グラップリングProgress暫定ウェルター級タイトルマッチ5分3R。
いきなりタックルを狙う泉。首相撲からいなすと森戸は引き込み気味に下になり、泉に2ポイント。立たずに座ったまま詰めていく森戸。下から足を掴んだ森戸。泉ガードに入る。腕十字。筆を引き抜こうとした泉だが三角に。タップアウト。
【写真】まさにMMAグラップリングを見せた中原。これぞProgressの意義だ。(C)MMAPLANET
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
Def.2-1
中川晧貴(日本)
中川がスイッチしながら触りに行く。前に出てケージを背負わせた中原が、左足にシングルレッグで組みつき、すぐ右足に切り替えて尻もちを着かせた。中川も立ち上がり、がぶりながら離れる。しかし中原が再びシングルレッグで足を取り、中川をケージに押し込む。右足を引く中原。中川も右オーバーフックで耐える。中原は右足首を取って崩しにかかるも、ここも中川が耐えた。
右オーバーフック&右足を差し込む中川を、中原はボディロックから引き倒しに行く。凌いだ中川をケージに押し込み続ける中原。中川は正対しきれず離れた。距離を取って足を触りにいく中川に対し、中原がシングルレッグで組みつき、ダブルレッグに切り替えて尻もちを着かせた。中原の右腕をキムラで抱え、立ち上がる中川。そのまま腕を取ろうとしたところで初回終了のゴングが鳴った。
最終回、ケージ中央で組むと中原が崩しにかかる。プレスをかけてから手四つで中川をケージに押し込む中原は、シングルレッグに切り替えてリフトするも、中川は倒れず。ならばと中原はダブルレッグで組み、完全にテイクダウンを奪って2pを獲得した。ケージに背中を着けた中川を、中原が胸を合わせて押さえ込む。
中原は連続してパスを仕掛けるも、中川がフックガードで守る。ハーフガードから立ち上がろうとする中川を、首に圧力をかけて押さえる中原。中川がガードに戻して中原の右肩を抱えるが、それを振りほどいた中原がパスを狙い続ける。立ち上がった中原の足を狙った中川が、そのまま立ち上がってスクランブルの1pを得て試合を終えた。
ポイント2-1で勝利した中原は「(中川は)腰がメチャクチャ重かった。やってみると難しいルールですね。楽しかったです。ここでパウンドが混ざって、さらに――途中からMMAを意識して戦いました」と、Progressルールについて語った。さらに来場しているRIZINの柏木氏に「試合お願いします」とアピールしている。
【写真】有松のセコンドには森戸新士がついた。しっかりプラン通りの戦いか(C)MMAPLANET
<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹(日本)
Def.2-0
林源平(日本)
サウスポーに構える有松が右足で足払い。ケージまで下がった林が、頭を下げて前に出る。組んで右腕を差し上げた有松がドライブするも、林がアームドラッグから横に抜けた。押し込んでくる有松を捌く林だが、いなされケージを背負ってしまう。林が前に出ると、有松がいなしてケージに押し込んだ。崩してバックを狙う有松。すぐさま林が背中をケージに着けた。
右腕を差し上げ、相手の右手首をコントロールする有松。しかし攻めきれずに一度離れる。距離が近くなると有松が、いなしてバックを狙う。林もすぐに正対する。残り30秒で有松が、いなしてからバックに回り、右オーバーフックで守る林をテイクダウンして2Pを獲得した。
最終回、手四つで探る両者。林が前に出るも、ケージを背負った有松が右に回る。林の頭が有松の顔面にぶつかり、バッティングのため有松に休憩が与えられる。試合再開後、やはり有松が、いなし&バックを狙う。手四つから突き放す林がダブルレッグを狙うも、これは浅かったか。バックステップでかわした有松が、手四つから林をケージに押し込む。右腕を差し上げた林は頭をおっつける。林が有松の右手首を押さえて差し替えると、有松が離れた。
ケージ中央で組み合いから、有松が足払いを仕掛ける。スタンドでいなす有松が、再び林をケージに押し込んだ。右腕を差し上げる展開は変わらず。林は離れ、シングルレッグで飛び込んだ。有松はカウンターでアナコンダを仕掛けるも、これは林が体を起こして防いだ。残り1分30分で林が押し込んでいくも、有松がかわし続ける。頭を着けて押し込む林。しかし有松が2Pで逃げ切った。
19歳の柔術家、有松はインタビューで「相手は凄く力が強くて、圧が凄かったです。これからは力を強くしたり、体重も増やしたいです。次はグラント・ボグダノフ選手に僕の挑戦を受けてほしいです」と語っている。
【写真】中東で戦った期間の答え合わせとなるシンバートル戦だ(C) MMAPLANET
本日30日(水)、会場非公開で開催される配信イベント=Breakthrough Combat01のメインでシンバートル・バットエルデネ戦を戦う吉野光は、2年半振りの国内での試合となる。
Text by Manabu Takashima
この間、吉野はUAEWで3試合を戦い1勝2敗という戦績で、オファーが途絶えていた。それでもUFCを目指すことに変わりはない。Breakthrough Combatの指針は現状打破。この言葉にこれ相応しいファイターはいまい。
──2年半振りの国内での試合です。まず、ここについてはどのような気持ちでしょうか。
「周囲からは、日本で試合をしないのって言う風に言われていました。でも個人的にはUAEWとかでずっと試合に出るつもりだったんです。それが連敗中でなかなか試合も組まれない状態で、燻っている感もありました。そのなかで、凄く良いタイミングでオファーを貰えたと思います。凄くモチベーションが高いです」
──今回、国内で戦うことはステップダウンになるのでしょうか。
「これまでやってきたことの延長線上にあります。連敗をしてしまったのでUAEWに出られなくなったことは仕方がないのですが、実はBreakthrough Combatの試合に出ることを決めて3日後ぐらいにUAEWからオファーがあったんです。
