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【Double GCF04】計量終了 グラジ王者✖ケビン・パク、元HEAT王者に格闘代理戦争、QOPT経験者集結

【写真】皆が団体のTシャツを着るなかで、ケビン・パクだけがこの出で立ちで競れも似る計量に姿を見せていた(C)DOUBLE G

25日(土・現地時間)、韓国ソウルのKBSアリーナで開催されるDOUBLE G04の計量が24日(金・同)に行われた。

本計量→セレモニアル計量という韓国MMA界らしい流れで今日の計量は実施された。そしてメインカードが5試合、パッションマッチと呼ばれるプレリミ6試合、計11試合の出場選手のなかでパク・ポヒョンと対戦するジャン・ヒョンジが体重オーバーだった。


セミのキ・ウォンビン✖ケビン・パク戦、ライト級のオク・レユン✖ブレンゾリグ・バットムンク戦は、日本のMMA界ともリンクした試合ということもあり特に注目が集まる。

前者はGLADITORライト級王者で昨年のDEEPにおける岸本篤史戦のKO負けからの再起をかけるキ・ウォンビンが、Arzaletでタイトル戦を経験しているケビン・パクと74キロで戦う。ライト級でもアベレージより大きなキ・ウォンビンに対し、フェザー級で戦ってきたケビン・パクがバルクアップしたボディでどのような戦いを挑むのか。

オク・レユンとブレンゾリグ・バットムンクはAngel’s Fightingでの2回戦で対戦したことがあり、既にHEATライト王者だったオク・レユンがまさかの判定負けを喫し、2年8カ月振りのリベンジに挑む。

返り討ちを狙うバットムンクは同じくHEATでウェルター級王座に挑戦経験がるものの、現状は4連敗中で後がない状況といえる。

上記にあるようにジャン・ヒョンジが体重オーバーとなった女子マッチも、日本にゆかりのある選手同士のマッチアップであるだけでなく、昨年1月にAngel’s Fightingで両者は拳をかわしており、ジャン・ヒョンジがパク・ポヒョンから判定勝ちを収めている。

この試合の3カ月前にパク・ボヒョンは格闘代理戦争シーズン3の準々決勝で平田樹に腕十字で敗北、ジャン・ヒョンジは昨年12月に藤野恵実とストロー級QOP王座を賭けて戦い敗れている。格闘代理戦争卒業生とパンクラス女子の頂点を賭けた戦いの場を経験している両者の一戦は、ジョン・ヒョンジが1Rにつき-2Pという壊滅的に不利なスコアでキャッチ戦として行われる。

また今回からダブルGでは10点法で5人のジャッジがスコアする制度が用いられるようになった。そんな同大会のメインはキム・サンウォンとホン・ジュンヨンのフェザー級戦だ。ホン・ジョンヨンはコリアンゾンビことジョン・チャンソンの教え子でTOP FCでは暫定フェザー級王座決定戦でUFCにステップアップを果たしたジョ・ソンビンに敗れている選手だ。

キックの経験があるストライカーの本・ジュンホンは韓国海軍の特殊部隊出身で潜水活動のスペシャリスト──スタミナでは誰にも負けない。ただしホン・ジュンヨンは昨年10月のダブルG03でキルギスのアジスベク・サティバルディエフに惨敗といってもおかしくない判定負けを喫しており、本来はダイレクトリマッチでフェザー級王座決定戦が組まれていた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大により、サティバルディエフの訪韓が不可能となり、今回はキム・サンウォンと戦うこととなったという経緯がる。

キム・サンウォンはキャリア6勝3敗でデビュー戦はFighting NEXUS、その後も豪州のHEX FSやロシアのMFP、グアムのBrawlと海外での試合経験が多い。KTT所属でレスリングとボクシングの融合MMAを得意とするキム・サンウォン。彼とホン・ジュンヨンの勝者がサティバルディエフとベルトを賭けて戦うことになる。

■DOUBLE G04計量結果

<フェザー級/5分3R>
キム・サンウォン:66.2キロ
ホン・ジュンヨン:66.25キロ

<74キロ契約/5分3R>
キ・ウォンビン:73.55キロ
ケビン・パク:73.45キロ

<女子ストロー級/5分3R>
ジャン・ヒョンジ:55.15キロ
パク・ポヒョン:52.0キロ

<ライト級/5分3R>
オク・レユン:70.9キロ
ブレンゾリグ・バットムンク:70.9キロ

<ライト級/5分3R>
ジン・テオ:70.4キロ
ジョン・ジェイル:70.85キロ

<フェザー級/5分2R>
キム・ミンウ:66.25キロ
イ・ミンジェ:66.0キロ

<ライト級/5分2R>
イ・ヨンフン:70.25キロ
パク・ジョンホン:70.75キロ

<フェザー級/5分2R>
ソ・ドンヒョン:66.05キロ
カン・シンホ:66.1キロ

<フェザー級/5分2R>
イ・ギョンソップ:66.15キロ
パク・サンヒョン:66.25キロ

<ウェルター級/5分2R>
アン・ジョンギ:77.25キロ
キム・ジュンギョ:77.05キロ

<ライト級/5分2R>
ユン・ダウォン:70.75キロ
キム・ビョンソク:70.2キロ

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EBI Jiujitsu Over Time JJ Globo Preview グレース・ガンドラム ダニエル・ケリー ブログ

【EBI JJOT】組み技界のPK合戦?=OTのみのトーナメント開催。スーパーファイトにガンドラム出場!!

