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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 アレキサンダー・ヘルナンデス オースティン・ハバート キック

【UFC307】15分間ノンストップの打撃戦、強打が目立ったヘルナンデスがハバートをスプリット判定で下す

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
Def.2-1:29-28.29-28.27-30
オースティン・ハバート(米国)

ハバートが構えをスイッチしながら歩くように前に出る。ヘルナンデスは左右のミドルを蹴って、右ストレートやワンツーを狙う。ハバートは前蹴りを見せて、ジャブから前に出る。ハバートは組みを見せて、離れ際にヒザ蹴りを見せる。ヘルナンデスはサークリングして右アッパー、ワンツー、左フックで飛び込む。ハバートも左を返して右の前蹴り、テイクダウンと離れ際の打撃を狙う。

ヘルナンデスはハバートの前蹴りに右ストレートで飛び込み、右カーフ、右ボディストレートから左フック、右ミドルと手数を増やす。ハバートの右の蹴りを取ってテイクダウンも仕掛ける。ヘルナンデスは左ミドルとワンツー、サークリングを続けて右カーフや右ストレートを当てる。

ハバートもジャブから前に出て右の前蹴り、インロー、右の蹴りをフェイントにしてワンツーで前に出る。ヘルナンデスはそこに左フックを当て、スイッチしてのワンツー、オーソドックスに戻しての右を当てた。

2R、ヘルナンデスは距離を取り、細かいパンチで前に出る。ハバートもすぐに圧力をかけてテイクダウンも狙いつつ、ボディにもパンチを散らす。ヘルナンデスも右ボディから左フック、ハバートも組みにもすぐに反応する。ヘルナンデスは下がり右ローとミドルを蹴り、左フックからパンチをまとめる。前に出るはハバートダブルレッグで組んでバックを狙うがヘルナンデスは足をフックさせない。

ヘルナンデスはジャブ・右ストレートから入って左フックへ。ミドルの蹴り合いから、ヘルナンデスはサイドステップしながら左フックを当てる。ハバートはシングルレッグに入ってバックを狙いつつ、離れ際に左ハイを蹴る。ハバートはヘルナンデスの打撃にテイクダウンを狙い、ヘルナンデスの離れ際にヒザ蹴を突き上げる。

ヘルナンデスはジャブ。左ミドルを振って、左フックにつなげる。ここもハバートはテイクダウンを見せて、離れ際にヒザ蹴りを突き上げる。ヘルナンデスも距離を取ってジャブ、ハバートのテイクダウンに反応して左フックを当てる。さらにヘルナンデスはハバートのテイクダウンを切って、パンチで前進する。

今度はヘルナンデスがシングルレッグに入り、ハバートが離れ際に左フックを打つ。ハバートは組みと打撃を混ぜて右の前蹴り。ヘルナンデスが右ストレートから左フック、右を振る。

3R、ここも右ストレートから入るヘルナンデス。ハバートもジャブを返すが、前に出るヘルナンデスが右を当てる。ハバートも下がってパンチを返し、テイクダウンのフェイントを見せる。ハバートはヘルナンデスの右ストレートに合わせて組むが倒せない。ハバートは構えをスイッチしがら左右のストレート、右の前蹴り、ヘルナンデスのパンチをバックステップでかわし右ストレートから左フック、スピニングバックキックを当てる。

ヘルナンデスは左フックで飛び込みつつ右カーフ。ハバートはパンチで前に出てくるヘルナンデスを首相撲に捉えてヒザ蹴り、シングルレッグに入って離れ際の打撃を狙う。ヘルナンデスも左フックからワンツー。ヘルナンデスがハバートのシングルレッグを切ると、ハバートが亀になってしまい、ヘルナンデスがバックにつく。

ハバートが立ち上がると、ヘルナンデスはケージに押し込んで離れ際のヒジを入れる。ハバートはパンチからヒザ蹴り、ヘルナンデスが右ストレートで前進。ハバートも左フックを当ててヒザ蹴り。ヘルナンデスも必死にパンチを打ち返し、最後は両者が大歓声の中で打ち合う。判定はジャッジ1名が30-27でハバートを支持したものの、残り2名が29-28でヘルナンデスとして、ヘルナンデスが判定2-1で勝利した。


