』みたいな試合はやめようと思います」

――なるほど。そのミアド戦から当初は2カ月の試合間隔で、9月にザキロフと対戦する予定でした。今回は試合オファーが早かったのですね。

「実はミアド戦でタイに行った時、もう次の試合の話はありました」

――それはONEから評価されているということでしょうか。

「いや、相手を上げたいマッチメイクだと思いますよ。マネージメントサイドとマッチメイカーがしていた話なので、僕は全て直接知っているわけではないけど……。本当ならミアドに勝ったあとは、もっとランキングが上の選手と試合したかったです。でも米国大会に出たかったので、短い間隔でもザキロフとの試合を受けました。

ザキロフが強い相手だということは分かっています。ノーランカーだけどFFで3連勝していて、リスキーな相手ですよ。だけど自分も米国大会で試合がしたくて、もしミアド戦で怪我をしていても僕は米国大会に出ていたと思います」

――しかし相手のビザ問題で試合は中止に……。

「アッタマに来ましたね。しかも試合の2週間前、渡航する3日前で。いつもは5日前に現地入りするんですけど、開催地は標高が高い場所だから早く行って体を慣らしておこうと思って。それが――米国で着るために、10万円以上するスーツを買った直後ですよ」

――というと?

「クレジットカードを切った直後に連絡が来たんです。マジかよって(苦笑)。米国大会に出たいからザキロフ戦のオファーを、しかも2カ月の試合間隔でも受けたわけで。それをスライドされたら――ちなみに、そのスーツ購入の模様はYouTubeチャンネルで公開する予定なので、ぜひ視てください。試合延期の連絡が来るところも入っていますから(笑)」

――アハハハ、それはぜひ拝見します。ただ、9月の試合に向けて仕上げていたわけなので試合が1カ月後にスライドされるのは何か影響はありませんでしたか。

「メンタル面で『ふざけんな、マジかよ』という気持ちはありましたけど、山上さんの試合もあったりして。体重も1カ月前には創っていましたから、そこからカツカツで減量する必要もなく。特に今思ってみれば影響はなかったと思います。ただただ頭に来たという」

――今、名前が出た山上選手ですが、9月22日に修斗で約11年振りの勝ち星を得ました。

「いやぁ……、……、……嬉しかったです。僕は3連敗したあと、ミアド戦が3年振りの勝利だったじゃないですか。山上さんは10年かけて3連敗から脱出して。僕、山上さんが2014年の最後に出たROAD FCも現地へ一緒に行っているんですよ。それで今年のグラジの復帰戦もセコンドに入っていて……今までセコンドとして勝つ姿を見たことがなかったんです。

観客として会場に行っている時は勝っていて、僕がセコンドとして入るようになってからはずっと負けていました。試合前はセコンドも含めて皆で「ヨッシャ、行くぞ!」と気合を入れて、試合が終わると2人でバスの中で何も言わない時間が続くんです。前回も大阪で負けて、2人で何も言わないままタクシーで帰っていて。……本当に今回、勝てて良かったです。とにかく、それに尽きます」

――本来の試合スケジュールでいえば、箕輪選手がザキロフと試合をしたあとに、山上選手が修斗で試合をするはずでした。運命のいたずらか、山上選手が先に勝利することで、箕輪選手も勇気をもらったのではないですか。

「それは間違いないです。そもそも今年1月、山上さんが復帰することが決まっていたなかで、自分が負けて『バトンを渡せなかったなぁ……』と思っていたら、山上さんが大阪で負けました。あの時はもう最悪の気分で――だけど7月に僕が勝つことができて、次も僕の試合があったじゃないですか。もう一度自分が勝ってエンジンをかけたいと思っていたら試合がなくなって。山上さんが一緒にヘコんでくれましたよ。『なんで米国大会じゃねぇんだよ』って(笑)。僕は『もう自分の試合に集中してください』と伝えました。

