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【Special】月刊、青木真也のこの一番─番外編03─ディラショー✖サンドハーゲン「喪が明ければ良いのか」

【写真】サンドハーゲンとディラショーとの試合に、このような視点は持てていなかったです (C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年7月の一番─番外編─第三弾は7月24日に行われたUFC ESPN27からTJ・ディラショー✖コリー・サンドハーゲン戦について語らおう。


──青木選手が選ぶ7月の一番、番外編も3試合目になります。

「ディラショー✖サンドハーゲンなんですけど、試合内容云々でなくディラショーはドーピング違反からの復帰戦ですよね」

──はい、2019年3月のヘンリー・セフード戦で陽性反応があり、2年間の出場停止処分が下りました。

「サスペンド明けということは、当然のようにクスリを使っていたわけじゃないですか。それが……サスペンドが明けたからって同じ土俵なのかっていう話題にならないなと。

パフォーマンス向上のクスリに関して、皆が厳しい目をしているわけじゃないですか」

──ハイ、アンフェアなことですしね。

「やっているんじゃないか? 使っているだろう?ということに関しては、憶測も含め厳しい目で見ています。でもサスペンドが明けると『楽しみだぁ』となるだけで、『それってフフェアなの』という指摘はなかった」

──う~ん、その見方があるのかというが正直なところです。

「つまり、そういうモノなんですよね」

──米国でMMAがイリーガルでなくなった。コミッションに認可されたスポーツになった。その時、コミッションとは法の番人、公明正大な組織だと思っていました。

「それがずば抜けた既得権益を持つ組織だったと」

──ハイ。実力差のあるマッチメイクもOKだし、ボクシングの世界王者が初戦でMMAの世界チャンピオンとやるのもOK。あれだけ危険だと言われていたワンデー8人トーナメントもサンクションする。お墨付きを与えて、利益を得る組織でした。

「そのコミッションが出場禁止処分を与えた選手が、出場禁止期間が明けて戻ってきた。そうしたら大歓迎なのか、と」

──そこは出場停止という刑期を終えて出てきたので、イーブンになるという感覚でした。

「当然、その考え方を否定することはないです。そして人気もあるし、以前の実績が重視されて重宝されることも。僕自身、この件においては考えが定まっていません。どうなんだろうという疑問があるだけで。

ステロイドを若いころに使っていると、体創りという作業が楽になるのは明白です。良いDNAを残し、時間を節約することがクスリによって可能になっているんです。17歳、18歳で使っていると、体創りの時間を他の技術の習得なんかに当てることができる。

そういう選手がミスって陽性になり、出場停止を経験したから真っ白になるっていう倫理観はどうなんだろうと。ただ、復活を喜んでいるだけで」

──まずクスリの使用は、ファイト時のパフォーマンスを直接向上させると思われがちです。でも決してそうではない。逆に試合前に使用していると、露呈するリスクも高い。ただし普段から使用することで、疲労が少ない練習の連続で蓄積できるものが非常に多い。そこが見落とされがちです。

「そうなんです。特に若い時からやっていると。5年間とかステロイドを使って体創りをして、テクニック練習を凄くする。そうやって人造人間になってからUFCと契約できるわけじゃないですか。

試合をしている間に有罪になって、刑期を終えて出てきたから大歓迎するってどういうことなんだろうと思うところもあるんです。でも、議論の余地もないのが現状で」

──見ている人がクスリをやっていて陽性になったファイターのその後については、使っていなくても強いのかという見方ぐらいだと思います。この間の試合はサンドハーゲンが、ディラショーの実績を奪うファイトという捉え方もできましたし。

「結果、掛け率でもサンドハーゲンの方が上だったという。僕も実際にサンドハーゲンの方が強いと思っていましたしね」

──ディラショーは心が頑丈でした。そこが青木選手が指摘された過去の禁止薬物使用に関係しているのか。

「体の頑丈さ、技術だけでなく、気持ちで勝った。だけど、ここの問題はディラショー云々ではなくて、クスリを使っていた選手に対する対応、意識はどうなのかなってことなんです」

