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【Special】月刊、良太郎のこの一番:8月 カラフランス×アーセグ「スイッチを使う打撃として参考になる」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年8月の一番──8月17日に行われたUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」のカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグについて語ろう。


――今回はカラフランスのKOをピックアップしていただきました。まずその理由から聞かせてください。

「カラフランスは約10カ月ぶりの復帰戦で、アーセグはアレッシャンドリ・パントージャに負けて以来の試合だったんですよね。アーセグはフライ級では身長が高いんですけど(173㎝)、カラフランスは身長に対してリーチが長い体系なんですね。で、僕もMMAの選手を指導するうえで構えをスイッチする打ち方を勉強していて、この試合でカラフランスはファーストコンタクトから左→右→左とスイッチしながら出す攻撃を積極的にトライしていたんですよね。この形をトータル3回くらいトライしていて、アーセグもカラフランスの左のオーバーハンドを気にして、あまり自分から前に行くことが出来ていなかったんです。

アーセグもカラフランスが入ってくるところにアッパーを用意していて、それがいい形で当たったんですけど、フィニッシュシーンのカラフランスは左→左で入ってるんですよ。しかも左を見せたあとに左手でアーセグの前手を払って、それをアーセグに反応させておいて、右のオーバーハンドからスイッチしての左フックでダウンを奪っていました。あれは僕もすごく参考している動きですね。マイケル・チャンドラーもストレートでやる動きなんですけど、カラフランスの場合はストレートというよりもしっかり骨盤・軸に体重を乗せて、いい角度でフックが入りましたよね」

――試合途中にカラフランスのパンチの空振りが目立っていて、少しやりにくそうに見えていました。

「最初カラフランスは自分の右側に回ってトライしようとしてたんですよ。そこをリセットして左に回ったときにアーセグにアッパーを合わせられてるんですね。で、それもあったので次のトライではカラフランスがアーセグの前手を払いにいってるんです。あの前手払いにアーセグが反応してしまい、軸・顔が上がってしまったんです。あれはスイッチパンチャーに対して絶対にやってはいけない動きなんです」

――アーセグにミスがあったんですね。

「カラフランスはカラフランスで失敗もしているんですけど、最後のトライではそこを修正して打ち抜きました。だからここはしつこくやり続けたもの勝ちというか。アーセグはカラフランスのプレッシャーを感じていて、バックステップが少し甘くなっていたのかもしれないです。この試合は僕がMMAファイターを指導するにあたって、すごく勉強になる試合でした。構えをスイッチしてくる選手に対して“これをやってはいけませんよ”という意味でも参考になりました」

――良太郎さんはただ構えをオーソドックスとサウスポーに変えるだけではなく、スイッチしながらの打撃も研究しているのですか。

「はい。そういったスイッチしながらの打撃=ムービングの打撃に関しては、アルファメールの流れでいうとTJ・ディラショーとコーディ・ガ-ブランドがいて、ドゥェイン・ラドウィックのチームに分家していって……ですよね。実際にラドウィックはすごくムービングの打撃を研究していて、そこの指導が上手いんですけど、かなり複雑で覚えるのが難しいんですよ。あとはムービングをよく使う選手は体の反応速度が衰えると、それがパフォーマンスの低下に直結しちゃうんですよね。それこそディラショーやガ-ブランド、イスラエス・アデサニャもそうですよね。年齢を重ねることでの反応や体の連動が落ちると、一気に動きが落ちてしまうんです」

――スイッチしながらの打撃は運動能力に影響される部分も大きい、と。

「僕はそう思います。やはりムービングは体を連動させる動きなので、一つの形を覚えるのではなくて(重心を)おしりに乗せる、股関節に乗せる、体軸を変える……そういった動きが必要になるんです。どうしても年齢やキャリアを重ねると無理して戦わなくなるというか、若い時のようにたくさん動いて戦うというよりも、どっしりと構えて動きのベースをしっかり作って戦う選手の方が被弾は少なくなりますよね」

