【写真】鋼ボディを披露してくれた吉野 (C)HIKARU YOSHINO
23日(水・祝)、静岡県袋井市のエコパアリーナで開催されるRIZIN TRIGGER02で遠藤大翼と対戦する吉野光インタビュー後編。
テイクダウンの強さだけでなく、切り返しの巧さ――吉野返しについて語った前編に続き、後編ではRIZIN TRIGGERと遠藤戦について語ってもらった。その先に吉野が見つめる夢とは!?
<吉野光インタビューPart.01はコチラから>
――MMAで相手のほうが体格が大きくても、吉野返しで立ち上がることができるのは、大きな武器だと思います。
「はい。東京に来てからもグラント君のような大きな選手と組み合ったりして、さらに精度は高くなっていると思います。上久保さんも強くて……組んだら何もできなくなります。あの人は本当に強いですね」
――あの吉野返しがあるから、下になることも恐れることなく、思い切りテイクダウンに行けるのでしょうか。
「そういう部分もあるとは思うんですけど、なるべく下になりたくないという考え方は以前から変わらないですね。僕は柔道でもトップ選手じゃなかったのに、なぜかMMAでテイクダウンを奪えるんですよ。自分でも不思議なんですけど……」
――自分自身でも不思議なのですね(笑)。
「アハハハ、自分はバカだから――かもしれないです(笑)。僕がやることは決まっているので、後先考えずに思い切り行こうという気持ちを、ずっと持っています。もちろん吉野返しのことは考えながら」
――テイクダウンに関しては、左腕を差し上げながら払い腰のような形で投げることが多いですよね。あれは得意なパターンなのでしょうか。
「別のバリエーションもありますけど、あのパターンが結構取れますね。あの投げも自分の中では、MMAだったらこうなるってイメージしながら使っています」
――そんなテイクダウンの強さを武器に勝利を重ねてきた吉野選手ですが、TRIGGER参戦発表の記者会見では「RIZINファンはRIZINバンタム級トーナメントに出ていた選手が一番強いと思っているかもしれないけど、他にも強い選手がいるというのを見せたい」と発言していました。そのRIZINバンタム級トーナメントは、どのように見ていたのですか。
「当時はONEで活躍したいという気持ちが強くて、自分がRIZINのトーナメントに出たかったなぁとは思わなかったです。どちらかというと、ファン目線に近かったですね。誰が優勝するのかなって。それでも、自分が戦ったらどうなるんだろう……そう思いながら見てはいました。出ている選手のレベルは高いけど、その中に自分がいたら、どこまで行けるのかなって」
――あの時点でRIZINバンタム級トーナメントに出ていたら、どのような結果になっていたと思いますか。
「うーん、難しいな……戦う相手にもよりますけど、今の自分では優勝できなかったですね。でも、自分が勝てる相手も出ていたとは思います」
――GP優勝の扇久保博正選手は、どういう相手にも自分の強さを発揮できるMMAファイターだと思います。
「扇久保選手と対戦したら、組みの面白い展開になると思います。ただ、僕が漬けられる展開は思い浮かばないですね。テイクダウンを仕掛けられても、逃げて立ち上がる。もちろん扇久保選手に倒されるかもしれないけど、僕がテイクダウンを取ることもできると思うんですよ。その自信はあります」
――なるほど。まずはTRIGGERで、そのテイクダウン力を楽しみにしたいです。今回の対戦相手、遠藤大翼選手にはどのような印象を持っていますか。
「キャリア的にはもうベテラン選手だと思うんですけど、今3連勝中で、あの年齢(39歳)でフルラウンド攻め続けることができるのは凄いですよね。年齢は関係なくて、衰えずに強い。だから若くて勢いのある選手だと思って戦います」
――その遠藤選手を相手に、どのような試合を見せたいですか。
「自分のスタイルを貫くだけです。僕、もともと対策は立てないタイプなんですよ。ヌルマゴメドフもそうじゃないですか。相手に対策を立てられていても、自分のスタイルを貫けば勝ちが見えてくるのかなって」
――RIZIN TRIGGERに出場するにあたって、現在の吉野選手の目標を教えてください。
「良い勝ち方をして、自分が戦う場所を作ることです。今までは、なかなか自分の戦う場所が定まっていなかったんですよね。RIZINでチャンスを頂いたので、そこから勝ち進んでいって、いずれは海外で戦いたいです。石井慧選手みたいな感じで」
――……石井慧選手ですか!?
「そうです。石井慧選手って、世界中の大会に出ていますよね。それが自分の理想なんです。ロシアや中央アジアとかにいる未知の強豪と戦って勝ちたくて、アウェイで人知れず……」
――人知れず(笑)。
「アハハハ! 別に人知れずでなくてもいいんですけど、そういう強い選手と対戦したいですよね。昔、タイガームエタイで練習した時に、知らない国の選手にボコボコにされたんです。世界には、知られていなくてもこんなに強いヤツがいるのか……と思いました。日本には、そっちの大会で戦っている選手はいないじゃないですか」
――ロシアのACA、中東発のBLAVE CFといった大会に出場している日本人選手はいませんね。3月、4月とどう外国人選手の入国状況が変わって来るのかにもよりますが、コロナ禍で海外から選手を呼ぶことも難しいですし……。
「そういうところへ行って、本当に強い選手と戦いたいんですよ。あるいはコロナ禍が終わって、RIZINで海外から強い選手を呼んでもらえたら嬉しいです。今は頑張って自分のレコードを積み重ねる時期だと思っています。一戦一戦、目の前の試合に勝ちながら――その先に、未知の強い選手と戦える未来があると信じて」
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