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【RIZIN LANDMARK10】BK離脱。ヤマニハと対戦、7勝11敗=山本聖悟「以前の僕は感謝が足らなかったです」

【写真】コレを言葉にするのは、勇気がいることだ。それをやってしまうのも、山本聖悟 (C)MMAPLANET

明日17日(日)に名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10に山本聖悟が出場し、アラン・ヒロ・ヤマニハと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2年3カ月振りの国内でのファイト。3年8カ月振りのRIZIN。そして戦績は7勝11敗1分け。最後に日本で戦った時のレコードは4勝10敗1分けだった。つまり、この間は3勝1敗と勝ち越している。その舞台となったBlack Combatではバンタム級ランク2位まで上り詰めた。

それでいて今回のLANDMARK出場。存在感が確実に増していた韓国の新興プロモーションを離れ、日本に戻ってきた真意とBlack Combatでつけた自信について山本に尋ねた。とはいえ、この間の活躍をほぼ知らない日本のファンにとって彼が言っていることは信憑性と根拠に欠けるかもしれない。それだけに絶対的な結果を欲する山本の言葉は、非常に力がこもっていた。

MMAファイター人生の巻き返しが、ここから始まる──のか。山本聖悟の言葉をまずは記憶に留めて欲しい。


Black Combatと決裂。『僕の性格では無理です』

──Black Combatでキャリアを積み、タイトル挑戦も見えてきたというなかでRIZIN LANDMARK出場。正直なところ唐突な感じは否めませんでした。韓国でのキャリアアップという部分はどのようになったのでしょうか。

「頑張って来たんですけどね(苦笑)。12月28日にBlack Combatが大きな大会を開くことが決まっています」

──ハイ、日本から駒杵嵩大選手や大原樹理選手がタイトル戦を戦うという話が入って来るイベントですね。

「ハイ。僕は7月大会で、当時6連勝中でバンタム級2位だったパク・ソンジュンという選手をKOして2位になったんです。そして年末の大会に1位の選手とのオファーが来たので、戦うつもりでした」

──チャンピオンはユ・スヨンですね。

「ハイ。チャンピオンのユ・スヨンがタイトルを持ったままでRoad to UFCに出ているのですが、それも納得はいっていなかったですが……」

──とはいえRoad to UFCやコンテンダーシリーズだと、ベルトを持ったまま出場というが普通かと。UFCと契約すれば返上というのが、プロモーションも望んでいる路線だと思います。

「それはまだ良いんです。納得はできないけど、理解はできるので。ただ年末にはRoad to UFCの決勝が終わっているので、ユ・スヨンがUFCと契約して空位になれば1位と2位の対戦だから王座決定戦になりますよね、普通は」

──ハイ。

「そこを確認したら、『ならない』という返答だったんですよ。ONEからキム・ジェウンとキム・デファンが韓国に戻って来るからと」

──実績では上の選手が2人契約を果たしたわけですね。キム・ジェウンは9月大会でパク・ソンジュンをパウンドアウトし、観客席からキム・デファンが挑発するというBlack Combatらしい寸劇が見られました。

「ハイ。実績は上でもキム・ジェウンはBlack Combatでは1勝で。キム・デファンも次に勝っても1勝です。僕は3勝していて、相手も2勝をしている。団体のなかで勝ってきた数が違うし、それならランキングの意味がなくなるじゃないですか。Black Combatとは、そういう話をしたのですが僕らの試合はタイトル戦にはならないと言われました。僕は『ならランキングの意味がないので、納得いかない。ランキングから外してくれ』と決裂しました」

──えっ、12月に試合をしないだけでなくBlack Combatには出場しなくなるのですか。

「ハイ」

──それは勿体ない……。

「勿体ないですよね。でも、僕の性格では無理です。韓国の記者の人たちも、それはおかしいという風に言ってくれていますし」

──う~ん……。

「だって、ランキングの意味がなくないですか。だったらDEEPみたいにランキングがなくてキム・ジェウンが来たから、キム・ジェウンにやらせるっていうなら分かりますよ。でもランキングがるのに、そんな1位と2位の対決って何だって思いませんか。えっ? 高島さん。これ、どう思います?」

