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Preview UFC UFC251 カマル・ウスマン ブログ ホルヘ・マスヴィダル

【UFC251】ホルヘ・マスヴィダル「メンタルとスキルは上」✖カマル・ウスマン「王者に相手は関係ない」

【写真】バーチャルメディアデーでの両者。非常に落ち着いて見えた (C)Zuffa/UFC

いよいよ計量とファイトを控えるばかりとなったUFC251「Usman vs Masvidal」。11日(土・現地時間)にUAEはアブダビのヤス島=ファイトアイランドで開催される同大会の出場選手は、全員がMMAの歴史に名を残すといっても過言でない。

そんなUFC251のメインは本来の挑戦者ジルベウト・ドリーニョ・バーンズが新型コロナウィルスの検査で陽性となり欠場し、ご存知のようにホルヘ・マスヴィダルが6日前にオファーを了承──UFC世界ウェルター級王者カマル・ウスマンに挑戦することとなった。


昨年7月にベン・アスクレンを5秒でKO、4カ月後にはネイト・ディアスを破りBMFのベルトを巻いたマスヴィダル。ベルトを頂点としたUFCウェルター級のヒエラルキーに収まらないポジションにあるファイターとなった。

アスクレンを跳びヒザで破り、ネイトには打撃と組みで勝つ。ウスマンがレスリングにガッツリと打撃と叩きこんだのとはまた一味違うマスヴィダルのスタイルだ。MMAのエレメントの一つ一つが個として極度に完成度が高まる前──いわばMMAの打撃、MMAのレスリングという言い方がなされていた時代を感じさせる、高レベルのウェルラウンダーといえよう。

ウスマンは得意分野で相手を遮断することができ、マスヴィダルはどの局面でも真っ向から応じることができる。そんな両者のマッチアップは、ウスマン✖ドゥリーニョに負けず劣らずケージのなかだけでも非常に興味深い戦いだ──本来であれば。

しかし6日間のショートノーティス出場では、当然のように準備は十分ではない。何よりもパンデミックでジムが閉鎖され、社会が膠着していた時期を試合という目的がない状況でマスヴィダルは過ごしてきた。

対してウスマンは世界王座を防衛するためにトレーニングをしてきた。この差はパンデミック以前のショートノーティス出場とはまるで違う。このことは5月から再開されたUFCの試合を見ていれば、誰もが分かることだろう。

そんなかマスヴィダルはバーチャルメディアデーで「ファイトアイランド大会のメインを戦うこと? ただの試合だ。それよりも朝の8時から試合をすることの方が特別だろう。隔離政策期間も泳いだり、ウェイトをしたりコンディションは整えてきた。調整の仕方がいつもと違っているだけだ。そりゃあ、このやり方では100パーセントとはいえないだろう。でもマインドやスキルは100パーセントだ。カマル・ウスマンより上だよ」と話している。

そのウスマンは「向うは6日前に試合が決まったかもしれないけど、こっちはそれまで全く別のファイターと戦うつもりだった。ノーと言わなかった理由? ファイトはファイトだ。特にチャンピオンは、相手は関係なく戦う」と断言している。

一発のあるマスヴィダル故、どのような不利な状況を跳ね返すことはあるだろう。と同時に、その勝機に大きく関係している名セコンドのマイク・ブラウンもコロナ陽性で欠くこととなった。ブラウン不在に関してマスヴィダルは「マイク・ブラウンの声は、身の内に聞こえてくる」と力強くバーチャル会見で口にしていた……。

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LFA84 other MMA Preview ジェイク・チルダース ジャスティン・ゴンザレス ブログ

【LFA84】計量終了 タイラー・レイは……? ゴンザレス✖チルダース=フェザー級王座決定戦は激闘必至

【写真】両者合わせて19勝0敗という、LFAでも珍しいキャリアが10戦前後で無敗同士のタイトル戦だ (C)LFA

10日(金・現地時間)、サウスダコタ州スーフォールズのサンフォード・ペンタゴンで開催されるLFA84「Gonzales vs Childers」の計量が9日(木・同)に行われた。

ベン・ルゴと対戦予定だったイスラエルの期待の新鋭ナタン・ルヴィは、セコンドが新型コロナウィルス検査で陽性となったため欠場となっていたが、ルヴィ同様に注目が集まっていたタイラー・レイと対戦相手のマイコン・メンドーサも揃って計量会場に姿を見せず、体重を測ったファイターは僅か8人だった。

LFAから、もちろん計量中の体調不良の可能性もあるが、レイがサンフォードMMA所属ファイターということを踏まえると本人やセコンドが新たにポジティブであってもおかしくない。。

そんななかLFAではSNSでメインのLFAフェザー級王座決定戦に出場するジャスティン・ゴンザレスとジェイク・チルダースのみ計量結果を発表──ゴンザレスが144.4ポンド(65.49キロ)、チルダースが145ポンド(66.22キロ)でパスしている。


キャリア8勝0敗のゴンザレスと10勝0敗のチルダースの王座決定戦は、間違いなくUFCとの契約が掛った選手権試合といえる。ジャスティン・ゲイジーと北コロラド大レスリング部の同期だったゴンザレスは、コロラドのスパルタ・コンバット・リーグ=SFLでフェザー級王者に君臨し、4度の防衛に成功している。その勢いをかって昨年のコンテンダーシリーズでも勝利したもののUFCとの契約はならなかった。

