<ライト級/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
Def.1R by KO
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
ギョンピョがインローから右フック。この一発から前に出て左右のフックを打ち込むとラギモフがダウンし、ギョンピョは一気にパウンドを連打する。ここでレフェリーが試合をストップし、ギョンピョが衝撃的な秒殺KO勝利を収めた。
<ライト級/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
Def.1R by KO
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
ギョンピョがインローから右フック。この一発から前に出て左右のフックを打ち込むとラギモフがダウンし、ギョンピョは一気にパウンドを連打する。ここでレフェリーが試合をストップし、ギョンピョが衝撃的な秒殺KO勝利を収めた。
【写真】ハマれば絶対。そして、ハマらない時の対処も非常に興味深い鈴木千裕だ(C)MMAPLANET
4日(土・現地時間)、アゼルバイジャンはバクーのナショナルジムナスティックアリーナにて開催される「RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan」のメインでRIZINフェザー級王者ヴガール・ケラモフに挑む鈴木千裕。
Text by Manabu Takashima
7月にパトリシオ・フレイレをKOした勢いをかって、RIZINフェザー級最強の男ケラモフにアウェイの地で挑む鈴木は、随分と破天荒な発言が目立つ一方で、戦いに関しては真理をつく言葉を発することが多々ある。
シンプル&ポジティブ、鈴木千裕の言葉を決戦前夜にお届けしたい。
――追い込みの大変な時期に取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は10月23日に行われた)。
「取材は基本的に言っていただけると、受けます。なんか、取材を断ったりするって、スカしているみたいでムカつきませんか(笑)」
――取材は受けてほしいですが、そこは練習と休息が第一だと、試合直前の選手に対して思っています。なので断られてもしょうがないタイミングはあるとかと。
「記事にしていただくことで、僕らのコトが話題になるわけですし。それは凄くありがたいことです。デビューして間もない頃、いつか記者の人達に囲まれまくりたいと思っていて。それが叶えられたのは凄く嬉しいことです」
――ありがとうございます。ケラモフ戦に向け、どのような追い込み具合でしょうか。
「いつも通りです。そんなに変わりない、日常ですね」
――アゼルバイジャンで戦うことは非日常でもあるかと思います。そこで記者会見で一度訪れることができたのは、大きくないでしょうか。
「街を見られること、気候を知ることができるのは凄く良いことなんですけど、ぶっちゃけ変わらないですね。別にどこで試合をしようが、やることは変わらないんで」
――とはいえ飛行機の長旅もあります。
「そこは……トルコのイスタンブール経由で、かなり長くて。ただ体を動かせないのは窮屈ですけど、到着して動かせば元に戻るので。時差とか凄く心配されましたけど、アゼルバイジャンと日本は5時間の時差があって。なら5時間余分に眠れば良いだけで(笑)」
――アハハハハ。
「めっちゃ簡単なことなんで、難しく考えすぎないことです」
――ポジティブ、イケイケ志向が強みですね。
「分かり切ったことを考えるのが、本当に嫌いで。アゼルバイジャンに行くことは決まっていて、そこには時差がある。それを嫌だと言っても、しょうがないです。行って戦うのだから、なら余分に5時間寝れば良いだけで」
――心配しても、時差はなくならないと。
「そうなんですよ。そこは考えても変わらない。なら、そういう無駄なことは考えたくないんです」
――なるほどぉ。素晴らしい考え方ですね。
「『練習場所はあるの?』って心配されても、あればある。なければ、外に出て走るしかないわけで」
――いや、その考え方ができるのは強いです。あの会見での、やり切り感にも通じているようにも感じます。
「どうせ1人で乗り込むなら、行ってやろうかって。なんか、気づいたら立っていました(笑)」
――感情に身を任せた、と。
「でも乱闘になって歯が欠けると嫌なので、マウスピースは持って行きました。乱闘はあるかもと準備はしていましたけど、台に乗ったのはあの時の感情、そのままです」
――ケラモフ×朝倉未来、クレベル×鈴木千裕を並べると、今回の試合はやはり組みの展開がどうなるのか。そこが焦点になるかと。
「まぁ、試合なんでテイクダウンされないというのは難しいです。15分の攻防で、UFCの選手でもテイクダウンを取られているわけで。なのでテイクダウンをされたら、テイクダウンをされた時に考えれば良くて。組んで倒されることに抵抗はないです。クレベル選手と戦って、彼以上強い寝技の圧力はないはずなので。自信を持って寝技に応じようと思います。
とはいっても多分、僕は倒されないです。ただ格闘技に100パーセントはないから。ほぼほぼ倒されないですけど、倒されたときに――倒されないという自信があったのに、倒されると焦っちゃうじゃないですか。でも倒されたら、倒された後がある。僕らが戦うのMMAであって、キックボクシングではないので」
――寝技の攻防になるとクレベルは日本一かもしれないです。ただし、相手を立たせない。立たせてもコントロールできる能力となると、ケラモフは相当あるように思います。
「もちろん、そうです。でも、スバ抜けてはいないです。スバ抜けていたら、今頃は世界チャンピオンになっています。そうじゃないので、だからどうしたって感じで、そんな深く考えたちゃダメなんです。格闘技って凄くシンプルで。倒されたら――こうして、こうするとか考えるのではなくて、その時に見えてくる答えがあるので。
その瞬間、向き合って初めて分かる隙とかもあって。僕は感性で動く方なので――ハイ。技術はありますけど、その時に見えてくるス。今はこうして、こうこうというのはないです」
――感性、直感で動くということはそれだけ準備をしてきたということですね。
