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【ONE FN06】佐藤将光がキム・ジェウンとキャッチ戦。マイキーは草原のコンバット柔術世界王者と

【写真】佐藤にとって10カ月振りのファイトはショートノーティスか (C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE Fight Night06の全対戦カードが発表された。

キック2階級の世界戦、スタンプ・フェアテックスとアニッサ・メクセンのミックスファイト、ロッタンのキックとスーパーガールの女子ムエタイ戦が確定カードとなり、イベントまで2週間を切ってもMMAが組まれないイベントのなるのかと危惧された同大会。

結果として本日のアナウンスでMMA3試合と仕切り直しのグラップリングの世界戦が組まれONEにとって2023年のスタートを切る相応しい混合イベントとなった。


その3つのMMAマッチとは215ポンドキャッチ戦=オンラ・ンサン✖ジルベウト・ガルバォン戦、フェザー級のゲイリー・トノン✖ジョニー・ヌネス戦、そして佐藤将光✖キム・ジェウンの150ポンドキャッチ戦だ。

佐藤とキム・ジェウンの1戦は女子ムエタイのスーパーガール・ジャルーンサックムエタイ✖エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ戦とともに米国&カナダ向けのAmazon Prime カードのメイン終了に行われるポストリミ・ファイトとして実施される。

佐藤は昨年3月のONE Xでスティーブン・ローマンに敗れて以来、実に10カ月振りのファイトとなる。対するキム・ジェウンは、そのONE Xでタン・カイに敗れバンタム級に転向すると10月にシャミル・ガサノフにRNCで一本負けも、11月にはケビン・ベリンゴンをパウンドアウトしている。

つまり同じ大会で敗れながらキム・ジェウンにはその後も2度も戦う機会があり、佐藤にはなかった。今回の対戦はバンタム級同士の顔合わせながらキャッチウェイト戦になったことで緊急オファー&準備期間が十分でないことは予想される、が、佐藤は過去にキム・ジェウンのチームメイトであるキム・ウォンイルにはRNC初回で一本勝ちしているだけにエクストリーム・コンバット勢を何としても連破して、存在感を上げたいファイトだ。

またグラップリングでは、コメインの1戦としてONEサブミッショングラップリング世界フライ級王者マキシー・ムスメシがガントゥルム・バヤンドォーレンの挑戦を受けることも決まっている。

昨年10月1日にクレベル・ソウザを破り、初代フライ級組み技王に輝いたマイキーは本来、昨年のサンボ世界選手権58キロ級優勝のロシア人サンビスト&柔道家のサヤン・ヘルテックの挑戦を受ける予定だった。

しかし、ヘルテックの負傷欠場となり、ここでマイキーは同じく昨年のサンボ世界大会の金メダリスト=ガントゥルム・バヤンドォーレンに対し、インスタを通して「サンボ・ワールズ優勝おめでとう。ONEで僕と戦うことに興味はないかい? 君と戦えると凄く光栄だ」とメッセージを送った。

バヤンドォーレンはこれをFacebookで公開し、両者の対戦が実現に向かったという背景がある。実はバヤンドォーレンはRoad to ONE Mongolia決勝大会で、グラップリングマッチに出場しており一本勝ちを収め、ONE関係者の目にも止まっていたファイターのようだ。

とはいえバヤンドォーレンはヘルテックのようにスポーツサンボの世界王者ではなく、コンバットサンボの58キロ級金メダリストでMMAでも3勝1敗の戦績を残している選手だ。柔術では茶帯のバヤンドォーレンが、サブオンリーでマイキーに如何に対抗できるのか。MMAとグラップリングのフリースタイルやコンバット柔術でも見てみたい顔合わせだ。

■放送予定
1月14日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN06対戦カード

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<150ポンド契約/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
佐藤将光(日本)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者] チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)

<ONEキックボクシング世界フライ級王座決定戦/3分5R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
ダニエル・プエルタス(スペイン)

<ONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/12分1R>
[王者] マイキー・ムスメシ(米国)
[挑戦者] ガントゥルム・バヤンドォーレン(モンゴル)

<フリースタイル女子アトム級(※52.2キロ)/3分4R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
アニッサ・メクセン(フランス)

<215ポンド契約/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
ジルベウト・ガルバォン(ブラジル)

<キック・フライ級/3分3R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
ジドゥオ・イブ(中国)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ゲイリー・トノン(米国)
ジョニー・ヌネス(米国)

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o ONE ゲイリー・トノン

ONE Prime Video5:第3試合・タイ・ルオトロ vs. マラット・ガフロフ

サブミッショングラップリング81kg契約10分1R。

ルオトロ兄弟の兄タイ。5月にゲイリー・トノンをダースチョークで一本勝ち。元フェザー級王者ガフロフはONEのグラップリングマッチでは青木と対戦しチョークで一本負け。

組んだルオトロ。首四つ。投げを狙うルオトロだが離れた。また組んで投げたルオトロだがガフロフ寝かされず立つ。また組んだ。ルオトロがオーバーフックで投げを狙う。ルオトロこらえた。上に。ルオトロバギーチョークを狙ったが、ハーフからサイドを狙っていくガフロフ。ガードに戻したルオトロ。三角を狙う。盛んに三角を狙い、防ぐガフロフという展開が続いたが、レフェリーのヴィトー・ヒベイロはブレイク。投げを狙うルオトロ。またこらえたガフロフ。脇を差したガフロフにオーバーフックから投げを狙うルオトロ。上になったルオトロが腕十字へ。スパイダーウェブの体勢に。体を起こしたガフロフだが今度は三角。耐えているガフロフだが、最後は肘を極めてタップアウト。

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN03 キム・ジェウン ゲイリー・トノン シャミル・ガサノフ タン・カイ

【ONE FN03】ONEデビュー戦のガサノフが強烈なTDからのRNCでキム・ジェウンを下し、ボーナス獲得

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
Def. 1R2分12秒 by RNC
キム・ジェウン(韓国)

ガサノフが前蹴り気味の右ローで先制、そのままプレッシャーをかける。さらに左ロー、左ミドルを見せるガサノフに対し、キム・ジェウンもローを返す。ガサノフは右ロー。距離を詰めると、キム・ジェウンがサークリングしてケージから離れた。ケージ中央でローを出し合う両者、ガサノフが組みつく、相手をケージに押し込んでからバックに回り、リフトアップしてテイクダウンを狙う。ここは倒しきれなかったが、再チャレンジーーバックへの投げでグラウンドに持ち込み、すぐさまRNCでタップを奪った。

キム・ジェウンに何もさせず、衝撃のONEデビューを飾ったガサノフは「タン・カイ、ゲイリー・トノン、みな5分以内でぶっ壊す。2分あればテイクダウンして仕留めることができる。初戦で2位を倒した。ゲイリー・トノンが相手なら別にグラップリングマッチでも構わない」と語った。


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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ゲイリー・トノン ジオゴ・ヘイス ジョシュ・シスネロス ブログ

【ADCC2022】66キロ級準決勝 赤子鮫、シスネロスとのアブダビ流レスリングマッチを制し決勝へ

【写真】大会前の予想よりも、レスリング力が上がっていたベイビーシャーク。盟友アンドレイ戦、この準決勝でも立ちレスの成長は顕著だった(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第10 回は66キロ級の準決勝=ジオゴ・ヘイス×ジョシュ・シスネロスの一戦の模様をお伝えしたい。


2回戦で親友ファブリシオ・アンドレイとの大一番を制したジオゴの準決勝の相手は、米国の新鋭ジョシュ・シスネロス。

一回戦では、別人のように筋肉が肥大したイサン・クレリンステンと対戦し、延長でマウントを奪取。最後は後ろ三角絞めの体勢から腕を伸ばして一本勝ちを収めている。

シスネロスは2回戦で初戦でゲイリー・トノンからスクランブルでバックを奪い、最後のヒールも凌ぎ切って殊勲の星を挙げたサム・マクナリーと対戦。

ダイブしての三角絞めから腕を伸ばす等見せ場を作った末、延長レフェリー判定で激戦を制して準決勝進出を決めている。

<66キロ級準決勝/10分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def. 2-0
ジョシュ・シスネロス(米国)

スタンドでフェイントをかけ、足を飛ばし合う両者。2分半経過時点で、ジオゴがフェイントからシスネロスの左ワキをくぐる。正対しようとするシスネロスにボディロックし、小外掛けからジオゴが浴びせ倒して上になった。

一旦シスネロスのクローズドガードに入ったジオゴだが、すぐに立ちあがる。シスネロスは下から足を掴んでのスイープを試みるが、ジオゴは距離を取る。

さらにスタンドの攻防が続き、シスネロスが素早くシングルに入りジオゴの左足を捕獲。振りほどこうとするジオゴだが、シスネロスは許さず距離を詰めて上になる。時計を見て加点時間帯に入っていないことを確認したジオゴは、無理せず下にステイ、右足に絡んでゆく。

やがて試合は加点時間帯に。下から足を狙ったが防がれたジオゴは、シッティングから素早く右足を抱えてのレッスルアップを狙うが、シスネロス距離が距離を取り、両者はスタンドに戻った。