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【UFC307】ラストファイトへ、カーラ・エスパルザ「長い旅路の終わり。でも楽しむためにココに来た」

【写真】ファイトウィークとは思えない幸せな過ぎる家族の一コマ (C)MMAPLANET

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターで開催されるUFC307「Pereira vs Rountree」でカーラ・エスパルザが1年11カ月振りにオクタゴンに戻ってくる。
Text by Manabu Takashima

昨年9月に母になったエスパルザが、出産後に初ファイトをテシア・ペニントンと戦う。2度のUFC世界ストロー級王者は何を想い、母としてケージに足を踏み入れるのか。彼女の心境を尋ねたくインタビューを試みると、エスパルザは「この試合が最後」と話し、その心境を語ってくれた。


――カーラ、ZOOMの画面からトレーニングを終えたばかりに見えますね。

「そうね。ホテルの練習スペースで汗を流して、気分は爽快ね」

――少しZOOMに入ってくるのが遅れていたので、てっきり授乳中かと思っていました。

「アハハハ。練習をしながら、ファイトウィークになってもベイビーの世話をしているのは確かね(笑)」

――2022年11月以来のオクタゴンとなりますが、この間には昨年の9月に出産を経験しています。お母さんとなって、ファイトに戻ってきた心境を教えてください。

「最高ね。でも、本当に毎日が目が回りそうなほど大変で。強いファイターと、良き母の両立は大変だわ。でも、試合をするのだからやり切るしかないわよね」

――私の妻は3度出産をして、格闘家ではないですが出産の度に体の具合が変わると言っています。カーラの場合は、何かフィジカルの違いを感じますか。

「そうね、ファイターには細かいケガがつきものだったけど、いうと一晩休むと大丈夫っていうモノも今ではしっかりと体を休める必要が出たかなと思う。それが出産とどれだけ関係しているか、確かなことは言えないけど。私自身の体の変化は見られるわ」

――赤ん坊は泣きたいときに泣いて、時間の理念など吹っ飛んでしまった日々を思い出します。まさに忍耐の日々でした。

「ホントにその通り。ベイビーはベイビーに必要なことを、必要な時に私に求めてくるわ。ただ、私には凄くサポートしてくれる主人がいてくれて。そこは本当に助かっているから感謝の限りね」

――出産を経験すると、メンタルが強くなるということは?

「絶対的にね。何かハードなことがあっても、ベイビーが困難を乗り越えるモチベーションになっているから。この子の存在が私のメンタルを強くしてくれるし、ボディケアにも神経が行き届くようにしてくれているわ」

――その一方で日本の女性アスリートは妊娠を機に、現役を退くというケースが多かったです。

「私がこの子を授かった時、もうキャリアは15年を迎えていて2度のUFC世界チャンピオンも経験していたから、やり切った感はあったの。MMAにおける夢は達成したし、これからはベイビーと共に生きていこうと思ったわ。特にベルトを取り返した時に、はっきりと達成感を感じていたし。私の人生はネクストチャプターに入り、24時間ずっとこの子の母親でいようと思うようになったわ」

――もうベストファイターの座に戻ろうとは思わない?

「ノー。もう自分のキャリアには満足しきっているから、今が引退のタイミング。私は人生の第2章を歩むことにしたの」

――えっ、つまりは今回が引退試合ということですか。

「そうよ」

――スミマセンでした。全く知らなくて。それは……試合前ですが、おめでとうと言わせてください。

「ありがとう(笑)。そう、今が潮時よ。最高のタイミングで、最後の戦いに臨むことができるわ」

――最後にもう一度、母親になってから戦おうと思ったのは?