でも、もうこっちでやると返答していたので。そこは筋を通そうと思いました。それにステップダウンをしたという意識もなくて、一から創りなおす。試合自体、1年も空いたので新人になったつもりで勝ちまくってやろうと思っています。
しかも、この大会のコンセプトは現状打破。自分にぴったりだと思っています。試合がなくて困っていたところで、国際戦を組んでもらって、それが海外に繋がる。本当に良いオファーを貰えました」
──未知のモンゴル人ファイターが相手です。
「体が強くて、勢いがある感じですね。体感したことがない感じでくるのかなっていうのは、人種だけで想定しています」
──つまりはロシアやブラジルに跳ね返されたところから巻き返すには、絶好の対戦相手ではないかと。
「その通りですね。あの2試合は凄く良い経験になりました。ただロシア人にもブラジル人にもフィジカル負けはしていないです。リネット・ハバロフは『パワーが強かった』、ヴィニシウス・ジ・オリヴェイラも『柔道が凄かった』と言ってくれたので。通用する部分は、自信を持っています。あの2人と戦えたことで、今回の相手の情報がなくてもアレ以上はない。怖いモノはなくなりました。
自分が目指しているレベル、あの2人の領域にいられるように意識して練習してきました。もともと攻めしか考えていないです。練習で不利な状況になっても、攻めることしか頭にない。常に攻める。ハバロフと戦って思ったことは、スタンドバックの状態は絶対に起こり得る攻防じゃいですか。そこが絶対的に強い。自分もここの形は絶対に強いという意識をもって、練習をしてきました。
僕って技術系の選手じゃないと思っています。フィジカル有りきのテクニック、技。今回の試合でも、そこを見せようと思います。普通のヤツがやろうと思ってもできない。大内刈りもフィジカルがあって決まる技なので、そこを意識していこうと思っています」
──試合はメインです。
「そこはあまり意識していないです。試合はなるべく早く終わらせたい。ただ注目度は高いし、あまりフィニッシュ率は高くないけど、フィニッシュをして『吉野。やべぇぞ』っていう試合を見せて次に繋げたいです。
ここで連敗を止めて、良い勝ち方をして勝ち続けることRoad to UFCにも通じてくる。Road to UFCには毎年応募していても、選ばれていないです。だからこそ、逆に俺を選ばないとおかしいだろうっていう状況を創りたいです」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01計量結果
<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量
<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ
<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ
<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ
【写真】目指す舞台は、UFCというシンバートル。今回がキャリア3戦目となる (C) MMAPLANET
本日30日(水)、会場非公開で開催される配信イベント=Breakthrough Combat01のメインで吉野光と戦うシンバートル・バットエルデネは、これがキャリア3戦目というファイターだ。
Text by Manabu Takashima
2戦目で元Gladiatorバンタム級王者テムーレン・アルギルマーを下し、シャンダスMMAの新兵器と呼ばれるようになった。4日前に22歳になったばかりのモンゴリアンMMAニュープロダクトに話を訊いた。
──日本で戦うことが決まりました。
「話が来た時は、本当に嬉しかったです。練習仲間のオトゴンバートルやダギースレンが日本で試合をしてきたので、自分も本当に日本で試合がしたいと思っていました。その想いが叶うので、メチャクチャ練習をしています」
──5月にテムーレン・アルギルマー選手に勝利し、シャンダスMMAの新兵器という風に呼ばれています。
「凄く嬉しいです。テムーレン選手に勝って、日本の人々が自分に興味を持ってくれて嬉しい限りです」
──ところで対戦相手の吉野選手は日本で名の通った吉野光選手です。キャリアも15戦以上あります。対して、シンバートルはキャリア2戦。試合を受けることに躊躇することはなかったですか。
「確かに経験豊かで、強い相手です。ただし自分も、このシャンダス・ジムで強くて経験のある選手たちと練習をしています。その練習の成果を見せたいです。シャンダスMMAでは今年の1月からトレーニングをしています。
ナラントンガラグ先生が指導し、活躍している選手が多いのでシャンダスに入門したんです。それまでの1年はマザーライMMAで練習をしていました」
──つまりテムーレンとは元チームメイト対決だったのですね。
「そうですね。まぁ、試合ですから。試合となれば、以前の同門とかという気持ちはなくなります。目の前にいる相手なので、殴るだけです」
──その練習仲間から日本で戦うことに関して、アドバイスはありますか。
「皆から貰っています。皆が教えてくれますが、敢えて言うとエンフオルギル・バートルフー選手から『自分がやれることをやれ』と言われたことが一番残っています。なのでレスリングで勝負します。自分が一番できるもので、戦います」
──フオルギルは日本で戦ったことはないかと思うのですが……。レスリングで勝負、コンバットサンボやシュートボクシングの国内大会で結果を残しているシンバートルですが、もともとバッググラウンドはレスリングだったのですか。
「自分はホブスゴル県で生まれ育ったのですが、子供の頃からモンゴル相撲と柔道をやってきました。県の大会レベルで優勝したぐらいで、大きな大会で結果を残すということはなかったです。ただ、試合にはよく出ていました。なので自分のベースはモンゴル相撲と柔道です」
──それでいてコンバットサンボやシュートボクシングのように打撃のある競技でも結果を残しているのですね。
