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お蔵入り厳禁【ADCC2022】ゴードン・ライアン、スーパーファイトでガルバォンを圧倒。RNCを極める

【写真】ゴードンの圧倒的な強さを引き出しのは、ガルバォンの頑張りだった(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。最終回は――お蔵入り厳禁、アンドレ・ガルバォンとゴードン・ライアンのスーパーファイト・タイトルマッチの模様をお伝えしたい。


大会の目玉であるスーパーファイトは、2013年にブラウリオ・エスティマを下しスーパーファイト王座に就いて以来、3度防衛に成功しているアンドレ・ガルバォンと、前回大会の階級別と無差別を完全制覇し、今回も最重量級を圧勝したゴードン・ライアンの一戦だ。

ガルバォンは当初引退を宣言していたが、王冠とマントを纏う傲慢不遜な「キング」を名乗るゴードン──グラップリングというマイナースポーツで名を売るためには何が必要かと考え、このキャラクター創造に至ったと自ら語っている──は、SNSを用いてガルバォンや門下生たちへの挑発を開始。両者の仲は険悪化し、昨年の2月のWNO大会後にはゴードンがガルバォンに張り手を浴びせ、あわや乱闘勃発かという騒ぎにまで発展した。

ゴードンはその後、長年悩まされていた胃腸不全の悪化のため競技からの無期限撤退の発表を余儀なくされた。が、ADCC大会の統括モー・ジャズム紹介の医師のおかげで症状が改善して復活。片や「下らない遺恨は忘れよう。僕はゴードンを許す」と宣言したガルバォンの方も、引退を撤回し対戦を決意。ついに両者の一戦が実現の運びとなった。

なおガルバォンは、今回の大会前に受けたインタビューにて「僕はゴードンのSNS攻撃の罠に嵌り、精神がダークサイドに堕ちてしまっていた。毎日何時間もスマートフォンを眺めて夜も眠れなくなり、神の道から離れてしまっていた」と告白している。

競技者のメンタルをリアルに蝕む、SNS時代ならではのストーリー展開を経て──事前の予想は圧倒的にゴードン有利で、勝負論的な興味は薄いと思われた──この試合は「グラップリング史上最大の注目を集める戦い」と呼ばれるものとなった。

<スーパーファイト/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.16分4秒 by RNC
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

超巨大スクリーンに作り込まれた煽りビデオが流され、ド派手な火花が舞うなかレニー・ハートのコール(残念ながら段取りにミスがありタイミングがずれてしまっていたが)で入場した両者。

さらにブルース・バッファーが改めて両者の名をコールし、最高潮の盛り上がりのなかで試合は開始された。

握手を交わした後、気合十分のガルバォンはまるで相撲の突っ張りのようにゴードンの胸を押す。さらに──以前もらった張り手のお返しと言わんばかりに──ゴードンの顔に右の掌打。ゴードンは苦笑し、ガルバォンはレフェリーから注意を受けた。

その後ハンドファイティングが続いた後、ガルバォンがダブルレッグに入ると、ゴードンは抵抗せずあっさり倒れる。

座ったゴードンは、すぐにガルバォンの股間に両足を入れて開かせ、右足を抱えて引き寄せると、そのまま足を絡めて外ヒール狙いへ。

しかしガルバォンはすぐに反応し、ゴードンの足を押し下げながら勢いよくスピンし、支点をずらして足を抜いてみせた。

次にゴードンはガルバォンの右足にハーフで絡み、逆に左足に外掛け。が、ガルバォンはゴードンの左足を両手で掴んで勢いよく足を抜く。階級別の準決勝、決勝と相手がいくらエスケープを試みてもまったく離れなかったゴードンの足の絡みから、ガルバォンは2度逃れてみせた。

再びシッティングで近づいたゴードンは、ガルバォンの右足を引き寄せて絡めると、左かかとを掴んで後ろに倒す。

スクランブルを試みるガルバォンだが、一歩先をゆくゴードンは立ち上がってガルの右足をホールドして崩し、すぐに背後に付いてボディロックを取った。

すぐに立ち上がるガルバォン、ゴードンはその足を払ってグラウンドに。

上を取りに来るゴードンをガルバォンはバタブライで跳ね上げるが、ゴードンはバランスキープ。上の体勢を確立した。足関節だけではなく、スクランブルの攻防でも動きに隙がないのがゴードンだ。

ガルバォンは下からゴードンの体を浮かせて左足を引き出すが、ゴードンはバランスを保って足を抜く。立ち上がったゴードンの右足にガルバォンが浅いデラヒーバを作ると、ゴードンは低く体を預け、ガルバォンの右足を押し下げ、さらに左足に体重をかけて潰してゆく。ハーフの体勢になったガルバォンは、左足のシールドとスティッフアームでその侵攻に耐える。

その後、ガルバォンはなんとか距離を作ろうとするが、ゴードンはそれを許さず巨体でじっくり圧力をかけていった。

6分経過時点、ガルバォンはバタフライに戻すことに成功。が、ゴードンはすかさずボディロックを作って体重をかけてガルバォンの腰を固定。その後ゴードンは自らの腰を上げて改めてガルバォンの左足に体重をかけ、右足を押し下げる形で侵攻を再開した。

やがてハーフに入ったゴードンは、ガルバォンの腕のフレームを突破し、胸を合わせることに成功。さらに左ワキを取るゴードン。が、ガルバォンもここは差し返す。

慌てず騒がずじっくりとプレッシャーをかけてゆくゴードンは、再び左ワキを差して攻め上がる。枕を取りガルバォンの首を巨大な上半身で圧迫するゴードンは、やがて絡まれた右足を抜くが、次の瞬間ガルバォンは動いてまたハーフに戻してみせた。

残り11分。胸を合わせたゴードンは、ワキを制しガルバォンの上半身を完全に殺した状態でじっくりと体重をかけてゆく。やがて右足をヒザまで抜いたゴードンは、いつでもマウントを取れる状態に。が、ここで一度動きを止め、加点時間帯の開始を待ってからマウントに移行し、3点を先制した。

ガルバォンは下からなんとか体をずらすが、ゴードンはそれに乗じてバックを奪い、完全にガルバォンの体を潰した上で襷のグリップを作りさらに3点追加。さらにガルバォンの体を起こして、ボディトライアングルに移行した。その右手はガルバォンの右腕を制している。

こうして完全コントロールを奪ったゴードンは、そこからじっくりとチョークを狙う。諦めないガルバォンはなんとか体を動かすが、サイドが変わるたびに足のフックを入れ替えてゴードンは点を重ねてゆく。

やがてゴードンは自らの左足でガルバォンの左腕を完全に固定。さらに右腕でガルバォンの右腕も制すると、残った左腕で無防備になったガルバォンの顔面を圧迫するが、ガルバォンは意地でも首を開けようとしない。ゴードンはさらに右腕のホールドを解いて、両腕を使って片腕のガルバォンのディフェンスを崩しにかかる。

完全に余裕のある表情のゴードンは、アゴの上からの絞めやネッククランク等を試みるが、ガルバォンは諦めずに耐え続ける。ガルバォンは何とか体をずらそうとするが、ゴードンはそれを許さない。

やがてゴードンは、右腕の手首の細い部分を利用して首にねじ込む。たまらず仰向けになって最後の抵抗を試みるガルバォンだが腕が深く入ってしまい、残り4分の時点でとうとうタップした。

技を解いて座ったゴードンは、優しい微笑みを浮かべてガルバォンに握手を求め、それに応じたガルバォンにハグ。さらに首を抱き合い語り合う両者を、場内は暖かい歓声で称えた。

勝ち名乗りを受けた後、ガルバォンの手を上げてみせるゴードン。両者の3年越しの長い戦い──特にガルバォンにとっては精神を削られた辛い戦い──は、ついに終焉を迎えた。