今回の試合、ハンパないプレッシャーを感じていたと思うんですよ。相手は若くて勢いがあるベテラン喰いの選手で、何よりも失うものがない。たぶん山上さんにしてみれば、あと2年したら戦いたくない相手じゃないですか。それだけまた成長しているはずで。あの年齢の頃の僕たちも、そんな感じだったんですよ。ガンガン大物を喰っていって。それが分かっているから、一番怖い相手でした」

――グラジでの復帰戦も同じ状態でした。

「技術面や体力面は問題なかったと思います。でも感覚的な部分で、1Rにあの展開で仕留めきれない。生物としての勝負勘は戻ってなかったです。それこそ10年前は道場でも『ブッ殺してやる』って感じで練習していて。たとえ試合前でもぶっ壊されるほうが悪いと思っていましたから。

でも10年経って練習体制も変わり、相手のことを労りながら『なるべく長く怪我もストレスもなく続けていきましょう』と練習できる環境が整ってきたんですよ。そんななかでの復帰戦だったから、最初から『感覚的なものは戻らないまま試合するしかないんだろうな』とは思っていました」

――……。

「でも、それって試合をしながら感覚を戻していくしかないんですよ。だから復帰戦で負けて、もう一度取り戻しながら勝つことができて良かったです。近年の風潮って、何でもスタイリッシュでコンパクトに――という感じじゃないですか。何でも便利になって、いらないものはそぎ落とす。もちろん、それだけ便利になって助けられている面もありますよ。でも僕は昔の殺伐した雰囲気も好きで。そのピリピリしていた道場に憧れて入ったところもありますからね。僕は便利ではないハーレーも、昔から変わらない革ジャンも好きなんです。

何でもかんでも最先端にすれば良いってものじゃないから。MMAも同じで、何でもスタイリッシュでそぎ落とせば良いわけじゃない。無駄なこともやってきたからスタイリッシュになってきている面もある。そこのバランスが一番大事なんだろうと思います」

――一見そぎ落としているようで、実際は端折っているも増えました。それは何が無駄で、何が無駄ではないのかを認識できるような経験を積んでいないと、区別がつかないのも当然のことです。結果、効率化の名のもとに端折るしかなくなっている。

「やっぱり何事も経験だと思うんですよ。自分の場合は、これまで人生で3連敗を経験したことがなかったので、逆に20代のうちに3連敗していて良かったと今は思っています。今が26歳で、これから3連敗したあとに戻してタイトルマッチ――となったら、そのタイトルマッチで終わっちゃいますからね」

――今回のザキロフもプロデビュー以来12連勝中で、若く勢いがあって失うものはないであろう一番怖い相手です。

「おいしくない相手ですよ。若くて、強くて、地位だけない(苦笑)。ただ、噛み合う気はしています。お互い、やっていることはMMAじゃないですか。お互い何か一つだけ要素が飛び抜けているタイプではなくて。

テイクダウンの入り方もレスラーっぽくなく、ちゃんとMMAとしての入り方をしてくる。巧いファイターですね。今回の結果がどうあれ、この先もマークしておかなくてはいけない選手だと思いますよ」

――そのザキロフを相手に、どのような試合を見せたいですか。

「相手が打撃と寝技、どっちで来るかヤマをはらない、というのがポイントかもしれないです。たぶん出たとこ勝負になるんですよ。僕の試合映像はたくさんあるけど、相手の映像はない。そのなかで、どちらの適応能力が上回るか。

ファーストコンタクトで決まると思っています。最初に相手のペースになったら、戻すのは大変になるでしょうね。逆にコッチがペースを握れば、そのまま押しつぶしていける展開になる。今回は1Rの出だしが遅れたほうが負けるんじゃないか、と」

――なるほど。

「お互い最初に打撃がハマッたからといって、ずっと打撃で攻めるようなタイプでもない。それはお互いに。『寝技で逃げられたから、もうテイクダウンには行かない』ということもない。おそらく判定決着になるとは思うし、お互いにシンドイ試合になりそうですね。でも僕は前回の試合で学んだとおり、相手の強いところから逃げないですから」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後8時45分~U-NEXT