【写真】タンキーニョに果敢に足関節を仕掛けるクリコリアン。もちろん、OTではこのような攻防は見られない(C)SATOSHI NARITA

19日(日・現地時間)にエディ・ブラボー率いるEddie Bravo Invitational=EBIが、ついにJiu Jitsu Over Timeと銘打ったフェザー級16名トーナメントを行う。

オーバータイム、つまりノーポイント&サブオンリーのEBIや同じくノーポイント&サブオンリー、加えて掌底ありのコンバット柔術で時間内に一本決着がないときに用いられオーバータイム・ルールだけで勝敗を争うというものだ。


このオーバータイムは先攻・後攻をコイントスで決め、先攻となった選手がバックグラブ&襷掛け=シートベルトポジションか、腕十字で相手が手をクラッチしている状態=スパイダーウェブを選択。ここからタップを奪うか、攻められている方がエスケープに成功するまでのタイムを計測し、後攻の選手と競い合う。

どちらかが一本&エスケープにならなければ、3本まで繰り返す。いってみれば柔術やグラップリングの一つのシチュエーションを切り取って、そこからフィニッシュかエスケープかを争う。テイクダウンもリバーサルも、トランジッションもない──野球でいえばタイプレークかホームラン競争、サッカーならPK合戦、ゴルフならパターゴルフのみを切りとり、白黒をつけるといった競技になる。

もはやこれがグラップリング競技なのかも判別がつかないが、16人の参加選手にはADCC東海岸予選や西海外予選を制しているイーサン・クレィンステイン、昨年のADCCに出場(66キロ級でタンキーニョに初戦で敗れる)した10thPLANETの次世代のエース候補キース・クリコリアン、コンバット柔術ワールド・バンタム級でニック・ペースに勝ったゲイブリエル・デフロン、同じくCBBWフェザー級T出場のルイス・キニョネスらがエントリーしている。とはいってもホームラン競争だけに、勝敗の予想はつけようがない。逆にヒーロン&ヘナーのグレイシー兄弟のような、グラップリングや柔術のなかでOTの思想を持って戦ってきた護身柔術家の出現を望みたい。

The Ultimate Rea Naked Choke Shootoutと副題がついているように、今回はシートベルトポジションからスタートし、スパイダーウェブへの移行は認められるようだ。そんな一発勝負グラップリングトーナメントのなかで、EBIルールで組まれたグレース・ガンドラム✖ダニエル・ケリーのスーパーファイトはノーポイント&サブオンリーのノーギ柔術の醍醐味が詰まった試合になりそうだ。

Quintet Ultraでシンシア・カルヴィーロをストレート・フットロックで17秒殺したケリーは、EBI18で日本の湯浅麗歌子と2回戦で戦いOTで敗れている。一方、Quintet Fight Nightでその湯浅とドローだったのが、ガンドラムだ。エディをして、10thPLANETのP4Pと言わしめる18歳になったばかりのガンドラムは、エディと10thPLANETの技術を余すことなく使いこなすことができるフィニッシャー。

バックコントロール→トラックポジション→バナナスプリットもしくはツイスター。Xガード→ロックダウン→エレクトリックチェアー、さらにスイープからパス。ラバー→デッドオーチャー→腕ひしぎ腕固め、次から次へと10thPLANETのテクニックを繰り出す──ガンドラム。彼女とケリーの一戦はアルティメットRNCシュートアウトと対極にあるグラップリングの醍醐味が見られそうだ。

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Preview UFC UFC ESPN13 コディー・ステーマン ジミー・リベラ ブログ

【UFC ESPN13】コロナからの帰還=ジミー・リベラが、ステーマンとバンタム級トップ対決をフェザー級で

【写真】バンタム級での計量と比較すると、やはり大きく感じられるリベラ(C)Zuffa/UFC

明日16日(木・現地時間)の未明に戦いの火ぶたが切って落とされるUFC ESPN13「Kattar vs Ige」ではUFCでも最も層が厚いといっても過言でないバンタム級のトップランカー対決がフェザー級の体重で組まれている。

6月6日に150ポンド契約マッチでブライアン・ケレハーを破ったばかりのコディー・ステーマンとジミー・リベラの両者は、本来8月に当然のようにバンタム級で戦うことが決まっていた。しかし、ペドロ・ムニョスの新型コロナウィルス感染が分かり、今大会で組まれていたフランキー・エドガー戦が消滅。