大方の予想通りゴードンの完勝に終わったこの試合。が、地上最強最強のグラップラー、ゴードン・ライアンの無類の強さ、動きの隙のなさが、──足関節だけでなく、スクランブル、パスガード、コントロール、極めと多彩な局面において──存分に堪能できるものとなった。それを引き出したのは、ゴードンの足狙いを凌ぎ、不利な体勢に追い込まれても抵抗を続けたガルバォンの不屈の闘志に他ならない。

試合後、ケニー・フロリアンから勝利者インタビューを受けたゴードンは「俺はアンドレのことを悪く思ったことなんて一度もなかったさ。まあちょっとした揉め事や言い合いがあっただけだよ。リスペクトしているし、俺は彼の半分もタイトルを持っていない。彼の最後の相手として、そのレガシーの一部に加われるなら光栄だ。だからサンキュー、アンドレ!」と、今までガルバォンにしてきた数々の酷すぎる仕打ちはいったい何だったのか、とツッコミたくなるようにコメントした。

さらに胃腸の調子について尋ねられると「だいたい70パーセントくらいかな。前よりはいいけど、100パーセントとは言えないよ」と語ったゴードンは、99キロ超級での戦いについて尋ねられると「調子は良かったよ。ポイントはエネルギーの使い方だった。フレッシュなアンドレとの試合が、ハードでフィジカルなものになることは分かっていたからね。階級別の準決勝決勝は合計3分くらいで終えることができたから、ゲームプランをうまく実行できたよ」と振り返った。

続いて次の目標について聞かれると「今回はいい試合ができたけど、でもパーフェクトではなかった。全試合サブミッションは取れなかったからね。それに俺は、フィリぺのこともボコボコにしなくてはならないんだ。だからファンが求めて、主催者のモーが同意してくれるなら…今から20-30分くらい奴にウォームアップする時間をやるし、俺は(奴と違って)これ以上の金を請求したりしない。だからフェリペよ、やるぞ! 今からだ。もうファッキンな言い訳はなしだ!」と、──今回最大のライバルと目されながら、準決勝敗退に終わった──フィリッピ・ペナを挑発。スーパーファイトと無差別級の両方を制し、ADCC至上初の快挙を達成してなお貪欲に戦いを求める姿勢を見せた。

一方敗れたガルバォンは以下のように話した。

「みんなありがとう。試合に向けてすごくいい準備ができたよ。今回は16週間と長めに準備期間を取ったんだ。でも練習開始して4週間のところでヒザの靭帯と半月板と損傷してしまった。それから出来る限りの治療をして試合に臨んだよ。まだヒザは少しぐらついていたし、キャンプ中もヒザが悪いからガードの練習ができなかった。

だから、この試合で唯一なってはいけないのは下になることだと分かってはいた。ゴードンはプレッシャーも強いし、力もすごく強い。ゴードンは今、全盛期だ。片や僕は39歳で、04年からADCCに参加しているんだ(04年に予選に初参加、本戦出場は07年から)。いや、言い訳はしない。この試合を受けたのは僕だし、いい試合が出来ると思っていた。

しかし残念ながら怪我が少し障害となってしまった。でも、生徒たちはみんなサポートしてくれたよ。彼らの多くが試合をするべきじゃないと言ってくれたけど、僕は一度試合を受けた以上は、やるべきだと答えたんだ。僕は、前回大会のペナとの試合のときにこれが最後だと言った。でも僕の最後の試合がいつなのかを知っているのは、神だけなんだ。神が僕をこのマットに戻してくださった。それには理由があるはずだ。

ゴードンとは試合前にいろいろあったけど、あれは僕も悪かった。僕はあの頃、人生においてとてもダークなプレイスにいたから。でも、この試合に向けて王者らしく準備することができた。ATOSにいる多くの王者たちとともにね。試合はベストを尽くしたけど、ゴードンはリーチも長かったし、でかくて強かった。ゴードンおめでとう。これからも幸運を祈るよ。

みんなありがとう。そして僕もここを去る前に…、まだこれができるんだ! (と、6本指を立てて、合計6度のADCC優勝&スーパーファイト勝利のサインを作ってみせた)。僕は、ゴードンとさっきここで話すことができて本当に嬉しいよ。ものごとは、こうあるべきなんだ。邪悪さに対して邪悪さで応じてはいけないんだ。主よ、感謝します。人生において、僕に教えてくださった全てのことに対して」

一時はゴードンのSNS攻撃に精神を蝕まれ道を踏み外しかけたレジェンドは、自分を取り戻して最強最大の敵に堂々と挑み、そして敗れることで大いなる赦しを得たかのようだった。

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お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 古豪ユーリ・シモエスがスタンド磨いてオープンクラスを制す

【写真】いうとルオトロ兄弟や一部の新世代が特別で。シモエスの勝ち方こそ、ザADCC。ただしジェネラルに理解を求めることは難しい古典的グラップリングだ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第22回は――お蔵入り厳禁、無差別級決勝戦の模様をお伝えしたい。


88キロ以下級の体格で快進撃を見せた19歳タイ・ルオトロを、ニコラス・メレガリが激闘の末にレフェリー判定で制して決勝進出を決めた無差別級。もう一つの準決勝を戦ったのは、ベテランのユーリ・シモエスとサイボーグことホベルト・アブレウだった。

シモエスは1回戦、前回大会の無差別級で重量級を次々と足関節で仕留める大活躍を見せたラクラン・ジャイルスと対戦。ジャイルスの下からの仕掛けに対し、腰を引いて丁寧に潰して延長に持ち込み――ペナルティを承知で引き込んだジャイルスの仕掛けを潰し続けて勝利した。

猛威を振るった技術はすぐに研究されるという、競技における技術進化の必然を改めて確認させられたジャイエルスの敗退だった。

シモエスの2回戦の相手は、最重量級準優勝を果たしたニック・ロドリゲス。両者は昨年3月のWNO大会でも対戦しており、その時は引き込んで下を選択したシモエスは、ロドリゲスにボディロックを作られパスを許して完敗している。その教訓を生かしてか、今回シモエスは気迫を全面に出してのスタンドレスリングでの勝負を選択。本戦、延長と両者決定的な場面こそ作れなかったものの、積極性で勝って勝ったシモエスがレフェリー判定を制してリベンジを果たした。

迎えた準決勝でシモエスを待っていたのは、やはり最重量級のサイボーグことホベルト・アブレウ。サイボーグは前戦にてヴィクトー・ウゴの巨体を足払いで崩してから引き倒し、ワキをすくって上を奪取する形でテイクダウンポイントを獲得して制しての準決勝進出だ。

ちなみにそのウゴの初戦の相手は、最軽量級のファブリシオ・アンドレイだった。この最重量級vs最軽量級の超体重差対決にて、序盤はダックアンダーからのテイクダウンを許す場面もあったウゴだが、終盤ファブリシオの側転パスに乗じて上を奪取。巨体を浴びせての肩固めで勝利した。

2013年の無差別級を制したサイボーグと、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級を制覇したシモエス。ADCCレジェンド対決となった準決勝は、スタンドレスリングでお互い譲らぬ展開に。

が、気力&スタミナともに充実したシモエスが延長戦でダブルレッグを決め、2-0で改良した。こうしてシモエスは決勝進出。前日の99キロ以下級の二回戦にて、微妙なレフェリー判定の末に苦杯を舐めさせられたニコラス・メレガリ相手にリベンジのチャンスを得たのだった。

<無差別級決勝/20分1R・延長10分x2R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
本戦0-0 マイナスポイント1-2
ニコラス・メレガリ(ブラジル)

試合開始直後、気合十分のシモエスが前進。跳びついてメレガリの首を取って崩しにかかり、さらに勢いよく足を飛ばす。さらに前に出るシモエスは、右のフック掌打のような勢いでメレガリの頭に手を伸ばして、レフェリーから注意を受けた。

3分弱経過した時点で、シモエスは素早い小内刈りからのシングルに入り、メレガリの右足を抱える。片足立ちでそれを堪えたメレガリは、落ち着いた表情で引き込んでハーフガードに。まだ後半の加点時間帯に入っていないので、通常のADCCルールの試合ならば問題ない判断だ。