「それはもう練習はやっています。どうやって立つか、ノウハウもあります。その引き出しはたくさん持っているので。その時に合った引き出しを開けるだけです」
――同時にセコンドが言っていることを守るよりも、直感で動くという風にも言われていましたね。
「ハイ。セコンドの声は参考にする――ということです。自分で考えて動き、ピンチの時は聞きます(笑)。バックチョークを取られそうなときは、指示の通りに動きます。ピンチでない時は、僕のやりたいようにやります。塩田(歩)さんも、それで良いと言ってくれています。練習中は聞きます。練習では頭を使って、試合では感性でいきます」
――クレベル戦では奥足を取られて、倒されました。対して、ケラモフは前足を取ってくる。その違いもあるかと。
「クレベル選手との試合は、とくにかくバックを取らせたくなかったです。そこが一番でした。結果的にテイクダウンをされても後ろに回られたくなかったので、いっぱいいっぱいでした。ダブルに移行されたときもそうです、とにかく背中に回らせないことに集中して」
――となると、ケラモフはシングルからバックに回ることに長けていますが。
「取らせないことが一番ですけど、取られたら取られたなりに処理しないといけないです。それと、ケラモフはワンフックからでも極めることができます。皆は力、力と言いますけど、テクニックがあって成り立っている。立ち技でも寝技でも、足は絡ませないことですね」
――そのために、打撃の圧を掛けることができるか。MMAではレスラーなど貰っても組めば――という考え方があります。
「ハイ。でも、僕は一発で失神させることができるので。やっぱり、それが一番じゃないですかね。殴られても組めば――じゃ、僕と戦うと地面を見ている。そういう展開になるパンチを僕は持っている。だから、逆にそういう風に思ってくれている方が、都合が良いですね。殴られても良いなんて、思っていたら失神させます。僕にとって打撃は打でなく、殺なんで(笑)」
――9月24日、クレベルに勝った金原選手から「勝って来いよ」とエールを送られました。
「うるせぇんだ、分かってるよ。やるに決まっているだろって(笑)。じゃないと解説席にいないです。もちろん、嬉しかったですし、ありがたかったです。でもリスペクトを持って『分かってるよ』と」
――ケラモフに勝って、金原選手と戦うということも考えているのでしょうか。
「もちろんです。僕ら若手が引退させてあげないといけないので。それが使命なんです。RIZINはベテランが多いので、僕らのような20代の若手が勝って引退させてあげないといけない。でもベテランは強いから、勝っちゃいます。なので、いつまでも残っている。
だから僕ら若手が一発で失神させてあげて『もう俺は無理かも』――と、引退させてあげることが若手の仕事です。ベテランは若手の壁になることが仕事で。でも、若手がベテランを凌駕する分岐点は、もう近いかと。そうやってジムでも練習していて、ジムの練習で後輩にやられるようになったら、僕もお終い――引退します。だから壁になるように練習しています」
――ジムに自ら銅像を創るという夢に向かって、現時点で何パーセントまで来ていますか。
「ケラモフに勝って、銅像を創ります!!」
――では、最後に意気込みをお願いします。
「今回はアゼルバイジャンと国を代表して戦います。なので、日本の人達は皆に応援してほしいです。むしろ、応援よろしくお願いします。日本人が昔から持つ忍耐力と侍魂がどれだけ強いのかを世界に見せるチャンスだと思っています。日本を背負って戦うので、皆さん、応援してください」
■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後9時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!
■ RIZIN LANDMARK07対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)
<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)
<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)
<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)
<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)
<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)
<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)
<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)
【写真】フレイレ戦の勝利後の会見の席での鈴木。この時点では、彼の米国での活躍に胸を躍らせたファンも多くいたに違いない――(C)MMAPLANET
過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。
Text by Shojiro Kameike
背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾という3人のJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。
今回は柏木信吾が選んだ2023年7月の一番、7月30日に行われた鈴木千裕×パトリシオ・フレイレ戦の続編……前編から2カ月以上を経てという掲載は、当時――記事化できなかったBellatorの状況が多々あったからだ。
お蔵入り厳禁――8月の時点で氏の口から語られていた『事実』こそ、鈴木千裕がアゼルバイジャンでヴガール・ケラモフと戦うという現在に通じている。
<月刊、柏木信吾のこの一番:7月:鈴木千裕パトリシオ・フレイレPart.01はコチラから>
――パトリシオにしても、よく受けたなと思う試合でもありました。
「それに関していうと、Bellator側の最初のリアクションは『スズキは何か悪いことでもしたのか?』だったんです(笑)」
――アハハハ。懲罰だと?