──米国はないのように見えます。ドラックでもクスリ使用から、立ち直ったカムバック劇にすらなることもあるかと。

「そこは日本とは違いますよね。日本はクスリやった芸能人って、そのイメージが付きまといますよね」

──そこはクスリも不倫も同じかと。

「そういう事例は確実に多いですね。でも、MMAの有識者の人がここについて何か指摘することはないのかと見ていました。日本のMMAって議論がないですよね。

僕もディラショーを責める気持ちとかはないんです。ただ、皆がどういう視線で見ているのかなって」

──そこまで考えていないのが現実ですよね。

「まぁ、そういうことですね。そして、試合でいえばディラショーは強かったなと。相性もあるかもしれないですけど、あの判定もどうとでも取れます。ダメージを与えたのはサンドハーゲンで、コントロールはディラショー。まぁ、倒しまくってきたサンドハーゲンをコントロールできることが凄い。そういう見方が成り立つというのはありますよね。

そことは別にクスリ問題は、きっと色々な競技で生まれると思います」

──UFCはあれだけテストをしていることで、逆に過去の使用に関しては帳消しになり、罪悪感も薄れるのかもしれないです。

「喪を明ければね。でも五輪レベルの検査があっても、切り抜ける人はいますからね。UFCでも全員はバレていないとは僕は思っていないです。バレる人がいるということは、やっている人がいる。つまり、切り抜けている人がいるということで」

──その通りですね。

「しかもMMAに関していえば、UFCだけですよね。WADA(世界アンチドーピング機関)のような組織と、自社の資金で検査をするのって。BellatorやPFLで、抜き打ちでアウトっていう話も聞かないですし」

──Bellatorに関しては、アスレチックコミッションがファイトウィークに行う検査だけかと思います。

「イスラム・マメドフと戦ったブレント・プリマスなんて尋常じゃない体に見えて。あれだけグラップリングの技量があって……あのバルク。ベラトールはバルクが凄い選手が多くて、アウトっていうニュースがあまりないから……なんかあるのかなって疑っちゃいますよね。

結局UFCだけで……積極的に不正を暴こうとするのは。他はだいぶ微妙に見えます。まぁMMAにはドーピングはある。だからこそ、もっと色々な見方があって議論が起こった方が良いなと思いました」

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Report TJ・ディラショー UFC UFC ESPN27 コリー・サンドハーゲン ブログ

【UFC ESPN27】ケージコントロールのディラショーが、インパクト重視のサンドハーゲンを2-1で下す

<バンタム級/5分5R>
TJ・ディラショー(米国)
Def.2-1.48-47.48-47.47-48
コリー・サンドハーゲン(米国)

サウスポーのディラショーに対し、サンドハーゲンが右ローを蹴る。左右に激しく動くサンドハーゲンは、ディラショーのワンツーにワンツーを返して、右ローを入れる。直後に右を被弾して動きが止まったディラショーに、サンドハーゲンが跳びビザを狙う。これをキャッチしてテイクダウン狙いのディラショーに、サンドハーゲンは変形の三角をセットする。

頭を抜いてトップを取ったディラショーがパウンド、サンドハーゲンは背中を譲って立ち上がる。離れた両者、サンドハーゲンはディラショーのテイクダウン狙いを巻き込んでスイープを狙う。すぐにスタンドに戻ると、ディラショーが蹴りを掴んでバックへ。ここも巻き込んでガードを取ったサンドハーゲンは、蹴り上げから鉄槌、そして三角へ。さらに足関節狙いもディラショーはヒザを抜いておりパンチを落としていく。50/50のサンドハーゲン、ヒザを畳んだディラショーが鉄槌を落とす。一瞬で内ヒールに入ったサンドハーゲンが、直ぐにリリースする。離れたディラショーは足を気にしているようでもあった。