──繰り返し、勿体ないです。せっかく、ここまで積み上げてきたモノがゼロになってしまうのは。「高島さん、どう思いますか」と自分の名前を下に尋ねられると、自分の考えは韓国で上がった知名度を使って韓国の他の大会で戦うのが良いだろうと思います。それなのにRIZINなんだなと。筋を通せといっているなら、DEEPでやり直してからRIZINではないのかと思います(苦笑)。

「確かに……。いやDEEPでも全然、戦いますよ。今回はRIZINから話をもらったので、RIZINで戦わせてもらうことにしたので。オイシイことをやろうとは思っていないですよ。2位までなって、1位とやるのにタイトル戦じゃないのはおかしくないですか」

──それはおかしいですよ。でも、RIZINで戦いたくてしょうがないのにチャンスが巡ってこない選手がいます。事実、同じバンタム級でも竹中大地選手のように実績で山本選手を上回るファイターが出場できていない。つまりは、RIZINもそういう場ではないですか。

「でも僕はタイトル戦線に入っていないですから。いや、ナンボでもDEEPで戦いますよ。痛いところをつかれてしまっていますけど(笑)、でも本当においしい話としてRIZINに出るわけじゃないです。そこは本当です」

生まれ変わったところを見てもらいます。生まれ変わったス。マジで

──とはいえヒロ・ヤマニハ選手は、日本のファンからすれば山本選手が最も苦手とする選手だと思われているはずです。

「そうなんですかね?  別にそんなことないですよ。もちろん軽い相手だなんて思わないです。でも、そんなに厳しい相手だとは全然思っていないです。これまで練習でやってきたことが、なかなか試合では出せなかった。それがBlack Combatでの試合でハマって来たんです」

──つまりは日本のファンが知らない間に、山本選手が成長しているということになります。

「だから、日本では僕が不利だと思われているんですよね。それはメチャクチャ感じています。でも、次の試合で生まれ変わったところを見てもらいます。生まれ変わったス。マジで」

──どう生まれ変わったのでしょうか。

「心のなかです。メンタルが変わりましたね。スーパーポジティブです。周囲に感謝し始めると、メンタルが変わってきました。以前の僕は感謝が足らなかったです」

──感謝するようになると、MMAは強くなれるのですか。

「なれます」

──……。

「これは言葉で表すことができるモノじゃないんですよ。それは、試合をみてもらって『これが感謝か』と」

──……。

「辰年になって運気が変わりました。凄く当たることで有名な占い師さんに見てもらって『2021年から2023年は何をやっても上手くいなかったはず』と言われて、確かに2021年から6連敗が始ったんですよね。おお、当たったって。で、その占い師さんって姉の生まれた年とか、甥っ子の漢字とか全部当てるんですよ。お祖母ちゃんは、僕のことは心配していないとか」

──……。

「伊勢神宮に行ったことも当てて。地元の神社とか知っているし、今の僕には凄く良い神様が付いていると。でも、ヤマニハにも付いているそうです(笑)。だから大激戦になるって」

──……。

「アイツ、ヤバいヤツで終わるかもしれないですけど、僕は信じています。マインドアップしているんですよ」

──何か信じるモノがあれば人は強くなれるのですか。

「それは、なれますね。高島さん、何か信じるモノってありますか」

──また名指しですか。それなら答えますが、あります。

「何を信じていますか」

──嫁さんです。

「そう、嫁さんだったり。信じていると、強くなれますよね」

──まぁ、なるしかないですから。ただ、人様の伴侶を嫁さん呼ばわりですか(笑)。

「あぁ、スミマセンでした(笑)。奥様を信じていると、強くなれますよね」

シェイドゥラエフがバンタム級で来ても、今の僕なら行ける

──強くなれます。でも、結果が目で見えるモノではないかもしれないです。山本選手はMMAを戦うわけですから。記事を書く身として、信じるモノがそういう迷信的なモノだと強くなっているという言葉の根拠にはしづらいです。

「だから戦いって、肉体の戦いではなくなるんです。これはリアルな話です。あと、瞑想をするようになってからマインドが変わりました。冷静さ、落ち着きが備わってきました」

──う~ん……。

「本当に僕は変わったんですよ。白川(裕規)さんとの練習、大塚(隆史)さんにレスリングを教わるようになって本当に技術的にも上がっていますし。白川さんと大塚さんのことを信じて、感謝しているから凄く体に入って来ます」