加点時間帯になってから初めてのスタンドの攻防、一つのテイクダウンが勝敗を左右する状況下だ。手四つを組んだ両者が頭を付け合うなか、素早く飛びこんだジオゴ。深く入ってのニータップでシスネロスを豪快に倒すと、すぐさま三点で体重をかけてスクランブルを許さずにポジションを固定し、大きな2点を先制してみせた。

一度はクローズドガードを取ったシスネロスは、それを開けて右にハーフで絡む。さらに下からジオゴの足に絡むが、ジオゴは立ちあがって対処する。次はまた右に絡むシスネロスだが、ジオゴはその手を押し下げて防御する。残り1分40秒の時点で、このままでは埒が明かないと踏んだかシスネロスは立ち上がった。

スタンドからテイクダウンを仕掛けるシスネロスだが、ジオゴは距離を取り防ぎ、逆に距離を詰めて四つの体勢に。ここから足を飛ばすシスネロスだが、ジオゴのバランスは崩れない。次にシスネロスはシュートインを試みるが、ジオゴは安定したフットワークで防ぐ。

残り20秒。シスネロスは素早くシングルに入ってジオゴの右足を取るが、ジオゴは側転するように抜き、逆にテイクダウン狙いを仕掛けてゆく。結局、最後までスタンドでシスネロスに付け入る隙を与えなかったジオゴが2-0で勝利した。

これまでの2試合同様、加点時間帯におけるレスリング・スクランブルの攻防を制したジオゴの勝利。全局面で高い技術を持つ上に、不要なリスクを犯さず体力も消耗しない試合運びで、要所でポイントを取りきるレスリング力に優れている。ADCCルールに対する抜群の適性と、童顔に似合わない高いファイトIQを再び見せつけた20歳が、初出場にして決勝進出を果たした。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE   ケイド・ルオトロ ゲイリー・トノン ダンテ・リオン

【ADCC2022】77キロ級決勝。ケイド・ルオトロがミカ・ガルバォンを内ヒールで破り──全試合一本で優勝

【写真】双子でも、どこかタイの後塵を拝すという格が存在していたケイドだが、最年少ADCCウィナーの称号は両者の格の差を完全に埋めた(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第6 回は77キロ級の決勝戦のケイド・ルオトロ×ミカ・ガルバォン戦の模様をお伝えしたい。


<77キロ級決勝/20分1R& ExR10分2R>
ケイド・ルオトロ(米国)
Def. 11分51秒by ヒールフック
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

18歳のミカと19歳のケイドによる決勝戦。ミカはケイドの双子の兄タイとは、一年前のWNOチャンピオンシップ決勝、今年の柔術世界選手権決勝で対戦。前者ではタイがミカの攻撃を遮断し続け攻防の少ない展開が続いた末、レフェリー2-1でタイの勝利。後者では道着を掴んで逃さなかったミカがポジショニングで圧倒して勝利している。が、ケイドとミカは今回が初対決だ。

準決勝までの試合ぶりと同様、スタンドで前に出るミカ。対するケイドは柔らかく動き、ミカの頭をいなしたり足に手を伸ばすフェイントをかけてゆく。

やがて距離を詰めたミカは、ケイドの左足を掴んでから左ワキを差す。ケイドは得意の小手に巻いての内股でカウンター。堪えたミカは自ら回転して上を狙うが、ケイドは一瞬早く旋回して上をキープした。本来、相手の動きに合わせて「後の先」を取るミカから、ケイドが後の先を取った形だ。

ハーフ上からがぶって必殺のダースを狙うケイド。ミカが防ぐと、ケイドは枕を取って顔を上腕で圧迫する。上半身を制されたミカだが、足を利かせてケイドを浮かせてオープンガードに戻してみせた。

さらにミカは内回りからインバーテッドで崩しにかかる。が、ケイドはそこにカウンターで飛び込むようにバック狙いへ。ミカは距離を保って防ぐものの、ケイドが上をキープした。ここまでの攻防、普段は相手の動きを切り返すミカだが、ケイドに先を行かれている。

ミカは足で距離を作ってシッティングへ。立ち上がったケイドはニースライスを試みる。ならばとミカが下からケイドの左足を抱えて回転して50/50で絡むと、左足に内ヒールを狙う。ケイドが回転して逃れるや、ミカはシットアップしてボディロックを作り──上を狙う。ケイドは体勢を立て直して、再び小手から内股に。きれいにミカを投げてみせたケイドが、またしても上をキープした。

クローズドガードの中から、ミカをリフトして立ち上がるケイド。やがてミカは下に降りてスピンし、ケイドの左足に絡んで引き出して肩にかける。そこからケイドの動きに乗じてヒザ固めの形を作ったミカは上を狙うが、ケイドは卓越したバランスで上をキープする。

ケイドはミカに足を絡まれながらも体重を預け、上から腕でミカの顔を圧迫してゆく。ミカは再びヒザ固めに入るが、ケイドはヒールでカウンター。逃れたミカは再びシットアップで上を狙うも、ケイドはまたしても小手からの投げで対抗。ここでミカは回転の方向を変えるが、ケイドはここも大きく旋回して着地し、決してミカに上を取らせない。

背中を付けるミカに対して、ルオトロ兄弟の代名詞である相手の足を踏みつけてのパスを見せるケイドは、やがてミカのオープンガードの中に入り、上から腕で顔を圧迫する。

下から足を絡め、ケイドの左足を引き出して肩にかけるミカ。ケイドは空いているミカの左足にエスティマロックを仕掛ける。それをやり過ごしたミカは下から外ヒールを仕掛けるが、ケイドは素早く反応して抜く。

50/50で右に絡んだミカは、今度は腹這いになってのストレートフットロックを狙うが、ケイドはここも回転して抜いてみせた。一回戦のラクラン・ジャイルズ戦同様、卓越した足関節への対応力だ。

立ち上がって右でニースライスを作るケイドと、ハーフで絡むミカ。やがて試合は10分を経過して加点時間帯に入るが、両者とも最初からポイントはあまり気にかけていないようで、ケイドが上からプレッシャーをかけ、ミカがインバーテッド等で防いで反撃を試みるという攻防が続く。

ケイドの侵攻に対し、足を利かせて凌ぐミカは内回りしながらケイドの左足に両足で絡む。さらに右足も引き寄せて煽るミカだが、ケイドはミカの体の上に座るようにバランスを保つ。

柔軟な股関節を利して、自らの左足を下からケイドの股の間にねじ込むミカ。その左足が伸びてきたのを見たケイドは、それを瞬時に左ワキに抱えるとともに前にダイブして内ヒール一閃。ミカは即座にタップした。

会場が爆発するなか勝利をアピールするケイドは、「やられた」という表情のミカとハグして健闘を称え合い、歓喜のバク宙を決めてみせた。

世界最高峰の選手たちが集まるこの大会にて、特に強豪が勢ぞろいして最も熱い注目を浴びたのがこの77キロ以下級だ。そこで4試合全て一本勝ちという驚異的な内容をもって、19歳のケイド・ルオトロが史上最年少のADCC世界王者に輝いた。

実況のケニー・フロリアンからインタビューされて、満面の笑顔で「今の気持ち? アンリアルだ。言葉が出ないよ!」と答えたケイド。

(ミカと過去に試合している)兄のタイの経験は役に立ったのかという質問に対しては「それはものすごく大きかったよ。いくつもポイントを教えてくれたんだ。兄は何度もミカと戦っているけど、僕はこれが初対戦だったからね。ディアズ兄弟はこんなふうに言っていたらしいね。『まあアニキに何か具体的なアドバイスを頼めばなんか言ってくれたと思うけどよう、でもアニキはその前に『おめえ、あのクソ野郎をぶっ飛ばせよ!』って俺に言ったんだよ』ってね。とにかく今はホッとしているよ。そして最高の気分だ!」とジョークを交えて答えてみせた。

実際にこの試合においてケイドは、天下一品の反応速度を持つミカのカウンターのことごとく先を行き、決してミカに上のポジションを与えることがなかった。ミカの強さを誰よりも体感している兄の存在が、この勝利の鍵の一つだったのだろう。

そして、この新世代頂上決戦に唐突なエンディングをもたらした最後の極め。急速な技術進化とともに足関節のポジションのセッティング方法がどんどん洗練されてゆくなかで、それとはほぼ無関係に試合の流れの中でチャンスと見るや即座に動き、躊躇せずにダイブしながら極めてしまう反応力と発想の自由さは特筆に値する。逆に言えば、ダナハー以降「サドルや50/50でポジションを作ってからヒール」というプロセスが常識化していたからこそ、ミカはケイドの極めを予期できなかったのかもしれない。

加えて兄タイとともにONEと契約し、ルールは違うものの『グラップリングをDo Sportsから見る者も楽しめる競技にしたい』という彼らのアイデンティティが高い防御能力という下支えがあるなかで、フィニッシュに向けて大胆かつタイミングを見極める力を高めたかもしれない。

柔術ファンダメンタルを土台とした上で驚異的な強さを発揮するミカを、セオリーを超えた自由な動きで制してみせたケイド。ならば2人が道着着用ルールで戦ったらならどう展開になるのか。ルオトロ兄弟と、この敗北──黒帯取得以來からはじめての一本負けだ──を経てさらに強くなるに違いないミカとのライバル・ストーリーは、これからも見逃せない。