アグレッシブではあるがゲイジーほどクレイジーではない、こちらのジャスティンはトップコントロールというよりも、ライディング=上をキープするのに長けたレスラーだ。

打撃の距離が近く、ダブルレッグやシングルで飛び込むよりも、パンチの打ち合いのなかでボディロックテイクダウンを決め、強烈な勢いのパウンドを振り下ろす。

がぶってサイドバックを取るとスペースを取って殴り、胸を合わされるとまたがぶってバックという無限ループを有しており、背中を取り続けるよりもパンチを入れるのがゴンザレスのスタイルだ。対するチルダースは、ルックスは冴えない(失礼)が試合で魅せることができる選手。

打撃は足が揃い気味で、頭を突っ込んで手打ち、テクニカルではない。

ただし、チルダースはサウスポーの構えからロングのオーバーハンド──と、思いきやヒジを巧みに使い分け、拳とエルボーでレンジを瞬く間に変えることができる技巧派だ。グラップリングやサブミッションでも強みを発揮し、過去に肩固め、腕十字、RNCで一本勝ちしている。ライド派のゴンザレスに対し、流れるような下からの仕掛けが見物だ。

加えてクリンチの攻防になれば、チルダースはヒジという武器を備えており、そのうえボディロック・スラムでKOや勝ち、組みつき際のヒザ蹴りでも勝利するなど、風貌に似合わず(失礼)、多彩な武器を持っている。

フィニッシャーでありながら、エンデュランス・ファイトでも勝てるスタイルの両者、心身ともに削り合いになる可能性は十分にある。

■ LFA84対戦カード

<LFAフェザー級王座決定戦/5分5R>
ジャスティン・ゴンザレス(米国)
ジェイク・チルダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カシアス・ケイン(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウェスト(米国)
ボストン・サルモン(米国)

<フェザー級/5分3R>
カムエラ・カーク(米国)
ブルーノ・ソウサ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
マイコン・メンドーサ(ブラジル)
タイラー・レイ(米国)

<ライト級/5分3R>
ベン・ルゴ(米国)
ナタン・ルヴィ(イスラエル)

<140ポンド契約/5分3R>
キャメロン・ジョーダン(米国)
クリスチャン・ロドリゲス(米国)

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KSW53 other MMA Preview ノーマン・パーク ブログ マテウス・ガムロ

【KSW53】MMAとして成立するのか。本当に危険な3度目の顔合わせ、マテウス・ガムロ✖ノーマン・パーク

【写真】喧嘩ファイト、真っ向勝負、ルール無視、スコアリング、どのような戦いになるのか (C)KSW

11日(土・現地時間)、ポーランドのワルシャワで無観客大会としてKSW53「Reborn」が開催される。そして、メインで本当に危険な試合が組まれた。

それがKSWライト級選手権試合=王者マテウス・ガムロ✖挑戦者ノーマン・パークの3度目の顔合わせだ。


荒ぶるグラップラー、喧嘩ファイトも持さない王者ガムロとパークは過去2度対戦しており会見、計量、試合中、試合後ととにかくいざこざが絶えなかった。2017年5月の初対決の折には、試合中にグローブに不具合が生じたパークがレフェリーに中断を要請している間に、ガムロが仕掛けたのか怒りをあらわにして胸を突き飛ばす。

この試合はほぼ互角の展開ながらガムロが判定勝ちで王座防衛に成功も、5カ月後のアイルランド・ダブリンでの再戦でいよいよ両者は試合が成立しないほど、感情のもつれを吐露した。まずパークが体重オーバーでタイトル戦がノンタイトルに変更される。試合中にはガムロのローがパークの急所へ。さらに再会の合図とともに殴りかかるなど、ダーティーさを見せたガムロの2度に渡るアイポークでパークが試合続行不可能に陥り、NCになってしまう。

真っ向勝負の殴り合いの中で優勢だったパークは収まりがつかず、試合後も口論、一触即発の険悪な空気のなか、ついにパークのセコンドが切れ、ガムロに左フックを見舞う。こうなるとケージ内、そしてケージの外でポーランド人とアイリッシュ(※パークは北アイルランド在住の英国人)の大乱闘劇に発展するという事態に。

その両者が、今回のメインで相対する。KSWが同じ顔合わせを3度組むのは、ミハウ・マテラ✖ジェイ・シウバ以来、プロモーション史上2度目で、試合前からも両者は当然のように罵り合いを演じてきた。

「か弱いアイリッシュ・〇ッチ」と言い放つガムロに対し、試合内容は優勢だったパークは「アイツが自分が得意だと思うところが、実は俺が得意なところだ」と殴り負けない自信を見せている。

とはいえガムロは寝技も打撃も真っ向勝負だったパーク戦から、ATTで練習を始めたことで、そのスタイルは変わっている。相手の良さを消す戦い、倒すのでなく当てる打撃、テイクダウンを奪うよりも、テイクダウンされない組み技、そして下にならないという戦術を用い、クレベル・コイケに勝利している。これだけ互いが熱くなっている状況で、ガムロが冷静に北米流の遮断するMMAを駆使できれば、それはそれで一皮むけたという捉え方もできるが……。