「実はまだ打撃の練習はしていなかったのですが、なぜか打撃のあるルールの方が戦いやすと感じていました」
──吉野選手は柔道出身、組み技の強さが売りの選手ですが、レスリング勝負ということは組みでやり合える自信があるということですね。
「ヨシノは色々な技を持っていますね。柔道がベースなのは明白です。私はレスリングで対抗します。自分のレスリングの技術は、ヨシノの柔道よりも繊細です。その繊細さがあれば、彼を上回ることができます。
何よりも、ファンの人達につまらない試合は見せたくないです。スキルのある、技術的に高い試合を見せたいと思うので自分は準備万端で日本へ行きます。ヨシノもそのつもりで、調整をしてほしいです」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01計量結果
<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量
<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ
<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ
<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ
【写真】MMAファイターグラップラーとは違う、グラップリング=打撃のないMMAとなるか (C) MMAPLANET
本日30日(水)、会場非公開で開催される配信イベント=Breakthrough Combat01。同大会はMMAが3試合、Progress=グラップリングマッチが3試合組まれている。そのProgress戦にはグラップラーが2名、MMAファイターが4選手出場しており中原由貴が中川晧貴と相対する。
Text by Manabu Takashima
ビクター・コレスニック戦の敗北以来、半年ぶりの実戦がMMAファイター同士、72キロ契約のグラップリング戦となった中原を計量直後にインタビューした。
――中原由貴選手が長谷川賢率いるBreakthrough Combat旗揚げ戦に出場し、中川晧貴選手とProgressルールで戦う。意外なことのオンパレードです。
「意外ですよね(笑)。でも僕はノーギが好きでチェックしていたんです。ヘンゾ・グレイシーのところに行って、ああいう人達と触れ合ったりして。グラップリングも好きなんですよ。
CJIやADCCもチェックしていましたし、実はこの間のQuintet(19日開催)のチームRIZINのメンバーで戦う予定だったのが、いつの間にかメンバーから外れていました(笑)」
──アハハハハ。そして、今大会出場が決まったと。
「最初はもうカードが揃ってしまって難しいかと聞いていたのですが、新たにオファーがあって良かったです」
──Progressルールはケージのなかで、ポイント制のあるグラップリングです。
「フォークスタイルレスリングも昔はチェックしていて、グラウンドではボディクラッチができないルールの練習もチラッとしていたことがあるんです。かつ、そこにサブミッションが許されているので、打撃の練習を減らして触れる練習……組みの練習を増やしてきたので、楽しみですね。
MMAでは交われない選手と実戦で戦えることができますし、Progressのコンセプトを聞くと、純粋なグラップリングというよりはMMA寄りですよね。やっぱり取りに行くときに、簡単に下になるのではない。MMAに生きるように考えて戦えます。それにポイント制なので、余裕ができればチョット引き出しを開けて冒険することもできますよね」
──ではMMAファイターでもある対戦相手の中川選手ですが、どのような印象を持っていますか。
「打撃がないので殺伐とはしないとはいえ食って掛かってこられるかと思っていたので……そうでもないのかと」
──それは中川選手の性格によるところかと思います(笑)。
「でも食ってやるというのは絶対にあると思っていたので(笑)。僕も僕で、ルールが違うとのびのびとやりたい──というのはおかしいですけど、トライしたいという気持ちですね。
このルールはスクランブル重視だし、視てくれる人が面白い試合ができれば良いですね。練習ではなく、勝敗がかかったなかでどれだけリスクを取れるのか。そこが実戦だからこそ、という部分で。やっぱりポイント制はミソです。リードしてしまえば、一本さえ取られなきゃリスクを冒すことができます。
打撃があるとリードをしていても、ワンミスで全てが変わってしまいます。でも、グラップリングでポイント制なら自分なりに戦い方も考えることがありますね。
この1年はケージ際で寝かせ切ることにメチャクチャ取り組んできました。そこをMMAを戦う前に、実戦で相手がシリアスに動いて来るところで試せる。それは凄く楽しみにしています」
──中川選手はMMAでも倒してバックを取るというスタイルを貫いている選手です。
「そこは……普段からMMAの組みでやってきて、スクランブルもしてきたので僕も自信があるところです」
──MMAに生きるグラップリングで、それが次の試合が組まれるアピールに少しでもなればと思います。
「ハイ」
──なかなかMMAの試合は組まれないですか。
「かすりもしないですね。アハハハ。でも、それは覚悟の上で。MMAはRIZINでやると決めているので、こういう機会も大切にしたいと思っています」
──RIZINは超RIZINや大晦日大会、数字系重視のビッグショーと地方のLANDMARKがあり、そこにナンバーシリーズということで……。いうと中原選手タイプの選手が、なかなか試合が巡ってこないというのはありますね。
「現状、自分だけでないですしね。どうしてもイベント数も関係してきますしね」
──そこに中央アジア、コーカサスの脅威が加わりました。
