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お蔵入り厳禁【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:5月:平良達郎✖キャンデラリオ「勝ちある勝利」

【写真】平良の往く道の困難さを、経験値をもって予測できる点で水垣偉弥の言葉は説得力に満ちている(C)ZUFFA/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、水垣偉弥氏が選んだ水垣偉弥氏が選んだ2022 年5月の一番。お蔵入り厳禁──5月7日に行われたUFC274で組まれた変則UFC世界ライト級選手権試合=シャーウス・オリヴェイラ×ジャスティン・ゲイジー戦から、同14日のUFC ESPN36で行われた平良達郎✖カーロス・キャンデラリオ戦について語らおう。

<月刊、水垣偉弥のこの一番:5月:シャーウス・オリヴェイラ✖ジャスティン・ゲイジー戦はコチラから>


──いやあヌルマゴメドフがオリヴェイラのトップを取った展開、見てみたいですねぇ!!

「だから完璧なヌルマゴメドフが戻って来るならオリヴェイラ戦が見たいですけど、アレっていう彼は見たくないです」

──いうと今のマクレガーですかね……。

「そうですね(苦笑)。マクレガーはフェザー級時代、ライトになってからはエディ・アルバレスまで……ですね。だから、ブライアン・オルテガをテイクダウンして上から殴る技術とメンタルを持っているヴォルカノフスキーとオリヴェイラでライト級王座決定戦を戦って欲しいです。

イスラム・マカチェフだけが新しい血というのは、ライト級は潰し合いが進み過ぎて一回りした感があるからで。ただしビッグネーム揃いのライト級で、UFCがマカチェフを押し切れるのか。戦績でいえば2015年に1度負けただけで、10連勝しているんですよね。でも対戦相手がそこまでビッグネームじゃなくて、ダン・フッカーぐらいで。これは、上がぐるぐる回っていた影響を受けているのでしょうけど。だからヴォルカノフスキーですかね。やっぱりテイクダウンして殴ることがデキるので(笑)」

──スタンドで殴ることできる。その殴る相手がテイクダウンを仕掛けてくることを常に想定していたからこそ、水垣さんは組みの怖さと、組みがあるからこそMMAという気持ちを強く持ち続けているのが終始伝わってきます。

「テイクダウンも寝技もある。それが僕らがWEC時代にUFCに負けないぞってやってきたMMAなので。MMAのストライカーはテイクダウンのある相手を殴ることができないといけないという気持ちはやはりあります。そういう戦いの最高峰がUFCで」

──そのUFCに平良達郎選手が、約2年振りに日本人男子として新規契約を果たし、デビュー戦で勝利を飾りました。

「まず試合内容云々の前に、僕がWECでデビューをしてから13年が過ぎて……僕自身は国内で断トツだったわけじゃないですけど、一応ケージフォースのチャンピオンになって最初の試合でWEC世界王座に挑戦できました。ウルシ(漆谷康宏)さんも修斗のチャンピオンからUFC世界フライ級王座決定トーナメントに出ています(※2012年3月)。

ウルシさんのUFC初戦から10年ですよね、今年で。平良選手は修斗世界フライ級王者で、国内で抜けている存在です。その彼が当初はプレリミの第1試合、試合が延期されて第2試合で戦った。フライ級でも今や世界と日本は差が広がったんだと感じさせられました。

日本はこの10年で、世界に置いていかれた。僕らの時代は日本である程度のところで戦っていると、割と世界のトップで戦えるという認識でした。それがWECが軽量級に力を入れるようになり、UFCに合流した11年でこの状況になってしまったんだなと」

──実力という部分では、フライ級などは世界の頂点と日本のトップ選手の差はそこまで広がっていないと実は感じています。ただし、そこまでの層が厚くなった。この間にあらゆる国の選手がフライ級にもいる。それがUFCにベルトがある階級なのかと。

「僕らの頃は正直、英国やアイルランドの選手がここまで強いと思っていなかったですし、ニュージーランドや豪州もそう。ロシアやブラジルはともかく、カザフスタンとか南アフリカの選手をチェックすることなんてなかったです。

今はトップと15位の差がF1でなくてインディカーですね(笑)。どこでもUFCの試合映像がライブで視聴できて、世界中でMMAの大会が開かれるようになったわけですしね。だから10勝0敗でも、どんな選手と戦っているのか分からない。結果、UFCもまずはコンテンダーシリーズで──という感じになっているんだと思います。でも、それだけMMAが世界に広まったのは嬉しいです」

──その意見も水垣さんらしいです。とはいえ、フライ級はバンタム級やフェザー級ほどではない……とは思います。

「数は少ないですよね。それでも平良選手が無敗できても、『相手は誰?』という風にUFCでは思われてしまう。僕より前だと平良選手の師匠の松根(良太)さんがシャードッグでランキング1位だったりしていたのに。昔だったら修斗のチャンピオンなら、即チャレンジャーだって言われていた。でも日本の評価が相対的に落ちている中で、平良選手はデビューをして……とにかく勝てて良かったです。

日本で彼の試合を見ていた人たちは、バシッと一本勝ちを期待したかもしれないですけど、僕は逆に3Rをドミネイトできた勝利に価値があると思います。今後に向けて良い経験になったし、あまりに鮮烈な勝ち方をすると、すぐにトップと組まれるかもしれないですしね。

将来的にタイトルを獲るという目標があるなかでは、ここ1年ぐらいは試合をしっかりとこなした方が良いと思います。そういう意味でも、いきなり上にパッと引き上げられるよりも、じっくり戦っていく方が良いですし」

──UFCで戦うことで、さらに強くなっていけると。

「そうですね。あの勝利に注文をつけることは何もないです。一本やKOでなくても、完勝です。だから、そうやって一つ一つ勝っていって欲しいです。平良選手自身はどういう風に思っているのか分からないですけど、ランク外の選手と1、2試合戦って。そしてトップ15、トップ10と上がっていって欲しいです」