とにかく本当に危険なのは、本気で嫌い合った人間がケージのなかで許されない行為を試合中に繰り返してきている点だ。ルールを守る、その最低条件が守られなければMMAという戦いは成り立たない──が、ガムロとパークの試合はその一線を越えてしまう可能性が十分にある。

■ KSW53対戦カード

<KSWライト級王座統一戦/5分5R>
[正規王者]マテウス・ガムロ(ポーランド)
[暫定王者]ノーマン・パーク(英国)

<ライト級/5分3R>
ボリス・マンコフスキー(ポーランド)
マルチン・ロゼク(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
アルトゥル・ソウィンスキ(ポーランド)
グシェゴシュ・ジュラコウスキ(ポーランド)

<ミドル級/5分3R>
トマシュ・ドルヴァル(ポーランド)
ウーカシュ・ビエンコウスキ(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
アンジェイ・グジェビグ(ポーランド)
トマス・ヤクビエツ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
ロマン・ジュマンスキ(ポーランド)
フィリップ・ペジッチ(クロアチア)

<バンタム級/5分3R>
セバスチャン・シュブシュ(ポーランド)
ヤクブ・ヴィクワッチ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
カミル・スミゾウスキ(ポーランド)
ミハウ・ピエツァク(ポーランド)

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LFA84 other MMA Preview タイラー・レイ ブログ マイコン・メンドーサ

【LFA84】活動再開第1弾の注目株は、佐藤天のチームメイト=抜群のテイクダウン能力を持つタイラー・レイ

【写真】レスリング主体で打撃の完成度が上がっている、いわば北米MMAの王道スタイルの持ち主といえるタイラー・レイだ(C)LFA

10日(金・現地時間)、サウスダコタ州スーフォールズのサンフォード・ペンタゴンでLFA84「Gonzales vs Childers」が開催される。北米ナンバーワン・フィーダーショーは今大会から4週連続で、同地でのイベントを行うことになる。

活動再開のメインはLFAフェザー級王座決定戦=ジャスティン・ゴンザレス✖ジェイク・チルダースの一戦で、元UFCファイターのボストン・サルモンがショーン・ウェストを相手に再起戦を行う150ポンド契約マッチが組まれている。

ここではLFAのエド・ソアレス代表がインタビューで名前を挙げたタイラー・レイに注目したい。


キャリア6勝1敗、佐藤天と同じサンフォードMMA所属のレイは力強いテイクダウンからコントロール&パウンドに長けたファイターだ。佐藤をして「打撃がないと僕は勝てない。テイクダウンならサンフォードMMAでも4番目に強い」と言わしめるレイはアイスホッケーに夢中になっている時に、クロストレーニングのために訪れたジムが偶然にリッチ・フランクリンも練習するジョージ・グーゲルのMMAジムだった。

MMAに魅せられた彼はマウント・セントジョセフ大学に進学しレスリング部で活躍後、プロMMAの道へ。そして、ラスベガスで開かれていたブラジリアン柔術トーナメントに出場した際に、当時TUFの収録で現地にいたタイロン・スポーンと知り合い、ブラックジリアンズで練習するようになる。

その流れでレイは、現在ヘンリー・フーフト率いるサンフォードMMA所属ファイターとなっている。上記にあるようにテイクダウンが抜群に強いが、その背景には右手が前でも左足が前でも、テイクダウンに入れるレスリングのスイッチ・ヒッターということがある。打撃のオーソつまりは、レスリングのサウスポーで素早く懐に飛び込み、ワンツーの流れで右足が前の構えから一気に組みつくことができる。組んだ後の崩し方も多彩なレイは、カレッジレスリング出身らしくワンフックで背中を制して、ゲイブル・グリップ系のRNCを仕掛けるのが勝利方程式といえる。

スクランブルに来ない相手に対しては、トップからのエルボーで相手を失神させるなど、現状の対戦相手には抜群のポスチャーの強さを見せつけており、ソアレスが期待するのも頷ける資質の持ち主だ。

今回の対戦相手マイコン・メンドーサはブラジル人ストライカーに多い、ややラフでパワフルなムエタイファイターだ。フーフトに師事する以前は、胸が開き気味でフック主体だったレイは自らのパンチを当てる時に、パンチを被弾しがちなレスラー&ボクシングというスタイルだった。それも今でも左ジャブで相手を突き放して、ジャブからテイクダウン、右ストレートにつなげてからテイクダウンという風に相手の攻撃を受けない打撃を身につけつつある。

利き腕がどちらか分からないほど、左リードフックにも威力を持つタイラー・レイ、前王者ジェイソン・ジャクソンがBellatorに転じ返上したLFAウェルター級王座に最も近い1人といえるファイターだ。

■ LFA84対戦カード

<LFAフェザー級王座決定戦/5分5R>
ジャスティン・ゴンザレス(米国)
ジェイク・チルダース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カシアス・ケイン(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<150ポンド契約/5分3R>
ショーン・ウェスト(米国)
ボストン・サルモン(米国)

<フェザー級/5分3R>
カムエラ・カーク(米国)
ブルーノ・ソウサ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
マイコン・メンドーサ(ブラジル)
タイラー・レイ(米国)

