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【LFA138】「一番を目指すことが面白い」。田中路教─02─世界に立ち向かうJ-MMAファイター最終回

【写真】大会2日前にサクラメントからショーニーに入ったチーム・ノリ。オクラホマに世界と立ち向かう集団がやってきた (C)TSP

5日(金・現地時間)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA138でアリ・ファリアスと対戦する田中路教インタビュー後編。

柔術界の強豪ファイターとの対戦を前に、田中はUFC以外でも戦うという意思があることを明言した。

2022年、夏~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。その締めくくりは、世界を相手に立ち向かい続けてきた田中の言葉で終幕にしたい。

<田中路教インタビューPart.01はコチラから>


――UFCでないと引退という考えではなくなったということですね。それは田中選手のMMAを究めたいということでしょうか。

「僕はMMAが凄く好きで。この競技をやっていることが楽しいんです。UFC一本になっていた時は、そこを失っていました。もともと凄く好きだからコレをやっていたのに、UFCにこだわり過ぎたことで、MMAを続けていることが苦しくなっていました。自分で自分を精神的に追い込んでいたように思います。

それが年を重ねて、状況も凄く変わると……独りぼっちでなくなって、家族もできて。そうなったときに、執着心がなくなったような気がします。なんで、こんなにMMAを一生懸命にやっているんだろうと考えた時があって、一番の気持ちはMMAが好きだからだったんです。それが分かって、この好きな気持ちを持ち続けたいと思った時に考え方が柔軟になりました」

――とにかく、LFAでは負けていられないです。好きだから続けることは、趣味になってしまいますので。

「ハイ。好きだからやっているけど、僕のなかで一番になりたいというのは変わらないです。一番を目指して妥協せずやる。そうやってMMAと向き合っているから楽しいんであって。何でも良いってわけでなくて、一番を目指すことが面白い。だから趣味じゃないです」

――復唱してしまいますが、だからこそLFAでは負けていられないです。そこでアリ・ファリアスの印象を教えてください。

「本当に強い柔術家です。ただしMMAファイターとしては、UFCレベルにはあると思いますけど、そこまで飛び抜けた強さではないと思います。打撃をやりたがる。そういう試合をしていますよね。そこからテイクダウン、極めというスタイルで」

――バックを譲れない相手ですか。

「それはあります。今回は特にそうですよね。それでハニ・ヤヒーラにもやられましたし。自分のなかでも苦手意識のようなモノはあり、やり辛い相手です。ただ、自分がやることはいつもと変わりないです。この期間で、何が変わったかというと自分への理解度なんです。以前と比較すると。

最近までコンプリートファイターを目指していたけど、それは無理だと分かって」

――遅くないですか(苦笑)。本当に田中選手は人の意見に耳を傾けず、自分で気づくまで時間がかかります(笑)。

「それは……僕だけじゃないんじゃないですか。やっぱり自分で気づかないと。でも、人の意見に従うということではなくて、聞き入れて考える人間の方が気づくのは早いですね(苦笑)」

――その通りですね。聞くことが、従うことではないですから。

「そこは……まだできないですね。僕は(苦笑)」

――ではトータルファイターでない田中路教とは?

「グラップラーですね」

――極めの方は?

「そこも練習しています」

――過去2試合とも課題の残る試合でした。その間の成長がどこにあるのか、今回の試合で確認させてほしいです。

「テイクダウン、パウンド、極め。もう、それだけです。打撃を向上させないといけないということが、ずっと頭にありました。MMAファイターとしてバランスを良くすることを求めていて。でも、打撃を向上させようとすると組み技がダメになっていきました。

僕は力の使い方が特殊で、それがあるので組みが得意で、打撃はあまりできない。打撃を向上させると、組みに悪影響が出ていました。そうなるとMMAファイターとして弱くなってしまいます。そこですね、そこに気づいてから自分はグラップラーとしてやっていこうと切り替えました」

――コントロール系なのか、アクションが多い方が良いのか。どちらのタイプでしょうか。

「コントロール系になります。動き回ることもできますが、それでは僕の長所と合致しない。自分の一番強いところを伸ばしていきたいです」

――スクランブルで立つのが上手い選手だらけのなかで、それも厳しい戦い方です。

「う~ん、スタイルに関してはまだ答えは出ていないですけど、今回の試合に限ってはユライアからもポジションを譲るぐらいなら立たせようと言われていて。そういう戦い方になると思います」

