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【Gladiator018】森戸新士とグラップリング戦、河名マスト「5分✖2R、空調の音が聞こえるような試合に」

【写真】こんな攻防も見られないかもしれない……かも (C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator018で、河名マストが森戸新士とPROGRESS提供フォークスタイルグラップリング戦で激突する。

グレコのU23世界王者から、MMAに転向し9カ月で5勝1敗の戦績を残し、グラップリングでも1勝を挙げている河名は、海外でのキャリアアップを模索しており、ひょっとすると国内で彼の雄姿を見る機会は今後、あまりないかもしれない。

MMAでなく、グラップリングだから受けたという森戸との一戦だが、グレコ✖柔術の手に汗握る攻防を期待しているファンは肩透かしを食らうかもしれない。だからこそ、一瞬・一瞬が見逃せない試合になる──かも。そんな森戸との試合について、河名に尋ねた。


──3日後にGladiator内Progress提供のフォークスタイルグラップリング戦で森戸新士選手と戦います(※取材は6月23日に行われた)。72キロという契約体重に関しては?

「前日計量ですけど、ほぼ通常体重で減量もなく試合に出ることができます」

──4月のPOUNDSTORMではキャリア6戦目、まだデビューから9カ月ですが、修斗のランク1位である山本健斗デリカット選手に勝利しました。その後、MMAでの照準はどこに当てていたのでしょうか。

「国内である程度の選手は倒せたので、可能であれば海外で試合をしたいという方向性でいました。いましたというか……います」

──では国内でベルトを狙うとかではなく、日本での活動は一区切りすると?

「ハイ。それぐらいの気持ちでいます。できることなら、早く海外で試合をしたいです。簡単ではないのですが、最終的にはUFCでやりたいと思っているので、LFAとかこよみさんと話してBRAVE CFなどで戦ってみたいです。先につながる場所で試合ができればと」

──となると、国内で河名選手の試合を見ることがデキたのはデビュー初年度だけだったのいかもしれないです。

「あぁ……そうかもしれないです」

──先日、Road to UFCが開催され、その松嶋選手や盟友の中村倫也選手が初戦を勝ち抜いています。倫也選手はデビューの日が同じで戦績は倍ありますが。

「さすがに、まだ僕に機会が巡っているタイミングではないと思っているので、自分ごととしては捉えていなかったです。まだ早い、やるべきことはあります」

──ではそのタイミングで組み技の試合のオファーがきて、受けたというのは?

「断る理由はなかったです。これまでハイペースで試合をしてきて、やっぱり試合がある方が練習にも身が入ります。生活も滾るので。MMAは海外で戦いたいのですが、グラップリングだったので即、受けました。試合を受けるのは当然の感覚のようになっていますし」

──ではクラップリングで森戸選手と戦うことに関して、どのように思っていますか。

「本当に戦う機会がある選手とは思っていなかったです。試合を受けてからプログレスの同じルールの試合をチェックすると……、ケージレスリングもちゃんとできて引き込むとしっかりと極める。強い……完成度の高い良い選手ですね」

──ケージで戦うポイント制のグラップリングルール。引き込みはテイクダウンと同様の2Pで、ひっくり返すと2P。立ち上がって離れると、1P挽回というルールに関してはどのように思いますか。

「ケージだと逃げ場がないですよね。危ないシーンで、注意を受けようが場外に出るという手段がとれないので、ケージの存在は僕にとってアドバンテージではないです。ポイントに関しては森戸選手もインタビューで言っていましたけど、レスリングに付き合うことはないでしょうね。付き合っても森戸選手に得はなくて、自分にとってはその方が得だけになるので。

だから引き込んでくることは間違いないでしょうね。そういうことを考えると、引き込まれた時に自分がどう捌くことができるか。言ってみると、そこだけが勝負だと思います」

──プログレスのフォークスタイルグラップリングは、MMAファイター同士だと打撃のないMMA、フォークスタイルレスリングにサブミッションが加わったモノになるかと思います。ただし、レスリング出身のMMAファイターと柔術家が戦うと、まさに接点は河名選手が言われたその一点になるかと。

「ハイ。上を取って優位になるのはMMAだからであって。グラップリングではそうではないです。森戸選手からすれば上を取られていても、関係なくて心理的な余裕があるはずです」

──では河名選手の勝ち方とは?

「僕が勝つとすると、言い方は悪いですけどつまらない試合。森戸選手に何もさせないことです。何か起こると負けだと思っています。如何に極めに入れる状況を創らせないで、捌ききってガードの中に入らない。それが僕の勝利への道です」

──河名選手、ぶっちゃけて言ってしまいます。この試合、グレコMMAファイター✖柔術家の試合として注目を集めていますが、世間一般に言われている良い試合どころか、グラップリングに理解がある人が見ても面白いモノにならない。しょうもない試合を楽しめる人しか、楽しめない。そういうしょうもない試合になると自分は思っています。

「……。そこは自分もめっちゃ思っています(苦笑)。やっぱり、Unrivaledの時もそうなのですが、寝ころがっている相手に対して何もしないでいると、何もしない方が勝ってしまう。そういうルールです。噛み合うようで、噛み合わないです」

──おっしゃる通りかと。この試合が面白くなるのは、少しでも深く森戸選手が密着できるか。付き合わない河名選手にひっつき、ポジションやサブミッションの仕掛けをセットできるのか、その一点のみかと。そうでないと2-0が続くか、森戸選手が立ち上がって2-1に挽回。それからまた、引き込んで2点献上。さらに起き上って1点挽回という悪夢のループに陥る勝負になりそうです。

「そうなんです。2-1をずっと積みかさねていく。そうでないと2-0が続く(笑)」

──やはり、めっちゃしょうもない試合になる(爆)。

「アハハハハハ。如何に仕掛けさせないか。過去2試合で森戸選手は三角絞めと腕十字を極めて勝っています。やはりMMAファイターのサブミッションの防御力って、パウンドがあることが加味されています。打撃なしで下になって押し込まれるのと、殴られる状態になるのでは心理状態が全然に違います。打撃がないから濱村(健)選手も、長田(拓也)選手も極められたと思います。だから、ガードの中に入らないように戦います」

──結果、面白くない試合になると(笑)。

「僕がすべきことはいかに跳ねない試合をするか、です」

──アハハハハ。指導者によっては「プロだから、リスクをおかしても取りに行こう。お客さんを納得させよう」という指示を出すかもしれないです。ただし、八隅さんは全くそんなことはないでしょうね。勝てば良い、と。