なお3位決定戦では、鉄壁のニーシールドでPJ・バーチの侵攻を防いだダンテ・リオンが、下からファーサイドの腕十字を見事に極めてフィニッシュ。

前回大会ではルーカス・レプリに一本勝ちして世界を震撼させつつも、3位決定戦でゲイリー・トノンのヒールで秒殺されてしまっていただけに、嬉しいメダル獲得となった。

■ADCC202277キロ級リザルト
優勝 ケイド・ルオトロ(米国)
準優勝 ミカ・ガルバォン(ブラジル)
3位 ダンテ・リオン(カナダ)

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o ONE Road to ADCC   ケイド・ルオトロ ゲイリー・トノン コナー・マクレガー コール・アバテ ジョゼ・アルド タイナン・ダウプラ タイ・ルオトロ ニッキー・ライアン 堀内勇 高橋SUBMISSION雄己

【ADCC2022】高橋サブ&堀内勇がADCCを深掘り─02─。77キロ級、柔術の神の子とADCCルール王

【写真】巧さは強さなのか。そして強さは巧さにどう対抗するのか(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING& SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターで開催される2022 ADCC World Championship。2年に1度のグラップリング界最大のトーナメントが、コロナの影響で3年振りに開催される。

グラップリング界においても特殊なポイント制が用いられながら、世界最高峰の組み技の祭典を高橋Submission雄己とMMAPLANETグラップリング・ライター堀内勇氏が、独断と偏見と愛情をもって深堀り。第2弾は66キロの米国勢から、77キロ級の2人の優勝候補の対照的なスタイルについて話を続けてもらった。

<高橋Submission雄己&堀内勇、ADCC深堀対談Part.01はコチラから>


──話を蒸し返すと、ONEでトップグラップラーのグラップリングが頻繁に視られるようになるのは嬉しいのですが、それでもADCC欠場はやはり勘弁してくださいと気持ちになります。

堀内 やっぱりマイキーは個性が際立っていますからね。最近も『僕はピザとパスタしか食べない』なんてことを言いだして。朝はアサイーを食べて、毎日同じピザを食べているという話で。毎日ピザを食べて世界一になるって、ダイエット界や栄養学界の常識を覆しているんじゃないかって。

高橋 アハハハハ。

堀内 そういう彼が抜けるのは残念ですが、今大会はファブシリオ・アンドレイとかベイビーシャークなど、新しい力を知るきっかけになりますね。

──きっと勝てないという意見もありますが、そうなると『ちゃんと負けろよ』と思ってしまうんですよね。バトンタッチしてくださいって。ただ、チャトリはADCCで優勝した人間全員とサインするぐらいのつもりでいるんじゃないかと思います。マイキー不出場はさておき、他に66キロで注目すべき選手は?

高橋 ONEへの恨み節に関しては、ルールが違うから良いじゃないかなって。そりゃあ見たかったですけど、別競技といって良いほど違う。まぁサブオンリーのレフ判も納得できるルールではあるし、ソレはソレ。コレはコレじゃないでしょうか。

──じゃあRoad to ADCCに出るなよって……ってまだ恨み節が続いてしまいます。

高橋 それは……確かに(笑)。でも、やった相手がジオですからね。66キロ級で注目したい他の選手は、ゲイリー・トノンですかね。なんか期待値が高いです。66キロ級に落としてきて体が大きいから、細かい技術はさておき、立ち技も強いだろうし、極め力でいえば抜けている気がします。

あとトノンと同様に米国勢だと、コール・アバテは注目ですね。

優勝候補とまでは言えないですが、若くてそれなりに66キロ級のなかではデカい。伸びしろの多さも期待して、コールがどんなもんなのか凄く気になりますね。

堀内 僕もコール・アバテは楽しみにしています。17歳で、最年少です。

ベイビーシャークは20歳なのに子供に見えて、コール・アバテは17歳なのにやたらと落ち着いていて。態度も凄く偉そうだし(笑)。ただ戦い方は兄弟子のタイナン・ダウプラを彷彿させるというか。もの凄く圧力がある戦い方で、極めも正確でガチッと入る。力強くて楽しみです。

なんかお父さんが結構熱心で、子供の頃からやっていたようですね。そのお父さんがガレージで、『我々は過去のADCCの66キロ級の試合は全て見た』とか言っているんですよ(笑)。そうとうにお父さんが賭けているというのが伝わってきました。

高橋 僕もコールは期待で。後は敢えて名前を出すなら、イーサン・クレリンステンですかね。

堀内 トライスタージムでフィラス・ザハビの下で学び、その後はザハビの師匠格といえるジョン・ダナハーの指導を受けた選手ですね。

高橋 結局、ブラジル✖米国の様相になっていて、ADCCルールにおいてはブラジルが育んできた柔術スタイルが優る。そう思います。

──では77キロに移らせていただきます。世界中の誰もが見たい選手と、試合は別に見たくないけど勝てる選手。そのどちらが強いのか。

高橋 その通りですね(笑)。

堀内 見たい選手がミカ・ガルバォンで。この対談を万が一、あまり柔術に興味がない人が読んでくださっているとしたら、ミカ・ガルバォンの凄さってどういう風に伝えることができるんだろうって考えました。

──ありがたい限りです。

堀内 そして思い出したのが、コナー・マクレガーの言ったことだったんです。マクレガーがジョゼ・アルドを倒した時、「精度とタイミングはパワーとスピードを打ち負かす」という素晴らしい言葉を残しています。つまり精度とタイミングを持っている人間は、パワーとスピードがない。でもミカ・ガルバォンはその4つの全てを持っている。

──おおっ!!

堀内 柔術家に良く見られる、問答無用の重厚な圧力。ベースが強くて、プレスがもの凄く強い。

1度体重を掛けられたら、対戦相手はもうどうにもならない。ああいうファンダメンタルの柔術の圧力がありながら、反応速度が素晴らしく良い。相手の体に一瞬に反応して、素晴らしい体捌きで技を決めます。精度もスバ抜けて高い。それを全て持っているのは、ズルいんじゃないかっていうぐらいで(笑)。

他の人にはない。ちょっと人間離れしたモノを見ることができる。そんな喜びをミカの試合からは感じます。

──反応の良さは、道着でモダン柔術の攻防になった時も際立つようにも感じます。

堀内 タイ・ルオトロとは2度試合をして、ノーギでは競り負けて、道着だとボコボコにしている。それを見ても分かるように、ミカが柔術の神の子たる所以、強さが最も出てくるのは道着の試合ですよね。道着があって滑ることなく、相手がなかなか逃げられないので。ノーギだとタイのようにバランスの良い選手は、そこを凌ぎ切って自分のペースに持ち込むこともできないことはない。そしてノーギのなかでもサブオンリーの方が、ADCCより適しているんじゃいかと思います。

──それは?

堀内 やはり圧倒的なレスリング力があるとは、言えないので。そうなった時に、同じノーギでもADCCルールの権化のJT・トレスと戦うとどうなるのか。試合は別に見たくないと言われたJTとミカは対照的な2人なので、本当に興味深いです。

高橋 そうですね、ミカはレスだとたまに転がされている場面を見ますよね。しかも77キロ級だと身体的な圧力は他の選手より劣るような気がします。本当に堀内さんの見立て通りだと思います。

──JTの強さはともかく、彼の試合のどこを楽しめば良いでしょうか。

高橋 トーナメント全体の見方として、誰がJTを倒すのか。それで良いと思います。ディフェンディング・チャンピオンだし、何が凄いってルールへの対応力。

組み技の質量、技量は皆が高いレベルで拮抗している。そこでJTが勝ち抜き続けているのは、勝負どころを見極め、自分だけでなく相手の特性を理解している試合運びの上手さがあるからで。ここは受けて、ここでは2Pを取るという判断と実行力がともに正確です。そこが絶対王者たる所以で。

対抗馬としてスタイル的にも対照的なのが、ミカですよね。ミカを筆頭に、誰がJTを打ち破るのか。JTはちょっと可哀そうですけどヒール的な見方をしてもらうのが楽しいのではないかと思います。JTを優勝させたら、つまらなくなるぞ──みたいな(笑)。

──JT・トレス=北の湖ですね。

堀内 アハハハハ。

──ルールもポイントも違いますが、ルールを研究し抜いて、ルールに合った技を駆使してギリギリで勝つ。それってフィロソフィーとしては、完全にIBJJF柔術の強い人のソレではないでしょうか。そうなると、JTとの競り合いに負けないのは、同じフィロソフィーの持ち主──IBJJFルールに強い柔術家なのかと。JTは柔術では準決勝ぐらいで勝ち切れなくなることが多い印象がありますし。

高橋 確かに、ホントにそうですね。

堀内 FLOGRAPPLINGが77キロ級出場の各選手の練習風景を追っているカウントダウン映像を流していたのですが、そこで主要メンバーがお互いの印象を話しているんです。だいたい皆がJTに関しては、高橋選手が言ったように隙の無さ、ルールを知り尽くした戦い方だと言っています。