2R、インターバルの間、左ヒザを冷やしていたディラショーは、右を見せてすぐに組みつく。ケージに押し込まれたサンドハーゲンは回って離れると、左ミドルをキャッチして倒しに掛かる。足を抜いて向き合ったディラショーにジャブを当てるサンドハーゲンが、ワンツーをヒットさせる。ディラショーはオーソに構える。サンドハーゲンは踏み込んで右アッパーカット、さらに左フックを2発当てるとディラショーが崩れる。

テイクダウン狙いで凌ごうとしたディラショーだが、切られると右フックを被弾する。カットでドクターチェックを受けたディラショーは、再開後もジャブ、跳びヒザ、エルボーと猛攻を受ける。それでも右を振るって前に出るディラショーだが、右目の上のカットから激しい流血が見られる。組んでケージに押し込んだディラショーはバックに回るも、それ以上の攻めを見せることはできなかった。

3R、左を当てたディラショーが、バックに回りながらパンチを入れる。正面をむいたサンドハーゲンが左フックをヒット、ディラショーは左ジャブからスピニングバックエルボーを受けそうになる。直後に組みついたディラショーがワキを潜ってバックへ。グリップを剥がしにかかるサンドハーゲンは胸を合わせて左エルボーを打ち込む。

離れたディラショーの流血が目立つ。そしてサンドハーゲンがワンツーをヒットさせる。それでもディラショーは右ローを効かせるが、右を受けて動きが止まる。サンドハーゲンがスピニングバックキックで姿勢を乱し下になると、ハイガードを担がれそうになりバックを見せてスクランブルへ。体を入れ替えた離れたサンドハーゲンが、右を当てる。ディラショーはオーソ基調になり、右ローを蹴っていく。そのローから右に繋げ、左を見せたディラショーが組みつく。離れたサンドハーゲンがダブルレッグ、切ったディラショーがバックに回る。後方から殴ったディラショーに対し、前を向いたサンドハーゲンが打ち返し、タイム後に左を当ててしまった。

4R、ねちっこい展開でポイント挽回したディラショーは右ローを蹴り、ワンツーへ。距離を取ったサンドハーゲンは右を蹴られ、左フックを右を被弾する。前に出るディラショーは右を被弾するが、左右のローから左ジャブを伸ばす。さらに組んでバックに回るなど、ペースをディラショーが握る。胸を合わされると離れたディラショーは、左フックを打たれる。サンドハーゲンはジャブから、フックをかわして右を当て、左を打っていく。構えを変えながら、左ボディフックを入れたサンドハーゲンは、ここも組まれてバックを許す。

このテイクダウンに至らない攻撃をジャッジはどのように評価するか。残り90秒で離れた両者、すぐにディラショーが組んでバックに回る。ディラショーの狙いは、オクタゴン・コントロール──サンドハーゲンは離れて、ローを蹴られる。スピニングバックフィストをヒットさせてサンドハーゲンだが、ジャッジはどのようにこのラウンドを見たか。

最終回、インパクト✖ケージコントロール──ここまで38-38という見方も成り立つなか、ディラショーは右ロー、サンドハーゲンが右を当てる。ワンツー&右を当てたディラショーが左ミドル、サンドハーゲンがワンツーを打ち返す。ディラショーは飛び込んで右を当て、ダックアンダーからバックに回る。

胸を合わせたサンドハーゲンは、直後のダブルレッグを腹を突き出して切り、ケージに押し込まれても離れる。ジャブからストレート狙いのサンドハーゲンは、組みにヒザを蹴り込む。左を被弾し、右のカウンターを入れたサンドハーゲンは左を入れる。パンチよりも明らかにスピードに乗った踏み込みで、組んでいくディラショーだが、離れて右を打立てる。

残り1分、左を当ててダブルレッグに出たディラショーが、ケージにサンドハーゲンを押し込む。回って離れたサンドハーゲンは左でボディを抉り、ディラショーが右を伸ばす。ローに左を当てたサンドハーゲンは、右カウンターも決めるがディラショーは姿勢を乱すことなく前に出続けた。直後にタイムアップに──ダメージは明らかにディラショーだが、ゲームを纏める巧さを見せた。