「そこも2人で『5分✖2R、空調の音が聞こえるような試合にしよう』と言っています(笑)」

──やはり(笑)。

「同時に僕としてはMMAだったら、森戸選手という日本最強の柔術家の技を体感できることはなかったと思っています。特に練習でなく、試合という緊張感があるなかで触れあうのは違いますし。今後あるかどうかも分からない。森戸選手と肌を合わすことができるのは凄く良い経験、貴重な経験になると思っています」

──ハイ。だからこそ、一瞬でも河名選手の頭が下がったり、おかしなところに手をつく。引き込まれた瞬間に河名選手の足がどの位置にあるのか。そういうポイントが、実はもの凄く楽しみです。

「そうなんです。さっきも言いましたが、危ない場面を創ると、そこはもう手遅れになるので。際の動きが大切で。本当にガードの中に入ると、僕はもう詰んだ状態です。だから、その状態に絶対に入られないよう気を強く持つ必要があります。ヤバくなる前に逃げる。どれだけ5分2Rの間にそうできるか。この試合に向けての練習も、練習相手のことを考えないで自分のことを考えると、近づかないという動きに終始します。練習相手の人に申し訳ないなって思いながらやっています」

──ケージで良かったです。河名選手が最初に言われたように、マットよりも逃げる場所がないので。と同時にUnrivaledの村山大介選手との試合では、強烈なウィザー……オーバーフックで動きを制していました。あそこも実は不思議で。グレコはアンダーフックを取らせない争いが続くレスリングだと思うのですが、あの試合では言うと簡単に取らせていました。

「スタンドだと差されると、互いが立っているのでマット際に押し込まれる危険性が出てきます。だから、差させないように戦います。でもグラップリングで、背中をつけた相手が差してきても自分の後ろは天井まで空間が広がっているので危なくないです。天井まで押し込まれることは絶対にないですから」

──あっ、ではケージがあるからスタンドでは差させないということですね。一つ、楽しみが増えました。そんな森戸選手との一戦、見てくれるファンにどこを楽しんで欲しいでしょうか(笑)。

「う~ん、多分レスリングの場面、寝技の場面というより際ですね。レスリングは完全に僕が有利で、寝技は完全に森戸選手が有利です。その完全に有利なゾーンに入る際──倒れ際、立ち上がり際の一瞬、一瞬を見逃さないで見て欲しいです」

──そして、この試合が終わると海外のMMAへ舵を切ると。

「ハイ。早く良い話が発表できるようになりたいです」


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【Polaris20】Leg Lock Never Die。イィプ戦 へ高橋Submission雄己─02─「レッグロックは終わってない」

【写真】NAGAのベルトとともに。自己アピールをするのも、現代格闘家の仕事の一つ(C)HIDEYA WADA

25日(土)、英国ウェールズのニューポートにあるウェールズ国際会議場で開催されるPolaris20でトミー・イィプと対戦する、高橋Submission雄己のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

5月上旬にグラップリングの本場である米国へ渡り、NAGAニューオリンズ大会でノーギ・エキスパートクラスのフライ級とフェザー級で優勝したという高橋。彼はなぜ米国に向かい、現地で何を見てきたのか。貴重な米国グラップリング事情を語ってくれた。

<高橋サブミッション雄己インタビューPart.01はコチラから>


――レッグロック4.0とは何ですか。

「定義としては、まず1.0がサドルロックからの内ヒールですね。

そのサドルロックに対して、カウンターのベリンボロなどでバックを奪うことにより、内ヒールが極まらなくなる。これがレッグロック2.0です。

この2.0に対して出てきたのが、50/50からヒールを取りに行く形です。自分が50/50の体勢だと、相手はベリンボロのようなバックテイクができなくなります。相手の内太ももを抑えるので、サドルロックにあった問題点を解消することができる。これがレッグロック3.0であり、マイキー・ムスメシとかがKガードを作って50/50からヒールを極めていました。

次は50/50とサドルロックを併用してヒールを極める時代が来ると予想しています。それがレッグロック4.0です」

――なるほど。ダナハー後の足関節の流れがそうなっていると。

「米国に行った時、ヘンゾの道場でスパーをした時、サドルロックを仕掛けられたんです。何の変哲もないサドルロックだと思って、エスケープして何ならバックを奪えるかと考えました。すると僕が横に1回転した時に内ヒールを極められたんです。

相手が完全にサドルロックの形にはならず、サドルロックにも50/50にも入れるような形にしていて、僕の対応によってフレキシブルに変えていく。自分の中では、それが衝撃だったんです。でも相手に聞いてみたら、それは何となくやっている感じだったんですね。

そこで技術の変遷を整理してみると、さきほど言ったような流れを経て、僕にとっては先が見えたといいますか。MMAPLANETで岩本(健汰)選手のインタビューを読ませていただいたんですが、『いかにして足関節をいなしてトップから作っていくか』と言っていましたよね。そんなレッグロック時代のドン詰まり感があるなかで、僕にとっては先が見えてきたと思っています。……まだ足関節時代は終わってないぞって」

――米国内では理論化されていなくても経験則や感覚でやっている……つまり日常の中で行われているわけで、それは日本の選手からすれば不安にならないですか。

「そうなんです。いま当たり前だと思われている、最先端の技術をどれだけインプットしていても、その何歩か先を進んでいる人が確実に存在しているんですよね。

ただ、それをやっていたのはヘンゾの道場の黒帯でも、1人か2人ぐらいでした。10thPlanetの人も理解してやっているわけではないでしょう。人それぞれ得意な方向に最先端のものがあって、それが海外と日本の差であると一概には言えません。海外から技術を持ち帰りながら、日本は日本で最先端を見つけていく方法もあると思います」

――そういう意味では、いろんな可能性が存在していますよね。ではご自身の試合についてお聞きしたいのですが、ポラリスに関するお話の前に、今回ADCCオセアニア&アジア予選にはエントリーしなかったのには何か理由があるのでしょうか。

「もともとADCC予選に参加するつもりがなかったです。全く興味がなかったわけではないのですが、ポラリス出場の話が決まった時点で、オセアニア&アジア予選はいつ行われるのか――という感じだったんですよね。それまで大会が延期されたりしていて、ポラリスが決まってからADCCオセアニア&アジア予選が発表されました。だから、そのどちらかで悩むということはなかったです。それと僕は体格が小さくて、ADCCには適正階級がないんですよ」

