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【ONE FN15】暫定フェザー級王座決定戦は、実はパンチのタン・リー✖足・ヒザ・拳の連動フレイマノフ

【写真】どちらがコーナーに詰まるのか。そんな見所もある(C) ONE

7日(土・現地時間)、ONE Fight Night15「Le vs Freymanov」がタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催される。日本からMMAで手塚裕之、青木真也がグラップリング戦に出場する今大会は、10試合中MMAが5試合組まれている。
Text by Manabu Takashima

10日間のショートノーティス出場となる手塚はジン・テホと戦い、全ストロー級王者ジョシュア・パシオの再起戦=マンスール・マラチェフ戦。若松佑弥に敗れたフー・ヨンが、インドネシアのレスラー=エコ・ロニ・サプトラと戦う一戦など興味深いカードが続くMMAマッチ、とりはメインイベント=ONE暫定世界フェザー級王座決定戦=タン・リー✖イリャ・フレイマノフ戦だ。


7月15 日のバンコク大会で王者タン・カイに、前王者タン・リーが挑む──タン・タン対決第2弾は、チャンピオンのヒザの負傷で延期となり、すぐに回復とならなかったため暫定王座が認定されることとなった。

今回のタイトル戦、タン・リーにとっては昨年8月にベルトを失って以来の実戦となる。フレイマノフのこの間に元二階級王者のマーチン・ウェン、草原の豪腕シネチャグタガ・ゾルツェツェグをTKO、そしてRNCで破っている。

オーソ基調のスイッチヒッターのフレイマノフは、蹴り終わりで構えを変えてパンチに繋げる動きに長けている。同様の動きはパンチへの連係だけでない。スレイマノフは蹴りからヒザ蹴り、そしてウェンに決定的なダメージを与えたヒザ蹴りからストレートというバラエティに富んだ足、ヒザ、拳のコンビネーションを有している。

このスイッチはテイクダウンにも応用でき、対戦相手からすればフレイマノフの攻撃は非常に予期しづらい。その一方でテイクダウンディフェンスにも長けており、倒されてからはスクランブルよりも背中をつけて極めとスイープの連係プレーも得意な流れといえる。

そんな万能ファイターのフレイマノフだが、シネチャグタガ戦では下がったところを追いかけて左を被弾したシーンがあった。この動きを見る限り、誘って左ミドルから左の追い突き、右の返しのフックというタン・リーの鉄板パターンにハマるケースも十分にあり得るだろう。

とはいえ、下がる相手に対してフレイマノフは圧倒的な強さを発揮するファイターだけに、タン・リーとしてはより中に入る打撃戦を繰り広げたいところだ。そこから組み&柔術もタン・リーにとってオプションの一つではあるが、組みぎわにスピニングバックエルボーを合わせる達人系の技を持つのが、フレイマノフ。

一点、タン・リーもスイッチヒッターだが、前手のパンチは粗く、奥手は真っ直ぐ綺麗に相手を射抜くシーンをたびたび見せてきた。これは左右どちらにも関係なく、大きな振りで釣って、奥からのストレートを打ち抜くという計算に基づいた攻撃手段のように感じられる。

武器の多さでフレイマノフ有利と予想される一戦をひっくり返すことができるタン・リーの攻撃は、このスラッピーな右からシュアな左ストレートと、蹴り&追い突きから&返しのフックというコンビだ。

それでもフレイマノフは常に蹴りと拳が連動しており、乱打戦になるとパンチに頼りがちになるタン・リーと勝負どころで差が出ることが十分に感がられる。結果、やはりフレイマノフに分がある暫定王座決定戦といえよう。

■放送予定
10月7日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ムエタイ121ポンド契約/3分3R>
ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)
セレステ・ハンセ(豪州)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<ムエタイ174.5ポンド契約/3分3R>
バムパラ・クヤテ(フランス)
シャキル・アルテクレティ(イラク)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】タワンチャイがカード変更前に語ったこと「ONEでは純粋に勝ち負けを争うことができる」

【写真】スーパーボン戦は延期となったタワンチャイだが、彼が語ってくれたことをぜひ試合前に読んでいただきたい (C)TAKUMI NAKAMURA

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night 15。今大会でタワンチャイ・PK・センチャイがジョー・ナタウットと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初ONEムエタイ世界フェザー級(70.3キロ)王者のタワンチャイはスーパーボン・シンハ・マウインとの防衛戦を予定していたが、スーパーボンの負傷欠場により延期。米国在住のムエタイファイター=ナタウットとのワンマッチに変更となった。

2021年のONE参戦以降、シッティチャイ・シッソンピーノンにスプリット判定で敗れた以外はすべて勝利を収めているタワンチャイ。しかも判定勝利はペットモラコット・ペッティンディー戦のみと圧倒的な強さを見せている。スーパーボン戦は延期となったが、スーパーボンを含むフェザー級のトップ選手たちとの対戦が期待されていることは変わらない。

今回のインタビューはスーパーボン欠場前の9月9日に行われたもので、スーパーボンとの対戦だけでなく、ムエタイの中量級を取り巻く状況、賭けの対象からスポーツへと変わりつつあるムエタイについても及んだ。MMAPLANETとして伝えたいことが詰まっている――そんなタワンチャイのインタビューをお届けしたい。


――前回8月ONE Fight Night 13でのダビッド・キリア戦は左ミドルでキリアの腕を壊してTKO勝利という試合結果でした。あの試合を振り返っていただけますか。

「彼はもともとパンチャーなので腕を蹴ることが作戦だった。その作戦通りに勝つことができたと思う」

――ヨーロッパをはじめタイ以外の選手はミドルキックををヒザ・足でカットするのではなく、腕でブロック選手が多いです。そういう選手はずばり戦いやすいですか。

「特にそういう相手が戦いやすいというわけではないよ。選手は皆それぞれファイトスタイルを持っていて、キリアはパンチを使う選手だから腕が上がる傾向がある。だから腕を蹴ろうと思ったに過ぎない。もしキリアとは違うタイプの選手が来たとしても、自分はその選手に合わせた対策を練って戦うことができる」

――ONEのワンマッチは3Rで試合時間が短いですが、それでも蹴りを効かせる自信はありますか。

「自分にとって蹴りはメインの武器であり、キリア戦で蹴りを使ったのは彼がパンチャーだからだ。彼はいつもパンチで相手をKOしようとして前に出てくる。だから僕は自分の距離を大切にして、キリアが前に出てこられなように蹴りを使ったんだ」

――日本では3R制は蹴りよりもパンチの方が有効だという考えも多く、パンチ主体になる選手が多いです。タワンチャイ選手はそれについてどう思いますか。

「それも人それぞれの問題だと思う。自分は3Rの戦い方にアジャストすることは難しくないし、蹴りで勝つことが不可能だとも思っていないよ」

――では次戦についても聞かせてください。スーパーボン選手にはどんな印象を持っていますか。

「彼はとてもいい選手で技も多彩だ。ファイトIQも高いし、見栄えのいい試合もできる。彼と戦うことが楽しみだよ」

――スーパーボン選手も蹴りが得意なテクニシャンで、日本のファンは2人の試合がハイレベルな技術戦になることを期待しています。タワンチャイ選手はどんな試合になると予想していますか。