「ハイ(笑)。スズキはサカキバラを怒らせたのか、と。パトリシオに関しては、本当は試合をすることは嫌だったみたいです。『なぜ、やらないといけないのか』って」
――実はBlack Houseでマネージメントをしているエド・ソアレスは「イージーマネーだ」とホクホク顔で話をしていましたね(笑)。
「アハハハ。パトリシオからすると嫌だけど、条件が割りに合うというか……そこにあったら取るでしょと。お腹いっぱいでも、まだ食べられるということだったと思います」
――色々な背景があって実現した試合。鈴木選手が勝利し、彼はFigth&Lifeのインタビューで今後に関して、しっかりと「一番良い条件のところ」という話をしていました。お金の話ができる選手って、強いと思います。
「うん、そうですね。その辺りのハングリーさは、結果にも出てきますね。そういうファイターが成功しているんです。ブラジル人そうで。鈴木千裕選手のパトリシオ戦は、ハングリーな選手の魅力が詰まった試合でもありました」
――この試合で勝利した鈴木選手の北米MMA界における価値を柏木さんは、どのように捉えていますか。
「大筋は変わらない」
――えっ……。
「MMA業界の勢力分布図には、影響を与えないと思っています」
――……。
「Fight Matrixで鈴木選手のランクが12位に跳ね上がりました。それは数字的にパトリシオに勝った選手が自動的に上位にランクされるということです。ただしBellatorやUFCというMMA業界においては、お祭りのなかで事故が起きた――という捉え方だと僕は思っています」
――Bellatorで再戦だろう、とか。パトリシオをKOしたのだから、UFCのアンテナに引っかかってくるのではないという期待が……。
「お祭りの時に起こった事故って言っちゃうと、それは申し訳ないのですが……パトリシオも、そこまで深く受け止めていないかと。僕の立場としては、この勝利で色々と仕掛けられるかなっていうのはありますけど。そういう期待感があって、実際にBellatorで戦うことになったとしましょう。なら、高島さんはどう思いますか?」
――簡単ではないです。
「ジェレミー・ケネディ戦とか実現したら、どうなりますか」
――勝つことは難しい。もちろん、一発で勝つ力はあります。ただし、それを連続するだけの力はまだ備わっていない。
「そういうことですよね。鈴木千裕選手が活きるマッチメイクをBellatorや北米のプロモーションが組んでいくのかといえば、それはないですよね。特にBellatorはグラップラーが多いので……そこは簡単ではないと思います。正直、パトリシオをKOしたからといって、パトリシオより強いという風にはならないと思います」
――ハイ。
「もちろん格闘技の魅力が大爆発した試合ではあったのは間違いないです。ですが、それが現状ではないかと」
――その勝負に勝ったのだから、ライズしたモノが何倍にもなって返るようになってほしい……。
「オールインして、勝ったわけです。それは本当に素晴らしい勝利でした」
――Bellatorは柏木さんと違って、あの勝敗で何かを仕掛けることはないと。
「それは……ほら、今は状況が状況じゃないですか。10月以降のことを、今のBellatorが考えることができているのか。残念ながら、そうではないと思います。本来ならBellatorでリマッチが組まれても、全くおかしい話ではないです。でも、今はそれどころじゃない――ということは、伝わってきますよね」
――Bellatorの今後が不透明すぎますし、PFLがBellatorの全選手の契約を買い取るとは思えないです。
「選手を回すこともできないですよね。PFLのシステムで、そこまで選手を抱えることはないと思いますし」
――PFLはどうなのか……。ONEの元スタッフで、凄く優秀だった人がPFLの中東の担当になったり、自分の周囲ですら色々と勘繰りたくなる動きは見られます。
「いずれにせろ、契約を満了にする期間は必要ですよね。その母体を残さないと、契約を履行でいない」
――9月以降のBellatorは凄まじい数のマッチメイクを組むようになっています。
「そうですね。だから、本当にこの状況でなければ……。逆にいえばBellatorが、こういう状態だったからパトリシオ・フレイレと鈴木千裕戦を組むことができた。RIZINからすると漁夫の利です。アハハハ、言っちゃった(笑)」
――ダハハハハ。
「同時にBellatorが通常営業していれば、米国で再戦もあっただろうし、我々の方から米国で試合を組んでほしいと伝えていました。そこは絶対です。あの試合に勝ったんだから、それはやっていますよ。でも、今はそういう状況ではない。向こうがそういう状況ではないから話はしてこないし、こっちもできないというのが現状です」
――Bellator300以降の話が、まず聞かれないです。
「ないですね。10月7日以降がどうなるのか。それが10月7日前に分かるのか(※9月13日にBellator301=11月17日大会の開催が発表された)。いずれにしても、こういう状況で生まれた試合で、あの勝ち方をした鈴木千裕選手は今のRIZINフェザー級で誰とやっても面白い選手になったんです。
一発当てると、勝負を終わらせることができる。これまで燻っていてものがあったけど、パトリシオ戦の勝利で――こんなに良い選手なんだということが伝わった。鈴木千裕という選手の生き方が集約された試合が、パトリシオ戦だったかと思います。そこが凄く分かりやすい形で、多くの人に伝わった作品となりましたね」
■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後10時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!