――ADCCは最も軽い階級でも66キロ級、高橋選手は今回ポラリスでは61.2キロ以下で試合をします。

「はい。当日計量の61.2キロでも、少し体重が足りていないかな、というぐらいなので。自分よりガッチリ体の大きい相手と立ちレスをやらないといけないADCCよりは、61.2キロでサブオンリーの試合ができるポラリスのほうが適していると思います。ADCCとポラリスの二択になれば、迷いなくポラリスを選びます」

――高橋選手にとって、ポラリスという大会はどのような価値を持っていますか。

「大きなチャンスだと考えています。これは世羅(智茂)さんもインタビューで言っていたのですが、世界で勝つかどうかが評価の分かれ目になりますよね。僕が試合をする意味というのは、世界で勝つことによって、自分の技術に関する学説みたいなものを主張することです。最先端の技術を持つ人たちの中で勝つことにより、自分の意見を放り込んでいきたいです」

――では、そのポラリスで対戦するトミー・イィプの印象を教えてください。

「動画を探しても、あまり出てこないですよね……。ギの試合があっても紫帯時代の映像で、参考にならないと思います。最近のグラップリングの試合を見ると、バックテイクで勝っていました。動きを見るとバックテイクが得意な感じですよね。

実際に試合で触ってみないと分かりませんが、極められるんじゃないかなと、ボンヤリ思っています。まぁ、僕は目の前にあるものを触って、その関節を壊すだけなんですけど(笑)」

――それがグラップリング、サブオンリーの本質ですよね。

「バックテイクするということは、足関節に対してバックテイクで切り返してRNCを極める技術体系ですよね。そういう正当な柔術をやってくるとは思いますが、そうなると自分の言っていることと噛み合うのかなと思います」

――バックを奪われずに足関節を極める、まさにレッグロック4.0です。

「言葉だけで複雑な話をしてしまって、すみません(苦笑)。レッグロックはまだ終わっていない。僕の中では次が見えている。皆さんには試合で、その可能性を見せたいと思います」


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【Polaris20】ポラリスへ、高橋サブミッション─01─「ビジネス的な役回りをする人が、業界に必要」

【写真】先人のいないことをサブミッションはやろうとしています。そして、彼の言っていることはMMAも同じかと思われます(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土)、英国ウェールズのニューポートにあるウェールズ国際会議場で開催されるPolaris20に高橋Submission雄己が出場し、トミー・イィプと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

5月上旬にグラップリングの本場である米国へ渡り、NAGAニューオリンズ大会でノーギ・エキスパートクラスのフライ級とフェザー級で優勝したという高橋。彼はなぜ米国に向かい、現地で何を見てきたのか。貴重な米国グラップリング事情を語ってくれた。


――5月14日に米国で開催されたNAGAに飛び入りで出場し、2階級で優勝されたとのことですが、この飛び入りというのはどんな経緯があったのでしょうか。

「もともとNAGAには出ようと思っていたんです。これは話が前後するのですが――まずポラリス出場が決まった時点で、それまで海外で試合をしたことがなかったんですね。そこでポラリスの前哨戦としてNAGAに出ようと考えていて。その折にONEでルオトロ兄弟やマイキーとかが試合をし始めていました。

僕は去年からIREのプロデューサーとなって、ABEMA TVさんと懇意にさせていただいているんですね。そこでABEMA TVの北野雄司さんから『ONEのグラップリングの動きは無視できないのでは?』と言われたんです。ルオトロ兄弟やマイキーがONEで試合をするタイミングで、シンガポールでこうしたグラップラーたちの映像を撮らないかと。ちょうど僕は米国へ行こうという計画があって。米国に行けばONEの契約選手なり、他のグラップラーがいるので、彼らを撮影するのはどうですか? という話になり、ABEMA TVのお仕事絡みで米国へ行くことになりました」

――そうだったのですか。

「そうなると優先順位としては、青木さんの試合の煽りVを撮らないといけないので、まずルオトロ兄弟を取材しないといけない。取材へ行ったときに練習することもできれば、米国で練習するという目的も合致するので良かったです。

ただ、ルオトロ兄弟のスケジュールが……海外の選手って、そういう取材スケジュールが前後することって、よくあるじゃないですか。まずはルオトロ兄弟のスケジュールを抑えないといけない。そのために僕の都合は後回しにしなければいけない。そういった事情から、ギリギリまでNAGAに出られるかどうか分からなかったんです。結果、撮るものは撮れたのでNAGAに出場することができた、という経緯がありました」

――かつて日本人選手がブラジルへ練習に行くと、日本人からすれば現地の選手たちが時間にルーズで、伝えられた時間に選手たちが集まってこないというお話は聞きました。

「僕はそれほどルーズな海外事情の煽りを受けたことがないのですが、伊藤健一さんがジョン・ダナハーのジムへ行ったら、ダナハーが自分のクラスなのに1時間半ぐらい遅刻してきて、会員さんがみんな怒っていたという話は聞きました(笑)」

――アハハハ、現地では何が起こるか分からないので大変ですよね。しかし撮影、練習、試合と希望していたプランは全て叶えられたということですか。

「はい。いわゆる映像の撮れ高や編集の出来については僕も分からないのですが、僕自身の希望としてはルオトロなり、ジオ・マルチネスなり、ダナハーのところにいるジョナサンと組むことができました。エディにクラスにも参加できたし、NAGAにも出られたしで、僕の希望は叶えられたと思います」

――そのような米国の情報を聞くと、日本のグラップリングにも同様のビジネスが持ち込めるかもしれないですね。

「持ち込めるというより、持ち込まないといけないと思っています。日本のグラップリング界には、各ステークホルダーをつなぐプラットフォームのようなことをしている人が全くいません。つまりビジネス的な役回りをする人が、業界に必要です。そこで僕自身が、そういう役回りをするのも有りだなと考えています。たとえばプライベートレッスンの予約ができるような、グラップリング版ホットペッパーを創るとか」

――それは面白そうですね! 他にも米国での取材、練習、試合を通じて見えてきたものはありますか。

「まず米国と日本で、グラップリング界の構造自体が全く違う、というわけではないと思ったんです。もともと僕の中にも、日本と米国のグラップリングは全く違う世界だという気持ちがありましたが、米国に倣って日本も伸ばしていけばいいと思うところはあります。ただ、人口も業界の規模も違い、それなりに成熟していっている米国には、技術を売り買いするプラットフォームがありますよね。たとえばBJJ FANATICSとか。これから日本のグラップリング界が整備していかないといけない点などが、自分の中でもクリアになりました」