今大会はムニョス✖エドガー以外にもコロナ関連を合わせて5試合が中止となるなか、両者は先週の月曜日に今大会で戦うオファーを受け、火曜日に了承。木曜日にはラスベガス経由でアブダビ=ファイトアイランドへ向かった。

ステーマンも相当デカい(C)Zuffa/UFC

当然、調整の時間はなくフェザー級で戦うこととなったわけだ。

この試合、メディアから特に注目されたのはリベラが3月にウィルスの陽性だったことが分かり、2週間の隔離を経験しているコロナの帰還者である点だ。「体調が悪かったのは最初の3日間、凄い倦怠感があったけど4日目からは快方に向かった」とバーチャル・メディアデーでリベラは記者に語っている。

その後はロックダウンの影響もあり、ランニングやウェイトなど個人で調整する時間が殆どだったことをリベラは明かしてもいる。ステーマンとのファイトに関しては「とにかくケージにずっと詰めあうような試合はしたくない」としているが、それはステーマンのレスリング力と自らのスタミナを考えての発言のようにも取れる。

一方のステーマンは前述したよう40日前にケレハーを破った時には、最終回こそ疲れが見えたがレスリングを封印したかのように打撃で揺さぶり、力を使わずニータップでテイクダウンという合気MMAを披露していた。

バーチャル・メディアデーでは「ジミーはブライアンよりテクニカルで爆発力があると思う」とその印象を話しているステーマン。互いに対戦相手のことは既に意識していただろうが、準備をする時間はほぼなかった。そのような状況下で、40日のインターバルのステーマンがこの間にどのように過ごしてきたか。「旅はクレイジーだったけど、練習は変わりなくなっていた」と言うステーマンとリベラ、どれだけコンディションに差があるのかが勝負の鍵を握ってくることは目違いない。

現状のコンディションと、地力勝負。リベラの踏み込みという同時に当たるパンチに対し、ステーマンは打撃で対抗できるのか。それともレスリング勝負を仕掛けるのか。実際に両者がオクタゴンの中で動き出すまで、予想のしようがない一戦といえる。

■UFC ESPN13計量結果

<フェザー級/5分5R>
カルヴィン・ケイター: 146ポンド(66.22キロ)
ダン・イゲ: 145ポンド(65.77キロ)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット: 125ポンド(56.7キロ)
ライアン・ベノイト: 126ポンド(57.15キロ)

<フェザー級/5分3R>
ジミー・リベラ: 145ポンド(65.77キロ)
コディー・ステーマン: 145ポンド(65.77キロ)

<女子フライ級/5分3R>
モリー・マッキャン: 125ポンド(56.7キロ)
タイラ・サントス: 125ポンド(56.7キロ)

<ウェルター級/5分3R>
アブドゥル・ラザク: 174ポンド(78.92キロ)
ムニール・ラゼス: 171ポンド(77.56キロ)

<ミドル級/5分3R>
ジョン・フィリップス: 186ポンド(84.37キロ)
カムザット・チマエフ: 186ポンド(84.37キロ)

<フェザー級/5分3R>
ヒカルド・ハモス: 145ポンド(65.77キロ)
レローン・マーフィー: 146ポンド(66.22キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
モデスタス・ブカウスカス: 205ポンド(92.99キロ)
アンドレアス・メケイリディス: 206ポンド(93.44キロ)

<フェザー級/5分3R>
ジャレッド・ゴードン: 145ポンド(65.77キロ)
クリス・フィッシュゴールド: 149ポンド(57.59キロ)

<女子フライ級/5分3R>
リアナ・ジョフア: 126ポンド(57.15キロ)
ディアナ・ベルビシャ: 125ポンド(56.7キロ)

<バンタム級/5分3R>
アーロン・フィリップス(米国)
ジャック・ショア: 136ポンド: 135ポンド(61.24キロ))

<ライトヘビー級/5分3R>
ホルヘ・ゴンザレス: 205ポンド(92.99キロ)
ケネス・バーリ:──

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Preview UFC UFC251 カマル・ウスマン ブログ ホルヘ・マスヴィダル

【UFC251】ホルヘ・マスヴィダル「メンタルとスキルは上」✖カマル・ウスマン「王者に相手は関係ない」

【写真】バーチャルメディアデーでの両者。非常に落ち着いて見えた (C)Zuffa/UFC

いよいよ計量とファイトを控えるばかりとなったUFC251「Usman vs Masvidal」。11日(土・現地時間)にUAEはアブダビのヤス島=ファイトアイランドで開催される同大会の出場選手は、全員がMMAの歴史に名を残すといっても過言でない。

そんなUFC251のメインは本来の挑戦者ジルベウト・ドリーニョ・バーンズが新型コロナウィルスの検査で陽性となり欠場し、ご存知のようにホルヘ・マスヴィダルが6日前にオファーを了承──UFC世界ウェルター級王者カマル・ウスマンに挑戦することとなった。


昨年7月にベン・アスクレンを5秒でKO、4カ月後にはネイト・ディアスを破りBMFのベルトを巻いたマスヴィダル。ベルトを頂点としたUFCウェルター級のヒエラルキーに収まらないポジションにあるファイターとなった。

