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【ONE163】打撃で勝つ──一周して原点回帰の若松佑弥─01─「対戦相手に不満とかないです」

【写真】スカッと勝つことが求められている相手に、スカッと勝てるか(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、10月のワン・シュオ戦が相手の都合で現地に赴いた後でキャンセルとなった若松佑弥が、ウ・ソンフンと対戦する。

やるせない想いで帰国し、精神的にきつかった時間を経て──成長した若松や、今回の試合に向けて打撃に力を入れてきたという。若松といえばKOパワーを持つフライ級ファイターだが、最近ではトータルバランスに気を付けてMMAファイターとして完成度を高めてきた。

テイクダウンと寝技を一定レベルで消化したうえで、倒すファイトを心掛ける若松に話を訊いた。


──ウ・ソンフン戦が後10日ほど(※取材は11月8日に行われた)に迫ってきた若松選手です。今の調子はいかがですか。

「いつも通り、バッチリです。ただ試合までは何が起こるか、気は抜けないですし。今週も追い込みを続け、来週のギリギリまで練習します」

──主に重点を置いて、練習していることはありますか。

「打撃と寝技をやることは当然なのですが、今回は打撃を多めにやっています。もとはと言えば自分、打撃の選手なんで。ただ寝技の練習量を少なくしているというわけではなくて。打撃で勝つようなイメージでやってきました。寝技の時も、殴れる位置を意識してコントロールしたりしています」

──テイクダウンとコントロールという試合を消化した結果、打撃回帰と?

「ある程度全部できる……テイクダウンもできるし、寝技もやれる。それは意識せずにできると思うので、思い切って自分の持ち味の打撃を出せるんじゃないかと」

──なるほど。ところで前回のワン・シュオ戦、シンガポールに行って試合がなくなりました。ああいうケースになると、気持ちの持って行きどころなどはどうするのですか。

「そうですね、長南さんとトレーナーの堀江さんと話して1度休むことにしました。もうシンガポールにいる時に、11月に試合があるということは聞かされていて。体は動かしていましたけど、2週間ほど運動量を少なくしてから作り直すことしました」

──試合直前でのキャンセル、ファイトマネーは支払われるのですか。

「ハイ。もらえます」

──そうなると、どこか割り切れることはあるのでしょうか。

「まぁ、不戦勝だなっていう感じでファイトマネーを手にする感じですかね。払ってもらえないと、ちょっと違ってきますよね。お金が入ると、また次のキャンプへの準備もできますしね。それがないと『どうしてくれんだ?』とはなってしまいます。ここまでやってきて、相手の都合で戦えなかったわけなんで。でもちゃんと支払いがあるので、次に向かって気持ちも切り替えることはできます」

──そうなると家庭も円満で。

「いや……でも、試合がなくなったフラストレーションを……一番気を許している妻に出してしまうというか、少しイライラしてしまっていたので反省しています」

──言うと、そうなりがちですが一番やってはいけないことですね。

「ちょっと甘えてしまっていました……でも、ホントに自分のメンタルがダメだって思いました。試合はなかったけど、連戦のような感じになって精神的には今回のコレは結構きつかったです。

自分のなかでは切り替えていたつもりだったんですけど、どこかでモヤモヤしていたのが外では出せないし、家で出てしまったのかもしれないです。ホント、自分の弱さが分かりました」

──それも人間、人生経験ですね。

「こういうことがあるのかという……勉強にはなりました。そこを経験して、自分の気持ちのコントロールが以前よりできるようなったので成長できたと思います」

──押忍。そして次の相手ウ・ソンフンですが……これはワン・シュオの時にも申し上げたかと思いますが、やはり若松選手には『おお、コイツが相手か』というワクワクする対戦相手をONEには用意してほしい。MMAファイターとして勝って、価値が上がる試合が続いてほしいです。そこでウ・ソンフンはウィジソン・ハモスに敗れ、そのハモスは……。

「マクラーレンに負けました」

──今、ONEフライ級戦線で過去に対戦経験がなくて、若松選手とのマッチアップが見たい選手の一番手はカイラット・アクメトフですが、なぜかその一戦は実現しないです。

「う~ん、僕は相手を単純に倒すだけです。ONEで試合をしているので、当てられた相手をKOするだけで──。対戦相手に関して不満とかはないです」

──ではウ・ソンフン、どのような選手だと思いますか。

「まぁONEと契約しているので、ある程度はウェルラウンダーなんですけど、一発に賭けている選手。それが全面に出ているファイターだと思います」

<この項、続く>

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)


ONE Fight Night04

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

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【ONE163】3年1カ月振りの実戦、岡見勇信。オンラ・ンサン戦へ─01─「時計の針が止まっていた」

【写真】綺麗に纏まった──出来上がった言葉でなく、心の襞が見えるような言葉が聞きたく……序盤戦、色々と失礼な物言いだったのですが、耳を傾けてくれてありがとうございます (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、岡見勇信が念願のオンラ・ンサンと戦う。

2019年10月以来、実に3年1カ月振りの実戦。この間、岡見は41歳となりLDHmartialartsやEXFIGHTで後進の指導という立場に立つようになっていた。同時にファイターとしての空気間も削げていた岡見は、この3年は時計の針が止まっていたと振り返った。

再び動き出した岡見の目線は、今どこにあるのかを尋ねた。


──岡見選手に関して、最近なんだか話を上手くまとめるようになって今ひとつ響くことがないなぁと感じている次第です。

「アハハハハハ。それ、どういうことですか(笑)」

──記者会見でも、もう台本があるのではないかというような綺麗な纏め方で……。

「だってもう、しょうがなくないじゃないですか。纏めないダメだし」

──以前は纏まっていなくても、身の内から言葉が絞り出されていたような。リアリティTVショーで話すようになってから、全てがあのような感じに聞こえてしまって。

「こんなこと言ったらいけないかもしれないけど、立場ができてしまったということなんです。あのように話さないといけない自分が。あれでも一生懸命にやっていたんですよ(笑)」

──それがなんか、ツボを掴んだような話振りで(笑)。

「まぁ言っている意味は分かります。でも、僕の苦労もあるんです、そこは(苦笑)」

──若い選手にもっと嫌なヤツだったのになぁとか、思ってしまって。

「嫌なヤツ……そこは肯定できないですけど(笑)。上手く纏めている……う~ん、なるほど。敵は作らず、変な方向で話題にならないよう纏めている自分がいるのは分かります。僕は3年も戦ってこなかったので、戦っているヤツの凄さを改めて感じるようになったし。やっぱり現役という身でありながら3年間、試合をしてない。でも周囲の選手や、同世代の選手は戦ってきた」