――BJJ FANATICSは、有名選手がオンラインで技術動画を販売するプラットフォームですよね。米国では、そのような仕組みが普及しているのですか。

「そう思います。たとえば今回ニューヨークで、ヘンゾ・グレイシーの道場のヘッドインストラクターと『英語圏の人なら、英語の技術動画のプラットフォームを観られるから良いですよね』という話をしていた時、こんなエピソードを教えてくれたんです。

昔、ダナハーの大ファンでヨーロッパの片田舎に住んでいる方が、出稽古に来た時のことです。そんな片田舎では柔術の練習相手が誰もいない。でもダナハーが大好きだから、動画でダナハーのサドルシステムを学んで、友達を相手に打ち込みをし続けていたそうなんです。ダナハーの言っていることは、動画から全てインプットしている。でも練習相手がいないから、旅行がてらグラップリングの本場に来てみた、と。それでダナハーのアカデミーに行き、ゲイリー・トノンとスパーをしてみたら、トノンと互角の実力を持っていたそうです(笑)」

――えっ!? 動画を見てゲイリー・トノンと互角レベルにまで……。

「やはり現代のグラップリングは情報戦だな、と思いました。これは極端な例ですけど、すごく面白い話ですよね。勤勉な人が勤勉に学び、インプットとアウトプットを繰り返していたら、理論上はそこまで伸びるわけです。あくまで理論上ではありますけど。

たとえ、そこまでのお話ではなくても、一部の最先端を行っている人たちがどんどん先に行って、地方は取り残されているという状況が、日本は多いので。今でいうとBJJ Laboとか、BJJ FANATICSの日本版のようなものが立ち上がっていて、精力的にやってくれています。それはすごく良い動きだなと思っています。そういったプラットフォームの規模がもっと大きくなり、いろんな技術が末端の人まで広まれば、業界の底辺拡大にも繋がりますよね。もちろん動画を販売しているトップ選手にもお金が入るシステムですから、日本の柔術&グラップリング界にも良い影響を及ぼすと思います」

――なるほど。技術面についてはいかがですか。

「おそらくコレはまだ米国の人たちも言語化できていないのだろうな、と思ったものがあります。実は僕が最先端を行っているんじゃないか、と思うものなんですけど(笑)」

――ぜひお願いします。

「レッグロックが流行り始めたじゃないですか。エディ・カミングスとか、ダナハー一派のゲイリー・トノンたちがサドルロックなどを使い始めて、内ヒールをバンバン極める時代がありました。これは宣伝っぽくなって申し訳ないんですけど……僕は先日『レッグロック4.0』という教則DVDを出したんです。実はレッグロックもアップデートされ続けていて、今はバージョン4.0まで来ているという意味なんですよ」


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【Gladiator018】河名マスト戦へ、森戸新士─02─「倒されても2ポイント、引き込んでも2ポイント」

【写真】このように頭に触れることができるか。触れたら何が起こるか。そこからが楽しみな一戦だ(C)MMAPLANET

26日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator018で、河名マストとPROGRESSフォークスタイルグラップリングルールで対戦する、森戸新士のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ここでは河名マスト戦について語っているが、その中で意外な(?)事実が発覚! 何より本人が最も対戦を楽しみにしているような、森戸の河名マスト対策を訊いた。

<森戸新士インタビューPart.01はコチラから>


――河名マスト戦についてお聞きします。今回の試合順がセミ前となりました。

「知った時は驚きました。嬉しかったですね。グラップリングの試合で、セミ前にもってきていただけるなんて……。江木さんの試合(松木一郎とのコンバット柔術ルール戦)も、僕の試合の前に行われると聞いています」

――まず対戦相手が河名選手に決まった時は?

「オファーを頂いたのは5月でした。最初のお話では『東京からレスリングが強い選手を連れて来る』と聞いていたんです。そうしたら、本当にレスリングが強すぎる選手になって……まさか世界レベルの選手が来るとは(苦笑)」

――河名選手はU-23世界選手権王者ですからね。

「長谷川(賢)さんが、わざわざそう言ってくるということは、本当にレスリングが強い選手が来るんだろうなとは思っていました。前回対戦した長田(拓也)選手も強かったですし。河名選手の名前を聞いて、おっ来たなという感じです」

――対戦相手として河名選手の名前が挙がった時点で、河名選手の試合を見たことはありましたか。

「いえ、なかったです。それこそMMAPLANETのインタビューを読んだことがあるぐらいで。僕、そんなに格闘技業界について詳しくなくて……。最近の試合もMMAなので、どこまで参考になるか分からないですけど、オーバーフックが強い選手だと思います」

――ここまで世界的な実績を誇るレスリング出身選手と対戦した経験はありますか。

「いや、対戦経験はないですね。ただ、今は広島の藤田柔術に河名選手の元師匠のような方がいまして」

――そうなのですか! 考えてみると河名選手は広島県出身ですし、幼少期から河名選手のことを知っている関係者の方がいても不思議ではないですね。

「それが……シドニー・オリンピックの代表で、そのあと全日本チームのコーチを務めていた元木康年さん(注)なんです。元木さんがコーチだった時に、河名選手が世界ジュニアで3位になっています。元木さんは自衛隊にお勤めで、転勤で広島にいらっしゃったんですよ」

注)元木康年……シドニー五輪 グレコローマン63キロ級の日本代表。1996年と1998年に全日本選手権で優勝している。MMAファイターでは倉本一真が2014年、世界選手権レコローマン59キロ級に出場した際の全日本コーチだった。

――えっ!? 森戸選手が河名選手の元コーチと一緒に練習しているのですか。

「残念ながら一緒に練習したことはないんです。僕が広島で指導する日には来られておらず……しかも、もう広島から離れることも決まっていて。河名選手とは、実はそういう縁がある、というだけのお話でした(笑)」

――アハハハ、それでも不思議な縁には間違いないですね。

「元木さんに河名選手のウィークポイントを聞けないし、聞いてもさすがに教えてくれないでしょうし。もともとレスリングはどこかで教わりたいと思っていて、練習できるところを探していました。元木さんに教わっていればよかったですね。もう転勤されるそうなので。

もし試合当日、元木さんが僕のセコンドに就いていたら、河名選手もビックリするかもしれないですけど」

――その光景は見たかったです!

