【写真】選手の選択肢はそれぞれあることを踏まえたうえでUFCが唯一の世界最高峰で、そこを目指す練習環境は米国にある。この自論は崩れない(C)KILLCLIF FC
2023年が始まり、MMAワールドでは本日6日(金・現地時間)に米国でLFAが開催され、アジアではONEのタイ大会=14日(土・同)のFIGHT NIGHT06からスタートを切る。日本の戦い初めは15日(日)、後楽園ホールの修斗公式戦だ。
そんな2023年のMMAに向け、『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビューを行った。第4弾は世界最高峰との契約更新から2連敗、苦悩の時を過ごしたUFCウェルター級ファイター=佐藤天に話を訊いた。
フロリダ、キルクリフFCでの生活は不変である佐藤。契約したばかりのUFCファイターの生活環境まで言及してくれたうえで、彼からは強くなるために米国で生きることは普遍の原理と考えていることが伝わってきた。
──悔しい気持ちを抱えたまま、2022年が終わろうとしているかと思います。
「そうっスね。ハイ。一言でいえば残念で。やり残したことばかり、やってきたことを試合で出せなかった。その想いが一番強いです。悔しい1年になりました、本当に」
──8月のブライアン・バトル戦以降、どのような日々を過ごしてきました。
「まず1カ月ほど日本に帰国して。そこから練習に戻ったのですが、最初の1カ月ゆっくりと軽い動きから練習を再開しました。ここ2カ月は組み技、あとはドリル練習に重きを置いて年明けから試合に向けての練習をメインでやることになります」
──ではあまり打撃の練習はしてこなかったと?
「ハイ。初めてあんな風にKO負けしたので、コーチ性質も敏感になっていて。打撃のスパーリング自体は1カ月ぐらい前から再開したのですが、試合が決まっていない状態だから『年内は大きなグローブを使って、強度の高い練習は無しにしょう』と言われました。なので打撃も技術練習や基礎練習が中心でしたね」
──ヘンリー・フーフトたちはそれだけKO負けした時は、回復具合を気にしているのですね。
「ギルバート(ジルベウト・ドリーニョ・バーンズ)とも話をしたのですが、タイトル戦でウスマンにKO負けした後は半年間、打撃のスパーリングをしなかったと言っていました。次の試合ではチマエフにジャブを効かされたので、あの後もずっと脳に衝撃を与えないで練習をしていたようです。
試合が決まっていれば、スパーリングも再開します。でも、試合が無いようだったらコーチ達も『スパーはやらなくて良い』という方針ですね。それで他の練習メニューを指示されるので、ぶっちゃけ我慢しながらやっています(笑)」
──やはりスパーをしたくなるものですか。
「米国に戻って毎日練習に行くと、そうですね……(笑)。練習ができないというのは一番厳しいです。それでも、ジムに行くと見えてくることもたくさんあります。だからプラスになるように過ごしていましたけど……練習できないことは、気持ち的にキツイというのはあります。プラスになることは凄く多くても。でも練習をできる体は維持しているので、ここから試合に向けての練習にシフトしていけます」
──クリスマスとニューイヤー、UFCがクリスマス前から約1カ月のウィンターブレイクとなりました。そんななかキルクリフFCも里帰りをする選手たちが多くなかったでしょうか。
「もともと試合前にだけ来るという選手以外は、変わりないです(笑)。皆、練習を続けていますね。1年間で見ると、チーム全体の成績が2021年は2/3は勝っていたのが、2022年は6割ぐらいに勝率が下がりました。そういうところにコーチもシビアになっていて、年末も追い込みのメニューが用意されていました。気を引き締めていこうということだと思います。厳しい練習をしています」
──そんななか日本では話題になったBellatorが2019年の年間27イベントからコロナ禍で18大会となり、2023年はさらにイベント数が減るという話も伝わっています。薄っすらと景気後退のように感じられ、UFCの独創感が鮮明になっているような気がするのですが現地にいる佐藤選手から見るといかがですか。
「Bellatorのイベント数が減るというのは聞いています。以前からBellatorに出ているチームメイトからはUFCと比べると試合が決まるのが、遅い。プロモーションも短くなるという話も聞いているし。マーケティング的にもUFCが独創している感はあります。そういう点でもUFCとは差があるので、UFCを第一に目指すという選手が圧倒的に多いです。PFLで優勝したら100万ドルという魅力的な話があっても、やはり選手としてはUFCに出たいというのが多いです」
──キルクリフの所属選手でUFC、Bellator、PFL、そしてONEと契約している選手と、フィーダーショーで戦っている選手の割合はどのようになっていますか。
「正確な数字は分からないですけど4割から5割が大きな団体と契約していますかね。さっきも言ったようにキャンプの時だけ来る選手もいますし、全体の人数はちょっと分からないのですがUFCファイターは20数人います。Bellator、ONE、PFLを含めると30人以上になります。だから半数近くがそうで、他がフィーダーショーで戦っています。
最近、ロシアの選手が増えてきました。コンテンダーシリーズを狙っている選手や、アマチュア大会に出ている若い選手も凄く高いレベルの選手が来ています。だから練習的には凄く高いレベルを維持しています」
──ロシアや中央アジアでアマMMAを戦っている選手は国や企業からサポートを受けて、他に仕事をしない。いわばファイトマネーを得ていないプロですよね。
「アマチュアでプロ戦績のない選手のSNSのフォロワーが10万人とかなんですよ」
──!!
「国を挙げてサポートを受けているところはありますよね。こっちでも、毎日練習だけをしています」
──対してフィーダーショーに出ている他の選手たちは、どのような境遇なのですか。
「自分の前のルームメイトもUFCと契約しましたけど、2戦目が流れたのでウェイターをしながら練習しています。UFCと契約しても、バイトをしている選手はたくさんいます」
──佐藤選手の場合は、ファイト以外でお金を得ることはできないビザですよね。
「ハイ。だからサポートしてもらいつつ、身銭を削って生きている──ぐらいで。バイトをしないで練習できているのですが、それだけで生活自体はUFCと契約する前と大きく変わることはないです。ただし、ずっと練習していられるので恵まれていると思っています。好きなことやっているので」
<この項、続く>
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【ONE】2022年中に話が訊きたかったファイター。4人目、佐藤天―01―「身銭を削って生きている」 first appeared on
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