――非常に興味深い話です。

「例えばオーソドックスだけ、サウスポーだけしか使わない選手だったら、年齢を重ねても自分と相手との空間支配能力でなんとかなるものなんですよ。そしてその空間支配能力はあまり年齢に影響されることがない。アレックス・ペレイラがまさにそれです。逆にムービングする選手は空間支配の仕方が変わるし、反応速度が衰えてくると、そこに大きなズレが生じてくるんです。だからもし年齢を重ねてスイッチを使うとするなら、流れるようにスイッチを使って動き続ける=ムービングのスタイルよりも、オーソドックスとサウスポーをどちらも使えるスタイルの方が合っていると思うし、どうしても前者のスタイルは全盛期が少し短くなるのかなと思います。それでいくとカラフランスはキャリアは37戦やっていますけど、年齢的には31歳だし、まだ体力的に落ちることはないと思うんですよ。もし朝倉海選手がUFCのフライ級でやっていくなら、カラフランスとやると面白いと思いますよ」

――今後もスイッチしながらの打撃、良太郎さんが言うところのムービングの打撃は伸びていくでしょうか。

「日本人でも頻繁にスイッチしたり、ムービングする選手は増えていますけど、アメリカに比べると遅いじゃないですか」

――僕が初めてスイッチやムービングを意識したのは、おそらくドミニク・クルーズだと思っていて、彼がWECチャンピオンとして防衛を重ねてUFCに参戦したのは2010年~2011年です。

「僕もアメリカに練習にいった選手に聞くと、アメリカではスイッチやムービングがMMAをやる選手たちの基本的なドリルに組みこまれているそうなんです。ボクシングも国によってファイトスタイルが違うと言われますが、あれはその国の選手に合ったスタイルというわけではなくて、指導方法・方針の違いだと思うんです。もし日本人がメキシコでボクシングを始めたらメキシカンスタイルになるはず。もちろんそこには持って生まれた身体能力という部分での向き不向きはあると思いますけど、ただし最初からスイッチすることを教えていれば、そういう動きはできますよね。僕が最初から指導する選手は子供も含めて、オーソドックス・サウスポーどちらもできるようにしていますし、初歩の段階でどちらの構えもできるように仕込んでおくことで、将来的にスイッチやムービングの基礎はできやすいと思います」

――最初にどちらかに構えて、逆の構えを覚えるではなくて、最初からどちらも構えるようにするわけですね。

「どちらが利き手か、どちらの構えの方が力が伝わりやすいかは選手によって違うし、格闘技のバックボーンによっても変わってくるので、それはやりながらカスタムしていくイメージです。スイッチを練習するからスイッチヒッターにならなくてもいいし、どちらも構えることが出来たら、オーソドックスがやられて嫌なこと、サウスポーがやられて嫌なことを自分で覚えることもできて、同じジムの仲間の練習相手にもなる。そういう意味でもプラスですよね。どちらもの構えも出来ることと、構えをスイッチしながら打撃を出すことは別で、そこへの向き・不向きもあるので、僕はそういう考え方で見ています。少し話は脱線してしまいましたが、アーセグをKOしたカラフランスの打撃はスイッチを使う打撃として非常に参考になりました」

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【RIZIN48】新井×ズールー、元谷×太田、牛久×将光、金太郎×秋元、ダウトベック×木下、矢地×宇佐美が決定

21日(水)都内にて、9月29日にさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN48の追加対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

超RIZIN3で発表されていたライト級選手権試合=ホベルト・サトシ・ソウザ×ルイス・グスタボ、バンタム級王座決定戦=井上直樹×キム・スーチョル、伊澤星花×浅倉カンナ、萩原京平×高木凌に続いて、以下の6カードが追加された。

フライ級:新井丈×エンカジムーロ・ズールー
バンタム級:元谷友貴×太田忍
バンタム級:牛久絢太郎×佐藤将光
バンタム級:金太郎×秋元強真
フェザー級:カルシャガ・ダウトベック×木下カラテ
ライト級:矢地祐介×宇佐美正パトリック


