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【Pancrase351】2年振りのパンクラス復帰、猿飛流「別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃん」

【写真】その通り──と共感ばかりの猿飛流の言葉です(C)TAKUMI NAKAMURA

15日(日)に東京都港区のニューピアホールで行われるパンクラス師走の大一番=PANCRASE350&351の昼夜大会。夜の部351で猿飛流がジョセフ・カマチョと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月のEternal MMA83でフライ級王者アンソニー・ドリリッチに2RKO負けを喫した猿飛流。UFC出場という目標に近づくために挑んだ一戦に敗れる結果に終わったが、この敗戦が猿飛流の格闘技に対する向き合い方を変えることになった。「僕はMMAに救われた人生。自分がどこまで強くなれるのかを満足いくまでやりきりたい」という想いを持ってカマチョとの戦いに臨む。


――本日は記者会見後の取材ですが(11月29日)、会見では「一時は格闘技を辞めようと思っていた」とお話されていました。改めてそのことを詳しく聞かせてもらえますか。

「ずっと自分の中ではUFCという目標があって、ちょうど2年前の防衛戦で鶴屋怜君と対戦することになったんですね。負けなしで期待されていた怜君に勝つことが出来たら『UFCを目指す』と言える資格があったと思うのですが、結果的にはRNCで一本負けてしてしまって。その時に自分の中でちょっとUFCへの気持ちが途絶えてしまって。そうなった時に、国内で目標だったパンクラスのベルトを獲って、先輩の仙三さんからベルトを受け継ぐことが出来て、もうやることはやったんじゃないかと思ったんです。

格闘技そのものは好きだし、まだ引退はしたくないと思って練習は続けていたのですが、自分の気持ちとしてはそういう状況でした。そんな時に、3月のEternal MMAでアンソニー・ドリリッチとタイトルマッチのオファーが来て、Eternal MMAはUFCのフィーダーショー的な位置づけで、UFCにつながる大会だと思ったので、これがラストチャンスだと思って試合を受けました。ただその試合でもぶっ飛ばされてしまって、また進退を考えたんですけど、 やっぱりまだ格闘技が好きで、仲間が好きで、僕に期待してくれる人もいる。パンクラスの坂本(靖)さんからも『またうちでやらないか』という連絡をいただいて、気持ちもすごく前向きになっていた時で、色々とタイミングが重なって(復帰を)決めました」

――2年前に鶴屋選手に敗れて、一気に目標を見失ったような気持ちだったのですか。

「そんな感じでしたね。自分がチャンピオンになった時は年齢的にも若くなかったし、1回でも負けたら正直UFCへの道は厳しいだろうと思っていました。僕は勝ち方も派手ではないので。でも、あのタイミングで怜君に勝てばUFCを目指す資格があると思っていたので、あそこで負けた時にバタっと(UFCへの道が)閉ざされた気がしました」

――Eternal MMAの試合を受けたのも、Eternal MMAがUFCにつながる可能性がある団体だからで、そこでもう一度気持ちが燃えましたか。

「燃えましたね。怜君に負けて、これからどうしよう?と考えながら練習を続けていた時にEternal MMAの話が来たんで、すぐに飛び乗りましたね」

――ただしUFCへの道という部分では、わずかな可能性に賭けて出場したEternal MMAでKO負けしてしまったわけじゃないですか。なぜそこからまた気持ちを持ち直すことができたのですか。

「実はあの試合がすごく楽しかったんです。怜君とやって以来、約1年3カ月ぶりの試合で初めての海外だったのですが、Eternal MMAの人たちがすごく歓迎してくれて。Eternal MMAは豪州以外の選手も多いのに歓声もすごいんです。僕も試合をしていて、すごく気持ちが良くて楽しくて、試合中に自然に笑っていました。

試合はぶっ飛ばされてKO負けだったのですが、やっぱり格闘技は最高だなと思って。試合後の気持ちは前向きでしかなかったし、帰りの飛行機でもセコンドのSASUKEと『ここからまた頑張っていこう!』という話をしていました。だからあの試合で格闘技への気持ちが再燃しました」

――映像・中継ベースでしか見たことがないのですが、Eternal MMAはホーム&アウェイ関係ないイベントという印象があります。

「めちゃくちゃいい団体でしたね。代表のカム・オニールさんが海外の選手に対してもすごくよくしてくれて、選手がUFCに行くことになったら、仮にチャンピオンであっても快く送り出してくれるような団体なんです。お客さんも豪州以外の選手にブーイングとかしないですし、他の試合を見ても判定が公平で、めっちゃ好きな団体になりました」