白川トレーナー 去年何回かミットを持ったことがあったんですけど、1月のBlack Combatの試合(イ・ソンウォン戦)のあとに「ミットを持ってもらえますか」ってお願いされて、本格的に一緒に練習するようになったんです。作戦を考えて、セコンドも就くようになって。聖悟君は性格がまっすぐで、言ったことを全部実行するんですよ。一緒に組み立てていったことを、まんま試合で使う。長い間セコンドに就いていますけど、まんま動く人ってあまりいないです。それって、さっき聖悟君が言った信じる力やと。それは僕に対してもあるだろうし。そこの入り方がちょっと違うかと思います。

「このインタビュー中に、そういう風に言ってくれる人が僕にできた。本当にマインドだと思います。これまで試合中に焦って博打を仕掛けていたのが、前回の試合でインローを効かされても『我慢をしていれば、チャンスがくる』と言い聞かせて賭けのような仕掛けはしなかったです。そして、KOできた。そこがメンタルの成長できた部分で、強くなれたところだと思います」

白川 あの時は試合の1カ月前に、足を折って。動けない状態だったんですよ。

「これまでだと1人で悩んで、一か八かで戦っていたはずです。でも白川さんと話をして、相手のヒザをすかしてスピニングバックフィストという動きを創って。それが試合に出て、ストレートで倒すことができました」

──打撃は元から良いモノがあった。寝技はもう、伸びしろだけ。そしてフライ級でなく、バンタム級で戦うことでコンディションも良い。そこに心が加わった。

白川トレーナーとのミット打ちは、瞬時にして吉野との組みのスパーリングに。以前とは違う動きは、絶対的に見られている

「だからこそ、結果を残したいです。

ヤマニハのように振って、組んでくる。その選手は今の僕には本当に戦いやすいです。以前は、そこで強引に殴りにいっていたので殴られたし、倒されました。今の僕には、その動きが見えます。冷静になると、あのパンチは見える。かわすか、カウンタ―を入れる。1月の試合では焦って、力んでいたけど。今はリラックスして、力を使わずに戦うので15分動くことも問題ないです」

──言葉通りの戦いができ、結果を残した後のキャリアアップはどのように考えていますか。

「それはRIZINでチャンスがもらえれば、もちろん参戦し続けます。そうすると応援してくれる人も喜んでくれますし。シェイドゥラエフがバンタム級で来ても、今の僕なら行けると思います。それに海外から話があれば、海外でもやっていきたいですし。(吉野)光に勝ったシンバートルなら、もう絶対です。セコンドの時の声、聞いてもらっていないですか? テイクダウン狙いに完璧なタイミングで指示ができています。絶対にヒザを合わせることができますよ」

──相当に自信を深めていることは理解できます。なので、しっかりと17日には試合を見させていただきます。

吉野、白川トレーナーと。信じられるメンバーと、勝負論しかない勝負に挑む

「メッチャクチャ自信があるので、楽しみにしていてください。

このインタビューを読んでもらっても『何を言っているんだ』って思われるのは仕方ないです。それは僕がこれまで、日本で結果を残せていないからで。でも、その評価がこの試合でひっくり返ることに、ワクワクしています。

それにマルキーニョスが欠場になって、サトシもクレベルも皆がヤマニハのサポートに回るわけですよね。その状況も嬉しいです。秋元(強真)戦は調子が悪かったとか聞くので、ボンサイ柔術の力が結集したような絶好調の状態で17日を迎えて欲しいですね。ベストのヤマニハに絶対に勝ちます」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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【Black Combat10】日本勢1勝4敗。しかめっ面の裏にある佐伯さんの本音「プロモーターとして僕の勝ち」

【写真】インタビュー開始直後の表情と、終了時の違い。これぞプロモーター!!(C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)に韓国はソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)でBlack Combat10「Night in Seoul」が開催された。
Text by Manabu Takashima

K-MMA界で日の出の勢いを見せるBlack Combatの2024年スタートの一戦は、会場を訪れたファンは20代と10代が占め、明らかに他のK-MMAイベントは違う空気のなかで実施された。日本人選手に対しても、ブラックダイヤモンド=須田萌里、アイアンスパイダー=大原樹理などBlack Combat特有のリングネームをファンは叫び、イベントを彩る一人のキャストとして完全に認識している。