──水垣さんとしてはあの時代と今を比較して、中央アジアやオセアニア、中東の選手なんか出てくるMMAで戦ってみたかったですか。

「どうですかねぇ。ベルトを賭けて戦ったり、トップ選手と一通り戦えたのでタイミング的には良かったと思っています。スタイル的には今は打撃が多くて、戦いやすいのかという想いも有りますけど……。ヘンリー・セフードとか、五輪金メダリストだった選手やそこに準ずる選手がドッと流入してきたので、そうなると僕は埋もれてしまう可能性が高かったと思います。

何より僕の時代は軽量級で食べていけると思っていなかったです。好きだからMMAを戦っていた。僕自身、できるだけ現役を続けて。その後は細々と暮らすことができれば良いやって思っていました(笑)。それがユライア・フェイバー先輩のおかげで、今もMMAに関わっていられて、家族と楽しく生活ができるようになりました。だから、タイミング的にあの時で良かったです(笑)。

今はそうじゃないかもしれない。でも、平良選手はそういうなかで埋もれず、上を目指して頑張って欲しいです」

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お蔵入り厳禁【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:5月:ストーリー✖MVP「一芸と穴」

【写真】MMAほど多角的に試合を見ることがデキるコンバットスポーツは存在しない。本当に愉しい (C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年5月の一番。お蔵入り厳禁──5月14日に行われたUFC ESPN36で行われたヴィヴィアニ・アロージョ✖アンドレア・リー戦からのカイラット・アクメトフ✖和田竜光戦経由、5月13日のBellator281からBellator暫定世界ウェルター級王座決定戦=ローガン・ストーリー✖マイケル・ペイジ戦を引き続き語らおう。

<月刊、大沢ケンジのこの一番:5月:ヴィヴィアニ・アロージョ✖アンドレア・リー戦はコチラから>


──ONEルールであっても、結果的にチャンピオンは全ての局面で対応できて、また一つの武器も強いという選手になってきていますね。

「上に来ている選手は和田竜光選手に勝ったカイラット・アクメトフとかにしても、スタミナが切れないし手数の多さと気持ちも強いです。

精度で一つ一つとなると竜光も当てているんです。でもアクメトフは手数が多い。どんどん自分から打って、失敗してもまた自分から動く。あれは凄いです」

──左を当ててテイクダウンに成功すると、もうその左の使い等が大きく広がるように見えました。

(C)ONE

「見せるだけで、リアクションがあるので次に繋げていますよね。逆にテイクダウンを見せて、左とかパンチにも移りやすくなって。

それに色々なテイクダウンを持っています。シングル、ダブル、ボディロックだけでなく、サンボ的な動きも見られますし」

──グレコからコンバットサンボというなかで、なんでもこなせるようになったのですかね。いやぁ、引き出しが多かったです。

「穴のなさと、引き出しの多さ……。いや、実はヴィヴィアニがなんでもできるということと比較対象に、同じベラトールでMVPには穴があるってしたかったのですが、見直してみるとテイクダウンディフェンスをちゃんとやっているんですよね(苦笑)」

──まさかのオチが無くなったということですか(笑)。

「アハハハハ。それだけローガン・ストーリーのテイクダウンが特別なんですよ」

──それはサンフォードMMAのチームメイトである佐藤天選手も言われていますよね。

「それでもMVPは簡単に背中をつけることは、ないんですよね。頑張っているなぁと思っていたら、いや相手はストーリーなんだから、頑張っているどころじゃなかったんですよね。

ストーリーに対し、MVPはジャブを打つ。だから距離が遠くなって入れない。ストーリーはMVPに対してパンチに自信がないから。パンチを顔に当てる距離に入ることができないです」

──そのストーリーが、ネイマン・グレイシーと戦った時はテイクダウンをしても、ネイマンの得意のグラウンドに持ち込まれるので、全く倒しにいかないという選択をしていました。そしてジャブを当て続けると。

「そういう選択をストーリーはできるんです。見ていると面白くないのですが、それで勝てる。逆にネイマンはグラウンドでの一芸だから、そういう風に封じ込まれることがMMAにはあるということなんですよね。

でもMVPをジャブで制することができないから、強引に見えるような飛び込みと組みつき方をする。彼が本来できる、一発で良いところで組めるという展開ではなかったです。そこを創るまで時間が掛かっていて。当然、テイクダウンするまで時間も掛かっています。しかも立たれる。ここでMVPを相手にストーリーがジャブを当てることができれば、本当に怖いファイターになります」

──それこそUFC世界ウェルター級チャンピオンのカマル・ウスマンではないでしょうか。

「そうなんですよ。ウスマンは誰が相手でもジャブを絶対に当てに行きます。遠い距離からテイクダウンを狙いません。ジャブをしっかりと当ててから入る。逆にジャブが当たらないと組まないぐらいでいるんじゃないかと思います」

──相手によって戦い方を変える強さと、変えない強さがあるということですね。

「そうなるとMVPですよ。変えられない強さではなくて、変わらない弱さがある。基本的に変わっていない。組みが強い相手にはジャブまでで入って行けない。ずっとカウンター狙いで。

遠い距離でミドルとか、ちょっと派手な蹴りを見せているだけ。相手が来たところしか狙えない。

だからストーリーもジャブを出さなかったというのはあると思います。ストーリーは組んでしまえば、逃げられることはあっても、反撃される怖さがないですからね。下からの仕掛けがある選手を相手にした時、ストーリーはどうなったのか」

──ネイマン・グレイシー戦ですね。

「そこです。MVPに寝技があれば、ストーリーは強引に組みに行けなかった。そしてMVPにはジャブは打てない。MVPに寝技の圧力が少しでもあれば、試合展開は変わったかもしれないです」

──それこそMMAの妙ですね。

「同時にストーリーの手堅さ、そこで勝てるけどフィニッシュの怖さがない。ジャブとテイクダウンとコントロ―ルで。UFCのトップどころは試合を終わらせる怖さがある。それは勝負にいけるからですよね。

ストーリーと戦うと漬けこまれるかもしれないけど、フィニッシュされる怖さはないというか……。ストーリーもBellatorの暫定世界王者になりましたけど、そこがUFCのトップとの違いかとは思います。そうやって考えた時に、ストーリーはMVPやネイマンのような一芸系の選手に勝って来たんだなって。

それがUFCとBellatorの違いで、Bellatorの面白さではあるんです。ただし、ウクライナ情勢があるので統一戦はすぐにできないかもしれないですけど、ヤーソラフ・アモソフが試合ができるようになったらどうなるのか。そこは興味深いですね」

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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:5月:ヴィヴィアニ・アロージョ✖アンドレア・リー

【写真】突き放す打撃で劣勢に追い込まれた時、ヴィヴィは柔術家の一面を見せた (C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年5 月の一番。5月14日に行われたUFC ESPN36で行われたヴィヴィアニ・アロージョ✖アンドレア・リー戦について語らおう。


──大沢さんが選んだ5月の一番は?