「そうね……妊娠をして、出産を経験して……でも、区切りをつけたかったのかもしれない。とにかく、土曜日の試合が私にとって最後のMMAになることは間違いないわ。そう、人生の区切りのファイトね」

――試合前からエモーショナルになることはないですか。

「もちろん。長い旅路を終えようとしているのだから。それは感傷的になるわ。でも、私はここに楽しみに来たわけで。息子の前で戦って、グローブをケージに置くまで全力で戦うわ。

もうMMAと一定の距離を置いて、家庭に入る。でも、時々セミナーとかできれば良いわね」

――実は昨年の春にチーム・オーヤマでトレーニングをしていた澤田千優選手が、たった2度だけカーラがトレーニングセッションに姿を見せてくれた時に受けた教えが凄く勉強になったと言っていました。そのカーラの知識をチーム・オーヤマで後進の指導に生かすことはないのかと。

「彼女とのトレーニングセッションは覚えているわ。私も凄く楽しかった。彼女もそうだし、他の選手にも何かを伝えることはできると思う。もちろん、チームメイトの役に立ちたい。役に立てるだろうし。でも、人生のプライオリティは良き母であること。だから常駐の指導者になることはないだろうし、さっきも言ったようにセミナーなんかで私の知識をシェアできれば良いかなと思っている感じね」

――今回の引退試合、カーラが全てを出し尽くしたファイトを楽しみにします。

「試合に出る限り、私のゴールは勝利を手にすること。最後の試合でも自分の手が挙げられるために戦う。テシアはリマッチで絶対に勝ちたいと思っているでしょうけど、今回も私が勝つ――絶対にね。これまで打撃を見せる機会が少なかったから最後の試合で、私のストライキングを見せることができれば楽しい時間になるかなって(笑)」

――素晴らしい意気込みです。引退試合の前にありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。私の現役最後の声を日本のファンに届けてもらえて嬉しいわ。2010年……私がデビューした年にメグミ・フジイと戦って以来、日本のファンが応援し続けてくれたことは本当に嬉しかった。長い間、ありがとう」

■視聴方法(予定)
10月6日(日)
午前7時30分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 F1 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 YouTube   アイリーン・アルダナ アマンダ・ヌネス アレキサンダー・ヘルナンデス アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イアズミン・ルシンド イホール・ポティエリア オヴァンス・サンプレー オースティン・ハバート カーラ・エスパルザ ケイラ・ハリソン ケトレン・ヴィエイラ ケヴィン・ホランド ジュリアナ・ペニャ ジョアキン・バックリー ジョゼ・アルド スティーブン・トンプソン セザー・アルメイダ ソルト タラ・ラロサ ティム・ミーンズ マイラ・ブエノ・シウバ マリオ・バウティスタ マリナ・ホドリゲス ミーシャ・テイト ラケル・ペニントン ロクサン・モダフェリ ロマン・デリツ 大成

【UFC307】TUF18以来、11年間も続く因縁に決着の刻。UFC女子世界バンタム級選手権ペニントン×ペニャ

【写真】オンナの意地が、世界の頂点を争う場で爆発。こ、こわい (C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターにて、UFC 307「Pereira vs Rountree」が行われる。アレックス・ポアタン・ペレイラがカイル・ラウントリー・ジュニアの挑戦を受けるライトヘビー級タイトル戦をメインとするこの大会のコメインは、新王者ラケル・ペニントンに元王者ジュリアナ・ペニャが挑戦する女子バンタム級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ペニントンは2018年5月、当時の絶対王者アマンダ・ヌネスに初挑戦するも終始圧倒され、5Rに背後からのパウンドでTKO負けを喫した。しかしこの敗戦が自分を見直すきっかけとなり、2020年6月から連勝を重ね、今年1月にマイラ・ブエノ・シウバとの王座決定戦に漕ぎ着けた。ここで相手の組技を凌ぎ主武器のパンチを当てて削ったペニントンは、5R判定3-0で激闘を制して新王座に就いた