<ライト級/5分3R>
ベン・ルゴ(米国)
ナタン・ルヴィ(イスラエル)

<140ポンド契約/5分3R>
キャメロン・ジョーダン(米国)
クリスチャン・ロドリゲス(米国)

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other MMA Preview Titan FC61 ダニー・サバテーロ ブログ レイモンド・ラモス

【Titan FC61】バンタム級王座決定戦に臨む、ダニー・サバテーロ=「寝かせると、立たせない」(岡田遼)

【写真】TitanFC再開第二弾のメインで、バンタム級のベルトに挑むサバテーロ(C)TITAN FC

26日(金・現地時間)、フロリダ州マイアミのインターコンチネンタルホテル&リゾート・ビスケーンベイで開催されるTitan FC61 「Sabatello vs Ramos」。メインは大会名にある通りダニー・サバテーロがレイモンド・ラモスを相手にタイタンFCバンタム級王座決定戦を戦う。

キャリア7勝1敗、唯一の敗北は昨年12月にアーウィン・リヴェラとタイタンFC暫定バンタム級王座決定戦で敗れたサバテーロ。その後、正規王者となったリヴェラが5月にUFC出場を果たし(ジガ・チカゼに判定負け)、返上したベルトに挑むこととなった。日本では全く無名といって過言でないサバテーロだが、修斗暫定世界バンタム級王者の岡田遼が2月から3月にかけてATTで出稽古を行った際、スパーリングで最も多く手を合わせていた選手だった。


「最初のガチスパーの時の相手が、ダニーでした」という岡田──そして「コイツ、何でこんなに強いんだっていうぐらいやられました。レスラーですが、打撃もできてバックコントロールが上手い。やることが分かってくると、五分ではやれるようになりました」とサバテーロの印象を語る。

イリノイ州シカゴ出身、インディアナ州にあるパデュー大レスリング部出身のサバテーロは岡田のいうようにカレッジ・レスリング時代から、スタンドで──いわゆる足をクロスせずにワンフック的にバックを制し、そのままロールしてクレイドルからフォールを狙うという動きを得意としていた。

フォークスタイル・レスリングでスクランブルを究めたようなサバテーロだが、MMAに転向してからはトップに拘る戦いに代わっている。柔術を融合させダブルレッグでトップ奪取、パスという流れがサバテーロのグラップリングだ。その寝技に関しては、岡田が「寝かせると立たせない」と指摘したように、しっかりと抑えて仕留めに掛る。

テイクダウン前の特徴は蹴り技が多く、遠い位置から蹴りを見せておいて、そのままレベルチェンジ、ダブルレッグという仕掛けは対戦相手に『届かない』と油断させるのに十分な距離から放たれる。

前述したようにリヴェラに喫した唯一の敗北は、サウスポーから左ミドルを効かされ、最後はボディフックを打ち抜かれたというもの。打撃のための打撃よりも、テイクダウンのために打撃の持ち主だけに、ラモスが持ち味でもあるガチャガチャしたパンチ、ヒザ蹴りを組まれる前に効かすことができるかが勝負の鍵を握ってくる。逆にいえば、それができないとラモスは、サバテーロの得意のパターンに持ち込まれる公算は決して低くない。

■ Titan FC61対戦カード

<Tian FCバンタム級王座決定戦/5分5R>
ダニー・サバテーロ(米国)
レイモンド・ラモス(米国)

<ライト級/5分3R>
ランドン・スチュワート(米国)
ジェラバート・カスティーヨ(米国)

<フライ級/5分3R>
ヴィクトー・ディアズ(ブラジル)
クリーブランド・マクレーン(米国)

<フライ級/5分3R>
クリスチャン・イナストリラ(米国)
フィリップ・ケーラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
コリン・ラバーツ(米国)
アーヴィン・ジョーンズ(米国)

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JJ Globo Preview SUG15 アマンダ・ローウェン クレイグ・ジョーンズ コディ・スティール ジェシカ・アイ ネイト・オーチャード ブログ

【SUG15】4大会連続のクレイグ・ジョーンズ。ジェシカ・アイはUFCの翌週で出場。$1万TはCJJWの再戦か?

【写真】UFCから1週間でSUGに出場するジェシカ・アイ。タフだが、連敗恐れは十分にある (C)Zuffa/UFC

21日(日・現地時間)にチェール・ソネンがホストのSubmission Underground15が開催され、UFC Fight Passでライブ中継させる。

前回に続きSUGアイランドと名付けられたスタジオで収録される大会は、1万ドル争奪の8人トーナメント、そしてクレイグ・ジョーンズが4大会連続出場、さらに1週間前にUFCで戦ったジェシカ・アイが出場と見所が多い。


トーナメント出場選手は1回戦で書き記すと、コディ・スティール✖アンディ・ヴァレラ、メイソン・フォウラー✖ウォーレン・ブロックス、ロベルト・ヒメネス✖ネイサン・オーチャード、アダム・ブラッドリー✖ハンター・コルヴィンの8名だ。