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45 AB DEEP Gladiator MMA MMAPLANET o ONE ONE FF65 イ・スンチョル サンザール・ザキロフ ツェルマー・オトゴンバヤル デヴィッド・バンギギ パンクラス ルンピニー 修斗 八田亮 山北渓人 本田良介 植松洋貴 野田遼介

【ONE FF65】ルンピニーで、リョースケ対決=本田良介×野田遼介が実現

【写真】実績では本田が上。野田が挑むという形の試合だ。その野田、勝利者インタビューでの声、話し方、マイクの持ち方が印象深い(C)MMAPLANET

30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 65で本田良介×野田遼介という日本人ストロー級対戦が組まれている。
Text by Manabu Takashima

ムエタイ、MMA、そしてグラップリングと毎週のように日本人選手の試合が組まれているONE FFのMMAで、ついに同朋対決が組まれることとなった。


タイガームエタイ所属の本田は昨年12月にONE FFデビューを果たしデヴィッド・バンギギに判定勝ちも、3月に本戦級の力を十分持つサンザール・ザキロフにTKO負け。以来の再起戦となる。

パンクラス一筋、パンクラス代表としてONE Japan Seriesで修斗との対抗戦に出場経験のある野田は山北渓人、八田亮に敗れたのち昨年7月に植松洋貴を初回パウンドアウトして以降、初の実戦となる。

当初、野田は昨年12月と今年の3月にGladiatorに参戦したイ・スンチョルと対戦という話も伝わってきていた。イ・スンチョルはGladiatorフライ級トーナメント1回戦でツェルマー・オトゴンバヤルにマウントパンチでTKO勝ちも肩を負傷し、トーナメントから離脱していた。

聞くところによると、この試合でフライ級とのフィジカル差を痛感し、当初の予定通りONEストロー級を目指すことをイ・スンチョル陣営は決めたという。それでも負傷の回復待ちで、野田との試合は流れた。その結果、本田×野田のリョースケ対決in ルンピニーが組まれることに。

修斗ストロー級からDEEPフライ級でキャリアを積んできた本田と、パンクラス・ストロー級戦線を粘りの極め系ファイトでわかしてきた野田の顔合わせ。心情的にバンコクでの人材発掘&育成大会で日本人対決の必要性はあるのかと考えてしまうが、戦う当人とっては場所や国籍など関係ない。本戦契約に突き進むために、ただ星を落とすことができない従来通りの試合となる。


■放送予定
5月31日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF54 キック サンザール・ザキロフ 本田良介

【ONE FF54】パンチ&蹴りからのTDにラグがないザキロフが、本田良介を削ってパンチでTKO

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)
Def.2R3分38秒by TKO
本田良介(日本)

サウスポーの本田に対し、スイッチしたザキロフがすぐにオーソに戻して右ミドルを蹴る。距離が近づきクリンチの攻防になると、ザキロフのヒザが本田の急所を直撃。しゃがみこんだ本田にインターバルが与えられる。再開後、ザキロフは右ハイを空振り。本田は左ストレートを伸ばして、左インローを蹴る。構えを変えて前に出るザキロフが左から右ハイを狙う。フックに組んだ本田はヒザ蹴りも、ダブルレッグで尻もちをつかされる。ギロチンに取った本田はがぶってヒザを頭部に入れるが、ザキロフが立ち上がってダブルレッグを決める。スタンドに戻った本田に対し、右を当ててダブルレッグで本田を持ち上げたザキロフがスラムでトップを取ると、バックへ。

本田は立って離れるが、パンチに続く右ミドルを蹴られ、続くハイはかろうじてガードする。ザキロフの組みに右ヒザを見せた本田だが、組まれてコーナーに押し込まれる。左エルボーを入れ、右を打ち込んだザキロフがテイクダウンを決め、ハーフから殴る。本田はクローズドに戻し、レッスルアップ&シングルレッグへ。ザキロフがギロチン、リバーサルでトップへ。スクランブルの本田は背中を譲り、RNCを狙われる。即座に胸を合わせて離れた本田だが、パンチと蹴り──そしてテイクダウンのコンビにリードを許した。