結果、スプリットに割れジャッジの裁定はTJ・ディラショーに挙がる。「素晴らしい相手だったけど、プッシュし続けた。キャンプでカットしたところがまた切れた。ヒザも組んで、フックしようとした時にポップしてゲームプランを変えるしかなかった。次? もちろんタイトルファイトだ」とディラショーはインタビューに答える。

一方、サンドハーゲンは「最初にミスってアジャストした。全くシリアスなダメージもないし、分からないよ……分からない。僕はダメージないし、勝っていたはずだ」と納得しかねる表情を浮かべた。


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【UFC ESPN27】「本当のメイシー・バーバーが帰ってきた」。マーヴェリックと対戦─メイシー・バーバー

【写真】23歳、8勝2敗のメイシー・バーバーが24歳、9勝2敗のミランダ・マーヴェリックと対戦。2人も肩回りと僧帽筋がとてつもなく発達している (C)Zuffa/UFC

24日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで行われるUFC on ESPN27「Sandhagen vs Dillashaw」で、メイシー・バーバーが復活を賭して、ミランダ・マーヴェリックと相対する。

LFAでのプロMMAデビュー以来、アグレッシブかつウェルラウンダーぶりを見せつけたバーバーは、5戦目のコンテンダーシリーズを経て、6戦目でUFCデビューを果たした。オクタゴンでも3試合連続フィニッシュと飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼女だが、2020年1月のロクダン・モダフェリ戦でプロ初黒星、ヒザの負傷もあり1年のレイオフを経験する。

復活を賭した今年の2月のアレクサ・グラッソ戦でも、試合勘の鈍りからが、ヒザの手術が影響したのか、以前の勢いの良さは見られず判定負けを喫した。

初めて壁にぶつかったバーバー。この間にUFCと契約して2連勝中のマーヴェリックとの試合を控えた彼女を初インタビューした。プレッシャーの欠片も感じられない、明るい言葉に終始したメイシー・バーバー、完全復活なるか。


──ミランダ・マーヴェリックと土曜日の夜に戦います(※取材は現地の21日に行われた)。今の調子はいかがですか。

「絶好調よ。スーパーエキサイティング。しっかりと練習してきたし、もう準備はできているわ」

──デビューから8連勝と負け知らずだったメイシーですが、2020年1月ロクサン・モダフェリ戦で敗れ、ACLを負傷しました。そして今年の2月の再起戦でアレクサ・グラッソに敗れ現在2連敗中です。

「最初の敗戦はヒザを捻って、どうしようもなかった。もちろん、初めて負けて精神的にもハードだったし。そこからパンデミックも起こって、また負けて……。でも、この半年間は以前のように練習できるようになったし、この間に私がどう過ごしてきたかをミランダとの試合で見せつけるつもりよ」

──敗北を知り、そこから立ち上がった者が本物のファイターになるという見方もあります。

「その通りね。私にとって貴重な経験になったし、やっぱり無敗でいるって気付かないうちにプレッシャーになっていたって分かったの。また、やり直しだけど楽しみにしているわ」

──ACLの負傷から手術を行い、不安はないですか。

「ヒザは全く問題ないわ。今も、この試合に向けての調整期間も一切気にすることもなかったし。手術前と今の違いは、チョットした時にヒザの回りの皮膚感覚が違うぐらいで。ホント、それ以外は何も変わったところがないから気にならないのよ。痛みでもないし、変な感じってぐらいね(笑)」

──ヒザの影響でファイティング・スタイルが変わることもなかったですか。

「ノー、全くないわ。カムバックしてからも、以前と同じように戦えているわ。ヒザを負傷したことで、変わったのはファイトスタイルよりも気持ちの面ね。以前より、もっと集中するようになったと思う。

今からすると、私はちょっとイージーにトップランクのファイターになってしまっていたみたいで。色々な人が私のことを知って、なんかアイドル的に見られることもあった。自分が自分でないような立場になっていたのよ。