――日本で復帰するのではなく、海外に出てEternal MMAのようなイベントに出られたことが非常に大きかったのではないですか。

「はい。帰りの飛行機の中でも『UFCの道が途絶えてこれからどうしよう…』 じゃなくて『まだまだ強くなれる』や『すげえいい経験できたな』という感じでした」

――しかも気持ちが前向きになったところでパンクラスからもオファーがあって。

「ありがたいことに色んな試合の話をいただいていたのですが、パンクラスからオファーをもらっていて、僕はパンクラスに育ててもらって、パンクラスにずっとお世話になっていて、パンクラスに恩も感じています。しかも×外国人選手のオファーということもあって決めました」

――日本人相手ではなく外国人選手と復帰戦というシチュエーションも燃える要素になりますよね。

「そうなんですよ。今年初めて外国人選手とやって負けて、それを払拭したいという気持ちがある中でのオファーだったので、それも嬉しかったです。あとは唯一パンクラスで心残りだったのが伊藤盛一郎選手と戦えなかったことなんです。Eternal MMAの試合が決まる前、1月ぐらいですかね。まだ自分もギリギリでランキングに残っていたので、今復帰したらもしかしたら伊藤選手とやれるかなと思ったのですが、さすがにそれは出来ないということで。僕は伊藤選手が相手だったらすごい試合ができるんじゃないかなと思っていて、それもパンクラスで復帰するきっかけの一つですね」

――こうしてお話を聞いていると2年前はUFCという目標一択だったのが、鶴屋戦とドリリッチ戦の負けを経験して、MMAをやる上でのモチベーションのベクトルが変わったようですね。

「ホントに情けない話になるのですが、自分はUFCに行くレベルにいなかったんだと思います。怜君に負けて、Eternalでぶっ飛ばされて。でも格闘技が好きな気持ちは変わらないし、格闘技をやるのが楽しいし、まだ自分が強くなっている実感もあります。今、亀海喜寛さんにボクシングを教わっていて、亀海さんからも『伸びしろしかない』と言ってもらえるし、他の先生方も『絶対やめない方がいいよ』と言ってくれています。最後は格闘技を楽しもう、別にUFCが目標じゃなくてもいいじゃんという気持ちが芽生えています」

――しかも今回の対戦相手=ジョセフ・カマチョはまさに手が合う、戦っていても楽しめる相手ではないですか。

「はい。カマチョ選手はフィジカルも強くて”頑張る”選手なので、自分も楽しめる相手だと思います。今はUFCを目指すとかではなく、今までやってきたことの答え合わせというか、最後に自分がどこまで強くなれるのかというところを満足いくまでやりきりたいです」

――自分が考えるMMAを全うしたいですか。

「僕はMMAに救われた人生なので。MMAがなかったら精神疾患も克服できなかったと思うし、まだMMAをやりたいです」

――試合としてはどんな展開をイメージして勝とうと思っていますか。

「イメージ的には全局面で自分は勝ちたいと思います。相手も組みが得意だと思いますが、そこは自分も得意で自信があるところなので、試合スタートの時点で組みは自分の方が上回っていると思います。プラス打撃も強化できているので、打撃でも組みでも両方で圧倒できるんじゃないかなと思います」

――先ほどは現王者の伊藤選手とやりたいというコメントもありましたが、そこまで伊藤選手に魅力を感じる理由はなんですか。

「まず純粋に強い選手ですよね。あと伊藤選手はSASUKEの高校の先輩で、SASUKEから色々といい話を聞いていて、すごく人格者だと思っています。そんな伊藤選手と試合をしたら、自分たちも楽しめて、お客さんも巻き込んで盛り上がる試合ができるんじゃないかなと思うんです。

自分の中ではそれが格闘技で、それができるのが最高だと思うし、伊藤選手とはいつか戦いたいです。で、今回のカマチョ選手もそういう試合が出来る相手だと思います」

――これから自分が理想とする試合をやっていくためにも、カマチョ戦は結果も必要になる試合ですね。

「まさにその通りだと思います。カマチョ選手に勝たなければ、次の話もないと思うので。しっかりカマチョ選手に勝って、これからも自分のMMA、格闘技を見せていきたいと思います」

■ONE FN26視聴方法(予定)
12月15日(土)
U-NEXT

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【ONE FN26】ナカタニ戦へ。殺気纏う若松佑弥─01─「他人が僕の人生を評価するのも自由だけど…」

【写真】スパーリング中のピリピリは、集中力の高さに比例していた(C)MMAPLANET

7日(土)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night26「Lee vs Rasulov」に日本から若松佑弥が出場し、ギルバート・ナカタニと対戦する。
Text by Manabu Takashima

選手やジム関係者、プロモーションの人間なら誰もが認める実力者。しかし、一般層の間での知名度は低い。彼が戦うONEの戦いが、ライト層のファンに届いていないことも一つの要因だが、若松自身も知名度のアップに興味がない。

