【写真】アトム級GP出場選手が発表された直後の試合、三浦はどのようなメンタルで戦うことができていたのだろうか(C)MMAPLANET
15日(土・現地時間)に中継されるONE Dangalのなかで、ハイアニ・バストス戦が放送される三浦彩佳インタビュー後編。
インタビューを行った2月23日の前日に、Road to ONE04で平田樹が首投げからパウンドアウトでTKO勝ちも悔しさで瞳に涙を浮かべていた──あの試合を、元祖・首投げ&袈裟の女王はどのように見ていたのか。
そしてMMAファイターとしての成長と、改めてアトム級GP出場への強い想いが語られたインタビューを掲載したい。
<三浦彩佳インタビューPart.01はコチラから>
──それだけONEのアトム級は選手層も厚くなっていますし、ここまでこの階級を支えてきた東南アジア勢はGP出場権を手にできる選手は一部のような状況です。
「そうですね、ストロー級GPは可能性が広がるので出たいですね」
──そんななかハイアニ・バストス戦ですが、2019年12月のクアラルンプール大会で、ギロチンで勝っています。が、正直どの程度の強さを持っているのか分からないです。
「パワーでギロチンを極めたような感じでした。4勝で一応無敗なのですが、しっかりと完勝しないといけないです。打撃が結構強そうなので、それを貰わないようにする。ギロチンに入られてもヴァンフルーチョークにいこうかと思っています」
──足で制さないギロチンでしたね。
「ハイ、首だけ絞める──ザ・パワーというギロチンでした」
──その形に入らせないためには、ダブルやシングルよりも首投げです。
「首投げに関しては……本当に色々な技をばらして打ち込みをしてきたので──私より大きな選手とも練習してきましたし。打ち込みとドリル、柔道を生かした技の連係を今回は本当にやりこみました」
──なるほど、昨夜のRoad to ONEで平田樹選手が、最後は柔道に頼ってしまって落ち込んでいたのですが……私自身、それで勝てたから良いじゃないかと思う一面もあります。もちろん、今後を考えるとそれでは勝てないのが分かっていて平田選手も納得できなかったのでしょうが。
「多分、樹ちゃんの場合は打撃を強化してきたから殴り合いたかったんでしょうけど。中村選手の打撃がちょっと鋭かったですね。私の場合は寝技でいく、何が何でも勝ちたいとうのがあります(笑)。
何より樹ちゃんは4戦目でメインですからね。しかも環境が変わって、ずっと注目されていますし、派手な勝ち方も既にしている。全てを含めて凄いプレッシャーだったと思います。結果的に樹ちゃんは勝ったわけだし、それは彼女の強さなんで良かったんじゃないかと思いますけどね」
──先輩として、彼女に何か掛ける言葉はありますか。
「青木さんとかは解説で『アレに頼っちゃダメ』って言っていたけど、勝ったんだから喜んで良いと思います。勝ちは勝ちなんで。思っていたことができなければ──また次に練習しようって頭を入れ替えれば良いことなので」
──三浦選手も首投げと袈裟で勝った時に、極めに行けという声が起こりました。あの時で6戦目ぐらいだったかと。
「そういう指摘をされても、そこまで気にせずに頭を切り替えると良いんじゃないかなって。次、頑張ろうって前向きになれば。通じない相手が出てきて、そこでどうすれば良いのかってなりますしね。
ティファニー・テオに負けて、この1年間は本当に考えて練習してきました。その成果が今回の試合で出せるのかは分からないですが、変化をつけることができた1年でした」
──そうやって練習してきて、別に首投げでテイクダウンして良いわけですし。
「ハイ、掛からない時にやってきたことがでると思います。それが今回の試合なのかどうかは分からないですけど(笑)」
──MMAとして各論になりますが、どのようなテイクダウンを奪いたいですか。
「四つで組みたいです。四つで組んで、相手の首の下に頭を入れた状態で──ヒジとかパンチを貰わず、ケージに押し込んでから大外が良いですね」
──大外ですか、小外でなく。
「ハイ、ズリズリズリと入って。そのままサイドを取れますし。今回はヒジもたくさん練習してきたので、削ってから極め技にいきたいです」
──四つになるために打撃があるところで、組んで距離を殺さないといけないです。
「バストス選手が待ちなので、自分からフェイントを入れて入るか。ストレートが強いけど、フックを振りまわしてくるので、そのタイミングで中に入っていこうと思います」
──それこそパンクラスで注目されていた時と比較して、MMAへの理解が深まったような気がします。
「全然違うと思います。女子のMMAも数年前と比較すると、レベルも上がってきているので」