■ RIZIN LANDMARK07対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)
<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)
<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)
<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)
<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)
<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)
<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)
<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)
【写真】恐怖心があり、克服する。怖さを感じるから生身の人間。武田光司、漢です(C)TAKUMI NAKAMURA
4日(土・現地時間)、アゼルバイジャンはバクーのナショナルジムナスティックアリーナにて開催される「RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan」にて、武田光司がトフィック・ムサエフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
2020年からRIZINを主戦場に戦い、直近5試合は海外勢との試合が続いている武田。今回は2連敗している中で、敵地アゼルバイジャンでムサエフに挑むという試合だが「勝ち以外はいらない」と勝利への執念を語った。
――ムサエフ戦に向けてタイのプーケットで合宿を張っていたそうですね。
「今回は『気持ちを作る』をテーマにして、10月の頭に10日間だけ行ってきました。練習場所はタイガームエタイとプーケットグラップリングアカデミーの2カ所を拠点にしていて、そこに来る選手たちはみんな強いんですよ。違う階級の選手も含めるとUFC、Bellator、ONE Championshipに出ている選手がいて、自分の動きがそういった相手にどれだけ通用するのか。ガチンコで殴り合うわけではないですが、試合をするつもりで彼らと肌を合わせてきました。今回はそういう緊張感を持った練習をすることが目的だったので10日間という短い期間にしました」
――試合前に同階級の外国人選手と練習しておくことは重要ですか。
「僕はすごくそれは大事だと思います。海外にいかないと強くなれない、日本にいても強くなれる。考え方は人それぞれだと思いますが、僕が外国人選手と試合をするにあたって、ライト級になると相手のフィジカルが異次元の世界なんですよ。だから試合前に同じ階級の外国人選手と肌を合わせて、彼らのフィジカルの強さを体感しておくことは僕にとっては必要なことですね」
――ライト級で戦う上で外国人選手とのフィジカル差をどうするかは大きなテーマだと思います。
「軽量級でも差はあると思うんですけど、フェザー級以上になると一気に外国人の身体の強さが変わってくる。ジョニー・ケース選手とやった時はそもそもの身体の作りが違うなと思いました。そういう部分でも、ライト級で生き残るうえでは色んな工夫もしないといけないと思います」
――タイで合宿は定期的に行っているのですか。
「今年は2回目ですね。前回はスパイク・カーライルからタイで一緒に練習しようよと言われて、一カ月間行っていました。今回は一人だったし、試合前ということもあって、短い期間にしました。プーケットと言うと日本のみなさんは観光地とかリゾート地みたいなイメージがあるじゃないですか。でもそれはパトンビーチと呼ばれる地域の方で、僕が滞在していた場所から1時間くらいかかるんです。逆に僕らがいた地域はジムと飯屋とタイ式マッサージ屋とサウナしかないんです」
――どちらかというと合宿地のような場所なのですね。
「はい。泊まっていたホテルから徒歩10分の場所にタイガームエタイがあって、そこからタクシーで10分くらいのところにプーケットグラップリングアカデミーがあって、滞在中はホテルと練習場所の往復でしたね」
――どのようなスケジュールで練習されていたのですか。
「朝8時くらいにタイガームエタイのすぐ近くにあるアポロファイトキャンプという場所でフィジカルトレーニングをやって、タクシーでプーケットグラップリングアカデミーに移動して、9時半からグラップリングとレスリングの練習、一度ホテルで休憩して16:30からはタイガームエタイでMMAの練習をして、一日が終わるスケジュールです。
1日3部練習だから最後の練習が終わってホテルに戻ってくると疲れ果てているわけですよ。外に出歩く体力も残っていないし、格闘技漬けの毎日で練習にも集中できて、自分とも向き合うことができました」
――さて今回のムサエフ戦、最初にオファーを受けた時の心境は?
「夏前くらいにRIZINのオフィスでミーティングをして、11月にアゼルバイジャンで大会をやるかもしれないという話を聞いて、僕は海外で試合をやりたかったので、是非やりたいと伝えました。最初は僕もムサエフ選手もそれぞれ別の相手で調整していたと思うのですが、最終的にムサエフ戦のオファーをもらって。正直僕は連敗中だったし、そんなオファーが来ると思っていなかったんですね。だから一晩考えました。正直に言うとめっちゃ怖いし、俺なんかがムサエフ選手とやってもいいの?と思いました。でもRIZINは僕にこういうチャンスを与えてくれて、最終的にやるしかないだろと決断しました」
――試合を受けるまで葛藤がありましたか。
「喜怒哀楽、色んな感情がこみあげてきて、返事をする前の晩は泣いちゃってましたから(苦笑)。ムサエフ選手はめちゃくちゃ分厚くて高い壁ですけど、こういう壁を乗り越えないと、格闘技をやっている意味も面白みもないし、僕は去年から強いヤツに挑戦するという姿勢を貫き通しているので、ここでムサエフ選手から逃げたら終わっちまうぞと思って決断しました」
――今回の試合は武田選手にとってターニングポイントになる試合だと思います。
「海外の選手とやるのは一戦一戦が分岐点ですよね。ダミアン・ブラウン戦はRIZINデビュー戦&初めて欧米選手と戦って、試合前にヘルニアで腰がぶっ壊れていて、ろくな試合が出来ずにファンにボロクソに言われて。それからカーライルに一本負けして、ケースとザック・ゼインに勝って、ガジ・ラバダノフとルイス・グスタボに連敗したけど、次はムサエフ選手と試合が決まって。本当にたくさんチャンスをいただいていますよね。なぜかは分からないけど」
――それは試合結果だけじゃなく、武田選手が『また外国人選手と戦うところを見たい』と思わせるものを試合で見せているからではないですか。
「実は僕、それがすごく嫌いなんですよ。そう思っている周りに対してではなくて、そう思わせてしまっている自分自身に対して。やっぱり勝負だから勝ちたいんですよね。『あの選手と判定までいったからすごいね』や『負けたけど試合が面白かったよ』じゃなくて、勝たないと意味がない。勝つための過程が必要なことも分かっていますけど、最後は勝たないとダメなんです。だからムサエフ戦は何が何でも勝ちにいくし、勝ち以外はいらないです」
――格闘技には色々な価値観があると思いますが、あくまで武田選手は勝負にこだわる姿を見せていきたい、と。
「格闘技はエンターテイメントの側面もあるし、個人をどう売るかという意味ではタレントに近いものもあると思います。でも僕はどんなジャンルでも勝負はあると思っていて、例えばオーディションを勝ち抜いて役をもらうのも勝負じゃないですか。そのなかでも格闘技は特に勝ち負けが重要で、強いことが正義だと思うんです。僕はそれを強調したいし、勝つことと強さにはこだわり続けたいです」