このスポーツのトップで戦うには、フィジカルでもメンタル揃って問題ない状態でないと。今、メンタル的には以前と比較して落ち着いているし、ポジティブよ。凄く穏やかでハッピーだから」

──精神面に関しては、パンデミックという厳しい時を過ごし、米国ではようやく社会がオープンになったことも影響していないですか。

「確かにそれもあるかもね。パンデミックが起こり、ロックダウンになった時は、私もヒザの負傷があったからこそ、家に閉じこもっていることに我慢できていたかな。

でもカリフォルニアでも、徐々に制約が解かれていて、かなりオープンになったし。今回のキャンプは前回の試合の時と違って、パンデミック以前と変わりなくチーム・アルファメールでトレーニングすることができたわ」

──チーム・アルファメールには3人の日本人ファイターが練習していますね。

「テル(石原夜叉坊)も今週末に試合があるわよね。テル、ナミキ(川原波輝)、それと……もう1人……」

──田中路教選手ですね。

「そうね、イエス。きっとそう。アハハハハ。1人だけ分からないなんて問題だから、イエスよ。困らせないでよ(笑)」

──申し訳ありません。今回は同世代のミランダ・マーヴェリックとの試合です。彼女が女子ストロー級で13位、メイシーが14位です。

「ぶっ飛ばすわよ(笑)。そして、私のポジションを取り戻す。アハハハ。まぁ彼女はINVICTA FC上がりでタフよね」

──打撃ではメイシーかと思いますが、テイクダウンが加わると彼女の打撃も相当に有効に感じます。

「う~ん、そのコンビネーションを出させないだけの経験が私にはあると思っているわ。私の方がハイレベルだと、ケージで証明してみせるから。

本当の意味で、メイシー・バーバーが戻ってきた──そういう試合をするから。もう過去2試合のことは過ぎたこと。本当のメイシー・バーバーが戻ってきた……リアルなザ・フューチャーがね。ヘルシーでハッピーなメイシー・バーバーが、ミランダ・メーヴェリックを支配するの。

だから日本のUFCファンの皆も、ザ・フューチャーを応援してね」

■視聴方法(予定)
7月25日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN27対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
TJ・ディラショー(米国)

<バンタム級/5分3R>
カイル・フィリップス(米国)
パウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国)
デリック・マイナー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
メイシー・バーバー(米国)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<バンタム級/5分3R>
エイドリアン・ヤネス(米国)
ランディ・コスタ(米国)

<ミドル級/5分3R>
プナヘラ・ソリアーノ(米国)
ブレンダン・アレン(米国)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッチ(米国)
ナソーディン・イマボフ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ジョーダン・ウィリアムス(米国)

<バンタム級/5分3R>
フリオ・アルセ(米国)
アンドレ・イーウェル(米国)

<女子フライ級/5分3R>
シジャラー・ユーバンクス(ブラジル)
エリース・リード(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ディアナ・ベルビシャ(ルーマニア)
ハンナ・ゴールディ(米国)

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【UFC ESPN27】ランディ・コスタとKO必死マッチ、エイドリアン・ヤネス─02─「僕に無駄打ちはない」

【写真】どんなMMA IQの高いファイトを見せてくれるか! エイドリアン・ヤネス(C)Zuffa/UFC

24日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで行われるUFC on ESPN27「Sandhagen vs Dillashaw」でランディ・コスタと戦う、エイドリアン・ヤネス・インタビュー後編。

LFAでのカイル・エストラーダ戦を契機に、自身のバランス、スタンスが大きく変わったというヤネスは、スプリットで辛勝したこの一戦後、コンテンダーシリーズとUFCで3試合連続KO勝ちしている。

「無駄打ちはない」、「ジャブのためのジャブは打たない」、「全ての打撃に意味がある」。エイドリアン・ヤネスの自信に満ち溢れた言葉に耳を傾けてほしい。

<エイドリアン・ヤネス・インタビューPart.01はコチラから>


──ボクシングがベースでMMAに転向したけわけでなく、MMAを想定した打撃をソリツ・コーチに仕込まれてわけですね。

「MMAファイターとして、何がベースかといえば柔術だよ。そして父から習ったボクシングだけでは、MMAで戦うには十分ではなかった。

とはいえ、父が仕事から戻ってきて疲れた体で教えてくれたボクシングは、僕にたくさんのモノをもたらしてくれた。今も、父に教わったボクシングは僕のファイトに生きているよ」

