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【ADCC2024 Asia&Oceania Trial02】山田海南江、米倉大貴が準優勝も、世界大会出場は岩本健汰一人に

【写真】決して満足できないだろうが。この二つのシルバーこそが今後の日本の組み技界を強くする光明といえるだろう(C)MMAPLANET

11日(土・現地時間)、タイはバンコク郊外ランシット大のスポーツホールでADCCアジア&オセアニア二次予選が行われ、男女8階級で日本人選手の優勝はなく8月の世界大会に日本から出場するのは昨年11月の一次予選77キロ級で優勝した岩本健汰1人となった。
Text by Manabu Takashima

その77キロ級に挑んだ森戸新士は初戦でダニエル・エヴァンズと対戦し、延長ラウンドにRNCで一本負けに。無名のエヴァンズだが、1階級を落としてきたフィジカルとレスリングで森戸を上回る。ノーポイントからの延長戦では押され気味のなかで、森戸はマット外=板の間での攻防が続くと、背中を譲ったことでもフリーズが懸からず、動きに迷いが出たかRNCに切って落とされた。それでも森戸は「若い選手がどんどん出てきます。だから楽しい。これからも挑戦します」と今回の予選を振り返っていた。

同じく77キロ級に挑んだ世羅智茂もまた、初戦でキルギスのマゴメド・ザルバエフに「6分で3Pは挽回できない」と語っていたパスを許し、0-3で敗れた。また世羅のカルペディエム青山の同門=鈴木真は1回戦をヒールでクリアしたものの、足の取り合いによる負傷で無念の棄権となった。

結局、同階級はリーヴァイ・ジョーンズレアリーが同じ豪州のジェレミー・スキナーを決勝で下し、世界大会へ最後の一枠を獲得。レスリングができない――という評判のジョーンズレアリーだったが、序盤のポイントがない時間帯でガードを取り、デラヒバからベリンボロでバック奪取を続け、見事にアジア&オセアニア代表の座を掴んだ。3月のPolarisでジョゼフ・チェンを封じた彼のノーギ柔術が、世界大会でどこまで通用するのか楽しみだ。


昨年11月はオープン・トーナメントで世界大会の切符が掛かっていなかった女子グラップラーの争い。今回は3つの本戦出場権を狙う戦いの中で、55キロ級には日本から3選手が出場し、山田海南江がオープンTの決勝で腕十字を取られた豪州の――普通にワールドクラスの――アデーレ・フォーナリノと再び決勝で相対した。

ウォーリングを2度受けながら、フォーナリノのガードに入らない我慢と勇気が必要な戦いを続けた山田。しかしながら、立ちからの再開となる延長まで残り32秒となったところでテイクダウンを切られ、バックを許しそうになる。このスクランブルの展開のなかで、前方に振り落とされたかのような動きからフォーナリノが、驚速・腕十字を極め山田のリベンジと世界大会出場&世界一という夢は絶たれた。

今回の予選も豪州と並び多数の日本人選手が出場した66キロ級では、前回予選準優勝の竹内稔が2試合目で敗退するなど、シード選手も含め2試合目の壁を破ることができない選手が続出した。その2試合目となった寒河江寿泰戦で、レフェリー判定勝ちを収めた為房虎太郎はジェイコブ・ブルックスを2-0で下すなど、準々決勝進出を果たす。

ここでも中国のシュウ・フアチンと対戦した思い切り投げを決めて先行したが、終盤にRNCを極められ為房は涙をのんだ。そんな66キロ級、シュウ・フアチンと決勝で相対したのが米倉大貴だ。前回予選を4位で終え、このラストチャンスを戦う――のではなく、勝つという意識で挑んだ米倉は、持ち味である足関節を極める武器だけでなく、ルールに合わせてスイープでポイントゲットをするなど、ADCCルールに対応した戦い方でタフなトーナメント枠を勝ち上がってきた。

初戦はヒールで一本勝ちし、ここから魔のカザフスタン勢3連戦を勝ち抜くと、準々決勝とフィジカルモンスター=ジェイムス・サージソン、準決勝で優勝候補の一角デイヴィッド・ストイレスクというフィジカル&テクニックが切れまくる強豪との消耗戦をしっかりとバックを取って生き残った。