アスクレンを跳びヒザで破り、ネイトには打撃と組みで勝つ。ウスマンがレスリングにガッツリと打撃と叩きこんだのとはまた一味違うマスヴィダルのスタイルだ。MMAのエレメントの一つ一つが個として極度に完成度が高まる前──いわばMMAの打撃、MMAのレスリングという言い方がなされていた時代を感じさせる、高レベルのウェルラウンダーといえよう。

ウスマンは得意分野で相手を遮断することができ、マスヴィダルはどの局面でも真っ向から応じることができる。そんな両者のマッチアップは、ウスマン✖ドゥリーニョに負けず劣らずケージのなかだけでも非常に興味深い戦いだ──本来であれば。

しかし6日間のショートノーティス出場では、当然のように準備は十分ではない。何よりもパンデミックでジムが閉鎖され、社会が膠着していた時期を試合という目的がない状況でマスヴィダルは過ごしてきた。

対してウスマンは世界王座を防衛するためにトレーニングをしてきた。この差はパンデミック以前のショートノーティス出場とはまるで違う。このことは5月から再開されたUFCの試合を見ていれば、誰もが分かることだろう。

そんなかマスヴィダルはバーチャルメディアデーで「ファイトアイランド大会のメインを戦うこと? ただの試合だ。それよりも朝の8時から試合をすることの方が特別だろう。隔離政策期間も泳いだり、ウェイトをしたりコンディションは整えてきた。調整の仕方がいつもと違っているだけだ。そりゃあ、このやり方では100パーセントとはいえないだろう。でもマインドやスキルは100パーセントだ。カマル・ウスマンより上だよ」と話している。

そのウスマンは「向うは6日前に試合が決まったかもしれないけど、こっちはそれまで全く別のファイターと戦うつもりだった。ノーと言わなかった理由? ファイトはファイトだ。特にチャンピオンは、相手は関係なく戦う」と断言している。

一発のあるマスヴィダル故、どのような不利な状況を跳ね返すことはあるだろう。と同時に、その勝機に大きく関係している名セコンドのマイク・ブラウンもコロナ陽性で欠くこととなった。ブラウン不在に関してマスヴィダルは「マイク・ブラウンの声は、身の内に聞こえてくる」と力強くバーチャル会見で口にしていた……。

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LFA84 other MMA Preview ジェイク・チルダース ジャスティン・ゴンザレス ブログ

【LFA84】計量終了 タイラー・レイは……? ゴンザレス✖チルダース=フェザー級王座決定戦は激闘必至

【写真】両者合わせて19勝0敗という、LFAでも珍しいキャリアが10戦前後で無敗同士のタイトル戦だ (C)LFA

10日(金・現地時間)、サウスダコタ州スーフォールズのサンフォード・ペンタゴンで開催されるLFA84「Gonzales vs Childers」の計量が9日(木・同)に行われた。

ベン・ルゴと対戦予定だったイスラエルの期待の新鋭ナタン・ルヴィは、セコンドが新型コロナウィルス検査で陽性となったため欠場となっていたが、ルヴィ同様に注目が集まっていたタイラー・レイと対戦相手のマイコン・メンドーサも揃って計量会場に姿を見せず、体重を測ったファイターは僅か8人だった。

LFAから、もちろん計量中の体調不良の可能性もあるが、レイがサンフォードMMA所属ファイターということを踏まえると本人やセコンドが新たにポジティブであってもおかしくない。。

そんななかLFAではSNSでメインのLFAフェザー級王座決定戦に出場するジャスティン・ゴンザレスとジェイク・チルダースのみ計量結果を発表──ゴンザレスが144.4ポンド(65.49キロ)、チルダースが145ポンド(66.22キロ)でパスしている。


キャリア8勝0敗のゴンザレスと10勝0敗のチルダースの王座決定戦は、間違いなくUFCとの契約が掛った選手権試合といえる。ジャスティン・ゲイジーと北コロラド大レスリング部の同期だったゴンザレスは、コロラドのスパルタ・コンバット・リーグ=SFLでフェザー級王者に君臨し、4度の防衛に成功している。その勢いをかって昨年のコンテンダーシリーズでも勝利したもののUFCとの契約はならなかった。

アグレッシブではあるがゲイジーほどクレイジーではない、こちらのジャスティンはトップコントロールというよりも、ライディング=上をキープするのに長けたレスラーだ。

打撃の距離が近く、ダブルレッグやシングルで飛び込むよりも、パンチの打ち合いのなかでボディロックテイクダウンを決め、強烈な勢いのパウンドを振り下ろす。

がぶってサイドバックを取るとスペースを取って殴り、胸を合わされるとまたがぶってバックという無限ループを有しており、背中を取り続けるよりもパンチを入れるのがゴンザレスのスタイルだ。対するチルダースは、ルックスは冴えない(失礼)が試合で魅せることができる選手。

