【写真】キルクリフFCとCombate Globalの経験が如何にエフェを進化させたか(C)TAKUMI NAKAMURA
30日(土)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023にエフェヴィガ雄志が出場し、八木敬志と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
アジアのフィーダーショーを目指し、韓国、モンゴル、フィリピン人ファイターの招聘を続けることで、Gladiatorのケージの中が変わりつつある。顕著なのはプレリミ出場選手の顔触れ、そして実力のアップだ。そのなかで米国でCombate Globalで勝利したエフェの出場はトピックス。対戦相手の八木は格闘DREAMERS出身。マッチョファイターを相手に海外武者修行の成果を見せることはできるのか。キルクリフFCとCombate Globalの経験をエフェに尋ねた。
──Gladiator023で八木敬志選手と対戦するエフェヴィガ雄志選手です。まずキルクリフFCでのトレーニング、5月Combate Globalでのジェラルベルト・カスティーリョ戦も含めた米国での日々を振り返っていただきたいと思います。
「米国に行ったのが2月の終わり頃で、それから約3カ月練習させていただいたんですけど、最初の1カ月は初めて米国で生活することもあって、色々と苦しい時間でしたね。ジムは外国人選手ばかりだし、自分が全くジムに慣れていない中で、強度が高い練習やスパーリングもガチガチにやっていたんで、その圧力に押されてしまいました」
──単身一人で米国に渡ったのですか。
「行くのは一人だったんですけど、ジムの先輩だった佐藤天さんがあっちのファイターズハウスにいて。天さんは3年ぐらい米国に住んでいて、米国の生活にも慣れているんですよ。その天さんがいてくれたっていうのは大きかったですね。勝手知ったる人がいてくれて、日本語でも色々と説明してくれました。僕も英語は一応分かりますけど、ペラペラっていうことはないんで。あともう一人、木下憂朔がいて、途中から井上直樹君も来て、最初は天さんと僕の2人だったんですけど、最大では4人いました」
──練習面で最初に驚いたことは練習強度やスパーリングの激しさですか。
「キルクリフは練習が激しいというのは聞いていたんですけど、思っていた以上に激しかったです。あとは技術で言うとテイクダウンですね。米国はレスラー上がりの選手が凄く多くて、壁レスの技術は日本でもかなりやりこんでいたので、そこまですごいとは思わなかったですけど、平場で壁がないところでのテイクダウン技術にはかなり差を感じました」
──最初の1カ月で練習や生活に慣れ、そのあとはどのようなことを練習で学んだり、意識できるようになったのですか。
「コーチのヘンリー(・フースト)たちにもミットを持ってもらうようになり、打撃ではステップを使うようにと指導されました。キルクリフに来た当初は動きが固くて『もっとステップを使ってもっと自由に動け』と言われて。そこからステップワークはかなり良くなりました」
──ABEMA格闘チャンネルの公式YouTubeチャンネル「Fighter’s Diary」でもヘンリーコーチから「足を使え」と指導されている場面がありましたが、そこは口酸っぱく言われていたことなのですか。
「『足を動かせ』と『ガードを上げろ』はずっと言われていました。MMAはグローブが小さいので、僕はキックボクシングほどガードは意識してなかったんですよ。でもキルクリフでは、それがジムのスタイルでもあるんですけど、ちゃんとハイガードにしてステップを多く使うように指導されました」
──打撃における基本的なことですが、それをやることで変化はありましたか。
「はい。ガードとステップを見直して、打撃の被弾がだいぶ減りましたね」
――打撃以外の部分ではいかがでしょうか。
「レスリングコーチのグレッグ(・ジョーンズ)にいつも言われていたのが『テイクダウンは爆発力だ。爆発力がないと話にならないから、テイクダウンに入るときは爆発力と瞬発力を意識しろ』なんです。テイクダウンに入ってからの技術もいいけど、まずは『思い切り行け!』と言われていました」
──テイクダウンは爆発力、は面白い考えですね。
「もし口で言われただけだったら、僕も漠然としたまま終わったと思うんですけど、実際にそう指示されてテイクダウンを決める選手がたくさんいるんで、そういう選手の動きを見て、自分なりに練習しました。この角度で入ればいいんだとか、この状況になったら力を使って強くいけばいいとか。ただ指導されるだけじゃなく、肌でその教えを実感できたことは大きいです」
──練習そのものは実戦的なものが多かったのですか。
「基本的に午前中は強度高めの練習で、月水金はレスリングベースのドリル。金曜日は柔術の日もあるんですけど、レスリングをやることも多かったです。最初はドリルなんだけど、だんだんスパーに近くなっていってみたいな練習で、ハードなスパー系の練習は火・木の2日でした」
──1週間をトータルで見てスケジュールが組んであるのですね。
「そうですね。午前中に激しい練習をするので、午後は打ち込み中心で技術的&テクニカルな部分を磨くほうが多かったです」
──それだけ日々練習が充実していると、1日1日気づきも多かったのではないですか。
「気づきは本当に多かったですね。これまで知らなかったこと、テクニックもたくさんありましたし、それこそカマル・ウスマンやジルベウト・バーンズなど凄い選手がたくさんいる中で、見て学べたことも大きかったです」
──これも「Fighter’s Diary」を見させてもらった感想ですが、エフェヴィガ選手がキルクリフのトレーナーから信用や信頼を得ていて、指導にもすごく熱がこもっていると思いました。エフェヴィガ選手自身がキルクリフの練習に溶け込んでいる感触はありましたか。
「結構感じましたね。木下君は英語は喋れないですけど、自分から他の選手やコーチともコミュニケーションを取りに行くし、自分は英語がそこそこ喋れるんで、スパーやドリルが終わった後『あれはどうやってた?』など、ドンドン質問してコミュニケーションを取るようにしていました。その繰り返しで、選手やトレーナーと関係を築くことができました。来た当初はグレッグから『なんでお前は自分から行かないんだ!』と怒られましたし、天さんにも『あいつ、もっと行かないと日本に帰すぞ』と言っていたそうなんです(苦笑)」
──人づてに聞くと余計にダメージが大きいですね(苦笑)。
「でもそれを乗り越えると、グレッグから『今のは良かったぞ!』と言ってもらえるようになりました(笑)」
──そう考えると3カ月という長期滞在がよかったようですね。
「はい。締めが試合だったので、実際の練習期間は2カ月半くらいだったんですけど、1カ月だったら練習に慣れたところで終わっちゃっていたと思います」