しかし決勝戦は引き込みのマイナスポイントは最初から付いてしまう。ここを失念していたのか、メレガリは引き込まずとも、シモエスのテイクダウンに身を任せる形で倒れれば無失点で下のポジションを取れただけに、なんともマイナスポイントとなった。

その後は上からパスを試みるシモエスと、下から足を効かせるメレガリの攻防が続く。6分少々経過したところで、立ち上がったシモエスの左足にデラヒーバで絡んだメレガリは、内側からシモエスの右足をすくって体勢を崩してからシットアップ。

見事に上のポジションを取ってみせたが、まだ加点時間帯ではないのでポイントは得られず。自ら引き込んでスイープを決めたのにポイントで負けているというのは、おそらくADCCの決勝以外ではあり得ない状況だろう。

とまれ、ここからはメレガリがトップから攻めるターンに。しきりに右のニースライスでプレッシャーをかけていったメレガリは、やがてハーフで胸を合わせてシモエスを抑え込み、枕を作ることに成功した。

そこから足を抜きにかかるメレガリ。シモエスは腕のフレームと足を利かせて一度距離を作ることに成功したが、メレガリはすぐに体重をかけてシモエスの体を二つ折りにし、後転を余儀なくさせて再びハーフ上のポジションに入った。

加点時間開始が近づいたところで、一旦上体を起こしてニースライスを試みるメレガリ。が、シモエスは左のニーシールドで防ぎ、さらにかついで来るメレガリの体を足で勢いよく押し返して立ち上がってみせた。ここでちょうど10分が経過し、加点時間帯が開始。シモエスはマイナスポイント一つ分有利な形で、得意分野であるスタンドからのリスタートに持ち込んだことになる。

ここから試合はスタンドレスリングの攻防に。シモエスは前に出て、腰高のメレガリの右足を取っては押してゆく。そのたびに片足立ちで耐えて、やがて足を振りほどくメレガリ。テイクダウンこそされないものの、展開が作れないまま時間が過ぎていった。

残り6分少々の時点で、このままでは埒が明かないと見たかメレガリが引き込み、2つ目のマイナスポイントを受けることに。得意のオープンガードから仕掛けたいメレガリだが、このままリードを保てば勝てるシモエスは低い姿勢で対応。浅く片足担ぎの形を作るなどしてメレガリの攻撃を防いでゆく。

その後もシモエスは腰を引いてメレガリに足を深く絡ませず、たまに立ち上がって横に動き、またニースライスを仕掛けてマイナスポイントを回避する。メレガリはたまにシモエスの片足を引き寄せるが、その度にシモエスはすぐに立ち上がって距離を取る。メレガリとしては思うように形が作れないなか、時間が過ぎていった。

残り1分。シモエスは低く入る両足担ぎと片足担ぎでメレガリに攻撃をさせない。メレガリがシッティングを試みると、すかさず上半身を浴びせて潰すシモエス。終了寸前にシモエスに一つマイナスポイントが入るが、時すでに遅し。

結局マイナスポイントが1つ少なかったシモエスが、階級別2回戦のリベンジを果たすとともに、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級に続いて3階級制覇を果たした。メレガリとしては、序盤に犯した痛恨のミステイク──ADCC決勝戦のみ適用されるルールへの対応を間違えて引き込み、マイナスポイントをもらってしまったこと──が、最後まで響いた形となった。

戦前は大きく注目されていなかったベテラン、シモエスが執念の優勝。戦いぶりは決して派手ではなく、実際無差別級の4試合は全て僅差のポイントかレフェリー判定での勝利だ。しかし相手が誰であれ常に前に出続けた、その気迫とコンディショニングの充実ぶりは際立っていた。

またスタンドレスリングではニック・ロドリゲスにすらテイクダウンを許さず、トップでは安定したベースを保ち相手の仕掛けを遮断し、下になってもメレガリのプレッシャーに耐え、パスを許さずにスタンドに戻る粘り強さを見せる等、ポジショニングの全ての面で強さを発揮したことも勝因だろう。

次回大会のスーパーファイトで当たるゴードン・ライアンには、過去4戦4敗と圧倒的に分の悪いシモエス。彼らの初対決は、16年のEBI 6準決勝だ。その前年のADCCで世界の頂点に輝いていたシモエスは、当時まだ線の細かった若手のゴードンにOTでチョークを極められ、まさかの敗退を喫している。ゴードン・ライアンに初のジャイアントキリングを許し、大ブレイクのきっかけを作ったのがシモエスというわけだ。

そのシモエスは、今や世界最強のグラップラーの名を欲しいままにするゴードンにどう挑むのか。両者の力関係が完全に入れ替わった現在、6年前の番狂わせとは比較にならないほどの世紀の大アップセットを、気迫のファイターシモエスは起こすことができるだろうか。

なお、3位決定戦はサイボーグが棄権したため、タイ・ルオトロが3位に。前回大会にて若干16歳で66キロ以下級に参戦し、ブルーノ・フラザト、パブロ・マントヴァーニという同門の先輩二人を倒して4位入賞したのに続いて、19歳の今回は88キロ以下級の体格で無差別級銅メダル。2大会続けての快挙達成となった。

■無差別級リザルト
優勝 ユーリ・シモエス(ブラジル)
準優勝 ニコラス・メレガリ(ブラジル)
3位 タイ・ルオトロ(米国)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC   ゴードン・ライアン ニック・ロドリゲス

【UFC FPI03】ゴードンがタップ──も、時間超過。ロドリゲスを下し「このスポーツをメインストリームに」

<ヘビー級/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.OT by 45秒Fastest escape time
ニック・ロドリゲス(米国)

急遽ADCC2022のファイナルの再現となったゴードンとニッキー・ロッドの対戦。7ポンド重く231ポンドだったニッキー・ロッドに対し、ゴードンは引き込んでハーフガードを取る。ゴードンはニーシールド&右腕をオーバーフックも、ニッキー・ロッドが直ぐに腕を引き抜く。スネを使ってバランスを崩しにかかるゴードン、ニッキー・ロッドも長期戦を考慮してか慎重な動きに終始する。

ゴードンが潜ると、ニッキー・ロッドはスプロールして防御。ハーフバタフライから蹴ったゴードンは、アームドラッグでバックを伺う。ニッキー・ロッドの反応にハイガードを取ったゴードンだが、半身になって腕を抜かれる。とはいえ下からの圧でゴードンが、まずは試合をリードした。密着しようとしたニッキー・ロッドにスイープを仕掛け、右腕を差したゴードン。ニッキー・ロッドは一度立ち上がって、間を創りなおす。

ニーシールドの右足を抱え、後方に下がって外したニッキー・ロッドが頭を低く下げると、ゴードンも頭をつけていく。ここでも仕切り直して立ちあがったニッキー・ロッドは、ゴードンのガードを越えることができない。ゴードンも1度レッスルアップを狙ったが、すぐに背中をつけなおした。

試合はハーフタイムを越え、残り10分を切る。ニッキー・ロッドが右腕を差したが、密着時でのリバーサルを嫌がり距離を取り直す。ゴードンはクローズドの中にニッキー・ロッドを入れると、頭を掻いて「どうするやら」という表情を浮かべる。足をすくわれないように立ち上がったニッキー・ロッドが、飛び込んでボディロックに取り右足を抜きに掛かる。

アゴを両手で押したゴードンが離れる。と同時にニッキー・ロッドは立ち上がり、絶対にトップは許さないという意思表示。正座し、頭をつけていったニッキー・ロッドの右足を抱えたゴードンが引き寄せようとする。立ち上がったが抜けなかったニッキー・ロッドが、取られた足を畳むが50/50に入られる。足を組んだニッキー・ロッドは逆にトーホールド、ゴードンが尻を蹴ってエスケープ──結果、ADCCで敗れた形からニッキー・ロッドは逃れたことになる。