そんな米倉だったが、上海武者修行での練習仲間で――あのジョセフ・チェンが将来性に太鼓判を押すシュウ・フアチンに、ここまで成功してきた試みを柔軟かつ強固なディフェンス能力で封じられる。自らは何度かバック&両足フックの危機を脱し、延長Rには逆にバック奪取、ワンフックでRNCまでセットしたもののレフェリー判定でシュウ・フアチンに下った。

豪州、カザフスタン、中国人ウィナーが誕生した二次予選。厳しい結果に終わったものの山田と米倉の準優勝は、アジア&オセアニアの頂点は決して手が届かない場所でないことを立証している。これからの2年、さらに強くなることが予想されるアジア各国の戦いを日本勢が勝ちあがるには、趣味の延長線上で良い柔術、グラップリング界の環境のなかで如何に競技者が生まれるのか、重要になってくる。

今回の予選の名称が「プロ」だったのように、戦う専門家が輝く場所――黒帯、アドバンスドの戦いが、現状より注目を集めるような変化は必要となるだろう。

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45 IMMAF MMA MMAPLANET o ONE アデーレ・フォーナリノ ティファニー・テオ マイッサ・バストス 山田海南江

【ADCC2024 Asia & Oceania Trial 02】女子55キロ級に出場、山田海南江「今までいっぱい泣いてきたから」

【写真】今年2度目のタイ。ONEとは異なり自身で航空券とホテルを抑え、戦う。それでもグラップラーは海を渡り、世界の頂点を目指す(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(土・現地時間)、タイはバンコク郊外ランシット大で行われるADCCアジア&オセアニア二次予選の女子55キロ級に山田海南江が出場する。
Text by Shojiro Kameike

昨年11月にシンガポールで開催された1次予選で、女子トーナメントは世界大会への出場権が賭けられていなかった。しかし山田は「ADCCルールに慣れるため」と女子55キロ級にエントリーし準優勝という結果を残している。今年3月にはONEサブミッションレスリングで、現役最強の柔術家のひとりマイッサ・バストスを相手に、敗れながらも好勝負を展開した山田が、今回挑むADCC予選について語った。


――タイのバンコク入り直後のインタビューとなります(※取材は5月9日に行われた)。昼に出発した東京の気温が18℃で、夜のバンコクが35℃と寒暖差が大きいようですね。

「そうなんです。東京も飛行機の中も寒い、空港に着いたら暑い、タクシーに乗ったら寒い――の繰り返しで(苦笑)」

――ここまで調整とコンディションはいかがですか。

「体調は問題ないです。実はコンディションよりも、ONEの試合が終わってから自分の中でギャップが生まれちゃっていて」

――ギャップとは?

「自分ではマイッサ戦で、もっともっとやられると考えていたんです。コテンパンにやられなかったのは、良いことかもしれません。だけど、そんなに世界は遠くないのかなって勘違いも生まれてしまいました。手応えがあった部分、プラス思っていたものと違っていたんですよ。ONEが終わってから1週間ぐらいは自分の中でもいろいろ考えて。練習はしたいけど体調も悪くなってしまいました。心と体のバランスに差が生まれたといいますか」

――世界チャンピオンに負けたけど良い試合を見せた。再戦すれば勝てるかもしれない……と期待されながら、その再戦は初戦とは程遠い内容で敗れるという例は、過去多数ありました。そのケースでは、もしかしたら初戦で燃え尽きてしまっていたのかもしれません。

「何となく分かります。マイッサと試合をして良かったと思う自分と、まだ対戦しなくても良かったんじゃないかと思う自分がいて。それでもADCC予選に向けて気持ちを切り替えないといけない。どうやって切り替えようかと考えたら、また心と体のバランスが――」

――……。

「でも1日中そういうことを考えていると、やることがなくなって。いつもどおり指導はしながら、練習は休んでいると時間もできて『私はこのままで良いのかな?』と。結局は『やっぱり練習するしかない』ってところに辿り着きました」

――マイッサ戦を振り返ると、ご自身の中で試合内容に対して満足いかないものでしたか。

「正直、あまり覚えていないんです。あとで試合映像を見返すと、一方的に攻められていたことには変わりないです。でも最初に言ったとおり『もっとやられるかな?』と思っていた試合内容ではなくて。