なかでも注目はスティールと、オーチャードか。スティールは昨年のコンバット柔術ウェルター級世界王者で、全試合オーバータイムで勝利している。つまり5分✖1R+OT制のSUGでは、コンバット柔術よりもさらに強みを発揮できるだろう。

スティールはテキサス州オースチンを拠点としたチェックマット系ホドリゴ・カブラルの黒帯で、2018年には日本の柔術界にも馴染みのマリアナスオープンの茶帯を制し、アメリカン・ナショナルで3位に入っている。とはいっても、ノーギ&サブオンリーでは極めさせない強さとエスケープの能力の高さこそが彼の武器となろう。

そのスティールにコンバット柔術ウェルター級GP決勝で敗れたオーチャードも優勝候補の1人といえる。ミッションコントロールから両腕の入った三角クラッチを組み、アームバーやキムラに取る──デッドオーチャードの使い手は、決勝まで勝ち上がりスティールとのリベンジ戦を実現させることができるか、興味深い。

SUG12でケヴィン・ケイシー、SUG13でヴィニー・マガリャエス、SUG14でヴァグネウ・ホシャを破り、4カ月連続でSUG出場となるクレイグ・ジョーンズはガブリエル・チェッコと対戦する。

MMAファイターでもあるチェッコのSUG出場は3カ月連続となり、過去2大会でジェイク・エレンバーガーとオースティン・ヴァンダーフォードという同じくMMA選手に勝ってきた。この試合の見所は、チェッコがどこまでジョーンズの足関節コンビネーションに対応できるのか──という一点に絞られるか。

2016年12月、FLO Grapplingで配信されていた時代のSUG第2回大会のミーシャ・テイト戦以来、3年7カ月ぶりのSUG登場となるアイは、先週のUFCにシンシア・カルヴィーロに敗れたばかりで驚きのサブオンリー・グラップリング参戦となる。試合タイム8分時代のSUGで、ミーシャにOT負けだったアイは──試合中も肩抜き後転腕十字で右腕を伸ばされ、レフェリーがタップをしていないのにストップをかけ無効になるなど、攻められるシーンが多かった。

そんなアイと戦うアマンダ・ローウェンは2018年ノーギワールド女子ミディアムヘビー級3位、強烈なマルセロチンで相手を持ち上げたタップを奪ったシーンは特に印象深い。色帯時代には2014年にムンジアルの茶帯ライト級で2位なっており、MMAではアマファイターのローウェンだが、グラップリングにおいてはアイに対して分があることは確かだ。

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Preview UFC UFN on ESPN+30 UFN172 アンドレ・フィーリ シャルル・ジョーダン ブログ

【UFN172】チェ・ドゥホをKOしたシャルル・ジョーダン。アンドレ・フィーリの攻略方法は?

【写真】この右ローでフィーリの前足を削ることができるか。もちろん、カウンターを合わせられるリスクもある(C) CHONG SUNG OUK

13日(金・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで UFN172:UFN on ESPN+30「Eye vs Calvillo」が開催される。同大会のメインはイベント名にあるように女子フライ級のジェシカ・アイ✖シンシア・カルヴィーロだ。

開催地及び会場が同じだけに、先週末のPPVイベントと比較するとマッチメイクに落差が感じられるのは事実だ。そんななかフェザー級のアンドレ・フィーリとシャルル・ジョーダンは要注目のマッチアップだ。


キャリア10勝2敗のフレンチ・カナディアンのジョーダンは、TKOフェザー級&暫定ライト王者からUFC入りを果たしたストライカーだ。オクタゴン初戦のデス・グリーン戦では判定負けを喫したが、昨年12月のチェ・ドゥホ戦では先にダウンを喫しながら、左ストレートから返しの右フックでKO──事実上、左で見事な逆転勝利を収めている。

スイッチヒッターのジョーダンの大きな特徴は、左ストレートを打つ際に構えに関係なく右側に体を沈める点にある。オーソで右を使う場合は以外、踏み込んでパンチを打つ際は右側に身を沈めることでカウンターを受けないように戦う。

この低い姿勢のストレートを見せておいて、右の場合は左、左の後は右のスピニングバックフィストもジョーダンのメインウェポンといえよう。対するフィーリもスイッチを使うが、ジョーダンが右でも左でも変わらずに戦うことができるのに対し、基本はオーソドックスでステップを踏む際に小刻みに構えを変える印象が強い。

長いリーチを生かし、通算20勝(※7敗)のうち半数に近い9度のKO勝利があるフィーリは、ジョーダンの外を取るファイトをいかに攻略できるか。フィーリから見て左側に沈みながらパンチを打ってくる攻撃にヒザや蹴りを合わせたいが、彼の蹴りはほぼ右に限られている。一方、7つのKO勝ちと3つの一本勝ち──判定勝ちのないジョーダンとしては、フィーリの前足=左足をローで削れば、パンチ力を半減させることもできるだろう。

ただし、至近距離ではパンチを被弾することもジョーダンは少なくなく、一発の被弾が明暗を分けることも十分にありえる。とにかく両者とも、パンチを効かせたあとのかさにかかった攻撃は農耕民族でなく、狩猟民族の血を大いに感じるところだ。試合の組み立て方としては、蹴りが使え、本当の意味でもスイッチヒッターのジョーダンの方が選択肢が多いが……果たして。