打撃は足が揃い気味で、頭を突っ込んで手打ち、テクニカルではない。

ただし、チルダースはサウスポーの構えからロングのオーバーハンド──と、思いきやヒジを巧みに使い分け、拳とエルボーでレンジを瞬く間に変えることができる技巧派だ。グラップリングやサブミッションでも強みを発揮し、過去に肩固め、腕十字、RNCで一本勝ちしている。ライド派のゴンザレスに対し、流れるような下からの仕掛けが見物だ。

加えてクリンチの攻防になれば、チルダースはヒジという武器を備えており、そのうえボディロック・スラムでKOや勝ち、組みつき際のヒザ蹴りでも勝利するなど、風貌に似合わず(失礼)、多彩な武器を持っている。

フィニッシャーでありながら、エンデュランス・ファイトでも勝てるスタイルの両者、心身ともに削り合いになる可能性は十分にある。

■ LFA84対戦カード

<LFAフェザー級王座決定戦/5分5R>
ジャスティン・ゴンザレス(米国)
ジェイク・チルダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カシアス・ケイン(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウェスト(米国)
ボストン・サルモン(米国)

<フェザー級/5分3R>
カムエラ・カーク(米国)
ブルーノ・ソウサ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
マイコン・メンドーサ(ブラジル)
タイラー・レイ(米国)

<ライト級/5分3R>
ベン・ルゴ(米国)
ナタン・ルヴィ(イスラエル)

<140ポンド契約/5分3R>
キャメロン・ジョーダン(米国)
クリスチャン・ロドリゲス(米国)

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KSW53 other MMA Preview ノーマン・パーク ブログ マテウス・ガムロ

【KSW53】MMAとして成立するのか。本当に危険な3度目の顔合わせ、マテウス・ガムロ✖ノーマン・パーク

【写真】喧嘩ファイト、真っ向勝負、ルール無視、スコアリング、どのような戦いになるのか (C)KSW

11日(土・現地時間)、ポーランドのワルシャワで無観客大会としてKSW53「Reborn」が開催される。そして、メインで本当に危険な試合が組まれた。

それがKSWライト級選手権試合=王者マテウス・ガムロ✖挑戦者ノーマン・パークの3度目の顔合わせだ。


荒ぶるグラップラー、喧嘩ファイトも持さない王者ガムロとパークは過去2度対戦しており会見、計量、試合中、試合後ととにかくいざこざが絶えなかった。2017年5月の初対決の折には、試合中にグローブに不具合が生じたパークがレフェリーに中断を要請している間に、ガムロが仕掛けたのか怒りをあらわにして胸を突き飛ばす。

この試合はほぼ互角の展開ながらガムロが判定勝ちで王座防衛に成功も、5カ月後のアイルランド・ダブリンでの再戦でいよいよ両者は試合が成立しないほど、感情のもつれを吐露した。まずパークが体重オーバーでタイトル戦がノンタイトルに変更される。試合中にはガムロのローがパークの急所へ。さらに再会の合図とともに殴りかかるなど、ダーティーさを見せたガムロの2度に渡るアイポークでパークが試合続行不可能に陥り、NCになってしまう。

真っ向勝負の殴り合いの中で優勢だったパークは収まりがつかず、試合後も口論、一触即発の険悪な空気のなか、ついにパークのセコンドが切れ、ガムロに左フックを見舞う。こうなるとケージ内、そしてケージの外でポーランド人とアイリッシュ(※パークは北アイルランド在住の英国人)の大乱闘劇に発展するという事態に。

その両者が、今回のメインで相対する。KSWが同じ顔合わせを3度組むのは、ミハウ・マテラ✖ジェイ・シウバ以来、プロモーション史上2度目で、試合前からも両者は当然のように罵り合いを演じてきた。

「か弱いアイリッシュ・〇ッチ」と言い放つガムロに対し、試合内容は優勢だったパークは「アイツが自分が得意だと思うところが、実は俺が得意なところだ」と殴り負けない自信を見せている。

とはいえガムロは寝技も打撃も真っ向勝負だったパーク戦から、ATTで練習を始めたことで、そのスタイルは変わっている。相手の良さを消す戦い、倒すのでなく当てる打撃、テイクダウンを奪うよりも、テイクダウンされない組み技、そして下にならないという戦術を用い、クレベル・コイケに勝利している。これだけ互いが熱くなっている状況で、ガムロが冷静に北米流の遮断するMMAを駆使できれば、それはそれで一皮むけたという捉え方もできるが……。

とにかく本当に危険なのは、本気で嫌い合った人間がケージのなかで許されない行為を試合中に繰り返してきている点だ。ルールを守る、その最低条件が守られなければMMAという戦いは成り立たない──が、ガムロとパークの試合はその一線を越えてしまう可能性が十分にある。

■ KSW53対戦カード

<KSWライト級王座統一戦/5分5R>
[正規王者]マテウス・ガムロ(ポーランド)
[暫定王者]ノーマン・パーク(英国)