どの試合でも、内容に満足することはないです。ただマイッサ戦は周りの人からも『良い愛だったね』と言われますし、高い評価も耳にします。かといって自分で自分を褒めることはない。自分で自分を褒めて良いのかどうかは分からないです。

でもあの試合を見て『勇気をもらった』という連絡をくださった方がいて。それぐらい視ている方の心に響いた試合だったんだなって思うと、あの試合をやって良かったんだなって考えています。それがまた心と体のギャップにも繋がってしまうんですけどね(苦笑)」

――プロとして考えるのであれば、次の試合オファーとファイトマネーが評価を表すものの一つだと思います。マイッサ戦後、ONEから試合のオファーはあったのでしょうか。

「それもADCCとの兼ね合いなんですよ。今の私が目指しているものはONEのベルトではなくADCCです。ADCC世界王者に至る過程として、ONEの試合が存在しているのであれば考えます。でも今の状態では、そのベルトを目指そうとは考えていなくて……。もちろん評価してもらえるのは嬉しいけど、自分の芯はぶらさずに続けていきたいですね」

――それだけ山田選手にとって、今はADCCこそが目指すべき世界の頂点ということなのですね。

「グラップリングって『世界の頂点』と呼ぶ基準が分からない競技じゃないですか。プロとして活動するにしても、やはり自分の中の世界チャンピオンとしての基準をクリアしてから次のことを考えたくて。その自分にとっての世界チャンピオンというのは、やっぱりADCC世界大会優勝なんですよ」

――そんななか昨年11月には、ADCCルールに慣れるためにと、代表決定戦ではないにも関わらずトーナメントに出場しました。以降、ルール対策はいかがですか。

「前回のインタビューでもお話したとおり、自分の中でタイマーを見ながらポイントが入らない前半と、ポイントが入る後半を意識して練習してきました。あとONEが終わってから1カ月間、足関節にこだわってきたんですよ。足関節で攻めて来る相手は絶対いるじゃないですか。特にポイントがない前半は足関節を凌げば、後半に自分がポイントを得られるチャンスが来るんじゃないかと思っています。

それと週1でレスリングの練習に行っていました。ちゃんとしたレスリングはもう5年ぐらいやっていなかったけど、ADCCのためにはレスリングも必要だと思って。今まで柔術だとギがある分、逃げていたところもあったんですよ」

――逃げていた部分……というと?

「ギは掴むところがあるじゃないですか。体で痛めているところがあると、ギを掴んで逃げてしまう時もありました。でもADCC、レスリングはそうもいかなくて。やっぱりADCCで戦うためには逃げることなく、その部分を埋める練習が必要だと思ったんです」

――なるほど。レスリングの練習は母校に行ったのでしょうか。

「いえ、早稲田大学ですね。早稲田のレスリング部に友達がいて。でも申し訳なかったです。全然レスリングができなくなっていて(苦笑)」

――やはり5年振りだと全く勝手が違いますか。

「ひとつは自分が柔術に慣れすぎていて、たとえばテイクダウンに入りきることができなくなっていました。柔術だとギロチンを警戒するので、テイクダウンに入るにしても、すぐに抜けられるような形になっていて。私はグラップリングでも、小さい頃からレスリングをやっていた部分をもっと生かしたいです。そのためにも普段から、もっとレスリングの練習をしておいたほうが良いと思いました。ハッキリ言ってしまえば、私にはレスリングの部分しか勝ち目がないから。アハハハ」

――笑いながら言うことではないです(笑)。

「前半に相手の足関節を凌いで、後半に持ち込んでポイントを取る。そのために自分が好きだったレスリングを――レスリングから離れた今もう一度見直すのも不思議ですね」

――今回の出場選手を見渡すと、やはり昨年11月よりも様々な競技で実績を残しているメンバーがエントリーしています。そのなかでもご自身のレスリング力、レスリングの経験はアドバンテージになるでしょうか。

「アドバンテージにするためにレスリングの練習をしてきました。前回、アデーレ・フォーナリノとの決勝戦では最初のほうで私がテイクダウンしたんです。それも含めて前回出場したメンバーの中では、レスリングに関しては私が上のほうにいたと思います。でも、おかげで私がレスリングで強いのはバレちゃったから、今回は簡単にテイクダウンに入れる状態に持っていかせてくれないでしょうね……」

