【写真】この間、如何に自分自身を整えてきたのか──は後編で(C)SHOJIRO KAMEIKE
10日(日)、大阪市北区の梅田ステラホールで開催されるDEEP CAGE IMPACT IN OSAKA 2022のメインイベントで、柴田MONKEY有哉が渋谷カズキと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2019年6月、神龍誠とのDEEPフライ級暫定王者決定戦に敗れて以来、2年10カ月ぶりの試合を行うこととなった柴田。正規王者・神龍の復帰、暫定王者・藤田大和の台頭、そして元修斗王者である福田龍彌の参戦で層が厚くなったDEEPフライ級戦線にまた1人、トップファイターが加わることになる。
そんな柴田が2年10カ月もの間、試合を行っていなかった理由とは? 長いブランクを経て、柴田がファイターとして得たものとは何かを話してくれた。
――2年10カ月ぶりのMMAを戦う柴田選手です。まずは、このタイミングで試合を行うことになった経緯から教えていただけますか。
「2年10カ月……それだけ試合間隔が空いたのは、ずっと自分の練習面や生活面を整えたいという気持ちがあったんです。所属していたBLOWSを離れて、米国に行ってアルファメールで練習したり、イヴォルブのトライアウトに参加したりしながら、チームKIZUNAというジムを立ち上げて」
――そうだったのですか。神龍戦前のインタビューで「負けたら終わり」と発言されていたので、てっきり……。
「あぁ、確かにそう受け取られても仕方ないですね(苦笑)。もちろん、あの試合で負けたら終わりやと思っていました。でもその終わりは引退っていう意味じゃなくて、一旦線引きせなアカンっていうことやったんです。結果は負けて、今のやり方じゃダメなんやなって思ったんですよ」
――なるほど。
「……その前から薄々は感じていたんですけどね。今の練習環境、今の生活環境じゃ良くないなって。理想と現実の違い、そういうものを感じていたんですよ。
神龍戦は、自分の中でも悔いなく挑めました。できることも全部やったんで。でも環境面と生活面で見直せるところはあるなって気づけたので。だから、一旦終わりやなっていう気持ちでした」
――では、この2年10カ月の間どう過ごされてきたのでしょうか。
「まずジムについては、もともと子供だけのチームやったんですよ。それが一般の方も受け付けるようになって、ジム経営にも力を入れたいと思ったんです。
だいたい子供は学校が終わって、夕方から練習に来るじゃないですか。僕は子供が好きやったし、子供の指導を仕事にすることで生活していければ、練習にあてられる時間も増えるかなと思っていて。すると通ってくれる子供の親御さんから『私にも格闘技を教えてほしい』という声が増えてきたんです。これなら大人のクラスもあったらいいなと考えて始めたら、さらに増えていったんですよ。
そうすると、ジムを経営するうえで学ばないといけないことがあるなと思って、基本は毎日強さを維持するために動きながら、いろんな経営の勉強会に参加していました」
――自分のジムを立ち上げたばかりの頃は、練習や試合との両立は難しくなりますよね。
「それでジム創りと同じように、自分の練習環境も整えないといけないなと思って。休む前に海外へ行って、日本の練習環境では足りないものも知ることができました。日本でも自分の練習について、もっとこうしたほうが良いんじゃないかなとか考えて……。そのジム創りと練習環境創りに、だいたい3年ぐらい掛かると思いました。だから3年ぐらいは試合を休んで、しっかり整えていきたいなと考えて今に至ります」
――柴田選手は今年30歳になります。選手として、20代最後の3年間も試合を行わないことに、不安はなかったですか。
「年齢のことは気にしていなかったですね。それよりは今、自分の生活面や練習環境を整えていったほうが後々、自分が強くなることに繋がると思ったので」
――それで神龍戦の後に、試合は休もうと決めたのですね。
「そうですね。でもさっき言ったように、前から理想と現実の違いは感じていたからなんです。違和感というか……1度フライ級からストロー級に落として、越智戦(2018年4月、DEEPストロー級タイトルマッチの越智晴雄戦)で負けたあとにBLOWSを離れたんですよ。そこから3試合したんですけど、3試合の初戦から違和感がありました。
それで1試合目は勝って(2018年10月、鮎田直人にTKO勝ち)、2試合目も勝って(2109年4月、坂巻魁斗に判定勝ち)、3試合目……」
――3試合目が、神龍誠選手の持つDEEPフライ級王座に挑んだ試合でした。
「あの時に勝っていたら、そのまま続けていたかもしれないです。まぁ分からないですけどね、“たられば”になっちゃうので」
――神龍戦は、DEEP王座への3度目のチャレンジでした。以前から柴田選手はDEEPのベルトを獲得することにこだわりを見せていましたが、3度目のチャレンジに失敗したことは、どのように捉えていたのでしょうか。
「う~ん……今思うと、たまたまベルトを賭けた試合の経験が多かっただけで、3回目とかっていうのは気にしていなかったです。ただ、3回とも強い選手に負けた。次はもっとしっかりやらなアカン。強くなるために引っかかっている部分を取り除きたい、という気持ちのほうが強かったので、休むことにしたんですよね」
――この3年間で生活環境と練習環境を整えながら、選手として大きく変わった点はありますか。
「柔術を重点的にやるようになりました。MMAに必要な寝技を学びたいなと思って、カルペディエム芦屋で岩崎正寛さんに教わっています」
<この項、続く>
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