【写真】ストロー級転向にあたり、自らザキロフを指名したという和田。ストロー級最強に向けた戦いが始まる(C)TATSUMITSU WADA
11日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN27で、和田竜光がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
7月にシェ・ウェイに判定勝利した和田は試合後にストロー級への転向を表明。2025年最初のONE FNがストロー級転向初戦となり、対戦相手はロシアのザキロフに決まった。
ランキングにこそ入っていないザキロフだが、ONEでは本田良介をKOした試合も含めて3戦3勝。和田も「実力的にはジャレッド・ブレックスの2番手にいる」と認める強敵だ。
和田はストロー級で戦う上でザキロフを自ら指名したことを明かし、「ストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言える」と語った。
――ストロー級転向初戦でサンザール・ザキロフとの対戦が迫ってきました。ザキロフ戦はどういった経緯で決まったのですか。
「話があったのは10月の後半くらいですね。前回の試合(7月にシェ・ウェイに判定勝利)が終わったあと『次からはストロー級でやりたい』という希望は伝えていて、それまでに試合の話はあったんですけど、色々と調整していくなかで1月の頭の大会でまとまった感じです。対戦相手に関してはザキロフとやることには何も問題はなかったので、そこはトントン拍子で決まりました。
というのも元々ザキロフは10月に箕輪(ひろば)君と試合が決まっていて、箕輪くんが交通事故に遭って、試合が飛んだじゃないですか。あの時に自分のSNSでも(ザキロフに)『俺とやらない?』って発信して、それをONEにも伝えてたんです。それもあってこのタイミングで色々とハマッた感じです。多分ザキロフと試合したい人もあまりいないだろうし、ザキロフも箕輪戦が飛んで試合をしたかったと思うんで」
――なるほど。一選手としてもザキロフには惹かれるものがあったのですか。
「僕がONEのストロー級を見ていて、ジャレッド・ブルックスが実力的にちょっと抜けていると思うんですよ。2月にブルックスとジョシュア・パシオが試合しますけど、僕は2番手にいるのがザキロフかなと思っています。
ランキングには入ってないけど、実力的にはそこですよね。ちょうど僕もストロー級に落として一発目で、いきなりランカーとやれればよかったですけど、まだストロー級では何の実績も残してなかったんで、そうなったらザキロフがちょうどいいじゃんと思ってました」
――ランキングには入っていない。でもトップクラスの実力がある。そういう相手と戦うことはリターンが少ないと思う選手もいると思うのですが、和田選手は実力がある相手とやりたいと思っていたのですか。
「今までのプロ生活でもそうなんですけど、僕は強い相手から避けて試合するつもりは一切ないんで。主催者からこいつとやれと言われればやりますって感じですけど、出来るならそういう強い選手とやりたいなっていう思いは常にあります」
――改めてザキロフの対戦相手としての印象はいかがですか。
「ストロー級っぽくない体型で、戦い方がちゃんとしているというか、ウェルラウンダーですよね。ストロー級は小柄でがっちりしていて、戦い方も偏ってる選手が多いじゃないですか。パワフルだったり、テクニカルだったり。その中でザキロフは自分みたいな感じかなと思います」
――自分と似ている部分があると感じますか。
「テイクダウンの方法はちょっと違うんですけど、打撃でプレッシャーをかけてテイクダウンに繋げて、トップコントロールで相手を削ってバックからRNCを狙う。 で、相手が起きてきたら、また打撃で仕掛けてテイクダウンにいく。打撃と組み技を連動させるという部分の考え方としては似てると思います」
――試合を見ているとパワフルさや力強さが目立つ選手ですが、そういった相手を攻略するイメージはできていますか。
「確かに試合を見ていて、テイクダウンが強くて、打撃も強くて、トップコントロールも上手で、 それこそロシアスタイルみたいな感じで、完成度が高いなとは思います。ただ組みで言ったら上久保(周哉)の方が強いでしょっていう。俺は普段から上久保と組んでんだぞっていう、自分への自信というか。
僕が上久保に練習で勝っていたら話は早いですけど、僕は上久保にやられてる側なんで、胸を張って自信があると言えないところがありますけど(苦笑)。でもそういう組みの強い相手は普段から体感しているので、ザキロフの組みが多少強かろうが、そこまでびっくりすることではないだろうなと思います」