「本当にいい試合になると思うよ。お互いアグレッシブで攻め合うと思うから、みんなにはこの試合を楽しみにしていて欲しい」

――これまでタイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況でした。そのなかでONEが70キロの選手を世界中から集めて、試合を組んでいることをどう感じていますか。

「すごく良いことだと思っている。ONEのおかげで我々の階級の選手たちは海外に行かなくていいし、タイにいたまま階級を変えることなく海外の強豪と戦えることは喜ばしいことだよ」

――同じ階級のシッティチィがONE Friday Fights 32でイランのモハメド・シアサラニにダウンを奪われて敗れる波乱が起きました。タワンチャイ選手から見て、タイ以外の選手のレベルは上がっていると思いますか。

「ここ数年でタイ以外の選手のレベルはものすごく上がっていると思う。多くの選手がムエタイの流儀を学び、強くなっていることを感じている」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。タワンチャイ選手はこれについてどう感じていますか。

「ムエタイがギャンブルからリアルスポーツになることは本当にうれしいよ。ギャンブルの対象としてお金が関わると、色んな人たちが試合に絡むようになるんだ。でもムエタイがリアルスポーツになれば、そういったことがない。選手は純粋に自分のスキルで勝ち負けを争うことができる。本当にムエタイが良い方向に向かっていると思う」

――例えば今の若い選手・人たちもギャンブルとしてのムエタイよりもスポーツとしてのムエタイに興味を持っていますか。

「絶対的にそうなっていると思う。ここ数年でムエタイがギャンブルからスポーツに変わり、間違いなくタイの若い人たちはムエタイに興味を持つようになった。ムエタイがスポーツになることは非常にポジティブなことだし、選手のキャリアそのものもポジティブにしてくれると思う。多くのタイ人はムエタイが賭けの対象ではなくなることを歓迎しているよ」

――今回はご自身の試合だけでなく、ムエタイの現状についてまで話を聞かせていただき、ありがとうございます。試合を楽しみにしています。

「アリガトウゴザイマス!」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】急遽タワンチャイと対戦。米国在住ムエタイ戦士・ナタウット「焦ることも、驚くこともない」

【写真】インタビューもすべて英語、淡々と試合に向けて意気込みを語ったナタウット (C)TAKUMI NAKAMURA

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night 15。今大会でジョー・ナタウットがタワンチャイ・PK・センチャイがと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初ONEムエタイ世界フェザー級王者タワンチャイ×スーパーボン・シンハ・マウインのタイトル戦が予定されていたが、スーパーボンの負傷欠場により延期。ナタウットがタワンチャイとワンマッチで対戦することになった。

ナタウットは活躍の場を広げるべく、2014年から米国Lion Fightに参戦。そのまま米国に移り住み、ONE契約後も米国に拠点を置き続けている。急遽決まったタワンチャイとの対戦を前にしても「一つの試合がブックされて、それを戦うだけ」と泰然自若に語った。またナタウットに米国のムエタイ事情も訊いた。


――スーパーボン選手の欠場により、急遽出場が決まりました。試合に向かた準備やコンディションはいかがですか。

「ショートノーティスで戦うことは分かっているし、ずっと練習は続けていた。彼と戦う準備はできているよ」

――対戦相手はONEムエタイ世界フェザー級王者のタワンチャイです。

「相手がタワンチャイだからと言って焦ることもないし、驚くこともないし、興奮することもない。一つの試合がブックされて、それを戦うだけだよ」

――対戦相手としてタワンチャイにはどんな印象を持っていますか。

「彼はとてもいいファイターだよ。みんなが知っている通り、蹴りが強い。でもそれ以外の印象は特にないね」

――彼はONEの現役チャンピオンであり、この階級のトップ選手ですが、特別な選手だとは思っていないですか。

「ONEには世界から強いファイターたちが集まっていて、彼はそのなかでチャンピオンになっている。それだけ彼はすごいファイターだと思う。ただしONEで戦うファイターは全員素晴らしいファイターだ」

――ナタウット選手は2014年~2017年まで米国のLion Fightに参戦していて、当時から米国に拠点を移して、現在も米国在住なんですよね。

「試合の機会を求めて米国に住むようになった。今は生活も、トレーニングも、仕事も、すべて米国が拠点になっている。だから試合が決まると、試合ときに米国から移動しているよ」

――タイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況だったと思います。それもあって米国に活動の拠点を移そうと思ったのですか。

「僕がアメリカに住んだのは試合のためだけでなく、それまでとは違う人生を送りたいと思ったからだ。強いファイターであれば、世界中どこにいてもオファーが来るし、活躍の舞台があると思う」

――米国を中心に活動しているナタウット選手ですが、最初にONEからオファーを受けた時の心境はいかがでしたか。

「今ムエタイに関してはONEが世界で一番大きな組織だから、そのONEからオファーがあるんだったら、自分もそこに飛び込みたいと思った」

――米国ではファイターとしての活動以外に指導もされているのですか。

「ムエタイを指導することがメインの仕事だ。色んな街を渡り歩き、あらゆる目的の生徒にムエタイを教えているよ」

――米国ではムエタイの試合・大会はどのくらい行われているのですか。

「米国でもプロ・アマ問わず多くの大会が開催されている」

――ナタウット選手も参戦していたLion Fightのような、いわゆるビッグプロモーションは他にもあるのですか。

「Lion Fightも大会数が減って、定期的に大会が開催されていないし、他にLion Fightのように世界各国から選手を招聘する規模の大会は行われていない。どうしても米国にはUFCがあって、格闘技においてはUFCの影響が大きい。米国でムエタイを普及・定着させるためには長い時間が必要だと思う」

――ONEは米国でもAmazonプライムで試合を見ることができます。ONEが世界的なムエタイイベントを開催していることをどう思いますか。

「ONEが大きな大会を開催することはムエタイにとっていいことで、世界的にムエタイの普及が進むと思うし、米国でもONEのおかげで毎週ムエタイの試合が見られることはとても大きい。ただし繰り返しになるけれど、米国に関して言えば、それと比較にならないほどUFCが巨大なものなんだ。米国でも少しずつムエタイが認知され始めているけれど、まだまだ時間がかかるだろうね」

――ナタウット選手はMMAの試合をやろうとは思わなかったのですか。

「それは思わなかったね。自分は立ち技・打撃が本当に好きだから。趣味程度にグラップリングの練習はしているけど、試合をするのであれば打撃の試合しかやるつもりはない」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。ナタウット選手は米国在住ですが、この状況をどう感じていますか。