対するペニャは、2021年12月にヌネスに挑戦。圧倒的不利という下馬評のなか初回の猛攻を耐え抜くと、2R突然雑になった王者の打撃にことごとくカウンターを合わせて大反撃に。怯んだヌネスに組みつき投げ倒すと、背後からチョーク一閃。世界を震撼させる大番狂わせを引き起こしてみせた

しかし8カ月後のリマッチでは、2Rに不用意にパンチで前に出たところにカウンターを合わされる形で3度のダウンを喫してしまう。その後も前に出続けたペニャだが、ことごとくヌネスにテイクダウンを合わされてしまい、5R判定で大敗して初防衛に失敗した。

2023年5月に予定されていたヌネスとの3度目の対決は、ペニャが肋骨を骨折してキャンセル。この時に代打のアイリーン・アルダナに完勝して防衛に成功したヌネスは、王者のまま引退を発表した。こうして空位となったタイトルを今年一月の決定戦でモノにしたのが、ペニントンというわけだ。

TUF18以来、11年間のドロドロ

今回が初対決となる両者だが、二人の因縁は11年前2013年に行われたTUFシーズン18シーズンまで遡る。この年初頭、UFCはロンダ・ラウジーを初代バンタム級王座に認定して初の女子試合を開催している。新設された女子部門の拡大を目論み、各チームに女性監督(ラウジーとそのライバルだったミーシャ・テイト)を迎えて女性選手たちを競わせるというはじめての試みが行われたのが、このTUF18だった。

予選を勝ちハウス入りを果たした8人の女子選手のなかで、チーム・テイトのドラフト1位に指名されたのがペニャ、3位指名がペニントンだった。ペニャはトーナメント一回戦にて、当時頭一つ抜けた実績&知名度を誇っていたベテラン、シェイナ・ベイズラーと1位指名対決に臨んだ。幾度となくテイクダウンを奪われても柔術流のスクランブルを駆使して動き続けたペニャは、突出した体力と圧力とアグレッシブネスをもってベイズラーを呑み込んでゆき、2Rにチョークで一本勝ち。

陽の当たらないところで長年努力を重ね、ついに大舞台で輝くチャンスを掴んだベテラン──日本流に「ジョシカク第一世代」とも呼べるだろう──を、新世代が若さと勢いで打ち砕く。あまりにも残酷かつ鮮やかに新時代の到来を象徴する一戦となった。

このシーズンにおいては予選でタラ・ラロサ、トーナメント一回戦&フィナーレでロクサン・モダフェリといったジョシカク勢も敗れ去り、時代の移り変わりを色濃く反映した。ただしモダフェリがその後階級を落として戦い続け、2017年には新設のUFCフライ級王座決定戦に出場、その後も2022年までUFCで活躍したことは特筆に値する。

閑話休題。

対するペニントンは、一回戦で長身のムエタイ使いジェサミン・デュークと対戦。デュークの強烈な前蹴りや膝や肘をもらいつつ、強烈なパンチを打ち返す大激闘の末に判定勝利を収めた。この試合はデイナ・ホワイト代表も絶賛し、ファイト・オブ・ザ・シーズンを受賞。「女性版フォレスト・グリフィンvsステファン・ボナー(※)」という声まで出るほど、今まで女子MMAに触れてこなかった層にその可能性を知らしめる試合とされた。

(※第一回TUF決勝のグリフィン×ボナーは、壮絶な殴り合いによってUFCの魅力を一般大衆に伝え、その後の人気爆発に大きく貢献したとされる試合。ホワイト代表は、30年を超えるUFC史上ベストバウト1位を聞かれた際には常にこの試合を挙げる。それほどその歴史的意義は高く評価されている)

素晴らしい内容の初戦を経て、決勝での対決が期待されたペニャとペニントンだが、ペニントンは試合前の右手の負傷の影響もあって準決勝で敗退。両者の対戦は実現しないまま、ペニャが準決勝&フィナーレともにその組み力を如何なく発揮して圧勝してシーズン優勝を果たしたのだった。(ペニントンはフィナーレの前座試合に出場してモダフェリに勝利