そのなかでケイド・ルオトロはATOSの後輩で「JTのことは尊敬している。JTは隙が無くてペースを掴むのに長けている。でも俺はそのペースを乱すことができる手が、いくつかあるんだ」って話しているんです。ケイドは凄く動きますから、JTの不動のペースを乱すよう、色々と仕掛けてくるのかと。特にスタンドが注目です。あと、もう一人はニッキー……ニッキー・ライアンでねす。

<この項、続く>

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【ONE160】タン・カイの挑戦を受けるONE世界フェザー級王者タン・リー「全てが連動したチェスマッチ」

【写真】調子が良さそうなタン・リーだった。対してタン・カイは全体インタビュー以降の個別取材は拒否している (C)MMAPLANET

26日、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムでONE160「Ok vs Lee 2」が開催され、メインでクリスチャン・リーがオク・レユンの持つONE世界ライト級のベルトに挑戦する。

昨年9月に対戦している両者、当時チャンピオンだったクリスチャンが判定でオク・レユンに敗れベルトを手放した。しかし、ニアフィニッシュ&ダメージ重視のONE判定にあってその最低は論議の対象となった。あれから11カ月──クリスチャンは、姉アンジェラと幼少期から学んできたマーシャルアーツの有り方、フィニッシュする姿勢を今回の再戦でも貫くことを宣言した。


──今日はメディアデーで忙しそうですね。

「そうなんだ。でも、またインタビューで話せて嬉しいよ」

──金曜日の夜にタン・カイの挑戦を受けます。今の調子は?

「最高だよ。満足できるキャンプを終えて、シンガポールに来ることができた。試合まで最後の瞬間を迎えようとしているけど、切れも良く、準備が整っている状態が創れている。精神的にもいつでも試合に臨める状態だ」

──3月にゲイリー・トノンを相手に素晴らしい防衛に成功しました。タン・カイはトノンとは全くタイプの違うファイターですが、印象を教えてください。

「本当に危険なストライカーだよ。左右ともにパンチにはパワーがある。キックも巧くて、蹴って安全な場所を確保しているよね。その位置取りが、彼にとって最も大切にしている部分だと思う。そういう点では僕と似ていると言えるね。でも、僕の方が上かな。

懸命になり過ぎている瞬間、そこを見逃さないで戦いたい。そこがこの試合の鍵になると思う。仮にグラップリングマッチになったとしても、僕にアドバンテージがあるだろう。でも皆も知っている通り、僕の試合は判定になることはない。打撃でKO、倒す試合を心掛けるよ」

──オーソのタン・カイは右だけでなく、左も強い。仰る通りだと思います。そして蹴りが巧いことも。ただし、タン・カイの蹴りとパンチはタン・リーの打撃とは違い、そこに連動は余り見られない。別々の動きをしているように感じるのですが。

「確かに、その指摘は正しいよ。それでも左のキックを警戒しないといけない。タイミングも良いし、切れがあるからね。タイミングをタン・カイは測っている。それが彼の優れた点であり、危険なところなんだよ。パンチと蹴りの連動がないという見方は成り立っているけど、それでも彼の蹴りはデンジャラスだよ」

──もちろん、タン・カイを軽視することは誰もできません。何よりも、仕留めに掛かる時の攻撃力。あの思い切りの良さは、倒せる時を見極める能力が高いのかと思ってしまうほどです。

「だからこそ、この試合が興味深いファイトになるんだよ(笑)。彼がデンジャラスだから、僕も危険なファイターになれる。タン・リーとタン・カイ、どちらがクリーンに相手を攻撃できるか。僕らは両手、両足を使えるからね。そして、ディフェンスが大切になってくる。攻撃の際は、向うも攻撃してくるから集中力をより一層高める必要があるだろう」

──聞いているだけでも、どれだけの神経戦かと緊張してきますね。タン・カイはオーソドックスです。そしてタン・リーはスイッチヒッター。オーソのタン・カイに対し、サウスポーに構えて、左に回ることで得意の蹴りが入りやすくなることはないですか。

「良いねぇ(笑)。そこは正しいゲームプランの一つとして、一つのピースであることは絶対だ。つまり、君の予想は僕が勝つってことだよね(笑)」

──真面目に返答させてもらうと、左ミドルからスイッチしての右のパンチ、あるいは左の追いつきになるのか。タン・リーに対して、これらのコンビネーションが決まるのかはとても楽しみです。その一方で、その攻撃は前に出てくる相手に有効だったと思います。とすれば基本は待ち、そしてカウンターが冴えるタン・カイに対して、どのようにタン・リーは距離を取り、間合いを掴むのか。そこも見どころです。

「まずどういう試合の入り方になるのか。そこによってくるだろうね。ただし、僕は一発でKOしようとは思っていない。大きな動きで、穴ができるような戦いはしたくないんだ。ここまでの数試合で、僕は前に出て勝負を決めている。それが僕の戦い方だと思われているだろう。圧を掛けて、捕まえると。でも、そうならなくても僕にはアドバンテージがある。

3R、ずっと我慢して戦うことができる選手がいれば、我慢できなくて最初の1分で仕掛けてくる相手もいる。これって、もう試合が始まってからの感覚だからね。どちらの仕掛けになろうと、ディフェンスに綻びが見えた時、僕らの試合は終わる」

──タン・リーのハイライトリールKOは、偶発性ではなくて一つ一つの積み重ねたの結果です。ではタイトル防衛戦で、何を見せたいですか。

「僕がコンプリートなミックストマーシャルアーチストだと証明したい。この惑星で、僕は最高のストライカーとして継続して活躍できることを、ね。だから前後の出入りもそうだし、足を止めての打ち合いだって見られるだろう。この試合はそんな神経戦、一進一退のチェスマッチになる。一つの動きじゃない。全てが連動している動きを楽しみにしてほしい」

──そんな試合で、自身のどこがアドバンテージになると考えていますか。

「ファイトIQ、経験値、そして危機管理能力。それがあるから、力を使い過ぎることなく戦うことができる」

──いや、本当に楽しみです。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「日本のファンは素晴らしい見識をもってMMAを視てくれる。勝とうか負けようが、絶対に諦めないで戦い──皆に良い試合を見せたい。この試合が終わって、より多くの日本ンファンに注目されるようになっていたい。一つ一つの動きを見て、楽しんで欲しいと思っているよ」

■放送予定
8月26日(金・日本時間)
午後8時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後8時30分~ONE Supper App

■ONE160「Ok vs Lee 2」対戦カード

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] オク・レユン(韓国)
[挑戦者] クリスチャン・リー(米国)

<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・リー(米国)
[挑戦者]タン・カイ(中国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP補欠戦/3分3R>
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)
シェルゾット・カブトフ(ロシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
リッテワダペッティンディーアカデミー(タイ)
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
ケアヌ・スッバ(マレーシア)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ポール・エリオット(英国)
マルチン・バトゥル(クロアチア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ターレス・ナカス(ブラジル)
カンタラジ・シャンカル・アガサ(インド)

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/12分1R>
ヘナート・カヌート(ブラジル)
トミー・ランガカー(ノルウェイ)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE Polaris20 Progress YouTube ゲイリー・トノン ジオ・マルチネス 海外 高橋SUBMISSION雄己

【Polaris20】ポラリスへ、高橋サブミッション─01─「ビジネス的な役回りをする人が、業界に必要」

【写真】先人のいないことをサブミッションはやろうとしています。そして、彼の言っていることはMMAも同じかと思われます(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土)、英国ウェールズのニューポートにあるウェールズ国際会議場で開催されるPolaris20に高橋Submission雄己が出場し、トミー・イィプと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

5月上旬にグラップリングの本場である米国へ渡り、NAGAニューオリンズ大会でノーギ・エキスパートクラスのフライ級とフェザー級で優勝したという高橋。彼はなぜ米国に向かい、現地で何を見てきたのか。貴重な米国グラップリング事情を語ってくれた。


――5月14日に米国で開催されたNAGAに飛び入りで出場し、2階級で優勝されたとのことですが、この飛び入りというのはどんな経緯があったのでしょうか。

「もともとNAGAには出ようと思っていたんです。これは話が前後するのですが――まずポラリス出場が決まった時点で、それまで海外で試合をしたことがなかったんですね。そこでポラリスの前哨戦としてNAGAに出ようと考えていて。その折にONEでルオトロ兄弟やマイキーとかが試合をし始めていました。

僕は去年からIREのプロデューサーとなって、ABEMA TVさんと懇意にさせていただいているんですね。そこでABEMA TVの北野雄司さんから『ONEのグラップリングの動きは無視できないのでは?』と言われたんです。ルオトロ兄弟やマイキーがONEで試合をするタイミングで、シンガポールでこうしたグラップラーたちの映像を撮らないかと。ちょうど僕は米国へ行こうという計画があって。米国に行けばONEの契約選手なり、他のグラップラーがいるので、彼らを撮影するのはどうですか? という話になり、ABEMA TVのお仕事絡みで米国へ行くことになりました」

――そうだったのですか。

「そうなると優先順位としては、青木さんの試合の煽りVを撮らないといけないので、まずルオトロ兄弟を取材しないといけない。取材へ行ったときに練習することもできれば、米国で練習するという目的も合致するので良かったです。