――それこそ格闘技は1対1で、どちらが強いかを決めるもので、はっきりと勝者と敗者が分かれる、ある意味で残酷なものだと思います。
「だからこそ人は格闘技に魅了されるんだろうし、あれだけの熱を生むんだと思います。僕はトラッシュトークが苦手なんですよ。でも興行にはそういう要素も必要だし、十人十色だからそういう選手がいてもいいと思うようになりました。そういうのもひっくるめて格闘技は面白いなって思いますし、僕はそっち側の人間ではないので強さや結果で見ている人を魅了したいです」
――話が脱線しましたが、ムサエフ選手をどう攻略しようと思っていますか。
「直近で言えばムサエフ選手とアキラ選手の試合を見て、これは僕の見方なので本人の考えとは違うかもしれませんが、ムサエフ選手はハンドスピードが尋常じゃなく速くて、その相手に対してアキラ選手がインファイトを仕掛けるのは玉砕覚悟だと思いました。僕はムサエフ選手と要所要所で勝負したいと思っていますが、僕がムサエフ選手に勝てる所は少ない。じゃあ、どこで勝負するかと言ったらやっぱりレスリングなんですよ。
ムサエフ選手も『武田は打ち合わないだろう』と予想していると思います。でも僕にはそれ(レスリング)しかないから。もちろんそこを生かすための色んな作戦は考えていますが、勝負する場所はレスリングです。あとは気持ちですね。そこはみんな同じだと思うんですけど、そのなかでも僕は気持ちで譲りたくないし、絶対に気持ちでは上回ります」
――今回は武田選手の勝負論や勝利へのこだわりを聞くことが出来ましたし、ムサエフ戦の前にそれを読者に届けることができてよかったです。
「勝ちたいですよ、本当に。榊原(信行)さんの本のタイトルにもなっている『負ける勇気を持って勝ちに行け!』ってすごく良い言葉だなと思っていて。ムサエフ武田のテーマにぴったりなんです。自分が負けるパターンが想像できるなかで、勝ちにいかないといけないという意味で。あとこの言葉がいいのは、最後は勝ちにいけ=結果にこだわれってことだから、僕は必ず勝ちに行きます。
あとは僕も後輩たちが増えてきて、プロ練に参加しているメンバーは全部で20人くらいいるんですよ。一緒に練習はするけど、昔と違って若い子たちの面倒を見きれなくなっていて。だから試合でかっこいい姿を見せて、自慢できる兄貴でいたいです」
■視聴方法(予定)
11月4日(日)
午後10時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!
■ RIZIN LANDMARK07対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
[挑戦者]鈴木千裕(日本)
<ライト級/5分3R>
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)
<ライト級/5分3R>
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)
<60キロ契約/5分3R>
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
フェリット・ギョクテペ (トルコ)
<ライト級/5分3R>
ドゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)
キム・ギョンピョ(韓国)
<女子ストロー級/5分3R>
アナスタシア・ヴェッキスカ(ウクライナ)
ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
ホアレス・ディア(南アフリカ)
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
<ライト級/5分3R>
イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)
ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)
<ヘビー級/5分3R>
クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)
ショータ・ペトレミドゥゼ(ジョージア)
<ライトヘビー級/5分3R>
ハサン・メジエフ(ラトヴィア)
コンスタンティノ・メルクロフ(カザフスタン)
【写真】受け答えが、表情に比例してソフトなジュビリ(C)MMAPLANET
21日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC 294「Makchachev vs Volkanovski 2」が開催される。実は同国の労働力は外国からの出稼ぎの人々によって支えられており、彼の地に住む人々の人口比ではインド人は35パーセントを数えるといわれている(※UAE政府は数値を公開していない)。
Text by Manabu Takashima
そんなアブダビ大会で、2人目のインド人UFCファイター=アンシュル・ジュビリが、同国のMMAファイターとして初めての勝利を目指し、マイク・ブリーデンと対戦する。Road to UFC2021ライト級優勝ジュビリは、準決勝でHEATやAngel’s FCでライト級王者となり、今ではRIZINと主戦場とするキム・ギョンピョを破り、一躍注目されるようになったファイターだ。
テイクダウンにも対応した確かなボクシング技術の持ち主に、Road to UFC優勝からの人生の変化について尋ねた。
──アンシュル、今日はインタビューを受けていただきありがとうございます。
「UFCファイトウィーク、初のインタビューをRoad to UFC前にインタビューをしてもらった日本の記者の人とできて凄く嬉しいよ」(※同インタビューのあと、ジュビリは1時間以上のインド・メディアとの取材スケジュールが入っていた)
──ただ、あの時の自分はインド人選手が珍しくてインタビューをさせていただいた次第で。まさかRoad to UFCで優勝するとは思っていなかったです。特にキム・ギョンピョというアジア最強クラスのファイターが出場していたので。
「準決勝のキム・ギョンピョ戦はとにかく、彼の前に立って思い切り戦う。それだけを考えていたんだ。知っての通り、彼の評価の方が高かった。彼は僕より才能もあっただろう。でも、とにかく勝って決勝にいきたいと思っていた」
──結果、番狂わせのスプリット判定勝ちを収め。決勝のジェカ・サラギ戦は予想通りのフィニッシュ勝利でした。Road to UFCで優勝した時の達成感はいかほどのものだったでしょうか。
「Road to UFCの決勝で優勝した時は、自分のなかで『やるべきことをやった』というぐらいの嬉しさだったんだ。どの試合でも感じていたのと同じで、『勝てて良かった』と。でもインドに帰国すると、自分の世界が確実に変わっていた。大騒ぎになっている周囲を見て、『あぁ、何かを僕はやり遂げたんだな』という気持ちが初めてわいてきた。
と同時に、インドの人々の代表として責任感を持って戦わないといけないと思うようになったよ。彼らの夢を、僕が実現するんだって」
──その変化に戸惑うことはなかったですか。
「UFCファイターになって、メディアからの注目という点では全く変わったよ。そして、賞賛されることが増えた。本当にそこは変化したけど、僕はRoad to UFCに出場した際に『優勝する』とただ口にしていたわけじゃない。本当にそのつもりだったから、UFCと契約したら、自分の生活が変化する準備もしていた。だから、戸惑うことはなかったよ」
──なるほど、勝てたら……というような想いではなく、そこまで強い意志を持っていたのですね。アンシュルが契約したことで、インドにおけるUFC人気が高まっていると感じることは?