ちなみに両者は単にチームメイトというだけでなく、ハウス内の狭い二人部屋の二段ベッドの上下に陣取り生活を共にする仲でもあった。ペニャはこの種のリアリティショーの盛り上がりには欠かせない「自己中迷惑キャラ」を地で行く女性。常に自分の好きなように振る舞い、ハウス内の男女から煙たがられても一切気にせず、自分に向けられる非難を平然と他人に転嫁しては視聴者のヒートを誘っていた。

もっともシーズン序盤の二人は、(自分が同性愛者であることを公言し女性的な所作は好まない)ペニントンにペニャが「プリンセス風」メイキャップを施し、ドレスを着せてモデルウォークを教えるというコミカルな場面も見られ、関係は良好だった模様だ。

しかしペニントンはやがて、常に騒音を立て続けるペニャに耐えられなくなり本人に直接対峙する。が、ペニャは笑って「そんなことしてないわ」と全否定。呆れ気味のペニントンが「あんた精神安定剤が必要なんじゃない?」とこぼしても、ペニャは「私は至って冷静よ。みんな揃ってそうやって、私がしてもいないことを言って責め立てる嘘付きなのよ」と返したのだった。

とまれペニントンとペニャはともに、UFC女子部門の創設期にその未来を担う若手として登場し、先行世代を容赦無く打ち破り新時代の到来を告げた選手たちだ。そしてすっかり女子部門が確立した現在、11年の時を経てその頂点を──お互い30代半ばという円熟期に入った──二人が競い合う。オールドファンには感慨深い構図がこの試合には存在する。

当然両者とも11年前来の確執は意識しており、ペニントンは「あれからアイツと連絡を取ったことがあるかって? あるわけないでしょ。ジュリアナと同じ部屋に住むのは本当に苦痛だった」、「やっと11年前の話に決着を付けることができる」と語れば、ペニャの方も「ラケルは私がメイクしてあげたおかげで、彼女の生涯で最も美しい見た目になれた。なのにそんな私に感謝するどころか文句を言うなんて、なんて酷い人間なのでしょう。みんなで私の陰口を叩いて、私の生活を生き地獄にしたのはあいつらよ」とまったく譲らない。

さらにUFC女子勢では群を抜いたトラッシュトーク力を誇るペニャは、返す刀で(4月に鮮やかなUFCデビューを飾り、ペニントン×ペニャ戦の試合の勝者への次期挑戦者の有力候補である)ケイラ・ハリソンにも言及し「お注射はもうやめておきなさいね。今はやっていないだろうけど、アイツは昔は間違いなく打っていたわよね。昔ATTに練習に行った時にある人に言われたのよ『ATTの女子選手たちは、シャワー室でお互いにケツに注射を打ち合っているんだぞ』ってね」と、一部男性ファンの想像力まで掻き立てながら挑発してみせた。

当然ハリソンが「私は柔道で12歳の頃から検査を受けてきて、一度も陽性になったことはない。使っていないからよ!(次の対戦相手について聞かれて)別に誰でもいい。もっともそれがジュリアナなら喜んでタダで頭にエルボーを叩き込んでやるけどね」と反応すると、ペニャは「まあなんて怖い。典型的なロイドレイジ(ステロイドの副作用で激昂すること)の症状だわ!」と見事に切り返したのだった。

絶対女王ヌネスが去って話題が少ない女子バンタム級へのファンの興味を繋ぎ止めるのに、根拠など一切気にせず放言するペニャの口が一役買っていることは否定できない。

一方でペニントンとペニャのオクタゴンのなかでの振る舞い=パフォーマンスに目を転じると、試合はまずはパンチで突進して組みつきたいペニャとスタンド戦をキープしたいペニントンのせめぎ合いとなる可能性が高そうだ。前戦でペニャは、ワキを開けてパンチを振り回して前に出ては、ヌネスに面白いようにカウンターを合わされ何度も倒されている。が、ヌネスほどの圧倒的な破壊力の拳やリーチの長さを持ち合わせていないペニントンは、いかにペニャの突進を止めるのか。