「ヴィヴィアニ・アロージョとアンドレア・リーの一戦です」

──おお、ヴィヴィの試合ですか。

「ヴィヴィアニって、ここまで寝技をしたことなかったですよね。パンクラスやUFCでは打撃中心の試合をしてきたのですが、レコードを見るとキャリアの序盤は極めて勝っています。ソレをここに来て出したというか」

──ヴィヴィはすっかり打撃系のイメージでしたが、元々柔術がベースではあったことを思い出された試合でしたね。

「今回の試合で意外なほど、そういう面を持っていることが分かりました。この試合で何が言いたいかというと……ヴィヴィアニはストライカーというイメージを持っていましたけど、初回に右でダウンを喫してハイキックも貰ってから、戦い方を変えました。

そうしたらテイクダウンの形を色々と持っていて。組み技もしっかりとできます。相手のリーはランク9位で、強い選手です。そういう相手にしっかりと組み技ができた」

──そういう一面は下手をすると、2017年10月にパンクラスで三浦彩佳選手に勝利した試合で投げられてもバックを取り、RNCを狙った試合以来かもしれないです。

「一つの形だけでなく、試合中にアジャストできる強さ。しかも、これまでは打撃で相手が捕まえづらい試合をしていた彼女が、あれだけ組みができる。プロフィールに柔術黒帯となっていても、道場でコツコツと練習していたからもらった帯かと思っていました(笑)。それが……ここまでとはというのが正直なところです」

──紫帯でブラジレイロ優勝、茶帯の時にアブダビ・ワールドプロの茶・黒のブラジル予選を勝ち上がっています。ただしパンクラスではジャブとストレートで空間を支配することができていましたし。

「UFCでもアウトボックスで、相手をぶっ飛ばした試合もありますしね。でも本物の黒帯ですよね。これまで試合で見せてきたことじゃなくて、テイクダウンの種類も豊富だし色々と持っていたんだなって。

全てがそうではないですが、僕らの時代から日本のジムってスパーリング中心で仕上げるところが多かったじゃないですか。そういうスパーリング中心だと得意なところは凄く掘れますけど、そこと違う部分が育ちにくいです。

今では色々と工夫をして打ち込みを増やしているところも多くなったと思います。それでも根底にはスパーリングで仕上げるという風潮が強いですよね。

ウチもスパーリングはしっかりとやりますけど、得意なところを磨く練習だけでなく、引き出しを増やす練習も必要だということをヴィヴィアニの試合を視て改めて強く感じましたね。海外の試合を視て、ここで話すのって自分が普段から思っていることとの答え合わせになっています。

しっかりと穴を埋めることが多い。海外の試合を視ているとそう思います。MMAは特にそうでないと、UFCやONEでコンスタントに成績を残すことは難しいですよね。対戦相手よってハマる、そうでないという戦い方をしていれば……ジャンケンで勝って負けるという風では、相手によって得手不得手が出てきてしまいます。

これがボクシングのように相手を選ぶことができるなら、ハマる相手と戦っていれば大丈夫です。でもMMAはそうじゃない。どういうスタイルの選手と戦うか分からないなかで、安定した試合結果を残すには穴を失くすこと。得意なところを伸ばすだけでは無理です。

フォークボールとストレートだけで勝負することは、MMAではできない。バッターはフォークボールとストレートだと勝負に行かなければ良いという選択ができるので。

UFCの女子は特に異種格闘技から脱却しているので、もう得意な部分がグンと高いグラフでは難しいです。UFCの選手層の厚さがそうさせているんでしょうね。Bellatorは一芸に秀でた選手が、まだ見られますけどUFCは穴があっては勝てないです。結果、UFCの選手って『こういうこともデキるのか』と思わせることがままあります。自分のやりたいことで勝ち切れないですからね。

そんなUFCで勝ちたいなら、日本人選手も穴を埋めることが不可欠かと思います。それはBellatorやONEの男子選手も同じです。一芸に秀でていても穴があると難しくなっています」

<この項、続く>

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【UFC ESPN36】平良達郎&松根良太に訊くUFC初勝利─03─「今、MMAが凄く楽しい」(平良)

【写真】平良が沖縄に戻った日にTheパラエストラ沖縄で練習していた面々と。向かって右が彼をパラエストラ沖縄にいざなったお兄さんの龍一さんだ (C)RYOTA MATSUNE

14日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC on ESPN36「Blachowicz vs Rakic」で、UFCデビュー戦で勝利した平良達郎と師匠=松根良太の対談、最終回。

UFC初陣を勝利を終え、師弟は今後をどのように考え──実力査定を済ませたのか。その自信のほどと尋ねた。

<平良達郎&松根良太対談Part.02はコチラから>


──あの健気さは受けると思います。やはり米国人には英語で話しかけないと。それにしても平良選手は、米国では高校生に間違われたりしないですか。

松根 色々なファイターに『何歳なの? 若すぎるだろ』とは言われました(笑)。

平良 22歳なんですけど……。

──あのメッセージの反応の方は?