――そう考えると、前回の予選でアナコンダを極めまくった竹内選手にも同じことが言えるでしょう。

「そうかもしれないですね。自分の強みが周りに知られているなかで、その強みにこだわって貫くか、あるいは別の強みを摂り入れるか。ただ、周りの選手を見ても思うんです。たとえばボトムからの展開にこだわっている選手も、間違いなくトップからの攻めも強いはずなんですよ。それでもボトムにこだわるのは、何か理由があるからで。自分はボトムからはヘタなので分からないですけど」

――ここでも自虐ですか(笑)。それだけに今の山田選手にとって、一番適正なのがADCCルールであると言えませんか。

「はい。今はADCCが一番、可能性のあるルールだと思うんですよね。でも今回出ている選手も、みんな強そうで」

――世界大会への出場権が賭かっているためか、エントリー選手の質が昨年11月とは大きく異なりますね。国際大会の実績を持つ比国のアニー・ラミレスをはじめとして、ONEで戦っているMMAファイターのティファニー・テオや、IMMAF世界王者のジャンナ・カスキノヴァなど多種多様な選手が出場します。

「アニーとは練習したことがあります。私が負ける感じではなかったけど、もともと60キロで試合をしているぐらい、とにかく大きいんですよ。柔術もグラップリングもやっていて、アジアで最強の一人だとは思います。

韓国のキム・シウンは今年1月に、マイッサが優勝したアブダビグランドスラム東京(女子茶帯ルースター級)で3位になっていますよね。マイッサが一度スイープでポイントを取られていて、その時から注目していました」

――なるほど。トーナメント表は計量後に発表されるとのことですが、現時点で出場メンバーを見た印象を教えてください。

「誰と対戦することになっても、結局は自分のスタイルは変わらないですね。これまでも、それで戦ってきましたし。あとは珍しく運次第って言いたいです。

私って、もともと運がないんですよ。レスリング時代のくじ引きとか。でも今回は運も勝負のうちだなと思っています。自分がやれることはやってきました。そこにプラスして『今まで泣いてきた分、運がついてきらら良いな』と。次が無い試合って心地良いです」

――次が無い試合、というのは……。

「今回負けたら、次のチャンスは2年後じゃないですか。そういう試合って久しぶりなんですよね。今は光と絶望の中間にいる状態で」

――オリンピック出場のチャンスは4年に一度しかありません。一方でプロの試合は勝てば、あるいは良い試合をすれば、すぐに次のオファーが来る可能性がある。マイッサ戦でギャップを感じたと言われましたが、「負けても良い試合だったから次がある」というプロの世界が、これまで山田選手が生きて来たレスリングや柔術の世界とは違うわけですよね。

「そうか、そういうことですね。『負けても次がある』という世界に馴染んでいないというか。それと私は今まで楽しんで柔術をやってきました。でも今回『負けたら次はない戦いだ』と気づいた瞬間、勝ちたいという欲が強くなって。そのために『楽しみたい』と『勝ちたい』の間で、気持ちの浮き沈みが激しかったです。

でも今はもう吹っ切れました。今回出ているメンバーの中でも、その気持ちを味わっている経験は私が一番だと思っています。『みんな、その環境に置かれたことないでしょ?』と言いたいです。私は今まで、その環境でいっぱい泣いてきたから。負けたら次はない、だから勝ってラスベガスの世界大会に行きます」

■視聴方法(予定)
5月11日(土・日本時間)
午後12時00分~Flo Grappling

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45 MMA MMAPLANET o WNO22 アデーレ・フォーナリノ アマンダ・アレキン

【WNO22】ADCCアジア&オセアニア・オープン優勝フォーナリノが、アマンダ・アレキンを秒殺!!