残り5分、OTを頭に入れる時間帯に。上のニッキー・ロッドはミスをしないことを第一に堅実に組み続け、冒険することはない。ゴードンも手堅くハーフガードを続け、時折りスイープを仕掛ける。立ち上がっても、足が前に出過ぎないように正座しなおすニッキー・ロッド。自らのグラップラーとしての価値観を崩さず、無理矢理動いて見栄えの良い試合をすることもない両者。特別仕様でないサブオンリー戦は、このまま一見──淡々と過ぎ、タイムアップを迎えた。

OTこそ、勝利の可能性が最も高くなるニッキー・ロッドは後攻に。まずゴードンがシートベルトからボディトライアングル、ロールしてマウント状態としたニッキー・ロッドが14秒でエスケープした。後攻めニッキー・ロッドもシートベルト、ここはまずホールド狙いか。ゴードンも15秒で逃れた。

OT2R、ニッキー・ロッドは腹ばいになるところ、背中を取られ続け同体でロールする展開が続く。逃がさないゴードンだが、腰を抜かれそうになりながらバックグラブをキープする。ゴードンは2分間、バックを取り続けた。対してニッキー・ロッドは、28秒でエスケープを許しゴードンが圧倒的に有利な展開に。

OT3Rもゴードンは、1分13秒コントロールした。こうなるとタップを奪うしかないニッキー・ロッドが、スパイダーウェブでなくシートベルトを選ぶ。ボディトライアングル&アゴの上からパームトゥパームを狙ったシーンも見られたニッキー・ロッドは、残り10秒でRNCの態勢に入る。ガッチリ決まった絞め、2分を経過したが時計は止まらず──ゴードンはタイムボードを指さして、タップかそれを知らす仕草かニッキー・ロッドの太腿をタッチした。

最後は非常に危ないシーンもあったが、結果として45秒のリードでニッキー・ロッドを下したザ・キングは「モチベーション? このスポーツをメインストリームにすることだよ」と話した。


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MMA MMAPLANET o UFC アンディ・ヴェレラ ゴードン・ライアン ルーク・グリフィス ヴィニー・マガリャエス

【UFC FPI03】ニッキー・ロッドの代役グリフィスが、OTでRNCを極めてヴェレラを破る

<アブソリュート級T準々決勝/8分1R>
ルーク・グリフィス(米国)
Def. OT by RNC
アンディ・ヴェレラ(米国)

ニッキー・ロッドがヴィニー・マガリャエスのメディカル上の問題による欠場を受け、急遽メインでゴードン・ライアンと対戦することを受けNew Wave柔術の茶帯ルーク・グリフィスがヴェレラと相対することに。

まずシッティングしたグリフィスがアームドラッグを狙う。グリフィスは左右の腕を取りに行き、スイープを同時に仕掛ける。両ヒザ立ちから立ち上がったヴェレラがパスを狙う。グリフィスは引き続き手繰りとスイープを狙うが、ヴェレラがパスを決める。すぐに足を戻したグリフィスは、Zハーフとフレームを創り、ダースを防ぐ。

ヴェレラが上、グリフィスが下という展開からレッスルアップのグリフィスがボディロックテイクダウンを決める。ヴェレラが立ち上がると、下を選択したグリフィスはZハーフ、その足をヴェレラが捌きにかかる。引き続きパス狙いのヴェレラと、スイープの機会を伺うグリフィスの戦いはグリフィスのアタックをヴェレラが防ぐという流れに。

レッスルアップでリバーサルを決めたグリフィンがトップにステイし、ハーフからマウントを奪取する。ヴェレラは30秒、防御に徹しOTを迎えた。その結果、ヴェレラのシートベルトを8秒でエスケープしたグリフィンがRNCを極めて準決勝進出を決めた。


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ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE UFC クレイグ・ジョーンズ ゴードン・ライアン メイソン・ファウラー ヴィニー・マガリャエス

【UFC FPI03】UFCの本丸でグラップラーによるグラップリングショー開催。主役はゴードン・ライアンだ

【写真】ADCCに続き、ラスベガスで戦うゴードン・ライアン。本丸APEXでワンマッチはグラップリングが見せるスポーツに昇華しつつある証か (C)SATOSHI NARITA

15日(木・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC Fight Pass Invitational 03が開催される。

ワンマッチの目玉はADCC2022でスーパーファイト及び、99キロ級を制した──4年2カ月負け知らずのゴードン・ライアンが、ヴィニー・マガリャエスと対戦する。その無敵のゴードンに最後の土をつけたのが、マガリャエスだ。


両者は2018年9月にカリフォルニア州ロングビーチのUCLAピラミッドで行われたACB JJ13で対戦。ゴードンはマガリャエスのシングルレッグに引き込み、テイクダウンの2Pをまず献上すると、オーバーフックでストレートアームバーを狙った際にパスを許して5-0で敗れた。

もちろん今回の試合はサブオンリーで、これらの失点は計上されない。さらにいえば、ADCCでの無敵振りを見る限りゴードンはマガリャエスとの敗北した時より、トータル面で段違いに強くなっている。今回はサブオンリーでも、その総合的な強さという部分でここ最近ではSUBでメイソン・ファウラーやクレイグ・ジョーンズに敗れ、ADCCでも初戦敗退だったマガリャエスとは勢いも実力も違いがあると見て妥当だ。

UFCファイトパスがグラップリングに力を入れてきたのは、チーム戦でもMMAファイターを大挙揃えたイベントでなく、ガチすぎる8名が参加する無差別級トーナメントを実現させることでも明らか。

MMAファイターの余暇でない、グラップリングイベントがAPEXで開かれることは、Do Sportsの域を越えつつある表れといえよう。そして、マガリャエスとのリベンジ戦を組んだのはUFCがThe KING=ゴードン・ライアンをグラップラーの強さの象徴として認めた証といえる。

ONEが格闘混合イベントのなかでグラップリングに力を入れるのとは別に、UFCがグラップリング単体のショーを平日ながらベガスの本丸で開き、全世界に配信する。2022年12月15日は、グラップリングの歴史において最重要な1日になるやもしれない。

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN04 ONE164 アナトリ―・マリキン アミール・アリアックバリ アンドレ・ガルバォン エジソン・マルケス エドゥアルド・フォラヤン キック ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ジェネリン・オルシム ジェレミー・パカティウ ジャレッド・ブルックス ジョシュア・パシオ タイ・ルオトロ チャンネル ティオル・タン デニス・ザンボアンガ ドレックス・ザンボアンガ パク・デソン ボクシング マテウス・ガブリエル マラット・ガフロフ ミレーナ・カオリ モン・ボー ライニア・デリダー リン・フーチン ロベルト・ソルディッチ

【ONE FN04】ヘビー級暫定王者の挑戦受けるミドル&LH級王者デリダー「危険だけど特別じゃない」

【写真】ONEの巨大なベルトベルトも190センチ超のデリダーには格好良く収まる。そしてケイド・ルオトロの目線が良い感じだ(笑)(C)ONE

3日(土・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE Fight Night05でONE世界ミドル級&ライトヘビー級王者ライニア・デリダーが、暫定ヘビー級王者アナトリ―・マリキンの挑戦を受ける。

キックボクシング王国のグラップラー王者はキャリア16連勝中で、多くの試合を絞めて勝ってきた。RNC、肩固め、三角絞め、ダース、サイドチョーク、そして横三角。手足を絡ませて、腕を押しつけて首を取るチョーカーは挑戦者のレスリングを「まぁまぁ」、柔術を「大したことない」とぶった切った。