平良 それは分からないですけど、会場では写真を撮ってと言われたり、SNSでの受けが凄いです。フォロワーがそもそも7000人ぐらいだったのが、外国の人のアカウントが一気に2万人ぐらい増えて。

──会場でもモテモテだったのではないですか。

平良 それなかったです(笑)。

松根 ファイトナイトなので。A-PEXでお客さんも少ないですし。PPVショーになれば(笑)。

平良 成田に着いた時に検査の手伝いをしていた外国人の人に「あなた、NARUTO(─ナルト─)好きね。知ってるよ。私も好きだし」って言われて。

──おおUFC出場効果ですか!!

平良 自分もUFCでNARUTOのアピールをしていたので、「UFC、視てくれたんだ」って伝えると、「? 携帯の待ち受けがNARUTOね」って。

──……。吉本ならズッコケていますよ。がっかりネタじゃないですか(笑)。

平良&松根 アハハハハ。

──とにかく最初のミッションはクリアしました。同時にカーロス・キャンデラリオやヴィクター・アルタミラノはUFCでも一番下のクラスです。これからどんどん対戦相手も強くなっていくでしょう。実際、同じくフライ級でデビュー戦だったジェイク・ハードリーはメインカードで戦い、しかもアラン・ナシメントに完敗を喫しました。ウェルラウンディット時代に下を取って、あそこまで強い選手が特に目立つことなく活動している。改めてUFCの奥深さを感じた次第です。

松根 ナシメントが計量の時から、凄く大きくて。ハードリーより達郎の方が大きくて。あのナシメントのサイズが、UFCフライ級の体格なんだろうと。試合でもナシメントがハードリーを上手くコントールしていました。ハードリーも良いところがあったのですが、全般的にナシメントの方が上回っていましたね。あのレベルは……高いです。

達郎に関しては段階を踏んでいきたいとは思ってはいるのですが、僕の中では今、ハードリーやナシメントとやっても達郎は競りてる自信があるとは思っています。

──おお、平良選手……スミマセン。いつも心配が先だって相手を大きく見て、過小評価をしてしまって。

平良 大丈夫です。僕もそうなので(笑)。

松根 とはいえランキングの上位に入って来る選手と戦うと、そうはいかないです。ただイリディアムのジェイソン・ハウス代表が凄く丁寧に考えてくれている方なので、『早急にステップアップさせるのではなくて、段階を踏ませたい』という意見なんです。だからUFCと直接交渉する彼の判断と手腕を信じて、オファーのあった相手と戦っていきます。

僕と達郎が試合を断ることはないので、届いたオファーはその都度飲んでやっていきたいです。そういう意味でもジェイソン・ハウスと出会えたことは、凄く大きいですね。

──1月のラスベガス行きからノンストップでやってきました。少し休息して、次への英気を養ってください。

平良 ありがとうございます。北海道に旅行に行くことは決まっているのですが、今、MMAが凄く楽しくて。試合が終わってか、北海道に旅行に行きたいということ以外は『次はどこを強化しようか』ってことばかり考えちゃうんです。アレもやりたい、これもやりたい。ここで練習したいとかばっかりで。

UFCと契約してからMMAが本当に楽しくて。次の試合までに、自分にしか分からない進化ってあると思うので、どんな相手が来ても自信を持って戦えるように強くなっていきたいです。

──UFCで1試合戦って、自分の位置を確認したいと試合前に言っていました。キャンデラリオ戦を終えて、UFCでやっていける手応えが掴めましたか。

平良 キャンデラリオに負けたら、どうしようという不安はありました。自分の力がそれだけしかなかったら、これからどうなるんだと。相手の力は戦ってみないと分からないので、そういう不安は相当ありました。

でも実際に戦ってみて、この局面は負けたとか怖かったということが特になかったです。ただし強化しないといけないポイントは、言いだしたらキリがないほど存在しています。UFCの上の選手を見て……いえ、上の選手じゃないですね。新しくサインをしたジェイク・ハードリーさんとか、ムハマド・モカエフとかに勝てるかと言ったら、自分も自信がないので。ただ、そういう選手と戦っていきたいという気持ちが強いです。新世代ということじゃないんですけど、僕と同じ時期にUFCと契約した選手たちと。

彼らとの潰し合いに加わりたいので、そういう試合が組まれるよう強化しようと思います」

──ハードリーにモカエフ、モカエフは6戦目でUFCデビューを果たし──勝手ながらMMAPLANETでは英国の平良達郎と呼ばせてもらっています(笑)。

平良 モカエフはジェイクさんより強いと思います。

──7月23日にモカエフはUFC第2戦で、LFAフライ級王者のチャールズ・ジョンソンと戦います。凄く楽しみな一戦です。

平良 モカエフが絶対に勝つと思います。ジョンソンのLFAの試合も視ましたけど……。

──なるほど、興味深い発言です。あとキャンデラリオ戦のパウンドとエルボー、久しぶりに荒々しい平良選手が見られたかと感じました。あの辺りもUFCで戦っていくことでリフレッシュした部分と、気合の入り方が違ってきたのかと。

平良 パウンドって思ったより疲れるなって……改めて思いました。思い出した感じですね(笑)。パウンドの練習もやらないとダメですね。

松根 平良達郎個人のことでいえば、これが第一歩です。UFCのベルトを獲るには、あと6連勝か7連勝が必要です。その途中で躓くことがあるかもしれないですが、これからの10試合でUFCのベルトに手を届かせたいです。ただし、簡単な道ではないです。それでも夢は口に出してこそ、叶うモノだと思っています。

平良達郎とはしっかりとUFCのベルトを目指し、これからも二人三脚で戦っていくのでファンの皆さんにも見守って欲しいです。同時に平良に皆さんの夢を乗っけて、期待してほしいですね。Road to UFCでもUFCという最高峰を夢見る選手たちが出場しますが、達郎も皆と共に日本の強さを知らしめていきたいです。

──押忍。とにもかくにも平良選手の勝利で、日本のファンが喜んだ。これは本当に良かったです。そんなファンの皆さんに改めて、感謝の気持ちをお願いします。

平良 日本からたくさんの応援があって、本当に嬉しかったです。僕がUFCと契約してからの周囲の盛り上がり方は、断トツで過去一番でした。応援してくれている皆の気持ち、期待が感じられたことが、最高のモチベーションになりました。また次の試合も、皆に喜んでもらいたいので──絶対に勝ちます。応援、ありがとうございました。

