【写真】ある意味、退路を断った松嶋がDEEPでどのような戦いを見せるのか(C)MMAPLANET
7月2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTでガブリエル・シウバと対戦する松嶋こよみ。昨年10月にRoad to UFCフェザー級T準決勝で、イー・チャアに敗れ、UFCとの契約を逃した。
本気で引退も考えた松嶋が下した決断は、剛毅會を離れ現役続行&UFCを目指すというものだった。そしてRoad to UFCの選考にも漏れた松嶋は、5年3カ月振りの国内での試合をDEEPのケージで行うこととなった。ここに至るまでの松嶋の心境を尋ねた。
──DEEP初参戦、8カ月振りの試合となり練習環境も大きく変えました。嫌な質問になりますが、Road to UFCの敗因を練習環境に求め、そこに変化が必要だと思ったのでしょうか。
「敗因は自分にあります。MMAとして、詰めないといけないことができていなかった。それが嫌だったので、練習環境を変えました。あのままだと、自分の器が決まっていくような気がして。それなら、一度壊そうと。これまでも僕のキャリアは色々なモノを拾い集めて創ってきました。それが溢れ出てきて整理しようとしていたのが、ここ数年の練習でした。今はまた、もう一度色々なモノを拾い集め、溢れるようにしたいと思ったんです」
──剛毅會の空手の稽古を優先すると、他に必要なことができないということだったのでしょうか。
「僕は空手も好きだし、空手をやっていくことに対しては変わらない想いでいます。ただし、MMAファイターとして試合に勝たないといけない。勝たないといけないという時に、どこに重きを置いてやっていくのか。空手をやることに重きを置くのか、MMAの試合で勝つことに置くのか。それこそ30歳になって、あと10年もできることじゃないですし。
あと何年、突っ走ることができるのか。そこを考えた時、空手を中心にMMAを戦っていくよりも、色々と吸収したいという欲の方が上回ったんです。空手をやるためにMMAを戦っているのではなくて、MMAで勝つために空手をやっている。その自分の気持ちを大切にしようと」
──Road to UFC準決勝で敗れ、それでもMMAを戦い続けるなら、剛毅會を離れるぐらい覚悟を決めないといけない──ぐらいの気持ちだったのすか。
「そうですね。Road to UFCが終わった時、本音をいえば辞めたいと思いました。周りは『辞めないで、頑張ろう』と言ってくれる人が多かったです。でも、自分のなかでは燃え尽きたというか……ここでダメならダメ、辞めたい。これ以上頑張れないという気持ちもありました(苦笑)」
──松嶋選手にはダメージの蓄積がない。心の問題が一番かもしれないですが、あの負けだと「もう一回、チャレンジしよう」と周囲がなるのも理解できます。
「そうですね……そりゃあ、そうだろうなぁ……そう言われるよなとは思いました。ただ、自分の気持ちを大切にすると、辞めても良いのかなという微妙な時期はありました。だからこそ、やるなら空手でなくMMAを中心にやっていこうと」
──剛毅會を離れた直後、取材でないやりとりのなかで「次のRoad to UFCには出ない。(河名)マストとか、若い選手が戦えば良い」という発言がありました。あれには……正直、「えっ?」となりました。いやMMAを続けるなら、UFCに向けてどんなチャンスでも挑戦しないといけないだろうと。
「あの時、Road to UFCは2年連続では出られないとか、色々な情報が錯そうしていました。それに、あの試合内容では僕にチャンスが回ってくるとは思えなくて。そのなかで、どうしたら良いのか。もう自分自身が迷走して、何をやって、何を言葉にしているんだっていう状況でした。今から振り返ると」
──まぁ、でもそうなりますよね。本来は周囲も松嶋選手をそっとしてあげるべきだったけど、そうすると辞めてしまうからもしれないから、とにかく「続けて」ということだけ伝えてしまって……。
「次がどうなるのか、何も指針がない。正直、あの頃はまだ辞めたいという想いも抱えていました。色々と助言は貰えましたが、方向を示すようなことを言ってくれる人はいなかった……。自分のなかで辞めるかという気持ちがあり、どうすれば良いのか分からないなかで、素直に一番正直な気持ちが『練習したい』ということだったんです。
練習場所に関しても、もう自己責任で。今まで練習してもらっていた住村(竜市朗)さんもそうだし、K-1の小澤海斗選手もそうなんですけど、良い感じで練習できています」
──そこから一度、Road to UFCに出るという風になっていきました。
「ショーン・シェルビーから『今年も出られる』という言葉があったから、普通にあるんだと思って準備を進めていました。でも、呼ばれない。呼ばれないとなると、『そりゃあ試合をしていないから、呼ばれるわけがないだろう』みたいなことをいうクソ野郎がいて(笑)」
──クソ野郎……。
「クソ野郎まで、書いてもらって構わないので(笑)。結果、前回のRoad to UFCから試合をしていない選手や、前の試合で負けている選手も出ていますしね。とはいえ、前の試合から時間も空いて、それこそRoad to UFCの準決勝大会にワンマッチでも呼ばれるように試合をしないといけないと考えるようになり、『試合がしたい』と北岡さんに伝えました」
──Road to UFCに出場できなかったことで、現役生活云々を考えることは?