1年間の交流で対抗戦を名乗る必要がないほど、協力体制が整ったDEEPとBlack Combatだが日韓対決になると、圧倒的に日本勢の分が悪い。今大会も5試合が組まれた日韓戦は1勝4敗という散々な結果に終わった。とはいえ、この数字には表れない課題がBlack Combatにも感じられるのも事実──。

ケージの中とケージの外。同大会の閉会式が行われている最中、視察に訪れていたDEEP佐伯繁代表に話を訊いた。

■Black Combat10における、日韓対決結果

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>キム・ソンウン(韓国)Def.1R1分31秒 by KO駒杵嵩大(日本)

<ライト級/5分3R>ファン・ドユン(韓国)Def.1R2分03秒 by KO大原樹理(日本)

<Black Combat女子級選手権試合/5分3R>パク・シユン(韓国)Def.3-0:30-26.30-27.29-28須田萌里(日本)

<フェザー級/5分3R>パク・チャンス(韓国)Def.3-0:29-27.29-28.29-28中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>山本聖悟(日本)Def.3-0:29-27.29-28.29-28.イ・ソンウォン(韓国)


──対抗戦ではないですけど、事実上DEEP勢の惨敗という形に終わってしまった感があるのですが……。

「頭が痛いねぇ(苦笑)。Xでも色々と書かれていますけど、言われたように今回は対抗戦ではないです。もうBlack Combatの興行の一部として、DEEPの選手が出場しています。だから自分の意識としては、DEEPの負けとかっていうことは余りないんです。でも、まぁそういう風に思われますよね」

──佐伯さん的には今回の日本勢の星取りはどのように予想していましたか。

「う~ん……駒杵(嵩大)選手はぶっちゃけて言うと、普通に勝つと思っていました。大原(樹理)選手もまぁ大丈夫。中村(大介)選手は厳しい。対して須田(萌里)選手は五分五分、山本(聖悟)は勝つと思っていたので、まぁ悪くても3勝2敗は行けるかと」

──結果的に駒杵選手は相手の体重オーバーがありましたが、変則タイトルマッチでありながら敗北した時にはノーコンテストとはならないというルールでTKO負け。日本人選手の勝利は山本選手だけでした。

「ただ須田選手と大原選手に関しては、現状は物言いがついている状況です。須田選手の試合はグローブ掴みの反則。大原選手の試合はストップが早いというところで。

大原選手は、そこまでは良い流れでしたし。ここで1勝4敗になるのか、Black Combatの主催者がどういう判断をするのか──ですね」

──K-MMA界で破竹の勢いがあると見られていたBlack Combatですが、競技運営面という部分で思わぬ落とし穴がありました。メインが3Rで決着がつかず、延長ラウンドに突入して急所蹴りでノーコンテスト。力技が裏目に出たような気もしました。

「まだ2年ですしね。ウチも活動開始当初は、ホントに色々とありましたから。今ではJ-MOCさんがいるけど、ここに来るまでルールを変えたりして。今日も僕だったら『こうするな』というのは持っていても、彼らもまだ経験がないから。

僕は選手を送り出している反面、自分が主催者でもあるから、その側面も見てしまうんですよ。抗議をしましたが、それは選手のためであって。同時に競技運営陣が残念だったという話になると、その残念な状況の団体に選手を出している自分の責任になります」

──そこまで、責任を感じますか。

「まぁ、実際はそうなっちゃう。経験が信用を生むのは絶対で。まだ2年のBlack Combatでこんなことが起こると、アウェイだからっていう話になってしまう。でも、僕らがやっていても外国人選手がアウェイ判定で負けたというけど、J-MOCさんとやっていて、そんなことは絶対にないですからね」

──MMAは判定が割れる競技ですが、近年の日本のMMA大会で力技のホーム判定など皆無です。

「アウェイ判定で負けたというのは、失礼な話ですよ。そういうことができない競技運営陣とやっていますからね。だから、彼らがそういうつもりがなくても経験不足で、このようなことが起こると、韓国ではホーム&アウェイがあって一本で勝たないとダメだとかっていう風になってしまうんですよ」

──そこは避けたいです。

「だからこそBlack Combatも今日のようなことを経験して、成長していってもらわないと。日本人選手の試合でこのようなことを起こった時、『分かっていて、出ているだろう』なんて言われてしまうじゃないですか」