今大会でRIZINに初参戦するのがエンカジムーロ・ズールーと秋元強真だ。南アフリカ出身のズールーは地元EFCでフライ級王座に就いたあと、2016年に同国出身選手として初めてTUF(シーズン24)に出場し、ここではトーナメント一回戦で扇久保博正に一本負けを喫している。現在はEFCでフライ級・バンタム級の2階級でタイトルを保持し、RIZIN初参戦を果たすことになる。

また先日のUFC305でイスラエス・アデサニャに一本勝ちして、王座防衛を果たしたUFCミドル級王者ドリキュス・デュプレッシーとは同門で、今回の試合にもデュプレッシーが帯同するという情報もあり、現役のUFC王者がコーナーマンとしてRIZINのリングに立つというのも興味深い。

もう一つのRIZIN初参戦ファイター=秋元はパラエストラ柏(現THE BLACKBELT JAPAN)所属として2022年6月にGladiatorでプロデビューし、その後はDEEPに参戦。今年3月にJAPAN TOP TEAMに移籍し、その初戦となったABEMA「格闘代理戦争 THEMAX」でアラン“ヒロ”ヤマニハにTKO勝利し、プロ戦績を5戦5勝(3KO・1S)とした注目の18歳だ。各選手のコメントは以下の通り。

エンカジムーロ・ズールー(コメント代読)
「世界中の格闘技ファンのみんな、俺は日本のRIZINで試合をする事になった。対戦相手はとてもタフな相手だが、俺はいつも通りベストを尽くし、観客が喜ぶような試合をするだけさ。遊びに行くわけではない。アライをフィニッシュしに行く。会場で会おうぜ。チャオ」

新井丈
「昨年大晦日のRIZINでたくさんのものを失って9カ月。自分の穴を埋めるべくたくさん準備してきました。テーマはジョー・イズ・バック。また強い新井丈を見せて、観客のみなさんの心を振るわせる試合をするつもりです。チャオ」

カルシャガ・ダウトベック(コメント代読)
「9月29日に再びRIZINに戻る事になった。ボスには超RIZIN3に出場してもらいたいと言われたが良い対戦相手がいないという事で9月になった。RIZINは世界中の中でもビッグな団体だと思う。試合内容も良いし演出も最高だ。スタッフは皆プロフェッショナルだしファンも世界一だ。次の対戦相手は打撃レベルの高い選手だ。空手ベースでKOできる質の高い日本人選手だ。9月29日にはみんなに素晴らしいショーをお見せしたい。RIZIN48で私の試合を見逃さないで欲しい。間違いなく素晴らしい大会になるのでぜひ会場まで見に来てもらいたい。さいたまスーパーアリーナで会おう」

木下カラテ
「押忍。ダウトベック選手、すごく強い選手ですけど、しっかり空手をして倒せるようにやっていきたいです。よろしくお願いします。押忍」

宇佐美正パトリック(コメント代読)
「矢地選手との対戦が決まり、とても興奮しています。自分の力を証明する時が来たと感じています。全力を尽くして、最高のパフォーマンスをお見せします」

矢地祐介
「宇佐美選手とは過去に試合が決まりかえたことがあったんですけど、色々と事情があって流れてしまいました。それがこうやって決まるということは、彼とは縁があるのかなと思います。前回(宇佐美は)徳留一樹選手にいい勝ち方をしていますし、若くて強い、これからの選手だと思います。そういう選手と戦えるのはうれしいことなので、しっかりMMAで上回って決着をつけたいと思います」

牛久絢太郎(コメント代読)
「発表でもありました通り、9月29日に試合が決まりました。佐藤選手は強い選手ですが、僕の全てをぶつけて勝ちます」

佐藤将光
「初めてのナンバーシリーズで、初めてのさいたまで試合をするので、気合い入れてやっていきます。判定が続いているので、しっかり殺しがあるところを試合で見せたいと思います」