「そうかもしない……僕がRoad to UFCと契約し、そしてUFCと契約を結べたことでUFCを知った人も確かにいる。同時に僕のことを応援してくれても、あまりUFCのことを知らない人達も結構いるんだ。ただ単に僕がインドを代表して、国際的な舞台で戦うということで応援をしてくれて」
──では、変化という部分ですが練習環境など。UFCとサインしてから変わったことはないですか。
「今回のUFCデビュー戦に向けて、バリのSOMA FIGHT CLUBで練習してきた。ロシアからボクシング・コーチ、キックのコーチはニュージーランドから来ていて、凄くレベルの高いトレーニングができたよ。グラップリングもそうだし、いつか米国に行って練習をするようになりたいと考えているけど、今はその必要がない。現状ではSOMA FIGHT CLUBとインドのニューデリーにあるクロストレイン・ファイトクラブを行き来していて、十分なトレーニングを積むことができている」
──ところで今回はアブダビでUFCデビュー戦を戦いますが、UAEには300万人以上のインド人労働者の人が住んでいて、UAEで一番多い人口らしいですね。
「まず、この素晴らしいカードが並んだイベントでUFCデビューできることを本当に感謝している。そして、アブダビにやってきてインドの人々からも熱烈な歓迎を受けているよ」
──では対戦相手のブリーデンについて、どのような印象を持っていますか。現状、UFCでは3連敗の選手です。
「UFCに弱い相手はいないよ。でないと、UFCで戦うことはできない。Road to UFCで僕が戦ったキム・ギョンピョのことをアジア最強クラスと言っていたけど、つまりそういうことだよ。僕は彼に準決勝で勝って、UFCファイターになった。UFCとは、そういうレベルにある舞台だ。対戦相手が3敗だからといって絶対的に軽視することはないし、勝利を手にするために本当に厳しい練習をしてきた。UFCデビュー戦は、僕にとっては世界戦に等しく重要な試合で、ここで勝ってさらに前進するために負けられない。ブリーデンは打撃もグラップリングも強い。ただし、僕はどの局面でも彼より優れている。初回で倒すつもりでいるよ。
見ている人々が退屈な想いをするような試合だけはしたくない。ケージのなかで、皆に喜んでもらえる試合をする。もちろん、日本のUFCファンの皆のためにも、ね」
──ありがとうございます。
「バリで日本の人達と触れ合うこともあった。凄く良い感じの人たちばかりで。なんといっても僕は日本食が大好きだから、いつか日本で戦いたいと思っている。日曜日の試合はアーリープレリミだけど、アーリープレリムのメインだ(笑)。日本の皆にもチェックして、応援してほしい」
■視聴方法(予定)
10月21日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
午後10時30分~U-NEXT
10月22日午前3時~PPV
■UFC294対戦カード
<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
<ミドル級/5分3R>
カマル・ウスマン(米国)
カムザット・チマエフ(UAE)
<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
ヴァレリー・アウベス(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)
<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(ロシア)
ムハマド・モカエフ(英国)
<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
トレヴァー・ピーク(米国)
<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)
ビクター・ヘンリー(米国)
<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
アブ・アザイター(ドイツ)
<ライト級/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
マイク・ブリーデン米国)
<フェザー級/5分3R>
ナサニエル・ウッド(英国)
ムハンマジョン・ナミモフ(タジキスタン)
<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユフレイ(米国)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)
<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
▼RIZINフェザー級(66kg)選手権試合 5分3R
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)王者
鈴木千裕(日本)挑戦者
地元でメインを飾るケラモフはタイトルマッチに。挑戦者はクレベルとのタイトルマッチでノーコンテストとなり、7月のRIZINではライト級契約でパトリシオ・ピットブルを1RKOした鈴木千裕。今回も圧倒的不利は否めない鈴木だが、それでも一発KOのチャンスは常にある。
▼ライト級(71kg)5分3R
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
武田光司(日本)