ただ、ルオトロ兄弟のスケジュールが……海外の選手って、そういう取材スケジュールが前後することって、よくあるじゃないですか。まずはルオトロ兄弟のスケジュールを抑えないといけない。そのために僕の都合は後回しにしなければいけない。そういった事情から、ギリギリまでNAGAに出られるかどうか分からなかったんです。結果、撮るものは撮れたのでNAGAに出場することができた、という経緯がありました」

――かつて日本人選手がブラジルへ練習に行くと、日本人からすれば現地の選手たちが時間にルーズで、伝えられた時間に選手たちが集まってこないというお話は聞きました。

「僕はそれほどルーズな海外事情の煽りを受けたことがないのですが、伊藤健一さんがジョン・ダナハーのジムへ行ったら、ダナハーが自分のクラスなのに1時間半ぐらい遅刻してきて、会員さんがみんな怒っていたという話は聞きました(笑)」

――アハハハ、現地では何が起こるか分からないので大変ですよね。しかし撮影、練習、試合と希望していたプランは全て叶えられたということですか。

「はい。いわゆる映像の撮れ高や編集の出来については僕も分からないのですが、僕自身の希望としてはルオトロなり、ジオ・マルチネスなり、ダナハーのところにいるジョナサンと組むことができました。エディにクラスにも参加できたし、NAGAにも出られたしで、僕の希望は叶えられたと思います」

――そのような米国の情報を聞くと、日本のグラップリングにも同様のビジネスが持ち込めるかもしれないですね。

「持ち込めるというより、持ち込まないといけないと思っています。日本のグラップリング界には、各ステークホルダーをつなぐプラットフォームのようなことをしている人が全くいません。つまりビジネス的な役回りをする人が、業界に必要です。そこで僕自身が、そういう役回りをするのも有りだなと考えています。たとえばプライベートレッスンの予約ができるような、グラップリング版ホットペッパーを創るとか」

――それは面白そうですね! 他にも米国での取材、練習、試合を通じて見えてきたものはありますか。

「まず米国と日本で、グラップリング界の構造自体が全く違う、というわけではないと思ったんです。もともと僕の中にも、日本と米国のグラップリングは全く違う世界だという気持ちがありましたが、米国に倣って日本も伸ばしていけばいいと思うところはあります。ただ、人口も業界の規模も違い、それなりに成熟していっている米国には、技術を売り買いするプラットフォームがありますよね。たとえばBJJ FANATICSとか。これから日本のグラップリング界が整備していかないといけない点などが、自分の中でもクリアになりました」

――BJJ FANATICSは、有名選手がオンラインで技術動画を販売するプラットフォームですよね。米国では、そのような仕組みが普及しているのですか。

「そう思います。たとえば今回ニューヨークで、ヘンゾ・グレイシーの道場のヘッドインストラクターと『英語圏の人なら、英語の技術動画のプラットフォームを観られるから良いですよね』という話をしていた時、こんなエピソードを教えてくれたんです。

昔、ダナハーの大ファンでヨーロッパの片田舎に住んでいる方が、出稽古に来た時のことです。そんな片田舎では柔術の練習相手が誰もいない。でもダナハーが大好きだから、動画でダナハーのサドルシステムを学んで、友達を相手に打ち込みをし続けていたそうなんです。ダナハーの言っていることは、動画から全てインプットしている。でも練習相手がいないから、旅行がてらグラップリングの本場に来てみた、と。それでダナハーのアカデミーに行き、ゲイリー・トノンとスパーをしてみたら、トノンと互角の実力を持っていたそうです(笑)」

――えっ!? 動画を見てゲイリー・トノンと互角レベルにまで……。

「やはり現代のグラップリングは情報戦だな、と思いました。これは極端な例ですけど、すごく面白い話ですよね。勤勉な人が勤勉に学び、インプットとアウトプットを繰り返していたら、理論上はそこまで伸びるわけです。あくまで理論上ではありますけど。

たとえ、そこまでのお話ではなくても、一部の最先端を行っている人たちがどんどん先に行って、地方は取り残されているという状況が、日本は多いので。今でいうとBJJ Laboとか、BJJ FANATICSの日本版のようなものが立ち上がっていて、精力的にやってくれています。それはすごく良い動きだなと思っています。そういったプラットフォームの規模がもっと大きくなり、いろんな技術が末端の人まで広まれば、業界の底辺拡大にも繋がりますよね。もちろん動画を販売しているトップ選手にもお金が入るシステムですから、日本の柔術&グラップリング界にも良い影響を及ぼすと思います」

――なるほど。技術面についてはいかがですか。

「おそらくコレはまだ米国の人たちも言語化できていないのだろうな、と思ったものがあります。実は僕が最先端を行っているんじゃないか、と思うものなんですけど(笑)」

――ぜひお願いします。

「レッグロックが流行り始めたじゃないですか。エディ・カミングスとか、ダナハー一派のゲイリー・トノンたちがサドルロックなどを使い始めて、内ヒールをバンバン極める時代がありました。これは宣伝っぽくなって申し訳ないんですけど……僕は先日『レッグロック4.0』という教則DVDを出したんです。実はレッグロックもアップデートされ続けていて、今はバージョン4.0まで来ているという意味なんですよ」


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MMA MMAPLANET o WJJC2022   ゲイリー・トノン ジョナタス・ ジョナタ・アウヴェス タイ・ルオトロ ニュース ブラジリアン柔術 マテウス・ガブリエル ミカエル・ガルバォン リーヴァイ・ジョーンズレアリー ルーカス・バルボーザ ルーカス・ヴァレンチ レアンドロ・ロ

【WJJC2022】至高の600秒=ミカ・ガルバォンがタイ・ルオトロを決勝で下し、最年少世界王者に

【写真】最年少、世界王者となったミカ・ガルバォン。タイ・ルオトロのライバルストーリーはミドル級に階級を上げて紡がれていくのか。そこにはもう一人、強力な男がいるだけに2023年のムンジアルが既に楽しみでならない(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われた、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第3回は、タイ・ルオトロとミカエル・ガルバォンという二大ニュースターの参戦により最注目区となったライト級の模様を、この2人の試合を中心に報告したい。


今回が道着着用ルールにおける黒帯デビュー戦となる19歳のタイ・ルオトロ。1回戦は相手の欠場により不戦勝で突破し、初戦にていきなり優勝候補のジョナタ・アウヴェスとの大一番を迎えた。

<ライト級2回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 4-2
ジョナタ・アウヴェス(ブラジル)

前に出て襟を掴むアウヴェス。対するタイは、ノーギでも多用する両腕で相手の頭を抱える形で対抗する。やがて豪快に引き込んだアウヴェスは、タイの右足をワキに抱えて回転して上を狙う。ズボンの足首部分を掴まれているため、ノーギのようには足を抜くことができないタイだが、それでも右手でポストしてバランスをキープする。

さらに50/50の形で右足に絡んだアウヴェスは内回転。が、タイは一緒に回転して対応するとすぐに前方に飛び込んでのバック狙いへ。ここをすぐに対処して距離を取ったアウヴェスは、タイの両足をまとめて左手で抱えて起き上がり、2点を先取した。

下になったタイはアウヴェスの右足を抱えるが、アウヴェスは左で巧みにステップオーバーして距離を作り、離れることに成功した。

中央からタイが座った姿勢で再開。ヒザ立ちで前に出るタイだが、リードしているアウヴェスは両腕を伸ばして襟を掴んで下がりながら距離を保つ。残り6分となった時点で、タイはアウヴェスの襟を取ってクローズドガードに引き込んだ。

この体勢で無類の防御の強さを誇るアウヴェスは、低く胸を合わせて密着。タイは、バギーチョーク、ループチョーク、クロスチョークと狙い。あるいは背中から手を伸ばしてアウヴェスの帯を掴んでの仕掛けを試みるが、重石の如きアウヴェスのベースは崩れない。途中で膠着ペナルティを受けたアウヴェスだが、構わず密着を続ける。

が、残り3分近くの時点でアウヴェスに2つ目の膠着ペナルティが入る。ここで少し動き始めたアウヴェスは、ヒジを入れてタイのタードを開かせて足を潰しにかかる。タイはなんとか隙間を作ると、残り2分少々のところで再びクローズドに引き込んだ。

タイのズボンを掴み、低くプレッシャーかけるアウヴェス。タイがクロスチョークを仕掛けるとすかさず距離を取る。再び引き込んだタイはオープンガードから攻撃を試みるが、アウヴェスはここも腰を引いて距離を取った。

タイを応援する客席からブーイングが起こる中、なんと残り54秒でアウヴェスに3つ目のペナルティ。これでタイは2点を獲得するとともに、受けたペナルティの数により逆転となった。

着実に勝利に向かっていたはずが一転、突然攻撃する必要が生まれたアウヴェスは、タイの左足を抱えて噛みつき。そのまま左に跨いでパスを狙うが、タイは距離を作ってアウヴェスの左足を下から掴むと、両足を絡めて50/50を作って上に。残り14秒で4-2としてみせた。

アウヴェスは最後の望みを賭けて足を取りにゆくが、極めることはできず。タイは道着着用の黒帯デビュー戦で、この階級世界最強の一角であるアウヴェスから勝利を奪うという快挙を成し遂げた。