「レオスに通っている岩国の米軍の方にも、レスリングをやっていた方はいますが、さすがに河名選手レベルは……なにせ世界1位ですからね。でも、そういう人と試合で組むことができるのは楽しみです。ケージでのグラップリング、つまり相手の練習環境が一番強みとして出るルールで、如何にして柔術として切り抜けるか。

河名選手はレスリング出身で、グラップリングの経験がありますからね。ロータスで八隅(孝平)さんたちと練習していて、周囲に極めの強い選手もたくさんいますし。岩本(健汰)君とも練習しているじゃないですか。だから足関節に対応できるうえで、スタンドレスリングが世界レベル……。相手の戦場に乗り込んでいく気持ちです(苦笑)」

――その河名戦ですが、対策はできていますか。

「そこはもう試合の1週間前なので(※取材は6月17日に行われた)。こちらでもケージレスリングが強い摩嶋一整さんと組んで練習しているので、大丈夫です。もともと柔術をやっている人間として、グラップリングのポイントの駆け引きも自分のほうが経験は上だと思いますし。ただ、今回のようにスタンドレスリングの差がありすぎると、選択肢は引き込みに寄ってしまうのは仕方ないです。それでも極めて勝ちたいので」

――これまでの試合は、森戸選手がポイントで先行している状態で、引き込んで極めていました。それは引き込みにより相手へポイントが与えられ、さらに自身が極めることができなくてもポイントで勝てるからだったと思います。今回はスタンドレスリングから河名選手にポイントを先行されていても引き込むこともありますか。

「あります。相手はガッツリと組んで、ケージ際で固めてくるのが得意ですよね、僕がサブミッションを狙うのを、ケージ際で止めてくると思うんです。そこで僕が組みにこだわっても……レスリング世界一の組みを味わいたいですけどね。倒されても2ポイント、引き込んでも2ポイントと同じなので(笑)」

――違う意味でチャンスであると。

「アハハハ、そうですね。実際には5分2R――1回仕切り直しになるので、戦略的には早く引き込むこともありえます。残り2分もない状態で引き込んでから、ポジションをつくって極めまで持っていくのは、あのレベルの選手が相手では難しいと思いますし。むしろ早く自分のポジションを組み立てにいかないといけないですね。

どちらにしても、もともと戦略を立てるタイプではないし、組んでみないと分からないところはあります。でも今から楽しみにしています。そして、極めて勝ちます」


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【Gladiator018】プログレスFSGで河名マスト対戦、森戸新士が語る日本グラップリング界の分岐点

【写真】森戸新士の言には、信頼感が存在する(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator018で、森戸新士と河名マストがPROGRESSフォークスタイルグラップリング戦で激突する。

森戸はこれまで、Gladiatorで組まれるPROGRESSフォークスタイルグラップリングで2連続一本勝ちを収めている。今回のインタビュー前編では、柔術で全日本選手権を制する一方でグラップリングを研究するようになったきっかけ――2019年ADCCオセアニア&アジア予選と、その舞台で感じた世界のグラップリングについて語ってくれた。


――プログレスの試合に関するお話の前に、19日に豪州で開催されるADCCオセアニア&アジア予選にエントリーしなかったのは、何か理由があるのでしょうか。

「タイミングが合えば出たかったです。エントリーしていないのは、日本開催ではなかったことが大きいですね。豪州へ行こうと思ったら、自分の道場を1週間ぐらい空けなければいけないのですが、そのための人繰りがつかず……。

それと予選の開催延期が続いていて、シンガポールで開催されると発表されてからチェックしていたんですけど、いつの間にか6月19日に豪州開催が決定していました。僕がそれに気づくのが遅くて、準備が間に合わないと思いました。岩国と広島で道場を運営していて、すぐに身動きが取れる状態ではないので」

――なるほど。

「正式決定も、それほど話題になっていなかったですよね。僕もチェックしていたつもりではあったのですが、ちょうど同じ日に自分の道場で、女性とキッズ向けの柔術大会を開催することになっているんです」

――えっ、レオス主催の大会ですか。

「レオスと藤田柔術、それから江木(一郎、NR柔術)さん主催という形です。大人の男性も含めると人数も多すぎるので、今回は女性とキッズの大会にしています。外部の方も参加していただくオープンの形で、60名ほど参加してくれることになりました。うち30名ほどはレオス柔術の会員さんたちですが、広島、岡山、福岡からも参加者があります」

――それだけの規模の大会を開催するとなれば、なかなか動きづらいのは確かですね。

「そうですね(苦笑)。ただ、急きょ開催を決めたので、ずっとこの日にやろうと思っていたわけではないです。あとは7月24日に岩国市内の体育館を借りて、大人の男性も含めた柔術大会を行います。

選手にとっても大会が行われれば目指すものがあって、成長できると思います。JBJJFも今年は広島で大会を開催するのかどうか分からない状態で。キッズの大会に至っては全然なく、ドゥマウやSBJJFの九州大会や大阪大会に遠征していました。そこは協力できるよう、エジソン籠原さんと話をしていますが、それ以外に自分たちでも大会を開催しようと。他の大会よりも参加費の面では敷居を低くして、それでも利益は出るように設定して大会を継続できるようにと考えています」

――練習会だけでなく、大会も中国地方では岩国が中心になっていきそうですね。ADCCの話に戻すと、2019年の予選で森戸選手は77キロ級で初戦敗退という結果でした。いま振り返って、当時はグラップリングに対してどのような印象を抱いていたのでしょうか。

「ラクラン・ジャイルスと対戦して、インサイド・ヒールフックを極められて負けました。そのままラクラン・ジャイルスは世界大会の無差別級でヒールフックを極めまくって、一気に有名になったじゃないですか。そのヒールフックを体感できたことは、良い経験になったと思っています。

あの時はラクラン・ジャイルスが豪州から強い選手をたくさん連れてきていて、世羅(智茂)選手も66キロ級で負けていましたよね(準々決勝でジェレミー・スキナーに一本負け)。でも同じ階級では岩本健汰選手が足関節をバンバン極めていて……。そうした足関節の流れを初めて感じたのが、前回のオセアニア&アジア予選でした。その最先端の流れが日本ではあまり見られていなくて、世界大会を目指す強い選手が集まり、最先端の攻防を繰り広げてくれたという印象です。