「どえらいことになっていますね(笑)。今回もそうだし、練習を続けてグラップリング、サブオンリーも含めて来年は出ていこうかなと(笑)。MMAがなくても、実戦経験は必要です。明日のProgressでも、ちょっとはアピールしようかと思います」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01計量結果
<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量
<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ
<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ
<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ
【写真】チハヤフル戦を経て、中川は何かスッキリした表情を浮かべた(C)SHOJIRO KAMEIKE
30日(水)会場非公開で開催される配信イベントBreakthrough Combat01にて、中川晧貴が中原由貴とProgressルールで対戦する。
Text by Shojiro Kameike
今年7月のGladiatorフェザー級挑戦者決定トーナメントの初戦で、チハヤフル・ズッキーニョスに判定負けを喫した中川。試合後、バックステージでの落ち込み様を見た関係者からは「このまま中川はMMAを辞めしまうのでは……」という声も聞かれた。そんな中川がプログレスのケージグラップリングから復活するまでの道のりには、所属する道場リライアブルならではの雰囲気があった。
――今回プログレス初挑戦が決まりました。中川選手としてはMMAで敗れたあとの復帰戦だけに、MMAを戦いたいという気持ちはなかったですか。
「いや、それはなかったです。『おぉグラップリングなんや』と思って。今までグラップリングの試合に出たことがなかったんですよ」
――えぇっ!? それは意外です。柔道ベースでMMAのファイトスタイルを考えても、グラップリングマッチの経験があると思っていました。
「実は初めてなんですよ(笑)。自分としては新鮮な感じです。グラップリングでどこまでやれるかな、というワクワク感があります」
――これまでグラップリングマッチに出場する機会はなかったのですか。
「柔術はやりたいとは思っていたんです。最近は同じジムの石田拓穂とかが柔術の試合に出ていて。考えていたのは、それぐらいですね」
――しかし、柔術の試合に出たことはない?
「はい、出たことはないです(苦笑)。ウチのジムでも以前、上田祐起がグラジでプログレスに出たことがあるぐらいじゃないですか」
――これまで中川選手が出場している大会でも、プログレスの試合は行われていました。中川選手としては、どのように見ていましたか。
「もちろん会場でも観てはいました。でも自分がやるとは思っていなかったので――メチャクチャ気を抜いていましたね」
――アハハハ。単に一人の観客として観ていた、と。
「はい(笑)。自分は寝技が得意というか、MMAの中でも寝技をやる選手なので、観ていて展開がある試合は面白かったです。ただ、今もまだルールがピンと来ていなくて。要はMMAとして有利なポジションを取ると、ポイントが入るということですよね」
――それが一番分かりやすい言葉です。ポイントが入るのはテイクダウン、リバーサル、バックグラブ、そしてスクランブルで立ち上がる……全てMMAのためのグラップリング、というルールになっています。対して、引き込んだら相手にポイントが与えられます。
「それでも極める自信がある選手は、引き込んで極めたりしていますよね。森戸選手とか」
――森戸選手は先にポイントでリードし、引き込んでも逆転されないほど引き離してから極めに行くパターンがありますね。
「あぁ、なるほど。そう聞いて安心しました。自分は引き込むのが好きじゃないし、テイクダウンしてバックに回るのが得意なので。そこでポイントを取っていれば――」
――個人的には中川選手の試合スタイルを考えると、得意なルールではないかと思っています。その前に前回のチハヤフル戦について、お聞きします。本人としては判定で勝っていると思っていましたか。
「……そうですね。ギリギリで勝っているとは思いました」
――実際、中川選手が勝っていたという声も聞かれます。とはいえ負けは負け。その事実をどう受け止めていたのか。
「……」
――試合後、関係者から「心配になるほど中川選手が落ち込んでいた」と聞きました。
「……、……そうですね。まずは代表(田中淳リライアブル代表)に対して、メチャクチャ申し訳ないと思って。ジムとしてチハヤフル選手に連敗中だったし、そこで自分も負けてジムの看板に泥を塗ってしまった。あとは試合でチャンスもあったのに、極めきれなかった悔しさもありました」
――「あの落ち込み具合から立ち直ることができるのか」という心配の声もありました。
「だいぶ悩みました。『ここで負けていて、俺は今後どうするんやろう?』って。やけど自分の中では負けたと思えない、というか。判定は負けやったけど、自分の中では負けていない。すごく中途半端な気持ちやったんですよ」
――試合で完膚なきまでに叩きのめされた末の判定負けであれば、その時点で諦めていたかもしれないですね。
「確かに、そんな負け方やったら自分も納得できると思うんです。でも納得できんかった。そんな頃に代表が『そろそろジムに来いよ』と連絡をくれて――代表からの連絡が嬉しかったです。やっぱり負けは負けで、みんなに顔も合わせにくかったし。代表から言われんかったら、そのままジムに戻っていなかったかもしれないです」
――田中代表も、そんな中川選手の気持ちに気づいて連絡したのでしょう。
「代表も気さくな感じで連絡をくれて、ジムに行ったら言われたんです。『お前が諦めんかったら俺たちもサポートするし、まだまだ強くなれる』って。その言葉を聞いて自分も悔し涙が出ました。すると、さらに代表が『涙が出るぐらいやから、まだまだ頑張れるぞ』と――そう聞いて、自分も諦めずに頑張ろうと思いました」
――素晴らしいですね。MMAを続けると決めて次の目標などは考えましたか。