──そこで現役ファイターと違う立場の仕事も増えた。それがコロナ期の岡見選手ではないでしょうか。

「確かに……そういう日々のなかで現役生活に対して『もう良いんじゃないか』というマインドは確かにありました。でも『まだまだ』っていう戦いたい気持ちもあったし。戦わないと時計の針が動かない。自分のなかで現役という身であるならば、戦わないとどの道にも進めない。どんな人生、どの分野でも自分は試合をしないと時計の針が動かないというのは、もう凄く感じてきたことです。

色々なプロジェクトがあって、色々とあったけど自分の中では時間は止まっているという気持ちでした」

──今、動き出せているということでしょうか。

「動き出せている……いや、動き出すには戦わないと。そこですね」

──正直、この間何度かGENで岡見選手のスパーリングを見させてもらったことがあって。慧舟會東京道場時代は、もっと嫌なスパーリングをやっていた。アッサリしちゃったなぁと思ったのは確かなんです。スミマセン、失礼なことばかり言って。

「いや、正直に言ってもらって有難いです」

──自分に置き換えると、若い人たちに自分の必死な姿を見せられないというか……。そういうことがあって、岡見選手も同じなのかと。

「確かに必死な姿をあまり見せたくないっていうのは、どこかにあったのかもしれないです。それは……ありましたね。ただ試合が決まると、もう関係なく必死でやっています。今日も内藤由良選手、上田幹雄選手という26歳の2人に5分4Rを回してもらいながら、必死にやっていました。

ヘンリー(三上ヘンリー大智)を含め、この3年間で若い選手が増えて……簡単に勝てない選手がどんどん出てきて。だから、そういう彼らに必死になっているところを見せられないという気持ちがあったんだと思います。でも、もうそこは吹っ切れました」

──あくまでも練習ですが、岡見選手が内藤選手とスパーリングをするとテイクダウンをされたり、バックを取られたりすることがあるということですか。

「ありますよ。強いですよ」

──そこですっ!! 以前は若い選手のことをそうやって納得したように強いなんて絶対に言っていなかったと思います。

「あぁ。まぁ、そうですよね。そこは目線が変わったというのはあるかと思います。だって26歳ですよ、彼らは。こっちは41歳。だから負けるとかはないですけど、ちょっとお父さん的な感覚で彼らに接していたところはあります。でも、試合が決まってからは同じ目線で立とうと。負けたくない。26歳の彼らにも負けたくないという気持ちで必死にやっています。

やられて笑っているようになってしまうと、ファイターとして終わりだと自分でも思っていますし。だから何とか彼らに勝つというような想いで、今日もスパーリングをしましたし。日々、ファイトキャンプに入ってからやっています」

──EXFIGHTで岡見選手の指導を受ける立場である三上選手のパンチを被弾して、『この野郎』という気持ちになりますか。

「ハイ、そう思います。『強いな』、『凄いな』という驚きや『成長しているな』という気持ちありますけど、彼らを倒すという必死の気持ちでやっていますよ。ただし、自分を余り追い込まないようにもしています」

──それが3年間の空白を経て、変化したところでしょうか。

「そうですね。これまで追い込んで、追い込んで。もっとキツイことができるだろうと、自分を追い込むことにフォーカスして。それを乗り越えたら、自分は強くなれる。勝てるんだっていうメンタルでやっていました。20歳過ぎから、ずっとそうでした。でも、キツくて。格闘技が全然楽しくなくなってしまっていたんですよね。

(C)TSP

それだけ追い込んでパフォーマンスが良かったというと、そうでもなかった。勝つ時は勝って、負ける時は負ける。それは結果なのでついて来るのですが、パフォーマンスに納得できなかった。だから今回は楽しもう……楽するわけでなく、格闘技を楽しみたいと思ってキツイことをやってきました」

──若い頃って厳しいことをすると、成功するという見返りを求めることができます。でも、年を重ねると、その結果で何を得らえるのかも見えてくる。そして、そこまで追い込むのではなく、もっと自己コントロールをするようになる。それを人はスマートになると言うのだと思います。それって最後の踏ん張りが以前と同じくできるよう、それまでの段取りを上手くすることかと。

「そうですね。簡単ではないですけどね。追い込むなかでも、楽しめるヤツが強いと思います。試合でも。自分を追い詰めて戦う選手は、パフォーマンスが良くない。楽しんでいるヤツが強い。それはこの3年間で、この目で見てきたことでもありました。もちろん、厳しいことを続けてきたという大前提があってのことですけど。自分の場合は、そうやって続けないと後悔すると思いました。楽しむことをずっと忘れていました。試合を楽しんだことなんて、記憶にないです。

それでパフォーマンスが良ければ構わないです。でも、結果に関わらず全然良くなかった」

<この項、続く>

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)

ONE Fight Night04

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
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ABEMA BELLATOR MMA MMAPLANET o ONE ONE163 UFC   アブラォン・アモリン イスラム・マカチェフ ウスマン・ヌルマゴメドフ ウ・ソンフン オンラ・ンサン キック キム・ジェウン キャムラン・アバソフ キリル・ゴロベッツ クォン・ウォンイル クリスチャン・リー ケビン・ベリンゴン ザイード・イザガクマエフ スティーブン・ローマン ダニエラ・ケリー チャンネル ハム・ソヒ ビビアーノ・フェルナンデス ボクシング ラスラン・エミルベク ロッタン・シットムアンノン 岡見勇信 平田樹 若松佑弥 青木真也

【ONE163】ヌルマゴ軍団の精鋭、青木真也と対戦=イザガクマエフ─01─「喧嘩なんてしたことがない」

【写真】喧嘩の経験なし、MMAファイターになろうとも思っていなかった。そんな意外な事実が知れた (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、ザイード・イザガクマエフが青木真也と対戦する。

イスラム・マカチェフはUFC世界ライト級王座に就き、ウスマン・ヌルマゴメドフはBellator世界ライト級王座に挑戦する。そして、イザガクマエフのターゲットはONE世界ライト級のベルトだ。ダゲスタンのイーグル軍団、ヌルマゴメドフ・ソルジャーでも一、二位を争う強豪の格闘技的成り立ちを尋ねた。