僕も当時はギばかりやっていて、グラップリングについては最先端の技術を研究しきれていませんでした。そこから僕も足関節とか、グラップリングを研究するようになりましたね」

――当時は森戸選手の中で、ギの練習をしていればグラップリングでも通用するという考えがあったのですか。

「通用するというか、グラップリングの大会自体が少なかったんですよね。そのあとに勝村(周一朗)さんがZSTのグラップリング大会を開催したり、グラップリングの大会も増えていったじゃないですか。その前に行われたのが前回のオセアニア&アジア予選で、僕もメインの練習はギでしたし、大会がないとグラップリングの練習も行わなくて。もちろん予選前はグラップリングの練習をしましたけど、それもギのクラスの後に藤田(善弘)先生と二人でやったり……というレベルだったので。力を入れた練習はできていなかったです。

そう考えると、2019年のADCCオセアニア&アジア予選が、日本グラップリング界にとっての分岐点になったのかもしれないですね。あの時点で岩本選手は体現していたと思います。もうグラップリングで行くと。日本にそういう選手が出始めて、高橋SUBMISSION雄己君のようなグラップリングに専念する選手もいたり。その前にグラップリング専門の選手はいなかったですし」

――その岩本選手も、MMAPLANETのインタビューで「もうサドルからエントリーする戦い方をしても勝てない」という発言をしています。

「カウンターのディフェンスの技術が上がっていますからね。サドルを取ったら裏に回ってベリンボロ、みたいなことをATOSの選手がやり始めて。今では、みんなその技術が高まっていて……。確かに足関節だけでバンバン極めるのは難しいでしょう」

――そのなかで、森戸選手はグラップリングの技術に関して、どのようにアップデートしているのでしょうか。

「やっぱり教材と試合動画ですね。今はWho’s Number Oneとか。ADCCは前回の世帯会を見たとしても、そこから結構変わっていると思います。それだけ技術の進化が速いです」

――教材とは、オンラインで視ることができるものですか。

「はい。ジョン・ダナハーやゴードン・ライアン、ラクラン・ジャイルスとかですね。試合だと、ミカ・ガウヴァオンはどんな動きをしているんだろうか、と思って見たり。

ただ、そういった動画を見ていると世界との差は感じます。しかも自分がその技術を身につけた時点で、教材を出している選手はその先に行っていて……難しいですよね。一番手っ取り早いのは、その現場に行くことなんですよ。だから今回、高橋君が米国に行っているのは良いなと思いました。僕も道場で大きな利益を出して、定期的に米国へ練習に行けるよう頑張ります(苦笑)」

<この項、続く>


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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o ONE Progress YouTube コンバット柔術 マイキー・ムスメシ 今成正和 海外 秋山実

【ADCC2022】ADCC予選出場、ゴリる秋山実─02─「日本の試合は、相手が練習仲間になることが多い」

【写真】ゴリるのリングネームでNEXUSなどでMMAに挑む秋山。MMA戦績は3勝1敗だ(C)NEXUS

豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで開催される『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』の66キロ級に出場する、秋山実のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

今成正和からグラップリングを学び、試合では常に足関節を取りに行く。まさに今成スタイルでグラップリング界では、知る人ぞ知る存在だった。そんな秋山が米国の10thプラネットでの練習経験、日本での練習について語ってくれた。

<秋山実インタビューPart.01はコチラから>


――今成柔術での練習が楽しそうですね。

「楽しいですねぇ。先生のおかげで、いろんな選手とも練習させてもらえるんです。ただ、強い選手と練習し続けていると、やっぱり疲れてきますよね。でも先生のおかげで、それが嫌にならないような、ずっと続けたいと思うバランスで練習できています。先生って、練習しろとは言わないんですね。自由にどうぞ、休みたかったら仕方ないと。それで毎日来ている方が多いし、そんな感じで自由です」

――いろんな選手との練習……ONEで対戦したマイキー・ムスメシが試合後に、今成選手と練習したいと言っていたそうですね。

「マイキーは、本当に日本へ来るみたいですよ。まだ詳しいことは言えないですけど……。あの時は試合後、マイキーもくるぶしから下が赤くなっていて。先生が負けましたけど、足は効いていたのだろうなと思います」

――それは楽しみです! ちなみに秋山選手は柔術でいえば何帯なのでしょうか。

「それが……以前、10thPlanetへ行ったことがあるんですね。クラヴ・マガの本部は10thPlanetの近くにあって。クラヴ・マガのインストラクター資格を取るために本部へ行った時、10thPlanetでも練習したんです。ただ、10thPlanetのラバーガードや足関節のクラスに出ようと思ったら、『帯は何色だ?』と聞かれて。その時点では青帯だったんですけど、青帯では出られないクラスだったようなんです」

――そのクラスには、紫帯以上でなければ出られなかったのでしょうか。

「それで日本にいる先生に連絡したら、紫帯あげます、って(笑)」

――……。

「翌日また10thプラネットへ行って、今成先生から紫帯をもらったと伝えたら、クラスに参加できるようになったんですよ。そこで、イマナリロールを使うことで有名なマーヴィン(・キャステル)とスパーリングしたら、『お前は全部のクラスに出ていいよ』と言ってくれて」

――アハハハ、実力で認めさせたわけですね。

「マーヴィンもエディ(・ブラボー)に連絡してくれて、エディから『イマナリの弟子なのか? 足関節ができるならOKだ。スパーから参加していいよ』と。クラヴ・マガのインストラクター資格を取るのに1週間かかるんですけど、それが終わってからさらに1週間、10thPlanetにいました。あれからも何回か10thPlanetで練習させてもらっています。先生のおかげで、海外のどこへ行っても練習させてもらえるので、本当にありがたいです」

――今成柔術所属で10thPlanetでも練習していると、コンバット柔術に興味を持つことはないですか。

「特に何の試合をしたい、どんなルールに挑戦したいという意識はないんですよ。ADCCの試合もMMAの試合(NEXUSに出場)も、強度の強い練習みたいな感じです。試合に向けて練習するというよりは、練習が楽しいから練習したい。試合をすれば強くなれて、強くなるとまた練習が楽しいから試合をする。そんなイメージなんですよね」

――結果、どのルールでも足関節を極めています。それもまた今成スタイルですか。

「そうですね。昔、先生がどこかで言っていたようにパスせずに足を取ります。先生みたいに『取ればいい』と思っています。練習でも最初に先生が形を見せてくれたら、あとは細かい説明はいらなくて。先生が取っているようにやったら、それで取れるようになるので。だいたいは先生がやっているのを見て盗みます。反対に私が『先生、こうやっていたじゃないですか』と聞いたら、『あぁソレはこうで……』と説明してくれるんです(笑)」