「今の段階では、何も言えないですよね。トーナメントも初戦敗退で、そんな自分に何ができるのか。だから、組まれた試合をやっていく。何でもやってみる。そう考えました。
もうひとつ――自分のキャリアについて考えないといけない、と思うようにはなりました。今までも行き当たりばったりなことは多かったんです。試合のオファーが来たら受けて、試合をする。でもこれからは、ちゃんと先を見据えて戦っていかないといけない。どんどん自分からもチャンスを掴むようにしないとダメやな、って」
――その一環として、今回のプログレス挑戦があると。
「対戦相手は二転三転しましたけど、どれも名前のある相手でした。自分からオイシイ話です。最終的に決まったのが中原選手って――まさかのONEやRIZINで試合をしているビッグネームで。自分からすれば雲の上の選手じゃないですか。中原選手もMMAの試合しか視ていないですけど、柔道ベースでグラップリングも強いと思います」
――MMAでの組み方は、似ていますよね。スタンドの組みはボディロックで始まり……。
「はい。そこは自分の強みでもあるので、負けないです。試合は最初に相手のグラップリングを確かめたいけど、5分2Rやからそんな時間もない。早めに仕掛けていかないといけないなら、最初から自分が攻めていきますよ。初のグラップリングで、中原選手というビッグネームを乗り越える新たな中川晧貴を視てください!」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01対戦カード
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)
<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)
<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)
<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)
【写真】戦うことで強くなる――Progress暫定ウェルター級王者、森戸新士(C)SHOJIRO KAMEIKE
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30日(水)会場非公開で開催される配信イベントBreakthrough Combat01にて、Progress暫定ウェルター級王者の森戸新士が、泉武志の挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike
森戸にとっては昨年9月、暫定王座決定トーナメント決勝で世羅智茂を下して以来のプログレスルールとなる。この間、森戸は2度のADCC予選とムンジアルに出場したなかで、森戸が感じていた手応えを語る。
――1年1カ月ぶりのプログレスルールで、保持する暫定王座の初防衛戦を行います。
「プログレスはオファーがあれば、いつでも出たいと思っていました。またオファーがあって嬉しいです」
――昨年の世羅戦以降、ADCC予選やムンジアルに挑戦するなかで、プログレスの試合も頭にはあったのでしょうか。
「プログレスの試合をすることで、グラップリングに関して成長できた面があります。ジョセフ・チェンのような世界的強豪とも対戦させてもらい、自分の立ち位置も確認できましたし、自分の技術研究にも役立っています。今は暫定王者として強い選手との試合が組まれれば、やり甲斐はありますね」
――ADCC予選は2度とも敗れ、世界大会は出場ならず。初挑戦のムンジアルも初戦で敗退しました。その結果については、どのように考えていますか。
「ムンジアルではダニエル・ジニスという、ブラジレイロを連覇している強豪と対戦しました。試合はアドバン1つでリードしていましたが、最後の10秒でアドバンを取り返され、レフェリー判定で負けています。
不甲斐ない結果だと思いますし、アドバン差1つでギリギリの試合をしていたので負けても仕方ないです。もっと自分に実力があればペースも握れたし、一本も取れました。ただ、やりようによっては世界で戦えるという手応えもあって。またムンジアルには挑戦したいです」
――ADCCの1次予選では豪州の強豪フィス・アレンと、0-0でレフェリー判定負け。2次予選ではダニエル・エヴァンスと延長ラウンドまでもつれ込みました。その点では、せめぎ合うことができているという自信はあるのですか。
「勝ち切れていないので、まだまだ――と思います。そこで勝ち切るために、どうするべきかを考えて取り組まないといけないです」
――ではADCC予選以降、どのような取り組みがあったのですか。
「もちろん技術面で自分に足りないところを補う練習です。広島にいると、なかなか他の凄く強い選手と練習することもできないし、そこは東京と違うところで。その分、僕は試合に出ることで定期的に強い選手と当たる。そのために今年も毎月のように試合に出続けています」
――さらに広島、山口で強豪選手を招いてセミナーを行っています。森戸選手自身も韓国でセミナーを行い、現地の選手とも練習していますね。
「基本的にセミナーには本当のトップ選手しか呼ばないです。トップ選手と技術交流することによって、中国地方の技術の底上げにもつなげたい。そのためにはトップ選手の技術を見ることが一番だと、僕自身が一番分かっています。だから、トップ選手の技術を見る機会を会員さんに対して提供していきたいです」
――そんななかで昨年プログレスで敗れているジョセフ・チェンのセミナーを、今年春にレオス柔術アカデミーで開催したことには驚きました。
「アハハハ、そうですね。ジョゼフ・チェンとは試合した時から『今度ウチでセミナーやってよ』というノリで話をしていて。彼は岩本健汰選手と練習するために、よく東京には来ているじゃないですか。機会があれば広島まで足を伸ばしてセミナーを――という話はしていたんです。それで向こうからコンタクトしてきてくれて、セミナー開催が決まりました。