――田中選手の全力でのファイトを待ち望んでいたファンの人たちに、最後に一言お願いします。

「お待たせしました。ホントにその一言です。自分のなかでは試合のない期間に、やってきたことで成長を感じているので。それを今回の試合で出せることができれば――これまでにない強さを見せることができると思います。期待して視ていただけると、嬉しいです」

■視聴方法(予定)
8月6日(土・日本時間)
午前10時~UFC Fight Pass
午前10時~ABEMA格闘CH

■ 対戦カード

<バンタム級/5分3R>
アリ・ファリアス(ブラジル)
田中路教(日本)

<バンタム級/5分3R>
アスカル・アスカル(パレスチア)
ディエゴ・シウバ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
アライジャ・ジョンズ(米国)
河名マスト(日本)

<フェザー級/5分3R>
AJ・カニンガム(米国)
シェイ・コンリー(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョータ・ニノミヤ(米国)
ニック・タラヴェラ(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
ムタズ・アスカル(米国)
クリス・マカーテ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジャレッド・ブラウン(米国)
ライアン・フーバー(米国)

<フェザー級/5分3R>
アシュトン・カービー(米国)
カラム・パーカー(英国)

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【LFA138】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(13)田中路教─01─「UFCがこの先にあるのかといえば……」

【写真】ごく自然に今回の考えに至った(C)MMAPLANET

8月5日(金・現地時間)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA138でアリ・ファリアスと対戦する田中路教。

ブラジリアン柔術界の強豪との対戦は、実に9カ月ぶりのファイトとなる。

2022年、夏~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第13弾は、昨年11月のLFA初戦の勝利から、UFC一筋だった田中の実生活、そしてファイト・アイデンティティの変化を追いたい。


──昨年11月5日から、9カ月を経てようやくLFAで2戦目を迎えることとなりました。

「一時帰国していた日本から、1月に妻と米国に戻ってきて。その時点で試合のための準備に取り掛かり、いつでも試合ができるという風にLFAには連絡をしたのですが、なかなか返答がなく時間がかかりました。同時に結婚生活を米国でするために、色々と忙しくしていて。ここも色々とあり……実は彼女は今、日本に戻っているんです」

――えっ……。

「いや、夫婦関係は全く問題ないですよ。実は子供ができて、日本で出産するために帰国したんです」

――おぉ、おめでとうございます!!

「妊娠が分かってから、最初はサクラメントで産むつもりだったのですが、保険の処理とか僕の英語力では凄く時間がかかってしまって、病院にも行けないですから彼女だけ日本に戻ることにして」

――初めての出産に向けて、日本にいても精神的に不安定になるのに右も左も分からない、保険がなくて病院に行けないでは気持ちが持たないですね。

「相当にしんどそうでした。英語が話せないので、何をするにあたっても僕のサポートが必要で。日本にいるのとは全く違いますよね、相当に不安だったと思います。今は実家でご両親と過ごし、凄く順調です」

――良かったです。田中選手のことだから、練習とかになるとそっちに集中してしまいそうですし。

「あぁ……確かにそうだったと思います(苦笑)。僕は一つのことに集中してしまうので。妻には申し訳なかったです。懸命にサポートしていたつもりなのですが、全然足りていなかったと思います。3月の終わりに妻が日本に帰って、4月にONEで(川原)波輝君のセコンドでシンガポールに行って……。あれから、自分のキャリアを見つめなおす期間になりました」

――というのは?