――なるほど(笑)。ではADCCという大会に対しては、どのような印象を持っていますか。

「もともと、あまりよく知らなくて。2019年に日本で予選が行われた時、豪州から参加した選手が、今成柔術へ練習をしに来たんです。そこで私もスパーをしたんですけど、先生が『この人たちはADCCに出るんだよ』って。私にとっては、ADCCって何ですか、というところから始まりました。今回も聞いたら優勝するには1日6試合ぐらいしないといけないみたいで……半分ぐらい勝てればいいかなと思っています。あるいは1回でメチャクチャ強い選手と対戦して、負けても『あの人と試合したんだよ』と言える経験ができればいいですね(笑)」

――そのなかで秋山選手にとってADCCにチャレンジする意味とは?

「日本でグラップリングを突き詰めてやっていくと、練習仲間も限られてきます。それで試合に出ても、相手が練習仲間になることが多くて。何も練習仲間と試合しなくても……と思っちゃうんですよね。

コロナ前は、海外のグラップラーが日本に来た時、まず今成柔術で練習するみたいな流れがあって。おかげでいろんな選手と練習することができていました。2019年に豪州の選手が来た時は、ジェレミー(ジェレミー・スキナー、2019年オセアニア&アジア予選66キロ級で3位に。今回も同級に出場する)と練習させてもらえたり。やっぱり海外の強い選手と練習するのは、すごく面白いんですよ。

今は海外の選手が日本に来ることができないので、だったら自分が海外へ行って試合をしてみたいなと思って。海外に行けば、初めて会う選手と本気で戦うことができる。どれくらい強いんだろう? そう考えると楽しみです。そういった強い選手と試合をして、自分自身も強くなりたいです」

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o Progress YouTube 岩本健汰 筋トレ

【ADCC2022】ADCC予選出場、岩本健汰─02─「予選を勝つだけでは意味がありません」

【写真】MMAの練習でトータル・グラップリングが強くなっている岩本(C)MMAPLANET

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで開催される『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』77キロ級に出場する、岩本健汰インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

2019年大会はオセアニア&アジア予選を勝ち抜き、世界大会に出場した岩本。あれから3年の間に起こった変化と、予選大会に向けた自信を語ってくれた。

<岩本健汰インタビューPart.01はコチラから>


――グラップリングがMMAに近づいている?

「だから僕がMMAという別競技の練習をしていてもグラップリングの試合に対応できるのは、MMAの練習を通じてその部分を強化してきたからなんです。上を取って潰すという攻防が、MMAでは重要になっています。その部分を強化してきたので」

――ルールの違いがどうではなく、そのルールにどうアジャストするかですね。ただ、ADCCはマットで行われるので、ケージの有無は大きくはないですか。

「ケージの有無は大きく変わってくるので、最近はあまりケージレスリングはやらないようにしています。スパーリングでも相手の方が、あまりケージを使わないように配慮してくれていますね」

――なるほど。2019年は66キロ級に出場しましたが、今回は77キロ級にエントリーしています。階級を上げた理由は何だったのでしょうか。

「3年前より体が大きくなっているので、減量がキツくなりました。だから77キロ級に上げました」

――それは自然と体が大きくなったのですか。それともトレーニングで大きくしてきたのでしょうか。

「自然と大きくなりましたね。練習していたら筋量がついてきた、という感じです。ウェイトトレーニングとかは全然していなくて、グラップリングで力を使うということをしてきたので。それで自然と筋肉がつきました」

――ということは、現在の体つきはレスリングをやりこんできた証なのですね。

「そうですね。レスリングの練習をすると、自然と筋トレになります」

――今はグラップリングのために、どのような環境で練習しているのでしょうか。

「IGLOO、ロータスと指導先で練習したり、指導先だとリバーサルジム東京スタンドアウトとMe,Weでグラップリングをやっています。あとはグラントのジム(グラント・ボグダノフのALMA FIGHT GYM LIFE)で練習したり、兄がいるジム(兄の岩本翔太が所属しているシュプラネル柔術アカデミー)でギの練習をやったりします」

――現在もギの練習をしているのですね。

「本当はノーギの練習のほうが良いんですけど、レスリングの攻防をロータスでやって、さらに寝技の攻防で足りないところ補いたくて、ギの練習をしています。ノーギだけで確認できる環境が少ないので」

――すでに出場選手リストは発表されています。77キロ級に出場するなかで、気になる選手はいますか。

「ひと通り、これは強そうだなという選手はチェックしました。特に見たのは、韓国のノ・ヨングァン選手ですね。2017年のアジア予選77キロ級で優勝している選手です。ただ、もともとセアニア&アジアの中では勝てると思ったので、今回はエントリーしました。前回は日本開催だったので、とりあえず出てみたんですよね。今回は豪州まで行く価値はあると思いました。勝てる自信があります」

――77キロ級には日本人選手が多数エントリーしています。

「僕が知っているところだと、竹内(稔)さんと世羅(智茂)さんですか。世羅さんとの再戦があるかどうか……50人以上出る階級なので、当たる可能性は少ないですかね。もちろん勝ち進んでいけば、決勝で当たるかもしれないですけど。とにかく1日で5試合か6試合勝たないと優勝できないので、すごくハードなトーナメントです」

――グラップリングの世界には様々なルールと大会が存在しています。その中でADDCとは、岩本選手にとっては世界最高峰の戦いなのでしょうか。

「もちろんです。出場しているメンバーが、他の大会とは全然違います。世界大会に出ている選手は、ほぼ全員が有名選手ですから。そういう大会は他にないと思います」

――その世界大会では前回、1回戦でパウロ・ミヤオに敗れました。あれから3年、岩本選手の中ではどんな点が変わりましたか。

「前回は単純に、スキルが足りなかったです。攻撃が下からの足関節ばかりになっていました。今回は、もちろん下からの攻撃に加えてレスリングとトップゲームもできるようになったので、幅が広がったなと思います」

――77キロ級ということで、減量もそれほど厳しくはないのでしょうか。

「ほぼ減量無しですね。1キロぐらい水抜くかもしれないですけど。ADCCは階級の幅が広いじゃないですか。77キロの下が66キロ、11キロの差がありますよね。それなら77キロのほうが――と思っています」