僕の場合はジョセフ・チェンに限らず、セミナーに呼ぶ前にその選手について研究します。実際にセミナーでも教えてくれる技を試しますし、僕がフォローに回ることもあって。そのなかで自然と、彼らの技が自分の技術体系の中に組み込まれるんです。ジョゼフ・チェンのセミナーではキャンピングパスを通じて考え方が分かり、いろんなパスガードに生かせるようになりました」
――そして10月14日はROMAN柔術で柳井夢翔選手と対戦し、ドローに終わりましたが、以前と少し試合スタイルは変わっていないですか。もちろんルールや対戦相手によって異なるとは思いますが……。
「えっ、そうですか。今回は初めてのヒール有り柔術だったので、今までよりも攻めが足関節寄りになっていたかもしれないです。ヒール無しなら、同じ相手でもまた違う展開になるでしょうね。もっとパスからバックテイクを狙いに行くとか。
ROMAN柔術の試合は、ズボンを掴むことが禁止だったんですよ。僕はよくズボンを掴んでスイープしてからスタックパスを狙うのですが、ズボンを掴めないので『スイープは難しいだろう』と思い、最後は足関節を狙いに行きました」
――ルールが変われば、それだけ戦術も変わります。毎回同じ質問になるかもしれませんが……そのROMAN柔術から2週間で、プログレスルールに切り替えることはできますか。
「基本こんな感じでやってきたので、そんなに違和感はないです(笑)。選手としてグラップリングで世界一になりたいなら、グラップリングに絞るべきかもしれません。本当にムンジアルで世界一になりたいなら、道着に絞るべきだとは思います。でも、両方やるスタイルも良いかな――と」
――ではプログレスルールで対戦する泉武志選手の印象を教えてください。
「プログレスのルールだと、やりづらいというか……一番強い選手ですよね(笑)。プログレスはレスリングベースのMMAファイターが強いルールだからこそ、柔術家よりMMAファイターと対戦できるほうが嬉しいです。その相手に一本勝ちを狙う。どんな試合も一本を狙ってナンボで、狙えるところが自分の強みだと思っています」
――柔術家とレスリング出身のMMAファイターでは、後者のほうが極めやすいですか。
「基本的にはそうだと思いますけど、河名マスト選手には負けていますからね(苦笑)。レスラーの場合、いなして組ませない強さもあります。特にMMAファイターは、そういう練習をするじゃないですか。そんなMMAファイターを極められるようにならないといけない。しっかり組んでくる相手は極めやすいです」
――対戦相手がMMAファイターになると多くの場合、対戦相手に関する判断材料はMMAの試合しかありません。それはグラップリング、あるいはプログレスルールを戦ううえで影響を及ぼしますか。
「影響はないです。僕は柔術もグラップリングも、そんなに相手のことを研究するわけでもないので。他の人のセコンドにつく時は研究しますけど――だから本当は、誰かに研究してほしいですね(笑)。
とにかく次も極める自信はあります。どう極めるかは、相手がどう組んでくるかによっても違いますけど、自分の中ではいくつも方法をイメージできています。その方法のどれかにハメてやります」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01対戦カード
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)
<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)
<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)
<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)
【写真】森戸の下からの仕掛けに付き合わず、一本を取る──どのような組み技を披露してくれるのか非常に楽しみ (C)TAKUMI NAKAMURA
30日(水)会場非公開で開催される配信イベントBreakthrough Combat01にて、泉武志が森戸新士の保持するProgress暫定ウェルター級王座に挑戦する。
text by Takumi Nakamura
DEEPライト級のトップ戦線で活躍する泉は2016年全日本選手権グレコローマンレスリング66キロ優勝、2017年アジア選手権71キロ級優勝、同年の世界選手権出場などレスリングで輝かしい実績を残す。今回がグラップリング=Progressルールには初挑戦だが、MMA挑戦時からグラップリングへの関心が高く、グラップリングの技術を磨き続けていたという。
レスリングという競技そのものにこだわり・プライドを持つ泉は「ほとんどの人が『泉がポイントを取って、森戸に下から極められる』と予想していると思うんですけど、その予想をひっくり返してぎゃふんと言わせる」と語った。
――今回はBreakthrough Combat01でグラップリングの試合=Progress暫定ウェルター級選手権試合が決まりました。試合のオファーを受けた時はどんな心境でしたか。
「グラップリングの試合にも挑戦していきたいと思っていたので、ちょうどいいタイミングだったかなと思います。あとは、せっかくやるなら強い相手とやりたかったので、最高の相手を用意していただいた感じです」
――泉選手にとっては初めてのグラップリングマッチですが、どういった理由でグラップリングに挑戦したいと思ったのですか。
「MMAの試合ではトップコントロールして漬け切るのが得意なんですけど、まだ試合でフィニッシュするところを出せてなかったんですね。練習では極めたりはするんですけど、それを試合でも極められるようになりたいというところで、グラップリングの試合に出てみたいと思いました」
――取材前の練習はMMAのスパーリングでしたが、練習内容そのものはあまり変えていないのですか。
「あくまでも僕はMMAの選手なんで、そこは割り切って普段通りにMMAの練習もしつつ、グラップリングの練習をしています。ちょうどさっきの練習がMMAだったのですが、午前中はグラップリングの練習でしたし、割合的にグラップリングを増やしているイメージです」