──10日後の青木真也選手との試合を控えています。今の調子はいかがですか。

「そう試合は10日後だ。体も精神も、行動的にも完全に準備できている」

──今はタイにいるのですか。

「そうだ。今回はプーケットのタイガームエタイでキャンプを行った。シンガポールで戦うことを踏まえて、肉体的にもタイで試合の準備をすべきだと思ったんだ」

──ではカビブ・ヌルマゴメドフ達とはキャンプをしなかったのですね。

「いや、キャンプの前半はカビブや彼のレッスル・チームの全員と練習してきた。その後、タイに来て違うメンバーと試合に向けて第2段階となる練習を行った。時差は試合を戦ううえで大きな問題になってくるからね。

ONEで戦ったこれまでの2試合では、タイでのキャンプはしてこなかった。時差についてはシビアに考えていなかったけど、とても大切なことだと2試合目を戦った時に感じたんだよ。あの試合のデキには決して満足していないからね」

──なるほどぉ、ところで「強い」という評価以外に日本のファンはザイードのことを殆ど知りません。これまでの格闘技歴などを教えてもらっても良いですか。

「もちろんだ」

──まずコンバットスポーツとの出会いを教えてください。

「俺の格闘技歴は12歳の時の柔道から始まっている。それからサンボに転じ、そしてグラップリングを始めた。それが18歳までの俺のマーシャルアーツ歴だよ。そして18歳の時にアブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフの下で練習するようになり、伝説的なコーチとサンボを戦うようになったんだ」

──ダゲスタンはレスリング、MMAファイターの多くのルーツがレスリングにある。そして一部で空手が盛んで、キックや散打を戦ってからMMAに転じるファイターもいる。サンボは軍隊格闘技でそれほど一般的でなく、それでもボエボエサンボ(コンバットサンボ)を経験してMMAにトランジットするというダゲスタン事情を聞いたことがあったのですが、ザイードは柔道出身なのですね。

「柔道はダゲスタンでも盛んだよ。オリンピック・チャンピオンも2人出ているしね。柔道はボクシングとレスリングと並んで、ダゲスタンで人気のあるスポーツなんだ。ただ俺からすると柔道はどうしても限定的な格闘技なので、打撃も使いたくてサンボに転向したんだ」

──つまりスポーツサンボではなく、コンバットサンボですね。

「そうだ、ボエボエサンボだ。スポーツサンボはやっていない」

──打撃を使いたいということは、ストリートでも腕っぷしの強さを発揮していたということですか。

「アハハハ。俺は子供の頃から喧嘩なんてしたことがないし。今だって、そうだよ。だから打撃を使いたいと思ったのは、ごくごく自然の流れで──より強くなりたいっていう本能に従っただけだと思っている」

──柔道やコンバットサンボでは、どのような記録を残しているのでしょうか。

「柔道はホントに大したことない。マハチカラの大会で2位、3位、4位になったぐらいで。ボエボエサンボはマハチカラ大会で優勝し、ロシア大会で優勝。それから世界大会でロシア代表として優勝した。今はMMAで戦うようになり、ボエボエサンボの時よりも心肺機能の強化をしたり、よりシリアスにトレーニングするようになった」

──コンバットサンボはジャケットを着たMMAとも言われますが、既にMMAで戦うことを考慮してそのステップとして始めたのですか。

「正直、将来MMAファイターになるなんてことは考えたこともなかった。世界大会で優勝した時に、MMAで戦わないかと誘われたんだ。それで始めただけで。でもMMAとボエボエサンボの違いは、試合時間とジャケットの有無だけだよ」

────コンバットサンボはトーナメント戦ですし、タフさは相当なモノでしょう。しかし優勝して得られるのはメダルで、世界のトップになると巨額の富が得られるMMAとは違います。

「そりゃあファイターなら、誰もがカビブ・ヌルマゴメドフのような成功を収めたいものだ。有名になれば入って来る額も違う。それこそが、俺が練習をする理由だよ」

──18歳でヌルマゴメドフ父の下で練習するようになったということですが、その18歳の時にプロMMAデビューをしています。つまりMMAはアブドゥルマナップの指導を受けて転向したのでしょうか。

「カビブと始めて会ったのは14歳か15歳のときだった。それから彼らのジムに行くこともあったけど、カビブはロシアや世界中を試合のために回っていた。それを見て、俺も同じようにやったみたいと思い、18歳の時からずっと彼らと行動を共にしてきたんだよ。MMAはアブドゥルマナップにしか学んでいない。でも、それで十分だ。全てが理解できた。結果、MMAを始めると5勝、6勝、7勝と順調に勝ち続け、そのまま続けようと思ったんだ。俺は常にアブドゥルマナップとカビブと一緒に戦ってきた」

<この項、続く>

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ブルーノ・プッチ(ブラジル)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)


2022年11月19日(土・現地時間)
シンガポール 
シンガポール・インドアスタジアム
ONE Fight Night04

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
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<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
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【ONE163】2022年2度目の日本向けPPV大会が決定。青木真也、岡見勇信、若松佑弥、平田樹が出場

【写真】ABEMA TVでPPV中継が行われるONE163、日本人選手の活躍は――(C)MMAPLANET

17日(月)、東京都でONE Championshipが記者会見を行い、11月19日(金)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」の追加対戦カードを発表した。

会見にはチャトリ・シットヨートンCEOをはじめ、同大会に出場する日本人選手が出席した。メインイベントとしてONEキックボクシング世界バンタム級タイトルマッチ、秋元皓貴✖ペッタノン・ペットフォーガスが行われるONE163。MMAでは青木真也✖ザイード・イザガクマエフ、岡見勇信✖オンラ・ンサン、若松佑弥✖ウ・ソンフン、そして平田樹✖ハム・ソヒの4カードが発表された。


会見にはチャトリCEO、青木真也、岡見勇信と若松佑弥が出席。外国人選手ならびに米国滞在中の平田樹は、ビデオメッセージでコメントを出している。


チャトリ・シットヨートンCEO
「現在、ONEは20人の日本人選手と契約しています。今年3月のONE Xは、ABEMA TVのPPV放送で少しではありますが成功を収めました。ABEMA TVとは毎年PPV中継を行い、日本人選手の良いカードを組んでいきたいと思います」