<ライト級/5分3R>
ボリス・マンコフスキー(ポーランド)
マルチン・ロゼク(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
アルトゥル・ソウィンスキ(ポーランド)
グシェゴシュ・ジュラコウスキ(ポーランド)

<ミドル級/5分3R>
トマシュ・ドルヴァル(ポーランド)
ウーカシュ・ビエンコウスキ(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
アンジェイ・グジェビグ(ポーランド)
トマス・ヤクビエツ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
ロマン・ジュマンスキ(ポーランド)
フィリップ・ペジッチ(クロアチア)

<バンタム級/5分3R>
セバスチャン・シュブシュ(ポーランド)
ヤクブ・ヴィクワッチ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
カミル・スミゾウスキ(ポーランド)
ミハウ・ピエツァク(ポーランド)

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LFA84 other MMA Preview タイラー・レイ ブログ マイコン・メンドーサ

【LFA84】活動再開第1弾の注目株は、佐藤天のチームメイト=抜群のテイクダウン能力を持つタイラー・レイ

【写真】レスリング主体で打撃の完成度が上がっている、いわば北米MMAの王道スタイルの持ち主といえるタイラー・レイだ(C)LFA

10日(金・現地時間)、サウスダコタ州スーフォールズのサンフォード・ペンタゴンでLFA84「Gonzales vs Childers」が開催される。北米ナンバーワン・フィーダーショーは今大会から4週連続で、同地でのイベントを行うことになる。

活動再開のメインはLFAフェザー級王座決定戦=ジャスティン・ゴンザレス✖ジェイク・チルダースの一戦で、元UFCファイターのボストン・サルモンがショーン・ウェストを相手に再起戦を行う150ポンド契約マッチが組まれている。

ここではLFAのエド・ソアレス代表がインタビューで名前を挙げたタイラー・レイに注目したい。


キャリア6勝1敗、佐藤天と同じサンフォードMMA所属のレイは力強いテイクダウンからコントロール&パウンドに長けたファイターだ。佐藤をして「打撃がないと僕は勝てない。テイクダウンならサンフォードMMAでも4番目に強い」と言わしめるレイはアイスホッケーに夢中になっている時に、クロストレーニングのために訪れたジムが偶然にリッチ・フランクリンも練習するジョージ・グーゲルのMMAジムだった。

MMAに魅せられた彼はマウント・セントジョセフ大学に進学しレスリング部で活躍後、プロMMAの道へ。そして、ラスベガスで開かれていたブラジリアン柔術トーナメントに出場した際に、当時TUFの収録で現地にいたタイロン・スポーンと知り合い、ブラックジリアンズで練習するようになる。

その流れでレイは、現在ヘンリー・フーフト率いるサンフォードMMA所属ファイターとなっている。上記にあるようにテイクダウンが抜群に強いが、その背景には右手が前でも左足が前でも、テイクダウンに入れるレスリングのスイッチ・ヒッターということがある。打撃のオーソつまりは、レスリングのサウスポーで素早く懐に飛び込み、ワンツーの流れで右足が前の構えから一気に組みつくことができる。組んだ後の崩し方も多彩なレイは、カレッジレスリング出身らしくワンフックで背中を制して、ゲイブル・グリップ系のRNCを仕掛けるのが勝利方程式といえる。

スクランブルに来ない相手に対しては、トップからのエルボーで相手を失神させるなど、現状の対戦相手には抜群のポスチャーの強さを見せつけており、ソアレスが期待するのも頷ける資質の持ち主だ。

今回の対戦相手マイコン・メンドーサはブラジル人ストライカーに多い、ややラフでパワフルなムエタイファイターだ。フーフトに師事する以前は、胸が開き気味でフック主体だったレイは自らのパンチを当てる時に、パンチを被弾しがちなレスラー&ボクシングというスタイルだった。それも今でも左ジャブで相手を突き放して、ジャブからテイクダウン、右ストレートにつなげてからテイクダウンという風に相手の攻撃を受けない打撃を身につけつつある。

利き腕がどちらか分からないほど、左リードフックにも威力を持つタイラー・レイ、前王者ジェイソン・ジャクソンがBellatorに転じ返上したLFAウェルター級王座に最も近い1人といえるファイターだ。

■ LFA84対戦カード

<LFAフェザー級王座決定戦/5分5R>
ジャスティン・ゴンザレス(米国)
ジェイク・チルダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カシアス・ケイン(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウェスト(米国)
ボストン・サルモン(米国)

<フェザー級/5分3R>
カムエラ・カーク(米国)
ブルーノ・ソウサ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
マイコン・メンドーサ(ブラジル)
タイラー・レイ(米国)

<ライト級/5分3R>
ベン・ルゴ(米国)
ナタン・ルヴィ(イスラエル)

<140ポンド契約/5分3R>
キャメロン・ジョーダン(米国)
クリスチャン・ロドリゲス(米国)

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other MMA Preview Titan FC61 ダニー・サバテーロ ブログ レイモンド・ラモス

【Titan FC61】バンタム級王座決定戦に臨む、ダニー・サバテーロ=「寝かせると、立たせない」(岡田遼)