2R、ザキロフはオーソで右カーフ、続いてミドルから即ダブルレッグへ。倒された本田はクローズドガードを取り、スクランブルで背中を取られることなく離れる。ザキロフは飛びあがるようにスピニングバックキックを見せ、ワンツーを入れて組みつく。本田はコーナーを背負い、シングルにギロチンを合わせると、間合いができたところでアームドラッグを見せてワンツーを打つ。

綺麗にパンチを入れた本田だったが、ザキロフが直後にダブルレックから腰を抱えてテイクダウンに成功する。ハーフから立ち上がった本田に対し、ザキロフはパンチ&蹴りで距離を詰めてから首相撲、ヒザをアゴに突き上げる。腰から崩れた本田は、ガードから潜ってスクランブル──スタンドに戻ったが、ヒザ蹴りやロングのパンチを受け、右フックを被弾したところでレフェリーが試合をストップした。

「なぜだ?」という表情を浮かべた本田だが、軸が乱れており──やり切れてはいないものの致し方ないストップといえる。それにしてもザキロフ、パンチばかりか蹴りからのテイクダウンのラグの無さが凄まじく、この20歳のファイターは本戦級の強さを持っているだろう。


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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FF54 RIZIN RIZIN LANDMARK08 RYO   サンザール・ザキロフ ルンピニー 本田良介 海外

【ONE FF54】11勝0敗のウズベク人ファイターと対戦、本田良介「判断能力と対応力がついてきた」

【写真】帰る場所のある人間は、それだけで強いです(C)MMAPLANET

8日(金・現地時間)、これから1時間半後にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights54で本田良介がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Manabu Takashima

12月のONE FFデビュー戦に続き、2度目のルンピニー登場となる本田。実はこの間にRIZIN佐賀大会出場という話も聞かれていたが、契約の関係で実現しなかった。ここで落胆しないのが、プーケット在住──悟りのように、強くなることに人生を振り切った本田の強さだ。キャリア11勝0敗の中央アジアの新鋭との対戦について語る言葉から、本田のThe Way of MMA Lifeが感じられる。


――明日の試合に向けて、無事計量を終えたということですが対戦相手のザキロフもOKだったのでしょうか。

「多分大丈夫だと思います。相手の計量結果を見たわけではないですけど」

──そうなのですか。その場で確認とかはされないのですね。

「そうですね。まずフェイスオフがあって、それからハイドレーションと体重測定で。計量が終わったら、それぞれタクシーでホテルに戻るような感じでした」

──フェイスオフが計量前にあるということですね。

「ハイ。僕は言われたことをやるだけですね。まぁ、フェイスオフは計量が終わってからやれば良いのにとは思いますけど(笑)」

──そんななか2度目のルンピニーですが……どうしても、聞いておきたいことがあります。

「えっ、なんですか」

──ズバリRIZIN LANDMARK08、佐賀大会に本田選手はオファーを受けたけどマッチング期間で出場できなかったと。

「あぁ、そのことですか。アハハハハ」

──他の選手なら話題にできないですが、本田選手は常々「人生は思い通りにならない」と言い続けてきた。なので引きずることなく、気持ちも頭も切り替えることができていると思ったので。

「全くその通りです(笑)。なるようにしか、ならない。戦いたい大会で試合ができなかったからって、練習をしないということじゃないですからね。色々なタイミングや状況、それこそ契約なんて絶対で──できないことと、自分がやるべきことは別モノなんで。割り切っているというより、そういう時だからこそ練習をして気持ちもスッキリしていくタイプなので。

もちろん、九州の大会だし地元の皆の前で戦いたいというのはありました。応援してくれる人たちにも『日本で戦うところが見たい』と言ってもらって。同時に、『自分が海外でやっていくと決めたんだから、自分のやりたいようにやれば良い』と言ってくれる人もいました。それこそ僕は今、タイガームエタイにいてタイで戦えることが強味なので」

──九州で試合をして、また試合間隔があいてしまってもしょうがない?