最初にスイープで先制し、その後は持ち前のベースを利した漬物石戦法で守り切ろうとしたアウヴェスだが、レフェリーの厳しい判断によって予定を狂わされることに。パスも極めも世界最高峰の力を持つにもかかわらず、勝利にこだわるあまりにそれらを駆使することなく、結果として勝利自体も逃すという皮肉な形での初戦敗退となった。

一方、初日最大の難関アウヴェス戦を見事に突破したタイは、2019年ヨーロピアン&パン王者にして、道着着用柔術における最高峰のベリンボロ使いの一人、リーヴァイ・ジョーンズレアリーとの準々決勝に駒を進めた。

<ライト級準々決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 8-0
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)

今年のWNOにおいてウェルター級タイトル戦=ノーギルールで対戦している両者。その際はタイがヒールから変化してのヒザ十字を極めて完勝しているが、道着着用ルールのおける黒帯での景観はリーヴァイに一日の長がある。現時点における黒帯でのタイの道着への対応力──初戦では、アウヴェスが膠着戦法を貫いたためあまり見ることができなかった──という点でも注目の再戦だ。

試合開始後すぐにスライディングして座ったリーヴァイは、タイの右足に絡むと直ちに鋭い回転のベリンボロへ。が、タイも合わせて回転。まるでボディボードに乗るかのうようにリーヴァイの上で腹這いになってバランスを保ってみせた。

タイのズボンを掴んだリーヴァイはそのまま上を狙うが、タイはリーヴァイの絡む足を押し下げつつ、後ろ向きにステップオーバーする形でバランスキープ。

やがて向き直ったタイは、前に体重をかけながら腹でリーヴァイの左足を潰してゆく。さらに圧力をかけるタイは、リーヴァイの右足首を踏みつけて固定する得意の形を作った。

卓越したボディバランスで上をキープし、パス攻撃を繰り出し続けて相手を疲弊させる。タイはノーギグラップリングと同様の戦い方を、道着の世界最高峰の舞台でも通用させている。

そのまま上四方の方向に回ったタイ。リーヴァイも足を効かせて守るが、タイは構わずプレッシャーをかけ続けて、再び足を踏みつけてのパスを試みる。リーヴァイはタイの襟を掴んで足を効かせて対抗するが、タイは先日のゲイリー・トノン戦のように両足首を押さえつけて再び上四方に回ると、そのまま低く重心をかけパスに成功。試合時間の約半分が経過したところで3点先制してみせた。

そこから左腕を狙うタイは、リーヴァイのラペルを引き出す動きを見せた後、ニーオンザベリーで2点を追加した。抑えられたリーヴァイは残り2分の時点でガードに戻すことに成功するが、タイはまたしてもリーヴァイの足首を踏みつけて圧力をかけてゆく。

諦めずにタイの右足に絡んだリーヴァイだが、タイはその足を抜いてはまた踏みつけると、大きく頭の方に回って再びパスに成功。最後に狙ったノース&サウスチョークこそ極めきれなかったものの、結局8-0でタイが勝利した。

道着着用ルールにおいても、ノーギ同様のノンストップパス攻撃を貫き、世界最高峰のオープンガードプレイヤーを疲弊させて制圧。競技間の違いを超え、常識を覆す驚愕のパフォーマンスを見せて、タイは翌日の準決勝に進出した。

反対側のブロックでは、もう1人のニュースター、ミカことミカエル・ガルバォンが登場。1回戦はアトスのパウロ・ガブリエル相手に先制点を許したものの、攻撃の数で明確に上回って勝利した。

2回戦でセルジオ・アントニオと対峙したミカは、両者座った状態から相手の片足を持って立ち上がると、いきなり横に飛んでバックを狙うという凄技を見せる。その後ハーフで腰を切って足を抜いてパスしてからマウントに入り、袖車で完勝。準々決勝、昨年度王者マテウス・ガブリエルとの世界が注目する大一番に駒を進めた。

<ライト級準々決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def. 4-2
マテウス・ガブリエル(ブラジル)

ミカの道着を取った瞬間に座るガブリエルと、それにカウンターで飛びつこうとしたが退いたミカ。改めて近づいて左に回ったミカは、次の瞬間右に倒れ込みながらガブリエルの左足を掴んで変形のレッグドラッグのような形でパスへ。あっという間に上四方に付きかけるが、ガブリエルも両腕でフレームを作りつつ、足を入れて正対した。

次の瞬間には右足に絡もうとするガブリエルだが、凄まじい反応でその足を抜いて下がるミカは場外へ。ここでブレイクが入り、ミカにパスのアドバンテージが入った。ここまでわずか40秒、とんでもないスピードの攻防が展開されている。

再開後、ハーフで左に絡んだガブリエルは、鋭いスイープでミカを横に崩す。バランスを保つミカだが、ガブリエルはその右足を引きつけてシットアップ。見事に2点を先制した。

下から絡んだミカは右足を抱えて崩しにかかるが、ガブリエルはバランスを保つ。立っているガブリエルに対してガードを閉じたミカは、素早く左足を内側から抱えて倒す。が、ガブリエルはすぐに体勢を立て直してみせた。

ミカはガブリエルのラペルを右ヒザ裏を通して掴むと、前に崩してからのシットアップを狙うが、ガブリエルはここもポジションキープする。さらに右足に絡んだミカが前方に崩しを仕掛けると、ガブリエルはマットに頭をつけて耐えて横向きに。右足のズボンをしっかりと掴んで引きつけられたミカは、シットアップができない。

やがてもう一度下になったミカは、右ヒザ裏を通したグリップをキープしたまま、再びガブリエルを前に崩してからシットアップへ。ガブリエルは左足一本で立ち上がるが、ミカは軸足を刈ってのテイクダウン。ガブリエルはまた立ち上がり、んらばとミカが後ろに倒す。それでも諦めず立ち上がるガブリエルだが、ミカはまたしても軸足を刈って、豪快に舞わせてのテイクダウン。

場外際で立とうとするガブリエルに対し、ミカは中に引きずり込んで上のポジションを固定しにかかる。が、抵抗するガブリエルが下がり切って場外へ。この一連の攻防の中でミカのテイクダウンが認められ、残り3分のところでアドバンテージ差で逆転することとなった。

スタンドからの再開。ガブリエルの引き込み狙いを察知したか、ミカはしゃがんで低い姿勢に。警戒しあう両者に一度ペナルティが与えられる。その後も低く構えたミカは、素早く前に出て引き込むガブリエルに合わせるような形で上に。

これがテイクダウンとして認められ、4-2。アドバンテージでも上回っているミカは、残り2分の時点で大きなリードを得ることとなった。

座ったガブリエルは、ミカが近づくとすぐに左に回って必殺のベリンボロへ。座って腰を引いて距離を取ったミカは、左に動いてパスで反撃。攻防を回避してリードを守り切る気などさらさらないようだ。それを防いだガブリエルは、今度は右に絡んでのベリンボロを繰り出す。終盤まで両者が攻め合う凄まじい攻防だ。

残り1分。ミカの右に絡みつつ、ラペルを絡めて掴んだガブリエルは、最後の望みを賭けてベリンボロのアタック。ミカの体勢を崩して立とうとするが、バランスをキープしたミカは前方にドライブし、ガブリエルを押し倒した。

残り15秒。諦めずにシザースイープを狙うガブリエルだが、それを堪えたミカが左に大きくパスを仕掛けたところで試合終了。最後はミカがサイドポジションに入ったところで終わったが、これは勝負ありと悟ったガブリエルが力を抜いたせいだろう。

両者が上下から凄まじいキレの技術を繰り出し続ける至上の攻防の末、ミカが4-2で快勝。要所で上を取り切るスクランブルの強さにおいてミカが上回ったことが、勝敗を分けた要因か。

とまれ、現在世界最高の業師の一人ガブリエルをも凌駕した柔術の神の子が、翌日の準決勝へ進出。期待されるタイ・ルオトロとの新世代決勝戦が、俄然現実味を帯びてきた。

<ライト級準決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 4-0
ルーカス・ヴァレンチ(ブラジル)

大会最終日。準決勝に進んだタイの相手は、この階級で2019年世界準優勝、21年にも3位に入っているルーカス・ヴァレンチ。2019年の世界大会決勝では、当時の絶対王者ルーカス・レプリにすらパスを許さなかったオープンガードの名手だ。

意外にも先に引き込んだタイ。ヴァレンチの右足を抱えて横回転し、さらにシングルレッグへの移行を狙う。バランスを保ったヴァレンチは、上からクロスチョークを狙いながら右膝を抜こうとするが、タイはそのまま強引にスクランブルで上になると、立とうとするヴァレンチを倒し切って上を取って先制点を奪ってみせた。道着着用ルールで自ら下になり、ノーギの流儀を押し通してトップを取るのだから驚きだ。

上になったタイは、担ぎや得意の足を踏みつける形でプレッシャーをかけるが、オープンガードに定評のあるヴァレンチも距離を取り対処し、やがてタイをクローズドガードに入れた。

ヴァレンチは下からタイの手首やラペルを取りにゆくが、タイはその度に切る。またタイは時に腰を上げて前傾姿勢でプレッシャーをかけるが、ヴァレンチに下からギを掴まれそうになると無理せず座る。先制点を取っているからこそ余裕のある戦いぶりだ。