元谷友貴(コメント代読)
「太田選手とリマッチということですが、今の太田選手は僕が以前対戦したときよりも強くなっているだろうし、勢いもすごいと思います。僕はこの試合に対して、しっかり仕上げて、前回は判定勝ちだったのですが今回ははっきり決着させたいなと思います。少しでも成長した元谷を見せたいと思います。いい試合しましょう」

太田忍
「まず元谷選手、再戦・リベンジマッチを受けてくれてありがとうございます。リベンジマッチは簡単にできるわけじゃないと思っていましたし、ここまで辿り着いた自信もあります。この試合をクリアすることでタイトルマッチ、ずっと公言してきた2024年内のタイトルが現実的になってくると思うので、しっかりフィニッシュしてタイトルにつなげたいと思います」

秋元強真
「自分は金太郎選手とやりたくて、そういう声も多かったので試合が決まって気合いが入っています。ただ実力的には相手にならないと思っているので期待していてください」

金太郎
「前回の試合が終わってアメリカに戻ってATT所属になって、アメリカでしっかり準備してきました。むちゃくちゃ強くなっているので期待してください。(秋元の)試合したいというのを聞いて、しっかり後悔させてやろうと思います」

また会見には試合が発表されている8選手も出席し、試合に向けた意気込みを語った。

高木凌
「いい感じで練習できています。1分くらいで終わらせます」

萩原京平
「試合前から変な絡み方をされて、リスペクトがないやつだと思って、ムカついています。格の違いを見せて倒そうと思います」

浅倉カンナ
「改めて引退試合を組んでもらえたことをうれしく思います。自分の集大成として、今の自分が持っているすべての力をぶつけたいと思います。記念試合とは思っていないです。後悔ない試合をしたいと思います。

伊澤星花
「カンナちゃんの引退試合なので、カンナちゃんの試合のなかで最高の試合をして、しっかり自分が極めて勝ちたいと思います」

キム・スーチョル
「お久しぶりです。地獄から来たキム・スーチョルです。命を懸けて準備しているので、井上選手も覚悟して準備してきてください」

井上直樹
「タイトルマッチを組んでいただき、ありがとうございます。タイトルマッチなので誇りを持って、気合いでも勝ちに行きます」

ルイス・グスタボ
「今までやってきた練習がどれだけ辛かったかは自分だけが知っている。前回の試合も2Rに激しく戦って骨折もした。素晴らしい試合をしてブラジルにベルトを持って帰りたい」

ホベルト・サトシ・ソウザ
「グスタボがどれだけ相応しいかを知っている。すごくいい試合になると思います。このベルトを絶対に守ります」

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC305 イスラエス・アデサニャ キック ドリキュス・デュプレッシー ライカ

【UFC305】アデサニャのボディ攻撃に耐えたデュプレッシーが、右連打から逆転のRNCで世界王座防衛

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
ドリキュス・デュプレッシー(南アフリカ)
Def.4R3分38秒 by RNC
イスラエス・アデサニャ(ニュージーランド)

左手を前に出しながらアデサニャが前に出た。サウスポーにスイッチしたアデサニャに対し、デュプレッシーが左カーフを蹴る。左右のカーフを狙いながら、デュプレッシーが左フックで飛び込むも届かず。アデサニャは左インローを打ち込み、下がって距離をつくる。アデサニャの左ミドルがヒット。デュプレッシーの左ミドルに右を合わせた。ジワリジワリとデュプレッシーを詰めていくアデサニャ。デュプレッシーもスイッチしながら左ミドルを打ち込む。

左ハイをブロックされたデュプレッシーはダブルレッグで組みつくも、切られてしまう。しかし強引に距離を詰めたデュプレッシーのパンチが、アデサニャの顔面をかすめた。アデサニャは右ストレートから左フックを返す。右を打ち込んだデュプレッシーがアデサニャを下がらせ、右カーフで追撃する。デュプレッシーの右とアデサニャの左が相打ちに。アデサニャは右ボディを突き刺した。