「いえ、もう吹っ切れていたので。今は見返してやりたい気持ちですし、むしろ来年でも再来年でもRoad to UFCに出られればと思っています。だからこそ、準決勝大会前に試合がしたかったです」
──そこでDEEPになったのは?
「北岡さんが『俺が一番話しやすいのはDEEPだから、佐伯さんにまず聞いてみる』ということでLINEをしてくれたら、即答で7月に試合を組むと言ってくれたので」
──DEEPでチャンピオンになり、来年のRoad to UFCを目指すという方法もあるかと思いますが。
「もちろん来年を目指すなら、それが良いと思います。同時にワンマッチでも声が掛るなら、組んでもらうという風に考えています。実際、もう日本のどこのベルトというのも関係ないじゃないですか」
──ハイ、確かに。
「だからベルトに関しては、DEEPがタイトルマッチを組んでくれればやるだろうし。でも今はそういうことは考えていないというか、とにかく次の試合に集中しています。そこからです」
──ところでDEEPはユニファイドルールではなく、サッカーボールキックが認められています。ダウンを奪った後、パウンドにいくよりも立ったまま蹴りを狙う展開が非常に多いです。これは明らかにユニファイドとは違う戦いになりますが、その辺りを気にすることはなかったですか。
「サッカーボールキックを狙うつもりはないので、あまり関係ないかと思っています。それにダメージを与えているのに、蹴りに行って立たせるような試合も多いし。テイクダウンを取っても蹴って立たれるとか、見ていて『何してんねん』って(笑)。それで倒そうと思っていないし、それ以外で倒したい武器がたくさんあるので。とはいえ、出して良いなら流れで出しますけどね。それが闘争本能だろうし。ただし、あの技術を伸ばそうとは考えていないです。あれをやっていると、MMAという競技をしたくなくなってしまうんじゃないかと思っています」
──そんなDEEP初戦、参戦が正式発表になる前から対戦相手が見つからないという話を、佐伯代表もこぼしていました。
「そこは正直、誤算でした。トントン拍子に決まって、シレっと試合をするつもりだったので。僕は試合ができれば誰でも良かった。強いも弱いもない。でも考えると僕とやっても、うま味はないですよね」
──勝てば最高にうま味のある相手ではないですか。
「勝てる自信のある選手がいなかったんじゃないですか。だからこそ、このタイミングでブラジル人と戦えるのはラッキーです。元UFCファイターなんて最高です。『コイツ、日本に戻って来てチョットやって、RIZINに出たいなんて言うんだろう』とか思われているなかで、こんなにちゃんとした選手と戦えるのは、自分の価値を示す最高の機会になります」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
7月2日(日)
午後5時50分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV
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【DEEP114】ガブリエル・シウバと対戦、松嶋こよみ「見返してやりたい気持ちです。来年でも再来年でも」 first appeared on
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