「自分もそれはすごく良いことだと思う。ムエタイがギャンブルではなくなることで、タイ国内でムエタイに興味を持つ人が増えているし、それはアメリカでも同じだよ」

――これからの選手としての目標、引退した後の目標はありますか。

「引退したらムエタイ以外ことも考えたいけど、それまではムエタイ選手として戦い、ムエタイをたくさんの人に教えていきたい」

――引退後もずっと米国に住む予定ですか。

「アメリカの市民権を持っているから、アメリカにも住んでいたいし、いずれはタイにも家を買って、アメリカとタイ両方で生活したいと思っている」

――それでは最後にこの試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「試合は目前に迫っているから、もうこれ以上言うことはない。僕もタワンチャイも戦う準備ができているから、あとは試合を見てほしい」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】10日前のオファー。手塚裕之「試合がしたい。準備期間だなんだって言ってられねぇ」

【写真】火曜日の朝にバンコクに入った手塚。まさに試合のオファーから6日しか経っていない。パスポートが切れないようにも気にしていたのだろう (C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night15に手塚裕之が出場し、ジン・テホと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2022年1月のエジソン・マルケス戦以来、実戦から遠ざかっていた手塚は、自身のキャリアの積み方に関して本気で悩んでいた。そんな彼の下に10日後のファイトという緊急オファーが届いたのは、9月27日のことだった。とにかく試合がしたい、そのために日々のトレーニングを怠ることがなかった手塚は、自分の素直な気持ちに従いバンコクへ向かった。


──9月20日に万智選手の取材で、手塚選手の実家のジムを訪れた際には「試合がない」という苦悩がにじみ出ていました。急転直下、まさかの10月7日に試合決定です。

「あの1週間後にオファーが来て……決まりました(笑)。水曜日に打診があって、木曜日に契約書にサインをしました」

──ここが不思議なのですが、代役出場でショートノーティスということではないわけですよね。

「ハイ。僕が試合をするなら、相手を探すという連絡だったんです」

──スイカで食あたりした選手がいたわけではないと(笑)。

「アハハハハ。でも、間に入ってくださった方がマット・ヒュームにも連絡をしてくれたそうなので……マット・ヒュームが動いてくれたのかなぁと。それは分からないですけど、水曜日にガレージでの練習を終えて、車で家に戻る途中にマネージャーから電話があって、『さすがに来週はないよなぁ』って。

まぁ急だったので、少し考えたいと返答して。2時間ぐらい考えて、ここで来るのも逆にいえばチャンス。急だとかなんとか言っていられないよなって。準備期間だ、なんだって言ってられねぇと思って受けることにしました」

──2日間飯を食べていないと、何を出されても食べますよね。

「まぁ、試合に関してはそれぐらいハングリーだったので」

──オファーの時点からウェルター級で?

「キャッチウェイトでも構わないということでしたけど、僕はウェルター級でアンダーなので。ウェルター級で構わないですって伝えました」

──これは私の個人的な意見です。代役でもなくて、10日の意思確認と試合決定──ファイト直前ですが、手塚選手が気の毒でならないです。選手に対して、配慮や思いやりが欠けています。周囲はどのような反応でしたか。

「驚いていました。練習を一緒にしている梅田(恒介)さんにも電話をしましたけど、『来週? 嘘でしょ』みたいな。皆、そうなりますよね。だからセコンドも見つからなくて。『来週、バンコクに行けますか』って尋ねても、行ける人はなかなか見つからないですよね。最終的には妻に頼んで、時間だけでも読み上げてもらおうかとも考えました。でも娘が今年に生まれたばかりで、水とか怖いということになって。そんななかで岡田遼選手が、セコンドに就いてくれることになったんです」

──えっ、あの独身貴族の岡田選手ですか? 

「ハハハハ。ハイ。一度、出稽古でお会いしてから同い年で仲良くさせていただいていて。今年になっても2回ぐらい栃木まで遊びに来てくれて。キャンプとかしているんですよ」

──それは意外な顔合わせでした。岡田選手は自らのジムもありますし、よくバンコク行きが可能になりましたね。

「ハイ。試合の前日に来てくれて、試合は朝なので夜には戻るっていうスケジュールで来てくれます。日曜日の朝に東京に着いて、その日はアマチュアの大会でセコンドに就かないといけないそうです。でも岡田さんは『バンコクも栃木も変わらないです』と言ってくれて」

──おお、漢ですね。

「感謝しかないです」

──と同時に、先日お邪魔した時に1年8カ月も試合から遠ざかっているのに、グッドシェイプを保っているのだと感心させられました。

「ありがとうございます。練習をし続けていたからこそ、チャンスが巡ってきた時に行くことができました。準備をしていれば、いつかチャンスが回ってくると信じるしかなかったです。そこを信じることができなくなると、続けられなかった。練習自体も好きですけど、いつでも行ける準備はしていました。だから、ありがたいです」

──この間、ショートノーティス出場は常に頭にあったでしょうが、それでもやはり2週間ぐらいを想定していなかったですか。

「ハイ。このオファーが来て、2週間じゃショートノーティスではないと思うようになりました(笑)。前回の試合も1週間前に相手が代わりましたし。だから対戦相手の研究とか関係ないですよね。何が起きてもやっていける自信があります。海外で戦っていくということは、こういうことなんだと。ここで戦うモノなんだと」

──同じく急遽試合が決まった対戦相手のジン・テホに関して、どのような印象を持っていますか。

「彼はインスタで『全然試合が決まらないから、やろうぜ』ってメッセージを送って来ていて。だから、彼も試合機会に恵まれていなくて同じ境遇だったのでしょうね。選手としてはリーチが長い。ワンツーとか遠い距離で戦うけど、蹴りはない。かといってボクシング&レスリングでもなくて、自分からテイクダウンは狙わない。四つ組みでも背中を見せてバックを取らせてアームロックを狙う──そんなイメージです」

──桜庭和志選手と同じようなファイトショーツを履いている選手ですね。

「桜庭選手リスペクストが凄いです。だから、ああいうアームロックを狙うのか。変則的で、現代MMAではなくてUWFの回転体という印象を持っています」

──Double GFCの元ウェルター級王者です。

「元々はライト級みたいで、DEEPと修斗に来日して大原樹理選手、川名雄生選手に負けています。対戦相手の対策の時間もなかったですけど、何もさせずに圧倒します。自分のやるべきことをやる。自分の動きができれば必ず勝てます。打撃、組み技でも劣っているところはないです。一発のキムラとか気を付けて舐めることなく、大きく見ることもなく戦えば、必ずフィニッシュできます。

あと無観客が2試合、前回は少しだけお客さんに席が開放されていた大会で。今回は満員のルンピニー・スタジアムで久しぶりに戦えるのは楽しみです」

──ところで手塚選手がリングで試合をしているというイメージが一切ないのですが、今大会はリングが使用されます。

「アマチュアも米国でケージだったので、リングで試合をしたことはないんですよ。なんでまぁ、初めてなんです。けれども壁レスを使って倒すタイプでもないし、リングだとコーナーがあるのでプレッシャーをかけて詰めやすい。だから不安要素としては捉えていなくて、自分にとってメリットというか、優位に働くかと思います」