「とにかく試合が組まれない。何よりも連絡をしても返答がないんです。ビザも来年の3月までですし、少しでも早く試合がしたいのに全然決まらなかったです。返事は欲しかったですね――せめて。あれは精神的にも厳しいです。ああいう風にどの選手とも接しているのか、僕にはそうだったのか……。『どういうことだろう』ってなりましたね。

試合が決まらない状態が続いているときにシンガポールに行き、これまで思ったことがないアジア的な良さを感じたんです。ちょうどONEのマッチメイカーの方とも話をして、『うちに出ないのか』と言う風に言ってもらえて。ONEで戦ってみようかという気にもなりました。ただ、結局ONEもすぐにはオファーはできないという風だったので、本格的な話にはならなかったですけど」

――つまり、UFCを諦めたということですか? その選択をしたということは? それが家庭ができたということなのでしょうか。

「いや、子供が生まれることはそこに関係ないです。とにかく試合がしたい。でも、ない。なら違う方向を考える必要があるなかで、ONEも一つのオプションでした。ユライアが開いたA1コンバットも選択肢にありましたし。実際にユライアも『LFAが決まらないなら、出したい』とコンタクトも取ってくれました。ただ、そこにも返答がなくて……」

――う~む……。辛いですね。

「1月に帰国したときの連絡には、返答があったんです。それ以降はもう……今回の試合のオファーまで、話はなかったです。ただUFCを諦めるとか、そういうことでONEやA1コンバットを考えていたわけでもないです。

実際、ユライア経由でショーン・シェルビーに連絡を取ってもらっていましたし。コンテンダーシリーズは『UFC経験者は出場できないんだ』ということで体よく断らましたけど」

――えっ?

「まぁ、それからすぐにUFCに出たことがあるチームメイトの出場が決まっていましたけどね(笑)。UFCも緊急オファーならということは一応、伝えられていて」

――それ、世界に数百人いますよ。きっと。

「アハハハ。そうでしょうね。でも、返信があるだけ良かったです(笑)。いずれにせよ、コンテンダーシリーズも断られたのは事実で。もう、待っているだけじゃ試合はできない。さっきも言いましたけど、ビザももう1年もないわけですし。この間にUFCからオファーが来る可能性は、本当に低い。そしてLFAでの試合も決まらない。

ただ焦りとか不安ではなくて、今は以前のように一つのことにこだわり過ぎないようにして、その時の最善の選択をしようと思っています」

――そう考えると、UFCをリリースされてからこの間、3試合しか戦っていない。その間に『選手は試合をしてナンボ』とオファーをくれたプロモーションもありましたが……。結局、こうなるでしょとなりませんかね。

「でも、その時に出たいと思わなかった。あの頃、UFCだけを考えてLFAと交渉をして、コロナでビザがなかなか出なかった。そこがあって、今に通じていて。あの時に他に出なかったから、この考え方ができるようになったと思っています。あの時にソレを選ぶと妥協で、今、こうなったのは妥協ではないです」

――結果、LFAからオファーがありました。

「ONEと話した直後にオファーがあり、試合が組まれるんだから試合に出る。その延長線上にUFCがあり、今はまたそのために戦っています。ただし、UFCがこの先にあるのかといえば、それはもう絶対ではないです。今はLFAでタイトルを獲ることこと。そこから先のことは、その時の最善の選択をしようと思います。

Bellatorなのか、ONEなのか。PFLもバンタム級ができると聞いていますし、そう言っているとUFCからオファーがあるかもしれないですしね。僕のなかで最強を目指すということは変わりないんです」

<この項、続く>

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8.5『LFA 138』に田中路教と河名マストが出場



 27日(月・現地時間)にLFAより8月5日(金・同)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA138に田中路教が出場し、アリ・ファリアスと対戦することが発表された。

 また同大会には日本から河名マストも出場し、アライジャ・ジョンズと戦うことも決まっている。

 ラテンと米国の融合=LFAらしさの洗礼を受けているなかで、「今回も強豪を当ててもらえて、米国に来た甲斐があるなと思います。未来を切り開くために頑張ります。おそらくABEMAで放送があると思うので、今回も日本から応援して頂けたら嬉しいです」と、田中はMMAPLANETに意気込みを語ってくれた。

Michinori Tanaka(Sherdog)

Ary Farias(Sherdog)

Masuto Kawana(Sherdog)

Elijah Johns(Sherdog)

 田中路教 vs. アリ・ファリアス、河名マスト vs. アライジャ・ジョンズが決定。プロフィールはこちらを参照。続きを読む・・・
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【LFA138】8月5日に田中路教と河名マストが揃い踏み。UFC契約ファイターレベルの猛者と対戦へ