――ミドル級とライトヘビー級王者のライニアが、ヘビー級暫定王者マリキンの挑戦を受けます。調子はいかがでしょうか。

「良い感じだよ。ずっと練習してきて、もう少しするとマニラに向かう(※取材は11月24日に行われた)。力が漲っているし、準備はできている」

──階級の違うチャンピオンの挑戦を受けるというシチュエーションに関しては、どのように思っていますか。

「僕より重い階級で戦っているんだから、それだけでもデンジャラスな要素になる。マリキンは打撃にも良いモノを持っているし、チャレンジングなタイトル防衛戦だ」

──パワフルなウェルラウンダーという印象もありますが、打撃が強いというのがライニアの印象ですね。

「パワフルで強いよ。ただ危険な相手ではあるけど、特別なことは何もない。打撃もテクニックではなく、力があることに気を付けなければならない。主にボクシングで、キックは時々使うぐらいで特に気に留めることはない。レスリングはまぁまぁ、柔術は大したことない。

レスリングに関してはシンプルなダブルレッグで倒して、ガードの中に収まる印象がある。打撃と同じで、特別な技術力はないけどずば抜けたパワーが武器になっている。倒してからはコントロールというより、ガードの中にステイする基本的な戦い方だ。パスガードをするわけでもないし、寝技のテクニックはやってみないと分からないかな。でもデンジャラスだよ。ステップバックして、距離をコントロールすることが重要になって来るよね」

──前回のヴィタリー・ビクダシュ戦では下からの横三角のような形で勝利しました。あの形は体を跨がれると危ないかと思ったのですが、ビクダシュを落としての勝利に驚きました。

「皆が驚いてくれて嬉しかったよ。そういう戦いをするためにONEにいるんだから。これからもああいう試合を続けていきたいと思っている。それにあのポジションは正しかったし、危険なことはなかった。すぐに落としたようにね。あそこからエスケープされるというシナリオは、そんなに存在していない。

特に得意技というわけではないけど、ここ何年かは練習でもよく使っている。13年ぐらい前に柔術を始めた時から、体力を消耗しないことを考えてきた。その結果が、ここ数年……最近になって出てきたように感じている」

──アンドレ・ガルバォンとのグラップリングで引き分けたことは、MMAファイターとしてどのような経験になりましたか。

「アンドレのようなレジェントと組み合えただけで、成長できる。あの試合のあとでテキサスに行き、ゴードン・ライアンとも練習してきた。凄く良い経験になっている。彼らのような強いグラップラーと戦い、練習することで襟を正すことができる」

──ONEは打撃への評価が高く、距離を取って見合っているといエロカードが出される機会が増えました。

「僕は寝技と同じように打撃だって好きだよ。どんな場面でも戦うけど、やっぱりチョークを極めるのが好きなんだ(笑)」

──打撃、特に首相撲とレスリングの融合が見られるのが楽しみなのですが、なかなかその機会がないです。

「アハハハハ。今回、そうなるかもしれないよ(笑)。打撃の交換を見せることになるかもしれないけど、まぁテイクダウンしてチョークアウトだ。アハハハ。それが僕の戦いだから」

──コロナになって初めて、シンガポールを出てマニラに戦うことになります。

「僕のONEデビュー戦はマニラだった。現役の間に色々なところで、戦いたいと思っているから、今回は再びマニラで戦うことができてとても嬉しい。でも、そうなったら戦いたい場所は東京だろう。東京で試合がしたい。ONEが東京大会を開くという話も聞いたし、今度は僕の試合を組んで欲しい」

──ライニア、今日はありがとうございました。12月3日のタイトル防衛戦、期待しています。

「僕がベストだと証明する。目の前に立ち塞がる相手、全員をぶちのめす。そしてヘビー級王座も手にするよ。そして東京に行くんだ」

■ONE Fight Night05放送予定
12月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night05対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ライニア・デリダー(オランダ)
[挑戦者]アナトリー・マリキン(ロシア)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
[王者]ケイド・ルオトロ(米国)
[挑戦者] マテウス・ガブリエル(ブラジル)

<ONE女子ムエタイ・アトム級選手権試合/3分5R>
[王者] アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
[挑戦者] ジャネット・トッド(米国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)
ロベルト・ソルディッチ(クロアチア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
パク・デソン(韓国)
ローウェン・タイナネス(米国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エジソン・マルケス(ブラジル)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
アンバー・キッチン(英国)
ジャッキー・ブンタン(米国)

<サブミッショングラップリング81キロ契約/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マラット・ガフロフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リン・フーチン(中国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)モン・ボー(中国)

■放送予定
12月3日(土・日本時間)
午後7時30分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE164対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]ジャレッド・ブルックス(米国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ブランドン・ベラ(米国)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
フー・ヤン(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジェレミー・パカティウ(フィリピン)
ティオル・タン(米国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
タギール・カリロフ(ロシア)
チョーファー・トー・センティノーイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)
ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
タオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ジャスール・ミルザムハメドフ(ウズベキスタン)
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジェネリン・オルシム(フィリピン)
モン・ボー(中国)

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DEEP DEEP110 MMA MMAPLANET o ONE UFC カーロス・コンディット ゴードン・ライアン パンクラス ボクシング ラマザン・クラマゴメドフ ロバート・ウィティカー ロベルト・ソルディッチ ローリー・マクドナルド 山本空良 西川大和 赤沢幸典 酒井リョウ

【DEEP110】ケジメの酒井リョウ戦へ。赤沢幸典「なぜ自分でチャンスを掴もうとしないんだ」

【写真】セコンド業でも活躍中の赤沢が、ファイターとして大一番に挑む(C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP110で、暫定メガトン級王座を赤沢幸典と酒井リョウが争う。
Text by Shojiro Kameike

赤沢といえば2012年にカナダへ渡り、当時UFC世界ウェルター級王者であったジョルジュ・サンピエールが所属するトライスタージムで練習していたことが知られる。昨年帰国し、千葉でトライスタージム日本館をオープン。現在はDEEPで2連勝し、今回の暫定王座決定戦にたどり着いた。そんな赤沢にカナダでの練習と帰国の理由、そしてタイトルマッチについて訊いた。


――まず赤沢選手が単独でカナダに渡ったのは、どのような経緯だったのでしょうか。

「僕は北海道出身で、上京してMMAをやりたいと思って仕事をしながらお金を貯めていたんですよ。その頃に、北海道に山本喧一さんのPODジムが出来まして。上京しなくてもMMAができるなら、と思ってPODに入ったのが2012年の4月でした」

――MMAのスタートはPODだったのですね。現在は山本空良選手が活躍中です。

「そうですよね。当時の空良君は、まだ本格的にMMAを始めてはいなくて。たまにジムへ会長が連れて来る息子さんっていう感じでした。あとは西川大和君もいましたね。まだ子供の頃に、彼が空手の大会に出る時に同行したことはありました」

――なるほど。話を戻すと、PODに入ってからプロデビューはすぐでした。

「もともと柔道をやっていたので、伸びるのも他の人よりは速かったんじゃないかと思います。すると山本喧一さんから、試合に出てみないかと言われて、2012年10月にGRABAKA LIVE2という大会でプロデビューしました。その相手が、今回タイトルマッチで戦う酒井リョウ選手だったんですけど、1RでKO負けしてショックを受けたんです」

――ショックを受けた、というのは……。

「当時20歳でした。それぐらいの年齢の頃って、自分は何でもできると思いがちじゃないですか。なのにプロデビュー戦でつまずいてしまったことがショックで、練習も休みがちになってしまったんです。そんな時に、お世話になっている方から『お前の目標は何なの?』と聞かれて、UFCに行きたいですと答えたんですね。それならUFCを現地で感じないといけないということで、2012年11月にUFCを観に行きました」

――そこで観に行ったのが、GSPの試合だったということですか。

「UFC154、ジョルジュが右ヒザの前十字靭帯を損傷してからの復帰戦で、暫定王者のカーロス・コンディットとの王座統一戦でした(GSPが判定勝ち)。カナダのモントリオールで観て、これは凄い世界だなと思ったんですよね。で、大会から1週間後にトライスタージムへ行って、ジムの内容や練習にも感動して。だから日本に帰国してすぐ、カナダへ行く準備を始めて、2013年1月からトライスタージムに入りました」