2R、アデサニャがサウスポーで距離を詰める。オーソドックスで右カーフを当てたアデサニャに対し、デュプレッシーもガードを固めて距離を詰める。デュプレッシーがダブルレッグでテイクダウンを奪い、立ち上がるアデサニャのバックに回った。ケージ際で組み潰し、バックマウントからパンチを浴びせるデュプレッシー。アデサニャの体を伸ばしてRNCを狙うが、凌いだアデサニャがスタンドに戻した。アデサニャは前蹴りを効かせ、さらに右ストレートを打ち込む。

動きが落ちたデュプレッシーはアデサニャの足を取ってグラウンドに持ち込む。バックに回ったデュプレッシーは、立ち上がったアデサニャの顔面にヒザ蹴りを突き刺したあと、ダブルレッグ→シングレッグに切り替えてヒザを着かせた。バックコントロールに入ったデュプレッシーが、後ろからパンチを突き上げる。正対したアデサニャが内股で投げるも踏ん張ったデュプレッシーが、シングルレッグでケージに押し込み続けた。

3R、ガードを固めるデュプレッシーが下がりながら左関節蹴りを繰り出す。アデサニャはデュプレッシーにショートのパンチを打ち込んで中に入らせない。右ボディストレートから左ボディアッパーに繋げるアデサニャ。ケージ中央で左ハイも見せる。右カーフキックを蹴り、距離をつくってからボディを狙うアデサニャ。右前蹴り、左ボディとボディ狙いのアデサニャに対し、デュプレッシーはガードを固めて左右フックを振るう。しかしアデサニャの右スピニングバックエルボーも頭部をかすめた。

左右フックで前に出るデュプレッシーだが、パンチはブロックとスウェーでかわされる。疲労が見られるデュプレッシーはシングルレッグを切られた。それでもパンチを受けたアデサニャもバランスを崩す。両者がスタミナを失ったタフファイトに突入するなか、アデサニャはボディ攻撃へ。デュプレッシーも打ち返すが、アデサニャが距離を取って凌いだ。

4R、アデサニャが左ジャブを突く。ガードを固めて距離を詰めるデュプレッシーが、ボディを受けながらダブルレッグで飛び込んだ。これをスプロールしたアデサニャはスタンドを要求する。レフェリーがデュプレッシーを立たせると、スタミナ切れが見える。アデサニャは回復したか、左ミドルを突き刺し、ジャブで距離を取って右を浴びせる。

デュプレッシーも肩で息をしながら前に出ていく。アデサニャは左ジャブでコントロールし、前に出て来るデュプレッシーに右を合わせる。下がるところにデュプレッシーの右を受けてバランスを崩したアデサニャ。背中を見せて下がるアデサニャを追いたて、右の連打からバックについたデュプレッシーが、すぐさまバックマウントに移行しパームトゥパームでRNCを極めた。

逆転勝利で世界王座の初防衛に成功したデュプレッシーは、試合後のインタビューで「最高のストライカーと戦うには、テイクダウンが絶対に必要だった。でも、彼のことは誰もテイクダウンできなかった。そのために立って戦わないといけなかった。パースの会場の雰囲気は、過去最高だった。打撃とテイクダウンを融合して戦った。結果、取れると思っていた。スタンドでは大変だったけど、落ち着いて戦うことに専念した。倒せば、こっちのモノだと思ったけど立ちあがられた。だからスタンドで戦う時間が長くなったけど、そういう想いがあったから勝てた」と語った。

敗れたアデサニャは「正直、タフな戦いになることは分かっていた。だから、この展開に驚くことはなかった。でもグラウンドでバカげたミスをしてしまった。そしてゲイブルグリップを組まれた。過去最高の仕上がりだったけど、皆をガッカリさせてしまい残念だ。彼の方が今夜は強かった。リスペクトしている。みな、僕がUFCでやってきたことを認めてくれていると思う。でも35歳だ。正しい選択必要だ。みな、俺がやられるところを見たくないだろう」と言ってから「アイム・ノット・〇ァッキン・リービング(引退なんかするか)」と2度、繰り返した。


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