──ここで勝てば、言いたいことがあるかと思います。

「もっと試合させてくれってことですね(笑)」

──その権利を得るために、どのような試合をしたいと思っていますか。

「ここまで積み上げたモノと溜まったモノを、全部ぶつけて勝利を掴もうと思います。しっかりやります。それに海外で日本人選手が勝てていないんで、このままだと日本のMMAが舐められてしまいます。ここでジャパニーズ・ビーストが、盛り上げようという気持ちで戦います」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FF34】天心・梅野と鎬を削ったムエタイ戦士が多数参戦、MMAでも注目カードあり

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 34。今大会には日本人ファイターと鎬を削ってきた世界の強豪が多数参戦する。
by Takumi Nakamura


第5試合でサマン・アシュリと対戦するスアキム・ソー・ジョー・トンプラジンはルンピニースタジアムの元3階級(バンタム級・スーパーバンタム級・フェザー級)王者。2018年2月に旧体制のKNOCKOUTに参戦し、那須川天心と対戦するも判定で敗れる。

翌2019年はRISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメントに出場し、準決勝で那須川と再戦。那須川の胴廻し回転蹴りで額をカットして、ドクターストップによるTKO負けを喫した。当時は「スアキム・PK・センチャイムエタイジム」所属として試合を続けていたが、現在は「スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン 」としてONEに参戦している。

第10試合で対戦するセクサン・オー・クワンムアンとアミール・ナセリはともに日本人と対戦経験を持つ。セクサンは2015年9月にラジャダムスタジアムで梅野源治に勝利。2019年の「RISE WORLD SERIES 2019」では1回戦で大雅に勝利し、準決勝で白鳥大珠に敗れてベスト4に終わっている。一方のナセリはONEで2022年10月に内藤大樹に判定負けしているファイターだ。

第9試合に出場するヨードレックペット・オー・アトチャリアは梅野とラジャダムスタジアムのライト級王座を争ったことで知られ(梅野との通算戦績は1勝1敗)、2018年からはKNOCKOUTに参戦。森井洋介、高橋一眞、岩城悠介、チャンヒョン・リーらに勝利して名を馳せた。対するムアンタイ・PK・センチャイは梅野にTKO負け、健太には判定勝ちという結果を収めている。

ほかにもクラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(梅野にTKO勝利)、プラジャンチャイ・PK・センチャイ(闘魔に判定勝利)、アクラム・ハミディ(武居由樹にKO負け、藤田和希にKO勝ち)、シブムン・シッチェブンタン(T-98に判定勝利、緑川創と1勝1敗、日菜太にKO負け)、ソンチャンノーイ(塚本望夢にKO勝ち、吉成名高にKO負け、石井寿来に判定勝ち)らの出場も決定。日本のファンにとってはONE FFで過去最高のラインナップと言ってもいい大会だ。

そんな今大会にはMMAでも注目の一番が組まれている。それがストロー級のリト・アディワン×アドリアン・マテイスの一戦だ。

今年3月、フィリピンMMA界を襲った激震。チームラカイからエドゥアルド・フォラヤン、ケビン・ベリンゴン、ジョシュア・パシオ、ホノリオ・バナリオらONEの頂点に立ったファイターが離脱し、ライオンネイションMMAを創設した。

同じ時期、アディワンは彼らに合流するわけでなく、カバンにファイトギアを詰め込みバギオを離れるとタイはプーケットのアブソリュートMMAタイランドへの移籍を明言した。昨年3月にジャレミー・ミアドに敗れた際に、ACLを負傷したアディワンが、長期離脱から復帰戦を新たなチームと戦うことに。

対戦相手のマティスはキャリア17戦の全てをONEで戦ってきたインドネシア人ファイターで11勝6敗というレコードを持つ。とはいえ元ストロー級王者のアレックス・シウバと1勝1敗ながら、他のトップ勢とは戦った経験がない。新天地から本戦ではなく、ONE FF出場となったアディワンにとっては、停滞するタイトル戦線再浮上に向け敗北は許されないマッチアップとなる。

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【ONE FN13】マイキー・ムスメシに挑戦、ジャレッド・ブルックス「次はロッタンからベルトを奪う」

【写真】モンキーゴッドがマイキーとどのようなグラップリングを見せるのか。攻防が生まれるのか楽しみ (C)MMAPLANET

5日(日・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN13「Allazov vs Grigorian」のコメインでジャレッド・ブルックスが、マイキー・ムスメシの持つONEサブミッショングラップリング世界フライ級王座に挑戦する。

ブルックスといえばMMAの世界ストロー級王座に君臨しており、競技間を越えたチャンプチャンプ対決となる。過去にONEではミドル級王者のライニア・デリダーが、ノンタイトルでタイ・ルオトロと対戦し3-0で判定負けを喫しているが──ブルックスに勝機はあるのか。

MMAファイターでなく、マーシャルアーチストとしてあらゆる競技で戦えると豪語したブルックスの野望と自分への信頼感とは。


──まさかグラップリングマッチに出場するジャレッドをインタビューすることになるとは、マイキー・ムスメシ戦が発表になるまで思ってもいませんでした。

「半年間ずっとMMAの練習をしてきて、3週間前に急転直下という感じでサブミッショングラップリングの練習に切り替えた(※取材は7月25日に行われた)。でも、ずっとMMAのトレーニングをしてきたから体の調子は最高の状態を保っている。世界最高のグラップラーと戦うことに対して、体もそうだし、僕の柔術、マーシャルアーツに関しても超自信を持っているよ」

──つまり3週間前にオファーがあったわけですね。

「たった3週間前のオファーでもマイキーのような相手と戦えることは、素晴らしい機会だよ。それに歴代最高のグラップラーにとっても、僕はタフな相手になると信じている。何よりサブミッショングラップリングの世界王者と僕が戦うことは、ONEにとっても良いことだと思う。そういう貴重な試合を僕も望んできたからね」

──パウンドがあれば別でしょうが、パウンドなしでどのように戦うのか。サブミッショングラップリングでマイキーとやり合える自信の根拠はどこなのですか。

「どんなゲームにも勝機はある。だから、このチャンスに跳びついた。皆、僕はマイキーに敵わないと思っているだろう。だからこそ、自分が何者であるかを証明する絶好のチャンスだ。僕は誰も恐れない。どのマーシャルアーツの流儀で戦おうが何も怖いものはない」

──ところでグラップリングの試合にでたことは?