──そうなってしまいますね。なら、出るなという空気ができると本当に台無しで、勿体ないですし。

「そういうことなんですよ」

──と同時に日本勢が挑戦する立場になる流れは止められないのかという気もしました。

「それはですね……僕らも今日、負けるつもりで選手は出していない。ただDEEPのトップはご存知のようにRIZINに行っているので。ファイトマネーに合わせて、選手を出している。それはDEEPもBlack Combatも同じで。団体のトップ全てが出ているわけじゃない。

牛久(絢太郎)選手、元谷(友貴)選手、武田(光司)選手にRIZIN級のファイトマネーを支払うことができれば、皆、出しますよ。でも、それはできない。RIZINとかメジャー団体とは予算が違うから。Black Combat側がどう思っているのかは知らないですけど、僕はやれる範囲でやっているという認識でいます」

──とはいえ、予算内の人選でも勝てるという認識でいたことはなかったですか。

「そういう部分でいえばBlack Combatの方がハングリーな選手が多いですね。それと対抗戦に向けて予選まで開いていて、そこから上がってきた選手は強いです。加えて、韓国の選手は自分の国で戦うとさらに強くなる。日本で戦う時とは違っていますね。

だから僕の意識は協力して、色々なモノが創れているのかなっていうことで。大体、Black CombatにDEEPのチャンピオンが3人いるわけで。今回の大会にもDEEPに出たことがある選手が何人もいて、どっちがどっちというのはなくなって来ていますよね、もう。

3月9日のDEEPでイ・ソンハに江藤(公洋)選手が挑戦して、24日のDEEP JEWELSではパク・シユンで伊澤(星花)選手が挑戦するじゃないですか」

──ハイ。

「今の伊澤選手に勝つようなことがあったら、パク・シユンが世界一ですよ。それは大変なことですよ。

Black Combatでなくても、シン・ユリがRIZINに出る。韓国の皆だって出たいと思っているし、その架け橋になれれば良いですね。韓国の良い選手をRIZINに繋げるというのも。とはいってもBlack Combatも独特な世界観を持っているので」

──それが価値観でもあって。

「そこです。僕らはRIZINがあって、自分らがいるって弁えているじゃないですか。それがRoad FCにしてもBlack Combatにしても自分達がナンバーワンというメンタルでいるから(笑)。そういう時には、彼らは僕らのようにできるのか。

例えば福田(龍彌)選手が3月大会に出場するけど、その次はRIZINかもしれない。色々なところから声が掛かるでしょうし、Road to UFCに出たい選手だっている。だから僕はRoad to UFCを目指す選手は、3月大会に出るのはやめた方が良いという言い方もしています。Road to UFCに出られないなら、5月大会でオファーを出すからと」

──その柔軟性がBlack Combatにあるのか、ということですね。と同時にBlack Combatと今の関係が続くと、日本では難しくてもここで輝く選手が生まれる可能性もあります。

「だからこそ、一緒にやっているわけです。ビジネス面だけでいえば、別に僕に儲けはない。選手として、海外で試合経験を積めるのは良い経験だし、ウチとしても選手を多く抱えているので、こっちでチャンスを得ることができる選手が生まれるのは良いことです。それが僕にとっての利点ですよね。

Black Combatも育成大会を増やしてくプランがあるようで、そこに日本から経験の少ない選手なんかを送り込むことができるよう話しています。ファイトマネーもBlack Combatの予算に合わせて。海外で経験を積みたい選手が、2時間や3時間で来ることができる韓国で試合をすることは凄く良いことだから。そこが僕にとってのメリットですね。だから自腹でここまでくるわけです(笑)。

ぶっちゃけて言うと、ここでまた『DEEPが負けたぁ』とファンが思ってくれるのは、プロモーターとして僕の勝ちなんです。そうやって一つのムーブメントを創っている。9月の対抗戦の負けも、僕からすると『しめしめ』でした(笑)」

──押忍(笑)。大会視察終了直後にありがとうございました。

「これから須田選手と大原選手の件で、色々と話し合わないといけないので。ここからも本番です」

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45 Black Combat Black Combat10 MMA MMAPLANET o イ・ソンウォン キム・ジョンフン ボクシング 山本聖悟