ザイード・イザガクマエフ(C)ONE


青木真也
「前回、前々回と負けていて、次はイージーな相手との試合だと思っていたのですが、フタを開ければ厳しい相手で。こういう厳しい試合は今の日本には少ない。(イザガクマエフは)強い相手だと思います。ONEライト級ではクリスチャン・リーを除けば、一番危険な相手です。自分自身の強さと戦いを自分の中で貫いて、戦いというのはこういうものだ、というものを見せられると思います」

青木✖イザガクマエフについてチャトリCEOのコメント
「イザガクマエフはグラウンドに持ち込んでパウンドを打つタイプ。シンヤ・アオキはグラウンドでサブミッションを仕掛ける。最初にグラウンドでトップ・ポジションを奪ったほうが勝つと予想しています」


オンラ・ンサン(C)MMAPLANET


岡見勇信
「自分の試合が3年ぶりなるので、緊張しています。自分の年齢でこの舞台に帰ってくるというのは、すごく怖さもあり、やっと来たかというワクワク、自分の仕事ができるという想いもあります。その相手がずっと対戦したかったオンラ・ンサン選手ということで、この舞台に帰って来られたことを本当に嬉しく思います。ONEではウェルター級で試合をしていましたが、彼と戦いたいと思い、ミドル級に上げました。それがこのONEでやるべきことで思っていました。全てを尽くして戦わなければ勝つことは難しいし、自分の格闘技人生を賭ける試合になると思います。精いっぱい頑張ります」

岡見✖ンサンについてチャトリCEOのコメント
「この試合もKO決着が必至のカードです。ユーシン・オカミがグラウンドに持ち込めばパウンドで、あるいはオンラ・ンサンがスタンドで、どちらにしてもKOで決まると思います」


ウ・ソンフン(C)ONE


若松佑弥
「前回の試合は相手の計量失敗で無くなり、少しガッカリしました。でも、すぐにまた試合を組んでくれたので、そのままの気持ちで次の試合に臨みます。試合は単純にブッ倒して、KOします。相手はKOするパワーがあるけど正直言って、それだけですかね。打ち合いで、1分くらいで倒そうと思っています。MMAなので寝かせてボコボコに削ってやってもいいし、いろいろ考えています。僕は強さを求めて、ONEのベルトを夢見て頑張っています。しっかりKOしますので、楽しみにしておいてください」

若松✖ウ・ソンフンについてチャトリCEOのコメント
「お互いにKOできるストライカーです。ユーヤ・ワカマツはワンパンチでKOするパワーを持っているし、ウ・ソンフンも同じ。非常に期待できる試合です。ワカマツは日本人ナンバーワンのストライカーであり、将来的にチャンピオンになることは間違いありません。現在ONEに出ている日本人選手のなかでも、最もチャンスのある選手だと思っています」


ハム・ソヒ(C)ONE


平田樹
「相手が強いことは分かっています。今ハム・ソヒが強いと言われている時にやりたかった。みんなは私がどうやって負けるのか、と考えているかもしれないけど、自分はチャンスがあると思っています。メチャクチャしんどい練習をしているからこそ、ヤバイ相手とやりたいなっていう気持ちが勝ちました。時代を変えていこう、自分の時代にします」

平田✖ハム・ソヒについてチャトリCEOのコメント
「女子アトム級最高のマッチアップです。レジェンドであるハム・ソヒと、いま勢いのあるイツキ・ヒラタとの試合もKO決着になるのではと予想しています。イツキが勝てば、次はアンジェラ・リーとのタイトルマッチを考えています」

また、チャトリCEOは今後のテレビ中継について「ABEMA TVとは、今後も土曜日のゴールデンタイムにPPV中継を行いたいと話をしています。北米でのテレビ中継は、契約上シンガポールから映像を送ることになっています。日本には日本向けのイベントを、日本のゴールデンタイムに流し、日本人王者の誕生を期待したい」と語っている。


ONE Fight Night03「Lineker vs Andrade」

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night03対戦カード

<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・リネケル(ブラジル)
[挑戦者] ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ONEムエタイ世界ライト級王座決定戦/3分5R>
レギン・アーセル(オランダ)
シンサムット・クリンミー(タイ)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
シャミル・ガサノフ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジャレミー・ミアド(フィリピン)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
ケイド・ルオトロ(米国)
ウアリ・クルジェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
アミール・ナセリ(イラン)
内藤大樹(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
エイサー・テン・パウ(米国)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リー・ビヴィンス(米国)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

ONE162「Zhan vs Di Bella」

■放送予定
10月21日(金・日本時間)
午後8時~ ABEMA格闘チャンネル

■対戦カード

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ) 選手権試合/3分5R>
チャン・ペイミエン(中国)
ジョン・ディベラ(カナダ)

<キック・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
イスラム・ムルタザエフ(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
リース・マクラーレン(豪州)
ウインジソン・ハモス(ブラジル)

<キック・フライ級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
ムハマド・ブゥタサ(オランダ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ジミー・ビエノ(フランス)
ニクラス・ラーセン(デンマーク)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
アルテム・ビュラク(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
チョーファー・トー・センティアノーイ(中国)
デニス・ピューリック(ボスニアヘルツェゴビナ)

ONE163「Akimoto vs Petchtanog」

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
ABEMA格闘チャンネル

■ONE163 対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)
青木真也(日本)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

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ABEMA BELLATOR LFA MMA MMAPLANET o PFL Road to UFC UFC UFC ESPN40 オンラ・ンサン ブライアン・バトル マフクアンドレ・バリユー 佐藤天 工藤諒司 海外

【UFC ESPN40】バトル戦前の佐藤天に訊く、海外志向熱の高まり再び―02―「僕たち羊じゃないんで」

【写真】佐藤の右隣がオンラ・ンサン。左が今回、メインのトレーニングパートナーだったマフクアンドレ・バリユー(C)TAKASHI SATO

6日(土・現地時間)のネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN40「Santos vs Hill」で、ブライアン・バトルと対戦する佐藤天インタビュー後編。

絶対に負けられない戦いを前にして、海外志向が再び増えつつあるJ-MMA界について言及してもらった。

<佐藤天インタビューPart.01はコチラから>


――では工藤諒司選手、かつてのチームメイトがプロモーションは違いますが、PFLであの状況でKO勝ちしたことは?