「柔術はあるけど、ノーギはない。でも、ずっとノーギの世界チャンピオンと練習してきた。それも体格でずっと僕より大きな相手と。もちろん、マイキー・ムスメシと同じだとは思っていないよ。でも、今回の試合ではこれまでMMAで見せてきたジャレッド・ブルックスとは違い──そんな僕の一面を見せたいと思っている」

──マイキーは柔術家として万能ファイターです。そして、彼のレッグロックはMMAファイター対して非常に危険かと思われます。MMAが本職のジャレッドにとって、リスキー過ぎませんか。

「いかなるファイトにもリスクは付きまとうよ。MMA──コンバットスポーツは骨を折り、失神し、命を落とすかもしれない戦いだ。それに足関節に関しては、僕は凄く足が小さいから、ニーラインを攻めることは簡単じゃないよ。

実はさ、ATTでタミ・ムスメシと練習していた時期があるんだ」

──えっ、そうなのですか!!

「そうマイキーのお姉さんとね。だから何だって話なんだけど、彼女とロールしていた。とにかく……だよ。この半年間、僕は試合がしたくてしょうがなかった。ずっと準備をしてきたんだ。一方でマイキーはマイキーで、彼のヒザ十字、ストレートフットロック、ヒールフックを怖がる連中ばかりで試合が成立しなかった。

僕はマイキーとの試合よりも、自分の人生の方を気にかけている。自分が如何に生きるのか。そのなかでマイキーの技が危険だから戦わないという気持ちよりも、この素晴らしいグラップラーと戦える機会を逃してならないという気持ちの方がずっと強い。ライアン・ゴードン、マルセリーニョ・ガウッシアと戦えと言われて、ノーと返答できるか? それならグラウンドワークなんて練習しなければ良いんだよ。

ジョシュア・パシオと戦ってから、試合をする機会がなかった。僕の階級の選手が、挑戦表明をしても。僕は毎月だって戦いたい。ストロー級の誰とだって戦う。試合をしないと、成長なんてできない。そして、僕と戦いたいとアピールしてきたストロー級……フライ級の選手だってそうだ。ヤツらはマイキーとの試合を断ったんだ。それで僕に挑戦したいなんて──。アイツらが僕と戦いたいといった口を塞いでやりたいよ。

だいたいデメトリウス・ジョンソンだって、マイキーとの試合を受けなかった。アドリアン・モライシュも、だ。僕は3週間前のオファーで、マイキー・ムスメシと顔を合わせる。皆に戦いを見てもらう。これは試合ではない、戦いだよ。マイキーが過去に経験していないサブミッショングラップリングマッチをやるつもりだ」

──それはどういう戦いになるのでしょうか。

「僕はマイキーより体力があって、スピードも全然上だ。そんな試合を彼は、過去に体験したことがない。だから、これまでONEで戦ってきたサブミッショングラップリングとは別種の戦いになるはずだ。マイキーは本当に素晴らしい技術を持っているけど、スローだ。Kガードからバックスイッチ、50/50──彼は80/20って呼んでいるよね。常にヒザに標準を定め、素晴らしい動きを見せてきた。でもね、僕のヒザが彼のベルトラインの外側にある場合では、そんな技術も無力だ。

それこそが僕が彼を仕留める第一歩となる。ただし、僕がこの試合でやるべきことはフィニッシュすることじゃない。まずは僕が歴史上最高のグラップラーとやりあえることを証明することだ。もちろん、やり合っていると極めるチャンスも生まれる。マイキーとのサブミッショングラップリング戦は、僕がマーシャルアーチストとしてどのような戦いにおいても優れていることを証明する戦いになる。

現時点では僕がアンダードッグだよ。なら戦って、証明するしかない。この試合で僕は勝てるかどうか分からない。でも、ジャレド・ブルックスがMMA以外のベルトを狙う姿勢を持っている意思表明と受け手ってほしい。マイキーのベルトに取り、次はロッタンからベルトを奪う」

──……。

「何を言っているだって思っただろう? いや、皆そうなんだ。でも、僕がイカれたヤツじゃないことをマイキーとの試合で分からせる。僕はMMAの世界チャンピオンで、サブミッショングラップリングでも、ムエタイでも世界チャンピオンになれる技量を持っている。

結果としてマイキーには勝てないかもしれないよ。それでもタイトル戦という真剣勝負に挑むことで、僕のグラップリング技術は格段に成長した。短期間でも、練習するだけなのとは比較にならないほど磨かれた。MMAファイターとして、非常に有益な時間を過ごせたよ。次にMMAを戦う時、この経験を経たジャレッド・ブルックスの姿を皆に披露できるだろう。

レスリング・ブルックスでなく、柔術ブルックスをね。もちろん、これからもパウンドしまくる。ただ、ずっと柔術もやってきた。今でもMMAで僕の柔術を見せて勝つことだって可能だ。これまでの試合では……MMAとして勝つために柔術でなくパウンドを選択してきただけで。だから皆はマイキーとの試合で僕をアンダードッグと予想した。でも、マイキーは怖くもなんともない、8歳からずっとやってきた僕のマーシャルアーツを見せる」

──ジャレッド、その言葉を聞くだけで楽しみになってきます。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「日本で戦った経験がなければ僕はUFCファイターにも、ONEファイターにもなれなかった。僕はいつも……いつまでも日本の皆への感謝の気持ちを忘れない。アリガトウゴザイマス」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN09 エドゥアルド・フォラヤン キック ケビン・ベリンゴン ジャンロ・サンジャオ ジャンロ・マーク・サンジャオ ジュリー・メザバルバ ジョシュア・パシオ チャンネル デニス・ザンボアンガ ハリル・アミール ボカン・マスンヤネ ボクシング モン・ボー ライカ ヴァウミール・ダ・シウバ 海外 箕輪ひろば

【ONE FN09】大量離脱後ラカイの正当後継者ジャンロ・サンジャオ「ストライカーのチームでない」

【写真】セレモニアル計量では、魂の咆哮を見せたジャンロ (C)ONE

本日22日(土・現地時間)に、すぐにスタートを切るONE Fight Night09で、ジャンロ・マーク・サンジャオがマティアス・ファリネリと対戦する。

結果的にリミットに対し4.75ポンドオーバーだったアルゼンチン人選手との対戦となったこの一戦、計量前に大量離脱劇が起こったラカイの現状とこれからについて、20歳の若きリーダーに尋ねた。


──ジャンロ、12月にチーム・ラカイで会ってから色々なことが起こりました。あの時、2023年には元々戦う予定だったマティアス・ファリネリと試合をしたいという話をしており、それが今回実現しました。

「もともと戦う予定だったから、凄く自信はあるよ。彼はグラップラー、柔術ファイターだね。過去の全試合で一本勝ちをしている。でも、僕も彼と柔術で戦っても問題ないよ。もちろん打撃で戦って、組み技にいかない展開でも僕は勝てる。立ち技でも寝技でも、僕が勝つ」

──ところでエドゥアルド・フォラヤン、ケビン・ベリンゴン、ジョシュア・パシオらがチームを離脱しました。かなりショッキングな出来事がラカイに起こったと言わざるを得ないです。