──ボクシング&レスリングのMMAファイターは、前足重心でステップインをしていくことが多いですが、エイドリアンの構えは後ろ足重心ですね。

「それはコーチのソウルの教えだよ。以前の僕は前にばかり移動していた。大きく踏み込んでね。それだと足を蹴られると、まず彼に教わった。ソウルは僕のスパーリングパートナーに、レッグキックを狙えと指示したんだ。

蹴られまくったよ(笑)。痛みを伴う指導だった。それからアジャストを重ね、少しずつ良くなってきた。ただ、本当の意味で転機になったのは2019年11月のLFAでのカイル・エストラーダ戦だった。

彼に蹴られまくったことで、チェックにしても何しても僕のスタンスは凄く変わった。良くなったんだ。あの後の試合は、バランスをよく取って戦えている。特にスタンスは変わったと思う。僕はスイッチヒッターだけど、ここ最近はスイッチする必要なく戦えているんだ」

──ランディ・コスタ戦はファイヤーワークスが期待されていますが、実のところエイドリアンがやるべきことをすれば、打ち合いになることは無いのではないかと思っています。

「そうだね。彼のパンチは手打ちで、動きが大きい。打ち始めを見極めやすいのは確かだ。カウンター……そう、僕は人のミスに付け込んでカウンターを打つようにしている。ボクシングを見ていても、そういうところばかりが気になるようになったんだ。

大振りした選手のミスを見逃さず、3発パンチを入れる。そういう試合をしたいと思う。ただ、ここ最近のランディの試合を見ると、彼も以前のような大振りで前進を繰り返すファイターじゃないことは明白だよ。

テクニックが向上しているし、スピードも僕と同じぐらいある。爆発力もある。僕らの持っている技術は違うけど、パワーとスピードは互角だろう。その上でランディは序盤から勝負を賭けてくるから、タイミングを見計らってカウンターを打ち込みたい。

僕の打撃には無駄打ちがない。全ての攻撃が、何かの仕掛けになっている。ただ意味もなくパンチを出さない……ジャブを打つためのジャブは使わないんだ。そんなジャブは意味がないから。ジャブもキックも、意味があるから使う。それがKOに直結しなくても、KOに結びつくように。

攻撃の皮切りとなるパンチでKOは狙わないよ。KOへの一歩になるだけで。僕のKOはドミネイトしたうえで、効果的な攻撃を当てた結果なんだ」

──凄く興味深いです。グスタボ・ロペス戦も、そのように試合を支配して最後は右のカウンターショットでした。

「あの試合もグスタボの細かいミスを見極め、彼の動きに合わせて戦った。全てを整えて、KOパンチを繰り出したんだ」

──コスタ戦でもエイドライアンがどのような組み立てをして、どう効果的にパンチを入れるのか楽しみにしています。バンタム級は層が異常に厚いです。コリー・サンドハーゲン、ピョートル・ヤン、ショーン・オマリー、素晴らしいストライカーが揃っていますが、自身の打撃に関してどれほど自信を持っていますか。

「ボクシングに限っていえば、トップ3にはいるだろう」

──おお!!