■UFN172対戦カード

<女子フライ級/5分5R>
ジェシカ・アイ(米国)
シンシア・カルヴィーロ(米国)

<ミドル級/5分3R>
カール・ロバーソン(米国)
マーヴィン・ヴェットーリ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
マラブ・デヴァリシビリ(米国)
レイ・ボーグ(米国)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
シャルル・ジョーダン(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ジョーダン・エスピノーサ(米国)
マーク・デラロサ(米国)

<ライト級/5分3R>
チャールズ・ロサ(米国)
ケヴィン・アギラー(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ジュリア・アヴィラ(米国)
ジナ・マザニー(米国)

<フライ級/5分3R>
ライアン・ベノイト(米国)
タイソン・ナム(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン(米国)
デリック・マイナー(米国)

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Preview UFC UFC250 コディー・ガーブラント ハファエル・アスンソン ブログ

【UFC250】実力者同士の崖っぷち対決。ガーブランドはヘンリー&アルメイダ効果で復活なるか

【写真】元の強さ、元のスタイルに戻っているのか。それとも当たらな武器を携えているのか(C) Zuffa/UFC

6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEX開催されるUFC250「Nunes vs Spencer」。同大会のコ・メインイベントでコディー・ガーブラントが3年6カ月振りの勝利を狙いハファエル・アスンソンと対戦する。

元UFC世界バンタム級王者ガーブラントは、MMAキャリア4年でドミニク・クルーズを下し世界の頂点に立った。しかし、初防衛戦でTJ・ディラショーに敗れると、ダイレクトリマッチでも敗北。再起を賭けた昨年3月のペドロ・ムニョスにも右フックを被弾して敗れ、3試合連続でKO負けという苦境に立たされている。


ドミニクに勝つまでのガーブラントは卓越したボクシング技術が、MMAに最もハマっているファイターであったといえる。上半身を大きく動かして、相手のパンチを避け、それだけ動いても体が流れることがない。反動で殴って、大きく荷重が移動するのではなく、しっかりと軸のある姿勢に戻り、より破壊力のあるパンチを打ち込むことができる数少ないMMAファイターだ。

しっかりとした姿勢が取れることで、テイクダウン狙いにも反応できていた。幼少期から五輪補欠だった叔父にボクシングの手解きを受け、その後は母に練習を禁止させられると、レスリングでもD-1カレッジから勧誘を受けるほどの腕前に。彼の選択はD-2の大学進学だったが、アマボクシングでも32勝0敗の戦績を残し、ドロップアウト後にMMAへ。この10代の頃の経験が全てMMAに活きたようなアグレッシブなボクシング&レスリングMMAは、ディラショーの蹴りからパンチという攻撃に翻弄されガーブランドは自らの動きができなくなる。

それが顕著だったのがムニョス戦だ。変わらず破壊力のあるパンチを振ることはできていた。しかし、勝負を急ぎ過ぎて体を振ることを忘れ、ただ勢いのあるパンチを振りまわすことで、右フックを浴びてKO負けに。両足を止め、ガードもない殴り合いは、KO勝ちのチャンスとKO負けの確立は50/50になってしまい──ガーブランドの戦いではいことは明らかだった。

復活に向け、ガーブランドが選択はニュージャージーへ出向き、マーク・ヘンリーとヒカルド・アルメイダの下でトレーニングを積むことだった。アルメイダはこのガーブラントの選択に対して、「もう一段ステップアップするためには、外部からの意見や指導が必要だった。コディーは素晴らしいグラップリング技術を持っている」と話している。

ガーブラント自身も3月28日に決まっていたアスンソン戦に向け、ニュージャージーでハードトレーニングで自身を苛め抜いた。結果、ハードワークがたたり腎臓に問題が起こり試合をキャンセルせざるを得なくなる。その後、新型コロナウィルスの影響で大会自体がキャンセルされ、ラスベガスでアスンソン戦を迎えることに。

4日のバーチャル・メディアデーでガーブラントは「連敗からの復活の鍵はハードワーク。そのせいで腎臓に問題が起こったけど、それだけハードに練習して自信を取り戻した。今は凄くリラックスできている。ハファエル・アスンソンは数少なったWECからの生き残りだ。そしてトップ5をキープしている。凄くリスペクトしているよ」と非常に落ち着いた様子で話していた。

アスンソンはタイトル経験こそないが、UFC在籍9年で11勝4敗、うち2敗は直近の2試合でマルロン・モラエスとコリー・サンドハーゲンに敗れたのもの。そのモラエス、TJ・ディラショーとは1勝1敗で、ペドロ・ムニョス&アルジャメイン・ステーリングに勝利しているアスンソンだが、この試合を落とすようなことがあれば王座挑戦をしないままキャリアを終えることになる可能性が高くなる。

つまり実力はピカ一ながら、揃って崖っぷちの一戦。勝利の鍵を握るのは、やはりガーブラントだろう。強振しなくてもKOパンチを持つ彼が、相手を見てしっかりと本来の被弾しない打撃戦と、そこからのテイクダウン&柔術にどのような進化が見られるのか──非常に気になる。

■UFC250計量結果

<UFC世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アマンダ・ヌネス: 146ポンド(66.22キロ)
[挑戦者]フェリシア・スペンサー: 145.5ポンド(66.0キロ)