「もちろん、刺激になります。初戦はセコンドをしていて、感じるモノはあります。今は練習している場所は違いますが、レベルの高いところで試合をして勝ちたいという部分には当然、力を貰っています。工藤は後輩だからこそ、チームメイトと同様に僕も結果を出さないといけないという気持ちにされます」

――最近、UFCを目指す。あるいは、海外を目指すという空気が、以前より高まってきたように感じます。

「良いことだと思います。以前から話させてもらっていたのですが、国内で戦うというだけでない選択肢が明らかに見えてきたことは。平良選手がUFCと契約し、BellatorやPFLに日本人選手がいて。Road to UFCが開催されたと思ったら、LFAにも田中選手とマスト君が出る。日本人ファイターが海外で試合ができるということが、可視化されれば選択肢は絶対に増えてきます。その方が、絶対に良いと思います。

右に倣えではなくて、自分がやりたいことをやっているのに、皆と同じことをやらないといけない風になってしまう。そうならないためにも、自分の芯を持つことが大切だと思っています」

――海外志向、ここに右に倣えとならなるかもしれないです。以前のように。

「羊じゃないんで、僕たち(笑)。声が大きなところ、笛を吹かれて流れるというのは……あると思うので。ただし、その中で自分を持っている選手が格好良いです。木下(憂朔)君がコンテンダーシリーズに出場するので、ラスベガスに一度来るようで。その時に合流することになっています。

フロリダに来る予定だったけど、その時は自分の部屋に泊まるっていう話もあったんです。でも8月30日だと、ファイトキャンプにならないので試合後にまた来るような形になったようです。EX FIGHT勢も来る予定だったのが、ケガとかで来られなくなったんですよね」

――ABEMAの海外修行プログラムも、明らかにこの空気を後押ししていますね。そんななか、もう試合が直前になってきました。

「今回はヘンリーに、グレッグ。練習パートナーのマフクだけでなく、日本からニックさんも来てくれて万全の態勢で試合に臨めます。3度目の正直で、次こそは勝ちます」

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BELLATOR Brave CF Cage Warriors MMA MMAPLANET o UFC UFN204   イリャ・トプリア オンラ・ンサン グンナー・ネルソン ジェイ・ハーバート ジャック・ショア ダン・フッカー トム・アスピナル パディ・ピンプレット ブライン・オドリスコール マクワン・アミルカーニ ムハマド・モカエフ モリー・マッキャン 佐藤天 平良達郎

【UFN204】計量終了 佐藤天は問題なく。英国の平良達郎=モカエフ、親愛なる隣人ピンプレットに要注目

【写真】平良の対戦相手にあることも十分に考えられるモカエフのUFC初陣、見逃せない (C)Zuffa/UFC

19日(土・現地時間)、英国はロンドンのO2アリーナで開催されるUFN204:UFN on ESPN+62「Volkov vs Aspinall」の計量が行われた。

メインでヘビー級のアレキサンダー・ヴォルコフ×トム・アスピナルが組まれた今大会、1年間準備してきたスクランブル発進でグンナー・ネルソンと対戦する佐藤天は、170ポンドで問題なく計量をクリアしている。

オンラ・ンサンをセコンドに帯同し、1年4カ月ぶりの計量台に立った佐藤は笑みを浮かべてガッツポーズ。余裕の笑みを浮かべるネルソンとフェイスオフを終えると、佐藤は一礼してステージを後にした。

日本では佐藤の再登場が一番の話題の今大会、メインに出場するアスピナルを含め、全12試合中10試合に英国勢の名前が見られる。そこにアイルランド人ファイターは含まれておらず、イングランド、ウェールズ、スコットランド勢だけでこの陣容、オクタゴンでの英国勢の充実ぶりが確認できる。


そんななか第1試合から注目のファイターがUFC初陣を迎える。それがムハメド・モカエフだ。プロアマ通して29勝0敗(※アマで23勝、プロで6勝のモカエフは12歳の時に英国に家族とともに移住した英国籍を持つダゲスタン人ファイターだ。

ダゲスタンではレスリング経験はなく空手をやっていたが、移り住んだヴィガンの街に空手道場がなく、レスリングを始める。と、そこはコーカサスの民の血がなせる業か、めきめきと頭角を現し、今ではパリ五輪を狙うほどになっている。

レスリングだけでなく、リバプールのチーム・カオボンでMMAを始め、レスリング、グラップリングと同時に活躍するとIMMAFでは2018年と2019年と世界大会を連覇した。2020年の世界大会がコロナパンデミックで中止となると、BRAVE CFでプロMMAデビューを果たしている。

当時からバーレーンのKHKジムに所属しており、BRAVE CFスーパーライト級王者で同ジムのヘッドコーチであるエルダル・エルダノフの指導の下、テイクダウンとスクランブル&バック奪取というMMAの軸を身につけつつ、モカエフは派手な打撃を組み込んでいる。

直近の試合は昨年9月で、Bellatorで2勝1敗のブライン・オドリスコールをRNCで下しているモカエフ。その際、既にコンテンダーシリーズからオファーを受けていたが「僕にコンテンダーシリーズは必要ない。直接UFCに行く」と宣言していたが、その通りとなった。

とはいえ、アマでいくら戦績を積もうが、そこは玉石混交、ロシア勢やカザフ勢は強豪でも、UFCとはまるでレベルの違う相手が殆どだ。6戦目のオクタゴン、まだ他の階級と比較すると層が薄いフライ級にあって──モカエフが、どのようなファイトをコディー・ダーデン相手に見せるか。

英国の平良達郎といっても過言でないスピード出世、その平良のUFC初登場まで40日となり、彼のライバルになり得るだけにモカエフのオクタゴン・デビュー戦は見逃せない。

またメインカードでは英国MMA界の親愛なる隣人──計量会場でもひと際大きな声援を受けたパディ・ピンプレットも見逃せない1人だ。

ホドリゴ・ヴァルガスと対戦するピンプレットはキャリア17勝3敗、ケージを背負っての跳びつき三角、50/50からの内ヒール、組みと合体したヒザやヒジ、さらに殴り合いのなかで思い切りパンチを被弾する弾けっぷりでCAGE WARRIORS時代から英国のファンを魅了し続けてきた。