「とにかく、僕ができることは練習を続けることだったから。自分のやるべきことに集中してきたよ。そして、この試合、自分のキャリアアップのことを考えてきた。もちろん、ショックだったよ。でも起こったしまったことは仕方ない。僕には何もできないし……よりチームを強くするために、僕らの世代が彼らのようにチャンピオンにならないとね」

──エドゥアルドとジョシュアが、米国に向かいました。日本でも米国でないと強くなれない、日本で強くなれるという二極化した考えがあります。

「海外で練習することは、凄く良いことだと思う。同時にそれがホームタウンでできるなら、なおさら良いよね。僕にとってはラカイの素晴らしいチームメイトとの練習が一番。チームで強くなれると思っている。

彼らが抜けたことでラカイが弱くなった──それだけは思われたくないし、そうならないようにしないといけない。僕らはチームを強くする。それを証明するにはベルトを取り戻すこと。今回の件は僕らにとって、モチベーションになっているよ。第一世代より、良い練習をしてトップに立つ。チームで強くなる。それが僕らのルーツだからね」

──ところで朝の7時に戦うことになりますね。

「こんな時間に戦うのは初めて。会場入りも相当に早い。でも、基本的にフィリピンとは1時間の時差があって、僕らは午前中にスパーリングをしているから問題ないと思っている」

──リングでの試合は?

「アマチュアの時にリングで戦ってきたけど、こういう舞台では新しい経験。チャレンジになるね。チーム・ラカイは健在だよ。次の試合でラカイは、ただのストライカーのチームでないことを証明するよ」

■放送予定
4月22日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ ONE FN09対戦カード

<ONEキックボクシング世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
[挑戦者] ジョナサン・ハガティー(英国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ハリル・アミール(トルコ)
モーリス・アベビ(スイス)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
箕輪ひろば(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
ジュリー・メザバルバ(ブラジル)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)
イシ・フェティケフ(豪州)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
モン・ボー(中国)
ダヤニ・カルドゾ(ブラジル)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デニス・ピューリック(ボスニアヘルツェゴビナ)
ジェイコブ・スミス(英国)

<ムエタイ149.5ポンド契約/3分3R>
ハン・ツーハオ(中国)
エイサー・テン・パウ(米国)

<149.75ポンド契約/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

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ABEMA F1 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN09   キック ジャレッド・ブルックス ジャンロ・マーク・サンジャオ ジュリー・メザバルバ ジョシュア・パシオ チャンネル デニス・ザンボアンガ ハリル・アミール ボカン・マスンヤネ ボクシング モン・ボー ルンピニー ヴァウミール・ダ・シウバ 箕輪ひろば

【ONE FN09】仕切り直し&禊の箕輪ひろば戦へ。ボカン・マスンヤネ「体重は減った。でも強くなった」

【写真】普段の体調管理から、ハイドレーションは問題なくなったと言うボカン (C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night09が開催され箕輪ひろばとボカン・マスンヤネが対戦する。

両者は昨年7月に対戦予定だったが、マスンヤネがハイドレーションをパスせず、キャッチ戦を箕輪サイドが飲まなかったという過去がある。箕輪戦の前のジャレッド・ブルックス戦でもハイドレーションでパスしなかったマスンヤネは、自身の食事面を見直して体調管理に努めてきたという。

結果、「過去最高のシェイプ」になったというマスンヤネは、確かな自信を持って箕輪戦に臨む。


──本来は2日ほど前にインタビューの予定だったのですが、南アフリカでは電気の供給が行き届いていないということで大規模な停電があり、今日に延期されました(※インタビューは13日に行われた)。

「そうなんだ、申し訳なかった。携帯も使えない状態になってしまうから。どこか使えるところもあるかもしれないけど、配電できなくなっ大抵は使えない。停電はもう長い間、この国の問題なんだ。南アフリカだけでなく、アフリカ全体の問題だね」

──トレーニングだけでなく、一般生活にも影響があり過ぎではないですか。

「特に都市部では大きな問題で。外出できないこともある。なんせストリートでは信号まで機能しない。ビジネスアワーでもオフィスやショップは閉まったままだよ。冷蔵庫も使えないからね。

ただ気候が良いから練習はできている。南アフリカは四季があるけど、大抵は温暖で快適な気候だから助かっているよ。それに停電にはもう慣れっこ。練習に関しては、しっかりと出来ているよ」

──今回は本当にしっかりと準備をして、計量をパスして戦ってほしいと皆が思っているはずです。

「体重は大丈夫なんだけど、ハイドレーションが本当に大問題だった。前回はそこを上手くいななかったんだ。ちゃんと減量できていなかった。体重をクリアすると、ハイドレーションがパスしない。ダイエットのやり方が間違っていた。

体重管理に関しては、あれから色々と改善してきた。以前より普段の体重を軽くした。そして、水を多く良く飲むようになって。普段から凄く健康体になっている。まぁ体重は問題ないから、ハイドレーションをしっかりと気を付けてパスするよ。

ハイドレーションに関して、凄く勉強した。とはいえ皆がまだ学ぶ過程にあるから、ONEではハイドレーションを失敗するファイターも後が断たない状態だしね。

でも、僕はここ数カ月しっかりと体重管理をしてきた。これまでは最後に2キロを落としていたけど、今回は時間を掛けて体重を落としているし、もう現時点でリミットに収まっているんだ」

──箕輪選手は「ストロー級で戦うために練習してきて、想定より2キロを重いボカンとは戦えなかった。でも、逃げたと思われるのが本当に悔しい」と言っていました。

「ファンはソファに座って試合を見ているだけだから、ビハインドシーンはどうでも良いんだ。でもONEはプロフェッショナルな組織で、しっかりとそこを対処している。僕もミノワも相手が憎くて戦っているわけじゃない。試合前も試合後も、とても関係が良い。そういうこともファンは関係ないんだよ」

──ハイドレーションをクリアする。そのためには大幅な減量はできない。結果、大きなリカバリーもない。レスラーはドライアウトのノウハウを持っており、リカバリーがアドバンテージになっていましたが、そこを失うことになります。

「それが今の方がずっと動きが良いんだよ。リカバリーはそれほどないかもしれないけど、栄養をしっかりと考えて食事をして、普段から体重を管理していると動きが以前より良くなった。前は試合の2週間前でもピザを食べていたから(笑)。食べたいモノを、食べたい時に食べていたんだ。体重を落とすだけながら、何も問題なかったから。

でもONEにはハイドレーションがある。ハイドレーションを考えて、食生活を見直すrと、凄く健康体になったんだ。そうそう、以前は1日に1Lぐらいしか水を飲んでいなかったんだよ」

──1Lなら普通の人ですよ(笑)。

「アハハハ。今は5L飲んでいる。食事、水分摂取が僕を変えた。本当にベストシェイプなんだ。体重は減ったよ。でも、強くなった。パワー、爆発力、スピード、ペース、何も失っていない。だから、僕にとってベストな状態だよ」

──ミノワ選手との試合に向けて、自信のほどは?