<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント: 136ポンド(61.69キロ)
ハファエル・アスンソン: 136ポンド(61.69キロ)

<バンタム級/5分3R>
アルジャメイン・ステーリング: 136ポンド(61.69キロ)
コリー・サンドハーゲン: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー: 171ポンド(77.56キロ)
アンソニー・ロッコ・マーチン: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー: 136ポンド(61.69キロ)
エディ・ワインランド: 136ポンド(61.69キロ)

<フェザー級/5分3R>
チェイス・フーパー: 145.5ポンド(66.0キロ)
アレックス・カサレス: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッシュ: 185.5ポンド(84.14キロ)
ジェラルド・マーシャート: 185.5ポンド(84.14キロ)

<フェザー級/5分3R>
コディ・ステーマン: 145.5ポンド(66.0キロ)
ブライアン・ケレハー: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
チャールズ・バード: 184.5ポンド(83.68キロ)
マキ・ピトロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<フライ級/5分3R>
ジョズエ・フォルミーガ: 126ポンド(57.15キロ)
アレックス・ペレス: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド: 205ポンド(92.99キロ)
デビン・クラーク: 205.5ポンド(93.21キロ)

<150ポンド契約/5分3R>
エヴァン・ダナム: 149.5ポンド( 67.81キロ)
エウベウ・バーンズ: 149.5ポンド( 67.81キロ)

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Preview UFC UFC250 アルジャメイン・ステーリング コリー・サンドハーゲン ブログ

【UFC250】世界最高峰のバンタム級、最注目株=サンドハーゲンがステーリングと対戦

【写真】コリー・サンハーゲン、ヘンリー・セフードが外れたバンタム級戦線で頂点に絡むことは間違いないだろう (C) Zuffa/UFC

6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC250「Nunes vs Spencer」が開催される。5月30日のUFC ESPN09から1週間、今大会から13日、20日、27日とUFCは5週連続でUFC APEXでイベントを開催する。

UFC250のメインは5月9日大会出場要請に対し、時間が必要と返答した女子世界二冠アマンダ・ヌネスがフェリシア・スペンサーを相手に女子フェザー級王座初防衛戦を行う。そんな同大会ではメインカードに3試合のバンタム級マッチが組まれている。


コディー・ガーブラント✖ハファエル・アスンソン、アルジャメイン・ステーリング✖コリー・サンドハーゲン、ショーン・オマリー✖エディ・ワインランドというバンタム級3試合。昨年2月以来の実戦復帰となる元世界王者ガーブラントの再起戦、コンテンダーシリーズ出身で3月に2年振りのファイトでオクタゴン3連勝を達成したオマリーも注目だが、なかでも最注目なのはステーリングと対戦するサンドハーゲンといえる。

LFAからUFC復帰を狙う田中路教をして、「抜けています。こんなヤツが出てきてしまったのかと……。手足が長くて、正面からの打撃も上手く、スイッチもデキるのに組み技も普通以上にできます」と言わしめたのが、サンドハーゲンだ。

サンドハーゲンの特徴はまさに田中の言葉通りだ。オーソ基調のスイッチヒッターで、左ボディのエグさはオクタゴン髄一といえる。幼少期にテコンドーを習いながら顔面パンチがないことで辞め、両親に勝ってもらってグローブをつけてサンドバッグを殴っていたというサンドハーゲン。17歳になり地元コロラド州オーロラでネイト・マーコートの下でMMAを始めると、大学で同州ボルダーに移りハイアルティトゥード・マーシャルアーツでクリス・アレン門下に。

アレンはドゥエイン・ラドウィックもチームメイトで、本格的にキックボクシングやムエタイを習得した上でMMAに転向した──打撃が抜きんでたウェルラウンダーの第一世代といえるファイターだった。そのアレンの下でWKAノースアメリカン王座、さらに世界王座とキックで結果を残し、首相撲&ヒジ有りムエタイも経験したことがMMAファイター=サンドハーゲンの軸となっている。

加えてブラジリアン柔術でも茶帯の巻くサンドハーゲンは、師アレン以上の破壊力を持つウェルラウンダーに成長した。上に記したように左ボディで腹を効かせ、頭が下がった相手にヒザの追撃を掛けると、エルボーを叩きこむ。倒れた相手にも容赦なくヒジを織り交ぜてパウンドアウト。蹴りもローを利かせて、ハイを蹴り抜き、下がった相手に容赦なく飛びヒザを見舞っていくなど、とにかく嵩にかかって攻めるのがサンドハーゲンの信条だ。

2018年に7勝1敗の戦績でUFCと契約を果たすと、これまでで5連勝。3勝目となったマリオ・バウティスタ戦ではスタンドのキムラから後方に投げ、クラッチを支点に上を取るとマウントから腕十字、下になって三角クラッチに切り替えて、腕ひしぎ腕固めを極めている。サンドハーゲンは寝技でも上になろうが、下になろうが徹底して攻めの姿勢を貫く。

直近のハファエル・アスンソン戦では、組まれては上記のキムラクラッチから後方へ倒れ込み足関節に移行、または股間に腕を通してロール系の動きでスクランブルに持ち込むシーンも見られた。