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【UFC ESPN36】平良達郎&松根良太に訊くUFC初勝利─02─「苦しい場面を想像してからケージに」(平良)

【写真】左足が平良を支えた功労者、ナオコ・シンガーさん (C)RYOTA MATSUNE

14日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC on ESPN36「Blachowicz vs Rakic」で、UFCデビュー戦で勝利した平良達郎と師匠=松根良太の対談、第2弾。

国内ではなかった思い通りに終わらせることができない試合展開にも、平良は落ち着いてペースを乱すことなく戦えた。良いイメージが崩れ、心身ともにバランスが崩れて敗れることは少なくない。平良が初めてのオクタゴンで、初めての状況に動揺することがなかった理由を尋ねた。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


──つまり国内で連勝街道を突っ走っていても、その良い勝ち方が通じなかったり、崩れなかったことを想定して松根さんは指導していたということですか。

松根 選手によって指導方法は当然変わってきますが、達郎に関してはオフェンス力が強いので指導する時もセコンドに就いた時も最悪を想定します。つまり如何に防御が大切になってくるのかということは、常に意識させてきました。

これまで試合で鼻血を流したり、目を腫らすことなく戦ってきて。本人はそういうことを経験したいというのですが、幸いソレがないままで来ることがデキました。だからこそ、そうなった時を想定しておきなさいということはいつも伝えていました。相手のパンチを被弾し尻もちをつく。でも、それでも大丈夫。そこからの戦いようはいくらでもあると。そうですね、常に最悪は想定して試合に臨ませています。

今回の試合もキャンデラリオのレスリング力を事前の映像でチェックして、達郎が下になることも完全に想定内でした。

平良 本当に『目をカットすることもあるからね』とか、試合前も言われてきたので、自分自身も自分が負ける時はどういう風に負けるのかとか考えて練習にも取り組んでいます。それに試合前も苦しい場面を一度、想像してからケージに上がっています。

松根さんにそう言われ続けてきたので、上手くいくことだけをイメージして戦うことはないです。

──つまりRNCを極め切れなかったり、三角絞めでフィニッシュにならなくても気持ちやペースが乱れることがなったということですか。

平良 チョークに関しては、相手が『ググォ』って苦しそうな声を挙げていたので、極めることができると思いました。なので極め切れなかった時は、『うわっ、極められなかった』とはなりました。でも、同時に松根さんから『バックキープはマストだぞ』っていう声が聞こえて。

さっき言った試合中の会話ということなんですが、松根さんのアドバイスがあったのでペースが乱れることはなかったです。三角絞めは実はどっちもできるように練習はしてきたのですが、得意じゃない方が組みだったんです。だから極まるという確証もなかったです。抜けそうだと感じながら、仕掛けていました。なら拘らずに上を取ろうと思って、その流れでバックに回ることができました。

松根 信じられる方がじゃなかったから、早目に切り替えていましたね。

──メチャクチャ冷静じゃないですか。

松根 キャンデラリオが2017年のコンテンダーシリーズで勝った時の相手が、ブラジル人の柔術家でした。

──ホナウド・カンジドですね。TUF24にも出演した修斗ブラジルのフライ級でチャンピオンで。ノヴァウニオン所属ですがATOSでやってきた柔術家だったんです。

松根 その選手がキャンデラリオを極めそうになっても極め切ることができなくて、失速して負けました。あの試合もそうですしグラップラーは極めに行って極められないと、守りに入ってしまうことが多いです。結果的に、そこから攻め込まれてしまう。

達郎には極めることができなくても、気落ちすることなくまた一から作り直すということは習慣づけさせてきました。これまで日本ではスパッと極めて終わりでしたが、今回の試合では初めての経験にも関わらず、極めることができなくても気落ちを切り替えて作り直すことができていました。

極められない、やり直し。極め切れない、なり直しと繰り返して復旧作業ができたことは、必ず次からの試合にも生きると思います。

──松根さんの話を伺っていると確かに設備とスパーリング相手は重要ですが、同時に師弟関係も日本人選手が強くなるために欠かせないと改めて築かされます。

松根 僕だけじゃないです。今回は岡田遼が、1月のラスベガスの練習からずっと平良に寄り添ってくれたことが大きかったです。試合前も僕は修斗の沖縄大会があったので、前乗りできなかったです。でも岡田に任せることができた。それは僕が岡田を信頼しているからです。岡田も僕の生徒だからと達郎のことを親身になって世話をしてくれました。

僕と2人でいるよりも、岡田がいることで場が和むことも多くて。本当に岡田には助けられました。

──岡田選手は、なりたかった自分を上手く平良選手に投影したようで、グッとくるものがありました。これでキレーさっぱり、ケージを離れることができるのではないかと。

平良 岡田さん、試合後に『俺ももう1試合ぐらいやろうかな』と言ってくれましたよ。

──えっ、そうなのですか。なら、ホントに彼の臨む試合を組んであげて欲しいですね。

平良 ホント、今度は僕が岡田さんの役に立ちたいです。

松根 岡田が引退試合を戦うように、僕も仕向けています(笑)。

──良いですねぇ。鶴屋浩門下パラエストラ千葉ネットワークと沖縄の一体化した姿勢は。まるで岡田遼の腹黒さを松根さんと平良選手が浄化しているようです(笑)。

松根 アハハハハ。千葉でいえば扇久保が色々と協力してくれました。そもそもエクストリーム・クートゥアーで練習ができたのも扇久保の繋がりですし、試合前の減量やリカバリーに関しての助言など、本当に助けてもらいました。

扇久保も岡田もUFCに行きたかった。そのUFCで達郎が戦うことを兄弟子として凄く喜んでくれて、本当にそこは僕も嬉しいです。変なプレッシャーにせず、2人の気持ちを背負って達郎には頑張らせたいです。

──その通りですね。あと、試合後に関してですが……英語のメモを読みました。あの必死さは現地のファンに凄く受けると思うのですが、勝利後のことを用意することに関して抵抗はなかったですか。