――グラップリングの練習として定期的に行っているジムはあるのですか。
「MMAの試合前もそうなんですけど、カルペディエム青山の方にお世話になっていて、世羅智茂さんたちと練習しています」
――では新しいルールへのチャレンジではありますが、普段やっていることの延長としてグラップリングルールで試合をするという感覚ですか。
「そうですね。ただグラップリングでは使っていい技でも、MMAでは使えなかったり、技術体系が違うところがあるので、そこの調整はやっぱり難しいですね。グラップリングの練習をしていて『MMAだったら殴れるのにな…』と思っちゃうこともあるので。
ただ、その逆でグラップリングだから出来ることもあって、自分はMMAを始めた頃からグラップリングの勉強をしていて、練習で技術交換したり、YouTubeを見て研究したりしているので、MMAの試合では出来ない技にもトライしていこうと思います」
――例えば好きでよく見ているグラップラーはいるのですか。
「ルオトロ兄弟、クレイグ・ジョーンズ、ジョセフ・チェン、ゴードン・ライアン…色んな選手やチームの試合を見ますね。あとはADCCの試合も結構見たりします。だからMMAそのものは比較的近いところにあるかもしれないです」
――対戦相手の森戸選手にはどんな印象を持っていますか。
「昔からずっと活躍していて、色んな技もできる選手だと思います。それこそYouTubeで見ていた選手の一人です。グラップリングで森戸選手に勝ったら、めちゃくちゃオイシイですよね」
――どういった部分を警戒していますか。
「やっぱり下からの攻撃のところですよね。その展開にはなるべく付き合わずに、自分のレスリングをします。グラップリングの得意技もいくつか用意してあるので、それを仕掛けていく作戦です」
――言える範囲で構いませんが、グラップリングではどんな動きにチャレンジしたいですか。
「やっぱり自分はレスリング出身なんでテイクダウンはできると思います。なのでその後ですよね。おそらく僕が先にテイクダウンでポイントを取って、相手も焦らず下から作ってくるでしょう。それに僕が付き合ったらグラップリング歴の差でやられるのは自分でも分かっているので、相手には一切付き合わず自分のやりたいことをやる、というのは決めています」
――ProgressルールはMMAファイターもチャレンジしやすいルール&ポイント制になっていますが、そこは意識していますか。
「それはあると思いますね。でもなんて言うんだろう、MMAと同じことに徹したら ものすごくつまらない試合になると思うんで、一本を狙えるとこは狙いたいですね。勝つためにやるのは当然ですが、ポイントを取って逃げ切るんじゃなくて、一本を取りに行きたいです」
――グラップリング用の練習を続けたことで伸びている部分はありますか。
「MMAで使えるかどうかは分かりませんが、トップポジションからのパスの仕掛けの部分はかなり伸びていると思います。あとは今まで下からひっくり返されていた場面でも、そこの組み手がだんだん分かってきて。守るだけじゃなく、自分からも仕掛けられるようになってきたんで、そこは伸びている実感があります。結局MMAでもトップを取ってもバランスが悪かったらひっくり返されるし、この試合をやることはMMAをやるうえでも無駄ではないですね」
――例えば泉選手のように組み技競技で実績があるMMAファイターがグラップリングにチャレンジすることで、今ままでにはなかった化学反応が起きるのではないかと思うのですが、そういった予感はありますか。
「レスリング出身者がMMAやグラップリングに来ることは、日本の格闘技のそのものの底上げに繋がって面白いなと思います。そのなかでも僕はレスリング好きだし、それを活かしたMMAやグラップリングをやりたいです。ルールは違いますけど“組み技”という部分では共通点もあるし、自分は触れれば倒せる自信があるので、そういうところも見せたいです」
――泉選手の話を聞いていると、格闘技として色々なことにチャレンジすることがお好きなようですね。
「好きですね。いずれは柔術の試合にも出たいと思っているし。ただ僕はMMAファイターで、MMAが本業なので、そこが疎かにならないようにしたいです」
――ではその本業MMAでの目標を聞かせてもらえますか。
「今の僕はMMA戦績が5勝3敗で、少し成績が落ちたところもあると思います。ここからまた勝ちを積み上げて、レスラー最強と言われるようなファイターになりたいです。そして海外の大会にチャレンジしていきたいですね」
――泉選手はレスリングというものにも自信やプライドがあるようですね。
「そうですね。MMAファイターだけど、僕はあくまで組み技の選手だし、レスラーだと思うんですよ。そこはちゃんと活かしていきたいし、打撃が上手くなったからと言って、僕はストライカーにはならないです」
――MMAに転向するうえでバックボーンを活かすか、一度リセットするか。泉選手は間違いなく前者ですね。
「絶対にそうですね。僕がレスリングを捨てることはないです」
――ちなみにまたレスリングの試合に出たいと思うことはありますか。
「はっきり言って無理です(笑)! このあいだ久しぶりに大学でレスリングの練習をやったんですけど、アバラを痛めちゃって。それは何か危ない技をかけられたわけじゃなくて、相手にクラッチされたり、ローリングされたり…それだけで痛めたんです。
昔は全然それにも耐えられたんですけど、今はそこの耐性も弱くなっているので、レスリングをやるならもう一回体から作り直さないとダメですね。やっぱりアマチュアでトップを目指す選手の運動能力やフィジカルはすごいです」
――改めて今回の森戸戦、どのような泉武志を見せたいですか。
「今までのMMAの試合で見せられなかった動きをしっかり見せたいですし、ほとんどの人が『泉がポイントを取って、森戸に下から極められる』と予想していると思うんですけど、その予想をひっくり返してぎゃふんと言わせてやろうと思います。会場を沸かせます!」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01対戦カード