さらにいえば、ジョン・リネケル戦では真正面、近距離の殴り合いでも競り勝っている。打撃で圧力をかけてダブルレッグを狙えば、クリンチでムエタイ流の崩しにも繰り出す──UFCバンタム級戦線にあって、これだけ引き出しの多いファイターもいないだろう。

サンドハーゲンの長所を書き並べると、ステーリングに勝ち目がないように映るが決してそうではない。逆にいえば、一瞬の打撃が交錯してダメージを負う展開を除くと、サンドハーゲンにとってステーリングのようなファイターが一番の苦手といえるかもしれない。キャリア唯一の敗北を喫したジャマル・エマーズは、テイクダウンからコントロールのみでなく積極的にサブミッションを仕掛けるタイプ。そのエマーズをより強固に、かつ執拗にしたのがステーリングだ。

動きも手数も多い。全ては組みつくため。テイクダウンもかなり遠い位置から、低く飛び込んで足を取るや、ヒザをついて前進し執拗に上を取ること狙い続ける。ステーリングは気持ちと体力が必要なファイトを厭わない。対して、サンドハーゲンはストライキングもテイクダウンに付き合う。あれだけ絵のストライカーながら、組みを拒絶して打撃勝負でなく、懐に入らせてレスリングに付き合う。

ある意味、何でもできるファイターかつ攻めの姿勢が強いサンドハーゲンにとって唯一の穴が──付き合わない姿勢を持たないことかもしれない。今回の試合ではステーリングのレスリングに付き合ったことで、バックを許し動きを止められた結果、削れるという過去に見せたことがない場面が起こる可能性も十分にある。

それが世界最高峰のバンタム級2位=ステーリングと4位サンドハーゲンの対決、だ。

■UFC250対戦カード

<UFC世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アマンダ・ヌネス(ブラジル)
[挑戦者]フェリシア・スペンサー(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント(米国)
ハファエル・アスンソン(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
アルジャメイン・ステーリング(米国)
コリー・サンドハーゲン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
アンソニー・ロッコ・マーチン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー(米国)
エディ・ワインランド(米国)

<フェザー級/5分3R>
チェイス・フーパー(米国)
アレックス・カサレス(米国)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッシュ(米国)
ジェラルド・マーシャート(米国)

<フェザー級/5分3R>
コディ・ステーマン(米国)
ブライアン・ケレハー(米国)

<ミドル級/5分3R>
チャールズ・バード(米国)
マキ・ピトロ(米国)

<フライ級/5分3R>
ジョズエ・フォルミーガ(ブラジル)
アレックス・ペレス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
デビン・クラーク(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
エヴァン・ダナム(米国)
エウベウ・バーンズ(ブラジル)

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JJ Globo Preview SUG14 ジェイク・シールズ ブレント・プリマス ブログ

【SUG14】BellatorファイターがUFC Fight Pass登場。SUGで元ライト級王者プリマスがジェイク・シールズ戦

【写真】このゴゴプラッタが印象深いプリマス (C)BELLATOR

31日(日・現地時間)に開催されるSubmission Underground14。5✖1R+オーバータイム制が適用されたサブオンリー大会はメインでクレイグ・ジョーンズ✖ヴァグネウ・ホシャが組まれているが、セミも非常に興味深い対戦がマッチアップされている。

それがジェイク・シールズ✖ブレント・プリマスの顔合わせ。修斗、ROTR、Strikeforce、UFC、WSOF、そしてPFLで活躍した元祖柔術とレスリングの融合=アメリカン柔術の担い手ジェイクと、元Bellator世界ライト級王者の対戦。Bellator契約下のファイターがUFC Fight Passに登場するのも同大会のホストで──UFCとBellatorの両大会で解説者を務めるチェール・ソネンのパワーというところか。


ジェイクは2018年10月のPFLを最後にグラップリングに専念しており、この18カ月で実に10戦目の組み技戦となる。SUGには3度の出場で、前回はリッチー・マルチネスに腕十字で敗れている。どちらかといえばサブオンリーよりもポイント有りで力を発揮しそうなドミネイター・タイプのジェイクだが、オーバータイムを考慮にいれつつ、ストラテジーを立ててくるのか楽しみだ。

一方、グラップリングの印象のないプリマスだがベースは柔術で、黒帯を巻いている。またMMAで挙げた10の勝利のうち一本勝ちは半分以上の6つで、RNCおよびフェイスロックが5度のフィニッシュがあり、バックを制してからのチョークが必勝パターンという想像に難くない。ただし、そんなプリマスがサブミッションで最もインパクトを残したのは、昨年5月のベラトール・ユーロシリーズでのティム・ワイルド戦だ。開始早々に打撃を効かされて下となったプリマスは、ワイルドにゴゴプラッタを極めて一本勝ちしている。

ジェイクもトップコントロールの印象が強いが、実はハーフからの潜りスイープやワキを差して立ち上がって上を取るリバーサル系の動きも使いこなしている。5分間の短期決戦&オーバータイム──で、どれだけ積極的に動きつつミスを犯さないか。下の選手の方が仕掛けが多いともいえるサブオンリーで、真価を発揮するのはジェイクかプリマスか、気になるところだ。