ペニャが組みつくことに成功すれば、次はペニントンの安定したディフェンスを、いかにペニャが攻撃的グラップリングでいかに切り崩すかの攻防となる。

もっとも技術的なこと以上に、互いの精神と肉体のタフネスのぶつかり合いこそがこの試合最大の見どころだろう。女子有数の頑丈さを誇り、被弾するたびに倍打ち返しては相手を削り続け、体力&根性の判定勝利を重ねるペニントン。やはり被弾上等の恐れを知らぬ突進と、問答無用の組みの圧力とノンストップ攻撃で相手を呑み込んでしまうペニャ。引退したヌネス、下の階級のシェフチェンコやグラッソのような洗練された技術を持っていない両者だからこそ、あのハウスでの日々以来、お互いが歩んできた11年間の集大成をぶつけ合うような闘いを期待したい。

■視聴方法(予定)
10月6日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN55 オースティン・ハバート ミハウ・フィグラック

【UFC ESPN55】15分間の鍔迫り合いはオースティン・ハバートが29-28×3でミハウ・フィグラックを下す

<ライト級/5分3R>
オースティン・ハバート(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ミハウ・フィグラック(ポーランド)

すぐに近い距離での打撃戦となり、フィグラックが右カーフを蹴る。ハバートは前蹴りを繰り出すが、フィグラックはローを続け、ワンツーを入れる。右オーバーハンドで前に出るなど圧を高めるフィグラックは、ハバートのシングルからスイッチしたダブルレッグを切る。ハバートはボディストレートを伸ばすが距離がやや遠いか。それでもフィグラックの右にハバートはダブルレッグを合わせてテイクダウンを奪う。

すぐに立ち上がったフィグラックはジャブから右を入れる。そして右カーフを入れると、右の蹴りから右ストレートをヒットさせる。ハバートも右を返し、組みのフェイクを織りまぜ右ストレートを当てる。フィグラックは右オーバーハンドを振るい、互いにペースを掴もうとする初回が終わった。

2R、すぐに前蹴りを蹴ったハバート。フィグラックはジャブを当て、パンチから蹴りのコンビをかわす。ジャブを受けながら前に出るフィグラックが左インロー、ハバートは右フックから左ハイを狙う。シングルをスプロールしたフィグラックは、ジャブは当たるが右が届かない。逆に変則の構えでジャブだけでなく右も近い距離で当てるハバートだが、左エルボーを打たれる。左ストレートから左ミドルをスイッチして決めたハバートは、シングルレッグをがぶられる。離れたフィグラックは初回ほど手が出ない。それでもジャブの相打ちを含めジャブを当てるフィグラックがリードフックを届かせたが、一進一退で判断が難しいラウンドとなった。

最終回も即、近い距離で拳を交換する両者。ハバートが右を当て、フィグラックもここで右を当てる。シングルのフェイクを見せるハバートは右ミドルを蹴られ、左の蹴りを返す。とフィグラックは近い距離で組みつき、バックに回る。ケージに押し込み、離れ際にフィグラックは右を放った。ハバートはジャブを当て、右を受けても右を打ち返す。インパクトに差は長いが、手数でハバートが上回るなかフィグラックはシングルから2度目のバックコントロールへ。

ここも右を打って離れたフィグラックがダブルジャブ、ハバートが右ボディストレートをう打つ。フィグラックはワンツーで前に出て、勢いでう回り始める。と、ハバートもシングルでテイクダウンしスクランブルでバックへ。後方に倒れ込みながら、起き上ってトップ狙いのハバートに対し、フィグラックも譲らず立ち上がる。

クリンチの攻防から距離ができると、右で前に出たフィグラックがハバートのシングルをがぶったところでタイムアップに。一進一退、互いに自分の流れとすることも、相手のペースにされることもないまま15分を戦った結果、ハバートが3-0の判定勝ちを手にした。


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