【写真】河名と田中。LFAで戦うことが、既に生き様を見せている(C)LFA&MMAPLANET

27日(月・現地時間)にLFAより8月5日(金・同)にオクラホマ州ショーニーのグランドホテル・カジノ&リゾートで開催されるLFA138に田中路教が出場し、アリ・ファリアスと対戦することが発表された。

また同大会には日本から河名マストも出場し、アライジャ・ジョンズと戦うことも決まっている。


昨年11月のヒカルド・ディアス戦以来、実に9カ月振りの試合が決まった。UFCとの再契約を目指し、LFAと契約して渡米した田中にとって、勝利を収めてなお試合が組まれないという状況は予想だにしていなかった。

米国に滞在できるビザの半分を消化してなお、実戦の舞台が巡って来ない状況に田中は、フリーランスになることさえ視野に入れるなかで、ようやくLFA2戦目を戦うことができるようになった。実際、同大会の出場は3週間以上前に確定していたが、対戦相手がなかなか決定しないなか、田中はファリアスと戦うことをツイッターで知ったという。

ラテンと米国の融合=LFAらしさの洗礼を受けているなかで、「今回も強豪を当ててもらえて、米国に来た甲斐があるなと思います。未来を切り開くために頑張ります。おそらくABEMAで放送があると思うので、今回も日本から応援して頂けたら嬉しいです」と、田中はMMAPLANETに意気込みを語ってくれた。

2018年のムンジアルでも準優勝。ジョアオ・ミヤオを準決で下しているのだから、どれだけの実力者か分かるというモノ(C)SATOSHI NARITA

そんな彼が戦うファリアスは、得意とする亀逃げが許されないファイター、いや柔術家だ。

2013年ムンジアル黒帯フェザー級幻の世界王者……アウグスト・メンデス=タンキーニョとファイナルを争った際、アドバン差で勝利を確定させたファリアスは、試合終了の合図を待たずマットの外に出て感情を爆発させた。これを違反行為とされアドバンを献上し、レフェリー判定で敗れてしまう。

自業自得といえば自業自得ではあるが、同トーナメントではイアゴ・ジョルジ、アイザック・ドーダーライン、ガブリエル・モラエス、マイキー・ムスメシ、ジアニ・グリッポも出場しており、この名だたる強豪よりも上の結果を残していることで、ファリアスがどれだけの実力者かは理解できるだろう。

2018年には決勝にマイキー・ムスメシの軍門に下ったものの、準決勝でジョアオ・ミアオに勝利しているファリアス。MMA戦績は11勝3敗で打撃には課題が残っているが、2018年のACBブラジル大会で昨年のコンテンダーシリーズからUFC入りを果たした──パンクラス来日経験もある──サイモン・オリヴェイラに勝利するなど、MMAでの力も絶対的に確かなモノがある。

粗いパンチから組んでテイクダウン及びバックテイクをさせれば、ケージの中が柔術マットの上と同じ状態となる。ゆえにバックを譲って、スクランブルを制す田中にとっても非常に危険な相手になることが想像される。

田中が1試合しか戦えなかった期間、昨年7月のプロMMAデビューから9カ月で5勝1敗と試合をし続けた河名が、早くも北米フィーダーショー・デビューを果たす。日曜日のGladiatorのProgress提供フォークスタイルグラップリング戦で森戸新士を相手に、日本の組み技界の最高峰トータルグラップリングの結晶といえる激闘を2-1で制した河名。事前インタビューを行った時点で、既に今回の試合は決まっていた。

面構えが、すでに怖い(C)LFA

対戦相手のジョンズは、LFAでフェザー級タイトル戦を経験しているファイターだ。昨年3月に現UFCのマチダ・カラテの継承者=ブルーノ・ソウザにスプリット判定負けでベルトを逃したが、ファリアスと並びUFCのプレリミに出る選手と同レベルの力を持っている相手といえる。

世界を見据えてのLFA参戦、強者と戦わないなら出場にも意味はない。またエド・ソアレスLFA代表によると、さらに日本人選手の出場の可能性もあるようだ。そんなLFA140は、田中の言葉にもあるように昨年11月大会に続きABEMAでのライブ中継が口頭では合意に至っている模様だ。

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