【写真】TitanFC再開第二弾のメインで、バンタム級のベルトに挑むサバテーロ(C)TITAN FC

26日(金・現地時間)、フロリダ州マイアミのインターコンチネンタルホテル&リゾート・ビスケーンベイで開催されるTitan FC61 「Sabatello vs Ramos」。メインは大会名にある通りダニー・サバテーロがレイモンド・ラモスを相手にタイタンFCバンタム級王座決定戦を戦う。

キャリア7勝1敗、唯一の敗北は昨年12月にアーウィン・リヴェラとタイタンFC暫定バンタム級王座決定戦で敗れたサバテーロ。その後、正規王者となったリヴェラが5月にUFC出場を果たし(ジガ・チカゼに判定負け)、返上したベルトに挑むこととなった。日本では全く無名といって過言でないサバテーロだが、修斗暫定世界バンタム級王者の岡田遼が2月から3月にかけてATTで出稽古を行った際、スパーリングで最も多く手を合わせていた選手だった。


「最初のガチスパーの時の相手が、ダニーでした」という岡田──そして「コイツ、何でこんなに強いんだっていうぐらいやられました。レスラーですが、打撃もできてバックコントロールが上手い。やることが分かってくると、五分ではやれるようになりました」とサバテーロの印象を語る。

イリノイ州シカゴ出身、インディアナ州にあるパデュー大レスリング部出身のサバテーロは岡田のいうようにカレッジ・レスリング時代から、スタンドで──いわゆる足をクロスせずにワンフック的にバックを制し、そのままロールしてクレイドルからフォールを狙うという動きを得意としていた。

フォークスタイル・レスリングでスクランブルを究めたようなサバテーロだが、MMAに転向してからはトップに拘る戦いに代わっている。柔術を融合させダブルレッグでトップ奪取、パスという流れがサバテーロのグラップリングだ。その寝技に関しては、岡田が「寝かせると立たせない」と指摘したように、しっかりと抑えて仕留めに掛る。

テイクダウン前の特徴は蹴り技が多く、遠い位置から蹴りを見せておいて、そのままレベルチェンジ、ダブルレッグという仕掛けは対戦相手に『届かない』と油断させるのに十分な距離から放たれる。

前述したようにリヴェラに喫した唯一の敗北は、サウスポーから左ミドルを効かされ、最後はボディフックを打ち抜かれたというもの。打撃のための打撃よりも、テイクダウンのために打撃の持ち主だけに、ラモスが持ち味でもあるガチャガチャしたパンチ、ヒザ蹴りを組まれる前に効かすことができるかが勝負の鍵を握ってくる。逆にいえば、それができないとラモスは、サバテーロの得意のパターンに持ち込まれる公算は決して低くない。

■ Titan FC61対戦カード

<Tian FCバンタム級王座決定戦/5分5R>
ダニー・サバテーロ(米国)
レイモンド・ラモス(米国)

<ライト級/5分3R>
ランドン・スチュワート(米国)
ジェラバート・カスティーヨ(米国)

<フライ級/5分3R>
ヴィクトー・ディアズ(ブラジル)
クリーブランド・マクレーン(米国)

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・イナストリラ(米国)
フィリップ・ケーラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
コリン・ラバーツ(米国)
アーヴィン・ジョーンズ(米国)

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21日(日・現地時間)にチェール・ソネンがホストのSubmission Underground15が開催され、UFC Fight Passでライブ中継させる。

前回に続きSUGアイランドと名付けられたスタジオで収録される大会は、1万ドル争奪の8人トーナメント、そしてクレイグ・ジョーンズが4大会連続出場、さらに1週間前にUFCで戦ったジェシカ・アイが出場と見所が多い。


トーナメント出場選手は1回戦で書き記すと、コディ・スティール✖アンディ・ヴァレラ、メイソン・フォウラー✖ウォーレン・ブロックス、ロベルト・ヒメネス✖ネイサン・オーチャード、アダム・ブラッドリー✖ハンター・コルヴィンの8名だ。

なかでも注目はスティールと、オーチャードか。スティールは昨年のコンバット柔術ウェルター級世界王者で、全試合オーバータイムで勝利している。つまり5分✖1R+OT制のSUGでは、コンバット柔術よりもさらに強みを発揮できるだろう。

スティールはテキサス州オースチンを拠点としたチェックマット系ホドリゴ・カブラルの黒帯で、2018年には日本の柔術界にも馴染みのマリアナスオープンの茶帯を制し、アメリカン・ナショナルで3位に入っている。とはいっても、ノーギ&サブオンリーでは極めさせない強さとエスケープの能力の高さこそが彼の武器となろう。

そのスティールにコンバット柔術ウェルター級GP決勝で敗れたオーチャードも優勝候補の1人といえる。ミッションコントロールから両腕の入った三角クラッチを組み、アームバーやキムラに取る──デッドオーチャードの使い手は、決勝まで勝ち上がりスティールとのリベンジ戦を実現させることができるか、興味深い。