ピンプレットがUFCでもこのスタイルを貫くのかと注目されていたが、昨年9月の初戦ではルイジ・ヴェンドラミニの連打でKOされてもおかしくない状況に追い込まれながら、右で逆転KO勝ちを収めている。

国内勢だけで2万人収容のO2アリーナのチケットが売り切れ、ネット上ではプラチナ化したチケットが、1800ポンド(約28万円)の高値をつけて売買されている。タイトル戦はない、北米のビッグネームが戦うわけでなく、それでもビジネス的にUFCを成り立たせることができる英国勢の勢いが確認できるイベントとなりそうだ。

■視聴方法(予定)
3月20日(日・日本時間)
午前2時00分~UFC FIGHT PASS

■UFN204計量結果

<ヘビー級/5分5R>
アレキサンダー・ヴォルコフ: 253ポンド(114.75キロ)
トム・アスピナル: 252ポンド(114.3キロ)

<フェザー級/5分3R>
アーノルド・アレン: 146ポンド(66.22キロ)
ダン・フッカー: 145ポンド(65.77キロ)

<ライト級/5分3R>
パディ・ピンプレット: 155ポンド(70.31キロ)
ロドリゴ・ヴァルガス: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
グンナー・ネルソン: 171ポンド(77.56キロ)
佐藤天: 170ポンド(77.11キロ)

<女子フライ級/5分3R>
モリー・マッキャン: 125ポンド(56.7キロ)
ルアナ・カロリーナ: 126ポンド(57.15キロ)

<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート: 155ポンド(70.31キロ)
イリャ・トプリア: 156ポンド(70.76キロ)

<フェザー級/5分3R>
マイク・グランディ: 145ポンド(65.77キロ)
マクワン・アミルカーニ: 145ポンド(65.77キロ)

<ヘビー級/5分3R>
シャミル・アブドゥラヒモフ: 258ポンド(117.02キロ)
セルゲイ・パブロヴィッチ: 254ポンド(115.21キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ニキータ・クリロフ: 205ポンド(92.99キロ)
ポール・クレイグ: 206ポンド(93.44キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジャック・ショア: 136ポンド(61.69キロ)
チムール・ヴァリエフ: 136ポンド(61.69キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
エリース・リード: 115ポンド(52.16キロ)
コリー・マッケナ: 115ポンド(52.16キロ)

<フライ級/5分3R>
ムハマド・モカエフ: 125ポンド(56.7キロ)
コディー・ダーデン: 126ポンド(57.15キロ)

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Column MMA MMAPLANET o ONE ONE128   オンラ・ンサン キック キャムラン・アバソフ ジェレミー・パカティウ ゼバスチャン・カデスタム ダニヤル・ザイナロフ ドレックス・ザンボアンガ ファブリシオ・アンドラジ ボクシング ユーリ・シモエス ライニア・デリダー ヴァウミール・ダ・シウバ

【ONE128】試合結果 二冠王デリダーがウェルター級王者アバソフを寄せ付けず。アンドラジがテンカオKO

【写真】ザンボアンガ兄の65秒KOで今大会は幕を開け、立ち技&MMAで5試合の初回決着が見られた(C)ONE

25日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムでONE128「Full Circle」された。

メインでONE世界ミドル級&ライトヘビー級王者のライニア・デリダーが同世界ウェルター級王者キャムラン・アバソフの挑戦を一蹴、階級上の王者として貫禄を見せた。

序盤からテイクダン&コントロール、パウンド及びサブミッションでアバソフを攻めたてたデリダーは3Rに肩固めでタップを奪った。

キックではグト・イノセンチ、MMAでもファブリシオ・アンドラジ、ゼバスチャン・カデスタム、ドレックス・ザンボアンガらが素晴らしいフィニッシュ勝利を手にしているが、ボーナス獲得はならなかった。

パフォーマンス・ボーナス=ライニア・デリダー、ロマン・クリキア

ONE128「Full Circle」
<ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
○ライニア・デリダー(オランダ)3R0分57秒
肩固め
詳細はコチラ
×キャムラン・アバソフ(キルギス)
<ONEキックボクシング世界ライトヘビー級選手権試合/3分5R>
○ロマン・クリキア(ウクライナ)1R2分32秒
KO
×ムラット・アイグン(トルコ)
<95キロ契約/5分3R>
○ヴィタリー・ビクダシュ(ロシア)3R
判定
詳細はコチラ
×オンラ・ンサン(ミャンマー)
<キック・フェザー級/3分3R>
○タイフン・オズカン(オランダ)3R
判定
×エンリコ・ケール(ドイツ)
<キック・ヘビー級/3分3R>
○グト・イノセンチ(ブラジル)2R2分22秒
KO
×ブルーノ・スザノ(ポルトガル)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
○ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)1R1分37秒
KO
詳細はコチラ
×ジェレミー・パカティウ(フィリピン)
<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
○ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)1R1分26秒
KO
詳細はコチラ
×ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
○ウラジミール・クズミン(ロシア)3R
判定
×クリス・ショー(英国)
<ムエタイ58キロ契約/3分3R>
○スミラ・サンデル(スウェーデン)3R1分35秒
KO
×ディアンドラ・マーティン(豪州)
<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
○ダニヤル・ザイナロフ(ロシア)3R
判定
詳細はコチラ
×ユーリ・シモエス(ブラジル)
<キック・フライ級/3分3R>
○ダニエル・プエルタス(スペイン)3R
判定
×ジドゥオ・イブ(中国)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
○ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)1R1分05秒
KO
×ラフール・ラジュ(シンガポール)


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MMA MMAPLANET o ONE ONE128 オンラ・ンサン ボクシング

【ONE128】テイクダウン&コントロールに屈し、オンラ・ンサンがビクダシュにリベンジ許す

<95キロ契約/5分3R>
ヴィタリー・ビクダシュ(ロシア)
Def.3-0
オンラ・ンサン(ミャンマー)

左ロー、右フックを振るうンサンに対し、ビクダシュは首相撲からヒザを狙いダブルレッグへ移行する。ケージを背負って防いだンサンだが、離れた直後にダブルレッグを仕掛けたビクダシュに倒されてしまう。背中を譲りつつ立ち上がったンサンが、胸を合わせて右エルボーを打つ。間合いを取り直したビグダシュは、ここもダブルレッグへ。切られると首相撲&ヒザを放つ。ンサンも右ミドルを蹴り、ボディショットからケージにビクダシュを詰めてダーティボクシング、そしてヒザを突き上げる。