7月のRIZINではアキラにKO勝ちしたムサエフ。相手はジョニー・ケースに勝って一躍日本人ライト級エース格となった武田。昨年末のBellator対抗戦でのラバダノフ戦、4月のルイス・グスタボ戦は善戦したものの判定負けで連敗中。
▼フライ級(57.0kg)5分3R
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)
ジャスティン・スコッギンス(米国)
マメドフは昨年微妙な戦績でアゼルバイジャン第3の男としてRIZINに参戦するも、手塚基伸の三角に捕らえられた体勢で打撃をもらい続けレフェリーストップ負け。今年4月の2戦目は中村優作を開始直後の打撃戦でKO。一発はあるが、手塚戦を見る限りそこまでレベルは高く見えない。
スコッギンスは5年前、UFCをリリースされた直後にRIZINに参戦。元谷と階級上の60kg契約で対戦し、1Rティーピーチョークで一本負け。翌年朝倉海戦が組まれたが負傷欠場し、8月の名古屋大会で地元の祖根と対戦して判定勝ちしたが、その後はオファーがなく、ローカルイベントで3連勝中。
▼ライト級(71kg)5分3R
トゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)21勝9敗
キム・ギョンピョ(韓国)12勝4敗
RIZIN初参戦のラギモフ。本来はフェザー級の選手で、バンタムに落としたこともある。フェザー級時代にロシアのACBで中島太一に勝利しているが、今回はライト級での出場。ACB・ACAでの戦績はトータル8勝7敗。
HEAT王者ギョンピョは昨年Road To UFCに出場し準決勝敗退。今年4月のRIZIN初戦では、宇佐美正パトリックをテイクダウン→パウンド→チョークで圧倒し、MMA経験の差を見せつけた。
▼ライト級(71kg)5分3R
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)28勝4敗
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)12勝2敗
アバソフは昨年9月にコンテンダーシリーズに出場し、ボンフィム兄弟の兄・イスマエル・ボンフィムにダウンを奪われて判定負け(ボンフィムは現在UFC1勝1敗)。ロシアのAMC Fight Nightsでライト級王座を獲得している。
アブドゥルカリコフは2019年にライト級GP査定試合として川尻と対戦するも、テイクダウンで削られスタミナ切れで判定負け。以降は呼ばれなかったが、今年4月にジョニー・ケース戦が組まれ再登場。2週間前にケースが欠場して代役の雑賀“ヤン坊”達也と対戦し、1RKO勝ちした。
今回のテーマはアゼルバイジャン vs. 世界選抜で、ケラモフとムサエフ以外、世界を迎え打てる選手がいるのかが疑問だったが、いい感じにRIZINで直近勝ってはいるが世界レベルではない選手を連れてきている。セミとメインがある分だけ、今月のRIZIN.44・来月のLANDMARK6よりいいカードかもしれない。
14日(木・現地時間)アゼルバイジャン・バクーにて記者会見が行われ、11月4日(土)同所にあるナショナルジムナスティックアリーナにて開催される「RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan」の第1弾対戦カードが発表された。
RIZIN初開催となるアゼルバイジャン大会でヴガール・ケラモフの持つRIZINフェザー級王座に鈴木千裕が挑む一戦が決まった。
RIZINフェザー級は6月のRIZIN北海道大会で当時王者だったクレベル・コイケと鈴木の間でタイトル戦が組まれていたが、クレベルが計量失敗により王座剥奪。試合ではクレベルが鈴木に一本勝ちしたものの、王座は空位となっていた。
そのベルトをかけてケラモフと朝倉未来が7月30日の超RIZIN.2で対戦。ケラモフが朝倉にRNCで一本勝ちして王座戴冠を果たした。クレベルに敗れた鈴木は7月の超RIZIN.2でパトリシオ・ピットブルと70kg契約で対戦し、下馬評を覆すKO勝利を収めて王座挑戦のチャンスを掴んだ。
会見の冒頭で榊原信行CEOが「アゼルバイジャンで大会を開催するにあたり、アゼルバイジャンのリーダーシップ、青年スポーツ省のサポート、RIZINというワールドクラスのイベントをともに作り出すBCCのみなさんに、こうした機会をいただけたことを心から感謝しています。アゼルバイジャンの選手はもちろん、世界中からトップクラスのアスリートを招聘して、みなさんがワクワクドキドキしてたまらないイベントを創りたいと思います」と挨拶。
続いて榊原CEOよりケラモフと鈴木のタイトル戦をはじめ、トフィック・ムサエフ×武田光司、ナリマン・アバソフvsアリ・アブドゥルカリコフ、メイマン・マメドフ×ジャスティン・スコッギンス、トゥラル・ラギモフ×キム・ギョンピョの5試合が発表された。
榊原CEOのカードを発表のあと、マイクを持った鈴木は「アゼルバイジャンのみなさん、日本を背負ってきた鈴木千裕です。俺はチャンピオンになるためにここに来てます。(ケラモフは)気が抜けた顔してるけど、俺はいつでもエンジンがかかってるし、今ここで試合やってもいいぐらい覚悟を決めて来てるんで、楽しみにしていてください!」と興奮気味に語る。
この鈴木の言葉を受けたケラモフは「私が言いたいことは、このベルトは借り物ではないということ。鈴木がこのベルトを欲しいんだったら、これからバックステージでやってもいいぞ。鈴木は前回の試合でピットブルに勝ったかもしれないが、アゼルバイジャン人のチャンピオンを軽く見るなよ?」と挑発的に言い放った。