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)
<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)
<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)
<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)
【写真】会見後に練習に向かった長谷川──少し、顔のラインがスッキリしてきたか (C)MMAPLANET
昨日23日(水)に東京都港区のBarbizon10で30日(水)に会場非公開の配信大会として開催されるBreakthrough Combat 01の会見が行われた。同大会はProgress実行委員会が主催する形となり、その中心にいるのが長谷川賢だ。
text by Manabu Takashima
会見は二部形式で実施され、一部はその長谷川がイベント開催に踏み切った理由等を話し、二部では同大会に出場する吉野光、泉武志、風我が登壇し今大会出場への意気込みを語った。
ここでは長谷川の挨拶、質疑応答の中から気になった点を列記してみたい。Breakthrough Combat──現状突破という意味が込められたイベント名がつけられた真意とは。
「世界との差が埋まらないぐらいついてしまった。その現状を打破するために韓国、モンゴル、フィリピン、タイとアジアで一丸となって北米と戦っていける、倒せるというところまで向かっていけるように大会を開く」
「Progressというグラップリング・ルールを採用しているのはMMAファイターがグラップラーの交流をはかり、海外勢のような組み力をつけていってほしいから。柔術家、グラップラーの選手たちもMMAファイターと絡むことを新しい挑戦の場にしてほしい」
「DEEPの佐伯代表、修斗の坂本代表、Gladiatorの櫻井代表の協力があって、この大会を開くことができた」
「LFAからUFCに進めるルートを確立させる。それ以外にモンゴルのMGL-1FC、韓国の大会に選手を派遣する。そういう意味での交流を深めていきたい」
「現状、プロモーターとファイターの兼務になっていて本当に大変。自分の大会があって、その後に自分の戦いがある。かなり厳しいけど、やりきります。選手の気持ちが理解できるので、変なところは見せられない。
今は仮の体制でProgress実行委員会が主催し、僕が仮の代表としてBreakthrough Combatをやっているけど、米国ではモハメド・アリ法というものがあってプロモーターがマネージメントをしてはいけない。選手を縛ることになるのでやってはいけない。UFCを目指すということで、そのルールに則らないのはおかしい。選手を支配するようなことはやりたくないので、そこは区別してやっていこうと思います」
「年に4大会を目指してやっていく」
「強さが一番大切。ストーリーラインも大切ですが、強くなって上を目指すのが一番。そこ以外はない。強くなって上を目指す選手の道が開けるようにサポートしていきたい。有名になりたいとか二の次。強さを求める選手を助けて、活躍できる場にしていきたいです」
なお同会見終了後、長谷川よりMMAPLANETに仮の体制という部分で言葉が足らなかったので、記事に以下の言葉を加えて欲しいという連絡があった。
「まず会見でしっかりと話さなかったのですが、昨年からProgress実行委員会で主催をしてきたGladiator Challenger Seriesも今年と同じように来年2大会を開こうと思っています。
またBreakthrough CombatをProgress実行委員会が主催というのはあくまで仮の体制で。会見で話したように、僕は強さを追求して海外を目指す選手達……UFCでなくても、海外での試合を経験したいという選手たちをサポートすることを一番の仕事にしたいので、モハメド・アリ法を考えるとプロモーションのトップにいることは話が違ってきます。
近い将来Breakthrough Combatを独立した組織として、自分でない方に引っ張って行っていってもらいたいと考えています。
また会見で韓国との交流先について団体名を話していませんでしたが、先日視察を行いミーティングも持ったRING Championshipや過去2年の付き合いがあるKTTがTOP FCのようにイベントを再開させるなら彼らと交流していきたいと考えています。そして内定している第2回大会にはマレーシアからも選手が来日する予定ですので、ダイヤの原石がいるのではないかと期待しています。
またDEEPさん、修斗さん、GLADIATORさんの協力があってBreakthrough Combatは実現したと話しましたが、今後はDEEP、修斗、GLADIATORに続き、BLOOM FCの屋宮ハントさんやHEATの志村民雄さんという地方都市で大会を継続している方たちとも、互いに手を取り合って──強くなりたい選手が活躍できる場を創っていきたいです」
■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat01対戦カード
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)
<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)
<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)
<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)
<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)