【Black Combat10】山本がイ・ソンウォンを下し、「オ××コ野郎!」キム・ジョンフンとのリマッチ希望

【写真】インサイドからパンチを当てた山本が、2019年11月以来の勝利 (C)MMAPLANET

<バンタム級/5分3R>
山本聖悟(日本)
Def.3-0:29-27.29-28.29-28.
イ・ソンウォン(韓国)

距離を詰めた山本がローを散らすも、ケージを背負ったイ・ソンウォンの左右フックが山本の顔面を捉える。腰を落とした山本に対し、イ・ソンウォンはプレスをかける。右跳びヒザから組みついた山本を、イ・ソンウォンがケージに押し込んだ。イ・ソンウォンの離れ際に山本が右ストレートを当てる。ケージ中央で山本の左ハイがヒット。イ・ソンウォンもパンチで山本を下がらせる。イ・ソンウォンのダーティボクシングに、山本は首相撲からヒザを突き上げた。

パンチを振るってイ・ソンウォンにケージを背負わせた山本が、左ジャブを突く。イ・ソンウォンの右スピニングバックフィストをかわした山本が、右ストレートを当てて組む。しかしイ・ソンウォンが左腕を差し上げて山本をケージに押し込む。ウィザーで耐える山本。レフェリーがブレイクをかけ、ケージ中央に戻ると山本が左右ボディから組みつくも、イ・ソンウォンがボディロックからバックコントロールへ。立ち上がった山本はイ・ソンウォンをケージに押し込むも、イ・ソンウォンが切り返して初回を終えた。

2R、山本がプレスをかける。左右に回るイ・ソンウォンを右ローでこかした山本は、右足で頭部を踏みつけた。山本は立ち上がったイ・ソンウォンにケージを背負わせる。サークリングするイ・ソンウォンが右ミドルを当てた。山本が二発目の右ミドルに左ジャブを合わせる。左右ボディから顔面へ。イ・ソンウォンの右スピニングバックフィストをかわした山本が右ローを当てた。さらにケージへ押し込み、右腕を差し上げる。

左ヒザをボディに突き刺した山本に対し、イ・ソンウォンが差し返してケージに押し込んでいく。ウィザーで耐える山本の下腹部に、イ・ソンウォンのヒザが当たり試合は一時中断される。休憩後、山本がイ・ソンウォンに「カチャ! カチャ!(行こう!)」と呼びかけ再開。山本が左右の前蹴りから右カーフへと繋げる。イ・ソンウォンも右カーフから組みつき、ボディロックでグラウンドに持ち込むも、すぐに山本が立ち上がった。さらに首投げでテイクダウンするも、イ・ソンウォンが立ち上がり右腕を差し上げ、ケージに押し込んでいった。

最終回、山本が左ジャブから右カーフを当てると、イ・ソンウォンがバランスを崩した。笑顔で立ち上がるイ・ソンウォンに、山本も笑顔で返す。パンチを振ってきたイ・ソンウォンに組みついた山本。イ・ソンウォンはボディロックで山本を押し込み、足で崩していく。差し返した山本がボディにヒザを突き刺す。イ・ソンウォンのボディロックからの投げを小手で防いだ山本は、打ち合いから組んでケージに押し込んだ。ケージ際での差し合いが続くなか、レフェリーがブレイクをかけた。

再開後、山本が左ボディから右ローを当てる。さらに右クロスから組む山本だが、差し合いではイ・ソンウォンが上回る。ウィザーから足技で崩していく山本。イ・ソンウォンは立ち上がり、腿にヒザを当てて削る。ここもブレイクが掛かり、イ・ソンウォンが前に出る。山本はカウンターの左を当て、なおも距離を詰めてくるイ・ソンウォンをケージに押し込んでいく。ボディロックからテイクダウンに来たイ・ソンウォンを潰した山本が上になる。立ち上がったイ・ソンウォンに山本が左ハイを当て、試合終了のゴングが鳴った。

ユナニマスの判定勝ちを収めた山本は、試合後のインタビューで昨年2月に敗れているキム・ジョンフンの名前を挙げる。そしてインスパイアされたというザ・タイマーズ(忌野清志郎)『FM東京事件』のように、キム・ジョンフンに対して「オ××コ野郎!」と叫んでケージを下りた。


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