松根 イリディアム・スポーツ・エージェンシーの日本人の担当になってくれたナオコ・シンガーさんが、やろうって言ってくれて。僕は本来、試合前に試合後のことを考えるのは集中力の欠如に繋がるという考えは持っていました。でも、チームで一緒にやってきた。僕らはナオコさんがいてくれたから、航空券の手配から、ラスベガスでの時間と何も困ることなく試合に集中できました。そのチームの一員のナオコさんからのアイデアだったし、今回は勝ってそこまでやることが勝利を意味すると思って実行することにしたんです。

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET o TSUNE UFC UFC ESPN36   カーロス・キャンデラリオ 平良達郎 松根良太

【UFC ESPN36】平良達郎&松根良太、師弟に訊くUFC初勝利─01─「100点をあげて良い」(松根)

【写真】ベガスから成田、そして沖縄という長旅も疲れを感じさせない平良だった (C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC on ESPN36「Blachowicz vs Rakic」で、平良達郎がUFCデビュー戦でカーロス・キャンデラリオを3-0の判定で下しオクタゴン初勝利を挙げた。

日本時間の17日に成田着、本日沖縄に戻ってきたばかりの平良と師匠である松根良太にUFC第1戦の模様を振り返ってもらった。


──平良選手、今日、沖縄に戻ってきたばかりだと伺いました。セコンドを務めた松根さんもご苦労様でした。

平良 今、空港からThe パラエストラ沖縄に着きました。

松根 僕は昨日戻ってきたのですが、平良は帰国して空港でのコロナの検査が2時間ぐらい掛かり、沖縄に戻る便がもうなくて成田で一泊する必要があったんです。

──それはお疲れさまでした。

平良 いえ、岡田さんの知り合いの方から美味しい食事をご馳走もなり凄く快適でした!!

──UFCデビュー戦、しっかりと白星を得ることができました。勝利直後はどのような気持ちでしたか。

平良 やっと終わったなという感じで。長かったですね。ずっと集中して、緊張状態が続いていたので『やっと終わったなぁ』と。同時に勝ててホッとしたのとフィニッシュできなかったなぁという気持ちになっていました。

松根 達郎が長かったと感じたのも、1月15日に1カ月の予定でラスベガスへ行って練習していると、その間にUFCと契約することになって試合が決まりました。それから練習を続け、4月15日にラスベガスに行きました。本来なら2週間の滞在予定でしたが、試合がスライドしたのでまた1カ月いることになったので5カ月間、練習から試合に向けて集中していたことになります。だから達郎も長かったというのが、素直な気持ちなんだと思います。

試合に関しては達郎の勢いにはめ込むことができれば1Rで勝つこともあるけど、そこで行けなかったら3Rを使って戦うという風にプランAとプランBを用意していました。1Rはフィニッシュにいく場面がなかったので、その時点で3Rを使って良いかと思いました。

これからUFCの上位選手と戦っていくことを考えると、3Rのドロドロの試合展開や競い合いが待っているので、達郎自身が3Rを経験したいという考えも持っていたんです。特に最近は1Rで勝つ試合が続いたので、3Rをやり切るというのも経験しておかないといけないことでした。その一つの目標を達成できたので、僕自身はフィニッシュできなかったことがネガティブだとは捉えていないです。

『この場面、行けた』とか『この場面で、こう切り替えていればフィニッシュできたかな』という所がいくつかありました。それは次戦に生かせば良いですし、今回の判定勝ちは全然ソレで良くて。過保護に感じられるかもしれないですが、100点をあげて良いと思います。

──おおっ!! 師匠から100点が出ましたよ。

松根 手放しで喜ぶ100点ではなくて、課題も見つかったことで100点ですね。実際に達郎と試合を見返して、その確認作業はしていないですけど、『こうすれば良かった』という点はたくさん見つかった。それも3Rを戦ったからですし、その課題が見つかったことで満点です。

──なるほどっ!! ということですが、平良選手。

平良 正直、フィニッシュしたかったです。でも、試合中にここまで会話というかやりとりができたのは初めてでした。松根さんから『まだ相手は生きているから、バックキープで良いぞ』、『お腹出せ』とか『ここで仕留めきれなかった先を考えろ』という風に色々と試合中にアドバイスを貰って、こういう風に戦うのは初めてだなぁって。頭も使いましたし、本当に良い経験ができました。

──初めてのUFC。最初の5分の動き、入り方は日本で戦っているときと比較してどうだったのでしょうか。

平良 僕自身はいつも通り動けていると思っていました。ただ、試合を見返すと打撃とかめちゃくちゃ硬かったです。戦っている最中はそういう意識はなかったですけど。

──最初の組み、シングルレッグからボディロックを狙いましたが、組み勝てずすぐに離れました。テイクダウンやボディロックを取れなかったことで、焦らないか心配でした。

平良 最初に組んだ時、一度引き付けてどれぐらいのものか確認してみました。その時にまぁまぁ腰が重かったので、一度はこかしてもそこまで深追いはしない。力を使い過ぎないで戦おうというのはありました。そこで離れても不利になるわけでなく、イーブンに戻るだけなので。

尻もちをつかせましたが、相手が立ち上がったのでケージに押し込んだ状態で自ら離れました。

──そこで抑え込むことができず、またスクランブルでバックという展開を創れなかった時の心境が深追いしない、力を使い過ぎないというモノだったのですね。

平良 ハイ。あの場面はそういう気持ちでした。それに切られても何回もアタックしようと思っていたので。

松根 毎回そうなのですが、切られることを想定して『切られても、もう一度入るぞ』ということを練習から意識させています。今、達郎がいった尻もちをつかせた場面は2度目のシングルからボディロック狙いで、ボディロックまでいけた時の流れですね。

最初の時はシングルからボディロックというなかで、キャンデラリオがダブルアンダーフックの態勢になったので、自分からすぐに離れた。あれは戸惑ったわけではなく、様子を見ることができた攻防でした。そこから何回もテイクダウンを仕掛ける。打撃に切り替えるのも手で。全て想定したなかで動きことができた試合でした。