SUG12でケヴィン・ケイシー、SUG13でヴィニー・マガリャエス、SUG14でヴァグネウ・ホシャを破り、4カ月連続でSUG出場となるクレイグ・ジョーンズはガブリエル・チェッコと対戦する。

MMAファイターでもあるチェッコのSUG出場は3カ月連続となり、過去2大会でジェイク・エレンバーガーとオースティン・ヴァンダーフォードという同じくMMA選手に勝ってきた。この試合の見所は、チェッコがどこまでジョーンズの足関節コンビネーションに対応できるのか──という一点に絞られるか。

2016年12月、FLO Grapplingで配信されていた時代のSUG第2回大会のミーシャ・テイト戦以来、3年7カ月ぶりのSUG登場となるアイは、先週のUFCにシンシア・カルヴィーロに敗れたばかりで驚きのサブオンリー・グラップリング参戦となる。試合タイム8分時代のSUGで、ミーシャにOT負けだったアイは──試合中も肩抜き後転腕十字で右腕を伸ばされ、レフェリーがタップをしていないのにストップをかけ無効になるなど、攻められるシーンが多かった。

そんなアイと戦うアマンダ・ローウェンは2018年ノーギワールド女子ミディアムヘビー級3位、強烈なマルセロチンで相手を持ち上げたタップを奪ったシーンは特に印象深い。色帯時代には2014年にムンジアルの茶帯ライト級で2位なっており、MMAではアマファイターのローウェンだが、グラップリングにおいてはアイに対して分があることは確かだ。

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【UFN172】チェ・ドゥホをKOしたシャルル・ジョーダン。アンドレ・フィーリの攻略方法は?

【写真】この右ローでフィーリの前足を削ることができるか。もちろん、カウンターを合わせられるリスクもある(C) CHONG SUNG OUK

13日(金・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで UFN172:UFN on ESPN+30「Eye vs Calvillo」が開催される。同大会のメインはイベント名にあるように女子フライ級のジェシカ・アイ✖シンシア・カルヴィーロだ。

開催地及び会場が同じだけに、先週末のPPVイベントと比較するとマッチメイクに落差が感じられるのは事実だ。そんななかフェザー級のアンドレ・フィーリとシャルル・ジョーダンは要注目のマッチアップだ。


キャリア10勝2敗のフレンチ・カナディアンのジョーダンは、TKOフェザー級&暫定ライト王者からUFC入りを果たしたストライカーだ。オクタゴン初戦のデス・グリーン戦では判定負けを喫したが、昨年12月のチェ・ドゥホ戦では先にダウンを喫しながら、左ストレートから返しの右フックでKO──事実上、左で見事な逆転勝利を収めている。

スイッチヒッターのジョーダンの大きな特徴は、左ストレートを打つ際に構えに関係なく右側に体を沈める点にある。オーソで右を使う場合は以外、踏み込んでパンチを打つ際は右側に身を沈めることでカウンターを受けないように戦う。

この低い姿勢のストレートを見せておいて、右の場合は左、左の後は右のスピニングバックフィストもジョーダンのメインウェポンといえよう。対するフィーリもスイッチを使うが、ジョーダンが右でも左でも変わらずに戦うことができるのに対し、基本はオーソドックスでステップを踏む際に小刻みに構えを変える印象が強い。

長いリーチを生かし、通算20勝(※7敗)のうち半数に近い9度のKO勝利があるフィーリは、ジョーダンの外を取るファイトをいかに攻略できるか。フィーリから見て左側に沈みながらパンチを打ってくる攻撃にヒザや蹴りを合わせたいが、彼の蹴りはほぼ右に限られている。一方、7つのKO勝ちと3つの一本勝ち──判定勝ちのないジョーダンとしては、フィーリの前足=左足をローで削れば、パンチ力を半減させることもできるだろう。

ただし、至近距離ではパンチを被弾することもジョーダンは少なくなく、一発の被弾が明暗を分けることも十分にありえる。とにかく両者とも、パンチを効かせたあとのかさにかかった攻撃は農耕民族でなく、狩猟民族の血を大いに感じるところだ。試合の組み立て方としては、蹴りが使え、本当の意味でもスイッチヒッターのジョーダンの方が選択肢が多いが……果たして。

■UFN172対戦カード

<女子フライ級/5分5R>
ジェシカ・アイ(米国)
シンシア・カルヴィーロ(米国)

<ミドル級/5分3R>
カール・ロバーソン(米国)
マーヴィン・ヴェットーリ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
マラブ・デヴァリシビリ(米国)
レイ・ボーグ(米国)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
シャルル・ジョーダン(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ジョーダン・エスピノーサ(米国)
マーク・デラロサ(米国)

<ライト級/5分3R>
チャールズ・ロサ(米国)
ケヴィン・アギラー(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ジュリア・アヴィラ(米国)
ジナ・マザニー(米国)

<フライ級/5分3R>
ライアン・ベノイト(米国)
タイソン・ナム(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン(米国)
デリック・マイナー(米国)