ただしシリアスにMMAと向き合うという点においてはUFCファイターやRIZINトップ選手と何ら引けを取らないばかりか、突き抜けているといっても過言でない。今回はLFAで2勝0敗と北米とのスケールとなる相手=ナカタニと戦うことになったが、そんな北米MMAヒエラルキーさえ眼中にないほど、ONEという舞台で若松は強さを追い求めている。


──練習を拝見させていただきましたが、殺気が周囲に伝播している。そんなスパーリングでした。

「自分的にはそんなに……まだ抑えている方で」

──長南さんからも注意が入るシーンもありました。

「そうですね。そうやって言われると、『あっ、まずいな』とコントロールしています。自分と対話をして。ただ闇雲にやるのではなくて。ただ、出さないといけない時もあります。そこをコントロールできるように常に意識していますね。

やっぱり自分が総合格闘技を始めたきっかけは、スポーツじゃなくて果たし合いだから。その部分で殺気は、絶対に出せないとダメだと思っています」

──これはやはりプロ練のスパーリングだからということはありますか。

「ハイ。一般会員さんとの練習でそうなることはないです。そこはコントロールできるようになりました」

──つまりは、以前は……。

「ハイ、普段からピリピリしまくっていました。自分を追い込むじゃないですけど、極限まで追い込まないといけないっていう変な固定概念があって。今も半分ぐらいは、その気持ちがあります。それとは別に、もっと楽にしないとっていう風に捉えることができるようになりました」

──ところで家族から離れて、お母さんのところで寝起きをしていると伺いました。

「ハイ。母親が家の近くに住んでいるので。やはり子供がいると、どうしても甘え、そして父親としての優しさが出てしまいます。でも、コレに賭けているので。家族との居心地の良い時間は犠牲にして、やってみたいというのが自分の想いです。中途半端にやりたくない」

──家族との時間を犠牲にしてまで、自らを追い込む?

「そうですね。何か言い訳を作って、一緒にいることだってできると思います。でも会いたい、遊びたいという気持ちを抑えて、漢として、親として8週間はしっかり自分にだけ向き合いたいと思っています。正解かどうかは分からないですけど、後悔したくないので。そこは自分の目指す父親、漢になるために子供と離れて、自分に向き合うことは必要だと思っています。本当に妻や子供には申し訳ないのですが、生死が掛かった場所で戦うので」

──夜はオフにして、家族で過ごすのも一つのあり方だと思います。それにして、8週間全く家族とは会わないのですか。

「保育園が母親の家に近いので、そこで一瞬会ったりするぐらいですね。その時はやっぱりリラックスしてしまうから、長い時間を一緒にいないようにしています。甘えが出てしまうというか……極限まで自分を追い込んでいきたいので。そうやってきたので、これまで以上に集中できているとは感じています」

──この表現方法は正直良くないですが、戦地に挑むという覚悟を持っているということですね。

「ハイ。簡単にそういう言葉は使えないですけど、そういうところに身を置く……自分のためにやっているだけです」

──そこまでの気持ちでいるにもかかわらず、ダニー・キンガド戦の勝利から11カ月も試合が空いてしまうことに関しては、どのように思っていますか。

「苦しい時期はありました。でも、自分は信じているので。人生って波があるし。晴れの日があれば、雨の日もある。でも、そこで信じることができるのかできないのか。そこで自分がブレて『じゃぁ、こっちに行きます』とかじゃなくて。信じて、信じて。そこで干されても良いっていう覚悟で自分は来たので。この期間も自分にとって戦いだったし、修行だと思ってきました。人に注目されていないですけど、そこは一線級と戦ってきたと思っているので、それもあって良い期間でした。

やっぱり上手くいくだけじゃないし、こういうこともあるというのは自分も分かっているので。良いことばかりじゃない。それでも自分をコントロールして、『これは良いことなんだ』と信じることが大切だと思っています」

──ここまで強さを追求して、MMAと向き合っている。でも、いまだに若松選手の存在を格闘技ファンですら分かっていないことが多い。この状態が、いつまで続くのか。周囲もそう思っている向きもあるかと思いますが、それでもONEに拘り続けるのは?

「契約した以上、その契約に従うのは当然です。それに自分は自分にしかなれない。他人が、僕の人生を評価するのも自由だけど、そんな周りの声に振り回されるのはなくて自分が信じた若松佑弥の人生、ストーリーは自分でしか創れない。もちろん今後、注目してもらうようになるは勝たないといけないです。メディアにも露出していかない。でも別に今まで妥協してきたわけじゃないし、とりあえず毎日全力でやってきました」

<この項、続く>

■ONE FN26視聴方法(予定)
12月7日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

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