――当時のトライスタージムでは、どのような練習をされていたのでしょうか。

「僕はただのファンみたいな形で行って、スーパースターだったジョルジュと話ができるわけもなく(笑)。まずビギナークラスから始めて、1年後にオーナーのフィラス・ザハビに呼ばれ、プロクラスへ移りました。それから2、3年後ぐらいですかね。トライスターってスパーリングの時に、名前が挙げられるんです。そこに僕とジョルジュの名前があって、自分がジョルジュと練習できるんだ、と……。カナダへ渡って4年後ぐらいの話です」

――その4年の間に、試合はしていなかったのですか。

「アマチュアで5戦して、2勝3敗ぐらいでした。日本では1回プロで試合をしていましたけど、MMAを始めてすぐの試合だったので、実力も何もなかったんですよね。だからアマチュアに戻ろうということで。その後、2015年12月にパンクラス札幌大会でプロデビューし、1ラウンドでKO勝ちしました」

――当時はまだカナダのトライスタージムで練習していた時期ですよね。

「はい。試合のためにカナダから帰国していました。カナダで試合をしたかったんですけど、向こうで試合に出るためには就労ビザを取得しないといけなくて。就労ビザの中でも、試合をするためのものは取得するのが難しかったんです。そういった関係で、日本で試合をするほうが良いだろうという話になり、カナダから日本で試合をする生活になりました」

――2017年にはロシアで開催されたACBで、ラマザン・クラマゴメドフと対戦しています(1ラウンドKO負け)。

「ちょうどジョルジュと練習し始めた頃で、ジョルジュの推薦で出ることができました。ジョルジュには普段からお世話になっていて――お金ないだろうって食事に連れていってもらったり。朝起きたら自宅にタクシーが来ていて、ジョルジュが『その車に乗って』と。乗ったら自動的に、ジョルジュが待っているレストランに着くんですよ(笑)。そこから練習~食事~ジョルジュの家で休憩~練習~食事という1日もありました」

――GSPが家族のように接してくれていたわけですね。

「ジョルジュも僕のことを、弟と呼んでくれていました。あと当時はローリー・マクドナルドやタレック・サジフィーヌ、ロバート・ウィティカーとも練習させてもらっていましたね。ONEと契約した元KSW王者のロベルト・ソルディッチとか……そうだ、ヴィトー・ベウフォートも来ていて一緒に練習していました。僕のことを気に入ってくれて」

――現地ではジョン・ダナハーの指導も受けたりと。

「そうです。まだダナハーの足関節システムが広まる前で――ゴードン・ライアン、エディ・カミングスとも練習させてもらいました。彼らに足を極められていましたよ。当時トライスターで教えてもらったことが、今でも僕の基本になっています。

その中でも、やっぱりジョルジュの影響は大きいです。ジョルジュと僕ではファイトスタイルが全く違いますけど、コンセプトは同じで。テイクダウンしたら相手を立たずに削り続ける。あえて下にならない……バックを取りに行ける場面でも、下になってしまうリスクがあるならバックも狙わない。削り続けて、相手の集中力が切れたらRNCを狙うとか。削るという感覚はジョルジュの影響が強いと思います」

――それだけの影響を受けたトライスタージムを、なぜ離れることになったのでしょうか。

「帰国したのは去年の10月で、それまでは3~4年ぐらいジョルジュと一緒に練習させてもらっていて。でもその間の戦績はKO負けか、自分の体重オーバーで……良い結果を残せていないことが、ジョルジュに申し訳なかったんです。

たぶん本当に弱かったら、ジョルジュやヴィトーが練習に呼んでくれることはないと思うんですよ。でも僕は練習した内容を試合で出すことができていない。その理由が分からず、人生の修行をしようと考えたんですよね。レストランで働きながら、ボクシングをやって、メンタル面も改善して。ちょうどその頃に、ボクシングの試合に出るはずで。でもコロナ禍のため、ライセンスを取ることすらできずに。結果、どんどん試合間隔が空くなか、最初にUFCを観せてくれた方から怒られました。カナダまで行って、現地で試合ができなくても日本で試合をするとか、なぜ自分でチャンスを掴もうとしないんだと」

<この項、続く

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   アンドレ・ガルバォン ゴードン・ライアン ニッキー・ライアン ニック・ロドリゲス ルーズベルト・ソウザ

【ADCC2022】99キロ超級 ゴードン・ライアン、決勝もニック・ロッドをヒールで一蹴。3階級制覇

【写真】グラップリング人類最強を改めて証明したゴードンは、因縁のガルバォンとのスーパーファイトへ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第19 回は99キロ超級の決勝戦の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級決勝/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. 2分15秒by ヒールフック
ニック・ロドリゲス(米国)

袂を分かった元チームメイト同士の決勝戦はブルース・バッファーのコールに後押しされるように、最高の盛り上がりのなかで開始。ゴードンはスタンドで勝負する気はさらさらないといった風情で、片足立ちになって右足を差し出す。

それを取って軸足払いで軽く投げ倒すロドリゲス。場内がどよめくなか、ゴードンは抵抗せずに下になった。

腰を引き警戒しながらゴードンの足を押さえようとするロドリゲスと、きわめてリラックスした様子で足を効かせて対応するゴードン。やがてゴードンがシッティングから前に出ると、ロドリゲスは立ち上がって下がる。日々スパーリングを繰り返してきた元チームメイト同士、どの攻防ではどちらが強いかをお互い熟知しているようだ。

座ったままのゴードンがさらに前に、再び下がるロドリゲス。ゴードンが一瞬左足に触れると、ロドリゲスは大きくその足を振り上げて距離を取った。その後もロドリゲスは腰を引いて警戒の姿勢を崩さない。

やがて1分半経過したあたりでロドリゲスが両ヒザをマットにつけると、ゴードンはその左足にハーフで絡む。1回戦と同様に対角線でロドリゲスの右腕をドラッグしにかかるゴードンだが、ロドリゲスは引き抜いてスタンドに戻り距離を取ろうとする。

すかさずゴードンはロドリゲスの左足を右腕で抑えて抜かせない。次の瞬間ゴードンは内回りへ。

ここも逃げようとするロドリゲスだが、ゴードンは左腕でロドリゲスの左足首をしっかり抱え、さらに右足首も右で抱えて許さない。

ヒザをマットについたロドリゲスに対し、ゴードンは右足を左足に絡めながらスピンしてサドルロックへ。いよいよ危険を感じて距離を取りたいロドリゲス。が、ゴードンがロドリゲス左足を伸ばして両手で抱えているのでそれも叶わず。

そのままゴードンはロドリゲスの左足を自分の右のワキの下に持ってきて、外ヒールへ。ゴードンの手首がカカトをフックした瞬間、すでに観念したかのような様子のロドリゲスは表情を変えず口頭でタップを宣告。ゴードンは捻る前に技を解いた。

大歓声のなかで立ち上がったゴードンは、喉を切り裂くポーズでアピール。ロドリゲスと軽くハグし、そしてそのセコンドについていた──今は袂を分かった実弟の──ニッキー・ライアンとも握手を交わしたのだった。

さらにラッシュガードを脱ぎ捨てて城内に放り投げて見せたゴードン。準決勝と決勝の2試合を外ヒールによる秒殺で仕留め、全く消耗していない状態でアンドレ・ガルバォンとのスーパーファイトに臨むことになった。

これでゴードンは2017年は88キロ級、2019年は99キロ級、そして今回は99キロ超級と3大会連続、3階級制覇となった。トーナメント全4試合において常に相手の先を行き、無駄のない動きで着実に相手の打つ手を封じ、完全制圧してみせたゴードン。その動きだけを見るならば、特殊な身体能力を必要としない、柔術の理想を具現化したような技術の持ち主だ。

そんな最高度に洗練された技術を、巨大な筋肉の鎧を纏った特殊な肉体を作りあげた上で用いているところに──おそらく師のジョン・ダナハーに勝るとも劣らないほどの──完璧主義者にして冷酷なリアリスト、ゴードン・ライアンの真骨頂があるのだろう。