「打撃全面でいえば……それでもトップ10にいるはずだ。僕より目立っているストライカーもいるけど、無駄なパンチ、無駄なコンビネーションが多い。打撃に関して、僕と同じような精神構造をしていないんだ。そうだね、そうやって考えると、僕の打撃はトップ5だね(笑)。

IQ打撃は、自分がどこにいて、どういうタイミングでパンチや蹴りを使うのか把握していないと使えない。そういう組み立てができない選手は、少なくないよ。結果的にKOする選手は、いつか結果的にKO負けするんだ。

オープンハンドから左フックでKO勝ち、結論が同じでも僕には無駄打ちはない。そこには高度なMMA IQが必要になってくるんだ」

──いやぁ、そこまでの言葉を聞くとエイドリアンのファイトが楽しみでならないです。このインタビューを読んで、同じ気持ちになった日本のファンにメッセージをお願いします。

「多くのテクニックが詰まったショーを見てもらうよ。これだけ打撃のことばかり話してきたけど、試合がグラウンドになれば黒帯柔術家としての力を発揮して戦いたい。

テクニックをフルに使ったエンターテイメント・ファイトを日本の皆にも見てもらいたい。そのためにハードはキャンプをやってきたから。日本のファンに、僕の全能力を見てほしい。そのために全力で戦うよ」

■視聴方法(予定)
7月25日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN27対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
TJ・ディラショー(米国)

<バンタム級/5分3R>
カイル・フィリップス(米国)
パウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国)
デリック・マイナー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
メイシー・バーバー(米国)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<バンタム級/5分3R>
エイドリアン・ヤネス(米国)
ランディ・コスタ(米国)

<ミドル級/5分3R>
プナヘラ・ソリアーノ(米国)
ブレンダン・アレン(米国)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッチ(米国)
ナソーディン・イマボフ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ジョーダン・ウィリアムス(米国)

<バンタム級/5分3R>
フリオ・アルセ(米国)
アンドレ・イーウェル(米国)

<女子フライ級/5分3R>
シジャラー・ユーバンクス(ブラジル)
エリース・リード(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ディアナ・ベルビシャ(ルーマニア)
ハンナ・ゴールディ(米国)

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【UFC ESPN27】TJ・ディラショー戦へ、コリー・サンドハーゲン─02─「せめぎ合いになっても勝つのは僕」

【写真】ついにタイトル挑戦を明言したコリー・サンドハーゲン (C)Zuffa/UFC

24日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC on ESPN27「Sandhagen vs Dillashaw」が開催される。同大会のメインでTJ・ディラショーと対戦するコリー・サンドハーゲン・インタビュー後編。

自身のMMAは全ての要素が途切れることなく繋がっている──サークルだというサンドハーゲンは、サークルとなったMMAを試合で確実に実行できるようになったと自信を深める。

そして、ついに彼はディラショーに勝ってUFC世界バンタム級のベルトに挑戦することを明言した。

<コリー・サンドハーゲン・インタビューPart.01はコチラから>

──TJはウェルラウンダーですが、どちらかというとグラウンドにならないで戦うことが多いと思います。対して、コリーは寝技になり、背中を下にしても構わないスタイルではないでしょうか。

「TJは何でもできるよ。打撃と同じようにレスリング、そして柔術も優れている。だから、どういう戦略を立ててくるか興味深い。うん、そこに関しては好奇心を持っているよ。と同時に、僕自身は柔軟性を持って戦う。TJと戦う時には、そういう考えでいないと全てに対応できないからね」

──何でもできるTJですが、どこか一番の長所だと思いますか。

「競争力があることだよ。生まれつき決定的な一発を持っている。ナチュラルキラーなんだ。そのうえアグレッシブだし、ちゃんと対応しないと一気に流れを持っていかれる。それと敗北を恐れずに戦うところから。そこが本当に厄介なところだよ。

ただし、全てを想定してトレーニングを積んできた。ハードな戦いになるだろうけど、TJにとっても僕との試合はこれまでのようにはいかないよ」

──TJはシングルレッグからバックを奪取することにも、長けているかと思います。シングルからワキを潜ってバックに回る速さは、ピカ一でした。

「テイクダウンも上手いんだよなぁ。う~ん、まぁレスリングでもやりあうよ。そうなっても全く構わない。彼がレスリングをしたいなら、レッスルも受けて立つ」

──レスリングは受けて立つ、ではその先の柔術はどうでしょうか。

「今の僕にとってはレスリングと柔術は同意語だ。レスリングと柔術が組み合わさって、グラップリングになっている。そうだね、レッスルする準備ではなく、グラップルする準備はできていると言い直さないとね(笑)。