クローズドガードでなかなか突破口を見出せないヴァレンチは、タイの左ヒザに右腕を入れてラペルを取ると、さらに左でラッソーを作って内回りを仕掛ける。

が、強靭なバランスを誇るタイは崩れず。ラペルを左足に巻き付けられているタイだが、見事な体捌きでバランスを保ちつつ左足を上げ、解除に成功した。それでもヴァレンチは左のラッソーと右のラペルグリップを使っての攻撃を試みるが、可動域が増したタイはさらに動いて両方とも解除し、距離を取った。

残り2分。一旦立ち上がったヴァレンチはタイと組み合う。ここでタイはヴァレンチの頭を抱えてスナップダウンを仕掛け、さらに奥襟を取ると大内刈りのフェイントからシングルレッグへ。右手で足を取りつつ、左手でグリップした袖を引き寄せる形でヴァレンチを崩してテイクダウンを決めてリードを広げた。

そのまま攻撃の手を緩めないタイは、さらにプレッシャーをかけてヴァレンチの体を二つ折り。両足首を持って体重をかけ、さらに右足を踏みつけて固定してから自ら飛びこんでのバック取りを狙うが、ヴァレンチも防ぐ。

残り1分。立ち上がったヴァレンチはタイの道着を掴むが、変幻自在に体勢を変えつつ左右の手で頭を掴んでくるタイに攻撃を仕掛けることができない。それでもシングルを狙うヴァレンチだが、タイは軽くがぶると逆に長い左手を伸ばしてヴァレンチのかかとを掴んで崩す。

ここで深追いせずに引いたタイは、次の瞬間大きく跳躍しての飛び三角。ヴァレンチが反応して脇を締めると、タイはここも深追いせずにすぐに立ち上がる。

その後もヴァレンチの帯を背中越しにとって動きを止めたタイは、最後は引き込みスイープを狙って試合終了を迎えた。

自ら下を選んでからスクランブルでトップを取ると、その後はヴァレンチの道着を用いた攻撃を、持ち前のダイナミックな身体操作で完封したタイの完勝だった。道着着用ルールにおける世界屈指のテクニシャンのギを用いた妙技を、全て潰してしまう恐るべき19歳だ。

<ライト級準決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def.6分27秒 by ボーアンドアローチョーク
ジョナタス・グレイシー(ブラジル)

準決勝に進んだミカエルの相手は、2020年ヨーロピアンのライト級覇者のジョナタス・グレイシー。いわゆるグレイシー一族と血縁関係はないが、昨年末の世界大会ではミドル級に出場し、準決勝でイザッキ・バイエンセにレフェリー判定で惜敗して3位入賞を果たしている世界的強豪だ。

下になりたいジョナタスは、ミカの道着を掴まずに座ってしまいペナルティをもらう。改めて引き込んだジョナタスに対し、ミカは左膝を入れてベースを作ると、すぐに動いてジョナタスの左足をかつぎ、右足を押し下げての噛みつきパス狙いへ。

低くプレッシャーをかけて右足を超えにかかるミカだが、ジョナタスも腕のフレームで懸命に距離を作る。やがてミカはハーフまで侵攻して胸を合わせると、左腕で枕を作って首を殺して腰を切る。

注目されがちな派手な切り返しではなく、ごくごくオーソドックスな動きで、世界トップどころのガードをゆっくりと殺してゆくミカ。重心の低さ、タイトな密着、圧力のかけ方といった柔術の地力が恐ろしく強いことの証左だろう。

ジョナタスは下からミカのラペルを掴んで揺さぶろうとするが、ミカの盤石のベースは揺るがない。やがて絡まれている右足を抜いたミカは3点を先制すると、さらにステップオーバーしてマウント狙い。ジョナタスはなんとか左足に絡むものの、ミカはジョナタスの左ワキに頭を入れて肩固めの体勢に。さらに袖車に移行するが、ここでジョナタスは回転して上になるとともに両者は場外へ。これが場外逃避とみなされ、ミカがさらに2点を追加した。

試合はスタンド&中央で再開される。ジョナタスが引き込むと、瞬時に反応して右ヒザを入れたミカは、グラウンドに状態なった瞬間にはもうニースライスを完遂してサイドに付いている。ジョナタスも下から足を入れるが、ミカは低く担ぎにかかる。それを凌いだジョナタスは右でラッソー、左でデラヒーバで絡む。

ここからベリンボロを狙って回転するジョナタスだが、ミカは一緒に回転して防御。さらにジョナタスがもう一回転を狙うが、すでにその尻を取っていたミカは前に飛び込んでのベリンボロ返し。あっという間にバックを取って足のフックを入れて9-0とリードを広げた。

ミカは右手でジョナタスの襟を掴み、ボーアンドアローチョークへ。先日2階級上の世界王者ルーカス・バルボーザを仕留めたのと同じ技をもって、約7分半のところでタップを奪ってみせた。

普段は上の階級において世界レベルの活躍をするジョナタスに対し、瞬時の反応や切り返しだけでなく、桁外れに強力な柔術ファンダメンタルから繰り出すオーソドックスなパスガードでも圧倒。柔術の神の子が、その渾名に相応しい力を見せつけて決勝進出し、誰もが待ち望むタイ・ルオトロとの新世代決戦に駒を進めた。

<ライト級決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def.2-0
タイ・ルオトロ(米国)

19歳のタイと18歳のミカによる注目の決勝戦。青帯時代に道着着用ルール対戦した時は、グリップを有効に使ってスイープしたミカが完勝している。が、昨年のWNOチャンピオンシップ=ミドル級決勝ではお互いが警戒し合ってほぼ攻防がないまま時間が過ぎ、タイが僅差の判定をものにしている。

まず引き込んだのはミカの方。一瞬で右にオモプラッタに入るが、タイも即座に反応して前転して上に戻る。するとミカは下からタイの右足を取って両足で浮かせるが、タイはバランスをキープした。最初の攻撃でミカにアドバンテージが与えられた。

さらに下からボンをとったミカは尻を出させながらバックを狙うと、タイはここも上を保つ。やがて正対してオープンガードに戻ったミカは、内掛けでタイの右足に絡む。下から煽ってタイを前に崩すと、右足を掴んでトーホールドにゆくが、タイは回転して逃れる。これでミカは2つ目のアドバンテージを獲得した。

その後も下から煽り続けるミカと、守勢を余儀なくされながらも見事なバランスで上をキープするタイ。道着着用であるが故に、前回の対戦──お互い警戒するまま時間が過ぎ、終盤の数少ないミカの攻撃もタイがことごとく遮断した──とは全く違う展開となっている。

やがてミカはタイの右腕にラッソーで絡むが、タイは立ち上がってミカの右足を踏みつける得意の形を作ると、横に動いてのパスを仕掛ける。こうしてタイが反撃を開始したその刹那、ラッソーを利用してタイを前方に舞わせるミカ。下になるまいと頭で着地したタイが立とうとしたところで、ミカもその斜め後ろに付いて追いすがる。

諦めず逃げようとするタイに対し、ミカはそのバックを目掛けて豪快に旋回。遠心力でタイを倒すと、そのまま上になってみせた。

なんとか腕のフレームで距離を作ろうとするタイだが、ミカはしっかり重心を落として体勢を固定。残り5分半でついにミカが先制点を獲得。最初から怒涛の攻めを続け、耐えたタイがついに反撃に出たその瞬間を突いた見事なカウンターだった。

低く胸を合わせたミカは、タイの右足を押し下げて侵攻を図る。タイは下から小手絞りで反撃するが、ミカは構わずポジションを進めてハーフに。さらに腰を切ってサイドを狙うが、タイは小手絞りを解いて右腕で距離を作った。

が、ここでミカはすぐに右のニースライスに移行。タイがそれを押し戻そうとしたところで、巧みに右足を引いて足の絡みを解除したミカは、上半身で低く体重をかけたまま左にパス。暴れるタイを抑え込んでサイドを奪取した…と思いきや、まだ諦めず動き続けたタイが全力でブリッジしてうつ伏せに。見ているだけで力の入る凄まじい攻防だ。

ミカはぴったりその背中に付いて襷掛けを取ると、タイの上体をリフトし、胴体に両足を巻き付けてみせる。ポイントの入る両足フックではなく、足をクロスしてポジションキープするミカは、やがて襟を掴んでチョーク狙い。絶体絶命と思われたタイだが、体を反って動きポイントをずらし続けてなんとか耐える。

ミカは足を四の字に組むと、さらに左でタイの襟を掴んでチョークを狙う。諦めずにディフェンスを続けるタイは、両腕でミカの左腕を掴んで外すとそのまま回転。残り1分半のところで正対し、ミカのクローズドガードの中に入ることに成功した。ここまでポイントは2-0、アドバンテージは5-1でミカがリードしている。

残り時間が少なるなか腰を上げるタイだが、先日レアンドロ・ロのトップゲームを完封したミカのガードは開かず、時間だけが過ぎてゆく。残り35秒、タイはミカをリフトしながら改めて立ち上がり押し下げようとするが、それでもガードは開かない。残り20秒、まだ諦めないタイはミカの体を下ろしてから左腕でガードを押し下げにかかる。