──そのCombate Globalでのカスティーリョ戦ですが、1Rにパンチを効かされて、徐々にテイクダウンも織り交ぜて盛り返すという、キルクリフでの練習が試されるような試合展開でした。
「開始直後に右フックをもらった時は本当に焦りました。ダメージも多少ありましたし、精神的な動揺も大きかった。これはヤバい、と」
──しかもパンチのもらい方もよくなかったですよね。足を使ってガードを上げろと指示されていたにも関わらず、それを実践する前にもらったような形で。
「試合前に天さんと一緒に相手の映像を見ていて『これを気をつければ大丈夫』って話した“これ”を一番最初にもらいました(苦笑)」
──言い方を変えれば、警戒している技をもらってしまうのも試合だから起こりうることです。そこからの立て直し方というのは?
「あそこで1回やられて、相手をケージに押しこんだところで冷静になって、あとはもう行くしかないと思いました。セコンドの長南さんと木下君にも発破かけてもらって。ちょっと距離は詰まりすぎでしたけど、とにかく前に出るしかないと思って、それでキルクリフでやってきたレスリングのテイクダウンが役立ったんで、そこは本当に良かったですね」
──長期合宿を経て、最後に試合で締めるというのは、本当に内容の濃い時間になったようですね。
「練習するだけじゃない学びもあったし、試合中に自分にフィードバックがあったので、めちゃくちゃ充実していました」
──今、日本ではどのようなことを意識して練習されているのですか。
「キルクリフで学んだことはたくさんあるんですけど、若干激しいスパーに慣れていたからか、ちょっと雑なところが増えてたりしたんで、そこを長南さんに調整・指摘してもらっています。あと自分はまだテイクダウンのレベルが低いので、中村倫也さんに専修大学のレスリング部を紹介してもらって、そこに行かせてもらったり、純粋なレスリングの練習を始めました」
──そして今回、GLADIATORで試合が決まりました。日本に戻ってきて、このぐらいの時期に試合をしたいという希望があったのですか。
「帰国してすぐ試合を探してもらっていたんですけど、なかなか相手が見つからなくて、ようやくここで決まったという感じです」
──対戦相手の八木選手の印象は?
「パワーがある選手なんで、そこに気をつけながら戦いたいと思います。特徴がハッキリしている選手ですね」
──対策や攻略法はイメージできていますか。
「自分の基本的な強みはリーチとパンチ、蹴りを活かした戦いなんで、そこをしっかり意識して戦おうと思います」
──この試合を含めて、これからどう自分のキャリアを作っていきたいと思っていますか。
「GLADIATORのあと、どこで試合するかはまだ分からないですけど、どこで戦うにしろ、一つ一つ自分が確実に勝ち星を積み上げて、いずれは北米のプロモーションでやりたいと思っています。キルクリフには世界のトップ選手たちがいて、まだ自分がそのレベルに達していないことも分かったし、そこに追いつけるようにしっかりレベルアップをしていきたいです」
──肌でその差を感じることができたのも大きかったですか。
「そうですね。実際にUFCとかBellatorなどトップぷろもーしょんで戦っている選手と肌を合わせて、そのレベルが分かったことは大きかったです。彼らとの差を身近に感じて、自分と彼らの差にリアリティが出たところは大きいです」
──では最後に次戦に向けてファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「米国武者修行では試合までさせてもらって、その練習と試合で学んだこと、日本に帰ってきて新たに学んだことを含めて、さらにレベルアップした、強くなった姿を見せられると思うので、楽しみにしていてください」
■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■ Gladiator022対戦カード
<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)
<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)
<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)
<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)
<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)
<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)
<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)
<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)
<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)
<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)
<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)
<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)
<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)
<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)
<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)
<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)
<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)
<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)
<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)
<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)
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【Gladiator023】グラジ初出場、八木敬志と対戦──エフェヴィガ雄志「肌を合わせて違いが分かった」 first appeared on
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