「ハイ。こっちにいる間に、なるべく試合をしたいです。実際12月にして、3月にできる。当然、勝っていることが前提だとは思いますが。RIZINという誰もが知っている団体からオファーを貰えたことだけでも、僕にとってはステップアップなので」

──素晴らしいポジティブン・シンキングですね。そこで迎えるザキロフですが、キャリア11勝0敗のウズベキスタン人ファイター。いやぁ、痺れます。ここで、そういうファイターと戦うという事実に。

「むしろ、そういう人と戦いたいので。若くて、強いという特典つきの人と。アハハハハ。ただし、どんな戦績を持っていても僕と戦うのは初めてなわけで。それは僕も、そうだし。レコードとかはあってないモノだと思っています。余計なことは考えない。

色んな国があって、その国にはその国のMMAのレベルがというものがある。僕の戦績(※12勝3敗1分)を見て、『それは日本での試合だろう?』って思う人がいるかもしれないですし。僕はこうやって海外にいて、相手のレコードを見ても戦ってきた場所が違って、レベルも違うから、そんなに気にせずに……やる」

──動き的にはどうですか? あの長いリーチを生かして、組んでバックを取るというのは嫌な動きに感じました。

「アタックの回数ですよね。アタックの回数が多い。でも、それが今のMMAで。どれだけアタックができて、どれだけ守備に回らないか。それが前提にある15分間を戦うのが、MMAです」

──なるほど。

「ちょっと前まで、そういうことも考えられなかったです。出し切っていくなかでつまるところにつまれば極まるし、終わる。そうじゃなかったら判定で勝つために、アタックしないといけない。15分間でやり切ることが明確になったと思います」

──その意見を聞くと、ザキロフは3Rに疲れる風にも見えます。

「ハイ! 結局はリングで向かい合った時に現地調達された情報……疲れ具合とかですね。そこで判断をしないと。その時の判断能力と対応力がついてきたので、僕としてはストレスなくどんどん動けるようになってきました」

──テイクダウンを切って戦う。組ませずに戦う。どちらが理想ですか。

「入らせないで戦うことも学んできて。日本にいる時は組んでくる相手があまりいなかったから、来てほしいという想いがありました。でも、まぁ、わかんないや(笑)。何でも来いやって。全部したいから楽しみで!!

僕自身の動きは決まっている……そして、微妙に変えることができる。その調整は、色々な材料がないとできなくて。その材料を練習で増やしてきたつもりです」

──そこを瞬時にして、試合で繰り出せる?

「その自信はあります。距離設定とかはあっても、その距離設定も距離を取りたいわけでも組みを切りたいわけでもなくて。自分が何でもできる、距離にいるっていうことなんです。いや、ちゃんと話せていますか?」

──もちろんです。逆に分かりやすいです。テイクダウンを切るのは防御で。パンチをかわすのも。でも、その防御する精神構造の根底が攻撃的であること。そうでないと、自分の攻めが死んでしまうように思うようになりました。

「そうだと思います。リズムがあって、上手くいっている時はリズムに乗って動くことができる。でも、上手く行っていない時もそれが必要で。仕掛けて来られたことに対して、上手く対処するために自分のリズムを創る。オフェンスもオフェンスで、自分でリズムを創る。そういうことですよね」

──リズム、そうですね。考えていたことが、より明確になった気がします。いやぁ、楽しみです。本田選手が日本で戦っていた時と比較して、戦いの幅が広がって強くなっているところを拝見するのが。

「ありがとうございます。そうなるために来て、そうなれているので。リラックスしているというか、フラットにやっていくつもりです(笑)」

──最近、ロータス世田谷勢のMMA用語で自分の得意な形に持っていくと、オアシスという言葉を使うそうなんです。もうタイガームエタイにいること自体が、ロータス用語を使うと本田選手にとってオアシスなのですね。

「アハハハハ。だってロータス用語っていうか、オアシスはオアシスじゃないですか(笑)」

──ハハハハ、確かに。オアシスをエンジョイする本田選手のファイト、楽しみにしています。

「ありがとうございます。どこのジム名を所属先として名乗って良いのか、分からなかった僕の格闘技生活で、タイガームエタイという居場所が本当にできたと思っています」

■放送予定
3月8日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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