ンサンは左右のフックを打ちこむと、レフェリーがブレイクを命じる。その前にンサンの指はビクダシュの左目に当たったようだ。再開後、ジャブ、右ローのビクダシュは首相撲でヒザを入れ、ダブルレッグでテイクダウンを決める。背中を取られたンサン、デリダー戦の悪夢がよみがえる中、ビクダシュのパンチが後頭部に入り、2度目の中断が入った。リスタート後、試合はスタンドで再開されビクダシュが右を当てる。シングルは切ったンサンだったが、ダブルレッグ&小外ででテイクダウンを許し、バックに回られて初回を終えた。

2R、左ミドルを蹴り、右を振るったンサン、至近距離の打撃戦で指が目に入ったとビクダシュがアピールする。初回と同じようにテイクダウン狙いのビグダシュだが、ンサンもスプロール。倒されても蹴り上げからスタンドへ戻る。ビクダシュは左リードフックを当て、ボディショットにもヒザを突き上げるとダックアンダー、バックに回り込み両足をフックする。四の字でフックされ、後ろから左のパンチで殴られンサンは厳しい時間が続く。ンサンは両手で手首を掴み、胸を合わせに行くがビグダシュが許さず、バックを制したままこの回も終わった。

最終回、ンサンが右アッパーを当て、ビクダシュは40秒を経過したところでダブルレッグでテイクダウンを決める。スクランブルでスタンドに戻っても、即倒されるンサンがマウントを取られても、シザースで逃れる──が、立ち上がることはできず、バタフライガードも背中がマットにつけた状態が続く。ンサンが右腕を差して、レッスルアップを狙う。頭を抱えて潰したビグダシュは、Zハーフガードにも左右のパンチを打ち、ンサンの下からのエルボーを上回る攻撃を見せた。

結果、ビクダシュが3-0で判定勝ちした。


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【ONE128】チャンプ・チャンプ=デリダーに、チャンプ=アバソフが挑戦。鍵はクリンチの攻防?!

【写真】ミドル級とライトヘビー級王者デリダーに、ウェルター級王者アバソが挑戦 (C)MMAPLANET

25日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムでONE128「Full Circle」が開催される。

3月26日のONE Xに話題が集中しがちだが、ONEはそれまでに今大会に加え3月11日大会と2度のイベントが控えており、両大会ともMMAの世界戦が組まれている。

明日の大会のメインではONE世界ライトヘビー&ミドル級のチャンプ・チャンプ=ライニア・デリダーが、ミドル級王座防衛戦でONE世界ウェルター級王者キャムラン・アバソフの挑戦を受ける。

計3階級のチャンピオンが1つのベルトを賭けて戦う、これはデリダーの前のミドル&ライトヘビー級王者のオンラ・ンサンが、ヘビー級王者ブランドン・ヴェラの挑戦を受けたのに続くレアケースなタイトル戦といえる。


王者デリダーはブレダというキック王国オランダでも、特にキックボクシングが盛んな街出身のグラップラーだ。柔道をベースに柔術でも黒帯を巻いている。そんなデリダーは青帯時代にアブダビ・ワールドプロ、紫帯ではヨーロピアンで2度準優勝に輝くなど道着の世界でも確かな実績を残してきた。

ただし、「レフェリー判定やアドバン差の争いに嫌気がさした」というようにデリダーはMMAに転じてからも絞め、肩固め、腕十字と極める姿勢を貫いている。

対してチャレンジャーのアバソフは、ロシア在住のキルギス人パスポートを持つフリースタイル・レスリングがベースの選手だ。2019年10月にゼバスチャン・カデスタムをテイクダウンゲームで破り、一昨年11月にはジェイムス・ナカシマとは激しい削り合いで、最後はヒザ蹴りからパウンドアウトし初防衛に成功している。

レスリングベースのアバソフだが、打撃の圧力も高く、荒っぽい展開に持ち込むとより力を発揮することが予想される。デリダーは攻撃面として、打撃は決して得意ではないが、そこはオランダのファイターだ。打撃の防御力が上がるスパーリングパートナーはいくらでも存在している。

結果、打撃に恐れるということがなく自分のタイミングで組め、クリンチ状態での打撃も得意としている。ヒザ蹴りやダーディボクシングで削り、相手が差し返してきてボディロックにとっても内股や払い腰という柔道流の投げをデリダーは持つだけに、ここもアバソフは相当に警戒が必要だろう。

と同時にンサンには寝技の強さを見せたデリダーに対し、アバソフのグラウンドでの耐久性がどれだけあるのか。トップを取った際のアバソフのコントロールと、デリダーの下からのコントールの唾競り合いも興味深い。

体力と気持ちの強さで戦うアバソフに対し、柔術の理をMMAに持ち込みデリダー。身長&リーチで上回っており、その点こそテイクダウン防御、金網際のクリンチ&打撃という攻撃にも生きる──今回のタイトル戦の最初の鍵となりそうだ。

■放送予定
2月25日(金・日本時間)
午後7時00分~ ABEMA格闘チャンネル
午後7時00分~ONE Super App

■ ONE128対戦カード

<ONE世界ミドル級(※キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ライニア・デリダー(オランダ)
[挑戦者] キャムラン・アバソフ(キルギス)

<ONEキックボクシング世界ライトヘビー級選手権試合/3分5R>
[王者]ロマン・クリキア(ウクライナ)
[挑戦者] ムラット・アイグン(トルコ)

<ミドル級(※キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
ヴィタリー・ビクダシュ(ロシア)

<キック・フェザー級/3分3R>
エンリコ・ケール(ドイツ)
タイフン・オズカン(オランダ)

<キック・ヘビー級/3分3R>
グト・イノセンチ(ブラジル)
ブルーノ・スザノ(ブラジル)

<バンタム級(※キロ)/5分3R>
ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)
ジェレミー・パカティウ(フィリピン)

<ウェルター級(※キロ)/5分3R>
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)
ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クリス・ショー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ムエタイ58キロ契約/3分3R>
ディアンドラ・マーティン(豪州)
スミラ・サンデル(スウェーデン)