今やMMAを戦ううえで柔術とレスリングは分かれていない。グラップリングとして、一つになっているからね」

──まさにサークル化しているということですね。

「その通りだよ。ずっとMMAを戦ってきて、その経験が全て良い方向で消化できている。そして、自分のすべきことをしっかりとケージの中で実行できるようになった。ここまで来るのに数多くの経験をして、学ぶことは膨大にあった。

凄く長い時間を要したから、今は柔軟に考えて、円滑にMMAを戦うことができる自信があるんだ。全てが一つに繋がり、必要なことを臨機応援に遂行する。それこそが僕の最大のアドバンテージだ。

もう僕はチャンピオン・レベルになっていると断言できるよ」

──おお、力強い言葉です。そのアドバンテージを持ち、何をファンに魅せたいですか。

「勝って、次はベルトに挑戦する姿を見てほしい」

──フランキー・エドガーに勝った後、アルジャメイン・ステーリングが反則勝ちでタイトルを得たため、ピョートル・ヤンとは再戦があるかもしれないという状況下で、タイトル挑戦は急がないと言っていました。もうチャンピオンになる時がやってきたと?

「イエス。僕がチャンピオンになる時だよ」

──そのためにTJ戦ですべきことは?

「黙っていても、僕の試合はエキサイティングになるだろう。KOしないといけないとか、心配する必要はない。僕の勝利は、ファンが楽しめる試合だからね。常に動き続けることができるし、色々な攻めを見せるから退屈な想いはさせない。また、これまでと同じように戦うだけさ」

──皆、ハイライトリール・フィニッシュを求めていると思います。その期待にコリーは応えてきました。我がままを言わせてもらうと、フランキーとの試合よりタフで、もう少し長期戦を見てみたい気もします(笑)。

「望むところだよ(笑)。ハイライトリールKOは、短期間で名前を挙げるのに役立つ。でもね、僕も本来は君と同じでタフな試合で、技術の攻防が見たい派なんだ。2人のファイターのせめぎ合いがね。そういう試合になったとしても、この試合──勝つのは僕だから」

──コリー、今日もありがとうございました。以前のインタビューで、ガールフレンドのお父さんが日本人だということを教えてくれ、日本のUFCファンはさらにコリー・サンドハーゲンを支持するようになりました。そんな日本のファンに一言をお願いします。

「今の彼女との関係は良好だよ。彼女のお父さんから日本のカルチャーについて色々と教えてもらっている。この前にも言ったように、日本を訪れることは僕のリストの中にしっかりと入っている。COVIDE19が終息したら、必ず日本へ行く。僕のサポートしてくれてから、皆はオリンピックゲームを楽しんでほしい(笑)。

そうだ、ガールフレンドのダディが『シブシブ』を作ってくれて。アレが、僕は大好きなんだよ」

──しゃぶしゃぶ、ですね(笑)。

「そう、シャブシャブだ(笑)。いつか日本でしゃぶしゃぶと食べてみたいね」

■視聴方法(予定)
7月25日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN27対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
TJ・ディラショー(米国)

<バンタム級/5分3R>
カイル・フィリップス(米国)
パウリアン・パイヴァ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国)
デリック・マイナー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
メイシー・バーバー(米国)
ミランダ・マーヴェリック(米国)

<バンタム級/5分3R>
エイドリアン・ヤネス(米国)
ランディ・コスタ(米国)

<ミドル級/5分3R>
プナヘラ・ソリアーノ(米国)
ブレンダン・アレン(米国)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッチ(米国)
ナソーディン・イマボフ(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
ジョーダン・ウィリアムス(米国)

<バンタム級/5分3R>
フリオ・アルセ(米国)
アンドレ・イーウェル(米国)

<女子フライ級/5分3R>
シジャラー・ユーバンクス(ブラジル)
エリース・リード(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ディアナ・ベルビシャ(ルーマニア)
ハンナ・ゴールディ(米国)

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