「ファイトは僕の人生だ。こうやって戦えることに感謝している。今回は自分の力を100パーセント、ミノワにぶつけることができるよ」

──ストロー級のチャンピオンは12月にジョシュア・パシオから、ジャレッド・ブルックスに移りました。

「タイトル挑戦権を得るために少しでも早く、フィニッシュする。例えフィニッシュできなくても3Rドミネイトする。僕がタイトルに挑戦する力があるということを、皆に示したいと思う。今回の試合は2位と3位の対戦だ。勝ったらタイトル挑戦が、自然だと思っている。そうでないと僕らは戦う意味がない。

ミノワの戦い方は素晴らしいよ。どの局面でも戦えて、凄く敏捷性のあるファイトをしている。僕は今回、運動能力ではなくて技術力で戦いたいと思っている。彼のファイティング・スタイルと、僕のファイティング・スタイルがぶつかり合えば、良い試合になることは間違いない。だからこそ、この試合の勝者が次のチャレンジャーになるべきなんだよ」

■放送予定
4月22日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ ONE FN09対戦カード

<ONEキックボクシング世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
[挑戦者] ジョナサン・ハガティー(英国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ハリル・アミール(トルコ)
モーリス・アベビ(スイス)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
箕輪ひろば(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
ジュリー・メザバルバ(ブラジル)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)
イシ・フェティケフ(豪州)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
モン・ボー(中国)
ダヤニ・カルドゾ(ブラジル)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デニス・ピューリック(ボスニアヘルツェゴビナ)
ジェイコブ・スミス(英国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ハン・ツーハオ(中国)
エイサー・テン・パウ(米国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN09 Special アナクレト・ラウロン エドゥアルド・フォラヤン ケビン・ベリンゴン ジャンロ・サンジャオ ジャンロ・マーク・サンジャオ ジョシュア・パシオ チャンネル ルンピニー

【Special】アジアの今:フィリピン(01)ジャンロ・サンジャオ「ラカイは皆で強くなってきた」

【写真】5万ドルの使い道は、貯金だと言っていたジャンロ(C)MMAPLANET

2023年に入り、J-MMA界で顕著になりつつある現象がある。韓国、モンゴル、フィリピン、そしてキルギスとアジア諸国からフィジカルに優れ、打撃に強く、組み技の技術も習得している選手が来日し、日本人ファイターにとって脅威になりつつある。

そんなアジアの今──とはいっても昨年12月から今年の1月にかけて取材した──を、フィリピン、韓国、モンゴルからインタビュー形式で紹介していく。

第4回は22日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FN09でマティアス・ファリネリと対戦するジャンロ・マーク・サンジャオの登場だ。

アナクレト・ラウロンをRNCで下し、平均年収が23万ペソ(※約48万円)と言われるフィリピンで、20歳の彼はボーナス500万ドル(※約670万円)を手にした。フィリピンのMMAをリードしてきたチーム・ラカイの総帥マーク・サンジャオを父に持つサラブレッドが、エドゥアルド・フォラヤン、ケビン・ベリンゴン、ジョシュア・パシオがチームを離脱する2カ月前に何を語っていたのか。


──ジャンロ。勝利とボーナス、どちらが嬉しいですか。

「両方だよ(笑)。勝ててボーナスなんて、最高だよ。ビックリした。ミッチー(チルソン。ONEコメンテイター&インタビュアー)が5万ドルだって叫ぶまで、期待もしていなかった。驚いてしまって、何て言ったら良いか分からなかったよ。皆、本当に喜んでくれた。特に父は作戦通り戦って勝ったことが嬉しそうだったよ」

──ところで、今回の試合が1年振りの試合でした。

「僕のケガで試合を欠場したこともあったし、最終的に母国フィリピンで戦うことができた。マニラで勝てたことも、ここまで嬉しい理由の一つだね」

──ところでジャンロはいつから、MMAもしくは散打の練習を始めたのですか。

「いつだろう……。もう本当に小さい時から、父の指導について行ってジムにいたから。練習になっていなくても、選手たちと一緒に運動をしていた。6歳の頃にはそれが普通になっていたはずだよ。それからも皆と過ごし、皆の試合を見て成長して練習にも本格的に参加するようになった。

そしてグラップリング、柔術、レスリング、ムエタイ、散打と試合に出るようになり、今、こうやってONEで戦っている」

──プロになろうと思った、そんな瞬間があったのでしょうか。

「プロになって戦おうとか、そんな風に意識したことはなかったよ。練習を皆としていて、その過程で自然とプロとして戦うようになったんだ。

ホント、小さい頃に父の試合を1度だけ見たことがある。父は勝って僕をリングに招き入れてね。その写真も残っているよ。ただ、当時は何をやっていたかも理解していなかったし、自分がこの道に進むとも思ってもなかったに違ないよ」

──これだけ選手達と身近にいると、勝利だけでなく手痛い敗北も見てきたと思います。あの起伏の激しい人生を見ても、ファイターになることは躊躇しなかったですか。

「全くそんな風に思ったことはないよ。僕は楽しいから、続けてきただけで。父が僕のヒーローだったし、父がこのスポーツに向き合っている姿勢こそ、僕が懸命に練習できる要因になっていた。そして、応援もしてくれたしね。ただ僕がプロになると伝えた時、母は反対したよ。それでも僕はこのスポーツとともに育ってきたし、MMAを愛している。何よりお金にもなる(笑)。今では母も応援してくれているよ」

──マーク・サンジャオの息子ということで、常に注目を集めていますがプレッシャーにならないですか。

「なるよ(笑)。でも僕がチーム・ラカイの創始者の息子である事実は変えようがない。僕がマーク・サンジャオJrだから、その分期待されているのも分かる。でも、そこは考えないようにしている。さっきも言ったけど、僕はMMAが好きだから続けているわけで。マーク・サンジャオの息子だから、やっているわけじゃない。強くなって、チャンピオンになりたいから続けているんだ」

──チーム・ラカイも随分と変わりました。私が初めて訪れた2012年、散打色がもっと強かったです。第一世代はそのスタイルで結果を残せましたが、次の世代はウェルラウンディット化が進みました。

「ラカイは打撃チームだった。つまり、過去形だよ。僕らの世代はレスリングも柔術もやり込んで来た。常にラカイは組み技に難があると思われてきたからね。僕らは柔術の黒帯とも、一流のレスラーともMMAで戦えるように成長したんだ」

──世代交代の波は、確実に訪れていると思われます。同時に同じ階級にチームの選手がいて、皆がチャンピオンを目指しています。

「僕自身はチャンピオンになることを急いでない。順番が回ってきたら、そのために戦うよ。僕はバンタム級でケビン(ベリンゴン)、ジェレミー(パカティウ)、スティーブン(ローマン)、それにアドニス(セビジェーノ)がいる。でも、僕は兄弟とは戦わない。皆で一緒に練習して、皆で強くなってきたんだ」