<女子フライ級/15分1R>
アデーレ・フォーナリノ(豪州)
Def.0分24秒by ストレートフットロック
アマンダ・アレキン(米国)

昨年11月のADCCアジア&オセアニアオープン55キロ以下級優勝のフォーナリノが、WNO出場。直ぐに座ったフォーナリノが、足を捌くアレキンの左足をキャッチ。跨いできたところでアレキンの左カカトを取り直す。フォーナリノはRNCグリップで固定しアオキロックへ。ここからロールするや、アレキンはヒザを捩じってタップ──足を引きずって退場した。

「これはフルコンタクトスポーツだけど、対戦相手にケガをさせたいとは思っていない。彼女がケガがないことを願っている。125ポンドは私にとって最高の階級で、ここでタイトルを狙っているけど同時に115ポンドでも戦える。タイトルが空位なら、ストロー級のタイトルも狙いたい」と勝者は語った。


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【WNO22】ミカ・ガルバォンに挑戦、岩本健汰─02─「これからのことは一切考えていない。どうでも良い」

【写真】この試合後のことは考えていない。ルックスもどうでも良い。そんな岩本健汰でした(C)MMAPLANET

9日(金・現地時間)、カリフォルニア州コスタメサはOCフェアー&イベントセンター内ザ・ハンガーで開催されるWNO22「Rodriguez vs Hugo」で、ミカ・ガルバォンの持つWNOウェルター級王者に挑戦する岩本健汰インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

柔術の神の子への挑戦が降ってわいたように巡ってきた岩本は、この完全無欠のグラップラーを相手に勝つには「どうすれば良いんだ」と笑う。が、インタビューを進めていくと笑顔の裏にADCC世界大会イヤーでありながら、全てを賭ける気持ちがヒシヒシと伝わってきた。

ワールドステージで戦う岩本、その覚悟のほどを知って欲しい。

<岩本健汰インタビューPart.01はコチラから>


──とはいえウィリアム・タケットをパスしまくったという状況も、WNOだとパスもポイントにならないので極めを防げる選手は、IBJJFルールのように絶対にパスを許さないという姿勢では望んでいないかもしれないです。

「そこもあるかもしれないですね」

──グラップリングといってもサブオンリーのWNO、ポイントがありスクランブルが欠かせないADCC、ポイント制のIBJJFノーギとルールの違いが戦いをまるで変えるものかと、と。いくら技術は共通でも。

「WNOルールだと確かにミカは強いなって。どうやったら勝てるのか。まぁ全力でやるしかないですね(笑)」

──結果、ベストを尽くすと。とはいえ、どのルールでも防御力が絶対かと思うのですか。

「サブミッションエスケープは、僕は得意な方だと思います。なので、そこは気にせずに戦うことができるのですが、エスケープは印象点を悪くするので。だから入らせない。入られたら、すぐにカウンターでいくというマインドで行くしかないですね」

──ドロドロになってきたら、チャンスが増えるのか。

「う~ん、ドロドロ……そうっすね。ミカってヨーロピアンに出ていますよね」

──ハイ。ミドル級決勝でアンディ・ムラサキを腕十字で破り優勝しています。

「ヨーロピアンって、ドーピング検査ないんですかね?」

──あっ、そこですか。

「そうなんですよ。WNOはチェックはないですけど、ヨーロピアンに出ていたら抜けている可能性がある」

──そうしたら、使い続けている岩本選手の方が有利だと。

「ハイ(笑)」

──アハハハハハ。勘弁してください。

「でも本当にミカには、以前のようなパワーがない可能性はあります」

──なるほどです。そこは当日の楽しみとして、岩本選手は今回もB-Teamで調整をしてきました。

「ハイ、香港でのセミナーが終わってそのまま来ました。ニッキーやクレイグが不在だったのですが、まだ名前がないB-Teamのメンバーがめちゃくちゃ強いです。めっちゃ強い。ここでやっていることが、自分のバロメーターになります。初めて来た時から比べると、強くなっていると思います。でも回りも強くなっているし、紫帯でもメチャクチャ強い人もいて。ほぼ無名で強い人が、結構います。ここで練習をしていると、力がつきます」

──これはまるで別件なのですが、ケイド・ルオトロとトミー・ランガカーの日本での試合は視聴されましたか。

「ハイ。ケイドが圧勝しましたね、凄い試合でした。ケイドは凄いです。本当に世界一だと思います」

──実はこの試合が決まるまで、岩本選手の位置関係としてアンドリュー・タケットやジョセフ・チェンとのライバルストーリーが綴られていくことが楽しみでした。ただミカと戦うことで、岩本選手の存在がケイド、ミカというところにやってきたのかと。