──それはONEも顕著で東南アジアの女子選手も力を本当につけてきたと思います。まだUFCと比較すると、得意と不得手がハッキリしているきらいはありますが。
「そうですね、ONEの女子選手たちのレベルは凄い勢いで上がっていると思います」
──だからこそ三浦選手もアップデートが必要だと。
「ハイ。私の場合はテオ戦から凄く意識が変わりましたね。『このままじゃヤバイ』って。アップデートしないと……だから目のトレーニングから体調面、技術面と全て変えてきました。追い込み方も前と変わりました。
大体2部練をしていて、以前は疲れることをしていれば強くなれるという考えでした。でも今は時間よりも、課題を持って練習に臨むようになりましたね。そのなかで長く練習をする必要があるときはしますし、とにかく反復練習をしてきたので技のレパートリーが増えてきたかと思います」
──以前は必死にやっているけど上手くいかないって、泣いていましたよね。そういうなんか、かわいこちゃん的なことがあるようなぁって思ってはいました。
「もう……それはさっきも言いましたけど、30歳なので通用しないです(笑)」
──ダハハハハ。すみません、爆笑してしまいました。
「アハハハハ。本当に通用しないです。TRIBEの選手と話をしていると『あっ、こういうことか』という発見があるんです。でも彼らは『それ、今頃ですか? 何年やってきたんですか』って(笑)。ホントに今更って言われるのですが、そこをたくさん吸収しつつある実感があります」
──これ、便乗商売なのですが──アトム級で戦う意志があることも踏まえて『ガキには未来しかない』という風潮に対し、『まだ、あなたじゃない』という想いはありますか。
「あのう……長南さんに最近、BBAって言われるんですけど、そこはまだ上の方もおられるので何と反応して良いのか分からないところもあります。でも、ガキだけじゃないんだぞっていう気持ちはあります」
──ガキでもBBAでもない。
「そうですね、大人のオンナと呼んでもらえると無難かと思います(笑)」
──では大人のオンナ(笑)は、今回の試合でどのような成長を見せたいですか。
「相手のパンチを貰わず、そのうえで組んで、投げて、しっかり極める。圧倒的に勝ちたいと思っています」
──そこでストロー級でトップを目指す狼煙をあげると。
「それがあるので、張りが出てくるかと思います。今回、ケガがなければ4月でも5月でも試合をしたいです。GPに関しては1度、1月の時点で来ていたので……出たいですね。今回、勝って──ケガがなければ、出られるかなって長南さんとも話しています。
アトム級GPに出たいけど……でも、そうですね……ティファニー・テオと戦う前にタイトルマッチのことばかり考えていて──ああいうことになったから、今はとにかくバストス選手に圧倒して勝つことに集中します」
──では最後に日本で、どこかのタイミングで三浦選手の試合を視聴してくれるファンに一言お願いします。
「こんなご時世でもシンガポールに呼んでくれて、国際戦を戦えることは、凄く有難いと思っています。しっかりと勝って、まだまだやれるというところを見てほしいです。大人のオンナ、舐めるなよっていうことで(笑)」
このインタビューの翌日にONE女子アトム級出場選手が発表された。ご存知の通り、三浦の名前はそこにはなかった。試合を2日後に控えた状況での落選決定が、彼女の心理面にどのような影響を与えたのか。それとも割り切って、この1番に挑むことができたのか──土曜日の放送で確認したい。
■視聴方法(予定)
5月15日(土・日本時間)
午後7時00分~ ABEMA格闘チャンネル
■ ONE TNT04 対戦カード
<ONE世界ヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ブランドン・ヴェラ(米国)
[挑戦者] アージャン・ブラー(カナダ)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>※
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ショーン・クランシー(アイルランド)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ビー・ニューイェン(米国)
<58.3キロ契約/5分3R>※
三浦彩佳(日本)
ハイアニ・バストス(ブラジル)
<65キロ契約/3分3R>
グルダージャン・マンガット(カナダ)
ロシャン・マイナン(インド)
<57.7キロ契約/5分3R>
アンソニー・ドゥ(米国)
ホイ・リアン(豪州)
※2月26日に収録。その他の試合は4月29日に収録された試合
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