<ミドル級(※キロ)/5分3R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
ダニヤル・ザイナロフ(ロシア)

<キック・フライ級/3分3R>
ジドゥオ・イブ(中国)
ダニエル・プエルタス(スペイン)

<ライト級(※キロ)/5分3R>
ラフール・ラジュ(シンガポール)
ドレック・ザンボアンガ(フィリピン)

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【ONE Heavy Hitter】2年3カ月振りの実戦、岡見勇信─01─「現役をやっていて良いのかな……」

【写真】現役ファイターになった途端、岡見の「格闘DREAMERS」で見られるスラスラとしたトークは影を潜め、一つ一つかみ砕くように話していた (C)TSP

14日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Heavy Hitterでレアンドロ・アタイジと岡見勇信が対戦する。

2019年10月の日本大会以来の実戦。コロナ禍において岡見はLDH martial artsのFighter Battle Auditionで次世代の日本の担うファイター候補をリードする立場であり続けた。

見守る立場と、戦う立場は明らかに違う。しかも巨大プロジェクトは、常に監督という立ち位置である岡見勇信の姿をTVカメラが追い続けている。この環境のなか、岡見勇信は以前のように戦えるのか。MMAファイター岡見勇信の話をABEMAのTHE WONDERスタッフと共に訊いた。


――ファイター岡見勇信のインタビューは、いったいいつ以来になるのか。もう記憶も定かでないです。

「ホント、試合をするのが2年3カ月振り、あの台風直後の日本大会以来ですからねぇ(苦笑)」

──それなのにLDH martial artsのFighter Battle Audition、格闘DREAMERSで頻繁に話を訊き、現役選手としての話を訊く機会がなくなっていました。

「確かに……。試合の契約書が届いた瞬間に、本当に意味でファイターとして軸を移せたかと思います。この間、若い選手と出会い、後進の育成に関わる機会が本当に増えました。10代から20代前半の子たちばかりだったので、彼らと接していると自分がお父さんみたいに感じられて。逆に『自分は現役をやっていて良いのかな』っていう想いにもなりましたし、自分の立ち位置を明確にするのが難しいこともありました。

でも現役としてやっているのであれば、自分に厳しい練習を課して……GENスポーツでも現役としての炎を消さないように、若手のデカい子たちとハードにトレーニングをして、無理やり厳しい練習を自分に課していましたね。そうやって1日、1日を過ごしているのに彼らと接していると、う~ん……色々と、以前とは変わりましたね」

──今も格闘DREAMERS2ndシーズンの撮影は続いているわけですよね。

「ハイ、続いています」

──私自身、岡見勇信がいくら葛藤しようが本来の姿はMMAファイターだと思っています。それが先日のEXFIGHTで、選手たちを追っていた格闘DREAMERSのディレクターが目を輝かせて『岡見さんの試合、取材に行かれるのですか』と私に尋ねてきたんです。あの時、彼女たちに格闘DREAMERSの製作スタッフにとって岡見勇信の試合が特別なことであると感じました。

「ハイ、そうですねぇ。何かねぇ……」

──岡見勇信の試合に目をキラキラさせて話す人なんて、もうずっといなかったですよ(笑)。

「いやいやいや。それはおかしいですよ、おかしい(笑)。でもホントにこの2年の間で、色々なことが変わりました。凄いスピードで環境が変化し、自分の見る視点が変わり、自分が見られる視点も変わった」

──そんななか岡見選手がEXFIGHTのケージで週に2回、ガチスパーを相当な勢いでしていると伺いました。

「ケージでやるのは、感覚が全然違います。ある意味、ノンストレスでやっています。他の人のスパーを気にせずに、360度金網に囲まれている。試合により近い状況に身を置けるのが、このフルサイズのオクタゴンです」

──貸切るという表現はおかしいですが、岡見選手はこのケージで1×1、一組だけのスパーリングをしているのですね。

「ハイ、僕は1×1でやっています。本番を見据えてフル集中です。この2年間で随分と練習内容も見直してきました。実はコロナが蔓延する直前に米国で練習してきて」

──そうだったのですか。ポートランドですか。

「チェール(ソネン)のところ、ATTポートランドでファビアーノ・シェウナーがトップで指導しているのですが、2月にゲガール・ムサシの持つBellator世界ミドル級王座に挑戦するオースチン・ヴァンダーフォードとずっと練習をしていました。その練習スタイル、練習のプログラムが凄く勉強になったので、日本での練習に採り入れるようになったんです。

そういう時にコロナ禍となり、また自分で考える時間ができた。そこは練習に向けては良い時間になったかと思います」

──ONEでのミドル級、93キロで戦うことにしたのは?

「ポートランドにいる時に、ずっと93キロでスパーリングをやっていて凄く状態が良くて、手応えも掴めました。『このぐらいで、やれれば良いのにな』と素直に思いました。2019年10月の日本大会でアギラン・タニと84キロで試合をしたときに、自分の感覚と実際の動きに結構ギャップがあって。あの形で返されてしまうのとか──とか。

あの試合の翌日が、息子の運動会で。一緒に写真を撮ったのですが、自分のゲッソリとした顔と体にショックを受けました。『これはファイターの顔でも体でもない』と。ONEのウェルター級、84キロで戦っていたらこんな体になるのかと……」

──北米のウェルター級時代もそうですし、スラリとしてバスケットボールやバレーボールの選手のような体形でした。

「そうなんですよ(苦笑)。ホント、84 キロで戦う時にはオフで90キロぐらいで。米国での練習での調子の良さと、オンラ・ンサンと戦いたいという気持ちが合致し、93キロで戦っていくことを決めました。今は練習していると95キロぐらいで、凄く調子が良いです。これが北米のライトヘビー級だと、試合当日は100キロ越えの相手と戦うことになるのですが、ONEのミドル級だとさすがにそういう相手はいないですしね」

──ところでオンラ・ンサンとの対戦を熱望していていましたが、レアンドロ・アタイジ戦となりました。この間、オファーはなかったのですか。

「2週間前にロシア人選手とのオファーとかありました……アッハハハハハ。結局、そういう感じなのかというのは思っていましたけど、今回はしっかりと期間を設けてくれて、良い相手を用意してくれたと思います。まぁ、そこをやってくれるなら相手は別にそのロシア人でも良かったですけど、良い相手を与えてくれました」

<この項、続く>

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