なお、3位決定戦はペナが棄権したため、ルーズベルト・ソウザが初出場にて初メダル獲得を果たした。

■99キロ超級リザルト
優勝 ゴードン・ライアン(米国)
準優勝 ニック・ロドリゲス(米国)
3位 ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ハイキ・ジュシラ ハイサム・リダ ルーズベルト・ソウザ ヴィクトー・ウゴ

【ADCC2022】99キロ超級 組み技人類最強=ゴードン・ライアン、初戦&QF=極めてもポイントでも盤石

【写真】これがケイド・ルオトロのいう──爆発力でない、アイソメトリック・ストレングスの強さなのか(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第17 回は最重量級=99キロ超級に出場した現代グラップリング最強の男ライアン・ゴードンの初戦と準々決勝の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.5分48秒 by RNC
ハイキ・ジュシラ(フィンランド)

言わずと知れた優勝候補本命のゴードンは初戦、フィンランドのハイキ・ジュシラと対戦。ごくリラックスした風情ですぐに座ったゴードンは、ハーフでジュシラの左足に絡むと、ゆっくりした動作で右腕を相手の右ワキに入れると、瞬時に引き寄せてのアームドラッグで崩し、あっさり背中につくことに成功した。

亀になったジュシラからシングルバックを入れたゴードンは、さらに上からジュシラの右をハーフネルソンで固めて体勢を崩し、両足フックを狙う。

ジュシラが亀に戻るが、ゴードンは慌てず騒がず上に乗り続けて両足フックを完成。再びネルソンでジュシラの体勢をしてから襷に移行。完全コントロールをした上でじっくりチョークを狙ってゆく。ジュシラも粘り強く守り、たびたび体勢を立て直して亀に戻るが、そのたびにゴードンはしっかり重心をかけては潰してゆく。

やがてジュシラの右腕を右足で絡めて殺したゴードンは、ワキの下から差し込んだ左手でジュシラの左腕もコントロール。両腕を制した上で、無防備な首に右腕を手首からじわじわ入れてゆき、最後はジュシラの肩を掴んで片腕で絞めるチョーク。

6分足らず。着実に手順を踏んで相手を詰めてゆく隙のない戦いぶりで、ゴードンが危なげなく初戦を突破した。

2回戦のゴードンの相手は、昨年と今年の世界柔術最重量級を2連覇している強豪ヴィクトー・ウゴだ。

ウゴは一回戦でルーマニア代表にしてダナハー軍所属のダン・マナソーユと対戦。本戦残りわずかのところで足関節狙いを凌いで素早くシットアップして双差しから上になったウゴは、失点を避けようと亀になったマンソーユに両足フックをイン。残り10秒ほどのところで先制点を取り3-0で勝利している。

<+99キロ級2回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. by 8-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

まずはスタンドで立ち会う両者。お互い手四つで組み合い、首を取って足を飛ばし合う攻防の後、ウゴがクローズドガードに飛びついた。

ウゴはゴードンの右ワキをすくって腕ひしぎ腕固めを狙うが、ゴードンは慌てず立ち上がり、左腕を使って解除。そのままウゴのガードを押し下げて開かせると、両足を上から抑えてパスを狙ってゆく。

ウゴは下からウェイターの形でゴードンの右足に絡むが、ゴードンは体重を前にかけて潰すと、スライディングするようにウゴの右足に片足担ぎ。ウゴがそれに応じて動いて正対を試みると、ゴードンは方向を変えて左足でステップオーバー。

ウゴの左足を超えると、さらにもう一度左足でまたいでマウントに。流れるようなムーブだ。それでも懸命に上体を起こそうとするウゴ。が、上半身のプレッシャーで潰したゴードンは、胸を合わせてヘッド&アームで押さえ込み、完全コントロール達成。

常に相手の一歩先を行く隙のない動きで、相手を制してみせた。

マウントから両ワキを差し、相手の腕を上げさせながらせり上がる得意の形を狙うゴードン。ウゴは下から懸命に動いて半身になり、ハーフで足を絡めてゆく。が、ゴードンは意に介さず上から低く密着し、プレッシャーをかけ続けていった。

やがて加点時間帯に入ると一度は距離を取ったゴードンは、改めてウゴの足を押さえつけながら軽快なフットワークで左に回る。やがて上四方の体勢になると、抵抗して上体を起こしたウゴの背後に付き、フックを狙ってゆく。

これを嫌ったウゴが半身になると、ゴードンはすかさず体重をかけながら両ワキを差し、強烈なプレッシャーでウゴのワキを開けさせてマウントを奪取した。またしてもゴードンは常にウゴの一手先を行き、逃げ道を潰した上でポジションを制圧したのだった。

そのままじっくりウゴの両ワキを開けさせるゴードン。一度ウゴに足を絡ませてからまたマウントに入るなどして、スコアは8-0となる。やがてウゴのワキを開けさせたまませりあがったゴードンは、Sマウントから腕十字を狙いへ。ここでウゴは素早く立ち上がってゴードンを押してゆき、試合はスタンドに戻った。

残り3分。スタンドで前に出るウゴの首をゴードンが引くと、ウゴは抵抗せずに亀になり、すぐに正対。得意のガードワークで状況の打開を狙うつもりのようだ。対するゴードンは、先ほど同様に上からウゴの両足を押さえつけて体重をかけてゆく。

ウゴは右足に絡むハーフを作り、ワキを差す形を作ると、ゴードンはウィザーで上から体重をかけてゆく。ウゴがインバーテッドでそのプレッシャーを流して正対すると、再びじっくり両足を押し下げてのパスを試みるゴードン。

やがてウゴは下からゴードンの右足を掴んで引き出して50/50を作るが、この形はゴードンもお手の物、内ヒールで逆襲する。それをウゴが防いで距離を取ると、ゴードンはそのまま下にステイ。残りの時間、ウゴは飛びつき三角やストレートレッグロックを試みるが、ゴードンに受け流されて試合は終了した。

一本勝ちこそ取れなかったものの、世界柔術最重量級現役王者にやりたいことを何もさせずに完全制圧。世界最強グラップラーの名に相応しい完成された技術を見せつけたゴードンが、ハイサム・リダを下したルーズベルト・ソウザとの準決勝に駒を進めた。

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【ADCC2022】88キロ級決勝 現代グラップリングの完成形=ジャンカルロ・ボドニがハルクを破り世界一に

【写真】投げとテイクダウン、上も下も極めもあるジャンカルロ・ボドニ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第13 回からは88キロ級決勝ジャンカルロ・ボドニ×ルーカス・バルボーサ戦の模様をお伝えしたい。

緻密な技術で決勝に進んだボドニを決勝で待っていたのは、優勝候補の一人ルーカス・ハルク・バルボーザだ。

バルボーザは1回戦はフィンランドのサンテリ・リリアス相手に加点時間前から積極的に極めを狙ってゆき、中盤にテイクダウンからバックを奪取。極めることはできなかったものの3-0で完勝した。

2回戦でバルボーザはアトスの同門にして40歳の大ベテラン、ジョシュ・ヒンガーと対戦。

ヒンガーは初戦、やはり同門にして21歳も年下のタイ・ルオトロと両者総力を尽くした大激戦を展開。延長にてダブルレッグで先制点を取られるものの、オモプラッタの仕掛けからスクランブルで背後に付いてフックを入れ、3-2で驚愕の逆転勝利を収めている。

そのヒンガーを相手にバルボーザは、加点時間帯に入ってからシュートイン。ダブルからシングルに移行して左足を抱えてテイクダウンに成功。亀を取られて加点はなかったものの、そのまま上からじっくり低く体重を預けて侵攻し、足を超えてパス、そしてマウントまで奪って7-0で完勝した。