――ザキロフの組みが強かったとしても、その強さまでイメージできているようですね。
「あとはこの前(12月)ブルックスがフライ級でリース・マクラーレンとやった試合を見て、やっぱりこのぐらいかっていう感じがあったんですよ。ストロー級のトップでも(フライ級でやっていた)自分とは差があるというか。
(ブルックスとやって)負けちゃうんじゃないかとは思わなかったんで。ブルックスが強いのは分かるし、実際に触れてみたら強いんだろうけど、あのぐらいだよねっていう」
――直前にブルックスとマクラーレンの試合があったことで、フライ級とストロー級の違いを見ることができた、と。
「もともとそう思っていたんですけど、改めてやっぱりそうだよね、このぐらいだよねと思いました」
――和田選手自身はストロー級への減量やコンディショニングはいかがですか。
「今のところ(取材日は1月5日)減量に関して言うと、体重は順調に落ちてます。あとは最後のところで『うわ、落ちねえ』っていう場面が来なければ大丈夫だと思います。動きに関しても、体重が軽くなって体がどうこうっていうのは、ここまでは感じてないんで、あと数キロでそこにピーンと来なければ動けるんじゃないかなというところまでは持って来ることが出来ました」
――今回の試合はランキング戦ではないですが、今後のストロー級戦線を占う一戦になると思います。この試合に勝ってタイトルを狙っていきたいですか。
「ベルトは当然1番の目標だし、変な話、ベルトにこだわってストロー級に落としたところもあるので、今回の試合で実力を証明したいところです」
――フライ級はなかなかチャンスが巡ってこないという部分もあったのでしょうか。
「フライ級はタイトルマッチが上手く回ってなかったですし、僕が今の位置からベルトを狙うとなると、もうあと何戦もやらないといけなかったと思うんですよ。実力で(フライ級のトップ選手に)劣ってるとは思ってないんですけど、僕が積んできてしまったものが、そうさせてるというか。
僕の中では負けたとは思っていない試合もあったけど、結果は負けになってしまって。そこを挽回してタイトルマッチまで行くような時間は正直もう作れない。それでいてコンスタントに試合するのが難しいとなおさらですよね」
――確かにそうですね。
「あとはストロー級という階級の話で言ったら、僕はONEが世界一だと思っています。もしフライ級にDJ(デメトリウス・ジョンソン)がいたら、DJがいる以上、ONEのフライ級が世界一かもって思えるじゃないですか。DJがアレッシャンドリ・パントージャとやってもDJが勝つんじゃね?とか。でもDJが引退しちゃって。これが(ストロー級転向の)後付けというか、結果的にそういう展開になったんですけど。
逆にストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言えると思うんです。だから僕はONEストロー級のベルトには価値があると思うし、ストロー級はONEのMMAで一番価値がある階級だと思います」
――ONEでストロー級のベルトを巻けば、間違いなく世界一になった瞬間を味わえると。
「胸を張って言えると思います。あのリングにぶっ込まれて、『ストロー級で誰が1番強いんだ?』って聞かれたときに『俺だよ!』って。ONEの他の階級、例えばフライ級もレベルは高いけど、周りは『UFCにはパントージャがいるじゃん。朝倉海がいるじゃん、RIZINには堀口恭司がいるじゃん』って言うと思うんです。でもストロー級でチャンピオンになれば、誰もが『あいつがストロー級で世界一だ』と認めるしかないと思います」
――それでは最後にこの試合を楽しみにしている日本のファンにメッセージをいただけますか。
「僕が持っているスキルを出して、それをザキロフとぶつけ合うような試合になると思います。どういう結末・最後になるのかは分からないですけど、そういった部分を楽しんでもらえたら嬉しいです」
■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT
■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)
<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)
<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンザール・ザキロフ(ウクライナ)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)