――では最後に、オセアニア&アジア予選への意気込みをお願いします。

「世界大会に向けてたった一人、オセアニア&アジアの枠があります。それは獲りたいと思っていますし、僕は獲る自信があるから出ます。ただ、予選を勝つだけでは意味がありません。世界大会の77キロに出ているのは、すごい選手ばかりです。そこに入って結果を出したいですね」

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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HEAT50 MMA MMAPLANET NavE o Progress コンバット柔術 中川皓貴 原口央 松本一郎 森戸新士 江木伸成 河名マスト 生田誠 竹本啓哉 笹晋久

【Gladitor018】充実のラインナップに、プログレス提供コンバット柔術→松本一郎×江木伸成が加わる

【写真】掌底でダメージを与えるのか。掌底を掻い潜って極めを狙うのか――(C)MMAPLANET

10日(金)、PROGRESS事務局より26日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGladiattor018で、コンバット柔術バンタム級10分1Rマッチ=松本一郎×江木伸成が組まれることが発表されている。

原口央×中川皓貴、笹晋久×竹本啓哉、フォークスタイルグラップリングでは森戸新士×河名マストなど興味深いカードが揃う同大会に、味のある一戦が加わった。


松本は2019年JBJJF全日本の黒帯ルースター級で3位で、全日本マスターでは紫から茶で3連覇をしており、今年1月にはグラジ内プログレスのフォークスタイルグラップリングに出場し、グラジ・フライ級王者NavEに2-6で敗れている。

とはいえなれないMMAグローブ着用下においても、ポイント献上覚悟で引き込み自らの柔術を貫いた。

対して森戸新士率いるLEOS柔術アカデミー所属の江木は紫帯で全日本優勝、茶帯でアジア3位入賞経験がある。5月7日のHEAT50で生田誠とコンバット柔術で戦い、レフェリー判定勝ちを収めている。

なお今回よりプログレス提供のコンバット柔術は10分1R制、時間切れはドローにレギュレーションが変更されている。初めて掌底ありに挑む松本、前回は足関節のエントリー中の掌底など、果敢かつポーカーフェイスで掌を振るっていた江木、両者がコンバット柔術ルールにおいて、どのような柔術を体現するのか楽しみだ。


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Gladiator018 MMA MMAPLANET o Progress UNRIVALED   コンバット柔術 ジェイク・ウィルキンス パンクラス 中川皓貴 修斗 原口央 天草ストロンガー四郎 山本健斗デリカット 島村裕 森戸新士 河名マスト 濱村健 狩野優 長田拓也

【Gladiator018】来たぁ!! グラジで森戸新士×河名マストのフォースタイルグラップリング戦決定!!

【写真】一体どのような攻防が見られるのか!!(C)MMAPLANET

1日(木)、PROGRESS事務局より6月26日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGladiattor018で、フォークスタイルグラップリング72キロ契約5分2Rで、森戸新士×河名マストが組まれることを発表した。

今年の1月からグラジエイター、そしてHEATでスクランブルを考慮したポイント制のフォークスタイルグラップリング戦、掌底有りのコンバット柔術戦、サブオンリーグラップリング戦を行ってきたプログレスが、大注目の組み技戦をグラジに提供した。


昨年のIBJJF全日本黒帯ライト級優勝、自ら主宰する岩国のレオス柔術アカデミーではMMAファイターとの技術交流も盛んな森戸は、これまでフォークスタイルグラップリングマッチでは1月にグラジエイター016で組まれた濱村健戦、4月のグラジ017では長田拓也と対戦し、それぞれ三角絞めと腕十字で一本勝ちを手にしている。

下になると2Pを献上するルールのなかでも、森戸はケージ際でオーバーハンドから跳びつくという動きを見出し、柔術家らしくガードからMMAファイターをフィニッシュしてきた。

対して同ルールに初めて挑む河名はU23世界を制したグレコローマンレスラーで、昨年7月にMMA初戦を戦った。ジェイク・ウィルキンスのハイでTKO負けを喫したが、その後はハイペースで試合を続け5連勝中、2月のEX FIGHTでは狩野優、4月のPOUNDSTROMでは山本健斗デリカットとパンクラスと修斗のランカーを連破している。

とはいえ今回の森戸と河名のマッチアップでは、河名はMMAファイターというよりもグレコローマンレスラーとして注目したい。柔術後グレコ、両競技とも密着が前提で如何に自分の形で組めるかが試合の優勢を決定づける。

河名は昨年11月にこれもポイント有りのグラップリング大会=Unrivaledに出場し、最強のアマMMAファイターで柔術でも活躍してきた村山大介を相手に、強烈なオーバーフックの強さを見せている。

ワキの差し合が圧倒的に強いグレコレスラーの河名が、オーバーフックでの頑強さも見せて下になることがなかった。

が、プログレスのフォークスタイルグラップリングは、米国カレッジレスリングと同様に、グラウンド状態では腕を組んでのクラッチは絞め技を仕掛ける際は認められない。

果たして河名は胸や大腿部を駆使し、リストコントロールやアンダーフックで得意のバックコントロールができるのか。この状態になると、森戸は引き込み上等──背中を見せるのではなく、背中をつけて勝負をかけてくるに違いない。

そうなるとハーフやディープハーフから仕掛けに対し、河名にどれだけの耐久性があるのか。MMAでは見られない局面も出てきそうだ。

グレコのボディコントロールは、体の幹を支配すること。対して柔術のコントロールとは、先端を利用して相手をひっくり返す、もしくはサブミッションに入る術だ。幹と枝の制圧合戦、森戸×河名がどのようなコントロールを見せるのか。そこにケージというファクターが影響を与えることがあるのか。楽しみでならない広島✖広島の組み技マッチだ。

なお同大会では、メインでグラジエイター・フェザー級チャンピオン原口央✖中川皓貴、コメインで天草ストロンガー四郎×島村裕というパンチがあるなかで組み比重の高い、MMAマッチが組まれている。


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o Progress YouTube   コンバット柔術 江木伸成 生田誠

PROGRESSコンバット柔術 5分2R66㎏以下契約 生田誠(トラスト柔術アカデミー)vs江木伸成(藤田柔術)

2022/5/7
PROGRESSコンバット柔術 5分2R66㎏以下契約
生田誠(トラスト柔術アカデミー)
vs
江木伸成(藤田柔術)