迎えた準決勝の相手は、やはり大ベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャ。こちらは初戦でオセアニア予選の覇者のアイザック・ミシェルに、2回戦ではペドロ・マリーニョ相手に得意のスタンドでの持久戦を展開。延長で加速して判定勝利を収めている。

ちなみにマリーニョは一回戦、ニック・ロドリゲスの弟ジェイ・ロドリゲスにワキをくぐられてバックを奪われたものの、自ら前転してスクランブルして上のポジションを奪取。そのままニースライスパスを決めて3点を先制し、終盤テイクダウンを奪われるものの終了まで足を絡めて逃げ切る形で激闘を制していた。

そんなホシャとの準決勝。バルボーザは前半バックを取りかける等優勢に進めるものの、後半は恐るべきスタミナと尽きない闘争心を持ち、ヘッドバット上等で前進してくるホシャに精神的にも肉体的にも疲弊させられる展開に。最後はテイクダウンを奪われかけたものの背中を向けて終了まで耐え抜き、前半の優勢を評価される形でレフェリー判定勝利。死闘の末に薄氷の決勝進出を果たした。

迎えた決勝戦。ボドニが2020年に黒帯を取得して以来、両者はノーギで5度対戦。いずれも僅差だがバルボーザが4勝1敗と勝ち越している。


<88キロ下級決勝/20分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def.14分10秒 by RNC
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

まずはスタンドレスリングで争う両者。お互い頭を掴んで下げさせようとする重厚な攻防が続く。ボドニがバルボーザの右腕をドラッグしようとしたところで、バルボーザがシュートイン。

しかしスプロールしたボドニは、上体を起こすバルボーザをフロントヘッドロックで捕らえて投げを放つ。が、バルボーザはうまく左腕をマットにポストして堪え、そのまま上になった。

低く入るバルボーザは、左右に方向を変えながら侵攻を試みるが、ボドニも左右のニーシールドとフレームを使って止める。ここでレフェリーにバルボーザにもっと積極的に動くようにと警告。これはトップからじっくり圧力をかけていくのがバルボーザの持ち味なだけに、気の毒なコールだ。

さらにプレッシャーをかけるバルボーザだが、ボドニは下から入れた右ヒザでバルボーザの体を引き寄せてその右足を抱えると、そのまま足を伸ばしにゆく。バルボーザは自ら横回転しボドニの背後に。さらに前方にダイブしたバルボーザは、ボドニの背中をマットに付けさせてからバックを狙う。

嫌がったボドニをボディロックで固定したバルボーザはサイドへ回ろうとする。ボドニも両腕を張って距離を作って足を入れて抵抗する。

それでも巨大な上半身で圧力をかけてせり上がるバルボーザは、ニアマウントから肩固めへ。そのまま絡んでいる足を外し、サイドに回るバルボーザ。絶体絶命かと思われたボドニだが、ポジションが固まる前に全身の力を使ってスピンして亀に。そのままバルボーザを振り解いて立ち上がってみせた。バルボーザの世界随一の圧力から脱出したのだから、素晴らしいタイミングと力の集中のさせ方だ。

試合はスタンドから再開され、またしてもいなし合いを展開する両者。やや疲弊したバルボーザが、ボドニに手をかけられて頭を下げさせられる場面が増えてきている。

8分過ぎ、再び頭に手を伸ばすかと思われたボドニがダブルレッグに。反応の遅れたバルボーザの懐に深く入ってテイクダウンに成功し、そのまま上のポジションを取った。加点時間帯に入っていないこともあり、バルボーザは無理にスクランブルをせず下になった形だが、試合の流れが、スタミナを残しているボドニに傾きはじめた感がある。

ボドニがクローズドガードの中から立ち上がると、その右足にデラヒーバで絡むバルボーザ。盤石のバランスを誇るボドニは、慌てず騒がず絡んでくる左足を下から押し下げ、ヒザでピン。さらにボドニはバルボーザの右足も抑えてサイドを狙うが、ここでバルボーザは腕で距離を取り、立ち上がった。

スタンドに戻る両者。いなし合う中で試合は加点時間帯に。ボドニに頭を押さえられたバルボーザがシュートイン。しかしボドニにがぶられてしまう。序盤同様に上体を起こそうとするバルボーザだが、ボドニは体重をかけてそれを許さず、そのまま左足を巻き込んでクレイドルの形でグリップを作る。

ここでバルボーザは力を込めてボドニのグリップを切りながら、上体を起こすことに成功する。バルボーサはさらに両差しの状態から大内でドライブしてのテイクダウンを狙うが、ボドニは腰を引いて防御。次の瞬間、バルボーザの右腕を小手で巻いたボドニが内股へ。前に崩されつつ、バルボーサはうつ伏せで耐えきった。

力のこもった攻防に場内から歓声が上がるなか、ボドニはさらにバルボーザの足を跳ね上げて投げ切りにいく。バルボーザは自ら前転し、勢いをつけてスクランブル。場外ブレイクとなった。動きが落ちているバルボーザだが、ここ一番で出力を上げられるのはさすがだ。

この場面、解説のショーン・ウィリアムスが「いま、彼(ボドニ)がニューウェーブでサトシ・イシイのようなトレーニングパートナーを持っていることが役に立っているんだ。内股の使い方だよ。柔道はこのようにレスリングに対して素晴らしいディフェンスとして機能するんだ」とコメントした。

試合はスタンドで再開されボドニのダブルレッグに対し、ワキをすくって押し返すバルボーザだが、疲弊のあまりその時に両ひざをついてしまう。すかさずボドニは突進して肩を押し倒し、スクランブルを試みたバルボーザの背後に付いてみせた。

亀の体勢のバルボーザに覆いかぶさって襷を取ったボドニは、そのままバルボーザの体を仰向けに返しながら四の字フックを完成させ、大きな3点を先取した。大歓声が沸き「USA」チャントが沸き起こるなかチョークを狙うボドニだが、バルボーザも諦めずに両腕でディフェンスする。

が、足を組み替えてさらに6点を追加したボドニは、左手でバルボーザの顎を掴んで上げさせてから、右腕を深くこじ入れることに成功すると──マタレオンの形で絞め上げてタップを奪った。昨年のWNOチャンピオンシップの重量級では3戦全敗、優勝候補に挙げられることは少なかったボドニが、初出場初優勝を決めた。しかも4試合全てを完勝(3つの一本勝ち)。その強さは、他の出場選手たちより頭一つ以上抜けていた。

決勝のバルボーザだけでなく、スタンドレスリングの強さで世界の頂点に立ったディニズをも制した、粘り強いスタンドレスリング。トップゲームで世界柔術の頂点に立ったバルボーザとバイエンセにパスを許さない優れたガードワーク。今回旋風を巻き起こしたオフラガナンの足関節攻撃を的確に捌き、逆に極め返した正確な技術。そして盤石のバランスを礎に段階を踏んで相手の動きを潰し、やがて完全制圧する緻密なトップゲーム──スピード感こそやや欠けるものの全ての局面で抜群の安定感を持ったボドニの戦いぶりは、同門の先輩ゴードン・ライアンを彷彿させる強さを見せつけた。

実際、ニューウェーブに加入してからの練習について「毎週のように自分が上達しているのが感じられる。特に僕は2、3ヶ月ごとに全く違うレベルの選手になっていることが分かるんだ」と語ったボドニ。26歳にして急成長を続ける彼は現在、ライアンとともにダナハーのグラップリングシステムをもっとも高いレベルで体現している選手と言っていいだろう。

これで66キロ級、77キロ級に続き88キロ級も初出場選手が初優勝。ADCCに新しい風が吹いている。

なお3位決定戦は、そんな風など何するものぞ──とばかりにベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャがいつもの如く闘争心を前面に出す戦いを展開。

今大会一躍名を挙げたエオガン・オフラナガンに上のポジションから仕掛けるトーホールドを極めてみせ、準優勝の前回に続いてメダル獲得を果たした。

88キロ以下級リザルト
優勝 ジャンカルロ・ボドニ(米国)
準優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
3位 ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

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