すると鈴木も「あの試合はたまたまでもなんでもない。俺は確実に勝ちに行った。俺はRIZINにチャンピオンになるためにピットブルに勝った。あれは余興にすぎない。これが本番。絶対KOしてやる!」と鼻息荒く語る。
さらに鈴木は「さっき『裏で戦おう』って言ってましたよね? 俺はいつでも戦える。俺は今ここでやってもいいぜ!」とポケットから取り出したマウスピースをつけると、ケラモフの席からRIZINのベルトを強奪。ベルトを肩にかけたまま「俺が絶対チャンピオンになってやるからよ!覚えとけよ!」と絶叫し、ケラモフにベルトを返して、自分の席へと戻った。
会見では苦笑いのケラモフだったが、会見後のフォトセッションでは鈴木に掴みかかってスタッフが両者を分ける一幕も。ベルトを掲げてチャンピオンは俺だと言わんばかりのパフォーマンスを見せた。
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9日(水)、GLADIATORより9月30日(土)に豊中市176BOXで開催されるGLADIATOR023 の追加カードの発表があった。
バンタム級選手権試合=王者テムーレン・アルギルマー×チャレンジャー竹本啓哉。フェザー級王座決定T決勝=パン・ジェヒョク×ダギースレン・チャグナードルジ。PROGERSSフォークスタイルグラップリング暫定ウェルター級王座決定T決勝=森戸新士×世羅智茂戦に続き発表されたのは、フェザー級の2試合――河名マスト×ユン・ダウォン、チハヤフル・ズッキーニヨス×ハンセン玲雄の2試合だ。
前述したように同大会ではフェザー級王座決定トーナメント決勝が行われるが、そこで戦うパン・ジェヒョクとダギースレンとの準決勝で惜敗を喫した河名とチハヤフルの再起戦。
河名と戦うユン・ダウォンはチャ・ジョンファン率いるMMA ストーリー所属のファイターだ。チェ・ムギョム、キム・ミンウ、キム・ギョンピョら強豪選手を輩出したMMAストーリー、ユン・ダウォンは今年の2月にBlack Combat代表として、ライト級戦でDEEPライト級チャンピオン大原樹理選手に敗れている印象が強いが、今回は本来のフェザー級での来日となる。
河名にとっては仕切り直しとなったRoad to ―Road to UFC、絶対に落とせない試合となる。対してチハヤフルのリスタートは、ハンセン玲雄とのマッチアップとなった。
パンクラス、DEEPで剛腕を発揮しつつも組みという課題を持ち続けているハンセンは、今回のリリースよると1月大会でリライアブル神戸の同門=中川皓貴選手がチョ・ソンビン選手に敗れた直後から、リベンジと王座奪取を明言していたという。
その後、6月大会でGladiator初出場を果たすと、WARDOGフェザー級チャンピオンの徳野一心一馬選手を30秒で下し、今回のチハヤフル戦を実現させた。
トーナメントが終わっても、続くサバイバル戦。ここに中川が加わることで、韓国人かモンゴル人が頂点に立つグラジのフェザー級戦線がより混迷化してくるか。
以下、今回の試合に向けて4選手の意気込みとなる。
河名マスト
「前回の試合では、自分の思うように試合が進められない中で、新たな発見をすることができました。その発見に頼ることなく、自分のやりたいことを押し付けていく中で、また新たな自分を見つけられるような試合にしていきます。
対戦相手のユン・ダウォン選手は、柔らかくて投げづらいタイプですが、そんなことお構いなしで固めて決着つけて勝ちます。グラジの借りはグラジで返す!」
ユン・ダウォン
「MMAストーリー所属のユン・ダウォンと申します。今回、チャンスを与えて下さったGladiatorの皆さん、本当にありがとうございます。マスト選手はグレコローマンスタイルレリンクのU23世界選手権優勝と聞きました。
彼のようなエリート選手は当然強いでしょうが、未だにMMAに慣れていない感じがします。MMA一筋の私が、しっかりとMMA的なゲームプランを実行して勝たせて頂きます。自分も連敗中ですので、勝利は譲れません。覚悟していて下さい」
チハヤフル・ズッキーニヨス
「ハンセン選手は良い選手だと思います。着実に力をつけてきていて、総合的に戦績以上の実力を持っていると思います。前回の30秒KOもお見事でした。が、申し訳ないのですが僕の負け筋が思いつきません。
彼の打撃で僕は倒れませんし、寝技でも上回ります。ドロドロのスクランブル合戦も望むところです。今大会ではフェザー級タイトルマッチがあり、個人的にはダギースレンが勝ってくれると思っています。
僕も差を見せてフィニッシュして、次期挑戦者として真っ先に名前が挙がる試合をします!」
ハンセン玲雄
「チハヤフル選手は前回大会のトーナメントではダギースレン選手を相手に粘り強い試合をしていて、面白い選手だなと思いました。他の試合を見ても打撃も組みもする、バランスの良い選手という印象です。
前回判定で負けていましたがトーナメントに出ていたチハヤフル選手をしっかり仕留めきって、ベルトに向けて良いアピールをします。
Gladiatorは外国人選手も多く出場していたり、関西にいて世界を体感出来る団体だと思い、その舞台で試合をしたいと思っていました。前回初めて出場したので、今回の試合でまずはGladiatorのお客さんに僕という選手を覚えてもらい、Gladiatorで猛威をふるっている外国人選手をしっかり倒してベルトを獲りたいと思っています」
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— RIZIN FF OFFICIAL (@rizin_PR) April 14, 2023
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