【写真】世界的なキックでのバリューはファーベックが上か。よりMMA化が進んでいるのはキヌットソンだが、総合力(=合計点)で上回っていると言い難い。ここがMMAの面白き点 (C)INVICTA FC/DAVE MANDEL & MMAPLANET
22日(火・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでコンテンダーシリーズの第3週が開催される。
Text by Manabu Takashima
過去2週、10人の勝者の合格率が100パーセント。勝てば全員がUFC行きを決めている今年のコンテンダーシリーズだが、フィリップ・ドスサントスとフライ級で対戦予定だったウルグアイ人ファイター=ルシアノ・ペレイラが計量に失敗し、4試合で第3週は実施されることとなった。
各大陸のローカルシーンや米国フィーダーショーから、世界最高峰を目指すファイターが集まるコンテンダーシリーズだけに、その出場選手のほとんどが日本ではなじみがない。そんななか、今大会には来日経験のあるファイターが対戦する。それが女子ストロー級でUFC行きを賭けて戦うイシス・ファーベックとジョセフィン・キヌットソンだ。
オランダ人ファイターのファーベックは、イシス・バービックの名でシュートボクシングに2度来日経験があり、2014年には0-2でRENAに、4年後にGirld S-Cupに再来日を果たすもまたも0-2でMISAKIに敗れ、日本で勝ち名乗りを挙げることはできなかった。
それでも名門ボスジムでイワン・ヒポリットの教えを受け、キックボクサーとして成長したファーベックは欧州は当然として中国のKunlun Fight、GLORYと世界を股にかけてキック&ムエタイを戦い、立ち技では41勝8敗1分というレコードを残している。
MMAデビューは2018年11月と2度目の来日から4カ月後で、Invicta FCで判定負け。その後はここまで4連勝中で、CombateやInvicta FCで結果を出しただけでなく、ベアナックルMMAを2度戦いどちらの試合も勝利している。
キング・モーの指導を受けるファーベック。それでも首相撲でのヒザ蹴りと縦ヒジという攻撃が、MMAでも一際印象に残っている。ばかりかカーフ、左レバーショット、ハイキックと打撃のテクニックは文句のつけようがない。また激しくトラッシュトークを批判し、マーシャルアーツ愛を熱くアピールすることもあったフェーベックの課題は、やはり組みの展開だ。
そんなフェーベックと相対するジェフェフィン・キヌットソンはヨセフィン・ノットソンの名で、K-1に来日したIFMA世界女子フライ級王者で、プロでも30戦以上の戦績がある。しかも日本のエース=現K-1女子フライ級王者KANAとは合計3度拳を交え、初対決(2018年11月)はコスチュームが外れて後ろを向いた際にダウンと判断されて判定負け、2戦目(2019年3月)は判定勝ち、3戦目の初代K-1女子フライ級王座決定トーナメント決勝(2019年12月)では延長スプリット判定負けと完全に互角だった。
彼女もまたMMAに転向を決意し4戦目で、昨年のRoad to UFC Ep03で韓国のソ・イェデムに判定勝ちを収め、その後はUAEW経由でコンテンダーシリーズに辿り着いた。
キヌットソンもムエタイベースだが、上下とも寝技でいえばフェーベックより、しっかりと実戦で使いこなしている感もあり、よりウェルラウンダーといえる。ただし、寝技に持ち込むまでの流れが相手のテイクダウンを切って上を取ったり、ケージレスリングで競り勝つことが多く、そのプロセスに首相撲を好む傾向がある。
ゼロ距離になるとフェーベックの方が力強くも感じるが、立ち技オンリーになるとキヌットソンは圧と手数で疲弊させ、よりこなれたMMAでの強さを──ダブルやシングルでクリーンテイクダウンを奪うことがでできれば、勝機が訪れる確率が上がる。同様にフェーベックは、それらのテイクダウンに対応でき、クリンチに持ち込むことができるのか。その辺りが、このUFC行きを賭けた戦いの鍵を握るだろう。
■視聴方法(予定)
8月23日(水・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
■ DWCS S07 Ep03<ミドル級/5分3R>
エリ・アロノフ(イスラエル)
ザッカリー・リース(英国)
<ウェルター級/5分3R>
オーバン・エリオット(英国)
カイキ・ブリト(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
イシス・ファーベック(オランダ)
ジョセフィン・キヌットソン(スウェーデン)
<フェザー級/5分3R>
ロビー・リング(米国)
ルイス・パフエロ(ペルー)