「ここで勝てば、そうです」

──それがまさに今大会でのタイトル挑戦に表れているのかと。メインがニッキー・ロッド✖ヴィクトー・ウゴ。他にダンテ・リオン✖ディエゴ・パト、タイナン・ダルプラ✖オリヴィエ・タザ、ジェイコブ・カウチ✖セブ・ロッドという面々の中に日本人グラップラーが出場する。それこそUFC300で日本人ファイターがタイトルに挑戦する……NBAやMLBのオールスターに日本人プレイヤーが出場するようなもので、グラップリング界での快挙かと。

「まぁ……それは難しいことじゃないと思います。勝たないと意味がないので」

──ただし一部のグラップラーしか出場できないイベントです。それだけケンタ・イワモトは世界で評価されていることかと。

「そうですね。知名度的に僕が高いから、選ばれたというのはあるかもしれないです」

──ここでインパクトを残せば、今後のレギュラー参戦もあるのかと期待が膨らみます。

「きっと僕は良い試合ができることを期待されているんだと思います。攻防が多い、スクランブルが多い試合。ミカと相性が良い試合になると思われているのかと。でも、この試合に限らず……ですけど、一つひとつの試合が一つの終わりと心得ているので」

──というと?

「むしろ、この試合が僕にとって最後の戦いだという感覚です。もう後のことは考えていない」

──つまり今回の試合はRoad to ADCC世界大会ではないと。

「ハイ。キャリアとかこれからのことは一切考えていないです。これが最後だと思ってやっています。帰りのチケットも買っていないです。試合までのことしか、考えていないので。そこしか見ていない。カリフォルニアから戻ることは今、頭にないです。とにかくミカとの試合に集中しています。終わってからのことは、どうでも良い。米国から帰国するチケットもキャンセルできるやつを買って、こっちに来ているので」

──凄まじい覚悟のうえでのミカへの挑戦ですね。

「もう、この試合で終わりです。それからのことは一切、考えていないです」

──押忍。そんな岩本選手を応援している人々に一言お願いします。

「うん……えぇと……。勝つことしか考えていないです」

──痺れる想いを持つ岩本選手ですが、最後に一つスミマセン。気になったことがあります。

「えっ、何ですか」

──岩本選手、インタビューの受け答えは英語の方が上手くないですか。あのFLOに挙がっているインタビューとか、凄く流暢で。

「アハハハハ、そんなことないですよ。英語より日本語の方が……多分、大丈夫です。今日は……最近、日本語を使っていないので。もうカタコトになって、表現力がないなって自分でも思っていました(笑)。本当に日本語をしゃべったのが、久しぶりだったので申し訳ないなって(笑)。言葉が上手く回らなかったです」

──それだけ動きは上がっていると、期待しています。

「ハイ。ありがとうございます。口はこうでも、体は動くので。そして日本語、勉強しなおします(笑)」

■視聴方法(予定)
2月10日(日・日本時間)
午前11時00分~Flo Grappling

■ WNO22対戦カード

<ヘビー級/15分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

<WNOウェルター級選手権試合/15分1R>
[王者]ミカ・ガルバォン(ブラジル)
[挑戦者]岩本健汰(日本)

<WNO級ライト選手権試合/15分1R>
[王者]ダンテ・リオン(カナダ)
[挑戦者]ジエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)※フェザー級王者

<女子フライ級/15分1R>
アマンダ・アレキン(米国)
アデーレ・フォーナリノ(豪州)

<ミドル級/15分1R>
タイナン・デルプラ(ブラジル)
オリヴィエ・タザ(カナダ)

<ミドル級/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
セバスチャン・ロドリゲス(米国)

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MMA MMAPLANET o アデーレ・フォーナリノ 山田海南江

【ADCC Asia&Oceania Trial】日本勢、ADCC予選の軌跡―02―女子55キロ級。山田海南江、準優勝

【写真】今回は準優勝だった山田。本番は来年の5月、タイでの予選です(C)MMAPLANET

<女子55キロ級1回戦/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.1分03秒by アメリカーナ
スー・ティンティン(中国)



<女子55キロ級準々決勝/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.2分43秒by RNC
ベタニー・ベーロンヘーリス(豪州)



<女子55キロ級準決勝/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.4-0
シ・ジュンチン(台湾)



<女子55キロ級準決勝/6分1R>
アデーレ・フォーナリノ(豪州)
Def.2分03秒by 腕十字
山田海南江(日本)





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