──松根さんが言われたように、日本では動きをはめ込みフィニッシュという試合が多かったのですが、だからといってそうできるという考えではなくて、掛からなくても次の展開を狙うというマインドセットだったのですね。

松根 実際、三角狙いという場面以外で、試合で下になったのは初めてだと思います。相手のテイクダウンの圧力で尻もちをついたりだとか、切り返されてハーフを取るとか。でも、そこも全て練習でやってきていることなので。心配することなく、安心して見ることができていました。

キャンデラリオにとって最大の勝機は3Rのギロチンだったと思います。あの展開も練習で何度も経験していますし、ちょっとプレッシャーは強かったですけどエスケープのために下を選択した。それも想定内なので、僕は硬くてダメだということは全く思っていません。練習でやっていたこと……右ストレートを当て、バックキープもできた。スイープもできた。できたことがたくさんあったので問題はなかったです。

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN36 キック デイヴィ・グラント ボクシング ルイス・スモルカ

【UFC ESPN36】グラントが2Rに失速も、最終回にカーフキックを効かせてパウンドでスモルカを仕留める

<バンタム級/5分3R>
ルイス・スモルカ(米国)
Def.3R0分49秒 by TKO
デイヴィ・グラント(英国)

サウスポーのグランドが右ロー、スモルカがプレッシャーをかけながら組み付く、離れたグラントはオーソドックスにスイッチして、右ローでスモルカのバランスを崩させる。右ローからパンチに繋げるグランドは、徹底してスモルカにローを当てていく。スモルカが距離を詰めると、右ボディから左フックを顔面へ。組みついてきたスモルカを首相撲から離して、ボディからフックに繋げていく。

右ロー、左右フックのパターンがクリーンヒットするグラントに対し、スモルカはガードを固めて距離を詰める。しかしグラントがパンチでスモルカをグラつかせた。グラントの右フックをインから食らって動きが止まったスモルカ、二ータップを仕掛けるもグラントを捕まえることができない。ガードを固めて前に出るグラントに、左右ボディフックを当てるグラント。右ロングアッパーから、左右のロングフックを当てる。スモルカはグラントの左ストレートを受けてダウン。パウンドを狙うグラントの足を取りにいくも、グラントは立ち上がった。

2R開始早々、ニータップで組みついたスモルカ。しかしグラントをケージ際に追い詰めることはできず。離れたグラントがパンチと前蹴りでペースを握る。パンチをもらいながら前に出るスモルカを、グラントは首相撲に捉えてヒザを打ってから離れる。時おりスモルカのパンチもグラントの顔面を捉える。グラントはボディから顔面へのフックのコンビネーションを見せるが、スモルカのパンチもヒット数が高くなっている。スモルカは左の縦ヒジを見せるも、グラントがバックステップでかわす。

ケージ中央での打ち合いで、右ミドルを繰り出すスモルカ。グラントはスイッチしながらボディ、顔面へのフックを伸ばす。しかしグラントのハンドスピードが落ちた。スモルカは距離が近くなるとダーティボクシングへ。グラントは離れて左右フックを繰り出すが、眉間から流血が見られる。スモルカが左の縦ヒジから、右ヒジをクリーンヒット。グラントのバックスピンキックを受け止めたスモルカがグラウンドに持ち込み、グラントの左腕へ腕十字を狙う。凌いだグラントが立ち上がり、スモルカを振り落としてスタンド戦へ。ラウンド終了までグラントが手を出し続けた。

最終回、はグラントの蹴りからスタート。カーフキックを受けながらスモルカが前に出ると、グラントは左右フックを当てていく。インから左ジャブを突いたグラントは、右カーフキック。完全に効いたスモルカはダブルレッグで組みつくも、スプロールしたグラントがパウンドを浴びせ、レフェリーストップを呼び込んだ。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN36 アマンダ・ヒーバス キック ケイトリン・チューケイギアン

【UFC ESPN36】ヒーバスにTDを許すも、チューケイギアンが左ジャブでコントロールしてスプリット勝利

<女子フライ級/5分3R>
ケイトリン・チューケイギアン(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.28-29.
アマンダ・ヒーバス(ブラジル)

サウスポーのヒーバスが前に出る。チューケイギアンは下がりながら、右ストレートと右ハイ。さらに左ジャブで相手の前進を止める。右ストレートから左ハイを見せたチューケイギアンに組みついたヒーバスが、首投げでテイクダウンを奪った。袈裟固めで抑え込みつつ、サイドに移行したヒーバス。右のパンチと右ヒジを落とし、足をかけてくるチューケイギアンを抑え込み続ける。

チューケイギアンはエビを打って足を差し込み、バックを狙うもヒーバスはディフェンス。チューケイギアンはハーフガードへ。右腕を差し上げて、一度相手の左側に頭をあげながら、逆方向からスイープに成功した。立ち上がったヒーバスは右バックスピンキックを繰り出す。チューケイギアンは左ジャブを突いて、さらに前蹴りを放つ。ヒーバスも手を休めない。足を使うチューケイギアンのワンツーをバックステップでかわしたヒーバス、しかしパンチ勝負ではチューケイギアンのジャブとショートのストレートが当たった。

2R、チューケイギアンの右インローにパンチを合わせるヒーバス。チューケイギアンは左ジャブを突いて、ヒーバスのシングルレッグをかわす。声を出しながら打撃を繰り出すチューケイギアン、右の打ち下ろしでヒーバスをグラつかせた。さらに左ジャブを突いて、右ストレートを当てるチューケイギアン。ヒーバスが体勢を低くしたところで左ハイも当てた。ヒーバスはチューケイギアンのワンツーをかわして組み付き、ケージ際で首投げからグラウンドに持ち込んだ。

