【写真】ここはADCCならではのポイント制が、勝利の鍵を握ることになるか(C) MIKE CALIMABS/WNO&SATOSHI NARITA
17日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてFlograppling主催のRoad to ADCCが開催される。
Text by Isamu Horiuchi
文字通り、来年開催のADCC世界大会へ向けた今大会。ニッキー・ライアンダンテ・リオンは77キロの軸となる若い力の激突だ。
先月20歳になったばかりのニッキーは、日本では今成正和や所英男から一本勝ちをしたことでも知られる。最近は増量とパワーアップに励むとともに、ジョン・ダナハー軍の代名詞でもある足関節技を封印し、自らの引き出しを増やす戦いに挑んでいる。
4月のWNO 08におけるPJバーチ戦ではシッティングからシングルレッグテイクダウンにつなげる展開を狙い続け、制圧することはできなかったものの、主導権を取り続けて勝利を手にした。続いて5月のWNO 09のガブリエル・アウメイダ戦ではトップから勝負し、ここも一本勝ちは逃したがボディロックパスやクリーンテイクダウンを決めてウィナーコールを受けている。
そんなニッキーに立ちはだかるのは、2019年のADCC世界大会77キロ級にて、競技柔術の絶対王者ルーカス・レプリを倒して世界を驚かせたカナダのダンテ・リオンだ。
注目したいのは、この一戦でのリオンの勝ち方だ。レプリの必殺のニースライスパスをシッティングガードやニーシールドで防いだリオンは、そこから一瞬でシットアップしてシングルレッグを仕掛け、そのままレプリのバックについて勝利を決定付ける4ポイントを獲得した。
つまりリオンは、ニッキーがバーチ戦で試みたシッティングガードからシングルへの移行──最近「レスリングアップ」という名称で改めて脚光を浴びているムーブ──を、世界最高のパスガード・マイスターのレプリに決めてみせたほどの使い手なのだ。自分がトップにいる時の防ぎ方や対処も当然熟知しているだろう。
また、ニッキーがアウメイダ戦で試みたスタンドレスリングの攻防もまた、リオンがもともと得意とするところだ。今年2月のF2W 174におけるマニュエル・ヒバマー戦においても、リオンは階級上の相手に何度も気迫十分のテイクダウンを仕掛け、スタンドレスリングで優勢に試合を進めた。物議を醸した判定で惜敗したものの、リオンの充実ぶりは十分に伝わった。ニッキーが現在強化を試みている分野において、リオンはもともと強い。
このことを踏まえて考えると、今回ニッキーがどのような攻防を挑むかは興味深い。選手が武器を増やすことの主な目的は、試合において相手の弱い分野で戦って勝率を上げることにある。だとするならば、今回あえてリオンが得意とする攻防を挑むのは賢い策とは言えないだろう。だが最近のニッキーが、目の前の相手に対する勝利は目指しつつも、さらにそれ以上の大きな目標を見据えて試合に臨んでいることも明らかだ。そしてこの大会の名称、”Road to ADCC”が示唆するテーマはまさにそれである。
同様の見方は、前回大会にて世界を驚かせつつも4位に終わり、次こそ優勝をと心に誓っているであろうリオンに当てはめることができる。前回の3位決定戦において、ニッキーの兄弟子ゲイリー・トノンと激闘の末外ヒールに屈したリオンは、そのトノン同様に危険な足関節の使い手であり、来年の本戦でも自分に立ちはだかる可能性の高いニッキー相手にどのような攻防を挑むのか。
本戦そのものではなく、それに向けた前哨戦であるということを念頭にこの試合の攻防を味わいたい。
■視聴方法(予定)
7月18日(日・日本時間)、
午前9時00分~Flo Grappling
■ Road to ADCC対戦カード
<無差別級/20分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
マテウス・ジニス(ブラジル)
<175ポンド契約/20分1R>
ダンテ・リオン(カナダ)
ニッキー・ライアン(米国)
<66キロ級/5分3R>
マイキー・ムスメシ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
<88キロ級/5分3R>
ウィリアム・タケット(米国)
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
<女子60キロ以上級/5分3R>
エリザベス・クレイ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
<88キロ級/5分3R>
ケイド・ルオトロ(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
<1R20分・88キロ以下契約>
ロベルト・ヒメネズ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
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