──ジャンロは若い世代をプッシュするリーダーのような役割を担っているのでしょうか。

「僕だけじゃない。皆でチームを底上げしている。一緒に成長しているんだ。それもファイトだけでなく、人生を共にしているんだよ」

──なるほど。ではジャンロ、2023年はステップアップを目指すためにもどのようなファイターと戦っていきたいと考えていますか。

「まずは本来戦う予定だったマティアス・ファリネリと戦いたい。彼がコロナになって戦えなかったから。だから、しっかりと決着をつけたいと思っている。2、3カ月の間に彼との試合を組んで欲しい。

とにかく急ぎはしない。トップランク、ベルトを目指せる位置になるまでしっかりと力をつけたいと思っている」

■放送予定
4月22日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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【ONE FN08】山北渓人と対戦、戦う賢人アレックス・シウバ「無敗を意識すると、がんじがらめになる」

【写真】勝負に拘りつつ、達観した意見を持つアレックス・シウバ(C)MMAPLANET

25日(土・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night08で山北渓人と戦うアレックス・シウバ。40歳になった元世界チャンピオンが、日本の団体のストロー級チャンピオンと戦うのは、山北で4人目となる。

日本大好き、柔術命、下になってコントロールできるMMAファイターは、昨年10月のグスタボ・バラルト戦の敗北の原因は業しか感がられないと言い切り、キャリアと若さ、無敗というピースに関する問い掛けに対し、見事なまでに成熟した返答をしてくれた。


──アレックス、今週の土曜日に内藤のび太選手、猿田洋祐選手、箕輪ひろば選手という3人の修斗世界ストロー級王者に続き、パンクラスのストロー級チャンピオンである山北選手と戦います。

「とにかく、またケージの中に入って戦えることに感謝している。皆はいつまで戦うのかと尋ねてくるけど、それは神の決めること。どれだけ試合の準備が大変でも、試合に出場できることは最高にハッピーな瞬間だから。しかも、今回は若い日本のチャンピオンと戦うのだからなおさらのことだよ」

──それだけMMAを愛しているアレックスですが、前回のグスタボ・バラルト戦はグラウンドコントロールや極め狙いが評価されなかったです。それがONE裁定だといわれても、別にスタンドの打撃でダメージを受けていないだけに、なかなかグラップラーとしては納得しずらい判定負けだったかと。

「マイ・フレンド、本音を言わせてもらうと全く信じられない結末だったよ。原因があるとすれば、業としかいいようがない。しかも、初めてのことじゃないからね。僕はバラルトに絶対に勝っている。ルールをしっかりと確認し、裁定基準を理解しても……いや理解しているからこそ、僕の負けはない。でも結果はバラルトの勝利で、僕にはどうにもできない。

こういうことが起こると人々は『フィニッシュすれば問題ない』と言う。でも、そんな風にいつだってフィニッシュはできない。誰だってフィニッシュしたいし、判定勝ちしようと思っている選手はいないだろう。でも、判定にもつれ込むのはこのスポーツの一部だ。結果、僕は自分が勝っていた試合を落とすことになる。これが初めてじゃない。ジョシュア・パシオに挑戦した世界戦でもそうだった。世界戦なんて、ジャッジの裁定で人生が変わってしまうというのに。

もちろん僕が勝っていると思っていても、違う意見だってあるし、それが正しい時もあるだろう。でも、前回の試合で僕の負けはない」

──判定に勝負を委ねるなという意見もありますが、ジャッジがいる限り、ジャッジはその役割を全うすべきで。

「ホント、そういう裁定もこのスポーツの一部ではあるんだ。でも、もっとMMAを理解してほしい。ジャッジでない人は皆が僕が勝っていたと言ってくれるのに、ジャッジだけが僕を負けにした……。ホント、どうしようもないよ」

──そういう判定があると次からもこういう裁定があるかもと考え、試合の組み立てなどに影響はでないでしょうか。

「まぁ、混乱するよ。ただ戦えば良いとは簡単には言えない。勝敗結果で、その後のキャリアや人生が変わって来るんだから。パシオと戦った時、バラルトと戦った時、ちゃんとした裁定が下っていれば、僕はケイトと戦うことはなかったかもしれない。でも、今、僕はここにいてケイトと戦う。彼のことに集中して、今を未来につなげるしかないんだよね」

──押忍。では山北選手の印象を教えてください。

「彼はパンクラスのチャンピオンだ。素晴しいファイターに決まっている。さっき、ケイトと彼のチームと顔を合わせたんだ。僕は心の底から日本の皆のことが好きだし、日本人選手を尊敬している。そして、ケイトと彼のチームは僕のこの気持ちが間違っていないことを再確認させてくれた。彼らは礼儀正しく、フレンドリーに挨拶してくれたよ。確かに僕らは土曜日に全てを賭けて戦う。相当な覚悟を持って、ケイトとやりあうよ。でも、それだけだよ。

もし僕に権限があれば、日本人選手とは戦いたいくない。これが本音だよ(笑)。この試合に向けて、日本人の生徒が僕をサポートしてくれた。シンヤ(青木)もメッセージをくれた。ホント、僕は日本の皆のことが大好きでならないんだ」

──山北選手はONEのニューカマーとして、日本のファンの期待を集めています。無敗の国内MMA王者のONEへの挑戦は、同時に彼にとって初めての海外での試合、そして国際戦となります。経験という部分では、アレックスにアドバンテージがあるという見方も成り立ちます。

「彼は無敗で、日本のチャンピオン。でも国際戦は初めてで、僕の方が経験値が高い。これら全てのことが、ファイトには影響を及ぼす。だけども、何一つ絶対的な勝因にはならない。僕の方が経験がある。それは味方を変えると、彼の方が若くれフレッシュということになる。だから、そういう要素よりも如何に自分を信じて戦うことができるか。そこが大切になってくるんだ」

──同時に無敗のファイターには、彼ら特有の勢いがあるかと思います。

「そうだね。でも無敗に拘るとプレッシャーになる。誰もがいずれは負けるんだ。そこで終わりじゃない。戦い続けると、絶対に負ける日はやってくる。無敗であることを意識すると、ケイトもその言葉にがんじがらめにされてしまうよ」

──その言葉こそ、経験から生まれるものかと思います。アレックス、いつもインタビューを受けてくれて本当に感謝しています。では大好きな日本のファンに一言お願いします。

「日本の皆、本当に僕は日本のことが好きなんだ。日本の文化からは学ぶことばかりで、人間として日本の存在を僕からなくなることは決していない。今回、僕はまた日本人選手と戦うことになったけど、とにかく皆に喜んでもらえるよう良い試合にしたいを想っている」
 

■放送予定
3月25日(土・日本時間)
午前8時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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