が、内側からタイの左足を抱えたミカは、それと同時に右腕にゴゴからオモプラッタのカウンター。フックこそしきれなかったもの、キムラグリップを取って上下を入れ替える。ここからミカが右腕を極めにゆくなかで、タイが左腕をグリップしてそれを耐える中で試合終了した。

道着着用ルール世界一を賭けた舞台での再戦は、前回と違い両者が持ち味をぶつけ合う珠玉の展開に。形は異なれど共にきわめて強力なトップゲームを持つ両者だが、下になった時に最後はスクランブルが頼りのタイに対し、ミカは多彩なガードからの仕掛けと、相手の動きの先を行く天性のカウンターの勘を持つ。この差が、より相手の体をコントロールできる道着着用下でものを言ったようだ。

戦い終えて、正座して握手した二人。今後10年――続くであろう至上のライバルストーリーの続きを見ることができるのは、ADCC世界大会の決勝戦か――。

18歳、最年少で黒帯のムンジアル王者となったミカは「最高の気分だよ。凄く良い経験になった。前回、僕を破ったタイに勝てたことも良かった。今回はより自分の試合ができたこともハッピーだよ。18歳で世界チャンピオンは最年少かもしれないけど、ずっとやってきたことだからね。父、母、スポンサー、ガールフレンド、チームメイト、試合にも出ているファブリシオ・ディアゴに感謝している。皆の心と一緒戦っていて、僕は1人じゃなかった。自分が目指す場所には、まだまだの距離がある。僕に勝っている2人がライト級で戦っていた。来年は体重を落とせないかもしれないからもしれないから、ライト級で戦うことにしたんだ。来年はミドル、あるいはミディアムヘビー級かもしれない。今からADCCに備えるよ」とポディウムで金メダルを掛けられた直後にFLOGRAPPLINGのインタビューで語っている。

【ライト級リザルト】
優勝 ミカ・ガルバォン(ブラジル)
準優勝 タイ・ルオトロ(米国)
3位 ジョナタス・グレイシー(ブラジル)、ルーカス・ヴァレンチ(ブラジル)

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【WJJC2022】柔術の神の子ミカ・ガルバォンと神童タイ・ルオトロ、New Wave Jiu-Jitsuがムンジに挑む

【写真】夢のティーン対決が実現するか。そんなに甘いモノではないのか──見所だらけのライト級だ(C)FLOGRAPPLING & ONE

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われる、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text by Isamu Horiuchi

プレビュー第3回は、タイ・ルオトロ、ミカ・ガルバォンという柔術グラップリング界の二大ニュースターのエントリーにより最注目区となったライト級の見どころを紹介したい。


昨年はヘナート・カヌートとマテウス・ガブリエルのチェックマット勢によるクローズアウトとなったこの階級。今年はカヌートの姿がないものの、2019年のフェザー級世界王者でもあるガブリエルは出場する。

下からは長い足を活かした切れ味抜群のベリンボロを駆使し、上を取れば卓越したバランスから強力なパスガードを繰り出すガブリエルは、まぎれもなく優勝候補本命の1人だろう。

このガブリエルと並ぶ優勝候補と言えるのが、AOJのジョナタ・アウヴェスだ。

(C)FLOGRAPPLING

4月のパン大会では準決勝までは全試合短時間で一本勝ちし、決勝でもライバルのアンディ・ムラサキ相手に上下どちらからも試合を支配して、付け入る隙を与えずに完勝。

頭一つ抜けた強さを見せつけている。が、ガブリエルとは昨年のEUG1トーナメントの初戦で戦い、ベリンボロでポイントを奪われて惜敗している。師匠メンデス兄弟の必殺技でもあるこの技の対策を、アウヴェスが今回いかにアップデートして再戦に臨むのか。

ベリンボロと言えば、今回はオーストラリア出身のリーヴァイ・ジョーンズレアリーと、ノルウェーのエスペン・マティエセンという2人の名高いベリンボロ使いもエントリーしている。両者ともにメダル獲得の可能性を十分に持った強豪だ。

しかし、今回は上記の選手たちを超える注目を集める若手が2人エントリーを果たしている。1人は、先日のONE CHAMPIONSHIPにてゲイリー・トノンとグラップリング戦を行い、僅か97秒にてダースチョークで圧勝したタイ・ルオトロだ。

双子の弟ケイドと共にティーンの頃から脚光を浴びてきたタイは、2019年のADCC世界大会に若干16歳で出場。無尽蔵のスタミナをもって動き続け、ブルーノ・フラザトとパブロ・マントバーニという同門の大先輩2人を連破してベスト4に進出し、世界にその名を轟かせた。

その後もタイはケイドとともにノーギシーンを中心に大活躍し、昨年のWNOチャンピオンシップでも優勝。現在19歳にして既に今年のADCC世界大会の優勝候補本命とまで言われている。

ONEグラップリング以前に、今年の1月にはリーヴァイ・ジョーンズレアリーをヒザ十字で下しミドル級に続きウェルター級でWNOのベルトを巻くなど──ノーギではすでに疑いなく世界最強クラスのタイだが、道着着用ルールでの試合も厭わない。

昨年末の世界大会では茶帯ライト級出場し、決勝で弟ケイドと真っ向勝負。やや押され気味だったものの終盤にダースからバックに回り、後ろ三角から腕十字に移行という見事な流れで一本勝ちを収めて優勝を果たした。数日後、両者は師匠のアンドレ・ガルバォンから黒帯を授与された。

ノンストップ攻撃と圧倒的な極めでグラップリング界を席巻する19歳が、道着着用の大舞台でどのような戦いを見せるのか。今回はまさに世界が注目する黒帯デビュー戦だ。

タイが一回戦を突破すると、アウヴェスとの対決が実現する。スタンドでもグラウンドでも動き続けるタイを、タイトな柔術を身上とするアウヴェスが道着を用いていかに封じ込めるのか。低重心で抜群の安定感を持つアウヴェスに上になられた時、タイはどのように抵抗して活路を見出すのか、興味は尽きない。

そして今回タイに劣らず、むしろそれ以上に大きな期待を集めている初出場選手が、さらに年下の18歳「ミカ」ことミカエル・ガルバォンだ。幼少時よりルタ・リーブリとブラジリアン柔術の両方を修め、突出した反応速度を用いたカウンター、一瞬の閃きと極めの強さをもってノーギ&道着着用の両ジャンルにて見る者を魅了する「柔術の神の子」だが、その才能の凄まじさがより如実に発揮されるのは道着着用ルールの方だ。

昨年のEUG第2回大会のトーナメントに茶帯ながら参戦したミカは、準決勝で現在世界最強のミドル級柔術家であるタイナン・ダウプラと対戦。驚異的な反応と体捌きでダウプラの強力なオープンガードを封じ込め、終盤は一瞬で形に入った三角絞めを極めかけて判定勝ち。決勝ではダウプラの兄貴分アウヴェスの執念の膠着戦法の前に惜敗したものの、世界を驚嘆させる黒帯デビューを果たした。

黒帯昇格後に出場したアブダビ・ワールドプロ大会では、ブラジル予選& 本戦の6試合中5試合で一本勝ちして圧倒的に優勝。前述のマティエセンとジョーンズレアリーの2人も極めている。

さらなる驚きは、今年4月末のBJJ Stars08大会のトーナメント。1回戦で世界5階級制覇のレアンドロ・ロとのドリームマッチに挑んだミカは、クローズドガードからの攻撃でロのトップゲームを封じ込めて完勝してみせた。

さらに決勝ではミディアムヘビー級の世界王者ルーカス・バルボーザと対戦。スタンド戦で互角以上に渡り合って疲弊させると、終盤にテイクダウンからあっという間にバックに回ってボーアンドアローチョーク一閃。2階級上の怪物世界王者からも一本勝ちを収め、一夜にして柔術界の二大レジェンドを連破するという大仕事をやってのけたのだった。

その後、5月に入っても8日(日・同)にサンパウロで開かれた最も歴史と伝統があるといっても過言でないブラジレイロでも黒帯ミドル級で1回戦こそ対戦相手が失格だったが、その後の3試合では絞め、横三角、腕十字と一本勝ちを収め頂点に立っている。

今回、アウヴェスやタイとは逆のブロックに位置しているミカ。順当に勝ち上がれば準々決勝で前回優勝のガブリエルとの大一番が実現する可能性が高い。トップからもボトムからも無類の切れ味を持つ両者だが、攻撃の仕掛けが鋭いガブリエルに対して、ミカは切り返しの鋭さを誇る。両者の特性が噛み合えば想像を超えるような名勝負となる可能性もあるだろう。

アウヴェス対タイ、そしてガブリエル対ミカ。仮に両強豪を打ち破り、ファイナルでタイ✖ミカのNEW WAVE Jiu Jitsuの一戦が実現することになれば、昨年9月のWNOミドル級王座決定トーナメント戦以来の顔合わせとなり、その時はタイが辛勝しえいる。

誰が勝ち上がっても、さらに興味深い対決に続くこのライト級こそ、今年の世界大会で最も熱い期待を集める場であることは間違いない。

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