1Rと同様に袈裟固めからサイドに移行しようとしたヒーバスに対し、チューケイギアンは足を上げていく。離れたヒーバスは、チューケイギアンの足を捌きながらパスしてサイドを奪った。チューケイギアンも足を利かせて、下からエルボーを打ち込む。さらにラバーガードの形を作りながら、ヒーバスがパウンドを打つと立ち上がり、ケージ際から離れた。ケージ中央でヒーバスのボディに狙いを定めたチューケイギアン、ガードが下がったヒーバスの顔面にもパンチが当たるように。残り10秒でチューケイギアンがバックを狙っていった。

最終回、前蹴りを放つヒーバスの顔面に、左ジャブを突いたチューケイギアン。ヒーバスのローでバランスを崩したが、すぐに立ち上がり左ジャブを突き続ける。右バックスピンキックを相手のボディに決めてから組みつくヒーバスだが、チューケイギアンもすぐに離れる。スイッチして右ジャブを見せるチューケイギアンは、オーソドックスからの左ジャブが当たる。ヒーバスは顔の前で手を動かしフェイントをかけるが、チューケイギアンの左ストレートがヒーバスのボディに突き刺さる。

ヒーバスはテイクダウンと見せながら右ロー。しかしチューケイギアンがジャブで自分の距離を保ち続ける。ヒーバスは前蹴りや関節蹴り、ローを繰り出す。チューケイギアンの右ストレートをかわしたヒーバスがダブルレッグを仕掛けるも、チューケイギアンが押し込まれたケージ際から離れた。打ち合いに持ち込むヒーバス。残り10秒でチューケイギアンがボディロックで組みつき、相手の前進を止めたあと、自分の距離で打ち合って試合を終えた。

裁定はヒーバスのテイクダウンが評価されたか、スプリットで割れたものの、チューケイギアンが勝利。ランキング1位のチューケイギアンは、王座再挑戦をアピールした。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN36 フランク・カマチョ マニュエル・トーレス

【UFC ESPN36】またも1Rフィニッシュ、本戦初出場のトーレスがカマチョにパンチでKO勝ち

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス
Def.1R3分27秒 by TKO
フランク・カマチョ(グアム)(メキシコ)

小刻みに体を動かして距離を詰めるカマチョに、トーレスが左フックからパンチを当てた。バランスを崩したカマチョも左右フックを振るも、トーレスのパンチがインサイドから当たる。プレッシャーをかけるカマチョ、足を滑らせたトーレスにシングルレッグで組みついた。ケージ際まで持ち込むが、離れたトーレスの右ストレートがヒット。カマチョのシングルレッグを切って打撃戦を選択するが、カマチョの右ショートもトーレスの顔面を捉えた。受けたトーレスは、俄然パンチを連打して前に出る。

ケージ際では首相撲からヒザ蹴りを狙う。トーレスのパンチをもらったカマチョは組みつくも、テイクダウンを奪うことはできず。トーレスが右アッパーを当て、さらにパンチを連打してから右ヒジを当てる。明らかにダメージが大きいカマチョ。相手の右ストレートをスウェーでかわしたトーレスの左右フックを食らったカマチョは、背中からダウン。トーレスは追い打ちをかけず、レフェリーが試合をストップした。

DWCSから本戦出場を果たしたトーレス、MMAキャリアを通じてこれが12個めの1Rフィニッシュとなった。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN36 アラン・ナシメント ジェイク・ハードリー

【UFC ESPN36】ルーキーにオクタゴンは甘くない。ナシメントがハードリーを組みと寝技で完封

<フライ級/5分3R>
アラン・ナシメント(ブラジル)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ジェイク・ハードリー(英国)

サウスポーのハードリーに右ミドルハイをナシメントが見せる。前蹴り、ローを繰り出すナシメントは、ハードリーの左の蹴りをキャッチしてテイクダウンを奪う。ハードリーはゴゴプラッタからオモプラッタでスイープ。ナシメントはカウンターのヒールへ。ヒザを畳んで防いだハードリーに対し、ナシメントが下から鉄槌で殴っていく。ここから腹ばいになって足を取り続けるナシメントが、前転して外掛けストレートフットロックからロールしてスイープに成功する。

見事な動きを見せたナシメントは、足を抜きに掛かり左のパンチを落とす。クローズドガードを取ったハードリーは望まない試合展開となっているか。ナシメントは左足をぬき掛かると、潜りを通して枕でプレッシャーを掛け、最後にハードリーがシングルに出たが時間に。ナシメントのラウンドとなった。

2R、跳びヒザ、前蹴り、右ローから右ハイと蹴り技を多用するナシメントは、ケージを背負うとダブルレッグを決める。ゴゴプラッタを潰されたハードリーはヒップエスケープからスクランブルを伺うが、ナシメントが許さない。ボディにヒザを入れ、スクランブルではバック奪取を狙うナシメントの動きに、ハードリーはガードを強いられる。

ナシメントが左足を抜き、Zハーフを潰して上体を固めにかかる。ハードリーは左腕を差してスイープ狙いに反応される。バタフライガードから煽りにも、しっかりとしたポスチャーで抑えるナシメントのペースで試合が進む。ついに背中を譲って立ち上がったハードリーが、胸をわせてポジションを入れ替えたが──残り20秒を切っており、反撃はないばかりか逆に押し込み返されてしまった。

最終回、右ジャブを伸ばし前にでたハードリーは、テイクダウン狙いにマルセロチンをセットしていく。引き込んだ防いだナシメントは、潜りからレッスルアップを狙いつつ、足関&スイープへ。肩を固めて防御したハードリーが、半身のナシメントの上体を起こしバックを伺う。ナシメントが前方に落とし、シングルにはダースチョークの態勢に入る。

腹ばいからスクランブル狙いのハードリーだが、シングルをがぶったナシメントがアンクルピックにも足を抜いて試合がスタンドに戻る。続くナシメントのダブルに、またもマルセロチンに入ったハードリーは、引き込まれてもクラッチを解かない。しかし、窮屈な姿勢でスイープを許し、頭を抜いたナシメントが左のパンチを落とす。

ナシメントは上を取ったままタイムアップを迎え、フルマークの判定勝ちを収めた。試合前のインタビューでガードを取るスタイルを10年前と評したハードリーだが、その寝技の強さの前に敗れた……。


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